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2016年8月8日(月)
陛下お気持ちの真意 ▽ 櫻井よしこが斬る戦後

ゲスト

鴻池祥肇
元内閣官房副長官 自由民主党参議院議員(前半)
櫻井よしこ
ジャーナリスト
楊海英
静岡大学人文社会科学部教授(後半)
橋本寿史
フジテレビ解説委員(前半)


前編

天皇陛下『お気持ち表明』 『11分間』メッセージの真意
秋元キャスター
「陛下は、現在は幸いに健康であるとされながらも将来的に全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが難しくなるのではないかと案じられました。また、特に日本の各地、とりわけ遠隔の地や島々への旅も天皇の象徴的行為として大切なものと位置づけられています。また、天皇の健康が深刻な状態に立ち至った場合には社会が停滞する懸念があるほか、天皇の終焉に当たっては様々な行事によって関わる人々や残される家族が非常に厳しい状況下に置かれざるを得ないということをお話されていました。まずは橋本さん、陛下のお言葉をどのように受け止めましたか?」
橋本解説委員
「今回は率直に言って、ご退位へのお気持ちというのを強く持たれているんだなというのをとても感じました。それと同時に、象徴という公務にどのように陛下が取り組まれていたのか、そういった想い。正直言いまして、象徴天皇というものを1番考えていらしているのは陛下なのだなというのをあらためて感じ、陛下の中でも、象徴の立場への理解を求めるとともに、いろいろな形の中で象徴天皇というものをもう1度、皆さんも議論と言いますか、いろんな形の中で見ていってくださいねというメッセージ性も含まれているような気もします。象徴というものを考え続けられた、陛下ならではのお言葉なのかなと思っています」
秋元キャスター
「今日のお言葉の中から見ていきますと、たとえば、日本の各地、とりわけ遠隔の地や島々への旅が大変大切だとおっしゃっている中、現在は健康だけれども、将来、難しくなるのではないかということもお話されていますよね。この陛下がお考えになっている位を譲られる形、タイミングとか、時期とか、どんなものが感じとれますか?」
橋本解説委員
「現在すぐというのは当然、ご健康でありますので、そういったことはお考えになっていないだろうと思っています。これからの将来の中でご自分がご健康でなく、いろんなご公務、ご自分が納得されるような形でのご公務ができない。たとえば、遠隔地という話も私の中では、要するに、そういう日本全国を分け隔てなく、どんなところでも公平に見て公務をされる陛下の想いであり、そういった分け隔てなく、公平な公務ができなくなると、それは象徴のご公務ではないというお考えではないかと。つまり、そういったことがだんだんとおできになくなる中で、ご退位というところを皆さんで考えてもらいたいというようなメッセージだと思っています」
秋元キャスター
「鴻池さん、陛下のお言葉、どのように受け止められましたか?」
鴻池議員
「昭和天皇の時に、私は国会議員にしていただきました。本会議場でのお姿、あるいは病を経られた頃の報道、大喪の礼にも出席させていただきました。そういうことを思い浮かべたわけですけれども、陛下のお言葉に反論はありません。どんな状況になられても国民の1人として、私はというよりもほとんどの国会議員は絶えず天皇を敬愛申し上げている。大変なご苦労だなと思いながら、申し訳ないけれど敬愛を申し上げているという気持ちは変わらないと思うんです。ですから、今日のお言葉につきましても、ここまでお考えになっておられるのかということで、ある意味、私自身はショックを受けたというか、そんな気持ちも一部ありましたね」
反町キャスター
「そこまでお苦しみだということにショックを受けた?」
鴻池議員
「そういうことです。感謝を申し上げなければいかんと。これまで心の中で思っていたかもしれないけれども、そういう状況、そういう時期ではないかというような思いもいたしました」

政府に求められる対応
秋元キャスター
「安倍首相は、陛下のご公務のあり方など、ご心労に思いを致し、どのようなことができるのか、しっかり考えていかなくてはならないと発言されているのですが、政府には今後の対応として、どんなことが求められるのでしょうか?」
鴻池議員
「わかりません。わかりませんが、また皇室会議的な、随官から意見を聞こうというようなことを募ったりするんでしょうかね。ただ随分気になるんですけれど、陛下のお言葉の中で、摂政宮を置かない。おっしゃってはいませんが、聞きとる側にすれば、摂政宮まで触れられております。そうすると、今後のあり方の議論の中で、この話はできなくなるのではないかと、そのように思いますね。ですから、2000年近く続いた日本の国柄、歴史というものが途切れぬように陛下も最後には述べておられましたけれど、それを基本に我々は考えていくべきだと思います。政治も憲法の改正とか、あるいは皇室典範の改正という事態に至れば、積極的に当然やらなければいかんことですけれども、それまでの議論をどのように進めるのかという非常に大事な明日からのことだと思いますね」

今後行われるべき議論
反町キャスター
「櫻井さん、摂政を置かないことに関しては、陛下は今日のお話の中でも、摂政を置いても天皇が代替わりするわけではないのだと。崩御のあと、たとえば、葬儀関連とか、新時代に向けた行事が同時進行するので、これは皇室、皇族の皆さんにとっても大変な負担になるのだと。こういうお話をされ、政治向きの発言は、する、しない、の問題があるにせよ、事実上、摂政を置くことについては非常に否定的な見解を、非常に率直に示されたと僕は思うんですけれども、それが今後の政府の議論のある意味、スキームというか、フレームを決める部分にもなっているというのが、現在の鴻池さんの話だと思うのですが、いかがですか?」
櫻井氏
「フレームを決めてはならないです。我が国は立憲君主の国ですから君臨しても統治せずということで、明治天皇の足跡を振り返りましても、昭和天皇の足跡を振り返りましても、プライベートな場面ではかなりいろんなご意見をおっしゃっておられるんですね。でも、公の場で昭和天皇がご意見をおっしゃったことは、まず張作霖の爆殺事件ですね。あれに対して、ご自分がおっしゃったことで、内閣総辞職につながっていったことを反省して、その時以来、自分は言わなくなったとおっしゃっているわけですね。それから、2.26事件の時にはご発言なさいましたね。大東亜戦争の終わりの時ですよね、御前会議で結論が出ないという。本当にどうしようもなくなった時に判断を仰いできたのが、我が国ですし、そのような時に立憲主義として、初めてご発言なさったということがありますね。その立憲君主国のあり方というものを、私達は陛下のお言葉を受け止めながらも、国柄として忘れてはいけないということが第1点。もう1つは、譲位とか、退位ということは、実は日本の歴史に多々あるんですよ。あるんですけれども、譲位、退位が起きた時に政治的な混乱が起きたということは、歴史の中でもよくわかるわけですね。保元の乱の原因をつくったとか、いろいろありました。ですから、明治維新政府ができた時に初めて皇室のあり方を文字にするわけですけれども、その時にそれこそ井上毅とか伊藤博文とか、当時の日本国のリーダー達が本当に長い時間をかけて議論し、いろんな方々のご意見を伺って、退位をどうするか、譲位をどうするかということをしているわけですが、これは日本国の長いこれからの歴史というものを考える時により安定した日本、より安定した皇位継承、より安定した皇室というものの存在を実現する、担保するために、譲位、退位は入れない方がよろしいという判断をしたわけです。そのままずっときて、昭和天皇のご在位の時も、退位の話は幾度か出たわけでしょう。だって、我が国が敗戦をした時を始めとして、それでも我が国はそれを選びませんでした。それは皇室を中心に我が国は2700年に喃々とする歴史を歩んできて、これから2700年どころか、5000年もずっと長い間、日本民族としての歩みを続けましょう。その中心に皇室がいらっしゃるんですよという、この国柄ですね。国柄を大事にしましょうという想いがあったからだと思うんですね。でも、個人のお考えですとお断りになりながらも、ここまで明確に、ある意味ではおっしゃったわけですから、それを受け止めて、どう陛下のお気持ちに沿うことができるかという、これは本当に日本民族が叡智を絞って私達の力が試される時だと思いますね。片方に、長い皇室の伝統、これはなくしていけない。もう一方に天皇陛下のお気持ち、この両方を必ずどこかで融合させなければいけないですね。両方を立てるようにしなければいけない。それは不可能ではないと思っています」


後編

櫻井よしこ×『ヤルタ会談』 『大国のエゴ』と国際秩序
秋元キャスター
「当事者がいない中で国土の分割が決められたヤルタ会談こそが現在に至る国際秩序の波乱の元凶だと考えているとのことですが」
櫻井氏
「ヤルタ会談によって、南モンゴル、中国に併合されている内モンゴルが勝手に中国のものですよと決められてしまうわけですね。我が国に関しては南樺太も千島列島も全部ロシアのものですと。それから、中国に対しては満州鉄道も、それから、旅順と大連の港もソビエトと現在のロシアの権益を最重視して、ロシアのものになるというような、当事国の日本もモンゴルもいないところでこういった勝手なことを決めてしまって、その後の冷戦構造をそのまま戦後に持ち込むことになってしまったわけで、我が国は現在北方領土問題が解決しないために、日露平和条約も結べていません。これはなぜ結べていないのか、ずっと北方領土問題が未解決であるわけだからですね。戦後70年以上経っていますけれども、大東和戦争、ヤルタによって定められた国際秩序というものが現在の紛争に続いているという意味では、戦争はまだ完全には終わっていないということです。ブッシュさんが2005年でしたか、対ドイツ戦勝60周年の記念の会合で、モスクワで行われるものに行く途中で、ラトビアの首都リガで演説をなさって、これ見事な演説だったんです。あのヤルタ協定こそアメリカが犯した戦後最大の問題の1つであるということで、現職の大統領が自分の先人達が行ったことについて批判するというのは、アメリカにとっては、日本は日本のこと悪く言う総理大臣がいっぱいいますけれど、アメリカにとってはこれ異例中の異例ですよ。だけれど、これは非常に正しい問題提起だったと思うんです。ただ、ブッシュさんが念頭に置いていたのはポーランドとか、東欧のことが中心だったんですけれども、もし本当に我が国が歴史問題に対してきちんとした認識を持っていたら直ちにその通りだと、ヤルタによってどれだけのその後の問題が起きているのか、私達はもう1回ヤルタ体制というものについての検証を行うべきだと。私達はこれまで勝者である連合軍が行ったことだから敗者である日本はそれに対して批判したりしてはなんとなくいけないのだということで受け入れざるを得ないと。確かに受け入れてはいるんですけど、受け入れているということと彼らの考える歴史観が全部正しいと思うことはまったく別の話で、日本人は現在歴史を振り返って本当に彼らがやったことは正しかったのか、ヤルタ協定は何とでたらめなのだろうかと。ミュンヘン会談だって何というでたらめだろうかと。小国の利益を大国のエゴによって蹴散らしていいのか、ということですよ。そうではないのだということになった時に初めて現在の中国と現在のロシアの動きがどれだけ前時代的で、どれだけ国際法、現代の21世紀の精神にかなわないものかということがより深く確信できるわけですね」

ブッシュ前大統領の真意
反町キャスター
「ブッシュさんは演説をしたその段階で、プーチンさん、胡錦濤さんの拡張政策を懸念した?そういうことではないですよね?」
櫻井氏
「プーチンさんにとってもあれは強烈なメッセージだったと思います。プーチンさんはブッシュさんの言葉に対して非常に強く反発しているんですよ、当時。ヤルタは正しかったのだと言っているんですよ。ここでアメリカとロシアの歴史観がバーンとぶつかっちゃたんです」
楊教授
「次の日にモスクワに行っているんですけれども、モスクワの赤の広場では小泉純一郎さんと胡錦濤さん、もちろん、プーチンさんもいらっしゃったわけですよね。ですから、櫻井さんおっしゃったようにあの時、小泉さんは、これはいいチャンスだ、と捉え、北方領土問題の交渉に入らせなければならなかったと思うんです。あれは絶好のチャンスだったと思うんです。と言うのは、現在世界中で国際問題が、紛争が起こっているわけですよね。たとえば、ロシアが数年前にクリミアを併合した、クリミアはヤルタ協定の因縁の地ですけれど、その因縁の地を併合したことでたぶん2014年以降の国際問題の悪化、激化が始まっているわけです。それから、もう1つは世界中で現在、民族問題も発生しているわけですよね。特に中国、あるいは旧ソ連を引き継いだロシアですけれども、これも民族問題が非常に激しくなっているんですよね。それから、もう1つは、中東でも起こっているし、ロシアとバルト3か国、あるいはポーランド、あるいはドイツとの間でも実は問題があるわけですよね。こういうのは全てヤルタ協定が原因ですよ。もちろん、日本の北方四島が未解決のまま残っているのも当然、ヤルタ協定ですよね」

モンゴル『分断』の結末
秋元キャスター
「ヤルタ協定で分裂されたことで、モンゴルはどのような歴史をたどることになるのでしょうか?」
楊教授
「モンゴルは先ほど、内モンゴルの話が出ましたけれど、実は内モンゴルも日本が1945年8月に敗戦を迎えるまでは国際法上は未確定です。満州も含めてです。ですから、中国の満州ではなく、日本は中国の満州を侵略したのではないです。満州も含め、満州人の満州であって、中国人の満州ではないです。モンゴルはモンゴル人のモンゴルであって、中国人のモンゴルではないです。ですから、そこは大原則ですので、戦後日本は中国に対して満州を侵略し申し訳ありませんでした、内モンゴルを支配してすみませんでしたって言っているけれど、それは相手を見間違っているんですよ。まずモンゴル人と満州人に対してそれ言わなければならないです、もし言うならば。ヤルタ協定ですけれども、1945年2月に密約が交わされるんですけれども、その前に1944年12月にアメリカと中華民国の蒋介石と、それから、チャーチルさんがカイロで密談しているわけですね。その数日後にそのままイランに飛んでテヘランで今度は中華民国抜きでソ連とチャーチルと、アメリカが会談しているわけです、テヘラン会談です。徐々に、日本に対する処理をしていくわけです。それで1945年2月にクリミアのヤルタで密談が始まるわけですね。そこで主として日本を敗戦に追い込むためにソ連がどういう条件で出兵するかというこれ1点に集中しているわけですね。スターリンがとにかくこだわったのは、外モンゴルは現状維持、現状維持というのは、外モンゴルは独立ですよ。衛星国というのは間違いではありませんけれども、ソ連の保護下での独立国です。それが大事です。内モンゴルは中華民国の占領下にあってまだ帰属がはっきりしていないです。これが大事です。1945年8月に出兵するんですけれども、出兵するまでソ連は日本とも交渉し、一方で中華民国とも交渉しているんです。先ほどからおっしゃっているように、ヤルタには中国もいないし、モンゴル人もいないし、日本人もいないです。当事者不在での他者の運命を決める密談です。決まってから8月の出兵までソ連はスターリンを中心にモロトフ外相の下で中華民国とも交渉するし、日本とも実は会談をしているんです。日本もたぶんこういうのがあったのではないかと探っているし、中華民国も知らされていない。モンゴルはまったく知らないです。モンゴルは日本と中華民国は何かあったのではないかと探りを入れているんですけれども、モンゴルは完全にこれでソ連が出兵したら、民族の統一が実現できると思っているんです。と言うのは、1945年2月、ヤルタ会談の直後からですけれど、ソ連軍とモンゴル軍がモンゴルで実践演習しているんです。そろそろ南下するのだという前提です」
反町キャスター
「モンゴルには、いわゆる大モンゴルをつくるという期待感があった?」
楊教授
「それは大モンゴルというシンプルな期待感ではなく、1945年8月のモンゴルの出兵をモンゴルでは何と言っているかというと、民族解放の戦争です。誰から解放するかと言ったら、中国と日本の支配から民族を解放する。ですから、これはモンゴルの民族の歴史観、国家の歴史観であって、中国と日本の支配下から民族を解放すると」
反町キャスター
「何で内モンゴルは中国の側に?どういう話があったのですか?」
楊教授
「それは中ソの話ではなくて、もちろん、中ソで決めたんですけれど、メインの決め手はスターリンです。スターリンはとにかく、ソ連はとにかく、ロシア人はとにかく、モンゴル人が1つの民族をつくるのに強力に反対したんです。たとえば、1945年7月7日にスターリンはモンゴルの指導者チョイバルサンと会談しながら、モンゴルの独立のために乾杯しているんですよ。同じ日に蒋介石の派遣してきた外務相とも会談をしながら、あなた達、外モンゴルの独立を認めないと、内モンゴルも一緒になってしまうよと。巨大なモンゴルが出てきたら、あなたにとっても、私にとっても有害ですよ、と脅しを入れて、徐々に外堀を埋めていって、中華民国に外モンゴルの独立だけを認めさせ、内モンゴルはあなたにあげるよというバーターにしているわけです。なぜスターリンが巨大なモンゴルを認めないかというと、スターリンには大きな世界史のビジョンがあったんです。13世紀にロシアはモンゴルに300年間支配された恨みがある、これが1つ。もう1つは、1943年にドイツがソ連に侵略してきた時、モスクワの南にカルムイクという小さなモンゴル人の共和国がある、それが国を挙げてドイツに協力しちゃったんです。ヤルタ協定が結ばれたクリミア半島ですけれど、タタール人の国ですよ。タタール人というのはジンギスカンの子孫です。このタタール人もドイツに協力した。ですから、スターリンからすると、ソ連からすると、ロシア人からすると、そもそもタタール人も、モンゴル人も信用できない。ドイツに協力した、過去には300年間、私達を支配した前科がある。日本と組んでいる。モンゴルは悪ですよ。言うことを聞く小さな衛星国は残しておくけど、強くなったら困る」
反町キャスター
「現在のモンゴルに住んでいる人は皆、楊さんみたいな気持ちを持っているのですか?」
楊教授
「これは民族の共通認識です。集団的な記憶です。ですから、内モンゴル自治区に民族問題が残る。その民族問題が最悪の形で出てきたのが、1966年から10年間の大量虐殺があるわけですよね」
櫻井氏
「文化大革命の時に内モンゴルとか、ウイグル人が漢民族に先がけて大量に虐殺されているんです」
楊教授
「そうです。それは中国からするとモンゴルは中国から独立しようと、祖国を裏切ろうとしたというふうに見えたんですよ。そのことに対する制裁が文化大革命の時に始まって、その後遺症がずっと残っていて、中国の内モンゴル自治区には民族問題があると。実はヤルタ協定で、外モンゴルは現状維持、内モンゴルは中華民国にと言いながら、常にスターリンは新疆ウイグルの話とチベットの話もしているんです。ですから、内モンゴル、新疆ウイグル、チベットは東方のバルト三国ですよ」
櫻井氏
「方程式としては同じことですね。大国が自分達の利益のために勝手に線引きをしてしまうと。バルト三国も同じですよね。ソビエトにとっては、彼らの言い分は自分を守るためですけれど、ヤルタ協定が原点となってこのような許されざる国境線が敷かれてしまったと。このようなことに私達は目を向けなければいけないと私は日本人として非常に思います。ミュンヘン会談、ヤルタがあって、それがアジアにも飛び火し、戦後の体制ができてしまって、北方領土の問題を抱えているということからしても、決して終わってはいないのであって、このような形で続いている、大東亜戦争の残滓というものに対してもっと責任感を持って考え、できることをしなければいけないと」

中国に伝染した『思想』
反町キャスター
「習近平主席が、『新型大国関係』をアメリカに持ちかけているという話がありました」
櫻井氏
「現在のこの新型大国関係は中国がアメリカに持ちかけています。中国とソ連・ロシアの違いというのが微妙にあるんですね。楊海英さんの方が詳しいと思うのですが、中国は獲れるだけ全部獲る。ソビエトはヤルタのやりとりを見ていて、もちろんすごく貪欲ですけれども、周辺の国々の支配に対しては従属してくれるおとなしい国、たとえば、フィンランドみたいなところには直接行かないですよね。だから、拡大することについての自分の能力と見合わせながら拡大していって、ちゃんと統治できるかどうかということを考えているんですね。でも、中国はどちらかというと獲れるものは全部獲るということで、それが2つの国の違いではないかと思います。新型大国関係にオバマさんは当初意味が良くわからなくて応じていた部分、アメリカ側も新型大国関係の中身が良くわからないから当初のライス補佐官とか、皆それをやりましょうとか言って、実現しましょうと簡単に言っていたのですが、ある時から、新型大国関係の肝は革新的利益だということがはっきりするんですね。中国の革新的利益、アメリカの革新的利益をお互いに尊重しましょうと。中国の革新的利益は、チベット、ウイグル、それから、南シナ海、台湾、尖閣だということがわかってくるわけです。こんなことをアメリカが飲めるはずがないわけで、このへんからオバマさんもこのことについてかなり慎重になってきましたね」
秋元キャスター
「ヤルタ会談の考えが残る中国と、日本はどう向き合っていけばいいのでしょうか?」
櫻井氏
「毅然とした対応をと官房長官が言う、毅然としたというのは目の前にあることにきちんと対処するということと、戦略的に中長期を考えてこちらもきちんとするということの両輪が揃わないといけないですね。東シナ海と尖閣において、私達はアメリカとの連携を緊密にし、アメリカのプレゼンスをそこに見据える。それと同時に、日本は船を増やす、人員を増やす、防衛予算を増やす、海上保安庁の予算を増やすということをやるのが極めて近場のやるべきことです。もう1つ、中長期でやるべきことは憲法改正ですよ。安保法制をやりましたけれど、安保法制はしないよりした方が良かった。けれども、十分ではないわけですから。日本が国家として自分の国の領土をちゃんと守る法的な基盤と、物理的基盤の両方を備えなければならないわけで、そのために日本が中国の脅威を目の前にして本気で対処しますよと。日本は侵略戦争を絶対しませんけれども、守るということにかけてはちゃんとやりますということ、目の前のことと中長期のことを両方やるのが本当の毅然とした対応」

楊海英 静岡大学人文社会科学部教授の提言:『積極的関与!(旧植民地に…)』
楊教授
「日本は大日本帝国というのは巨大な植民地、ないしは支配権を持っていたので、日本はきちんとした植民地経営をしていたんですよ。教育に力を入れ、あるいは西洋の植民主義者を追い出すとか、モンゴルに対してモンゴル独立を支持するという看板も掲げていましたし、実際そういう日本人も多かったわけですね。ですから、旧植民地の人達は日本に対して非常に好意的であるということを日本人は認識しなければならないと思います。満州、モンゴル、台湾、たぶん真実としては朝鮮半島も含めてですけれど、ですから、旧植民地の人達は日本に非常に好意的であるということと、戦後日本はずっと民主主義の道をきちんと歩んできて今や世界の大国ですから、日本人は胸を張って、あそこは私達の祖先が歩いてきたところで足跡が残っているから、あそこに民族問題がある、環境問題がある、あるいは弱い人達をいじめている人がいるというのなら、きちんと守る、関与するという姿勢に出ていかなければならないと思うんです。1度の戦争に負けたからといって束縛されることは必要ないです」

ジャーナリスト 櫻井よしこ氏の提言:『日本文明とその力』
櫻井氏
「日本文明というのは穏やかな文明ですけれども、雄々しく立ち上がる時は立ち上がる。それを世界のために、アジアのために現在役立てる時だと思います。日本が積極的に関与しても、あくまでも侵略とか、そういうものではなくて、平和を維持するためであり、日本のやり方は基本的に人間を大事にするやり方だということを訴えていけばいいと思いますね」