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2016年8月5日(金)
小池知事に聞く胸中 ▽ 日中韓女性論客が競演

ゲスト

小池百合子
東京都知事(冒頭)
久保田るり子
産経新聞編集委員
孫秀萍
環球時報特約記者
金慶珠
東海大学教養学部教授


前編

小池新都知事に聞く 自民との関係&都政の課題
松村キャスター
「小池さんは昨日、安倍首相、そして二階幹事長と会談しました。安倍首相との会談では『自民党は、小池さんにきつい一本を取られました。政府と東京と協力してやらせていただきたい。それが民意なんだろうと思う』と発言しています。二階幹事長との会談後、二階幹事長は『もう、撃ち方やめだ。しっかり協力していかなければならない』と共に言っていますが。政府・自民党、国政レベルにおいては、わだかまりはないと思ってよろしいのでしょうか?」
小池都知事
「それは向こう、あちらの話なのですが、総理、二階幹事長からは『協力を』という話でした。2020年の東京におけるオリンピック・パラリンピックが控えていますし、ここは東京都と政府が協力していかなければいけないのは、これは誰の目にも明らかですので。私も党本部と戦った、そういう記憶はないです。言葉にしても、街頭演説中というのはついつい言ってしまうものですけれども、その点は、私が申し上げたことというのはほぼないと思っています。ですから、そういう意味では、今回このような形で戦いが終わって、すっきりとお会いできたのは1つ、都民にとっても良かったかなと思っています」

都政の課題『東京五輪』
松村キャスター
「都政への課題への取り組みについて、小池都知事は都政改革本部を設置すると表明しました。本部長は小池都知事です。その下に情報公開調査チーム、東京オリンピック・パラリンピック調査チームを置くことにしています。オリンピック・パラリンピック調査チームの目的・課題はどういったものでしょうか?」
小池都知事
「招致の頃は3000億円という話が出て、その後、5000千億円、7000億円と」
反町キャスター
「総額ですね?」
小池都知事
「総額です。それが、ドンドン膨らんで、最近は兆円単位で語られるようになって、さらに新しく5種目が東京オリンピックのために、パラリンピックのために、加わるということで、膨らむ材料ばかりですね。それを今度は、都がホストシティだからという話ではありますけれども、しかしながら、都民の皆さま方の納得感が必要ですね。ということから、なぜそうなのかということをこの都政改革本部の下に、アジェンダごとにチームを設けていこうと思っていまして、喫緊の課題としてこのオリ・パラ調査チームを設け、これが納得いく積算になっているのかどうかというのを、第三者の目も入れて行っていく。既に舛添さんの時代からも、それは行っておられるのですが、まだ、納得感に近づいていないと思います。都庁からすれば、もう削ったのにという想いもあるでしょう。しかし、都民の皆さま方には、疑問がついていると思うんですね」
反町キャスター
「東京オリンピック・パラリンピックに向けた都の負担ですけれども、2013年、招致を決めた時には、要するに、都の負担というのは新設する10の施設の負担で総額は1538億円ですと、これがスタートラインだったはずです。ところが、2年後の2015年には10はちょっと多い。それを7つに減らしても、でも、総額で2200億円ぐらいかかるねと。さらに新国立競技場の一部負担をするので、これがたぶん400億円ぐらいですけれども、これも都が負担してくださいねと。さらに金額がわからないですけれど、仮設でつくるはずだった、組織委員会の負担であるはずだった有明の体操競技場も、これも都がつくることになりましたよと。この時点で1538億円が3000億円ぐらいになっているはずですね。もっと超えているかもしれない。さらに今年で言うと、追加競技5つ。野球は既存の施設を使うにしても、スケボー、クライミング、あとサーフィンですか。サーフィンは、本当は東京ではないので…」
小池都知事
「千葉ですね」
反町キャスター
「でも、もしかしたら東京も少し負担をしてくれというふうに。これも、組織委員会からの依頼でいくらか負担をするかもしれない。合計1538億円で始まったはずの都の負担が5000億円を超えるかもしれないぐらいの印象を僕らは受けるんですけれど」
小池都知事
「よく国の予算の時も最初に各省庁がぼんぼん出してきて、あとで削るわけですね。だから、主計が必要ですよ。言い値の部分と、それから、ここは要る、要らないというのをやらなくてはならないと。そのことを私は東京都として、責任ある身としてそれをやっていかなければならないと思っています。それから、いろいろ話を聞いていると、これはIOC(国際オリンピック委員会)の規則だとかIOCからの要請だと言うんだけれども、IOCのどこなのよというのも精査をしないと、どこか他にこういう要請がありますからということで膨らんでいる可能性も多いにあると思っていますので、そこは外部の専門家の方々の目も通して、都民の皆さんが最後に納得していただけるというところまで持っていけるようにしたいと思いますね」

都政の課題『情報公開』
反町キャスター
「情報公開調査チームというのもあります。2つに分けたうちのもう1つですけれども、この目的は何ですか?」
小池都知事
「都政がいつ、誰がどこで何を決めたかということと、いくらかかったかというお金の問題にもなります。これまでオンブズマンの全国調査で、不名誉なことに東京都というのは47都道府県のうち43番目だと言われてきているんですね。いろいろといくつか精査をすれば、かなり上位に上がる可能性もあるのですが、透明性を持たせることが、失礼な言い方だったのかもしれませんが、私はブラックボックスということを言っていましたので、ブラックボックスの中にいる方は何がどこにブラックボックスがあるかわからないということもあります。それから、都政の透明化ということによって、都政の信頼性というのを増していかなければいけない。オリンピック・パラリンピックも同じことですね。たとえば、北欧の国々などは二十何%も消費税に当たる税金を取っていて、だからこそ、タックスペイヤーに対して透明性というのをすごく確保していますでしょう。それで信頼が高い。ですから、そういったことを考えれば、都政の信頼性を高めるためには情報公開というのは切り札になってきて、それによって様々な問題点なども結局出てくるであろうと。ただ、それによって第三者の目も出るんだけれども、多くは建設関係の業者が自分の業者関係の人がチェックするだけ。今回、私は都知事選を戦わせていただいて、都政に対する関心は無茶苦茶高まったと思うんです。国政に対してはメディアも厳しいし、政治資金の規制法とかってあるけれども、都政はないですよね。だから、今回ファッションチェックも結構なのですが、私の何色着ていたとか。都政チェックを是非、皆さんでやっていただくように思っていて」

自民党との関係&都政の課題
反町キャスター
「同士として選挙を戦った若狭さん。国会議員というより検察官みたいなイメージ」
小池都知事
「検察官というか、検事そのものですよ」
反町キャスター
「副知事に名前が挙がっているとか、自身も、そもそも役割がそういう仕事であるかもしれないと、昼間のテレビで言っていましたけれども、若狭さん、副知事登用あるのですか?」
小池都知事
「現在ご本人はやる気満々。だけど、現在、大事な議員バッチをつけておられますので、その役割というか、プロフェッショナルリズムを、私は是非、また選挙でも盟友でしたから、これから私は都知事として若狭さんに国会の方でもがんばっていただくと同時に、スキルをこれから進める都政改革本部の方で助言していただくという形で是非お願いをするかなと」

小池新都知事に言いたい事、聞きたい事
反町キャスター
「視聴者からの質問です。『自民党都連のホームページで小池知事と若狭議員の氏名が削除されているという指摘がありますけれども、どのようにお考えですか?』とのことですが」
小池都知事
「だから、これを誰が、いつ、どう決めたかというのが、ブラックボックスだと言っている、その象徴の1つではないでしょうか」


後編

日中韓女性論客『舌戦』『稲田朋美防衛相』
松村キャスター
「まずは一昨日、安倍首相が発表した内閣改造ですが、この中で、中国、韓国メディアが反応したのが、保守色が強いとされる稲田朋美さんの防衛大臣就任でした。孫さん、中国では稲田さんの防衛大臣就任、どのように捉えられているのでしょうか?」
孫氏
「ちょうどその間、私は中国にいて、テレビから新聞まで全部それが報道され、すごく関心度が高くて、1番心配をしたポイントは彼女の右翼性ですよね。安倍、タカ派で、右翼の政治家で、戦争が好きというポイントというような彼女の発言で『戦争は、人類の魂の進化の最高の宗教活動』ということも報道されている。中国の、中国新聞社で書いた記事の中でこう書かれています」
反町キャスター
「戦争は、魂の最高の宗教活動?」
反町キャスター
「それを僕は聞いたことがないですけれど。今度、本人に確認しますよ。えらいことですよ。本当にそんなことを言っていたら」
孫氏
「それは怖いですね」
金教授
「稲田さんというのは、実は韓国ではちょっとした有名人でして、2011年に実は、新藤議員と一緒に竹島訪問を試みて、ウルルン島に行って、結局、入国の許可が下りずに戻ってきたということがありました。慰安婦を巡っても様々な強行発言などでメディア的には女性版安倍首相であると報じられています。それだけ安倍首相と考え方や人間関係においても親しいということですが。ただ、問題は韓国政府としてはなぜ敢えてこの時点で防衛大臣に稲田さんを充ててきたのかという戦略を読み取るということですよね。となると、安倍首相とそれこそ阿吽の呼吸であるとするならば、今後、国内的には改憲に向けての動きがある一方で、日本と韓国、あるいはアメリカを含めた防衛協力というものも、非常に重要な課題になっているわけですよね。GSOMIA(軍事情報包括保護協定)もそうですけれども。そういう交渉の場で、安倍首相と稲田大臣が役割を分担しながら、硬軟織り交ぜて、交渉に臨んでくるという。いざという場面では強硬な発言も辞さないという役割を彼女にもある程度、期待をしているのではないかと見ています。韓国としては、いずれにしても国内世論の反発というものは強いわけですから、日本との防衛協力はなるべく静かに進めたいというのが現在の政府の本音ですけれど、そこに何らかのノイズが発生するのではないかという意味で、決して歓迎するべき人事ではないというのが率直なところでしょうね」

『慰安婦問題』の行方
松村キャスター
「新たに防衛大臣に就任した稲田氏が、政調会長時代から強い関心を寄せているのが慰安婦問題も巡る日韓合意の行方です。この問題では、昨年末の日韓合意に基づいて先週、韓国政府が元慰安婦らを支援する団体を設立しました。名称は、『和解・癒やし財団』に決定しています。元慰安婦の生活支援や記念館建設などの追悼事業を行います。金さん、財団発足時に反対派が妨害するなど順調な船出とは言えないと思うんですが、世論はどのように捉えているのですか?」
金教授
「一部の市民団体の非常に根強い、特に若者を中心とした激しい抵抗という世論はあります。しかしながら、全体的な世論というのは、最新ですと5月ぐらいですか、依然として3対1ぐらい、大きく変動はないというような形ですね。問題は、朴槿恵政権のその財団と事業遂行の意思ですけれども私は日韓間の間で十分確認がとれていると思います。朴大統領が、自分が自らの任期内にこの財団の事業を完成させると。現在、懸案となっているのは財団を7月29日に正式に発足したわけですから、今度は日本からの、いわば拠出金10億円。これがいつ来るのかという話ですけれど、今日のニュースだと思うのですが、今月の9日、ソウルで局長級会談が慰安婦合意後に初めて開催されて、その場で拠出金の支払いの時期、財団の事業の内容の確認、調整などを行うということですから、いろんな抵抗の動きがあっても、韓国政府としては粛々と進めていくだろうと見ています」
反町キャスター
「進めていくうちにだんだん韓国国民の間に、今回の日韓合意に対する反発とか批判とかも収まってくると見ているからやっているのですか?」
金教授
「事実上、実は4月に、韓国で国会議員選挙があって、合意後の4月の選挙ですから。そこで相当、何か慰安婦問題に反対するのではないかと、皆さん最初は予想されたのですが、いざ選挙の時も、それは大きな話題にはならなかったんですね。もちろん、野党の一部で再交渉が必要だというようなことを不規則的に発言するケースはありましたけれども。それは討論として、正式な対応をするというような動きは出ていない。これは国と国の約束なので、野党が今後、政権を獲ったあとの現実を考えると、この問題をこれ以上こじらせても政治的にはあまり韓国にとって利益はないと。ただ、問題は韓国の国内に依然として挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会)と共に行動をとる13名の方々。現在、42名、そのうち39名が国内にいらして、13名が挺対協と一緒にいる。この方々が非常に頑なに拒否の姿勢を示しているんですね。彼女達に対する根強い説得、韓国政府としての誠意、それをどこまで見せていけるのかというのが、日韓の合意とは別問題として、今後韓国が考えていくべき問題だと思います」
松村キャスター
「昨年12月の日韓合意による日本政府の財団への10億円拠出、ソウルの日本大使館前にある慰安婦少女像の撤去がどうなるかということですが。久保田さん、与党内には少女像撤去が確約されなければ、10億円出す必要はないという声もあるんですけれども。どう考えますか?」
久保田氏
「稲田さんもそうおっしゃいましたよね。これは、日韓合意というのは政治的決着なわけですよね。だから、韓国側にも不満はあるし、日本側にも不満があって、韓国側はなぜ賠償ではないのかというところですごく不満があるわけです。日本側は慰安婦像の撤去について明文化されたりしていないではないか、ましてや最初に撤去をしなければ、10億円を出すのはまずいということがあったり、両方に不満はあるわけですけれど。では、ゴールはどこかということになると、それは決着をして不可逆的にこの問題を解決するというところでは、朴槿恵さんの意志も硬いし、安倍首相もそれでやりたかったということなので、出口でその像をやるべきなのか、どうなのかというのは、私は入口でやらなければいけないということではないと思うんですね。この問題の90%以上は韓国の国内問題なわけですよ。韓国から聞こえてくるのは早く拠出金を出してくれと。そうしなければ一歩も進まない。つまり、お金を出して10億円の3分の2ぐらいを使って、その43人の方々だけではなく、238人が認定されている、遺族の方々にもお金を出すと。だから、たぶんそれに6億、7億円を払ったうえで、あとの3億円で、その後の未来に向けて、たとえば、記念館をつくるとか青少年を何とかする教育をするとかというところに使うには、まずそのお金がないと進まないと。それがないと国内世論も動かないということで、向こうから早くお金を出してくれという声が聞こえてきて、それを聞いた自民党の一部の人達は、何だという話になっているわけですよ」
金教授
「おっしゃる通りです。ただ、10億円というのは結局、韓国にお金がないから動けないのではなくて、そもそも日本が出すお金に意味があるわけですから。それがちゃんとくるのかということに対して、一部のメディアは懸念を向けているのですが。おそらく、同じ意見だと思うんですけれども、日本政府は来週の局長級会談を通じて今月、あるいは来月中のなるべく早い時期に拠出するという方針を決めると思います。と言うのは、その少女像に非常にこだわる日本の中の一部の政治家の発言、あるいはメディアの報道もありますけれども、合意の内容を見ても実際その少女像が本質ではないわけですね。そこはお互い信頼のうえで韓国も誠心誠意を尽くす。ただそういったことから非常にやりにくくなったのも事実ですけれども、しかしながらここでもし仮に日本が少女像を理由に拠出金を出さないとなると、これは責任論がそのまま日本側に返ってきますので、日本としてもこれは早く拠出金を出して、少なくとも不可逆的な解決というのはあくまでも政治的に、日韓の間の政治的には不可逆的かつ最終的解決したいというこの想いの方が強いだろうと思います」
久保田氏
「でも、ちょっと申し上げたいですけれども、少女像とは言わないで、我々は慰安婦像と言うんですけれども、あれが本質ではないのではなくてあれは本質ですね。なぜかと言ったら、日本大使館の前にウイーン条約に違反する形で建てられて、大使館を移動していますからね。大使館は実際ないですけれども、非常に我々としては不愉快極まりない話で日本国民としては皆、怒っているわけですから。あれはシンボルであって、日本にとっては本質的な問題の1つで、もっと外国にはたくさんあって、放っておけば50体だの100体だのできそうなことですけれども、その中で大使館の前の像を移動するというのは我々にとっては重要な問題ですよ。だから、そこはちょっと韓国側の意見と、日本側の見方は違う。先ほど申し上げたみたいに政治決着なので、それぞれ思惑は違うんですね」
反町キャスター
「久保田さん、そうすると、像が動いていない段階で、日韓合意で動かすことが条件になっていないのだから、10億円と像の移動はバーターにはなっていないですからね。約束通りにやるのであれば、10億円を払わなければいけない。これは理屈上わかります。では、先に10億円を払ってあとは韓国の動きをずっと待つ。これが日本のとるべき道だと。そういうことでよろしいのですか?」
久保田氏
「簡単に言うとそうだけれど、実際はそうではなく、きちんとした国家同士の約束なので、それは朴槿恵政権がやるべきことです。先ほど申し上げたかったのだけれど、これは時間制限があって、朴槿恵政権で枠組みの中にちゃんとボールを入れないと、次の政権で、またチャラになっちゃう可能性があるわけですね。1年半ですけれども、来年の夏になると大統領選挙でぐちゃぐちゃになっちゃいますから。今年中に、お金の話を全部決着つけて、来年慰安婦像を含めての事後措置というのをやらないと間に合わないですよ」

中国『海洋進出』の行方
松村キャスター
「ここからは中国の海洋進出についてです。オランダハーグの仲裁裁判所は先月、中国の南シナ海における海洋進出について判断を下しました。中国が南シナ海に設定した九段線には歴史的権利を主張する法的根拠はない。スプラトリー諸島には、島はなく、EEZ(排他的経済水域)を主張できないとしています。これにより中国が進める人工島造成等の正当性が国際法上は認められなくなったわけですが、中国のメディアはこのように反発をしています。孫さんが所属しています環球時報は『事前に人々が予測した中で最悪で最も恥知らずな内容になった。中国が歴史上、スプラトリー諸島に形成してきた領土主権と海洋権益の主張を横暴に否定し、南沙とスカボロー礁における実効支配を根底から覆すものだ。あまりにもばかばかしい』と報じています。中国は国連海洋法条約を批准していますが、仲裁裁判所が下した判断を無視することに政府は矛盾を感じていないのでしょうか?いかがですか?」
孫氏
「いや、感じないわけではないですけれど、中国にとっては南シナ海の問題はどうしても触らなければいけない問題ですね。今日、香港に出ているメイホーという報道から見ると、習近平氏が秘密の内部談話で話した南シナ海問題は、私達が現在やらないと、将来は歴史資料しか残されないようなことになるということで、現在から行動すると少なくとも現在の状態を保つことができて、論争できる状態になるということ。この言葉を取り上げるというのは、私から見ると中国政府としては危機感ですよね。やらないと東シナ海に中国は何もなくなるという危機感から、ちゃんと守れるものを守ろうという姿勢から、こういう強硬な話をし、姿勢を見せている。その強固さのもう1つは中国国内向けでもあると私は思います」
反町キャスター
「そうすると、いくら国際仲裁裁判所が何を決めようとも、国連の国際的な世論にいくら何だかんだと言われても埋め立ててしまった島は渡さないよと。つくった飛行場は最後まで使うよと。撤退はあり得ない?」
孫氏
「あり得ないですね。何でそう言うかというと、それまで中国は一応、主張は強いですけれども、実際は実効支配できる部分でしか、建築とか、いろいろ活動をしていないということで、だから、自分が実効支配できるところでやめろと言われてもやめるはずがないです。それはやめられないです、中国のこれまでの経済発展にふさわしい形で、これまで中国は国力も弱いし、船もないし、海軍もないという状態でずっとこういう改革開放まで堪えたんですよね。それも1970年代、1980年代初めと。だけれども、1980年代までに日本も、アメリカも、他の南シナ海の他の国も全部自分の海域とか、EEZとかを決められたんですよね。でも、中国はゼロだったんですよ。だけれど、これから海洋戦略を実行しなければいけないということで、だから、絶対にやめることはできません」
反町キャスター
「今回の国際仲裁裁判所の中でも、スプラトリー諸島に関しては、中国は何ら歴史上紐解いても、そこに領有権を主張する根拠はないという判断が示されているんですけれども、一方、中国側はその部分は歴史上、ずっと我々の島だったと言っていますね。ここはどういうことですか?漁民が生活していたことがあるとか、その周辺で漁業をしていたというような、そういうことでそこは全部中国の島だったと言っているようにも聞こえるんですけれども、どう見たらいいのですか?」
孫氏
「それは、詳しい資料はこれから政府がウェブサイトをつくってそれを国際社会に提供しようとしているところで。中国の保有は島5つですよね。ベトナムは力で二十何個の島を獲っているという状態です。昔のことを考えると、中国は現在から、たとえ、それが違うとしても、ちゃんと守らなければいけないという状態。つまり、状態から言うと、ちょっと日本の尖閣諸島と同じですよね。日本が実効支配しながら、日本の固有の領土だと言っていますよ」
反町キャスター
「埋め立てて、滑走路なんかつくっていませんよ、我々は」
孫氏
「でも、沖ノ島は自分の島だと言っているんですね。自分の国家利益に関わることになる。日本も活動家がやっているように国際判断に全然従わないような状態にもなるということは、それはどちらにしても中国としてはいろいろ考え方とか、進んだ理念の距離から見ると、どうしても現在の国際法に完全に従いなさいと言われても、従う状態ではないとは私は思っています」
反町キャスター
「もう1つ、スカボロー礁が焦点になっています。フィリピンのすぐ横で、ここは要するに中国も領有権を主張しているのだけれども、ここのところの周辺は、まだ全然埋め立てが進んでいなくて、中国がこの周辺にまで浚渫船や砂を運びこんで島を埋め立てて滑走路をつくり出したら、これはフィリピン、並びにフィリピンに軍事展開しているアメリカは黙っていないぞと皆見ている部分もあるんですけれど、スカボロー礁に向けては、実際に実効支配していないにもかかわらず、中国はここの部分もこれからやっていくつもりでいるんですか?」
孫氏
「そこは現在の中国の状態から見ると新しい動きをするにはすごく難しい国際環境にあると」
反町キャスター
「ここまで騒ぎになったから、これまで埋め立てた分は絶対、ここから一歩も撤退しないけれども、新しくやったらまたいろいろ言われるから、これはやめようね、こんな塩梅で世の中を見ているということですか?中国は」
孫氏
「中国の南シナ海を見る時に、二面性を是非見ていただきたいんですよ。つまり、強さは国内向けですね。でも、本音としては国際社会と仲良し、連携をとりたいです」
反町キャスター
「周りの国と仲良くしたかったら、こういうやり方をしないのではないかなと思っているのですが」
孫氏
「違います。この裁判の前に、習近平主席はある国の指導者に直接、南シナ海問題の自分の立場、考えを述べたんですね。その中の最初の言葉、すごく強いですよ。絶対、中国は南シナ海の権利を放棄しないと。だけれども、最後の言葉をちゃんと見なければいけない。南シナ海問題は、両国の間で交渉をしなければいけないけれども、平和的な方法で解決しなければいけないと。習近平さんの本音はそこにちゃんと見ないと。だから、基本的には中国が孤立して国内問題で大変です。経済も大変です。つまり、平和的な国際環境は中国にとっては死活問題です。だから、国際社会と協調を保ちながら南シナ海の権利を獲得したいというのが現在の中国だと私は思います」
反町キャスター
「久保田さん、中国の二面性をどう感じますか?強さは国内向け。国際的には実は仲良くしたいんだよと」
久保田氏
「二面性というのだったらば、覇権主義と大国、この二面性ですよね。だから、覇権主義というのはドンドン拡張主義ですよね。大国というのはその昔、G2がありましたけれど、アメリカと対等に国際社会を生きていくという。その両方を追求したいけど、南シナ海は覇権主義ですから、大国として国際海洋条約に入っているにもかかわらず、今回の裁判の裁定は受けないのかという、ここが矛盾になってしまうということですよね。先ほど、孫さんのおっしゃった最後の習近平さんの言葉というのは、その中で彼らは、ASEAN(東南アジア諸国連合)もそうでしたけれども、二国間で解決をしようというのが、彼らのポイントです。二国間で解決しようと言うと、たとえば、耳障りは良いのだけれども、要するに、力で抑え込むということ。切り崩しをする。ASEANを切り崩す。だから、共同宣言にも入らなかったわけですね。というのが彼らの選択であって、そこで何とかしようとしている。でも、国際社会では、確かに強制力はないけれども、拘束力はあるわけですから、彼らは非常に困った状況に陥っているということですね」

中国『沖縄独立論』
松村キャスター
「環球時報の社説に『日本が中国の台頭を破壊する急先鋒となった場合、中国は実際の力を投じて沖縄地区に、
「琉球国復活」
勢力を育成すべきだ。あと20年~30年後に中国の実力が十分に強大になりさえすれば、これは決して幻想ではない。日本が米国と結束して中国の将来を脅かすのなら、中国は琉球を日本から離脱させ、その現実的脅威となるべきだ』とあります。これについては?」
孫氏
「言葉的には過激に見えますが、中国の本音としては、もし沖縄が独立するのなら、支持しますと。独立したら喜ぶというのは事実です。だけれども、企んで積極的に支持することはないです。なぜ中国が沖縄独立を喜ぶかというと、そこが中国の海洋進出にとって大事なところです。そこに日本の自衛隊だけではなくてアメリカの基地があって、中国の本当の相手はアメリカです。沖縄が独立すれば、米軍基地もなくなって、中国にとっては安全ということで、喜ぶ。覇権主義とか、そういうことを中国が考える余裕はないです」
久保田氏
「私の理解ですけれど、人民日報と違って還球時報は独立採算ですよ。党の宣伝機関としては人民日報で、還球時報は自分で採算をあわせなければいけないから面白い記事を書かなければいけない。そこには膨らし粉が入っていて、それが全部中国の本音かと言えば違うのではないかという気がします。そうかと言って無視するというのは裏にそういう野望がないわけではないけれども現実的ではない。そこで日本を揺さぶりたいということであって、これは日本からすればあり得ない話であって、還球時報がこういうことを書いたからと言ってあまり正面から孫さんをいじめるのはちょっとかわいそうかなと」

金慶珠 東海大学教養学部教授の提言:『多層的思考』
金教授
「日中韓の東アジア共同体の話、あれも重要な1つの視点ですし、一方で日米韓の安保的協力というのも重要な1つの課題です。東アジア地域を考える時に多層的な観点、安保的な視点だけではなくて、社会をも含めた中長期的な交流の通路を構築する努力も続けるべきだと思います」

孫秀萍 環球時報特約記者の提言:『理解と寛容』
孫氏
「日本は中国を見る目、理解をもっと増やして、もっと寛容的に中国の問題を見ていただきたいということです。中国も同じくもっと日本のことを理解していただきたいということです」

久保田るり子 産経新聞編集委員の提言:『日米同盟強化』
久保田氏
「東アジアの安定という、国際秩序を守るという意味では日米が共同して対処すべきだと思います」