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2016年7月29日(金)
28兆円『新経済対策』 日銀の追加緩和あるか

ゲスト

片山さつき
自由民主党総務副会長 参議院議員
大塚耕平
民進党政務調査会長代理 参議院議員
永濱利廣
第一生命経済研究所首席エコノミスト
小幡績
慶應義塾大学准教授

アベノミクス『新局面』 28兆円経済対策&追加緩和
松村キャスター
「今日決定された追加金融緩和、日銀の量的、質的金融緩和ですが、2013年4月に初めて行われました。その後も第2弾、第3弾と追加緩和を続けてきましたが、今日、決定されたのは第4弾です。株価指数連動型の上場投資信託、ETFの買い入れを、現在の3.3兆円から6兆円に倍増するということ。変わったのはここだけで、その他要素については据え置きという形になりました。小幡さんはマーケットの動きをどのように見ていますか?」
小幡准教授
「私は、日銀が自ら実態経済を誠実に支えるという役割を捨てて、株価だけを支える、投資家のためだけに、あるいは投機家のためだけに存在する。投機家は喜ぶんですよ。乱高下したら、普通の株式投資家は困るではないですか、乱高下するだけでも。投機家はチャンスですね。何か動いてくれれば、上がったり、下がったりするのは取引のチャンスですから。だから、単なる投機家支援をしたというだけなので、これまで日銀の緩和にずっと反対をしてきましたけれども、今日が1番悪い緩和だと思いますね」
永濱氏
「今回のポイントの1つとしては日銀が珍しくと言いますか、政府との協調姿勢を打ち出してきたというのがあると思うんですけれど、ここはおそらく政府があれだけ大規模というか、中身はそうでもないですけれど、経済対策を打ちだしてきたことによって、まずゼロ回答はできなかったのかなと。もう1つ、今回の結果の特徴としては、これまでマイナス金利で、非常に批判を受けてきた金融機関に非常に配慮をした内容だったのかなと。具体的には、マイナス金利の深堀はしなかった一方で、ちゃんと株は買い支え、かつドル資金調達の拡大とか、このへんもやってきて、そういった配慮をしたところがあると思います。もう1つのポイントは、次の金融政策決定会合までに、これまでの金融政策の効果を総括的に評価するということを打ち出してきたので、市場関係者にはよくわからないと、ポジティブに評価と言いましょうか、期待する向きもあれば、もしかしたらテーパリングとかのきっかけになるのではないかなと見る人も当然、いるわけで。そのへんのところが、思惑が交錯して、これだけ乱高下したのではないかなと思います」
大塚議員
「マーケットはヘリコプターマネーと最近、話題にしていますからね。政府が日銀によってファイナンスをしてもらっている。財政ファイナンス状態に現在なっているんだけれども、それを公式に認めるかのごとくの政策に、日銀が踏み込むかどうかというところが評価の分かれ目だったんです。だから、たとえば、日銀の持っている国債の一部を永久債化するとか、それから、もっとより明確に財政ファイナンスやらざるを得ないというようなメッセージ伝えるのか、伝えないかというところを見ていたので、それに比べると、マーケット的には物足りなかったというのは率直な評価だと思いますよ」
片山議員
「私は今回、黒田総裁らしい、リアルとバランスを考えたのかなと。日銀の中にも、あるいは経済界、産業界にも現在の超長期国債がゼロパーセント近くまで下がってしまっている状態。今日、ちょっと上がったけれど、これは、要するに、長短スプレッドが取れないから、永濱さんのところは生保ですけれど、ほとんど運用できない。金融機関はどうやってこれから中長期生きていくのかという状況になっている中でも、そのへんをいじらずに、私は株価は経済のバロメーターだと思っているので、株価を安定させるための需給緩和をさせるということを日銀は随分前に踏み切っているわけですから。経済対策の一環としてやるというのは、私は、小幡さんとは違うので、ポジティブだと思っていて、政府の経済対策を右の矢とすれば、こちらは左の矢として協調するという意味で、やった中では1番弊害が少ない。つまり、これ以上、たとえば、マイナス0.1の手数料を現在、払っている部分のプラス預金はどのぐらいあるのと今日、日銀の幹部に聞いたら二十数兆円。ある一定のセクターに偏っているわけですよね。そこの損失をそれ以上、上げるわけにはいかないではないですか。だから、0.1はなかなかいじれないよねと。国債の方は、だんだん玉がなくなってくると。今回、すごく目立っていないですけれども、金融機関向けの、ドルオペの担保の国債を、日銀の当座預金見合でいいよとしたわけですよ。現金でいいよと。つまり、国債が手当できなくなって。これだけの低金利で、アメリカは今回、金利を据え置いたけれども、金利差があるわけだから、ドル転、円ドル転の需要はすさまじくて、そこにある程度チャンスもあるわけで。これもスムーズにできるようにやったという意味では、地味だけれども、そちらは非常に評価される。すごくリアルだと思いますよ。地味かもしれないけれども」
反町キャスター
「その結果、でも、たとえば、今日の結果を、株価は92円、円高もまた102円ぐらいだったですよね。この結果はどう見たらいいのですか?」
片山議員
「円高の場合はもちろん、今回、FRB(連邦準備制度)の方がイギリスの離脱リスク、私はないと言っていないと思うんですね。見極めもあると思って、利上げは見送っているわけですね、今回。少なくとも秋以降ですよね。利上げの環境は見たいんだろうけど。さらに、日本が何かをやってもっと金利差が拡大するだろうと思って張っていた人がいっぱいいるわけです。だから、そうではなかったので、いったん102円になったけれども、今後の経済対策を見ながら、落ち着いてくると思うのですが、むしろ世界的にリスクが高まっている中で、最も治安状態も今のところ良い我が国に危機からの逃避で円に来てしまうという流れはどうしても中長期であるので、いずれにしても、円高になりやすいのをこれからどうやって止めるのかなという感じですよね。」
反町キャスター
「とは言っても、円高を止めるだけの有効な策というのは、現在の日銀も政府も打ちにくいということではしょうがないということでよろしいですか?これだけ、28兆円も打って、今日、これだけと言っても、派手な一手は打たなかったですけれども、こういう形で連日やっておきながら、円高には歯止めをかけられない?」
大塚議員
「反町さん、為替との関係でいうと、財政の動きと金融の動きは、ブレーキとアクセルを両方踏んでいるような状態です。財政出動が効くと思えば、これは日本の景気が良くなるから、円高要因ですよ、現在は。ところが、片方で、金融緩和も期待しているので、金融緩和が効くと思えば、これは円安になります。だから、今回の102円に行った動きというのは、財政出動が効くと思って円高になったのではなく、金融緩和を期待していたんだけれど、結局、期待ほどではなかったので、円安に行かずに円高に行ったということで、金融と財政のマーケットに与える影響というのが、コントラストができちゃっているので、非常に評価が難しいと思います」
反町キャスター
「大塚さんの話だと、昨日発表、正式な発表はまだですけれども、28兆の景気や経済対策や、その翌日に日銀の発表というのは、今日打った金融緩和というのは、為替に対してという意味から言うと、逆張りしているという話になると、先ほど、永濱さんも言われましたけれども、政府と日銀の協調姿勢が示されているという部分をどう感じていますか?」
大塚議員
「為替というベンチマークから見ると、実は整合的ではないですよ。そのへんが体系的に整備されていないです」
永濱氏
「逆張りというか、まさに、それは変動相場制下のマンデルフレミングモデルという。要は、財政政策を、変動相場制の下で財政政策をやると、クラウディングアートと言って、いわゆる金利が上がって、設備投資を抑制して自国通貨高になってしまうので、変動相場制で財政政策の効果を効かせるためには、金融政策を合わせて、金利上昇と為替の円高を抑えるという、両方をやれば、効果が出るということなんですよね」
片山議員
「だから、合わせ技ですよね」
反町キャスター
「黒田さんが言っていた『政府の取り組みとの相乗的な効果を発揮することを考えている』と。たとえば、為替に関しては、政府の政策がうまくいっちゃったら、もしかしたら円高に振れるかもしれないけれども、日銀の方で何とかバランスとりたいよと。そういう意味だったいう、前向きに言えば」
永濱氏
「なんだけれども、たぶんマーケットの見方としては、もうちょっと少し期待をしていて、具体的に言うと、要は、政府と日銀の協調姿勢をもうちょっと見たかったと。具体的にはどういうこと期待していたかと言うと、50年債、ちょっとマーケットと離れているとおっしゃいましたけれど、もうちょっと日銀が保有している国債のディレーションを伸ばすとか、さらには、一方で、財投債…」
反町キャスター
「50年の国債なんて、本当に出て、売れるのですか?」
永濱氏
「だって、金利がつかなければ、売れる可能性は十分にあると思います」
大塚議員
「売って、すぐまた日銀に転売をするのだから。そういうことを皆、期待して、とりあえず買いますから、売れますよ」
永濱氏
「逆に、50年債を出さなくても、たとえば、日銀が新たに政府保証債とか、財投機関債みたないものも枠を広げて、買ったりすれば、将来的な政府と日銀の協調の強まりみたいなものの期待で、おそらくもうちょっと円安が進んだと思いますけど」
松村キャスター
「来週火曜日に閣議決定される新たな経済対策について聞いていきます。こちらに概要をまとめました。まず財源です。国・地方の財政支出が、真水が7.5兆円程度。政府の信用で借りた資金を貸し出す財政投融資が6兆円程度。財政措置は合計で13.5兆円程度です。それに、政府系金融機関による融資などを加えまして、事業規模は28.1兆円となっています。経済対策としての事業規模は、過去3番目ということですが」
反町キャスター
「片山さん、今回の中身28兆円。その財政措置というのは全部で13.5兆円という、極めて巨額ですよね。この13.5兆円というのを我々どう受け止めたらいいのですか?」
片山議員
「我々が政権交代して、民主党時代に、本当に脱ダム宣言で、公共事業は悪で、そうは言っても、地域の経済には最も効果のある部分が5兆円ぐらいまで減ったところで、平成24年にやった経済対策ほどではないけれども、平成26年のものよりは大きい。おそらく補正予算としては4兆円レベルかな。それに、復興特会の5000とかが乗るから4.5兆円ぐらいかなと」
反町キャスター
「財政規模が4.5兆円だという意味ですか?いわゆる僕らの言葉で、真水が4.5兆円ぐらいになるだろうと。こういう理解でよろしいのですか?」
片山議員
「真水には当然、地方の支出が入るから、それに1.3兆円が加わり、あとは平成29年度のものが若干入ってくるということです。これは、国民が現在、1番ご関心がある、保育や介護の環境整備は4月からですから、給与を上げるとか、改善は。そういうものが入ってくるけれども、補正予算はおそらく4兆円、一般会計では4兆円レベル。建設国債のパーツの方が多い中、2兆円台後半なのか、3兆円いかないのか。本当に死にもの狂いの努力で、かき集めてきていると。国債費の減額ですとか、あるいは熊本の予備費を積んでいましたけれど、執行できていないものが予備費落とせますから。そういったもの。あるいは雇用特会の見合い費とかね。いろんなものを集めてそこまでもってきたと」
反町キャスター
「その結果、28兆円の事業規模で言ったら、財政措置の13.5兆円の規模で聞いた方がいいのかもしれませんけれども、その13.5兆円というお金が普通、景気対策と僕ら聞くと、補正予算でやりますと言ったら、今年度中に、来年の4月までに、全部、いろんなところに打つ、いわゆる景気対策とか、補正予算になるのかと思っているんですけれども。そういう意味ではないですよね?どれかは年内に?」
大塚議員
「それは大事なポイントで、まず財政投融資の6兆円でやるインフラ投資は、複数年度にまたがるわけです。それから、一億総活躍の保育とか、それはいいことだけど、これは来年度の予算に計上されるので、今回やるわけではないです。だから、そのへんも結構マーケットも見ていますから、だから、28.1の財政措置13.5と言うけれども、短期的にそれだけのインパクトはないよねということは皆がわかっちゃっているわけですよね」
片山議員
「その意味も含めて、たとえば、介護で、あるいは保育で、都会部と地方で、人材の偏在が起きないようにとか、いろいろなことを考えて、どういう保育士のお給料をどのぐらい上げていくかというのを今から詰めていくと、それはいつから上げられるのと言ったら、普通、来年度ですよね。そういうことを考えるのと、それから、リニア、着工が始まっていますけれども。今回、超低金利の恩恵を享受してもらうために、新しい法律も出して、借り方をつくらなければいけないから法律を出してやらなければ、JRは民間会社ですから。それができて、来年から、補正で1.5兆円借りて、来年1.5兆円を借りると。1年、1段階、2段階と。奨学金も今の、いわゆる学生支援機構の奨学金は財投ですから、9000億円。これをすごく超低金利にするんですよ。0.01という考えられないぐらいの。そういうものも入れていくと、すぐできるものもあるわけですね。そちらの方が割と早くできるかもしれないし。だから、何年間かかるものも遅らせようとしているのではなくて、まともに執行していこうとすると、段階を踏むんですね」
反町キャスター
「13.5兆円の財政規模で、事業規模が28兆円。どのぐらいすごいのかがわからないうちに聞いていくと、今年やるのはあまり多くないらしいよと。半分か3分の1ぐらいではないのという、このへんのところから、まずわからなくていろんな人に聞いていたと、こういう段階ですけれども、マーケットというのは、今回の経済対策というものをどう評価していますか?」
永濱氏
「これは、財政規律を重視する派からすると、評価が高いです。なぜかと言うと、要は、赤字国債を発行しなくて、かつ複数年度でやるわけですから財政の崖みたいなものが出ない可能性が高いわけですね。ただ、一方で、私は、日本経済の最大の要因は、需要不足だと思っていて、景気が悪いと思います。なぜ悪いかと言うと、海外の要因もありますけれども、1番大きいのは、私は消費税を上げ過ぎたということが、最大の要因だと思うんですね。それを言っちゃうとたぶんアベノミクスの失敗と言われてしまうので、言いにくいのだと思うんですけれど、そうなると、デフレ脱却という観点から見ると非常に力不足。なぜかと言うと、昨年度の補正後予算。国債費を除いて補正後予算で考えると、これから、新たに出てくる補正予算が3兆円以上出ないと緊縮財政になっちゃうんですよ。今回、たとえば、4兆円ですよね。昨年度補正から1兆円しか増えないわけではないですか。たいした効果はないですよね。そうなると、短期的な需要不足大丈夫かなと」
片山議員
「まさに、永濱さんがおっしゃる通り、需給ギャップをいくらと見るのかで、黒田日銀は需給ギャップをすごく小さめに見ていて、内閣府の方が今、数兆と見ていて、エコノミストはもうちょっと高いですよね。景気対策、マクロ的に使う時に需給ギャップを埋めるところからいかないとという議論はちゃんとうちの平場でも出ていたんですけれど、そこは参議院選挙直後の、政治的にマニフェスト対決をしたあとのものでして、我々は、赤字国債を出さずに2年半先送りした部分を一億総活躍社会でできることはやると言って、民進党は赤字国債を出してもやる。その議論が引いているのだと思います。選挙直後ですから」
反町キャスター
「なるほど。そこは岡田さんに対して、あなた、あれだけ財政規律と言っておきながら赤字国債、と攻めたことが、ある意味影響をして、こういう予算の建つけになっている?」
片山議員
「まったく、それは連続線できていますからね」
大塚議員
「安倍さんが、というより、安倍さんがそうおっしゃったので、財務省がそういうふうに組み立てているわけですよ」
松村キャスター
「続いては事業規模28兆円の経済対策の中身を見ていきたいと思います。一億総活躍の推進では、保育、育児休業給付金、奨学金などで3.5兆円程度。インフラ整備ではリニア中央新幹線、整備新幹線、港の整備などで10.7兆円程度。イギリスのEU離脱に備えた対策では、民間企業への融資や出資。中小企業の金利引き下げなどで、10.9兆円程度。熊本地震の復旧、復興では、熊本地震の復興に向けた金の創設などで3兆円程度となっています。片山さん、このように見ていくとインフラ整備、公共事業に偏っているのではないかという見方もあるのですが、いかがですか?」
片山議員
「それは、まさに今足りないのは投資及び消費で、確かに今回すごく議論になったことの1つは、いわゆるすぐ換金できるプレミアム付き商品券的なものを、今回は見送って。3次補正があるとしたら、そこに橋をかけるかという議論は残しているんですね。だけど、民間投資を誘発するような、未来への投資をしようということにほぼターゲットを絞って、経済対策のタイトルまで、未来への投資を実現する経済対策として、はっきり先見性を持って、将来投資をして、日本経済の腰を世界経済が動乱しているうちに我が国は勝ちにいこうということで、研究開発的な議論まで出ているという意味では、はっきりスタンスをとっているんですね」
反町キャスター
「とは言いつつも、公共事業に対する期待感というのがにじみ出ている、今回の対策かなと僕らには見えるんですけれども、どう感じていますか?」
小幡准教授
「そうすることを政治の世界以外では誰も望んでいないのではないですかね」
反町キャスター
「経済効果はないですか、公共事業って」
小幡准教授
「マイナスでしょう。なぜ政府がやらなくてはいけないかというと民間資金がつかないからだということですよね」
反町キャスター
「それは公共事業たるものは、そういうのはありますよね」
小幡准教授
「昔はね。新幹線、最初につくった頃とか。でも、リニアはJRが、自分達でやりますと言っているのに、いや、そういうことを言わず、政府のお金も使ってください。融資しますということで無理やり織り込んでいるわけですよね。人口の減っていく、経済の縮小していく中で、どう効率的に生き残るかという中で、インフラもこれまでつくったものの更新もままならないと。維持も難しいのに、新しいものをつくるというのはすごく時代錯誤の発想で、現在の経済構造にあっていないし、もし有権者に聞いたら、永濱さん的な発想で言えば、こんな28兆円も使う金があったら、消費税を上げたものを戻してくれとなりかねないわけですよ。財務省はそれだけはやめてくれと言うと思いますけれども、ただ、1番必要のないものを、28兆円と打ち出してやるのか、理解不能ということだと思うんですね。28兆円と言われて、有権者で喜ぶ人はいないと思うんですよ。財源、大丈夫かなと。そんなの将来また増税がくるのかなとか、財政破綻するのかなと。それでいて、何をやってくれるのかというとあまりよくわからないですよね。要は、待機児童ゼロとか、介護離職ゼロとか、そう言ってくれれば、そういう風になるのだと。むしろ効率的かどうかということで言えば、それをたった5兆円で実現してあげますと言った方がありがたいではないですか。28兆円かけてもたいして効果がないのだったら、そんなのやめて、税金を返してくれよという話になりかねないですね」
大塚議員
「公共事業全部が悪いとは僕も思いませんけれども、小幡さんが言う通り、効果があるかとよく反論される時には、それはその通りで、公共投資として使ったお金の分だけは、つまり、乗数1の世界はあるわけですよ。ところが、それを他に使えば、もっと良い経済効果が出たかもしれない機会を失う。機会費用を考えるとむしろマイナス」
反町キャスター
「もっとお金を使えて、たとえば、先ほどの永濱さんの言葉で言うなら、より需要を喚起させる効率的なお金の使い方があるのですか?」
大塚議員
「あります。中身でいうとバランス。インフラ整備の10.7を、5ぐらいにしておいて。5.7を、保育とか、育児とか、あるいは奨学金とか、教育、そちらの方に乗せたら、その見え方は全然違ってくるわけですよ。だから、そういう形で組み替えていただいた方がむしろ介護離職ゼロとか、待機児童ゼロとか言っていた。そのことに本気で取り組んだなということを含めて、メッセージ性があると思うので、これだけの予算を使ってやろうと言っているのに、ちょっと全体のバランスが残念だなという気がしますね」
反町キャスター
「今回の演説においても、安倍総理は、投資なくして成長なし、ということを何回も言っていたということは、つまり、民主党政権の時のように、コンクリートではなくて、人だと。要するに、分配を優先することによって、いわゆる川下と言われるところにお金を張っていって、そこから、需要をつくっていくという方針は、どうやら安倍さんはそういうのではなくて、公共事業なり、他の形なりで事業を起こしたりして、経済をまわすことによってというのは政党の違いと見た方がいいのか。どう見たらいいのですか?」
大塚議員
「それは、安倍さんの投資という言葉の中には公共投資と民間投資が混在しているのですが、私達は、民間投資がなければ経済成長はない、これはその通りだと思います。公共投資がなければ、成長しないのか。それはちょっと違うと思います、もはや」
松村キャスター
「さらなる財政出動をしようとしていますが、プライマリーバランスの黒字化の目標達成はどうなるのですか?」
 片山議員
「そのこともあるので赤字国債は出さないということにもなったんでしょうね。建設の場合はアセットが残りますからね、建設国債は。率直に言って状況は厳しいですよ。景気回復なくして、財政再建なしですし、二兎を追うということは、正しい目標設定だと思うし、安倍総理は信念の方ですから、まさに意志あるところに道があるの世界で、これを簡単に下ろすということはないと思うのですが、だんだん年次進行していく中で現実の経済成長、増収といったものと、どのように折り合いをつけていくか、ただ、現在は、我々は信念をもって二兎を追っているということですよね」
反町キャスター
「経済再生ケースは名目3%だったですよね?」
片山議員
「はい」
反町キャスター
「名目3%、実質2%という成長は、日本はたぶんここ20年ぐらい経験していないですよね。そういう過去20年以上経験していない経済成長を、これから日本が爆発的にやっても2020年には5.5兆円が足りないという。それでいながら、まだ2020年にプライマリーバランス(黒字化)達成という幟を下ろさない。ここはもうそろそろ撤退というか、昔の言葉で言ったら転進という言葉もあるんですけれど、何かしらのそういう新しい目印を示さないと国民というか、世界のいろんなところからの不信をぶつけられることにはならないですか?」
片山議員
「まさに今回も財政相経済相会談があったわけですけれど、日本の努力については、財政規律を維持しながら、G7、G20の中で成長役をやっていこうという努力については評価されているわけですから、そこは温かく見守っていただいているんですよ、現在のところ、マーケットの不安定要因に我が国はなっていないから。その点においてはご迷惑かけていないから。貯蓄消費、国内でまわしているから。そこから先は、ある程度、政策判断というか、政策判断イコール政治判断、今緩めることによって何がプラスなのということではないですかね」
大塚議員
「これはどこかのタイミングで、もう少し現実的な目標を再設定するべきだと私は思いますし、安倍さんの任期は確か2018年の9月までですが、それまでの間に総選挙をたぶんおやりになるのでしょうけれども、その時に場合によっては、財政健全化は進んでいるけれど、2020年はちょっと難しいので、こういうふうに目標を設定し直すということをおっしゃるかもしれないなと私は思っています。そうした方がいいとは思っています。ただ、その一方で、冒頭の方でヘリコプターマネーを話しましたけれど、あの話が片方で真剣に検討されるようになると、5.5兆円も突然ゼロにすることも可能なわけです。つまり、5.5兆円分足りないところは、日銀が永久債としてそれを買いとる、プライマリーバランス上は控除し得るのだと屁理屈を言い出すと、いきなり達成できるマジックもあるんですね。私はそれはやるべきでは当然、ないと思いますけれども」
反町キャスター
「強引な辻褄合わせをするようになったら、アウトですよね?」
大塚議員
「いよいよ財政の崖が近づいていると思いますけれど、だから、ここ1、2年のうちに現実的なプライマリーバランスの黒字化の目標年度に設定し直すべきだと私は思います」
反町キャスター
「プライマリーバランスの黒字化を達成できなければ大変なことになるのですか?何か大変な災いが起きるのですか?」
小幡准教授
「起きないと、安倍政権は思っているということですよね」
反町キャスター
「小幡さんはどう思っているのですか?」
小幡准教授
「起きるでしょう。日銀が国債を買い支えるのを止めるか、止める気配が出た瞬間に危機は始まるんですね」
反町キャスター
「止める選択肢は現在の日銀にありますか?」
小幡准教授
「ないでしょう。ないからやり続けている。そうすると、国債の金利ということが1番の政府に対する警鐘なわけですね。借金し過ぎだから、お前借り過ぎだから、もう貸してやらないよと。だから、もっと金利を高く払ってくれなければ、貸す気はありませんと世界の投資家が言うことによって、ギリシャの国債を誰も買いません。イタリアもちょっと怖くなってきましたという、要は、牽制が働くわけです」
反町キャスター
「本当に心配しなければいけないのか」
小幡准教授
「破綻した時に、日本の場合は世界に迷惑をかけないですよ。国債を持っているのは日本国内の金融機関だから、要は、僕らの預金の価値がなくなるということですよね」
永濱氏
「1つ押さえておきたいのは、私は結論から言うと、小泉政権の時もそうでしたが、安倍政権で今回証明されたことというのは、景気さえ良くなればプライマリーバランスがすごく改善するということですね。直近のデータで5.5兆円が足りませんと言っていますよね。2年前のプライマリーバランスの2020年いくつだかご存知ですか?9兆円超えてたんですよ。半分ぐらい減っているわけです。これだけ税収が増えていると。実際にプライマリーバランスと1番連動性が高い経済データが何かと言うと、名目GDPの水準のデータですね。それで見ると、確かに安倍政権は名目GDP600兆を掲げていて、たぶん現実には難しいと思います。ただ過去のプライマリーバランスと名目GDPの関係からすると、別に600兆円いかなくても、たぶん530兆円ぐらいいけば、プライマリーバランスの黒字化ができる可能性十分あると考えるんですね」
反町キャスター
「2020年に?」
永濱氏
「はい。なぜかと言うと、これがうまくバランスがとれていると思うんですけど、経済財政の中長期見通しは、確かに成長率は高めに置き過ぎですけれども、一方で、税収弾性値はめちゃめちゃ低いですよ。実際そこでバランスがとれているわけで、そういうことを考えると、だからと言って、あまり拡張財政をやれとは言いませんけれども、ただ最悪なのは景気を度外視し、プライマリーバランスを黒字化するため緊縮をやりすぎたら1番最悪だと思います」
松村キャスター
「6月の主な経済指標が出ました。雇用は改善していて、消費はマイナス。片山さん、アベノミクスは賞味期限切れですか?」
片山議員
「方向性としては拡大基調をつくるという意味で、この方向性しかないということは私も選挙を戦っていて国民の皆様、まさに超大企業から、町の商店街の超零細企業まで、その認識は皆おありになって。仕事が増えた、仕事の分量が増えた、選ばなければ仕事があるということがあるんですけれど、問題はいろんな意味で消費しないですよね。理由は非常に多岐に渡っていて、だから、消費を後押しするような何らかの施策を打つか打たないかは今回1番議論になって、まだオンゴーイングですけど、その前提として王道はお給料をしっかり上げることで、苦しいけれども、最低賃金1000円に向けて走り出して東京は900円です。私は中小企業の多くの団体にご支援を受けていますが、IOT(モノのインターネット)も含めて合理化がやりやすいところと、絹ごし豆腐をつくるのに大工場ができるかという話と違うところで、だから、私達は今回お給料を上げてくれる中小零細にはまさにその100万円ずつの例の継続控除、持続的補助を拡充するのを今回入れているんですね。お給料がじわじわ上がってくると、まさにマイナス基調をやっと変えられると思うので、そこが最後のファイナルステージなのですが、そこで日本がずっとこの20年、30年陥っちゃっていた罠というのは超円高をプラザ合意の時から何段階か乗り越えてくるうち、日本人の本当の自己防衛、皆で本能によって1番強いところを無意識に守ってきたんですよ。それによって中小零細サービス業は利益が確保できない中でずっと耐えているんです。たとえば、運送にしても、あるいはPBブランドをつくっている小さなお店にしても、100円のお豆腐を六十何円、10年前に出ていた、今三十何円です。それはちょっとだろうと。でも、三十何円で入れちゃうわけです。その人に給料を上げろと言っても無理だよねという話を、公正取引委員会のあまり強くない日本で初めてやらなければいけない。ここに私は入っていきたいなと思っている」
大塚議員
「消費支出がマイナス2.2。名目だと2.7ですよ。だから、ここは実力通りとも言えるけれども、ここがもう少し伸びるような形にならないといけないし、それが伸びるためには、今、片山さんがおっしゃったように、家計とか、勤労者の所得が伸びないと、これはどうしようもないですね。そういう意味では、最低賃金を24円上げるというのは、英断だと思いますよ。いいことだと思うし、企業も内部留保360兆円を、もう少し社員に還元するということをもっとやっていただきたいと思うし、人口も減っているので、消費支出がそんなに伸びるとは思わないですけれど、名目ベースでマイナス2.7という状況をずっと続けると、これはかなり厳しいですね」

片山さつき 自由民主党総務副会長の提言:『先を見る力』
片山議員
「これは、この状況では先を見る力に尽きますね。まず国際経済の変動要因がここまで多い、各国の政治状況、テロ、それから、まさに気象、気候変動まで含め。財政が壁に当たるかどうかについても微妙にその兆候を早めに読んで対応していけば必ず乗り切れる。イノベーションについても日本が勝ちにいける分野を早く見つけて、早く獲っていく。先見力、先見性に尽きると思います」

大塚耕平 民進党政務調査会長代理の提言:『アーム社を創れ 人材育成・教育』
大塚議員
「アーム社というのはこの間ソフトバンクが買収を発表した半導体をつくっている会社なのですが、ただ、モノはつくっていなくて、設計だけやって、今スマホとか、通信用の半導体の9割はこのアームプロフェッサーですけれど、ファブレス企業、つまり、製造ラインを持っていない、工場を持っていない企業。でも、人材がいっぱいいるので、世界を席巻しちゃっているわけですよね。日本はそういう企業を生み出すのが成長戦略のポイントなのですが、そのためには人材育成とか、教育に徹底して、財源を投入して、5年ぐらい腰を据えてやってみるべきだと思います」

永濱利廣 第一生命経済研究所首席エコノミストの提言:『イノベーション』
永濱氏
「いろいろな意味でのイノベーションですね、まさにお二方のもイノベーションだと思うんですけど、私が強調したいイノベーションというのは、経済学のイノベーションと言いますか、具体的に言えば、政府と日銀の協調関係をもっと緊密にとって金融政策のイノベーション、黒田総裁も言いますけれど、そういうことやっていく必要があるのかなと。要は、今の経済の、経済学の理論は70年も80年も前に起こったようなことを、現在でもそれが起こるのではないかということを恐れて、経済政策のイノベーションが進まないところが問題だと思うので、これを進めていくことが重要ではないかと思います」

小幡績 慶應義塾大学准教授の提言:『我慢』
小幡准教授
「国民は結構、我慢しているんですよ、自分の範囲でね。慎ましく暮らしていると。それなのに政治が出てきて、俺が何とかしてやると。夢を見させてやると勝手に言って、いや、そんなこと望んでないよと言っているのに、やって、借金を残していくと。この状況なので、先ほど出た消費が伸びない理由の1つは、政府が無駄遣いしているから、その分、自己防衛で、消費をそこまでせずに貯金をしとくということが1つありますので、国全体で見ると、国はこれだけ借金を1000兆円していれば、国民が1000兆円貯金しないと辻褄が合わないので、国が借金して無駄遣いすればするほど、国民は我慢して貯金するということなので、政治もアドバイザーも是非我慢してもらって、何でもできるような幻想、言動をしないでいただきたいと思います」