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2016年7月27日(水)
新たな経済対策の狙い ▽ 北朝鮮『核実験』は

ゲスト

石原伸晃
経済再生担当大臣 自由民主党衆議院議員(前半)
小野寺五典
自由民主党政務調査会長代理 元防衛大臣 衆議院議員(後半)
古森義久
産経新聞ワシントン駐在客員特派員(後半)
平井久志
ジャーナリスト(後半)


前編

石原経済再生相に問う 新たな経済対策の狙い
秋元キャスター
「経済対策の中身、一億総活躍の推進について、保育の環境整備。育児休業給付金の支援期間延長、奨学金の拡充などとなっています。インフラ整備については、リニア中央新幹線の開業前倒し。整備新幹線の建設促進。さらに、大型クルーズ船が寄港できる港の整備などとなっています。さらにイギリスのEU(欧州連合)離脱に備えた対策として政府系金融機関に民間企業への融資や出資の拡大などとなっていて、これらの規模ですけれども、経済対策の事業規模28兆円超。そのうち国の財政措置は国が直接支出する、いわゆる真水と国が財投債を発行し、金融機関から調達して、民間事業に融資する財政投融資、合わせて13兆円となりました。石原さん、かなり大型の経済対策になりますけれど、言い換えると、これが必要なぐらい今、アベノミクスはちょっと大変な状況にあると。こういうことになるのでしょうか?」
石原経済再生担当相
「いや、アベノミクスが大変ではなくて、EUからイギリスが離脱をされる。年初来、新興国、中国の経済もかつてのような勢いはない。そんな中で、G20の蔵相会議があって、各国とも財政政策、金融政策、構造改革、この3つを積極的にやっていこうと。そういうことを約束したわけですね。そのような中で、政治的に1番安定しているのは日本です。政治が安定している時こそ、世界経済のために、また、日本のために経済対策を打って、より一層、確かな経済成長をはかっていくということだと考えています」
反町キャスター
「28兆円を超える事業規模と言っても、これが、これからつくられるであろう補正予算に入った時にどのようなものになるのか。これから見ていかなくてはいけないということでしょうけれども、その中で、僕らがまず聞きたいのは、28兆円の事業規模。財政規模が13兆円の中で、いわゆる補正予算として我々が受け止められる。つまり、今年度内に執行されるであろう分というのは、どのぐらいで、それから先、多年度、複数年度に渡って、こういう継続的な事業に、こういう形で融資する、投資するのだよという28兆円の振り分けはどうなっているのですか?」
石原経済再生担当相
「外的要因によって、不確実性が高まっている。EUの話もこれから出てくるわけですよね。イギリスがいつ離脱して、あそこに1000社の企業が、日本は投資をしていて、そういう時に、リーマンの時を見てもわかる通り、何が不足をしてくるかというと、ドル資金が、大企業とは言え、取れなくなってきている。そういう時には政府系金融機関のところに大企業向けの融資の残高を貯めておく、あるいは中小企業も相当ありますし、小規模零細だって、中小企業に、あるいは大企業に納品をしているわけですね。そういうところに悪影響が出ないように、中小公庫とか、そういうところにもお金を積み増していく。そういうことも非常に重要な、そういうためにもお金が兆のオーダーで必要になってくると思います」
反町キャスター
「たとえば、一億総活躍の推進というと、保育とか、育児とか、奨学金とか、いわゆる身の周りの生活支援の部分ですよね?」
石原経済再生担当相
「ええ」
反町キャスター
「インフラ整備と言うのは、リニアだったり、クルーズ船だったり、港の整備?」
石原経済再生担当相
「そこが大きいですね」
反町キャスター
「規模の大きい、小さいではなく、時期的なもの、今年度内に執行するであろうものというのは、どういうもので、たとえば、でも、保育とか、育児とか、奨学金というのは、今年度内とか、そういう意味ではないですよね?」
石原経済再生担当相
「それは一時的なもの、要するに、補正予算というのは結局、ワンショットですから。そうではなくて、これは恒久的に続いていかなければいけない。そういう政策をこの年末の、来年度予算の時に、芽を出すために、この補正予算でいくらかのお金が間違いなくついてくると思いますけれども、それはこれから精査していかないと、いくらという数字は予算ができた時に初めて皆さん方、私達も理解するというふうになっていると思います」
反町キャスター
「大半の部分はインフラ整備に、金額的には、そこに傾注されるものが多い?」
石原経済再生担当相
「そこも大きいですし、たとえば、リニアの前倒しというものは、よく財投からの借り入れで、必ず貸付ですから。返してもらえるお金ですよね。しかし、今やったってリニアができるのはずっと先だから、お金が動かないではないかという方もおられるんですけれども、それをやるということで予算が、予算と言うか、財投でやるということが決まれば、土地は既に動き出しますよね。計画は決まっているわけですから。そうしますと、そこに、たとえば、名古屋の駅が同じところに地下の駅だと思いますけど、そういうところ、あるいは大阪もどこになるのかということで、その周りの土地も活性化してくる。そういうインフラ整備によって、ただインフラをつくるためにその投資を行うことによって、経済が上がるということだけではなくて、そこから1つ先のことを考えて、今回、総理は未来への投資、未来への投資を必ず実現するということをおっしゃっていたのだと思います」
反町キャスター
「28兆円を超える事業規模、これがどういうグラデーションと言いますか、今年度内にこれぐらいあって、それが徐々にこういうふうに減っていく。減っていくというのは当然、なるべく手前に寄せて執行していくだろうと思うんですけれども、その感覚。要するに、年内に28兆円の事業規模が動くわけではないですよね?」
石原経済再生担当相
「それは違います。先ほども言いましたように、一番下のは政府系の金融機関などにお金を積んで備えるという意味ですから。それ以外に、実際にお金が流れていくということは、今おっしゃられた、浚渫をして、クルーズ船の港を深い14m、15mの港にしていくというのはかなりのお金がたぶんかかってくるでしょうし、リニアに財投資金がいくらつくかまだ決まっていませんけれども、何兆円つくということになったら、予定線というのはできているわけですから、その周りの開発というものも進むでしょうし、土地も新たに動き出す。値段も当然、上がるのでしょう。実現化して、目の前に、8年間前倒しをされるということは、そういうことによって経済が活性化する。今、反町さんの質問の部分については、9月の臨時国会の時に出てくる補正予算の中で明らかになりますし、かなり大規模な事業費で28兆円、財政資金で13兆円というものを単年度で消化できないのではないか。もちろん、心配はあると思います。それを単年度ではなくても、そのお金をしっかりと事業につけていく仕組みみたいなことも、これから議論されてくるのだろうと思います」
反町キャスター
「アベノミクスが手詰まりではなく、外的な要因、イギリスのEU離脱など、中国の様々な不安定性も含め、外的な要因があるからこそ大切なことをしなければ、経済対策をしなければいけないのだということは、これはずっと総理も石原さんも言ってっています。イギリスのEU離脱した国民投票の開票の日に、アメリカ、イギリス、日本ですけれども、株価がどこも落ちているんですけれども、その後の株価の戻り具合を見てみると、ニューヨークやイギリスの方はしっかりと強く戻っているのに対して、どちらかと言うと、日本の株価の方が戻りきれていないという印象が受けられます」
石原経済再生担当相
「でも、今日280円上がっていますので、少なくともEU離脱の時に比べて高くなっているんですね。もちろん、今年の最高値までは行っていませんけれど、現在トレンドとしては右肩上がりに戻って来ている。これで重要なのは、こういうふうに世界の経済がおかしくなるのではないか。特にアメリカはおかしくないですけれど、政治的な不安要素がすごく出てきていますので、政治リスクというものが確認されると、ドルを売って円を買う力が強くなりますよね。そうすると、円高になる。円高というのも実は効いているのだと思います。昨日は本当に104円台をつけるなど、このまままた100円を覗くのではないかという心配も一時したのですけれども、現在またこの経済対策を行うという、フジテレビの昼間のニュースで、今日のトレンド、私も見てきましたけれど、それから上がり出してきていますね。どれだけの経済対策、補正予算で通さなかったら、絵に描いた餅ですから。これをともかく1日も早く通して、本当に単年度で食べきれないのではないかとか、消化しきれないのではないかという不安を払拭して長く長く投資を行う。投資によって、民間の投資を呼び込んで、リニアのことをやるということで、土地が動くということは、民間投資なわけですから。つくる主体はJRかもしれませんけれども、それによって近隣が動き出すと。そういう列島改造の新しいスタイルを模索している政策だと思います」
反町キャスター
「そうすると、日本の株価の戻りが悪い。つまり、外的な要因で、今回の経済対策をやるのではなくて、日本の経済が悪いから、こういう大量、28兆の経済対策が必要なのではないかという見方、これは間違っているということですか?」
石原経済再生担当相
「そこは根本的には為替との関係、日経平均は見なければいけないのだと思います。日本はクオリティの高いものを海外に売って、貿易黒字で、ずっとこの国を繁栄させてきたわけです。そういう国でありますから、為替の急激な変動。たとえば、10円ぐらい移りましたよね。112、3円だったものが、99円までいく。そうすると、利益が、為替が1割変わるだけで、その利益というのは吹っ飛んでしまうんですね。ですから、そういう、これは皮肉ですけれど、世界が混乱をすると、日本は大丈夫と言って、円買いになると。そうすると、株が下がるという事実があるということも押さえていかなければいけないのだと思います」
秋元キャスター
「今回の経済対策を、番組がニッセイ基礎研究所チーフエコノミストの矢嶋康次氏に話をお聞きましたところ、このような懸念を言っていました。金額ありきで必要施策の優先順位、採算性がないと。建設労働力が足りず、過度の公共事業をやろうとすると、民間の事業にも支障を来すと。さらには財政再建崩壊リスクということも言っていたのですが、石原さん、これらの懸念についてはいかがですか?」
石原経済再生担当相
「総理の財政再建、2020年のプライマリーバランスの黒字化というのはしっかりやる。これは私に対する指示。その指示もすごく今回は異例だったと思うんですね。と言うのは、参議院選挙が終った翌日、財務大臣と私と官房長官を呼んで、普通であるならば、閣議のあとでも、閣僚懇の席でもいいですけれども、あらためて呼び直して、財政再建は堅持するんだと。しかし、経済が発展していけなければ財政赤字の解消はできない。当然、対GDP(国内総生産)比ですから、GDPのパイが広がらない限りいくら借金を返しても、借金の母数が減りますけれど、GDP比はパイが大きくならない限り減らないと。そこにしっかりと目をつけて、総理は指示を私に出されたのかなとその時、思いました。政策の優先順位、採算性と言いますけれども、たとえば、リニアですけれども、採算性がないと思ったなら、誰も投資はしないですよ。財政投融資というのは、これまでデフォルトしたことがないんです。すなわち貸したものを返してもらえなかったことはないですね。そういうものに優先的に貸しつけるわけですから。そのご指摘は当たらないなと、私は思います。ただ、2番目の建設労働力が不足しているということは、これは事実だと思います。と言うのは、東北の震災、昨夏、北は宮古から双葉郡まで歩いてきましたけれど、工事の槌音、すごいですよね。いよいよ、これから2、3年で本当に新しい街ができると。この間も熊本に私は2度行ってきましたけれども、熊本もまだ復興という段階ではなくて、まだ、ブルーシートがある復旧段階。そういうところにはどうしてもマンパワーを優先的につけていかなければならない。そのような中で、コンクリートから人へという間違ったプロバガンダによって、建設事業に従事されている方は650万人から現在500万人ぐらいまで減っているわけですよね。そうすると、順番をうまくつけて、事業をやっていかないと人手不足になることは明らかです。人手不足で何が起こるかというと賃金が上がりますね。ただ、それが過度な賃金、バブルの頃にあったではないですか。大工さん求めます、日給5万円とか。そうしますと、今度はコストがかかってしまいますから、採算性、元をとるのに時間がかかってしまう。そういうことのないようにプライオリティをつくって、反町さんが先ほど、1番重要なご指摘をされたのは、本当に事業が消化できるのか。それを見据えた計画を立ててやっていくことがもちろん、補正予算が通ったあとの話ですけれど、肝要だと思います」
反町キャスター
「これから日本の人口はドンドン減っていく中で、現在の1億2000万人が8000万人とか、6000万人になるではないか言われ、国は1億で止めるとは言っていますよ。そういう人口減少社会に向け、これから交通インフラに兆円規模の投資をし、それがちゃんとペイするのだろうか。その結果、借金というものが後世の人達の負担にならない。そういう意味での公共事業の見直しの機運というのは、ここのところずっと高まっていたようにみえて、ここに来てまた公共事業というか、今度の公共事業に対する依存というのは本当に信頼していいのだろうかと。ここはどうですか?」
石原経済再生担当相
「それはそもそも論で、公共事業を悪いと思う方はそういうふうに考えるんだと思います。経済波及効果、要するに、乗数効果が1以上あるわけです。給付金等々でお金を配ってしまうのは、1もないわけですよね。使ってもらわなければいけないですから。貯金をされたらまったくゼロになってしまいますから。それと同じように公共事業というのはもちろん、一時期、財投改革をやる前に郵便貯金、簡易保険でドンドンお金を集めて、特殊法人に流して、要らないものをつくっていました。私も相当潰しにいきました。グリーンピアとか、どこに行くと大きな観覧車があって、リフトがついて、ゴルフ練習場があって、それは全部、民間にやらせればもっと良くなっています。同じようにそういう無駄なものはつくらないで、反町さんがおっしゃった通り5000万人の人口になったら、その利用価値は非常に低くなると思います。しかし、高齢化社会が進んで、どこにいる人もビーバイシーを超えて、ビーバイシーに社会的必要性というものをやって、病院にアクセスする時間はどこに住んでいても、拠点病院まで同じ時間で行けるというのが日本の良さだと思います。そのためにも必要な、もちろん、無駄な、全部4車線で道をつくるなんて必要はまったくありませんけれども、高規格道路ができたことで延命率が上がったという理由も十分ありますし、これからの公共投資は何が違うかと言ったらAI(人口知能)ですよ。自動運転も目の前です。それとセットにしますと新しい道をしっかり整備すれば、現在はドライバーの方が中山間地域で買い物に不自由な方々を迎えに行ったり、介護の方を迎えに行ったりやっていますけれども、自動運転になりますよ、本当に、2020年には。そういう意味で、道路の整備というものももちろん、それにはガードレールがあって、線が引いていないと電子の目で見ないといけませんから。そういう無駄ではない事業を行うことによって住み慣れたところに住み続けることができると。そういう公共投資もこれから出てくると思います。しかし、そのエコノミストの方が指摘されているように建設労働力が不足しているということは事実でありますので、無駄なものは絶対につくってはいけない」
秋元キャスター
「視聴者からの質問です。『現在、失業中です。特に建設関係や介護関係は仕事があるのですが、その他の業種はほとんどありません。今後もオリンピック需要で偏りが激しくなりそうです。幅広く経済対策をしてほしいですが、いかがですか?』とのことですが」
石原経済再生担当相
「これは有効求人倍率の世界だと思うんですけれども、今、100人の人が仕事を求めると、134の仕事があるわけです。それで134の仕事の中に建設と介護だけかというと、私はそうではないと思います。それ以外の仕事もあります。日本の場合は定年制というものがありますよね。ですから、なかなか50歳、60歳になって、希望の仕事に就けないという、そういう現実もあることは確かですけれども、100人の人が134の仕事から選べば、仕事を持てることができる。これは、この25年間で、25年ぶりですか、という話だと思いますし、失業率も3.2。これは18年ぶりぐらいですか、ほぼ完全雇用に近い状態になっています。ですから、仕事さえ、今メールをいただいた方がどういうお仕事をこれまでやって、どういう職能があって。ですから、50歳を過ぎた方でも職業訓練ですか、希望をする職業があるけれども、俺はとんかち屋だと。ホワイトカラーでそろばんだと、簿記だというのであれば、そういうトレーニングを政府で用意をすると。そういうことも重要だと思います」


後編

中国・北朝鮮の脅威への対応 『南シナ海』『核開発』の行方
秋元キャスター
「ラオスの首都ビエンチャンで開催されていましたASEAN(東南アジア諸国連合)の地域フォーラム、通称ARFでは、中国が領有権を主張する南シナ海問題、北朝鮮の核開発問題が議題となりました。まずは小野寺さん、今回のARFですけれども、南シナ海問題を巡り、中国の主張を否定した仲裁裁判に言及するかどうかで日本とアメリカ、中国との間で激しいやりとりがあったということですけど、今回のARFをどう見ていますか?」
小野寺議員
「その前段階の、たとえば、ASEANの外務大臣会合の中で既に、たとえば、法的、外交的なプロセスを完全に尊重する国際法の原則という形で、ある程度のことが入っていますので、これはASEANの国は仲裁裁判のことについて一定の意識をして、1つの方向を出しているのだと思います。ただ、中国の、これは攻勢というのでしょうか、王毅外相が、ASEANの10の国のうち6つの国を、個々にバイ会談をしてかなりギリギリの、いろんなことをお話していたというのは当然ありますので、そういうせめぎ合いはあったと思います。ただ、ASEANの1つの塊としては、国際法のルールとか、あるいは平和的な解決とか、具体的に仲裁裁判の名前を出さないとしても一定のある程度のコンセンサスを得て今回、対応したと思いますので、私は王毅外相がうまくいった、うまくいったと言うことを見て、何となく違和感がありまして、そんなにうまくいった話ではないのではないか。ASEAN、あるいはARF全体として、この仲裁裁判については各国が一定の問題意識を持つし、中国の行いに対しては懸念を有しているのだと思います」
反町キャスター
「我々が、ASEAN外相会談の共同声明、南シナ海に関しては全外務大臣が最近の動きに深刻な懸念を表明していると。南シナ海での航行や飛行の自由を維持する重要性を再確認した。南シナ海を軍事拠点化せずに、緊張を高めるような埋め立てなどの行動を自制する重要性を強調、こういう表現が盛り込まれたわけですよ。これを踏まえて、これのあとにおける、ARFという考え方を見た時にこの一連の外交イベントの中で、中国は激しく巻き返しに成功したかどうかということで言うと、今の小野寺さんの話だと、それほどまでうまくいかなかったということでよろしいのですか?」
小野寺議員
「ええ。たとえば、こういう共同声明の中で、具体的な、仲裁裁判のことを全体としての共同声明ですから、かなり明確に書くとか、特定の国を名指しで書くとか、普通そういうことはしないものです。ただ全体のこの流れの中ではそれが読み取れる文脈になっていますので、当然、中国としては相当努力をしたけれど、むしろそれがかえって、なるほど、この問題はさらに深刻化しているのだなというふうに、ARFの参加国には浸透したのだと思います」

『南シナ海』ASEANと中国
反町キャスター
「古森さんはどう感じていますか?この一連の中国の、この会議の流れ、東南アジア各国に対する働きかけ、功を奏したと思われますか?」
古森氏
「中国が東南アジア諸国連合に対していろいろな圧力をかけるというのはずっと続いてきているわけですよね。ほとんどの場合、南シナ海での中国の行動がその原因だと。その経緯をずっと見てくるプロセスで今回の様子を見るとASEANというものを分断するということでは間違いなく成功したと思うんです。それも非常に顕著でわかりやすい形で、カンボジアとラオスという国に、個別の攻撃をかけて、王毅さんは今年4月にカンボジア、ラオスに行っていますから。それで、あなた達は別だよ、ということをやっている。その背景には、ラオスにドンドン投資をしていって、200億ドルぐらいのお金で鉄道をつくるということ、2020年までにね。カンボジアはプノンペンに行くとわかるけれど、あのへんの、首都の真ん中の大きな建物は皆、中国の援助でできているということで。それを、ずっとやってきたんだけれども、今度のような形でバチッとやったというのは初めてだと思うんですよ。だけども、これは小野寺さんが言われたように、でも、やっていることが、そもそも無法なわけですよ。南シナ海のこと、国際仲裁裁判所ということは、今の世の中の大多数の人が納得する法の統治、国際的な遵法ということですよね。これに背を向けて、明らかにやっていて、それで無法を通したから勝った、勝ったと喜んだって、結局、有識者の有識国は、何だこれは、ということはわかるわけで、だから、小さいところで勝ったからといっても、大きいところで負けているという感じなのではないでしょうか」
反町キャスター
「そうすると、局面、局面において、中国は多国間の交渉は嫌で、全部バイでやりたがる国ではないですか。結果的に一国、一国を潰していった中国の、今回のラオスにおける戦術、戦略というのはやられてしまったと思わないですか?」
古森氏
「そういう印象はありますよ。ただ、もう1つ、そういう見方を補強する材料として、アメリカの立場というのがあるんですよ。これはケリー国務長官がいろいろやったけれども、アメリカはASEANに対して、中国に対抗してがちんとぶつかって、向こうを引っ込めさせるということはやらないけれども、あまり中国に出てきてほしくないというのは明らかなわけで、それでケリー長官もいろんなところに行っていたけれど、結局、あまりやらなかったですよ。だから、その点でアメリカが後退して、オバマ政権の消極性がまたこのことで印象づけられる。特に気になるのは、月曜日に、オバマ大統領の国家安全保障担当の補佐官スーザン・ライス氏という女性が北京に行っているんです。習近平氏と会っている。楊潔?氏という国務委員に会っている。この時に国際仲裁裁判所のこと言わないですよ」
反町キャスター
「アメリカは言わないのですか?」
古森氏
「言わない。直接、バイでは言っていない。これはアメリカの中で批判を受けていますけれどもね」
反町キャスター
「ラオスにおいて王毅さんが6か国、ないしはASEAN各国に対して、特別に強烈に巻き返しをかけていて、このままいくとASEAN外相会議よりもかなり骨抜きの形で結論が出るかもしれないという懸念がある中で、北京に行った大統領補佐官が国際仲裁裁判所について、何ら踏み込んだ話を先方にぶつけないで終っているということは、これは明らかに北京に対して、僕らはあまり気にしないからやっていいよ。あなたが、王毅さんがラオスでやっていることは、僕らはそれはそれでいいと思っているよと。そういうメッセージを北京に伝えることになるのではないかと。ここはどう感じますか?」
小野寺議員
「ですから、私どもがいつも心配をしているのは、アジアが安定することはアメリカにも、日本にも、中国にも経済利益になります。その時、間違ったメッセージを与えてはいけない。今回もしライスさんがしっかりした形で伝えないとすれば、むしろ間違ったメッセージ、あるいは国際的なルールに従わなくてもいいというメッセージを与えてしまったとすれば、残念で仕方がないと思います」
古森氏
「オバマ政権の名誉のために、私がそれを語る必要はないけれど、中国の南シナ海での行動は、これは違法であると。国際仲裁裁判所でそういう判決を出したのは正しいのだと。それを守らなければいけないよということは、オバマ政権全体としては国務長官とか国防長官がはっきり言っているわけですよ。スーザン・ライスさんというのは非常に重要な役割を果たす人だけれど、一応、大統領補佐官だから、黒子の人で、表に出てきて、政権の政策を堂々と世界に向かって語るという立場の人ではないわけです。だから、そこのところは、だけど、だから、なおさら本音が出てきて、おかしいではないかという懸念はあるかもしれないけれど、役割分担で、文句を言う人と、まあまあと言ってやっている人を分けているのかなという、善意で見れば、そういうことも言えるかもしれないけれど。ただ、スーザン・ライスさんが日本に対しても、かつて中国の無法な行動をはっきりと無法だと言わないとか、尖閣をアメリカがいざという時に守るということを何となくぼやかして言うとか、我々からすれば、非常に気になる言動の多い実績があることは間違いない」
反町キャスター
「結果的に、彼女の北京訪問というのは北京に対して、ああじゃあアメリカはいいんだなというメッセージを伝えている可能性は十分ありますよね?」
古森氏
「中国側にはそうですよ。中国側はそれを使って、いろんなことを、人民日報でアメリカが認めたよ、と言えるわけだから、そういう禍根を残すということにおいては、けしからんことですよね。我々、西側と言ってはいけないけれども、法の統治を守る側としては、守りたいと思っている側としては。だから、まあオバマ政権も終わりだし、いろんなほころびが出てくるということ。これからもきっとあると思いますよ」
反町キャスター
「政権末期のちぐはぐさの一環と見た方がいいのですか?」
古森氏
「主要部分ではないと思うけれど、末端か、あるいはその真ん中の次元のあたりで、左と右と言ってることが違うとかね。そういう一端の要素はあるかもしれない、今度は。ただ、これからはそういうことが出てくると思うし」
小野寺議員
「個人的にとても嫌な言い方をすると、レームダックの時期で、スーザン・ライスさんは今回、こういう形で行くということで、中国は大歓迎をして、習近平さんが会ってくれる。そうすると、今度、政権が変わった時にスーザン・ライスさんはもしかしたら、どこかのシンクタンクで中国の政策の、アメリカの中心となるとするとすれば、相当、資金も集められる。よくわかりませんが、そんなことは決してあってはいけないなと思うんですけれども、だいたいアメリカの政権末期の時に、そういう古森さんがおっしゃったように、いろんなことが起きますので、それはレームダックの1つの表れと考えるとすれば、間違ったメッセージを伝えてもらったら困るなと思います」

北朝鮮『核実験は米国次第』
秋元キャスター
「今回ARFに参加していた北朝鮮の李容浩外相は現地で会見を開きまして『われわれが追加核実験するのかやめるのかは全体的に、アメリカの態度にかかっている』と北朝鮮は5回目の核実験の可能性を示唆しているのですが、北朝鮮は今日にも核実験を強行するのではないかという見方がありましたが、これまでは行われていません、これはなぜでしょう?」
平井氏
「1つは、核実験場でこの間、動きが激しくなっていたので、今日にもやるのではないかと言われていました。今日が実は朝鮮戦争の休戦協定の締結日ですね。北朝鮮では、対米勝利の日となっているので、そういうプロパガンタとして今日の可能性があるのではないかという、見方が1つあったのですが、今年1月に水爆と彼らが言うところの核実験をやったばかりですから、それほど技術的に、半年ぐらいの間に核実験をやらなければいけない、軍事的なメリットがあるとは思えないですね。やるとすれば、政治的要因による核実験だということだと思うんですね。そういう意味では、巧妙な、すぐにはやらないけれども、アメリカの出方次第でいつでもやれますよという発言が、李容浩外相の発言だったと思います」
反町キャスター
「次の政治的タイミングはいつになるのですか?」
平井氏
「直近で恐れているのは、8月に米韓合同軍事演習があるわけですよね。それとアメリカはこの間、北朝鮮をマネーロンダリングの疑惑国に指定し、最高指導者を人権侵害の問題で制裁対象にしたということに北朝鮮は反発を強めていますから、彼らが政治的判断としてアメリカに対する反発、犯行を示す舞台としては米韓軍事演習の時期というのは、彼らがそういう判断をする危険性はあると」

関係改善? 背景と本音
秋元キャスター
「一時、関係が悪化したと言われていた中朝関係は改善したと見ていいのでしょうか?」
平井氏
「今回のARFでは露骨でしたね。まず李容浩外相が平壌を出発する時に、中国の大使が見送っているんですね。それで北京からラオスに行く時も、王毅さんと李容浩さんは一緒の飛行機に乗っているんですよ。しかも、ビエンチャンで泊まったホテルも同じホテルです。1時間近い外相会談をやって、そこでやり取りが行われているわけです。韓国に対して露骨に中朝関係、あなた方がTHAAD(地上配備型迎撃システム)を配備するのであれば、我々は従来の姿勢に戻るかもしれないよというかなり強いシグナルを送っているわけですね」
反町キャスター
「李容浩外相のキャリアは?どういう人なのですか?」
平井氏
「ロンドン駐在の駐英大使などもやって、平壌外国語大学を出られて、外務省に入られて、非常に英語がうまいですね。北朝鮮の外交官にしては大変に英語がうまくて、この間、彼とセミナーとか、非公式の会議で会ったアメリカの国務省の関係者もフランクに話ができるし、イデオロギー的な対応をする他の外交官に比べると話の通じる相手だという評価が高いですね。また、単にテクニカルな部分でソフトというだけではなくて、この人のお父さんが党の組織本部の副部長をやって、金正日総書記の秘書室でもかなり働いた、朝鮮労働党ではパワーを持っていた方です。その人の息子さんだということもあって、党内的な基盤、血統がいいというのがあるうえに、外交的なテクニックを持っているという、ある意味で、北朝鮮外交の希望の星です」

ジャーナリスト 平井久志氏の提言:『5回目の核実験阻止』
平井氏
「東アジア情勢が非常に複雑になっていますから、中国が北朝鮮と少しよりを戻しつつあるという状況の中で、下手をすれば8月が当面の危機。逆に中国の役割は大きくなるのかもしれません。だから、中国が核実験をするなという説得力を持つという。南シナ海の問題もありますけれども、北の軍事挑発を許さないという点では、もう少し国際社会が一丸になる必要がある。そのための努力を傾ける必要があるのではないかと思っています」

古森義久 産経新聞ワシントン駐在客員特派員の提言:『無法を許すな』
古森氏
「中国の南シナ海での傍若無人の領土拡張の動き、北朝鮮による国連合意、国際的な規範を無視しての核兵器の開発、ミサイルの暴発・乱発、日本国民の拉致というような一連の無法の行動をとにかく断固として排除すべきだと思います」

小野寺五典 自由民主党政務調査会長代理の提言:『国際協調』
小野寺議員
「今回のASEANの外相会談やARFを見ても中国は相当いろんなことで圧力をかけて、それを切り崩しにいっていますが、結果として諸外国が皆見たのは、国際法を無視して、お金をチラつかして、力をチラつかして、個々の国に圧力をかけていく。こういうやり方が浸透しています。ウラをかえせば、中国というのはそういう国だと、北朝鮮はそういう国だということがかなり広く知れ渡った。そういうことに関して国際的な協調でこれを解決していくことが大事だと思いますし、その機運がだんだん出てきていると、私達は思っています。毅然とした対応、日本にはそれが必要です」