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2016年7月25日(月)
国際テロ…日本の死角 テロ多様化への対策は

ゲスト

中山泰秀
前外務副大臣 自由民主党衆議院議員
米村敏朗
元警視総監 内閣官房参与
黒井文太郎
ジャーナリスト

高まる国際テロの脅威 『多発』の背景に何が?
秋元キャスター
「まず世界全体ですけれども、2000年以降のテロや脅迫を含む威嚇行為の発生件数をまとめたグラフです。過激派組織『イスラム国』(IS)が一方的に国家の樹立を宣言した2014年は発生件数が一気に増えていて、昨年も1万5000件近いテロ、威嚇行為が発生しています。まずは黒井さん、世界で次々にテロが起きて、最近非常に多いような印象もあるんですけれども、どのように分析されますか?」
黒井氏
「先ほどのグラフを見ますと、おそらく小さな事件も全部含めたものであって、おそらくドーンと右肩上がりで上がっているのは、必ずしも大きなテロだけではなくて、これは推測ですけれども、SNSの発達に連動して、ある種、過激なことを、身近に話題にしてやっていく人達が個人レベルで増えたのではないかなと思うんです。組織的な、イスラム過激派のテロというと、だいたい2000年代の半ば、イラク戦争の後あたりにスペインとか、イギリスとか、インドネシアとか、あちこちで連続して起こった、1つの山があって、そのあとは2011年のアラブの春に連動して、日本でも、日本の会社でも、アルジェリアのプラントがやられましたけれども、ああいった周辺で起こったテロが増えたと。2014年に、『イスラム国』というのが、1つドーンと大きく発達して、それに呼応して、一種の革命運動だという空気が流れたので、それに呼応するテロが増えたと。現在、我々が直面をしているテロというのは2014年からの流れの延長にいるということですね」
反町キャスター
「今後増えていくテロの件数見たうえで、『イスラム国』の犯行声明、実際に『イスラム国』が、やれ、と言って実行させたと見ていますか?」
黒井氏
「これはいろんなケースがあるんですね。全部ケースによって違っていて、『イスラム国』の戦闘員が行ったのは、トルコのイスタンブール。空港ですね。これはチェチェン系のグループ。旧ロシア系のグループです、が行った。それと、昨年11月のパリの事件と、それの残党としてブリュッセル。このへんは『イスラム国』の中枢に近い人物が行っていると。それ以外は近くはないのだけれども、ネットワークに絡んでいるとか、知り合いがいるぞとか、もしくは全然知り合いはいないけれども、自発的に志願者としてやったテロ。それから、フランスの事件もそうですけれど、おそらく個人的な理屈が先にあって、『イスラム国』の理由が後づけになったのではないかと思われるのですけれども、テロが最近、非常に増えてきたということですよね」

『イスラム国』の現状は?
反町キャスター
「たとえば、『イスラム国』と全然関係のない人が日本にいて、俺は本当に社会から疎外されているとか、何とか、日本社会に報復をしたいと思っている人が、何らかの形で、この間のニースではないですけれども、トラックで人のいるところにドーンと突っ込んで何かをやったとして、その人が犯行を起こしたあとに、自宅で捜査をしたら、ホームページにISへのアクセス履歴があったと。それだけでもISの影響があったとなるかどうかということも含めて」
黒井氏
「報道のされ方もあるんですけれど、もちろん、要は、ある種の疎外感を持った、ちょっと通り魔的なのが先にあって、ある種自分探しみたいなものをちょっとこじらせて破滅型になっていくというケースはこれまでもあるんですけれども、それが今の流行で言うと、ISというのは1つあって」
反町キャスター
「その引き受け手にISがなるという、引き受け手が拠りどころになるというのは、IS側からの情報発信が、そういう疎外感を感じている人、ないしは何か社会に対して暴力的な行動を起こした人の琴線に響くような発信をしているのですか?彼らは、どういう情報発信をして、テロリスト予備軍の心を掴むのか、そこはどうですか?」
黒井氏
「もちろん、そういったネットを通じるとか、それもありますし、あと仲間内のネットワークもあるんですけれども、いわゆるイスラム系の移民社会の若者に入っていく手法としては、それもあります。ただ、そういったアメリカやヨーロッパの、個人として破滅型の通り魔の人達というのは、どちらかと言うと、自分からちょっとネットに依存をしてこじらせていくという、要は、自殺志願ですけれど、自殺志願の時にそういったものを口実に使ったり、自分は無駄死にではないというような意味合いになったりとか、いろいろなケースがあって、それは皆、亡くなってしまうので、はっきりとはわからないですけれども、ちょっと従来型のテロ、テロの呼びかけに、素直にリクルートされたという、単純な構図ばかりとは言えないと思います」

『イスラム国』戦略と活動
反町キャスター
「中山さん、このISの発信している情報と、それに反応するテロリスト予備軍、ないしはテロリストをどう見ていますか?」
中山議員
「今お話を伺っていて、キーワードは、非常口の非、非ずだと思ったんです。要するに、戦場に非ずと。軍人に非ずと。武器に非ずと。この全てが言うならば変わってきているということですね。要するに、たとえば、先ほど、おっしゃった場所とか、たとえば、ドイツにあるアメリカのファーストフードチェーンで、子供の顔に向かって銃撃をしたと。これは戦場ではないですね。それから、ニースも戦場ではありません。イベントの場所です。ダーイッシュ、いわゆるISILの人達は、軍人だと言うけれども、戦闘員だというけれども、違いますよね。非軍人、素人です。それと武器。今回トラックが使われたり、違ったものが使われていると。そういうこれまでの想定している戦争の、いわゆるウォーフェアというものと形が変化していることに私達が早く追いかけて、ついていかないと。それに対して先んじて措置をとらないとずっとやられっ放しという状態が起きると。そのことが1番怖いと思います」
反町キャスター
「それは、つまり、軍として見るのではなく、どういう組織だと思って見ていればいいという話になるのですか?」
中山議員
「一言で言うと、バーバリアンイズムですよね。要するに、無法者の集団だと、私は思います」
反町キャスター
「こういう呼びかけがあったよという話ですけれども、『もし武器がなくても、石で奴らの頭をかち割ったり、車で引き殺し、奴らを恐怖に陥れろ』と。こういう言葉がネットとかを通じて、そういう求めている人達にそういう情報が入っていく。この広報戦略、あるいはメッセージ性をどう見ていますか?」
黒井氏
「彼らは、僕らか見ればテロですけれども、彼らか見るとジハードと言いまして、聖戦。良いことをやっていると、革命運動をやっているという意識なので、それぞれ戦場でもちろん、シリアやイラクの戦場で戦える人間はやれと。来られないのであれば、自分のところでやれと。そういった何でもやるというのを言っていると思うんですね。ただ、それに1つ加えると、そういったジハーディストの人達のフォーラムみたいなSNSの世界があって、そこで同じ様な考えを持っている人達同士で意見交換し、より過激化していくと。このSNSの果たしている役割は非常に大きなと思うんですね」

日本の『死角』と『課題』
秋元キャスター
「ここからは2020年の東京オリンピック・パラリンピックのテロ対策について聞いていきたいと思います。これまでのオリンピックや国際的なスポーツイベントで起きたテロ事件をまとめました。1972年のミュンヘンオリンピックでは、パレスチナの過激派組織が選手村を襲撃し、イスラエル選手団11人を含む17人が死亡しました。1996年のアトランタオリンピックでは、会場近くの公園が爆破され、1人が死亡、100人以上が負傷しました。2013年のボストンマラソンでは、ゴール付近で爆弾テロが発生し、4人が死亡、260人以上が負傷しています。2014年のソチオリンピックでは、開催を控えた前年の2013年の10月から12月にかけてロシア南部の都市で駅やバスを狙ったテロが発生して、合計で40人が死亡、100人以上が負傷と。こういった事件があったわけですけども、米村さん、こうした国際的なビッグイベントというのはテロの対象になりやすいのでしょうか?」
米村氏
「オリンピックはそこでテロをやる。やるというのはテロが成功するということですね、向こう側にとってみれば。それは大きい影響を与えますから、狙いどころだなと思います、ここは。本格的にと言ったら何ですが、ミュンヘン五輪は明らかに、ブラックセプテンバーという連中がパレスチナに捕まっている連中の奪還を狙ってやつで、完全にこれは、現場は失敗しましたけれども。それから、アトランタとボストンについて言えば、これはローンウルフ(一匹おおかみ)的なテロだなという感じがします。それから、ソチ五輪は、これはオリンピックというよりも、その前の段階の、国内テロの可能性が非常に強いなと思いますね。ですから、そうは言っても、今申し上げたような、昨今のコンテクストから言えば、オリンピックについて言えば、あらゆる形でのテロを想定して、その対策をとっていかなければいけないねというのは実感としてはあります」
反町キャスター
「中山さん、どのように感じますか?」
中山議員
「実際、北京は公安が表に出ていますけれども、実際のオペレーション部隊は、イスラエルの企業、民間の人達の協力が随分あって北京五輪というのはきちんと成立していたんですね。ですから、そういう背景を、私どもはちゃんと分析をしていくと。あとはネットワークの時代、いわゆるインターネットレイヤーも含め、電波もそうですし、自衛隊の根幹通信を民間企業が請け負っているというのはおそらく日本ぐらいだと思うんですね。そういう軍事組織の情報ネットワーク。オウム(真理教)は当時の電電公社に工作員を潜入させていたぐらいですから。そういった内側も外側も含めて、どうやって防衛を、ハードルをきちんとかけていくか。ですから、日本人の意識、企業に勤めている人も日本人だし、外に普通に歩いているお母さん、お子さん方、特に弱い人達をどうやって守っていけるか。そのための、生命と財産を守るのが、究極の政治ですから、そのために必要な命を守る予算、インフラはきちんと整備すべきだと私は思います」
黒井氏
「他の国と比べて、日本は海外のテロリストが潜入し、準備するというのは非常に難しい。出入国も難しいし、武器の調達も難しい。それから、彼らが街に溶け込んで隠れる場所もない。たとえば、中東系の人達はだいたい目立ちますから。言葉も通じない。そうであればわざわざ難しい日本に行かなくても、ヨーロッパやアメリカでテロができてしまいますので、そういったところの方がモチベーションとしてはあるのかなという気はします。ただ、先ほど来、お話が出ているように、感化されて、個人として、もしくは2人ぐらいの兄弟とか、グループで、何か大きなことをやってやろうという人は必ずどんな世界でもいるんです。そういったものをもちろん、そういった『イスラム国』のネットワークに関しては欧米の情報機関と協力をしながら水際で止める、入れないというのが必要ですし、そういう通信ネットワークの情報があったらその裏をとる作業をしなければいけないですけれども、それといかに、1番実は怖い暴発予備軍というのをどう退治するのかというのは、これは手がない」
反町キャスター
「やりようがないですよね。要するに、社会、日本社会に不満を持っている人達のリスト、警察だってつくっていられないというか」
米村氏
「ないでしょうね」
反町キャスター
「大変ですよ。たとえば、病院に通っている方々のリストを全部持っているとか」
米村氏
「ただ、私は9.11のテロが起こった時、警視庁の公安部長をしていましたけれど、実感があると思ったのが1つと、日本のイスラム・コミュニティを孤立化させないという対策が必要だと。それから、イスラムの人達は別にISを全部が全部、称賛しているわけではない。ダーイッシュと軽蔑しているのが基本です。そうすると、イスラムの社会の、日本のコミュニティの中の人達も、こんなテロがあったら大変だねというのは、皆、思っているわけですから。そこのコミュニケーションが重要だと。いろんな対策はとっていく必要があるとは思います」
反町キャスター
「先ほど、潜入という話からすると、ダッカの事件でしたか。バングラデシュの教員が日本で教職に就いていたという話がありました。そういうのをこれが長期的な日本へのISに対する潜入工作なのか。たまたま日本でそういう職業を持っていた人がシンパだったのか。そういうのはいかがですか?」
黒井氏
「潜入工作の可能性はまずないと思います。たまたまそういう人がいて、高学歴の大学のそういった仲間のところで、もしかしたら今回の教員の話というのは、実はまだわからないですよ。本当に過激派かどうかすらもわからない状況です」
反町キャスター
「向こうで、そういう情報が出ているんですよね?」
黒井氏
「出ているんですけれども、まだちょっと具体的に本人が見つかっていないのでわからないですけれども、もしそういう人がいたとすれば、おそらく本国の仲間との連絡のうえで、徐々になって、活動の場を海外にということで日本から引き上げたというのが自然かなと思うんですね」
反町キャスター
「先ほどの、中山さんの指摘にあった、たとえば、北京オリンピックの警備においてイスラエルの民間警備会社ですよね?」
中山議員
「そうですね」
反町キャスター
「そこの力も借りた。そういう、いわゆる日本の警察の力、プラス日本の民間の警備会社ではなく、専門のそういう海外の会社の力を借りるというのを、オリンピックでは選択肢として検討対象になるのですか?」
米村氏
「ノウハウとしてはどういうのがあるかなというのは検討対象になると思いますね。実際問題、人的なパワーとして使うかどうかというのは、今のところ考えていません。国内の警察であり、あるいは警備会社、人的な部分ですね、そこはその中で考えていっていいのではないかなと」
反町キャスター
「現在、警察と警備会社と言われましたけれども、軍を使うかどうか、抑止力として。ここはどうですか?」
米村氏
「これは是非、私も聞きたいと思うんですけれども、日本では、要するに、自衛隊を使うということは非常に限定的な話になってくるんだろうなと思う。現にブラジルでは最近になって、さらに軍を投入していますし、ロンドンでも、オリンピックの行われている場所まで軍隊を投入したという形がありますけれども、では、日本で自衛隊を使うと、治安出動ですかという話になってきますよね」
反町キャスター
「特別立法が必要になってくるのですか?」
米村氏
「特別立法どころの話ではないと私は思いますが、治安出動というのはご承知の通り、警察庁としてはとても対応できませんねと、警察がギブアップしている話ですから。そういう問題ではないだろうなと。ただ、自衛隊の持っているノウハウが、いろいろな、たとえば、空の警戒、これは当然、自衛隊で対応していただくという形もありますし。万万が一にも、化学テロが起こった時にどう対処するかという問題がありますし、いくつかのパーツはあると思うのですが、街頭に、あるいは抑止力として自衛隊に出ていただくという選択肢はかなりハードルが高いというか、大問題になるのではないでしょうか、中山先生にお聞きしたいです」
中山議員
「いや、まさに今、元警視総監がおっしゃられた通りでして、まさにこれは防衛省の資料です。今おっしゃったように空からの警戒監視、それから、オウム(真理教)の時、サリンテロがありましたが、まさにNBC対応という形で警察と連携するということが正確だと思いますが」
反町キャスター
「そうすると、政府与党としてはオリンピックの警備に向けては自衛隊の、いわゆる抑止力としての見える形での参加というのはあまり念頭には置いていない?」
中山議員
「だろうと思いますし、スポーツイベントにそぐうような、雰囲気を壊さない警備警戒体制というのが重要だと思いますし、そういった意味では、慎重な対応をしなければ逆にイベント自体が崩れてしまいかねないと思いますので、安全と警戒、そういうもののバランスというのは重要ではないかなと思いますね。あともう1つ言えるのは、距離は確かに、地政学的にはあるんですよ、中東とか、ISが活発に活動しているところからは。だけど、たとえば、IT(情報技術)使って、仮に今、病院とか、電子カルテ化されていますよね。では、病院に日本時間の夜、人手が薄い時に侵入をして、カルテを改竄しましたと。たとえば、違う患者に、違う患者の薬をあてがって、ある時、点滴や薬をうったら、看護師と医師が間接的にテロリストによって動かされて、患者が命を奪われると。そんなことでのサイバーテロが具体化し、1番恐ろしい人の命を奪いかねない事案。中山さん、そんなことは起こり得ないよという人がいるかもしれない。だけど、これは想像力ですよね。どこまで対応するか、どこまでできるかが現実、それを含めて、人の命を守るなら、そこはコストをかけてでもやるのだと言うのか、どうするのか。まさにそこの判断も求められるのではないかと思いますね」
反町キャスター
「中山さんはこう言うのですけれど、米村さん、オリンピックをご担当されている立場からすると、想像力を働かせて、こんなリスクも、あんなリスクもあると言ったら、際限ないですよね?」
米村氏
「際限ないことはないですよ。想像力を働かせるというのは大変重要なことですが、単に想像しただけでは意味がないので、だったら、どうするのですかという対策なり、準備が必要なわけですね」
反町キャスター
「いやいや、僕が申し上げているのは、想像をするのは際限ないですが、それに対応していく予算措置は際限がないという意味です」
米村氏
「それはあまり考えたことはないですけれども」
中山議員
「人の命を守るための予算はきちんと確保をすると。いつか官邸にドローンが落ちた時がありましたよね。あの時は想定外なのか想定内なのかは別として、逆にきちんと対策を。たとえば、オリンピックの会場にドローンはどうするのか。あのあとの、あとづけかもわからないけれども、法律もつくって、皆きちんとやっているわけですよね」
黒井氏
「脅威の評価というのが大事で、日本はヨーロッパやアメリカと違うので脅威のレベルが違うのですから、それに対応した適切な警備の規模と言いますか、体制が必要で、何でもかんでも想像の限りで、万が一、万が一と全部やっていくというのは非現実的だと思うんですね」
米村氏
「今、誤解があったら困るんですけれど、私は経費のことを考えていないわけではなくて、もともと警備は、やるべき警備はやらないといけないという形ですね。それは情報があれば、情報に見合って、レベルが上がるケースもあるし、これなら大丈夫だろうねというケースがあるだろうし、それは今後の判断だろうと思います。ただ、ベーシックにやるべき警備はきちんとやっていかなければいけないということで、それは先にコストがあって、ベーシックな部分までどうするという話ではないでしょうということです」

『国際テロ情報収集ユニット』 狙いと機能をどう評価
秋元キャスター
「政府は国際テロ情報収集ユニットを発足させました。この組織の発足から半年が経ちましたけれども、いかがですか?」
米村氏
「やっている人は大変だなとつくづく思います。このユニットの要員として、おそらく海外展開して、何らかの形で情報をとっていこうねという形ですね。ところが、相手国から情報をとる、あるいは情報機関から、情報機関はいろいろありますから、軍の情報機関ももちろん、あるわけで、餅は餅屋のところでそういうカウンターパートとしてどういう人がセレクトされて選ばれているのか、しかも、センスも必要です。雑多な情報の中いろんな話を聞き、これは大事だなという情報をどうやって把握できるかという能力の問題ももちろん、ありますし、それから、相手の情報機関との、要するに、関係、これが極めて重要で、ペルーの人質事件の時、私は現場にすぐ行きましたけれども、もともとあそこの国家警察局とはパイプがあったんですけれども、残念ながら私の知っている人は全部人質になっていたという。出てきたのが初めて会う代理ですよね。けんもほろろだったですよ、最初の時には。ここをどうやって信頼関係をつくって、情報のやりとりができるようになっていくかという意味では、ある意味では、長いプロセスがいるなと思うけど、そうは言っていられない。少なくとも人は変えないでほしいと。その人の能力を高める勉強も非常に大事だなという感じがします。それと、もう1つは収集した情報をどうやって分析するか、情報は結論からするとバラバラです、はっきり言うと。しかも、前々から言っているんだけれども、情報というのは決して事実ではない、あくまでも事実の投影だ。そうすると、いろいろな情報源からとってきた情報を重ね合わせて、分析するというのか、果たして、そこで具体的に想像力を持ってどういう事態が情報として今後あり得るだろうかと。そこの分析の問題も非常に難しい。アメリカはそれで失敗している」
反町キャスター
「いつ?」
米村氏
「9.11で失敗している」
反町キャスター
「国際テロ情報収集ユニットのスタッフは20人ということですが、情報の収集と分析をする?」
米村氏
「収集と分析は一緒にできません」
反町キャスター
「20人で収集役と分析役とを分けるのですか?」
米村氏
「それだけではないと思いますけれど。防衛省、警察庁、外務省なりのそれぞれの、これまでの過程の中でパイプをつなげている部分もあると思いますが、さらにそれを強化しようというのがユニットで、そこで収集力を高めようと。問題はそのあとの集約と分析、想像力と対策だと思います」
反町キャスター
「各国にも似たようなものがあると思うのですが」
黒井氏
「各国はそんなものではなくて、専門の対外情報機関があるわけですね。日本はそれがないので、それをつくろうという話もあるんですけど、なかなかそれが大変なので、とりあえず外務省に警察の人をトップにしておこうというある種、現場対応みたいな応急措置がこのユニットですけれども、そういったものが初めてできた。形としては結構重要だと思うのは、もちろん、情報収集もそうですけれども、そういった人的コネクションをつくるというのは結構大事で、中山さんもヨルダンの事件の時に苦労されたと思うんですけれども、向こうには向こうの詳しいインテリジェンス・コミュニティがありますので、そういう人達から情報も得るけれども、あといろんな相談をするとか、どうしたらいいのだろうとか、外交のチャンネル、あと駐在武官のチャンネルもありますけれど、それとは別にそういった情報機関のチャンネルというのが日本にはやっぱり欠けていた。もちろん、警察の担当の方がこれまでも海外出張に行ったりしていたのですが、それが1つの入口として、形としてできるのが大きいと。先ほど、米村さんおっしゃったように形はつくったけれど、あとは人を育てる。要は、どれだけ向こうに顔の利く人が育つかというのが1番の肝だと思うんですね」
反町キャスター
「スタッフについてはそのまま片道切符でいいか?処遇とか、キャリアパスとかについてはどう考えていますか?」
中山議員
「ご家族もいるだろうし、人それぞれ役人とは言え、公務員とは言え、家族もあるわけですね。その人の生活がある、想いもある。それをいかに処遇するかというのはキチッと考えていかなければいけない当然のことだと思います。だけど、崇高な愛国心にもとづくというか、国家公務員、公務員になられる方というのは、国家のため、国民のために働きたいという想いが、私は勝っていると思います。その想いを、実際具現化するにあたって国民の理解も得ながら、時には必要な費用というのも捻出しながらやっていくということは当然だと思います。片道切符というよりも、選ばれて、インテリジェンスをやる方というのは、そういったご希望を持っていらっしゃる方というのもある程度、然るべき方が人物を見てやっているのではないかと。どちらかと言うと、警戒すべきは、たとえば、CIA(中央情報局)は先ほど、失敗があったということありましたけれども、スノーデンの事案のように、いくら技術が進化し、いくらいい情報が集まっても、スパイの中にダブルスパイがいたら、結局、ヒューマンエラーで全てが崩壊するんですね。ですから、こういったクリエイティビティとか、どうやってその人物を、信頼度を、信用度を見極めるか、これをどう鍛えていくかの方が実は大事なのではないかと見ています」
秋元キャスター
「情報をもらうだけというわけにいかないですよね?こちらからも相手にメリットあることを提供できないといけないのでは?」
米村氏
「おっしゃる通りで、貰うばっかりではどうしようもないところがあるのですが、『イスラム国』に関して日本に情報提供できるものがあるかというと、ほとんどないです。たぶんないと思う。しかし、それ以外に情報機関に何らかの貢献をするという方法はいくらでもある。考え方によっても、やりようによっても。たとえば、日本のハイテクを提供するとか、向こうの情報機関としてメリットのある話をもちかけるというのは十分あるし、それと国によっては日本が、要するに、得意技という部分の情報を、これはISと関係なく、その情報だったらほしいねという場合があるから、そこはいろんな工夫の仕方があると思いますね。ただ、問題はカウンターパートとして、しっかり認められる組織かどうかという問題です」
反町キャスター
「日本はグローバル・インテリジェンス・コミュニティのメンバーではないと思いますか?」
黒井氏
「要は、日本から提供できるものがこれまであまりなかったと。かつては北朝鮮情報があったんですけれども、日本が得意技としているのは、北朝鮮、中国情報、中国はこれからですけれど、そういったところも含め、まず一目置いてもらわないといけないというのが第一歩。人を育てる、それから、予算をつける、いろんなやり方が必要だと思うんですけれど、いろいろやっていく。もちろん、そういった技術提供も含めてやっていく。あとは、数は少なくてもそういった経験値の高いメンバーが何人かいると全然違ってくるので、そういうやつがいるのであれば、ということありますから、どんどん経験を積んでいただくということをやればまず第一歩ですが、先ほど、ちょっと米村さんともお話したんですけれども、できれば小さくてもいいので専用の機関をつくりたいと。向こうはこういったユニットですと言っても、外務省なのね、ということで、カウンターパートナーは外務省になってしまうというのは最初の入口になってしまうので、そこは日本のインテリジェンス・コミュニティ、できれば官邸直属か何か、形はいいです。ぶら下げ方はどこでもいいと思うんですけれども、小さくても専門の機関が、独立した機関があるというのがインテリジェンス・コミュニティでは常識ですよね。そういったところであれば、より緊密な人間関係がつくりやすくなると思います」
中山議員
「これは町村信孝先生の遺言だと申し上げたいと思います。町村先生は、インテリジェンスプロジェクトチームを立ち上げ、座長を務めてくださって、私どもはキチッと情報をまず守るという意味で、秘密保護法を含めて、情報をいかに共有するかという、法律をつくりました。もう1つ、集めるコレクティングインフォメーション、これをどうするかに関しては、プロジェクトチームでまさにエージェンシーの形をつくりあげていきたいという想い、引き継がれて、我々メンバーとしてやっています。自民党だけなんですね、テロ治安対策というのをキチッと、学生運動が華々しかった時代に立ち上げたというのは。そういう意味では、今、与党としてしっかり政府と連携しながら、こういった提言を総理に、官邸に持っていく。国民の生命と財産を守り抜くという決意をキチッと出していくと」

中山泰秀 前外務副大臣の提言:『超限戦』
中山議員
「これは中国の軍人が2人で書いた共同通信出版から出された本ですけれども、まさに2人の中国の軍人が予測していたのは、9.11前に書かれた本です。サイバーという新たな領域、宇宙という新たな領域、国家ではない国、もしくは組織、そういった人達が攻撃を仕かけてくる。先ほど言った非というフィールドで、これにどう対応していくか。まさに超限戦、限界を越えた戦いというものに対して我々がどう対処できるか。その能力が問われていると思います。全ては想像力だと思います」

米村敏朗 元警視総監の提言:『KEEP CALM AND CARRY ON』
米村氏
「これはイギリスの第二次世界大戦の時の国民向け標語ですけれども、ロンドンオリンピックの時に担当していたという人物と議論していた時に、これから準備が大変だと。テストイベントがすごく重要だということも含めて、そこでいろんな準備をする、をやる中で、本番はKEEP CALM AND CARRY ONでできればいいねと。いろんな情報は確かにあって、それにキチッと対応することは大事だけれども、慌てる必要はない。しっかりと見据えてやっていきたいなという意味です」

ジャーナリスト 黒井文太郎氏の提言:『イスラム社会と過激派を分け、“犯罪対策”で考える』
黒井氏
「要するに、こういうテロ対策の話になった時に、日本はテロにあわなければ、あわないためにはどうすればいいかという話になってしまうんですね。そうすると、では、関わらなければいい、何もしなければいい、鎖国すればいい、みたいな話になってしまうので、イスラム社会に対して仲間としてやっていく部分と、過激派を分けて考える。過激派に対しては完全に犯罪対策として考える。犯罪対策であれば、日本も国際社会の一員として当然、参加すべきだろうなと思うんですね」