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2016年7月20日(水)
訪日外国人を取り込め 『観光立国』への秘策

ゲスト

鶴保庸介
自由民主党観光立国調査会事務局長 参議院議員
星野佳路
星野リゾート代表
デービッド・アトキンソン
小西美術工藝社社長

『観光立国・日本』への秘策 『都心に日本旅館』の狙い
秋元キャスター
「まずは東京大手町に新しくオープンしました、新しい形の日本旅館の『星のや東京』の狙い。今後の展開について聞いていきたいと思います。まず料金ですが、部屋は、桜、百合、菊の3種類ありまして、1泊1室7万8000円から。1番いいお部屋が10万5000円からということですね。部屋数は全部で84部屋。部屋の広さは41㎡から83㎡。ホテルとの大きな違いですけれども、お客さんが玄関で靴を脱ぐということです。エレベーターの中も含めて、館内大半が畳敷きとなっています。地下1500mから湧き出る温泉が引かれていて、最上階に露天風呂もあるということですけれども、星野さん、なぜ東京の真ん中に日本旅館をつくろうと思われたのですか?」
星野氏
「よくそういう質問を受けるんですけれど、東京は日本の代表ですからね。日本の代表の都市の真ん中に、日本旅館がない方がおかしいと思っているんですね。今、見ていただくと、日本のホテル業界は外資系、特にラグジュアリーと言われるカテゴリーは、外資系の運営ホテル会社に圧倒されているんですよね。日本もホテル業界が日本を飛び出して海外に行こうとした時期もありました。ただ、この分野、ホテル業界の分野でどちらかと言うと日本の企業は劣勢に立たされていたんですね。それがなぜかと考えると、私達は好むと好まざるとに関わらず日本文化を背負っていまして、日本人がホテルを運営する、日本の会社がホテルを運営する時には日本らしさというのは期待されるんです。ですから、東京ももちろん、そうですけれども、私達が外資の西洋ホテルと対等に戦っていくには、これまで日本の歴史が培ってきた日本旅館を現代の旅行者に合った形に変えていく。格好良くしていくという方法しかないと思っているわけですね。先ほど、靴を脱いでいただくという話が出たんですけれど、脱いでいただく意味合いというのは、旅館と西洋ホテルの違いとして、私はパブリックスペースのあり方があると思っているんです。旅館の場合のパブリックスペースというのはセミプライベートです。西洋ホテルの場合、プライバシーというのは部屋の中だけです。部屋を一歩出る時は鍵を持たなければいけないし、正装をしなければいけないという感覚があるんです。ところが、日本旅館の場合というのはもともと浴衣を着て歩いていく。裸足ですね、かつ昔の旅館というのは鍵もなくて、簡単に外と中の出入りがあって、外が何か自分の家のようにセミプライベートな感じですね。完全プライベートではないですけれども。それが西洋ホテルと日本旅館の違いだし、日本旅館の実は心地良さだと思っているんですよ。それを実現したいんですね。果たして部屋から外に一歩出た時のプライベート感を演出するために、私達は各フロアに、実はお茶の間をつくっているんです、集える場所ですね」
反町キャスター
「部屋ではないところにコモンスペースみたいなイメージですか?」
星野氏
「そうです。6部屋しか、1フロアにないですけれども、その人達が自由に使えるお茶の間をつくっていまして、そこにスタッフもいるのですが、自由にいらしていただき、仕事するのもよし、お茶を飲むのもよし、お酒を飲むのもよし、時間帯ごとに違ったお菓子を提供し、季節ごとに違った室内を提供すると。これが日本旅館の良さだと思っています。部屋の中と外とのプライベートとパブリックの境が曖昧であるというのが日本旅館の良さで、それがリラックスにつながると思っているんですけれどもね」
秋元キャスター
「そのへんは外国人からするとどうなのですか?ちょっと居心地悪いと感じとかはしませんか?」
アトキンソン氏
「いや、あまりそういうふうには思わないです」
反町キャスター
「アトキンソンさんは大丈夫かもしれないけれども、普通のアメリカ人や外国人の方は?そうでもないですか?」
アトキンソン氏
「そうでもないと思いますね。日本旅館のところで、私の解釈ですけど、戦前のあり方と戦後のあり方があると思うんですね。そうすると、外国人としてなかなか通用しない部分は、要するに、旅館側が全てを決める。それに従うという部分はなかなか通用しないです。だから、寝る時間、起きる時間、部屋で食べる時間、食べるもの。明日の朝、何時に起きる、何時に布団を上げる、何時に出るというのを、全部決めているスタイルです、そういうシステムは通用しない。もう1つ問題になるのは、全部決まっているので、たとえば、この部屋に3人が泊まるとか、4人が泊まるとか、1人あたりということなのに、泊まるスペースとして(金額が決まっているのは)ぼったくりではないのという考え方になるんです。ですから、自分達の考え方は1部屋いくらということで、そこにご飯代とかが入っていないからだと思いますけれども、ああいう戦後の旅館のやり方で、この部屋には2人だろうが、4人だろうが、5人だろうがほとんど1人あたりそんなに変わらないです。とりあえず泊まるスペースの料金がどうなっているのというところです。なぜあれは極端に安くならないのかという部分ですね。これも通用しない部分です。ですから、星野さんに聞きたいぐらいですけれども、自分としては、戦前は1か月旅館に泊まって、ああいうふうに小説をつくった。現在のやり方は戦後の止まってしまったやり方ではないですかね」
星野氏
「泊食分離のことをおっしゃっています?」
アトキンソン氏
「はい」
星野氏
「食事が価格の中に含まれてしまって、1人あたり料金になっているというところに少し慣れないところがある?」
反町キャスター
「1泊2食付2万5000円みたいなやつ?」
星野氏
「そうですね。4人で泊まっても、2万3000円ぐらいにはなるんですけれども、本当は倍になったのだから半分にしてもいいのではないかと。つまり、どこからどこまでが部屋の料金で、どこからどこまでが食事の料金かわからない。曖昧になっているところ、セット料金になってしまっているところに外国人の人から見ると不透明さがあるし、長期滞在しにくくなると。それは確かに日本の地方の旅館は、我々もそうですけれども、経営してきた中で課題は課題だと思っています。ただ、1泊2食料金が未だに日本人は好きなのも事実ですよね。ですから、『星のや』は日本全国でルームチャージと言うんですけれども、1泊1部屋いくらという料金体系に変えてったんですけれど。かつ旅館内のレストランで食べる人もいれば食べない人もいると。軽井沢の『星のや』の場合は半分以上が食べないですね。軽井沢の町の中にいっぱいレストランありますので、そこに行って食べていただいているんですけれども、そうすると、確かに売上げは減るのですが、その分連泊しやすくなるんですね。3泊、4泊する方も出てくるということで、これも旅館の変えていかなければいけない経営のあり方だと思いますね」

日本の『おもてなし』
秋元キャスター
「変わっていかなければいけないという中で、ここだけは、日本旅館としては譲ってはいけないよというのは何かありますか?」
星野氏
「それは大浴場には素っ裸で入らなければいけないというところは変えてはいけないですよ。私は、そこは異常にこだわっているんです。個人的な思い込みですよ。個人的な思い込みだけれど、おもてなしはそういうものですよ。日本文化として日本人が見ておかしいと思うものはダメだと思っているんです。たとえば、アメリカで、寿司と言って最近、牛肉が乗っている寿司がありますけれど、あれは日本人から見ておかしいと思うではないですか。だから、日本旅館も日本人の目から見ておかしいと思うものはまずいと思います」
反町キャスター
「アトキンソンさん、どうですか?旅館と言ったら大浴場だ、全員裸だと、これは受け入れられるものですか?」
アトキンソン氏
「受け入れられる人もいれば、受け入れられない人もいるんですよ」
星野氏
「受け入れられない人もいると言いますけれど、私は30年前に、アメリカに留学をしていた時に生魚を食うという人はいなかったですからね。寿司は食べないと皆言っていたんですよ。それがいまや、私の同級生、皆、寿司を食っていますからね。変わるのではないですか?」
アトキンソン氏
「変わらないと思うんです。ただ、同じように、小西美術の若い人は、日本人でも大浴場に行って、裸になって、知らない人の前で云々ということは結構、拒否している日本人は増えているんですよ。そういうのは各部屋に内風呂というのですか、付けている、そういうのもある。それはともかくとして、1番言いたいのは、受け入れる人もいれば、受け入れない人もいるんですけれど、多様性なので全部、無理やりにこれを飲めというのはないですよ、いろんなものがあって初めて成り立つものなので。よく聞かれる、1番やりたいこと、やらなければいけないことは何ですかということは、その質問は絶対におかしいですよ。いろんなタイプがあって、いろんな人が選択をして、それが全部揃っていれば、観光大国になりますけれども、こうしなければいけないということはないです。もう1つはあるのは、自分として気になるところですけれども、海外から来た人は本物を体験したいということが1番強いですね。星野さんのご指摘の通りで、残念ながら旅館だとか、日本文化で偽物が、海外では牛肉(の寿司)だとか、偽物が増えているのですが、国内も増えているんですよ。ですから、この間びっくりしたのですが、大きな神社さんに行ったら、いきなり畳の上に座って、参拝しているのを見ていたら、その畳、畳ではなく、プラスチックでできているんだなと思ったんですよ。そういうのが結構出たりしているんですよね。ああいうふうに、お茶であっても、これが日本文化ですと。私はお茶をやっているんですけれど、いや、どう見ておかしいよ、と言うんですね。この間、あるところに行って、有名な料亭に行ったら、障子の2枚が逆になっていました。あとお花が全然違うだとか、この掛け軸のかけ方はないでしょうと」
反町キャスター
「障子が逆とはどういうことですか?」
アトキンソン氏
「幹が上です。逆になると不吉なことになっちゃう。そういうのがいろいろあるんですよ。結構、そういうのを見ているんですよ。だから、私としては、今の、星野さんのご指摘の1番重要なところですね、日本に外国人が来ることによって、もう1回、日本文化の素晴らしいところ、本物に目覚めていただきたいというところがあります」
鶴保議員
「外国の方に言われると痛いです。私はちょっと結論めいたことを申し上げるけれども、この議論の前提で(訪日外国人)4000万人の話が皆さんの頭の中にあるので、どうしてそうなってしまうんですけれども、私は個人的に、だからこそ4000万人という数ありきではなくて、次のテーマになるだろうと思うんですけれど、日本の文化を知りたいという人、あるいはたくさんお金を落としてくれる人、それなりに日本でいろんな体験をしてみたいというような人にこそ来ていただいきたいというのが観光政策の本来あるべき姿だと思うんです。ですので、多様性、いろいろあるべきだという話はまったくその通りだと思うし、星野さんのように尖がっていただいて、ドンドン尖がっていただくのも私はアリだと思いますね」
反町キャスター
「大浴場は絶対必要だと、このポリシーいかがですか?」
鶴保議員
「大賛成ですね」
星野氏
「裸で入ることが必要だということ」

目標『2020年に4000万人』
秋元キャスター
「政府は今、アベノミクスの成長戦略における柱の1つとしまして、観光立国の実現を掲げています。訪日外国人旅行者数を見てみますと、円安や観光ビザの緩和という追い風を受けて、2015年には過去最多のおよそ1974万人で、今年も順調で、今日、観光庁は、今年1月から6月の上半期で1100万人を超えたことを発表しています。今後の政府の目標は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に4000万人。2030年には6000万人の旅行者を海外から迎えたいとしているんですけれども、鶴保さん、2020年まであと4年。最近、円高傾向も懸念されていますけれど、この目標というのは達成できそうですか?」
鶴保議員
「今の話の流れからすると、私は個人的には4000万人ありきではいけないとは思っているのですが、いろいろな問題点も出てくるであろうことを踏まえて、4000万人ぐらいはやるべきではないかという想いで、その達成は十分可能だとは考えています。各国でそれぞれオリンピックの前の年、その前の年というものをプロットした統計みたいなものがありますけれども、だいたい判で押したように、ずっと上がっているんですね。下がった国なんてほとんどありません。そのままずっと上がっていって、オリンピックが終わったあとで少し落ち、また上がるみたいな、こういう状態がずっと続くんです。従って、4000万人ぐらいまでのところまで、とりあえず私達は2020年を目標にしてやっていけるのではないかと。もちろん、円高要因だとか、いろんなことはありますけれども。まずはオリンピックを目標にという目標は達成できるのではないかと思います」
反町キャスター
「そうすると、2020年から2030年、右肩上がりに一直線につながっていますけれども、多少2020年のあと1回ショックがあるかもしれない?」
鶴保議員
「あるかもしれない。当局はあまり言わないけれども」
秋元キャスター
「アトキンソンさんは、政府目標、達成できると思いますか?」
アトキンソン氏
「これは達成できるというのは、達成しようと思えばできるでしょうし、受け入れ態勢をちゃんとやっていけば、民間調査の、民間の努力次第で十分にできると思います。2つあるんですけれど、そもそも全世界で11億3300万人の外国人観光客いますからね。日本は129か国中126位ですから、今は。ですから、こういうところが…」
反町キャスター
「インバウンドが、ですか?」
アトキンソン氏
「受け入れが。127、8、9位というのは、中央政府が崩壊している国で、誰も行かないというところですので、実質的に最下位ですよね。ですから、今は世界の水準がこうなっていまして、日本はここから始まっていますので、こういうふうになったからと言って、キャッチアップなんですよ、ただ単に。ですから、大きく増えているのですが、それは少な過ぎるから。本来のあるべき姿を達成していくということですね。努力次第で十分できると。実際に日本国内に潜在している資源から計算すると、2020年というのは、本来は5600万人の潜在能力はあるんですね。その7割を受け入れ態勢の努力によって実現していきましょうよと」
反町キャスター
「5600万人は、どういう意味というか…」
アトキンソン氏
「普通で考えれば、このぐらいの資源、潜在能力としては、全世界との比較でだいたいGDP(国内総生産)の平均のところだとか、国民に対する何割というのが普通の考え方ですから、そうしますと、5600万人というのは日本人の、現在の人口の半分ぐらいですけれども。フランスを見れば6500万人の人口に対して8375万人が来ていますので、それが高い目標かというと、高くないですよ。割と保守的なものだと私は思います。ただ、受け入れ態勢ができていないので、それは磨いていって、どこまでやっていけるのかということがポイントになりますね」

円高傾向の影響
反町キャスター
「鶴保さんは円高によって訪日インバウンドが減るのではないかと」
アトキンソン氏
「それは間違っています。グラフを見れば、だんだん上がってきているんですよね。そうすると、政策転換でビザの条件を緩和すると同時に、安倍政権が円安に持っていこうとしているという動きもしていまして、たまたま同じところが一緒に動いているんです。ただ、注目をしなければいけないですけれども、長いトレンドで見ますと、実際に円高が要因というのは、観光に対してだいたい3割ぐらいの説明要因しかないです。ですから、この辺はビザの緩和で90%ですので、これしか知らない人は円安になっているし、人が増えているのだから、円安だからと言っていますけれど、これは根本的に間違っているんです。偶然一致しているだけ。私が初来日した1990年は146円だったんです。その時に400万人しか来ていないです。円安ということをいうのであればなぜ現在105円ぐらいで2300万人ぐらい来るのに、146円の時代ではそのぐらいしか来なかったのか。これを説明する必要もあります。ですから、長いデータを見れば、偶然にあるように見える相関関係は、統計上はないです」
反町キャスター
「鶴保さん、円高は関係ないではないかという意見はいかがですか?」
鶴保議員
「異論がありまして、もちろん、最後の部分はおそらくそうだろうと思います。先ほど、言った数の問題を言えば、アンケートをとっても日本にインバウンドで来られるお客さんの最大の障害は値段だというのが1番ですから。値段が安くなったと言って日本に来られたお客さんがすごく多かったんです、伸びている間は。ですので、円高になってから、爆買が減ったとか、いろいろ出ていますけれども、これも少し懸念をする要因ではあると、私達は思っています」
反町キャスター
「星野さん、いかがですか?円高は客足に影響しますか?」
星野氏
「円高は日本のインバウンドの数に影響すると思っています。アトキンソンさんとは違うんですけれども、実は、私は4000万人という数は、ポテンシャルはあると思っているんです、日本には。ただ、2020年に達成できるかどうかというのはちょっとハードルの高い目標だと思っています。なぜかと言うと、現在の2000万人が、本来の実力ではない部分があると思っているんですね」
反町キャスター
「下駄を履いているのですか?」
星野氏
「下駄を履いていると思っている理由は、1つは、世界の旅行市場が伸びているという話がありましたけれど、それは事実ですね。それは全世界共通です。そこにたまたまですけれど、円安という理由が重なった。プラス実はテロの時期だったんです、この3年、4年、5年。ですから、世界の増えている旅行者は、中東とか、エジプトとか、チュニジアとか、場合によってはフランスまで、行き先をちょっと失っているんですね。今、世界の旅行者はどちらかと言うと、旅行先を選ぶ時に安全という基準にするような年に、ここ3年、4年なっています。それが本来の日本の数字を実力以上に伸ばしたと私は思っているんです。それはいずれある程度コレクションが来るのではないかと思っています。もう1つですけれど、たまたま日本に、先ほど、昔はもっと円安だった。世界の旅行人口が伸びているところは、実はアジアに集中しているんですよ。ビザの解禁という話があったんですけれども、それは昔から、アメリカやヨーロッパはビザがないですから。解禁をしたのは中国ですね。中国のアウトバウンドはすごく伸びていて、たまたま地理的に非常に近いということが日本に有利に働いているんですね。なので、そういう理由であったので、私は、百四十幾らの時のインバウンドの数と、今の数では中国のあり方が違うので、鶴保さんがおっしゃる通り、円高というのはインバウンドの数には、私はマイナスに働くと思っています」

インバウンドを地方へ…
秋元キャスター
「今後、どうやって日本の潜在能力を活かして、訪日外国人旅行者数を増やしていくのかということですけれど、こういった現状があります。観光庁が調査した訪日外国人の訪問先のTOP10です。1位から7位まで大都市圏が占めていまして、8位にようやく北海道、9位に兵庫県、10位に山梨県となっているのですが、つまり、日本を訪れる外国人は大都市に偏っていて、まだまだ地方まで広がっていないというのが現状ですが、今後、訪日外国人旅行者、つまり、インバウンドを地方にも拡大していくために、どういう対策が必要になってきますか?」
鶴保議員
「外国の方が来られる中で、日本に何を求めて来たかにもよりますけれども、高い言葉の壁、それから、交通手段の不明瞭さみたいなものが、トップ3で、ずっときているんですよ。それを見た時に円安、円高の話はあるにしても言葉の壁であるとか、そういうものは、まず我々の方でできる限り取っ払ってあげていきたい。そこで、Wi-Fiの整備、あるいは交通標識とか、そういうものを世界標準にしていきましょうとか、ピクトグラムにも対応しましょうとか、そういったことを中心にこれまでやってきました。それを地方にという時によく見ると、まだ地方はそこまでできていないような気がします。なおかつ地方からの情報発信も、Wi-Fiも整備されていませんし、ちょっと少ないですよね。それを国がどこまでできるかわかりませんが、全国のポータルサイトみたいなものをつくって、情報発信をするような仕組みができないかということを検討していただいています。そういったところで、まずは地方の情報発信。地方に目を向けていただくということ。それから、海外で、たとえば、シンガポールでは、車を運転したいと、右ハンドルで。そういうお客さんがいる、要望があると、割と個人所得が高いものですから、どこへ行くかというと日本へ行って、日本は右ハンドルですので、右ハンドルのリピーターのシンガポール人が、関西空港に入って、関西空港からどこへ行くのだと言われた時に京都はもう行ったから、今度は南の方に行ってみようと。和歌山ですけれど」
反町キャスター
「和歌山、ちなみに24位でした」
鶴保議員
「はい。そういう国ごとにニーズがありますよねというものを的確にもう少し、私達がニーズを捉え直して、そういう商品を売っていくみたいなこともやっていく必要があるのではないか。いろんなことを考えていく必要があるのではないかと」

『民泊』がもつ可能性
反町キャスター
「この問題で聞きたいのはホテルが足りないという話がある中、民泊をこの番組でも何回か取り上げたことがあるのですが、民泊をどのように考えていますか?」
鶴保議員
「基本、ニーズがあるところは、私は必要だと思っています」
反町キャスター
「星野さん、民泊を評価されていますか?」
星野氏
「私は評価をしています。シェアリングエコノミー、そのものを評価しているのですが、それはIT(情報技術)というものが今、世界の旅行業界を変えようとしていて、これがドンドン、民泊だけではなくて、進んでいくと1つの世界旅行をする人達にとってのスタンダードなサービスになりつつあると思うんですね。ですから、民泊もそうですし、タクシーもそうです。シェアリングエコノミーそのものが世界旅行する時のスタンダードなサービスになってくる。それが日本に行った時だけないというのは、日本の観光産業の競争力を落とすと思っているんです。ですから、民泊の導入の仕方にはいろいろ議論があると思うんですけれども、ただ、これは拒否してはいけなくて、私達もITが旅行業界を変えようとしているわけだから。それを有利に早く日本に取り入れ、当初いろんな課題があるかもしれませんけれど、解決していく策に前向きに捉えていくというのがすごく大事だと思っています」
反町キャスター
「アトキンソンンさん、外国人の方が日本に来られた時にホテルは高いし、いっぱいだから民泊しようと言って泊まられる方がいたとして、その人達が、日本に来て泊まって良かったな、もう1回来ようかと。要するに、民泊で泊まった人達が日本で良い思い出を持って、また来る、リピーターになるのかどうか?そこが疑問なんですよ」
アトキンソン氏
「これは先ほども申し上げた多様性のことですね。これまで、たとえば、円安、円高ですとか、いろんな問題で今、2000万人ぐらいの外国人観光客が日本に来ているんですけれども、世界水準からすると極めて少ないです。そうしますと、来ていない人はなぜ来ていないのかというデータの方が、なぜ来ているのかというデータより重要です。マーケット大きくなればなるほど今、来ている人達のデータが重要になってきます。現在はそうはならないですね。今ですと、アジアの中でも中国がかなり割合を占めている中で、中国から来ている人達は格安で来ているとか、船で来ていると、割と低所得の人達が多いです。中ぐらいとか、富裕層というのですが、ほとんど来ていないですね。富裕層とか、中間からすると、それは、たとえば、星野さんのところにお泊りになる人はそれなりの所得を持っているから、それが105円だろうが、110円だろうがそんな変わらないですよ。ただ、たとえば、中国から福岡に入ってきている人達はだいたい1万5000円で来ていますので、1万5000円を出せる人達が来ていますので、そこで、円安、円高があったりすると敏感に動くんです。民泊も同じ話。たとえば、ビル・ゲイツが日本に来た時、民泊に泊まるかというと、おそらく泊まらないと思います。ヘッジファンドの人達はそういうところに泊まるかというと、泊まらないと思います。民泊の場合ですと、多様性の話で、いろんな選択肢の中の重要な1つですけれども、民泊さえできれば、観光立国ができるかというと決してそういう事実はありません。そう考えれば、高いところに泊まり、ブティックまわって、いろんなものがあって、地方もいろんなものがあって、初めて成り立つものなので、1個のこれで成功すれば、絶対成功するということはないです。そういう意味で、これまでは来ている人達は、特に欧州は11億3300万人の、世界の観光客の中で、欧州人で世界に観光している人は5億7500万人で半分以上を占めているんです。その人達がどのぐらい日本に来ているのかというと100万人ぐらいしか来ていないです。要するに、世界最大のマーケットから100万人しか来ていないです。アメリカは1億9000万人しかいない中で120万人ぐらい来ていますので、アメリカの方がより成功しているんですけど、欧州は1番大きいマーケットで、それでまだ全然できていないですよね。この人達は日本に来るためには時間がかかりますし、お金がかかりますので。所得の中間層としては多いです。その人達が来れば、円安、円高の問題はある程度緩和することできますし、民泊はバックパッカーには有利ですけれども、中間層にはなかなかそうならないです。ですから、民泊大事な1つですけれども、そういうのは特効薬的なものではないですよね」

消費額アップへの戦略
秋元キャスター
「政府は、訪日外国人が日本旅行に使った金額、つまり、旅行消費額が2015年はおよそ3.5兆円。1人あたりおよそ18万円を消費しているのですが、それを政府目標では2020年に8兆円、2030年には15兆円に増やすという目標ですね。これはどうでしょうか?達成可能なのでしょうか?」
鶴保議員
「こちらの方は、だから、考えるべきですよ。達成可能かどうかではなくて、先ほどの訪日者数の数ではないけれども、達成させるんです。こちらはやるべきです」
反町キャスター
「人数よりもトータルの、はっきり言って、金額の方で日本は観光戦略を考えていくべき?」
鶴保議員
「私は思います」
アトキンソン氏
「これは難しいところで今、ご指摘の通りで、1番の目標は金額ですよ。これまでは数だけだったんですけれども、今、この間の目標設定の時に初めて設定されたんですけれども、こちらの方が一次的です。ただ、言うまでもないですけれど、要するに、人をがんがん呼んできて、言うのはなんですけれど、お金のない人をどんなに呼んだからと言って、経済効果が出てこないです。だけど、1人だけ呼んで15兆円出してもらえるかというと、それもないです。ですから、15兆円を実現するためには人数はどうしても要るんです。ただ、これまでの話にありましたように、どういう人なのかというのが大事であって、ただ単に頭数集めみたいなことはやめようよということになっていまして」
反町キャスター
「IR(統合型リゾート)はいかがですか?カジノ」
鶴保議員
「カジノは日本の文化を求めてくるかという問題があります。反対ではないですよ。カジノで富裕層だけ来てくれればいいと言うならば、いいですよ。しかし、お金持ちだけですかと、そうでもないですよね。日本文化を知りたいと言っている人達にも、来てもらいたい」
星野氏
「実は既に、昨年、2015年に日本人による日本国内観光というのは20兆円以上あるんです。ですから、インバウンドを15兆円に伸ばしていくのに、長期的にトライしていくのは非常に重要です。成長がいちばん激しいですからね。日本の今の数は成長しないですけれど、ここをどう維持していくかという施策も同時に重要ですし、そちらが落ちていくと、インバウンドを伸ばしても相殺されてしまいますから。そこを落ちないようにすることも日本の観光にとって大事。観光産業全体で考えていかなければいけない」

満足度を高めるための方策
秋元キャスター
「日本に何度も来てもらうためには何が足りないのですか?」
星野氏
「日本の観光立国戦略会議というのが小泉内閣、自民党がつくり、そこから観光庁が誕生し、数字を見ていただければインバウンドはバンバン増えています。全体としてはうまくいっているということを把握することが大事ですね。そのうえで足りない部分がいくつかあると思っていて、1つは人材だと思っているんですよ。各地域がPRするということですね。世界の人を呼んでくるのは、実は政府の仕事ではないと思っていて、自分の地域にはこんなに魅力があるのだというのは地域の民間企業が本来やらなくてはいけない努力ですね。人の問題もあるし、予算の問題もある。利益があまり出ていないということですね。観光市場の24兆円ぐらいの需要があるのですが、この市場というのは、日本で5番目に大きい産業ですよ、既に。収益性がよくないので、結果的に人にお金がまわらない。非正規雇用が75%。世界でプロモーションするだけの予算がそこから出てこない。全て収益率ですね。今後手を入れなければいけないのは、産業全体の生産性をどうするのか。そこから収益を出して、いかに健全な競争環境の中で、伸ばすべきところを伸ばしていくのかという視点が大事だと。需要ばかりの議論をするのでなくて、生産性の議論をすることが今後大事になってくると思っています」
鶴保議員
「政府がというよりは、これは民間にもっとやりやすくしてあげること、この制度をつくってあげることだと思いますね。地域のホテル、旅館の方が、周辺の観光資源を1番よく知っているではないか。そういう人達がホテル、旅館で旅行商品を売りやすいようにもっとし易くできないのかみたいな話をずっと星野さんはしておられましたけれど、私達もまったくその通りだと思っているんです。ですから、既存の旅行業者の方々とどう折り合いをつけてコラボして、観光資源を売り込むことができるのか、全体としてのパイを拡げることができるのかについて積極的に議論が始まっています」
星野氏
「旅行業法の問題です。旅館業法という古くからあるものをどう規制緩和できるか、新しい時代に合わせられるのかという議論を今自民党の中でしていただいているということです。私達は日本全国一律の法律で縛られているわけですね。地域らしいモノをつくろうとしても地域らしいものを、特長をだせなかったわけです。サービスにおいても地域のいろんなアクティビティの人達と一体となってやっていこうと。ホテルがアクティビティを紹介するではないですか。その時に手数料は入ってこない。旅行をつくることになるので。ホテルはエージェントではないですから、旅行業者ではないので。昔は法律ができた時はしっかりしていたんですよ。それが新しい時代、インバウンドの時代、個人旅行の時代になった時少し合わなくなってきた。それを見直そうということが観光庁の中で必死に議論されているので、全体としてはいい方向に進んでいると思っています」

デービッド・アトキンソン 小西美術工藝社社長の提言:『多様な観光資源をとにかく磨く事』
アトキンソン氏
「いろんな種類の観光資源をとにかく磨くことです。たとえば、文化財になりますと、解説をきちんとした形で、歴史だとか、文化を学んでもらうこと。今はできていないですので」

星野佳路 星野リゾート代表の提言:『海外+国内合わせて需要の平準化』
星野氏
「国内需要が大きいという話をしたのですが、それが一部の休日に集中していることが日本の観光産業全体の生産性を下げ、満足度を下げ、混雑を生んでいると思っています。大きな市場を国内に抱えているということは日本の最大の武器です。これを平準化させて、地方の観光事業者が利益を出しやすい形にすると、それが日本の観光の成長につながっていくと思います」

鶴保庸介 自由民主党観光立国調査会事務局長の提言:『自信』
鶴保議員
「自信を持ってやりましょうということなんですが、本当は司令塔をつくりたいと書こうと思ったのですけれども、それよりも今日は一般的に自信を持ってやりましょう。いいものがありますからね、日本は」