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2016年7月12日(火)
櫻井よしこが緊急提言 南シナ海領有権で裁定

ゲスト

櫻井よしこ
ジャーナリスト
小野寺五典
自由民主党政務調査会長代理 元防衛大臣 衆議院議員
山田吉彦
東海大学海洋学部教授

櫻井よしこ×小野寺五典 南シナ海裁判『九段線容認せず』
秋元キャスター
「南シナ海の領有権問題を巡る領有権の主張は、法的根拠がないとして、フィリピンが起こした国際仲裁手続きで、オランダの仲裁裁判所が最終判断を下しました。中国が独自に設定しました九段線という境界線をもとに、南シナ海、ほぼ全域の領有権を主張していまして、岩礁の埋め立てを進めています。今回、フィリピンは中国が九段線をもとに領有権を主張することなど15項目について訴えていたのですが、今回、この九段線についても判断が出されています。仲裁裁判所の判断は中国が歴史的権利として主張する九段線について国際法上の根拠は認められない。南シナ海における岩礁の状況について、スカボロー礁、ジョンソン礁、クアテロン礁、ファイアリクロス礁、ガベン礁、ケナン礁については岩である。スービ礁、ヒューズ礁、ミスチーフ礁、セカンドトーマス礁は低潮高地であると判断されました。フィリピン船への危険な行為や環境破壊など南シナ海での中国の活動は国連海洋法条約に違反していると。また、中国の島々の開発について当事国同士の紛争が悪化するのを防ぐ義務を果たしていないと。このような判断が下ったわけですけれども、まず山田さんから聞いていきたいのですが、中国が歴史的権利として主張する九段線について、この判断については、まずどう見たらいいのでしょうか?」
山田教授
「中国の言っている、管理している、昔から中国が使っていた海だということが根本的に否定されたと。中国人だけの海ではない。他の国の人々も漁をしていた。要は、公共財としての海であるということがあらためて確認されたと。一方的な、中国が思っている南シナ海は中国の管轄下にある。だから、中国が警備していく。あるいは中国の軍艦が自由に通っていくということは考えられないということが明確に指摘されました」
反町キャスター
「歴史的な、国際法的な、国際法から見た場合の根拠がないという判断が示されたということだと思うんですけれど、それによって、たとえば、中国が、様々な岩やら岩礁やらを埋め立ててつくっている基地の有効性は否定されたのか?直ちに撤去をしなさいという判断まで示されたのかどうか。そこはいかがですか?」
山田教授
「そこは具体的には言及されていないんですね。1つ言及されているのは、ミスチーフ礁。ここは具体的にフィリピンの管轄権を脅かしている、阻害していると。本来はフィリピンが管轄権を持っている海域であるということが指摘されています」
反町キャスター
「それはフィリピン本土から200カイリの中だからという意味ですか?」
山田教授
「そういう解釈になると思います。フィリピンの管轄下にある低潮高地を埋め立てて」
反町キャスター
「低潮高地とは暗礁ですよね?」
山田教授
「暗礁です。要は、満潮の時に海面下に沈むのが低潮高地であるということで、そこを埋め立てても、それは認められないのだと。要は、逆に言うと、そこの権利を持っているのはフィリピンだということを指摘しています」
反町キャスター
「そうすると、今回の九段線に関しての国際仲裁裁判所の判断。国際法的な根拠はないという九段線に対する判断は示したものの、他の建設中の基地について、これは直ちに撤去しなさいとか、そこの部分の踏み込みはなかったということ?」
山田教授
「そこはないですね」
反町キャスター
「ミスチーフだけはフィリピン本土からの200カイリの中にあるということもあって、そこの部分を埋め立てて基地にするのは、これはおかしいよと、この判断は示されたと。櫻井さん、いかがですか?この判断。」
櫻井氏
「私は、これまで日本は歴史問題などで、国際社会からいろいろな批判をかなり浴びてきたんですけれども、今回のハーグの判断は非常に素晴らしいと思いますね。それが意味するものは、実はすごく大きな構図の中で、国際法を守る国々と、国際法を破る国、いわゆる正当な国々と無法者の国の、その対立がここでどのようになるかというのがよくわかるわけですね。中国は既にこの判断を受け入れない、この裁判所そのものを認めないと言っているわけですから、私達は容易ならざる価値観を持った中国という国とこれから対処していかなければいけない。反町さんがおっしゃっていたように、つくってしまった島はどうなるのですかということは言っていないわけですね。この判決を受け入れないといけないですけれども、それをどう実行をするかということについてのメカニズムとか、その力が要るわけですけれども、そこのところが今、欠落している。だから、国際社会にとっては、我々の方に正義の旗は渡されたんだけれども、この正義の旗を現実に結びつけるにはどうしたいいのかというのが問題になるんですね。これは非常に机上の空論ではなく、日本国も関係のあることで、日本国は現在のような状況で果たして何ができるのかということを、私達自身が考えなければいけないと思います」
反町キャスター
「小野寺さん、いかがですか?今回の判断、九段線に関して国際法的な根拠はないとした、そこの部分、どう感じますか?」
小野寺議員
「まずあらゆる国際会議で中国がいつも主張する南シナ海の領有問題の根拠が国際的にはまったく否定をされたということですから、中国にとっては大きなショックだと思いますし、また、これから中国が国際社会、いろんな国際会議で、いろんな発言をしても、既にその話については仲裁裁判所で、一定の判決が出ているということで、全て、私どもとしては否定をして、その先、今度は具体的な問題について、たとえば、この埋め立てはどうなのだとか。あるいは今後、中国がいろんな圧力をかけてきた場合でも、これは国際的に中国は法と秩序に基づいて対応しなければいけないということを、繰り返し、私どもは言える、大変重要なことだと思っています。それから、もう1つ感じますのはちょっと話を整理すると、フィリピンの200カイリのところであれば、これは埋め立てをするとか、ミスチーフのように何か工作をしたことはダメですよということですが、それから、先の公海上のことについていろんなことを中国は現在やっている。たとえば、先ほど、言った低潮高地という、いわゆる暗礁。そこを埋め立てて大きくして、滑走路をつくって、最終的には戦闘機をとめて、そこをあたかも自分の領空のようにやろうとしているのですが、実は低潮高地というのは、実際は領土となりませんから、領土がないということは領空もありません。そうすると、たとえば、ここに仮に戦闘機がいたとしても対領空侵犯ということは成り立たない。自分の防衛装備に関して、どこか知らない航空機が飛んできたら、こちらに来てはいけませんよ、あなたは何をしているのとせいぜい聞くぐらいのことしか、国際法上はできませんので、そういう意味では、中国が意図している、たとえば、ここに勝手に防空識別圏みたいなものをつくって、管理しようということが実は今回のことで真っ向から否定される。そういう部分も今後、出てくると思いますので。私どもとしては、安全保障上もよく分析をして、国際法に基づいて、中国に様々なことを言っていく、そういう取り組みができる。1つの大きなきっかけになったと思います」

『南シナ海最終判断』の拘束力
小野寺議員
「一番気をつけなければいけないのは、中国がこれから多数派工作を一生懸命にやって、何とか国際世論を自分に向けようという、そういう努力はすると思うのですが、少なくとも国際海洋法、あるいは今回の仲裁裁判所、私達が国際社会でつくり上げてきたシステムです。中国も入りますということで入ってきて、自分に不利だから、おかしい、おかしいと言っている。こういう私どもの民主的なルールを真っ向から否定をするようなことは、これはあってはならない。国際法に基づいて平和な解決をするのだという前提で、皆さんとしっかり各国手を携えるのが大事だと思います。ただ、同時に、おそらく中国は引くに引けませんから。今後とも軍事的な既成事実化をどんどんはかってくると思います。ただ、それに関しては全て、たとえば、先ほど、お話をしたように領空ではないでしょうと。領土ではないのだから、ということで、私どもとしては毅然とした対応をする必要がありますし、真っ向から国際法に基づいてそれを否定するということを繰り返しやる必要があると思います。実は、こういう国際的な場で1番直近は明後日の14日にASEM(アジア欧州会合)、アジアとヨーロッパのミーティングということで安倍総理も行かれます。この中で、当然、今回の仲裁裁判所もヨーロッパにありますし、ヨーロッパ各国の首脳も来ますし、アメリカは来ませんが、少なくとも安倍総理も出席する場でどういうメッセージを、この場で安倍総理が発するか。おそらく私どもとしては是非、国際法に基づいて平和的に解決をするという、これまでの日本の姿勢というものも繰り返し、今回の仲裁裁判所の判決を受けたあとでも毅然とした形で言っていただくこと。これが第一歩だと思います」
反町キャスター
「今回の判断、法的拘束力や強制性はないということになっています。ただ、今回のハーグで出たペーパーによると海洋法条約には拘束力はあるのだと」
山田教授
「拘束力はあります」
反町キャスター
「拘束力はあるけれども、強制力はない、何ですかという」
山田教授
「具体的に国際法を執行する機関がない。ただ、たとえば、今回のミスチーフ礁…」
反町キャスター
「実力部隊が伴っていない?」
山田教授
「そうですね。ミスチーフ礁がありますね。フィリピンの排他的経済水域内である管轄水域であるということは認められたわけですから。そこに構築物をつくっている中国は、これは国際法違反である、すぐに撤収を求めると。その時フィリピンが実力行使できるのか、あるいはフィリピンは同盟国であるアメリカに対して救援を求めるのか。さらにはASEAN(東南アジア諸国連合)に対して、中国に対し共に侵略行為をやめさせる。要は、フィリピンの管轄海域内、水域内に人工島なりをつくっているわけですから。これは明らかに侵略行為であると、それを続けるのであれば…」
反町キャスター
「そういう見方になるのですか?今回の判断から、中国はフィリピンの排他的経済水域内に勝手に島をつくって、そこに飛行機を並べたり、ミサイルを並べたりしているという」
山田教授
「フィリピンの主権を侵害しているという表現になっていますので、これは、要は、主権を取り戻すことに国際社会の力を貸してくれと国際社会に言った場合には、明らかに中国は世界の敵になるということになってきます」
反町キャスター
「具体的にどういう展開が可能になるのか、どう見ていますか?」
山田教授
「まず1つは、現状の埋め立て行為をこれ以上続けるということになると、明らかに侵略行為になります」
反町キャスター
「侵略行為?中国の、フィリピンに対する」
山田教授
「侵略行為になります。今回もフィリピンの主権を害しているということが言われていますので、これ以上続けることは明らかな侵略行為であると。それをフィリピンがまずは自国で対処をするのか、あるいは中国の侵略行為をやめさせるために他国、たとえば、アメリカに対し救援を求める、あるいはASEANに対して同調を求めるということになった場合、具体的な行動を、要は、国際社会は侵略行為を認めるわけにはいきませんから、そうしたら国際的な対応を具体的にしなければいけないということになっています」
反町キャスター
「何ができるのですか?小野寺さん」
小野寺議員
「まず今回の仲裁というのは最終判断ですから、これで決定ということです。ですから、山田先生がおっしゃったように、200カイリ内にあるミスチーフに対して、何かを行った場合には侵略行為になると。たとえば、これをフィリピン政府がこれは侵略行為であるということで国連の場に提訴する。あるいは安保理で提案をするということになった場合に、国際的な仲裁裁判所で一定の判断が出ている。それに基づかないで中国が独自に、いわゆる侵略行為の形を行う。国連の場でこれの議論が仮にされた場合、当然、中国はP5の1つですから、決議、その他は拒否権を行使するとは思いますが、おそらく国際社会の中で、判決に対して明確に違反して、侵略行為を行うということがどう映るかということ。特に日本は、今月は安保理の議長国になりますし、こういう問題が、たとえば、国連の中で議論されるということは、中国にとってはますます中国の違和感、孤立化というのが大きくなります。そういう様々な歯止めの中で、それでも中国は、たとえば、ミスチーフ礁に関して、さらに進めるかどうか。私どもとしてはこういう国際的な議論の場で、しかも、国際的な判断が下された中で、しかも、仲裁裁判所ですね。それで議論をしていくということは当然、中国に一定の圧力になっていくと思いますので、是非そういう方向で、たとえば、フィリピン政府が考えるのであれば、日本としては国際法に基づいて平和な解決という、1つの方向で、大切な役割を果たすのだと思います。ただ、おそらく中国もわかっていると思いますので、これからはフィリピンに対して、2国間で話し合おうね、俺達、いろんなことをするからさ、ということでたぶん個別に…」
反町キャスター
「懐柔策?」
小野寺議員
「個別におそらくそういう方法にしないと、これは、たとえば、山田先生がおっしゃったように、国際的な場でフィリピンが助けてくれと言った場合。中国は非常に不利な立場になりますから、それをたぶんこれから水面下で、いろんな硬軟使ってやってくるのではないかと思います」
反町キャスター
「いかがですか?中国の次の一手、どう見ていますか?」
櫻井氏
「中国というのは孫氏の兵法の国ですから賢いですし、うまいです。(フィリピン大統領の)ドゥテルテさんがアメリカに対して、ちょっと感情的な反発というのもあるんですね。中国とは国際法と同時に話し合いもするんだということを最初からおっしゃっていますよね。中国からいろいろなものを引き出して、フィリピンの国益につなげていくのだと。ドゥテルテさんの考える国益というものが目の前の経済的な利益ということに集中しているのでならば、これは中国に取り込まれかねないですよ。もっと幅広く見て、ほかの海や島はどうなるのだとか、フィリピンも自由主義陣営の一員として、これからはどうなるのだというところまで考えてくださるのでしたら、簡単に話し合いに応じないだろうと思うのですが、正直言ってドゥテルテさんのことはまだよくわからない部分がありますよね。だから、その時に日本とか、他のASEANの国々がどのような役割を演じるのかということが非常に大事になってくるので、これはフィリピンだけに、当事国だけに任せるのではなくて、こここそ本当に私は日本が国際法と、それから、秩序と、国際社会の常識ですよね、そういうものに基づいて積極平和主義、積極的に関与をしていく場面だと思います。ここで問われているのは日本の力量だと思っているんですよ。日本がこれからどのような役割を果たしていくのか、どのような国際社会をつくっていくのか。私達の責任はすごく大きいですよ。アメリカがちょっと内向きになっていますから、だから、アジアの国々も、小野寺さんが行ってよくわかっていらして、私も小野寺さんからいろいろとお話を伺ったんですけれど、本当に日本に対する期待度が高いですよね。だから、日本がどういうことをするかということを、私達は問題の真っ只中にいる当事国だという気持ちでやっていかないといけないと思います」
反町キャスター
「ただ安保理議長国として日本が、これはおかしいではないかと、平場でちゃんとフィリピンと中国の話を聞こうよなんて言っても、フィリピンが直前に、グッと握られて、ないしは握ったか、貰ったかして、もしあるとすれば、いや、いいから、ちょっとと言われたら、梯子を外されたみたいな感じに…」
櫻井氏
「それはこの判決も皆、当事国で話し合いなさいということは、ちゃんと書いていますよね。フィリピンだけではなくて公共財ですから、ベトナムもマレーシアもブルネイもインドネシアも皆、入るんですよ。だから、フィリピン1国のことではない。もちろん、ミスチーフ礁に限ってはフィリピンの中にありますから、フィリピンの権利の侵害ですよということを言っていますけれども、南シナ海全体は公共財ですから、1つの国と、もう1つの国の中国が勝手に決めていいわけではないですから、万々が一、フィリピンが下で握ったと仮定して、でも、他の国々だって言う権利はありますね、ということで、日本は積極的にリードしていかないといけないと思いますよ」

『南シナ海』とアジア諸国
反町キャスター
「山田さん、先ほどのミスチーフ礁のこれまでの話は国際世論における、その戦いはどうなるのかという話だったんですけれども、そこからさらにもう一歩進んで、フィリピンの実力組織が中国船やら、ミスチーフ周辺にある海警でも軍艦でも構いませんよ、それを排除したい、ないしはフィリピンの漁民がミスチーフ周辺で安心して漁業活動が行えるような、地域における安定を取り戻したいと言った時に、フィリピンの実力組織だけでは当然足りないわけではないですか?他の国に応援を求めてくる可能性は、これはありますよね?」
山田教授
「はい。入って来る、たとえば、その海域に中国の軍艦なりが入ってきた場合には十分考えられます。たとえば、民間船である場合には国際法上コーストガードが出ていって、それを拿捕するなり、臨検をして拿捕するなりという措置になってくると。ただ、それに抵抗するようなことがあると、一歩進んだ他国の軍艦を含めて、安全をどうやって守るかという議論になってこようかと思います」
反町キャスター
「小野寺さん、そういうケースになった時に、今度、フィリピンの実力組織と中国の実力組織がミスチーフ礁で対峙するような場面になりました。フィリピンが何らかの支援というのを国際社会に対して実力組織の応援を求めてきた時に、周辺国は、日本も含めて、どう対応することになるのですか?」
小野寺議員
「まだ、仮定の話ですが、現在、日本が行っているのはフィリピンを含めて、南シナ海の国に関し、要請があれば、海上警察、いわゆる海上保安庁の能力を高め支援をしています。どういう国際的な枠組みの中でフィリピンに対して支援をしていくかということが今後出てくると思うのですが、少なくとも仲裁裁判所で一定の判決が出て、それをフィリピンが受けて国際社会にフィリピンの立場を説明し、それを受けてどう国際社会でフィリピンの立場を守ってあげるかということのステップを、1つ1つをちゃんと議論をすることが、逆に言えば、中国に対しての一定の抑止力になっていくと思うので。私共としては直接何かを、緊張感があって対峙するような状況を生み出すよりは、その前に国際社会がちゃんとフィリピンについているのだから、中国として一定の、この判決の重みを感じてくれという。それは、1つ1つ階段を重ねる形で固めていくということ。その努力を日本だけではなく、フィリピンから要請があれば、国際社会の中で議論をしていくことが1番大事な方向だと思います」
反町キャスター
「海賊対処みたいな形でインド洋に自衛隊が派遣されましたよね。ああいう形での、フィリピンに対する日本の実力組織、それは海保ないしは、海上自衛隊かもしれない。フィリピンの要請があった場合、日本が協力するというのは、法的な可能性というか、スキームというのはあるのですか?」
小野寺議員
「今回は海賊対処の話ではありませんので。過去にアメリカが、たとえば、各国でスクラムをつくって、スキームをつくって支援をするということもありましたが、基本的に中国は、言ってみれば、野蛮な国と私達は思っていませんので、少なくとも国際社会の一定の枠組みは出るような状況の中で、中国は今回の国際仲裁裁判所の判決を重く受け止めて、一定の歯止めの行動をとるということが常識的なことだと思いますし、もし、その常識に従わないのだとすれば、本当に国際社会の中に別の冷戦構造なり、かなり熱い冷戦構造をつくってしまう危険がありますので。是非中国にはそういう方向に行かないでほしいと思います」

中国の海洋進出について 言いたい事、聞きたい事
秋元キャスター
「視聴者からの質問ですが『中国が判決を無視してスプラトリー諸島に軍事基地をつくろうとした場合、アメリカは開戦リスクを犯してまで軍事力でそれを阻止する覚悟があるのでしょうか?』とのことですが」
櫻井氏
「開戦のリスクと言うと、すぐに戦争になるような印象ですけれど、それにいく前に私達はいろんな行動を取らなければいけないわけで、アメリカも当然関与するにしても、いきなり開戦ということではないと思うんですね。そういうことを考えるのに、この前アシュトン・カーター国防長官がシャングリラ会議で演説をしましたね。その時の特徴は、原則、プリンシプルという言葉を37回でしたか、38回かな…ちょっと覚えてないのですが、使ったんですよ。公開の原則、プリンシプルとか、国際法の原則とか、つまり、アメリカがこだわっているのは、私達は、どの国の島がどの国の領有なんていうことを言うつもりはまったくありませんと、アメリカの国益のために航行の自由、空を飛ぶ自由、プリンシプルを守ってくださいということを言ったんですね。今、国際仲裁裁判所が、同じことを言っているわけです。私は、アメリカは当然、大歓迎すると思いますし、オバマ政権はあと半年弱でほとんど行動しにくいと思いますけれども、かと言ってアメリカが動かないわけではないと思いますね。もし、ここで本当にアメリカが動かなかったら、この南シナ海問題はどういう形で次の政権に受け継がれるか、アメリカがここで手を切るわけにいかないわけです、貿易などもありますから。次の政権がどういう形でこの南シナ海を受け止めるかということに直接関わってきますから、アメリカ政府としてもプリンシプルを守るための努力は相当するだろうと思いますし、私達もまさに日本の役割ですけれども、そこが大事ですよ、ということを言わなければいけない。実は先ほどから日本、日本って言っているのは、このような機会で力を発揮すべきなのは、まさに我が国なんですよ。我が国は平和を重んじる国ですし、軍事力もそれほどない国ですし、また、それを使わない国。だけれども、国際法であるとか、公正なる運営ということに関してはどの国にも負けないくらいの熱意と誠実さを持ってやってきましたね。だから、私達は、アメリカと共にアメリカを説得して、この南シナ海に原則を守るためにコミットしていく。アメリカは、これにはついてくると思いますよ」
反町キャスター
「小野寺さんはアメリカがどういう対応をとると思いますか?」
小野寺議員
「まずアメリカに言いたいのは、日本は、ロシアのウクライナ侵攻の時に、これはアメリカを含めたヨーッロッパの様々な国が要請をしてくる中で、日本として当時、非常に関係が良かったロシアとの関係を悪化させても、今回は国際的な法に基づく平和な解決の中でロシアのことは良くないということで、制裁に加わったわけです。日本はその代わり北方領土問題を含めて、いろんなことに関しては苦労しています。そういう代償を払って、私達はこの原則に関してしっかり一緒にやっているんですよね。逆にこの南シナ海の今回、しかも、国際仲裁裁判所が出したその判決をもとに行うことに関してアメリカがしっかりとした対応をしなければ、私どもとしては何なんだという、このメッセージはしっかりとアメリカに伝わると思いますし、最近、アメリカに行って一番感じるのは前のような中国に対して非常に幻想を抱く形ではなくて、完全に競合相手だという印象を持ちます。たとえば、サイバーでいろいろなものが盗まれる、あるいはアメリカの得意とするような民間航空機の分野にも入ってくる。そういう意味では、アメリカもしっかり私どもがスキームをつくれば、一定の圧力を一緒になってかけてくれると思います」

中国の海洋進出と東シナ海
秋元キャスター
「南シナ海での動きは東シナ海にも波及してくると思いますか?」
櫻井氏
「南シナ海で起きることは必ず東シナ海でも100%起きると考えなければいけないわけで、その意味で、南シナ海問題に私達は他人事だと思って見てはいけないです。この東シナ海でも軍艦が入り始めましたね。16日には尖閣のところの東大東島のところに中国の軍艦が入ってきましたよね。それから、東シナ海に展開する船も飛行機も異常なほど、中国は増やしているわけです。日本国が安倍政権になって海上保安庁の1000トンクラスの船が6隻だったのを、現在13隻に増やしましたね。でも、同じ2、3年の間に中国は同じような船を40隻つくってるんですね。航空自衛隊が持っている第4世代F‐15ですか、我が国は。第4世代の戦闘機293機あるのですが、この2、3年の間に中国は300機つくってしまったんです。だから、現在730機ぐらいあるという意味で、私は軍事のことにあまり詳しくないのですが、飛行機等は1対3になると1のほうは完全に負けるのだそうですね。ですから、それに近づきつつあるということで、ただ、単に軍艦がやってきたという新しい局面だけではなくて、中国の軍事的な力というもの、物理的な力というものが日本では考えられないくらいのスピードとスケールで強化されている。つまり、その背後にはちゃんとした意志があるわけですね。だから、南シナ海でのことは東シナ海でも必ず起こる、それに対して私達がどう対処するのかということで、この前、自民党、公明党、安保法制をしましたけれども、我が国の政党の中では安保法制を廃止しましょうというのがまだいるわけですね。だから、日本人がもう少し危機感に目覚めないと守りきれないのではないかと、私は大変心配しています」
山田教授
「具体的には、漁船団を動かしてくる可能性は大きいと思いますね。これは東シナ海も太平洋側ですが、たとえば、沖ノ鳥島周辺や、日本の排他的経済水域を主張する海域に漁船団を投入してきて、さあ、日本はどうする?日本のことではないのかと。あるいは東シナ海でまた漁船団をダイナミックに大きく動かし、日本の排他的経済水域の管理に対して一石を投じてくることは考えられます」
反町キャスター
「東シナ海周辺、沖ノ鳥島でもいいですが、中国とどのように対峙していけばいいと考えていますか?」
小野寺議員
「既に昨年8月、中国の王毅外相が沖ノ鳥岩という表現で話をし始めている状況です。山田先生がおっしゃったことは着実に念頭にあると思います。今回の南シナ海の問題と1番違うのは、仲裁裁判ですから、仲裁というのは何かと何かの紛争があっての仲裁なので、一方的にこの問題を言おうとしても、紛争にはなっていないことですから、仲裁にはならないということです。問題は漁船がいっぱい来て、それに対して日本がここは排他的経済水域だとなった時に、これが両国の紛争になると。そうすると、仲裁ということになる。いろいろなことを当然想定して中国側も考えると思いますし、私どもとしては無体な言い方をされても困りますので、そこはいろいろなことを想定する必要があると思います。ただ、何が一番大切かと言うと、中国に対して国際ルールに基づいてしっかりとした対応をするということを繰り返し、私どもとしては国際社会の中で言っていくことだと思います」

ジャーナリスト 櫻井よしこ氏の提言:『普遍的価値の推進役』
櫻井氏
「先ほどから申し上げているように、ここは国際法であるとか、公正なルール、透明な制度ということで、日本が旗振り役になるべき時だと思いますし、日本はその責任を負っていると思います。これをやることが日本の国益にもなりますし、世界を安全な、幸せなところにすると思います」

小野寺五典 自由民主党政務調査会長代理の提言:『冷静に毅然と』
小野寺議員
「私は対応としては冷静に、毅然とした対応が必要だと思っています。特に中国との対応の場合には日本1国だけではなく、国際的な世論、あるいは国際的な法律に基づいて中国に対して一定の圧力をかけていくことが大切だと思うので、あくまでも冷静に、毅然と、ということだと思います」

山田吉彦 東海大学海洋学部教授の提言:『南シナ海国際監視』
山田教授
「今回の問題で、判決の中でも環境と自由通航を阻害しているのではないかということを指摘されていますので、南シナ海の海洋環境を守るのだ。自由通航を守るのだということを国際監視化、これは中国だけを念頭に置いたのではなく、全ての国が共同で環境と自由通航を守っていくという体制をつくっていく必要があると考えます」