プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2016年6月16日(木)
石原氏斬る舛添氏辞職 防衛装備移転の利と損

ゲスト

石原慎太郎
前衆議院議員 元東京都知事
森本敏
拓殖大学総長 元防衛相
織田邦男
元空将 元航空支援集団司令官

石原新太郎が斬る 舛添都知事『辞職』
反町キャスター
「舛添さんの話というのは、そもそもはファーストクラスに乗るとか、スイートルームを使うとか、そういう話から始まってずっとここまできてしまったんですけれども、この流れ、どんな思いで見ていたのですか?」
石原氏
「しかし、全体の話がシャビーでね。ボクシングで言うと打たれ強い選手というとパンチドランカーというんですけれど、彼は本当、打たれ強かったね。ただ、ある意味では権力ドランカーだね」
反町キャスター
「舛添さん、どこで道を誤ったのか、対応を誤ったと見ていますか?」
石原氏
「言い難い。僕はそんなに彼の熱心なウォッチャーではなかったけれども、結局、何も新しいことをしなかった。そういう点ではあまり官僚的ではあっても、政治家として創意はまったくなかったと。発想力がなかった。それに比べれば、要するに、小学生出の田中角栄という人は、1つの文明史感。感は観察の観ではなくて、六感みたいな感があって、そういう点では、創意があったし、役人というものを凌ぐ、天才を持っていたと思いますね。残念ながら、舛添君は役人でしかなかったね」
反町キャスター
「舛添さんの今回の件というのは法律に触れているか、触れていないかというところでなく、そういうレベルで、たとえば、資質とか、品格とかというところで都民のだんだん世論ができていったという経緯だと思っています」
石原氏
「そうですね」
反町キャスター
「これは本当に辞任までに値するものなのかどうか。自分達も報道していて、忸地たる思いがあるんですけれども、ちょっとマスコミのあり方がおかしいのではないかという意見も、僕は聞こえたりもするんですけれども」
石原氏
「そうですね。ちょっと何か弱い者いじめというか、はしゃぎ過ぎだと思うんだよ、僕は。連日、連日、あれだけのことをあのボリュームで報道するほどの対象になるのではないと思いますよ」

『ポスト舛添』
反町キャスター
「この人にやらせてみたいな、都政をと思う方はいますか?」
石原氏
「橋下(徹)君だね」
反町キャスター
「本当ですか?」
石原氏
「彼は何万分の1もないと言っているけれども」
反町キャスター
「そうですね。大阪市長、大阪府知事と、都知事をやれるもの。本人がその気になればということです」
石原氏
「第1、演説、無類にうまいよね」
反町キャスター
「石原さん自身が立候補してほしいなんていう巷の声は?」
石原氏
「冗談じゃないですよ。こんな年寄りを、そんな前途、重い荷物背負いませんよ。そういうのを有難迷惑というんです」

中国軍艦『領海侵入』
秋元キャスター
「相次いで発生している中国の軍艦による接続水域と領海侵入について聞いていきたいと思います。事実関係を整理します。今月9日、中国海軍のフリゲート艦1隻が、ロシアの軍艦に続いて、沖縄県尖閣諸島の久場島北東の接続水域に侵入。この水域では、これまで中国の海上保安庁にあたる海警局の船の侵入はありましたが、海軍の軍艦の侵入が確認されたのは初めてのことです。さらに昨日、中国海軍の情報収集艦1隻が、鹿児島県口永良部島周辺の日本領海に侵入。中国海軍の艦艇が日本領海に侵入したのは2004年に沖縄県の石垣島沖に潜水艦が侵入して以来のことです。中国側は、今回の航行が国連海洋法条約の規定する航行の自由の原則に合致していると主張しています。まず森本さん、昨日領海侵入しました中国艦船の行動の目的、タイミング、どう見ていますか?」
森本氏
「事実行為をそのまま客観的に見ると、その前にインドの海軍艦艇2隻が九州の南東部に日米インドの合同演習に参加するために入ってきて、それを追跡する形でインドの艦艇の活動を監視する目的で追随してきたと普通は考えられると思いますけれど、そのためにわざわざ日本の領海の中を突っ切る必要があるのかどうかというのは、これは別の問題で。私はその前に、尖閣に入ってきたものと合わせ考えると初めの尖閣の方はロシア。今日の場合はインド艦艇を警戒監視する、あるいは追跡するといった行動を、いわば口実に日本の近海に近寄ってきて存在感を見せると、同時に日本側の反応をも確かめるという政治的な、ある種のデモンストレーションと、軍事的な意味での日本の対応を見て、次のステップ、その次のステップを順繰り踏んでいくステップの1つのプロセスと考えているのが正しいのではないかと考えています」
反町キャスター
「織田さん、今回の連続した中国の軍の艦船ですね、この行動、どんな思いで見ていますか?」
織田氏
「確たることは言えないと思うんですが、可能性として危機管理を担当する者は常に最悪に備えよという言葉がありますよね。最悪のシナリオ、あるいは最悪の可能性という観点から考えますと、1番最悪なのは一歩踏み込んだのかな。つまり、これまでは漁船だったり、公船、海警であったりを出してきて、軍艦は出さなかったんですね。いつか出してくるのではないかと、我々、警戒していたわけですが、これまで、332フォーミュラと言われるぐらい、海警が月に3回、3隻、2時間、居座っている。それをずっとやっていたんですね。彼らとしては、いつか軍艦を出して、既成事実をつくりたいというのがあるのではないか。それが1番、私はシビアな可能性なのですが。では、なぜこの時期かというと、穿った見方かもわかりませんが、シャングリラ会合が終わってG7も終わりました。そうして、米中戦略対話も終わりました。次の会合はというと、G20、9月ですよね。ちょっと空いているんですね。また今月に仲裁裁判所の判定が出るだろうと。それを我々、受け入れないと言っているから、国際社会から非難される。どうせ非難されるのであれば、その時にあわせ、一歩踏み込んでおけば、どうせ非難轟々の中で出しておけば、それが収まっても軍艦は常に接近できると。海警と同時に、一緒にですね。そういう可能性が1番シビアかなと」
反町キャスター
「織田さん、そういう中国側のこれ見よがしの圧力。ないしはその行動というのは日増しに増えている。先ほど言われた、332フォーミュラをちょっと超えるものが出てきたなというものを、目の前にした時に、現場の自衛官の皆さん、現場の部隊の皆さん、それは陸海空全部含めて。気持ちの部分とか、体制の部分とか、変わってくる部分ありますか?」
織田氏
「基本的には、挑発に乗らないと。と同時に、口実をつくらせない。口実。いわゆる海上自衛隊が先に動いたのだから、我々はこうしたといった口実を与えない。だから、挑発に乗らない、口実を与えないというのは徹底されていると思いますよ」
反町キャスター
「それは、たとえば、レーダーでロックオンされてもという、もちろん、切なくなるんだけれども、そういうものですか?」
織田氏
「それは、はい。そうだと思います。私はパイロットですから、空の世界では、極めて抑制された行動をとっています。それをまた中国は尊重をしている時がありますよね。向こうも挑発をしてこない。だから、そこはそこでいいのですが、今回のようにもし、可能性として、一歩踏み込んだということであれば、当然、それが習近平氏の指示によるものであれば、空の世界でも一歩踏み込んできます。そうなるとちょっと大変だろうなと思いますね」
森本氏
「これはずっと尖閣に入ってきたんですけれども、1番、頻度が多くなったのは、私が大臣の時の、石原さんが尖閣を買おうとされて、いろいろやられて、野田さんとお話になった、2012年の8月。入ってきたのは9月11日の閣議の3日後の9月14日からです。以来、原則は現在、織田さんがおっしゃったように、不必要な挑発を日本側からしない。日本側が挑発したという口実を中国に与えない。抑制の効いた行動をしながら、しかし、我が国の固有の領土を毅然とした態度で守り抜く。この3つの原則をずっと守って行動をしてきて、部隊にまで徹底されたんです。それは民主党政権から現在の自民党政権に引き継がれ、この原則は変わることはないということなので。現場の隊員はきちんと指揮官の指示もよく知っていますし、方針もよく知っていますので。非常に落ち着いて行動をしていると思います。そこは揺らぎのないところだと思います。ただ、次のステップ、その次のステップを我々はどのように読み解くかということを考えた時に、必ず次のステップがあるんです。ずっと何度も、何度もこれを繰り返し、その次のステージに入っていく時に、どういうことがあり得るのかということを事前に考えて、我々は対応していかないといけないということだと思うんですよね」

豪 潜水艦選定に敗北
秋元キャスター
「ここまで聞いてきましたように、中国が海洋進出を進める中、日本はオーストラリアの次期潜水艦選定に立候補し、売込みを進めてきました」
反町キャスター
「そうりゅう型潜水艦は、2009年に1番艦が就役しました。非大気依存推進システム、またはリチウム電池システムを搭載し静粛性、潜航持続時間などに優れるということぐらいの情報しか、僕らにはなくて、これがどのぐらいすごいのかわからないので、森本さん、差支えない範囲で、そうりゅう型潜水艦のすごさ。どこがすごいのかを教えていただけますか?」
森本氏
「現在、オーストラリアの持っている潜水艦、コリンズ級というんですけれども、基本的にまずリチウム電池システムを搭載していると、どういうことができるかというと、コリンズ型というのは一定時間に、潜望鏡を上げて、空気を外から取り入れないと、エンジンが動かないのですが、日本はそういうことをしないで、潜航したまま、エンジンを動かすことができるということですね」
反町キャスター
「それがこのAIP(非大気依存推進)システムという…」
森本氏
「それはこのシステムから出てくる技術なのですが、もちろん、それから、非常に静かだと。潜水艦にとって静かだということは最も大事な性能です。しかも、4000トン級近い通常型の潜水艦を現に設計して、持って、運用している唯一の国ですね、日本は」
秋元キャスター
「それだけ非常に優れた性能を持ったそうりゅう型潜水艦ですが、日本はフランスに敗れてしまいました。その詳しい経緯を見ていきたいと思います。まず2014年7月、日本とオーストラリアの間で防衛装備品、技術移転協定を締結しました。これを受けて、昨年2月には、オーストラリアのアボット政権が次期潜水艦の調達先として日本、フランス、ドイツに参加を求めました。日本も5月には国家安全保障会議で選定への参加を決定したのですが、9月に親日派のアボット首相が退陣しまして、ターンブル政権が発足します。その後、11月に日本が事業計画案を提出したんですけれども、今年の4月にフランスの提案が正式に選定されて、日本の潜水艦の売込みはかなわなかったと。こういった流れですけれども」
石原氏
「何でオーストラリアはこんなバカな買い物をしたんだろうね」
森本氏
「いや、バカかどうかは知りませんけれども、彼らは独自の判断をしたんだと思うんですけれど。それは、フランスの提案というのは大変フランスの会社と現地の会社とがタイアップして、部品ごとに徐々に国内生産の比率を高めるという非常にプロポーザルというか、提案が非常にオーストラリアから見て魅力のあるものだったんですね。その点は、日本も反省すべきというか、十分にこれから気をつけないといけないなという部分が少しあって、織田さん、どう考えておられるかはわかりませんけれども、日本のベンダーが全体として、皆でやろうとは必ずしもならなかったんですね。たとえば、あるベンダーがわざわざ現地に生産会社をつくって、現地に乗り出して、オーストラリア人を雇用して、生産する設備投資と、それから、技術と費用対効果を考えて、ちょっと躊躇したベンダーもあったと思いますので」
反町キャスター
「それはどういうことですか?結局、そこまで現地に投資をしてもペイしないから?」
森本氏
「それだけではないと思います。ペイしないからというか。もちろん、いわゆるレピュテーションリスクと言って、これは武器商人になるのかと言われる気持ちも企業の中にはまだ残っている、そういう気持ちが。だから、それを全ての会社ではありませんが、そこまで苦労をして現地に乗り出すということにメリットを考えられない会社もあったと思います。つまり、日本で先ほど申し上げたように、トータルで、皆でこれを実現しようという総合力が出なかったという点では確かに残念だったと思いますが、オーストラリアにその責任を押しつけても仕方がないと。我々で今後考えないといけない問題が残ったということではないでしょうかね」
反町キャスター
「このAIP。潜望鏡というか、シュノーケルを水面の上に出して、空気を取り込んで、エンジンを回して発電したり、エンジンを回したりする。それで潜水艦が進むものだと思っていたんですけれども、現在のAIPとはどういうものなのか。水面の上に煙突を出さないでエンジンを回すという、そういうシステムなのですか?」
森本氏
「そうです」
反町キャスター
「それは日本独自なのですか?」
森本氏
「日本独自です」
反町キャスター
「すばらしい技術ですね」
森本氏
「現在フランスやドイツは、その精度をもっていないと思います」
石原氏
「潜水艦、たとえば、実戦使用された時にいちいち浮上して空気を入れなければ動かないような潜水艦というのは、実戦使用の時にすごく効率が悪い。役に立たないのではないかという気がするんですけれども、そういうハンディキャップはどうですか?」
織田氏
「私は運用者ですから常に運用者の立場でこれを見ますと、潜水艦は、私は門外漢なのですが、言えることは、軍事的合理性からしたら、そうりゅうです。だって比べるものがないのですから。できていないです。ドイツなんて2000トンの潜水艦しかできない。それを2つ合せてつくりますと言っていたんですよ」
反町キャスター
「そんなことできるのですか?」
織田氏
「いや、できないですよ。フランスは、原子力潜水艦はできるけれども、通常型をつくったことはない。しかも、4500トンぐらいクラスの。まったくないものを、すごいリスクはありますよね。私が潜水艦、オーストラリア海軍の潜水艦乗りだったら、何だと思うと思います、当然。それは同じようなことがあったんです。1986年、航空自衛隊のFSXというプログラム、現在F2になりましたですけど。その時に国内開発をしようということで、当時の防衛庁長官は栗原さん。栗原3 原則がありまして。1番目は軍事的合理性、これは絶対譲らない。2番目がインターオペラビリティ。3番目が圧力排除」
反町キャスター
「どこからの圧力ですか?」
織田氏
「全てのだと。だから、今回は」
反町キャスター
「圧力というのは、アメリカからの圧力ですか。国内のですか?」
織田氏
「もちろん、アメリカからの圧力もありますし、いろいろなロビイストの圧力もあるでしょう。今回は軍事的合理性から、これしかないでしょうというわけです。それに対して政治的配慮。つまり、何かの圧力があったということですから。それは往々にしてあるわけですよ。あの時、何があったかと言うとちょうど東芝ココム事件があって、それに乗じたロビイストが活動して、一夜にして、我々の運用要求は、2つのエンジンになったんですね。一夜にして、F16を舞台とする共同開発になったんです。1発のエンジンですよ。一夜にして運用要求が。同じ様なことは、私はあったと。いろんな圧力、それは中国からの圧力だって言う人もいます。あるいは先ほどの言う…」
反町キャスター
「そういうメールも届いているんですよ。『オーストラリアは中国の圧力に負けて、フランスを選んだのですか?』というのですが」
織田氏
「それはわかりませんね。たぶん圧力、あるいは政治的な配慮というのがあったわけですよ。だから、運用者としては、切歯扼腕していると思いますよ」
石原氏
「現在、織田さんがおっしゃった、中曽根(康弘)さんの時代ですよ。次期戦闘機というのは三菱重工がすばらしいものを、プランを出したんですよ。これは、たとえば、ドッグファイトの時に宙返りの半径が従来のものの半分で済む。そうすると空中戦をやって、日本がそういうのがあるかはわかりませんけれども、完全にすぐ相手の後ろにライドオンできるんですよ。それをアメリカの圧力で潰されたの。アメリカが1番恐れているのは、日本の航空機産業の台頭です」
森本氏
「ご意見に賛成ですけれど、ただ、今回のオーストラリアに限って言えば、アメリカは日本側に随分ついてくれて、何とかアメリカのコンバットシステムを日本の潜水艦の中に載せようと努力をされたんです。ところが、こういうことを言ってしまうと、身も蓋もないですけれども、オーストラリアは、我が国には国家の主権がありますと言って、アメリカの要求を拒否したんですよ」
反町キャスター
「それは政権交代をして、アボットからターンブルに代わった時点で、その要素が大きかったということになるのですか?」
森本氏
「もちろん、ターンブル政権のことですけれど。だから、あくまで他の国の干渉を受けずに自らの側で判断をしようと、オーストラリアはしたので、アメリカは、日本側の立場に立って、日米豪の戦略的な連携が、最も、将来のアジア太平洋にとって望ましいという立場を、ずっと維持してくれました。そういう面では、この前、連休中、10日間、アメリカに行っていましたけれど、アメリカがいろんなところで、オーストラリアの潜水艦は、アメリカから見ても非常に残念な結果だったなと。残念な結果だったけれど、日本とオーストラリアとアメリカの良好な関係は維持していきましょうということを盛んに言っていたんです。維持していきましょうということは、放置して日本とオーストラリアの関係が悪くならないように気をつけてくださいねという、アメリカの意思が働いたと」

『国産兵器』輸出解禁
秋元キャスター
「もともと武器輸出をしないという姿勢から海外に輸出することを可能にした転換の背景には何があるのですか?」
森本氏
「1番大事なことは1976年から2014年の新しい原則をつくるまでの、およそ35年の間にこの武器輸出三原則に伴って、我が国が困ったことが起こったから、この新しい原則を採用したんですね。困ったこととは何かと言うと、2つあって、1つは、たとえば、わかりやすく言うと、PKO(国連平和維持活動)に出て行くと。持って行くブルドーザーだとか、そういうのも武器です。それを持って行くのも輸出です。仕事が終わってその国がいただきたいといった場合に、あげることも輸出です。つまり、例外措置をとらないとそういうことができない。そういう不便なことがいくつも起こった。PKOの度に起こる。国際的な平和協力や平和貢献、あるいは各国にいろいろなものを提供する時に現在の原則はそれを認めていないので非常に不便だということ。もう1つは日本がF‐35という9か国の共同開発機を買うとことになった時、共同開発機はユニークなシステムになっていて、グローバルなコンピューターのシステムの中に1つ1つのつくった部品がコンピューターシステムによって他の国に動いていく、輸出されるという制度になっているんです。たとえば、日本である部品をつくっても、それをどこどこに渡しなさいということになったら、自動的にコンピューターで、アメリカ経由でイタリアにいく、イスラエルにいく、ということなってしまう。それ自身は武器輸出ですよね。原則を変えないとF-35という戦闘機を手に入れることができないという問題に直面して、武器ではなくて、防衛装備、つまり、装備品及び技術。輸出ではなくて移転。つまり、移転というのは輸出だけではなく、提供する、供与する時も全部移転ですから、原則を変えて、少し制限された制約要件の中で、日本が国際平和協力に資する場合と日本の安全のために、たとえば、国際共同開発、共同生産に入ること、あるいは特定分野の装備品について他の国に提供できること。この2つを可能にしようということにして2年前の4月に新しい原則にして以来各国からいろんな引き合いがきた。オーストラリアの潜水艦に見られるような、いろいろな国からこういうものを提供していただけないか、あるいは共同開発してくれないかといったものが世界中から入ってくるようになり、とても現在の既存のシステムではマネージできないので昨年10月に防衛装備庁という新しい役所をつくって以来、約8か月、約1800人の職員が専ら毎日、各国から来るいろいろな要望にどうやって応じ、日本の安全保障に資する防衛装備の移転をマネージしたらいいかということに従事しているという、そういう画期的な変化がこの2年に起きたということだと思います」
 
石原氏
「F-35というのは、日本で修理できなかったはずですよね。それを森本さんがその権限を日本に持ってこられた。それはとっても大事なことだと思いますよ。昔は海軍工廠、陸軍工廠があって壊れた武器を自分で直せたんですよ。独立国家とはそういうものですから、森本さんが努力されて、その権限を日本が獲得して、最新鋭の戦闘機が壊れても日本人が直す権利を持つということは当たり前のことで、これまで難しかったんです」
反町キャスター
「レピュテーションリスクという言葉があります。死の商人と言われるのを恐れて、逡巡したと?」
石原氏
「それは憲法がつくった日本人のおかしな情緒であって、国家の存亡がかかっている防衛の問題で、そういうバカなことを考えるのはおかしいと思いますよ」
織田氏
「日本の会社で社運をかけて、兵器を輸出して儲けようと思っている会社は1社もないと思いますね。現在、防衛装備品をつくっている主要な会社でも、全体の売上げに対する比率は10%以下ですよね。現在、こういう世の中で、会社からしたら死の商人と言われて、それに対していちいち対応するよりも、そんなことは除いて、民需に走った方がいいと思っている会社が大半だと思いますね」

『国産兵器』の真価と評価
森本氏
「日本の企業は、ロッキード・マーティンみたいに会社そのものが軍需産業ではなくて、全体の中で売上げ(の比率)が8、9、10%以下です。だから、会社の中で大きな意思決定の発言権を持っているわけではないです、防衛部分が。従って、レピュテーションリスクを会社が持つというリスクは負わない方がいいという圧力がかかる可能性があるので、それを押し切って、日本の国家安全のためにここのビジネスを広げましょうと。いろんなリスクを負いながら、がんばっているわけですけれども。そこで問題なのは、会社が、たとえば、サプライチェーンが少なくなって国際競争力が落ちてくる。どうしてそういうことが起こるかと言うと、たとえば、ある小さな会社が防衛装備の1部品をつくっている。それがその会社の収入の大半を占めるという時に防衛費がいくら伸びると言っても、なかなか発注がない。どうしてかと言うと、現在、日本の防衛予算の約5兆円のうち、海外に調達する経費というのは1兆5000億円ぐらいです。その中で、外から日本が輸入する品目を売上げで考えると完成品を買ってくる。いわゆるFMS(有償軍事援助)というのがだいたい7割を占めてしまう。7割を占めるということは、日本の企業に何の利益もないですね。完成品を買ってしまうわけですからね。だから、いかにして日本の中小ベンダーの力を上げていくかという方法を考えないといけない。もちろん、全部国産ができればいいです。でも、日本はそういうトータルなシステムをつくる技術よりも、個々のデュアルユース、たとえば、炭素繊維だとか、部品だとか、生産技術だとか、素子だとか、そういうものについては世界一の技術を持っている会社が多いわけです。たとえば、共同開発、共同生産をする時にできるだけ日本の企業がそこに参画して、そこの部分だけ共同生産の一部を占める役割を果たして輸出できるようにすると、1番いいわけですね。F‐35もそれを狙っているわけです」

国産兵器輸出の『リスク』
反町キャスター
「輸出する時に、その国から第三国に流れてしまうのはチェックできるものなのですか?」
森本氏
「それはいろいろなやり方があって原則は原則で、実際の運用は外為法に基づいて、許認可権は経済産業大臣が持っています。日本がいろんな防衛装備品や技術を海外に移転する場合は全て許認可を得るということになっている。許認可を得る時にどこに出すのかということを目的も相手もキチッと審査をして、許認可を得て出すということなので、無制限で出しているわけではないです。しかも、それをずっとフォローするシステムを持っていて部品なら部品をどこに移転するかということをコンピューターでチェックできるようなシステムを持っています。時々それが、違反行為があって、日本は民需品を持っているから、デュアルユースをうっかりと他の国の人に買われ、使われる。わかりやすく言ってしまうと、北朝鮮から韓国に時々ドローンが飛んでくるんです。韓国に落ちるんですね。どうして落ちるかというと航続距離が短いから。そのドローンを分析すると、日本製のカメラだとか、通信機が載っている。どこから買ったか。秋葉原から、何人かわからないけれども、アジア人が買って、それを北朝鮮に渡して、そういうふうにして出ていくものをどうやって規制できるか。外為法でいちいち許認可していませんので、一般の汎用品が出ていく。そういうものをどうトータルで規制していくのかは我々がこれから考えなければいけない。非常に難しい問題です」

国産兵器と『政治家』
反町キャスター
「防衛技術を移転するにあたって、それを政府が進めるにあたって政治家が負うべき覚悟、どんな基本的な姿勢でこの話を進めていくべきか?」
織田氏
「難しいですけれど。移転1つとってもアジアの安定について、どう安定させるかというところから考えなければいけないと思います。アジアの安定=アジアで台頭する中国にどう対応するかということですね、政治の世界では。それは力の信奉者である中国に対して国際法、あるいは国際規範を守るように仕向けていかなければいけない。自由と民主主義、人権、人道、法の支配という価値観を同じくする人とスクラムを組み、あたっていかなければいけない。スクラムを組もうとしたら弱いところがあるわけですよ、それはハード、ソフトで日本が援助し育てていかなければいけない。キャパシティビルディングと言って現在やっているんですよ。ソフトウェアについて、たとえば、某国に対しては、飛行安全は航空自衛隊がどのようにやっているか。それは輸出ですよね。指導してやっているんです。それを一歩進めて、装備についても日本のいい装備を移転していく。ハード、ソフトで能力を上げてもらって、スクラムを組んで、中国に対して、国際法、国際規範を守るように仕向けていく。それが政治に求められることですよね」
森本氏
「中国は昨年『中国製造2025』という新しい国家戦略をつくって民需企業の技術を軍用に使う。軍民の融合という政策をとった。それで私が1番気になるのは日本の特許制度がインターネットでわかるようになっていて、特許をとってそれが全部ネットで公開される。普通の技術が全部中国にいくということなのですが、これをどうやって止めるか、法制度をつくらないといけないのですが、中国はひらの情報でも全部集めて、全体のシステムのコンセプトをつくるということをやろうとしているわけですから。どのようにしてこれから日本の中でこれをコントロールできるかというのが第1です。それと、もう1つは、日本の得意分野を活かすために技術の面でリードしていくということです。たとえば、ロボットだとか、人工知能だとか、無人のシステムだとか、サイバーとか、世界のトップ技術を日本が独自で開発し、これでリーダーシップをとっていく。得意分野をいかにして活かせるか。そのためには日本の個々の企業がどういう技術を持っているかということを調べて、わかったものの中で、最もこれを育てようという分野については、国家戦略的に、日本が、政府が自ら、そういう事業を助けて、国際競争力をつくっていく。そういうふうにしないと技術は外に盗まれ、小さな企業は厳しくなると。結局は盗られるだけ、負けるだけ。倒産していく、それでは日本の防衛装備の技術というのは発展も成熟もしないですよね。ここを国が責任を持ってリードしていくということがないと、これから生きていけないと思います」

石原慎太郎 元東京都知事の提言 『航空機産業の復活』
石原氏
「航空機産業の復活、これを日本がやれば世界を唖然とさせることができるんですよ。やろうではないですか」

森本敏 元防衛相の提言 『両用技術の開発をすすめ 安全保障に活用すべし』
森本氏
「両用技術、デュアルユーステクノロジーというのを最大限に活用して、日本の安全保障に活用するというのが、これからの我々の生き方だと思います」

織田邦男 元空将の提言 『原則に立脚した安全保障ネットワーク』
織田氏
「アシュトン・カーター氏が今回のシャングリラ会合で言ったことのパクリです。防衛装備移転というのは理念が要ると思うんですね。その理念として、ソフト、ハードをキャパシティビルディングとして提供していくという理念を追求すべきだと思います」