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2016年6月15日(水)
櫻井よしこが読む核心 都知事辞職と中国軍艦

ゲスト

櫻井よしこ
ジャーナリスト
飯島勲
内閣官房参与(前半)
朱建栄
東洋学園大学教授(後半)


前編

舛添都知事 辞職へ 都議会で自ら説明
櫻井氏
「舛添さんに対していろんな批判がありますよね。現在もありますね。ホテル代が高かったとか、ファーストクラスとか。こういったことは本来、あまり文句を言われるべきことではないですよね。日本の顔ですから。ファーストクラスで行くことはちっとも悪いことだとは思わない。たとえば、官僚の皆さん、飯島さんの方がよくご存知だと思いますが、私もニュースキャスターをした時にいろいろ世界中を飛びましたけれども、官僚の皆さん方が本当、あるポジション以上の方、皆ファーストクラスですよ。びっくりするぐらいですね、本当に。反町さんはどうですか、ファーストクラスですか?」
反町キャスター
「とんでもないですよ」
櫻井氏
「でしょう。民間の私達からすると官のお金の使い方、もちろん、日本国を代表するからということでしょうけれど、それを考えれば、都知事がファーストクラスで行くのはちっともおかしいとは思わないですけれども。公と私の部分で、本当に、十分に公のために、都民のために、働いてくださっているという気持ちがあれば、どうぞ、どうぞ、体を休めてくださいという気持ちになるのでしょうけれども、残念ながら今回はそういう気持ちに都民の方がなれなかった。それがどんどん批判が高まっていった1つの理由かなと、私は考えますね」

『決意』の背景と余波
飯島氏
「人の不幸は蜜の味というけど、これほどマスコミのあらゆる指摘、バッシングというか、すごかったですよね。ですから、九十何パーセントという都民が辞めてくれと言ったのだと思いますが、そもそもこの原因が何だったのかというのが、舛添さん自身が深く分析をしなかったことと言えるんですね。理由は何かと言ったら、まず私から言わせると、舛添さん自身、3つの内閣で厚生大臣をやって大変評価が高かった。確かに政治資金の問題で離党し、新党をつくりと、いろんな動きがあったとなると、政治資金の収支報告を的確に公私を分別して出していると皆、思ったと思うんです。だから、今回の事案で不思議なことに、政治資金でこれまで問われた場合、だいたい入りの部分ですね。甘利さんとしても皆、入りの部分でおかしなところから貰ったとか、こうだったとかと言って、集め方。出の部分というのは珍しいですね。これだけ出の部分でありとあらゆるのが出てきたのは何かと言いますと、私、驚いたことに政治資金の収支報告でありながら、たぶん秘書さんも見なかったのではないのかな。舛添さん自身、あらゆる領収書を1枚残らず全部集めていて、ミスなく記載したんです。つまり、普通の家庭の主婦が細かく家計簿をつくりますね。余分なところを次に削ろうとやる。入りが決まっていますから。そんなような家計簿をつけるような感じで、あらゆる領収書を全部記載したと思うんです。だから、実際マスコミが裏を調査したとか、そういうのではなくて、提出された収支報告を1個、1個、これは何だとやったのだと思うんです。ここらへんから、そもそも3か月もかかる前に、速やかに公私を分け、私的な部分と社会通念上、あるいは政治活動にならないようなものがあれば、これは返済すると自己資金で。なおかつ速やかに政治資金団体を廃止して、それできちんと統制をやりますというのを1日か2日で片をつけられたと思うんです」
櫻井氏
「舛添さんの1つの問題は今回、都庁の職員の方から、副知事でも誰でもいいんですけれども、舛添さんにこういうものですよという助力をする人がおそらくいなかったでしょう」
飯島氏
「そうです」
櫻井氏
「そこは舛添さん、これからのためにもご自分がどういう目で見られているか。自分が使っている部下から、それは反省しないといけないだろうということは感じましたね。人間ですからいろんな間違いは起こすし、こういうお金の使い方も間違うことがあるわけですけれども、その時に、たとえば、飯島さんみたいな秘書がいるとか、部下がいるね。そうしたらすぐにここはこういうふうにしましょう、ここは謝りましょうとか、訂正しましょうとかを誰も言わなかったということは、本当に冷たい目で見られていたということですよ。そこが彼の1番の敗因ではないですかね」
反町キャスター
「法的に瑕疵がないというところはたぶん舛添さん本人が1番わかっていて、自身の説明もそうだったし、第三者と称する弁護士の方に説明、調査を頼み、その方からの調査も発表したりもして、その意味において、私は何ら法的にはやましいところはないよというアピールは、舛添さんなりにたぶん法的には非常に緻密にかっちりとした説明をずっとメディアを通じて発信し続けたと思うんですよ」
飯島氏
「だけど、実際は家計簿みたいに全部出しているので、社会通念上、これを政治活動と称することができるかどうかという分析がまったく能力がなかったですね。だから、第三者の調査と言っても、自分が任命して、あとでお金を払うわけでしょう。その第三者という、ヤメ検も含めて、舛添さんの収支報告の項目をチェックすると。ご存知のように、政治収支報告、政治資金の問題は出については法令上どう使っても罰則規定がないということ。だから、法令違反でないというのは当たり前なので。規定がないですから。何に使ってもいいです。答え同じです。時間をかけたこと自体がアウトと言わざるを得ませんね」
櫻井氏
「それに、政治は、法律はもちろん、大事で、法治国家ですし、政治家も私達に率先して、庶民に率先して法律を守らなければいけないですけれども、もう1つ、すごく大事なことが政治に求められている。それは道義的なものですよね。法律的に何の問題もありませんと言われても、その舛添さんが美術品をたくさんお買いになっていた、あれはどう考えても納得できないもの。そこに私達は、舛添さん、都知事としての道徳的なもの、倫理的なものですね。この人なら、少々の無駄使いいいよと。信頼するからとにかく都民のためにやってくれ、日本のためにやってくれと思う、信頼性を生み出すような倫理的な潔白さというのが見えてこなかったですよね」
飯島氏
「絵画をいっぱい買った、確か。だけども、政治家たるものいろいろなところ、海外を訪問したりしますから、プレゼントをするわけですね、何らかの。だけど、あんな何百万とか、何十万ではなくて、たかだか知れている」
反町キャスター
「全部で300万円ちょっとぐらいですよね」
櫻井氏
「それで、絵画、お買いになったものをプレゼント用だったかもしれないですが、ただ、彼の公務を見ると、美術館通いがすごくあったとか、お母様を世話していらしたという割には福祉施設への訪問が1度もなかったとかですね。都民は皆そういうものを総合的に見ていますよ。だから、そこだと思うんです。本当に、この人は道義的に信頼できる人なのかどうなのか。私達が期待していいのかどうなのかというところが危うかったと思いますよ」
反町キャスター
「道義とか、道徳とか、品格というものがないと、それは国民の代表としてはふさわしくない。要するに、政治家としてそれはダメだという話に聞こえてきます。そこまで求めるべきなのですか?」
櫻井氏
「政治家と一括りにするのはちょっと違ってくると思うんです。衆議院議員の1人なのか、参議院議員の1人なのか。都知事は東京都という地方自治体のトップですよ。国にしたら、安倍総理大臣と同じですよね。本当にトップで、その国の顔、その県、都の顔ですよね。その1番上に立つ人に求められるものと、その下で助っ人をしながら政治をする人というのは多少、求められるものが違うのだと思うんです。とりわけ都知事の場合、道義的なもの。法律的に何でも合っているから、どんな法律を活用して、私からちょっとおかしいなと思うことをどんどんやっていて、それでいいやとはならないと思いますね。日本人はこれからどう生きるべきか、どういう価値観を示すべきか、どんな社会をつくるべきか。その理想に向かって、こういう夢を描いて、皆でやっていきましょうという役割が、私は都知事に求められていると思う」
反町キャスター
「厳しいですね」
櫻井氏
「いや、厳しくない。それで、都知事にもちろん、実務的な人が良いという意見もありますよ。猪瀬(直樹)さんと今回が続いて、こんなタレントさんみたいな人はいいと。きちんとした官僚上がりの実務をよく知っている人がいいと言うけれど、かつて鈴木(俊一)さんという非常に頭の良い方たがいらっしゃった。私は非常に素晴らしかったと思うけれども、現在の時代はもうちょっと、石原慎太郎さんが全部良いとは思いませんが、慎太郎さんがなさったことは、外環道路という、ああいったことも含めて、何年か経ってみたら、ああ良いことしてくださったのだなと思うようなことをしてらっしゃるわけですね、先を見て。それから、日本人のこれから先の生き方を見て、東京都民としてこういうふうに最先端を走ってみようではないかということを示し得ることが都知事に求められる1つの要素だと、私は思います」

『ポスト舛添』は?
秋元キャスター
「さて、舛添都知事の辞職が決まりまして、いよいよ次の都知事が誰になるかというのが気になるわけですけれど、現在こういった名前が取り沙汰されています。自民党からは、前文部科学大臣の下村博文さん。経済再生担当大臣で石原慎太郎元都知事の長男の石原伸晃さん。元防衛大臣の小池百合子さん。さらに、総務省の事務次官の桜井俊さん、アイドルグループ嵐の桜井翔さんのお父様です。民進党は、党代表代行の長妻昭さん。同じく党代表代行の蓮舫さんということですが、飯島さん、ポスト舛添は誰になると思いますか?」
飯島氏
「率直に言って、出たい人より出したい人、どうするか。露出度、テレビに強いからと言って、知事にふさわしいかどうか。これは問題。鈴木(俊一)都知事以前に戻った状態で、できたら、超党派で、財界の経営者とか、あるいは櫻井(よしこ)さんみたいなジャーナリストの方に本当は出てもらいたい。しかし、出てもらいたい人は、なかなか受けてくれないんだね。櫻井さんにしても」
反町キャスター
「櫻井さん、メールが来ているんですよ。『櫻井よしこさんに是非立候補してほしいと思いますが、いかがですか』と。こういうの、いっぱい事務所に来ませんか?」
櫻井氏
「私、出たら、すぐに本音でモノを言ってね、1日でクビになりますから。出ない方がいいです、本当に」
飯島氏
「想像を絶するぐらい減収になるでしょうけれども」
反町キャスター
「知事になることによって、現在よりも収入が減るという意味ですね?」
飯島氏
「この名前が出ていますけれど、1番若い人は桜井パパだね。ただ、問題は確かに総務省の事務次官と言っても、郵便ポストが赤なのか、青なのかの分析ではないけれども、一応、郵政省だから、地方自治というのをまったく知らないわけだよ。本人も会見で言っていますね。IT(情報記述)とか、そういうのは詳しい。自治はわからない。私はできたらある程度、東京都と日本の政治も変えてもらいたい。それが何かと言ったら、ちゃんとした資質のある、多少名前が売れていなくても、経歴を説明すれば、わかる都民が多いですから。そういう人を選定してもらいたい。ただ、単に露出度があって、名前を知っているだけではなくてね」
反町キャスター
「櫻井さん、いかがですか?次の都知事はどういう人がいいのか。ないしはメールも来ているので自身は…」
櫻井氏
「もう、私のことは、まったく問題外ですけれどもね。そこにいらっしゃる方々、本当に素晴らしい方だと思いますけれど、東京は特別の地方自治体ですよ。日本はすごい国ですよ。その日本の中の東京という位置づけからすると、私は21世紀に向けて、私達、日本人はどうあってほしいかということを一応、語れる人であってほしいなと。高齢化の問題だってそうです。高齢化の最先端を走っていて、いかにして皆が幸せにお歳を召しても最期まで幸せに暮らせるような国づくり、社会福祉を実現するとか、これは日本が世界のモラルにならなければいけないわけで」
反町キャスター
「都知事選の候補者とかを選ぶ時に、世論調査をかけて、上から選んでいくような傾向がありません?」
飯島氏
「率直に言ってあります。」
反町キャスター
「だから、それが失敗の原因ではないかというね」
飯島氏
「だから、舛添さんが出る前も、3、4人、こういう人が絶対いいと思って調査をしたら、舛添さんがダントツで、40%ぐらいで、私のこれはと思った人は7%だとか、3%ですよ」
反町キャスター
「そのやり方をまず今回変えなくてはいけないところからですね」
飯島氏
「私はそれこそいくら参議院選挙があろうと関係なく、民進党、公明党、自民党。少なくとも最低3党で調整しながら、本当に明日の東京というのがどうあるべきかということで候補者を選んでもらいたいですね」


後編

中国軍艦『領海侵入』の真意
秋元キャスター
「今回の中国軍艦の領海侵入をどう受け止めていますか?」
櫻井氏
「中国側がどういう意図でこれをしたかということを分析しなければいけないと思うんですけれども、私もいろいろな方に取材をしたのですが、まだ現在の時点ではよくわからないというのが専門家の見方だと思います。客観的に見ますと、この前、接続水域に入りましたね。今回、領海に入りました。少し離れていますけれど、尖閣の方では恒例のようになりました。公船、海警ですね、どんどん日本の排他的経済水域を超えて、領海の方に入っていることが今回も確認されています。全体で見ると中国は公船、白い船ですね、海警の船で日本に入ってきて、月に3回ぐらいは領海侵犯をやるということが常態になっている。今回、軍艦、灰色の船があっちにもこっちにも入ってきて、これからも続くのではないかということを私達は心配しなくてはならないわけで、灰色の船による日本の海への審判が常態化することだけは絶対に止めなければいけないということを私達は具体的にどうするかということを考える時だと思いますね」
秋元キャスター
「軍事評論家の岡部いさくさんは『日米印の海上合同演習マラバール2016が行われる海域での情報収集の任務ではないか。その前に嫌味を見せたのだろう』と分析しています」
朱教授
「たぶん今回の海上軍事演習を追跡していたと思うんです。中国とロシアの海軍のいろいろ演習に対しても、日本の自衛艦、アメリカの軍艦が常に横に付き添っている。情報収集する、よくあることだと思います。ただ、領海侵犯については、私も櫻井さんがおっしゃったように、いきなり報道されてどういうことかなということがわからなかったんですけれども、夕方に中国の国防省と外務省それぞれに説明を伺ったんですね。外務省の説明として、トカラ海峡というのは国際的に無害通航、自由航行ができていて、沿岸国に事前に報告する必要のない国際海峡であると、それを説明した。国防省の説明というのは、中国はアメリカと同じように国際海洋法条約で認められている無害通航、自由航行をやっただけだと。そういうことで見れば、何かの牽制ではあるものの、尖閣の延長線で、さらに日本に迫ってくるということより、米中、南シナ海ということの延長で米中の対立が激しさを増し、より広く広まっていると、そのように見ていく必要があると思いますが、中国が日本を侵害し、日本を敵にまわすということは、私は日本も中国を敵にするということはどちらもメリットがないと思うんですね。だから、大局的に見て、1つのことで全体の背景を見ないで、ただ、中国脅威論を煽るというのは、私は良くないと思います」

相次ぐ中国軍艦『領土接近』
櫻井氏
「国際海洋法というのは、中国政府も言っているように無害通航ができるんです。領海でも。ただし、1つ条件があります。それは、たとえば、日本の領海を通る時に、その通る国の船が、これは日本の領土ではなく、我々の領土だという主張をする時は無害通航ということが無条件で認められることではないです。国際海洋法が認める無害通航というのは、今回のロシアの船と中国の船を比べてみると、ロシアの船が南から北に抜けると、海上自衛隊がそれを当然の権利として監視しました。それに対して中国の軍艦はUターンするような形で入って、我が国の接続水域を侵しました。我が国は抗議をしました。なぜ私達はロシアには抗議をしないで、中国に抗議をしたのか。それは、ロシアは尖閣とか、南西諸島に関して、これは自分達の領土だとクレームしていないわけですよね。中国は、これは我々の領土だと言っているわけで、我々日本国としては無害通航としては認めない。と言うことで、抗議をする。根拠があるわけです。中国はこれをロシアと協調してやったということを説明しましたけれど、その直後にロシア側がTwitterでそのような事実はないと言いましたね」
朱教授
「現在は削除されている。おそらくアメリカに対して中国とロシアがアメリカの言う航行の自由というようなことに対する南シナ海、あるいは地中海などロシアに対して主張していることに対して一種のやり返し。中ロというのは航行の自由というのは我々もやれるのだというようなことで、私は常識的に考えても、ロシアが通るということを中国は最初からずっと待ち構えて、ロシアが来る時に我々もついでに入ろうかな、そのようなことで中国はロシア側に言って、モスクワもちょっとまずいなということで取り消したということは、現在のロシアの正式な立場ではないということです」

南シナ海めぐる『米中対立』
秋元キャスター
「今月5日から開催されたアジア安全保障会議が行われましたが、米中の対立について」
櫻井氏
「中国は孤立していないと、激しく、孫建国さんですか、発表したんですね。彼のスピーチで、南シナ海は完璧に安定している。航行の自由はまったく影響されていないと。守られているということですね。それから、我々は中国自身の主権を守るんだということとか。フィリピンは中国を常設の仲裁裁判所に訴えていますよね。フィリピンの訴えというのは違法と。こういった孫建国さんの、どう見ても国際社会から見ると人民解放軍のNo.2の孫建国さんのおっしゃっていることは受け入れられない。どう考えてもおかしい。今年30か国ぐらい参加したんですよ。その30か国の中の、弱い、小さい国々、こうした国々が1つとして中国に賛同しなかった。昨年と一昨年のことを少しお話しますと、今年はいかに突出しているかということがわかるんですよ。一昨年は、2014年は、安倍さんが日本の総理大臣として行かれて基調演説をしたんですね。航行の自由とか、問題の平和的解決とか、国際法の遵守とか、そういったことを言った。力による現状変更はいけませんよと。日本の総理大臣はあまり発言しないのに安倍さんが言って、そこでスタンディングオベーションが何回も起きたの。中国のその時の代表が人民解放軍No.2の副参謀長、王冠中という人だったのですが、この人が翌日スピーチしたのですけれども、頭から湯気が出るぐらい烈火の如く、怒って、彼は自分が持ってきたスピーチを横に置いて、安倍総理の悪口をガンガン言ったんですよ。つまり、日本が、国際法とか、話し合いとか、平和的な解決とか、力による現状変更を許しませんと言ったことが癪に障ったんですね。それが2014年。昨年はまったくアプローチが違っていました。昨年はホスト国のシンガポールのリー・シェンロン首相が基調演説をしたんです。何をおっしゃったかというと日本を批判したんです。日本は歴史問題で反省しろとおっしゃって、南シナ海の問題は2国間同士で話し合えばいい。多国間で話すことはないと。中国の主張ですよ。中国は相手を分断して、1対1の中国とのバイの話し合いに持ち込めば中国が勝てると踏んでいるわけです。だから、必ず相手陣営を分裂させるんです。その趣旨をリー・シェンロン首相がおっしゃったと。中国の主張にそのまま沿ったような内容のスピーチをした。中国はアプローチを変えたのだと思うんです。今年は正面から強行手段で、先ほどご紹介したような話をしましたね」
朱教授
「現在の話を聞くと中国だけが孤立していると。ところが、2日前に中国の外務省の記者会見で、中国は関係諸国でこの問題を解決するという主張に対して既に40か国以上、 中国の立場に賛成しています。ロシア、インドも含めてです。アメリカの立場を公に支持しているのは7、8国しかないではないか。それを国際社会が全部支持していると言えるのか。これがまず1つ。今回のシャングリラ、最大の1つの変化というのは、1日目は強行な話をしたのですけれども、翌日からトーンダウンしたんですね。なぜならば、ベトナムもフィリピンもついていけないと。フィリピンの国防長官は、現在のような話ですと米中の軍事対立だと。我々は蚊帳の外に置かれた。ベトナム側は進んで中国に対してカムラン湾に中国に入ってくれと。言ってみれば、この関係諸国、小国も、アメリカなど大国を利用してやっていると」
櫻井氏
「ベトナムとか、フィリピンも中国にアプローチし、フィリピンの新しい大統領は、中国が、仲裁裁判所に訴えたことを引き下げてほしいと言ったならば、棚上げにしてもいいという発言があったと聞いていますけれど。ベトナムが(中国に)カムラン湾に来てくださいと言っていることは、日本にも来てください、アメリカにも来てくださいと。東南アジアの小さい国々にとってはバランスをとるのは、これは常識です」
朱教授
「小国の知恵です」
櫻井氏
「それをもって、あなたの国を支持していると思ったら、読み違えると思います」

日米と中国… 『平和共存』は
反町キャスター
「南シナ海、東シナ海で平和に共存していくことは可能なのですか?」
朱教授
「南シナ海は、アメリカが中国の台頭で、今回の埋め立てとかの話の遥か前、2010年からヒラリー・クリントンさんが既に南シナ海にアメリカが入るなと。いろいろやっていたんです。ここ2年見ていても、昨年アメリカが言ったのは南沙諸島の話。いつの間にか西沙諸島も中国は何をしていると。南沙諸島に攻撃型の武器を配備すると、いつの間にかレーダーを含めて、皆軍事と。そこを見るとアメリカが中国の台頭に対してどこかで牽制していると。中国は正直言って、ロシアと組んでアメリカと対抗したくない。ロシアという国は、国益があって強かな部分がありますので、ロシアも時には中国を利用して対抗する。中国もロシアを利用するのですけれども。究極的には鄧小平さんが言ったように、中国はアメリカと仲良くする時には発展するのだと。従って、この問題で中国がアメリカと対決していく、日米のブロックと対立するというよりは、私は発想を変えて、これからは互いに誤解、懸念はどこなのか、率直に話し合うと。米中には話し合いの土台があるんです、戦略と経済対話。日中にはない、一方的に相手が悪いという話だけが走りまわっていると。そういう意味で、重要なのは意思疎通です。相互理解です」
櫻井氏
「ここで戦争してはいけないです。それをしないために私達は幾つかしなければいけないことがあって、中国に対して、あなたのようなやり方は断固許しませんよ、日本だけでなく西側諸国はあなたのやり方は受け入れません。平和共存したいのであるならば中国は改めてもらわないと困ります。それは国際法に基づいてくださいと。あなたが言う法的解釈というのは、これまでの法的解釈とは違うでしょう。世の中を中国風に変えるのはおかしいではないですか。平和的にやってください。軍事力はダメです。クリントンさんが2010年から云々とおっしゃられましたけれども、あの時なぜクリントンさんがそう言ったか、フィリピンやベトナムから中国が島を獲り始めていたからですよ。それを見て大国として出ていかなければいけない。コミットしましょう。アメリカは太平洋の国ですよと言ったわけです。それは皆、大歓迎されましたね。私は、反省すべき点は両方にあるかもしれませんけれども、1番反省すべき点は中国です。中国のやり方は許されませんよ、現在の21世紀の世の中では。このことを彼らが自覚しない限り、私達は抑止力を働かせるという意味において経済、政治、軍事、全てにおいてきちんとした体制をつくらなければいけないと思います」

朱建栄 東洋学園大学教授の提言 :『米中日露印 ともに海のルールを』
朱教授
「現在の世界で対中包囲網をつくっても、それはできるわけないし、逆効果で、どこの国にとっても幸せな結果はないと思います。現在の世界は互いにつながっていますし、海の問題があれば、たとえば、海の航行の自由、運輸の安全と、大国がともに話し合って、日本はかつてシーレーンの防衛というのを、最大公約数で、そこで協力していくということが大事ではないかなと」

ジャーナリスト 櫻井よしこ氏の提言 :『賢く強く』
櫻井氏
「隣に中国みたいな身勝手な国がいますから。私達は挑発されて、感情的になるとか、してはいけないですね。中国に賢い人達がいますからね。私達も彼らの賢さに見習って、私達も賢くなって、ただ、賢いだけではダメですから、強くならなければいけない。これは経済、政治、軍事を含めて、強い国になる。それによって抑止力を働かせるということが大事だと思います」