プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2016年6月8日(水)
トランプかヒラリーか 仁義なき戦いを制すのは

ゲスト

林芳正
自由民主党参議院議員 元農林水産大臣 元防衛大臣
ケント・ギルバート
米カリフォルニア州弁護士
海野素央
明治大学政治経済学部教授

トランプvsクリントン 拮抗する支持率の行方
秋元キャスター
「トランプ氏とクリントン氏の平均支持率の推移ですけれども、昨年の夏にはクリントン氏が大きく差を広げていたのですが、その差が徐々に縮まってきまして、9月半ばあたりからは拮抗しています。今年に入って3月にクリントン氏がまた引き離したんですけれども、5月には一時、トランプ氏がクリントン氏を逆転しました。現在は、再びクリントン氏が僅かですが、リードしているという状況です。ケントさん、ここまで追い上げてきたトランプ氏の最近の戦いぶり、どう見ていますか?」
ケント氏
「トランプ氏の支持率についてはそんなに重く受け止めていないです。と言うのは、現在、世論調査が非常に取りにくいので。皆、固定電話を持っていないから。非常に統計が取りにくい。トランプ氏の戦いぶりというのは、彼らしいものですけれども、普通ではないですね。なぜこれがウケるとか。私も2週間前にアメリカに行ってわかったんですね。皆さん、本当に怒っているんですね。これまでオバマ大統領になってから、議会も、大統領も、大きな社会問題を何も解決していないですよね。早々と国民皆保険もやりましたけれども、共和党はそれでもダメだと言っていますけれど。たとえば、移民問題、これも全然解決をしていない。財政赤字は膨れる一方です。外交問題、全然うまくいっていないように見えます。必ずしもそうでもないと私は思っていますけれどもね。経済格差が広がる一方。これを全然、解決どころか着手もしていない。このような政治家達はダメです。ですから、違う人がいい。トランプ氏が何で有名になったかというと、昔、ニューヨークのある公共事業があって、そこが永遠に終わらないですよ。政治的なしがらみがあって、賄賂もあるとか。トランプ氏は、俺にやらせろ、そうしたら6か月で完成させますよと。だったら、やってみろと。やってみたら6か月で終わったんです。予算の範囲内で。あっこの人ならできるんだって、そういう政治的なところを置いておいて、自分の力でがんばってできる人だという、そういうイメージができたわけで、だから、トランプ氏のスピーチを聞いていると、主語が私です。僕だとできる、僕がこうするですよね。これがちょっと気に入らないですよ。私は」
反町キャスター
「どうして?」
ケント氏
「自慢ばっかりではないですか。ただ、それは謙虚さに欠けているんだけれど、ここまで来てしまうと誰も謙虚な人を選びたくないんですよ。できる人を選びたい。ですから、多少独裁的な部分、多少それが下品であっても多少人を侮辱することになるとしても、問題を解決しているのであれば、こういう人がいいのではないかなと。そういうふうに感じましたね、向こうに行って」
秋元キャスター
「海野さん、現在ケントさんが話したような、国民の怒りみたいなものに押されて追い上げてくるトランプ氏というのは、クリントン陣営としてはかなり危機感があるのでしょうか?」
海野教授
「そうですね。反職業政治家、反インサイダー、反エスタブリッシュメントというのは今回の選挙の大きな特徴ですね。昨年の8月からクリントン陣営に入って、9つの州で個別訪問をやって、電話による支援をやってきたんですね。9つのクリントン選挙対策事務所に共通点があるんですよね。その共通点というのは若者が少ないんですよ。若者はいるんですけれども、その若者というのはだいたい有給のスタッフ。インターンシップの学生ですよ。ですけども、ボランティアで来る運動員達というのは中高年の女性が圧倒的です。9つの州の共通点。若者が少ないというのはどのような影響を選挙戦略に与えるかと言いますと、地上戦ですよ。トランプ候補は彼の強いキャラクターとメッセージで、空中戦で戦っているんですよ。クリントン陣営は地上戦をやろうとしているんですけれども、地上戦の核は戸別訪問ですよね。若者が足りないですよ。たとえば、1つ例を挙げてみます。クリントンさんは東部のペンシルベニア州で確かに勝ちました。しかし、戸別訪問というのは不在が多いですよ。そうすると、2回目を回らなければならない。ところが、実は1回目も回りきれてなかったんですよ、回れないですよ。しかも、たとえば、ミシガン州で戸別訪問をやりました。そこは労働者をターゲットにしたんですよ。戸別訪問に行きますよね。私みたいな人が雪の中、8時間やらなければならないわけですよ、若者がいないから。しかも、私は労働者イコール民主党だと思っていたんです。労働者だと思って叩きました。トランプ氏の支持者ですよ。労働者にもトランプ支持者が浸透している。さらに昨年8月に東部のニューハンプシャー州で戸別訪問をやりました、無党派層。トランプ氏の支持者です。先週、私はカリフォルニア州サンフランシスコに行ったんです。戸別訪問をやっていました。そこでフランクリンストリートからジャクソンストリートに向かって歩いていたんですよ。私はいつもクリントンさんの公式の帽子とTシャツを着ているんですよ。そうしましたら、白人のサングラスをかけた男性がクリントンの戸別訪問をやっているのですかと聞いてきたんですよ。私が、はい、やっていますと言いましたら、彼が、私もトランプの戸別訪問をやっているというんですよ。これはトランプ氏のカリフォルニア州のパンフレットですよ。彼がこれを私にくれたんですよ。私は彼に言ったんですよ。ですけど、トランプさんはもう勝ったではないですか。カリフォルニアでやる必要ないですよね、戸別訪問、と言いましたら、その彼が、いや、本選の準備をしているというんですよ。その後で、えっ、本選の準備をしているのですかと言ったら、その運動員が言い直したんですよ、予備選挙と本選の準備をしていると言い直したんですよ。その時、思ったのは、進んでいるんですよ、一歩進んでいるんです」
反町キャスター
「先を読んだ選挙体制」
海野教授
「先を読んだ選挙体制。カリフォルニア州で本選の準備をしている。しかも、そのあと私が、クリントンさんの、逆に、パンフレットを持って個別訪問をやったんです。標的としている家に行ったんですよ、アパートに。そうしたら、既にこの(トランプ氏の)パンフレットが差してあるんですよ。私も、一生懸命、上に差しましたけれど、ですけども、既に差してあるんですよ。ですから、早く対応をしているんですよね」
反町キャスター
「それは資金力の問題ではないですよね。資金力は、だって、ヒラリーキャンペーンチームだって十分持っているはずで」
ケント氏
「資金力はあります」
反町キャスター
「お金はあるんだけれども、マンパワーが…」
ケント氏
「金がないのはサンダース氏です」
反町キャスター
「なぜマンパワーが集まらないのですか?」
海野教授
「クリントン陣営ですか?私はニューヨーク州マンハッタンの西マンハッタンのチェルシーという地域があるんですよ。そこに3日間、立って、有権者に声をかけたんですよ。圧倒的にサンダース氏の支持者多いですよ。彼らが言うのはクリントンイコールウォール街ですよ。もう固定されたイメージがあるんですよ。多額の献金を受けている。エスタブリッシュメントである」
ケント氏
「これまでのしがらみの中でやっていると」
海野教授
「固定されたイメージがあるんですよ。それは変えられないですよ」

米大統領選…仁義なき戦い
反町キャスター
「海野さん、そうした中、オバマ大統領が事態の収拾に向かって動き出しました。オバマ大統領が動いて、クリントン氏に対しておめでとうと。サンダースさんに対してはどうだいちょっとここで矛を収めないかいと。こういうオバマ大統領の動きというのは、クリントン陣営にとっては、良いこと、ありがたいことなのですか?」
海野教授
「すごくありがたいです。たくさんオバマ大統領とクリントンさんのバッジがあるんですよ。現在オバマ大統領の支持率が52%まで上がっていますね。民主党(支持層)でしたら、軽く80%を超えているんですよ。現在クリントンさんはオバマ大統領頼みですよ。しかも、ここがポイントになるのですが、実はオバマ大統領も、もしトランプ大統領誕生となると、オバマレガシー潰しが始まるんですよ」
反町キャスター
「TPPから始まってね」
海野教授
「オバマさんの功績が消滅していくんですよ。ですから、オバマ大統領は現在、必死ですよ。何とかして統一して。ですけど、それは自分のレガシーの維持もあるんですよ。広島訪問も潰されるかもしれない。ですから、広島から帰って、インディアナ州に行って、すぐにキャンペーンを始めて。私が見ていましたら自分の選挙のようですよ。自分のレガシーを維持する選挙です。ですから、ここは仲介役に出て、何とかサンダース陣営の若者を取り入れて、個別訪問をさせるということです」

両氏が抱える『火種』
秋元キャスター
「11月の本戦に至るまでの主な日程ですけれども、7月に入って共和党大会、民主党大会がそれぞれ開かれまして、トランプ氏とクリントン氏が正式な候補者として選出されます。秋になりますと、候補者同士が直接対決する公開討論会やテレビ討論会などが開かれ、一挙手一投足が全米の注目を集めることになります。11月8日、投開票が行われ、新しい大統領が決定するということになるのですが。本戦に向けた一騎打ちとなるわけですが、既に両陣営、相手候補を貶めるようなネガティブキャンペーンを本格化させています。今後どのようなことが火種になるのかということですけれど、トランプ氏、クリントン氏、それぞれこういうことで批判されています。トランプ氏は自身が設立した不動産投資を指南するセミナー、トランプ大学で元受講生から不当に高額の受講料を支払わされたなどとして、集団訴訟を起こされています。さらに過去の大統領候補が公開してきた年収などを記しました確定申告書の公表を拒否したことで、何かを隠しているのではないかという疑念の声が上がっています。一方、クリントン氏も国務長官在任中に公務で、私用メールアドレスを使っていた、いわゆるメール問題が未だにくすぶり続けていて、FBI、連邦捜査局が調査を進めています。クリントン一家が主宰する慈善団体であるクリントン財団がロシアの国営企業に買収されたカナダ企業や中国企業などから多額の献金を受けていたことも指摘されています。ケントさん、今後の大統領選挙、どの点が1番大きくなりますか?」
ケント氏
「確定申告は出せば、その話は終わりますからね。現在、調査中です。調査中に出すことはできないですから。調査が早く終われば、それは出すと思います。ロムニー氏の時も同じだったんですね。個人的には、このクリントン財団というのは、特に私達、日本の皆さんにとって、これが1番気になりますよね。中国マネーを貰っているんですよ、クリントン財団は。その財団自体は本来の事業に集めたお金の10%しか使っていないですよ。では、残りのお金をどこに使っているかって、33%は給料ですけれども、給料は誰、何かと言うと、クリントンを支持しているスタッフや何かに対する給料ですよ。だから、クリントン財団に100ドル入れるとすると、10ドルだけ事業に行って、残りはクリントン氏の支持者達に配られるわけ。こう考えると、しかも、中国から来ているとなると、これは非常に日本としては困る話ですよね。ルーズベルトも日本が嫌いで、中国寄りだったでしょう。それと同じようなことになっちゃいそうな気がしますね」
反町キャスター
「メール問題はどうなのですか?ずっと昔から言われていますけれど」
ケント氏
「メール問題は、FBIがまだ動いているけれども、大統領は民主党のオバマ氏だから、選挙中には動かないのではないですか?」
反町キャスター
「これはクリントン候補の致命傷にはならないだろうと?」
ケント氏
「というか、その判断力がないということがそれで示されますけれど、それが刑事事件になるかどうかはわからないです。そんなにならないのではないですかね」
海野教授
「民主党の予備選挙の中で、サンダース議員はメール問題というのは争点ではないと言ったんですよ。それで攻撃をしなかったんですよ、メール問題。それは助かったんですよ、クリントンさん。そこが大きいですよ。私用メールは主要な争点ではないのだと、サンダースさんは」
反町キャスター
「なぜそこを攻めなかったのですか?」
海野教授
「ですから、もっと重要な、たとえば、男女の賃金の格差問題とか、いわゆるサンダースさんですから、大学の授業料の無償化とか、もっと重要な争点があると」
ケント氏
「夢を話すのが好きですよね」
海野教授
「そう。サンダースさんは、そこでメール問題を外したんですよ。クリントン陣営は助かったんですよ。非常に助かったんですよね。ですけど、今回トランプさんは、ヒラリーは刑務所に行くと言っているんですよ。それで徹底的にこのメール問題を叩くと言っているんですよ。それに対してクリントン陣営は、トランプ大学を狙っているんですよ。と言うのは、これはどういう意図があるかと言いますと、トランプさんは経済やビジネスで信頼度が高いわけですよね。そこを崩す。いわゆる詐欺のようなことをやっていたわけですよね。ですから、ここでトランプさんを経済とか、ビジネスで詐欺のようなことをやったと、信頼度がない。そこでペテン師だということで落とすということで、ここが狙い目ですよ、トランプ大学」
ケント氏
「でも、トランプ大学というのは、大学ではないですからね。一種のサクセスセミナーシステムみたいなもので、日本にもたくさんありますよね。あそこに多額のお金を払っても成功するわけがないので。それは皆わかっていますよ。そのようなものなので、それもやっていたということに過ぎないものですからね。そんなに大きな問題ではないと思いますよ」
林議員
「公職として記録がある人と、ずっとビジネスマンだった人は最初からハンディキャップ戦ですね。現在お話があったように、トランプ大学は、ビジネスとしてやって、高いか、低いかなんていうのは結局そんな判断基準が法律的にあるわけではないでしょうから。訴訟でどこまでいくかわかりませんけれども、それとメール問題と比べると、事の質が違うかなと。先ほど、ケントさんがおっしゃったよりは、ちょっと深刻になってきているなと思うのは、メール問題について国務省が見解を出しているんですね。国務長官でしょう、元ね。元の、古巣の人がレポートとして、やばいのではないのですかと出すわけですよね。現在の政権のもとでね。だから、それが出るということは、むしろ逆に民主党政権がそれを選挙が終わるまで抑えるという情報をどこかでリークされちゃうと逆にもっとダメージですよね。だから、そういうリスクを考えると、あからさまにはおさえられないのではないかと思うんですね」
反町キャスター
「そうすると、トランプ陣営としてはメール問題を大きく騒いで、それでも動かなければ、オバマ大統領が、民主党が抑えているのではないかという、その噂が流れれば、逆にまたトランプ有利と」
林議員
「トランプ氏なら、これは私が言うことではなくて、オバマがやることですと言いますよね。たぶん」
海野教授
「トランプ大学は、トランプ大学が問題ではないですよ。現在、集団訴訟が起きているんです。その判事がメキシコ系ですよ。そこで、トランプさんが壁をつくると言っていますよね。壁をつくるので、判事がメキシコ系だから、公正ではないという議論をしているんですよ。だから、人種に絡めているんです。ですから、そこでクリントン陣営としては、トランプ大学はビジネスと経済プラス人種差別で、パッケージで攻撃できるという意味です」
反町キャスター
「メキシコ人の判事だから、公正な審理を期待できないというのはトランプ陣営から出ているのですか?」
海野教授
「トランプさん、本人が言っているんです」
ケント氏
「本人が言って、陣営は言っていないし、他の共和党員は本当、びっくり仰天」
反町キャスター
「だって、トランプさんが言っているのは違法移民に対して壁をつくれと言っているのであって、ちゃんとアメリカに入ってきて、国籍を取って勉強をした人で、資格を持っている、その人に対して言っているわけではないですよね?」
ケント氏
「もう判事ですからね」
反町キャスター
「トランプさんは、ちょっとその発言を撤回した方が良かった?」
海野教授
「そうです」
ケント氏
「撤回した方が良いです。撤回するでしょう、そのうち」
海野教授
「その方はインディアナ州で生まれているんですよ」
ケント氏
「そうです。アメリカで生まれているのであって、たまたまヒスパニックですけれども。だから、その判事をフェアではないと言っているのは、それが三権分立にも反しているんですよ。非常におかしい」
林議員
「行政の長になろうとしている人が、司法の長に言うということと、人種が違うからというダブルで。ただ、この人が強いのは簡単に撤回して、あまり傷がつかないですよね、いろんなことで。だから、そこがハンディキャップ戦のもう1つの要因かなと思います」

『核保有容認』発言の真意
秋元キャスター
「トランプ氏の発言の変化をどう見ていますか?」
林議員
「1つは、共和党候補になったと、一方、予備選でいろいろ争うことがなくなったということと。それから、共和党の本流と言われている執行部からいろいろ話をしようではないかと動きがあって、ライアン議長とも会って支持が表明されています。そういう中で軌道の修正をはかりつつあるのかなと。共和党の候補になったのだから、だから、共和党を分裂させるようなことは得ではないと。この人は損得ですから。そういう意味で、それが得だと計算できる状況になったので、いろいろなことに修正をかける。クリントン氏がこれほどの修正をかけたなら、バカではないかとなる。この人(トランプ氏)は(バカだと)なかなかならないのはキャラなのでしょうね」
反町キャスター
「許されちゃうのですか?」
林議員
「何となく最初のところが許されて、ああ、よかったなと思ってしまうんですね。トランプ氏が修正をかけると、本流の人も思うし、我々だって最初の発言よりもこちらの方がまだましだなと思っちゃうわけですよね」
ケント氏
「勢いでやって言っているんですね。あの人は1時間30分の演説を原稿なしで喋りますからね。最初に言ったことは最後に言ったことと矛盾しているんですよ。勢いでやっているわけなので、皆それで盛り上がるんですよ。中身に関してはあとで修正すればいいので、現在の選挙参謀がポール・マナフォートというやり手の方ですけれども、2週間前にアメリカに行っていた時にフォックスニュースに彼が出てましたけれども、彼が言っていたのは、トランプにはこれからはアドリブはやめてもらって、ちゃんと原稿にもとづいて、プロンプターを見て演説してもらわなければいけない、とそういうことを言っていましたね」
林議員
「民主党も、共和党も、予備選を戦う時に右、左に寄るではないですか。本線は真ん中の人を獲るために帰ってくるんですけれど、言うことを変えたと言われて、それを言っていたから支持していた人が離れていくというのがあるのですが、この人の場合は、これからそれがどうなるかはわからないけれども、トランプ氏だから初めて共和党の予備選に行った人達は勢いで支持者になったわけで、まわっているんですよ、カードが。少し現実的になったとしても、こういう男を大統領にしたいと気持ちで動いているから、それほど剥落はないのかなと。そこまで先ほどの参謀と計算しているとすると、なかなかの人だなということになりますよね」

政策の変化と論争の行方
反町キャスター
「マナフォート氏が入ってきて手強くなるというリスクを感じていますか?」
海野教授
「スピーチの冒頭が変わったんですよ。それは昨年の8月、実際にトランプ氏が出馬したのは昨年の6月16日です。それから、ずっとトランプ候補というのはスピーチの冒頭で各世論調査の数字を並べたんですよ。それがニューヨークの戦い、マナフォート氏が入ってから、どういうことを言い始めたかというと、冒頭の部分、あるいは真ん中の部分、NAFTAによって、北米自由貿易協定によってどれだけ製造業が減ったか、どれだけ白人の労働者が減ったかという統計を出すようになったんですよ。ですから、内容が変わっているんですね。確実に白人の労働者階級、退役軍人を獲るようになってきていますよね。マナフォートさんの役割というのは、トランプ氏は2面戦争をやらなければいけなかったわけですよね。つまり、代議員の数もいかなければならない。決戦にも備えなければならない。この方は1976年の決選投票でフォード陣営に入って勝った人ですから、経験を持っているんですよ。共和党の幹部達は40代ですよ、若いんです。この方は経験者ですよ。ですから、そこでトランプ氏は自分が出て行くと、また衝突が生まれますよね。ですから、緩衝材として、この人を入れたんですよね。トランプ氏は、私は優れていると思います」
反町キャスター
「クリントン陣営から見た場合、本戦に向けてはどうなのですか?」
海野教授
「本戦に向けてこの方がどのような戦略をとってくるかということですよね。スピーチが変わる、プロンプターを使うとか」
ケント氏
「怖いと思いますよ」
反町キャスター
「メキシコとの国境に壁をつくるとか、イスラム教徒の入国禁止とか、在日米軍駐留経費を日本が全額負担だとか、TPP反対とか、こういうことをこれまでトランプさんは言ってきましたよ。これはマナフォートさんが入ったことによって、1つ1つ変えていくのですか?」
海野教授
「1つ、変わりましたよね。イスラム教徒の入国禁止というのは、ポール・ライアン下院議長がすごく反対していたわけですよ。トランプ氏とライアン氏はずっと火花を散らしていた。支持をもらえなかった。そこで、トランプ氏はイスラム教徒の入国禁止というのは単なる提案だったと。柔らかく言ったんですよ」
ケント氏
「(メキシコとの国境に壁をつくるというのは)提案ですよ。だって、万里の長城をつくれるわけがないですよ。なぜかと言うと、議員がそんな予算をつくってくれませんもの。そんなの誰だってわかっているんですけれども、ここまで言うと真面目に移民問題に取り組むのだろうという、そういうイメージを持たせるもので、これを本当につくると誰も思っていない。在日米軍の費用なんてどの州にも響かない話なので、修正しないでしょう。それは言ったけれど、そうは言っていないよと言うんですよ。核兵器を持ったらと言ったのだけれども、核兵器を持ってもいいとは言っていないよと」

大胆予想…勝利者は?
秋元キャスター
「どちらが大統領に選ばれるのかを皆さんに予想していただきたいと思います。林さんが『クリントン?』、ケントさんが『トランプ』、海野さんが『5分5分』ということですが」
林議員
「私も5分5分ですけれど。最近スイング・ステートで言うと、青い色が304で、赤い色が190です。青が民主党、赤が共和党。だから、先ほどみたいにいろいろなことでリスクがあるので、トランプ氏の方に州がいっても現在の時点ではかなりクリントン氏が有利です。従ってトランプ氏が勝つということになると先ほどのリスクファクターの話がありましたけれど、メール事件とか、そういうことが起きてくるとわからないので、一応そういうことがないと仮定するとうまくいくと。それでクエスチョンマークにしたと」
ケント氏
「トランプ氏ですけれども、自信もありませんけれども、前回の大統領選ではスイング・ステートでロムニー氏が負けているんですよ。特にオハイオ、ペンシルベニア、ミシガンとか、ウィスコンシンもそうですけれども、このへんは、ロムニーはギリギリ負けているものですから、トランプ氏がロムニー氏よりも強いのであればロムニーが獲った州を全部獲ってプラス、ロムニー氏が負けたスイング・ステートを獲ってしまえば、トランプ氏は勝つことができる、そういう計算です」
海野教授
「クリントン陣営の中にいますけれど、若者がいないので、どうしても2008年、2012年のオバマ選対の雰囲気とは違うんですよね。あの時の、勝った時の雰囲気と違う。そこが不安ですよ」
反町キャスター
「何が違うのですか?」
海野教授
「熱意とか、エネルギー。しかし、トランプさんを見た場合、トランプさんのの選挙の戦い方は人口動態にあっていないですよ。白人の労働者階級とか、退役軍人とか。ヒスパニック系を敵にしているんですね。ここでは決め手がないです。現時点では決め手がないから五分五分」

海野素央 明治大学政治経済学部教授の提言:『日本の近い将来』
海野教授
「トランプ候補は、アメリカの有権者の中で無視されてきた人達、あるいは不公平感が強い人達に焦点をあてているんですよね。戸別訪問をやっていると、近い将来、日本でも非職業政治家で、そのような人達を代弁する人が出てくるのではないかと」

米カリフォルニア州弁護士 ケント・ギルバート氏の提言:『覚醒』
ケント氏
「トランプ氏が出たことによって、日本のずっとアメリカに頼っている、その姿勢が問われています。多くの方々がこれでいいのかなと考え直しています」

林芳正 自由民主党参議院議員の提言:『トランプ-サンダース現象に注目』
林議員
「トランプ氏とサンダース氏は同じような現象ですね。こういうことが起こった背景に注目をしておかないと。職業政治家うんぬんというよりも、もっと深い資本主義がうまくいくのかみたいなことが根底にあるということは注目しておくべきだと思います」