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2016年6月2日(木)
増税再延期の損得勘定 『新しい判断』当否は

ゲスト

西村康稔
前内閣府副大臣 自由民主党衆議院議員
大塚耕平
民進党政務調査会長代理 参議院議員
早川英男
富士通総研経済研究所エグゼクティブ・フェロー

自民・民進に問う! 増税延期と『新しい判断』
秋元キャスター
「安倍総理、昨日の会見で4月に予定されていた消費税率10%への引き上げを、2019年10月まで2年半、再延期すると発表しました。消費税増税については、そもそも遡りますと、安倍総理、2014年11月に行われた消費税引き上げ延期の会見で、再び延期することはないと断言したにもかかわらず、昨日の会見では『再延期するという、私の判断は新しい判断。公約違反との批判も真摯に受け止める』として、再延期の判断を下したわけです」
反町キャスター
「再延期については公約違反との批判も受けると総理が言う中で、稲田さん、麻生さんというのは解散すべきであると言って、党内の中にも増税すべきだという意見も直前までワーッと出ていましたよね。総理の会見で皆、ピシャッと納得したのか。そのへんの雰囲気はどうですか?」
西村議員
「自民党はご案内の通りいろんな意見を出し合って、最終的に1つに集約していくという政党で、まとまればそれに従って行動をしていくということです。決まるまでの間は本当にいろんな角度からの議論をやります。ですから、再延期すべきでないという人もおられましたし、現在の経済の状況を見て、再延期すべきだという人もおられましたので、これはいろんな意見がありました。どっちがどっちということもなく、ありました。その中で総理が一定の方向を示された。それもお一人の考えで決められたというよりかは、世界の首脳が世界経済について下方リスクがあると。悪くなっていくリスクがあるということを認識して、それぞれの国でできることを全部やっていこうと合意をしていますので、そういう意味で、今回の判断を示されたことについて、いろいろ議論はありましたけれど、最終的にそれに従っていこうと。その方向でやっていこうと。一致してやっていこうと。ただ、財政再建とか、それから、社会保障の制度とか、これはできる限り財政再建については2020年の目標を守るということですし、社会保障についてもできる限り充実させてやっていこうということです。このあたり詳細については、まだこれから党内でも議論があると思います」
秋元キャスター
「大塚さん、いかがですか?今回の安倍総理の決断」
大塚議員
「私達はこの3年半の間に国民の皆さんの所得水準や生活の実態が良くなっていないと思っていますので、延期をしたこと自体はやむを得ないと、岡田さん自身も党首討論でそれを求めていますので、ただ、その一方で、私は、実は安倍さんのご主張は重大な論理矛盾を1つ抱えていて、つまり、アベノミクスの手法は間違っていない。しかし、世界の経済の危機に備える。この2つを両立する安倍さんのとるべき政策は、財政出動をして、そのファイナンスは日銀がさらに異次元の緩和を強化して国債を買うということ。これであれば、アベノミクスのロジックは間違っていないと。しかも、世界の経済の縮小に日本は立ち向かうと。こういうことになるんですけど、経済の縮小に立ち向かうために日本の国民の皆さんに増税という負荷をかけないというこのロジックは、片方ではアベノミクスは間違っていないというところが欠落してしまっているんですね。つまり、アベノミクスというのは財政出動と、それを事実上ファイナンスする金融緩和で成り立っていますから、それを今後も続けるとアベノミクスは必ず成功するとおっしゃるのだったら、そちらを強化する形で、事実上の景気対策をやるべきだったにもかかわらず、国民の皆さんと約束をしていた消費税の税率引き上げをやめるというのはもっともらしく聞こえるんですけれども、論理的には矛盾をしているんです」
反町キャスター
「早川さん、今回、総理の再延期の決断をどのように見ていますか?」
早川氏
「一言で、非常に心配ですねということですね。おそらく政治家の皆さんは多くの国民の皆さんと多少、見方がずれているということを承知で申し上げるんですけれども、おそらく経済学者とか、財政学者と言われる人達の間では、今回消費増税を、さらに延期をしたことによって、おそらく日本の財政破綻のシナリオはかなり現実味を増してきたと受け止めている人が私は多いと思います」
反町キャスター
「破綻ですか?」
早川氏
「はい」
反町キャスター
「借金で首が回らなくなって、利子も払えなくなって日本の円が大変な暴落をすると、そういう本当の破綻ですか?」
早川氏
「破綻というのは、いろんな意味があって、単に払えなくなるという意味の破綻以外にも、急激なインフレーションになるとか、あるいは資本移動を止めるような規制を行うといったことも含め、財政破綻と最近の学者は言うんですけど、どれか行わなければならない確度は増してきたと思います」

アベノミクスは『順調』か?
秋元キャスター
「安倍総理が決断した消費税増税の再延期ですけれども、ここからは、その背景に何があるのかを昨日の安倍総理の会見から検証をしていきたいと思うのですが、この会見のポイントは、安倍総理は、アベノミクスは順調であると繰り返し強調しました。その一方で、世界経済に対しては不透明感・リスク懸念があるとしています。また、消費税増税の延期を行っても財政健全化目標は堅持するとしていて、また、延期という新しい判断の信を参院選で問うとしているんですけれども」
反町キャスター
「西村さんから見ると、アベノミクスは順調にきている?」
西村議員
「きています。きていますが、これを大企業から、都市部から、地方に広げていかなければならない。中小企業にももっと広げていかなければいけないということで、たとえば、インバウンドも東京、大阪中心であったもの、ゴールデンルート中心であったものをもっと地方を見てもらおうとか、あるいは収益を得た大企業に対してはそれと取引のある中小企業は取引条件を改善してもらおうと。中小企業は厳しい思いをしている中で、コストが上がった分をしっかりと見てもらって、それによって中小企業にまで賃金の引き上げを広げていこう、こういった政策を現在やろうとしていますし、地方は地方で特区を活用し、農業分野、観光、こういったところで、成長の実感を味わえるようにやっていこうということですので、その意味で、全体としてはうまくいっていますけれど、やらなければいけないことはあると。さらに世界経済全体の不透明感の中で、消費税増税を先送りして、もう1回、三本の矢をやろうということですから、私は日銀の金融緩和もまだやれる余地はあると思いますし、それから、財政も秋の大型補正を組もう、経済対策をやろうということですから。財源はこれからどうするかをよく考えなければいけませんけれど、7月の頭には税収が出てきますので、税収の上振れ分がどれぐらいあるか。それから、金利が下がっている分の利払い分もかなり使えますので、国の利払い分が減りますから。これも1兆円単位で出てきますから、こういったものをうまく活用して秋の対策をやるということになると思います」
秋元キャスター
「大塚さん、いかがですか?アベノミクスは順調かどうか?」
大塚議員
「最初の1年半ぐらいは、大胆な新しい政策のパッケージに挑戦をするという意味で、私もある意味、静観をしていましたけれども、3年半経ちましたので、もう順調ではありません。2点申し上げます。まず現在フリップに出ている有効求人倍率や正規雇用等、雇用の好転を安倍さんはよくアベノミクスの成功の要因に挙げるのですが、背景には団塊の世代が大量に退職している中で、実は若者の新卒者が少ないという、この需給バランスのギャップに直面しているから、実は雇用環境が良くなっているんですね。だから、1点目の…」
反町キャスター
「人口減が原因であって、別にアベノミクスのおかげではない?」
大塚議員
「…が全てではないと。かなり人口減の要因が大きいと。それで結局、本当に雇用環境が良ければ、これは物価がそれこそ上がる、それから、成長率が上がるというのがセオリーなのですが、物価も上がっていない、成長率も上がっていない。だけど、雇用の数字が良くなっているというのは背景に現在申し上げたような問題があるから、矛盾が生じている。これが1点目です。それから、2点目は、アベノミクスは順調というやつですね。フリップを見ていただくと、先ほど私が申し上げたことをご理解いただけると思うんですよ。もし上の3つ(アベノミクスは順調、世界経済に不透明感・リスク、財政健全化目標を堅持)を肯定して私が政策を組み立てろと言われたら、まず財政健全化が目標堅持というわけですから、予定通り、これは消費税を引き上げるべきです。だけれども、世界経済に不透明感があって、その中でアベノミクスは順調だとおっしゃるなら、片方で社会保障財源のため増税をしつつ、アベノミクスが理論として間違っていないと言うのだったら、世界経済の不透明感に対応するために財政出動をやって、そのファイナンスは日銀にやらせればいいわけですよ。ところが、その上の3つを全部否定しているわけです。その財政健全化目標堅持と言いながら、消費税の再引き上げを断念した。アベノミクスは順調だと言いながら、アベノミクスの、伝家の宝刀のパッケージを、今回はやらないわけですね。だから、これはここも矛盾をしていて、だから、現在申し上げた雇用と経済実態とのパラドックス、第1点の矛盾と。それから、政策のロジックが間違っていないのだという主張をしながら、そのロジックと違う今回、選択をしているという矛盾。この2つの矛盾を見ると、結論的に言うと、アベノミクスはそろそろ方向転換をされた方がいいと、私はそう断言をします」
反町キャスター
「大塚さん、政策が間違っていないと言いながら従来のこれまでやってきた政策の踏み込みが甘いと1番感じる部分はどこですか?たとえば、安倍さん、どこで逡巡しているように見えるのですか?」
大塚議員
「だから、今回、財政出動です。たとえば、この通常国会でも当初予算が成立した直後にもやるのではないかと、熊本の復興と併せてやるのではないかと言われていたのですが、もちろん、お急ぎだということで、これは与野党合意し、復興予算だけやったのですが。しかし、その段階でかなり大型の補正をやるという話もあったがやらなかった」
反町キャスター
「ただ、西村さんの話は、順番で、たとえば、金融緩和をやって、財政出動をやって、その次は成長戦略という時系列でいうと、そういう流れかなと僕は思っていたんですけれども、そうではないという理解ですよね?」
大塚議員
「そうです」
反町キャスター
「そこはどうなのですか?」
西村議員
「ある意味では同時ですよ。同時です。どれが先とか、何とか」
反町キャスター
「そういうことだとすれば、財政出動に対する踏み込みがだんだん弱くなっていませんかという、ここは?」
西村議員
「税収が増えるかとか、ここは民主党と決定的に違うところだと思うのですが、岡田さんが党首討論で言われた通り赤字国債を出してもいいではないかという、そういう議論をされました。我々は安易に赤字国債に頼らないということですので。総理も、昨日の会見で、赤字国債はやらないと言われました。まさに税収がどれだけ増えるのか。アベノミクスの成果というものがどれだけ出てくるか。あるいは歳出削減によって使えるものがどれだけ出てくるのか、こういったことを総合して財源を掻き出そうと。いろんな議論、知恵を出して、場合によっては外為の準備金を使う、いろんなことに知恵を出してやろうということでやっていますので、そこは決定的に違うと。もちろん、消費増税があった方が財政健全化目標は達成しやすいですけれども、仮に消費税増税を2019年秋に延ばしたとしても2020年度に消費税収はそれなりに入ってきますし2020年度プライマリーバランスゼロというのは、これは成長もやって、歳出削減もやれば、これはできるという判断で、我々はそれを堅持していこうということです」
反町キャスター
「早川さん、2人の話を聞いていると、要するに、財政出動に対する踏み込みが口ほどにないではないかという大塚さんと、いやいや十分にやっているんだ。ただ、赤字国債を発行してまでやるつもりはないんだという西村さんの話。どちらも正しいように聞こえるんですけれども、どのように感じますか?」
早川氏
「どっちもまったくおかしいと思います。現在、日本で起こっていることは、要するに、うまくいっていないと言う人が必ず言うのは成長していないということですよね。本当、最近四半期ごとにプラスだったり、マイナスだったりという状態ですよね。これはファクトです。一方で、雇用が引き締まっているというのもこれもファクトです。1.34という有効求人倍率は1989年12 月を超えました。3 万8900円の、あの年を、月を超えたんですよね。どうしてこの2 つのファクトが成立し得るかというと、実は日本の潜在成長率がすごく低いから。要するに、日本銀行の推計だと0.2%。内閣府の推計は0.4%。景気というのは実力対比で成長率が高いか、低いかで決まるんです。成長率そのものではないです。そうすると昨年、たとえば、2015年度の成長率は0.8%でしたので、潜在成長率をはるかに上回っているので、従って、労働需給も引き締まるんです。ただ、問題は、その0.2%、0.4%を上回っていれば、それでいいのですか。従って、景気は別に悪くないので、財政出動などする必要ないし、そもそも潜在成長率が低い時に財政出動をしたら、成長率が上がるのですかと。上がらないでしょうと」
反町キャスター
「潜在成長率を高めるため。でも、僕ら聞いていたのは成長戦略というのは潜在成長率の…」
早川氏
「だから、そこが問題です。要するに、もう1つはアベノミクスでよく言われるのが、最初の1年は良かったね。その後、だんだんダメになったねという議論。それは、これはわかりやすい話で、最初はとにかく大胆な金融緩和によって、ある種の短期決戦、ショック療法でやったわけで、それは確かにうまくいったんですよ。だけど、問題はそうこうしている間にだんだん実力をつけていって潜在成長率が上がっていけば、うまくいくはずだったんだけれども、そうなっていない。実を言うと内閣府の推計している潜在成長率は2013年度段階で0.8もあったんです。0.8が0.4まで下がって、毎年、毎年…」
反町キャスター
「潜在成長率が年々下がっている?」
早川氏
「年々下がっている」
反町キャスター
「それはどういうことですか?」
早川氏
「だから、まったく成長戦略がワークしていないという」
反町キャスター
「早川さんから、成長戦略がワークしていないという指摘がありました」
西村議員
「日本の成長力を考える時に労働力の減少、人口が減っていくところは、どう対応するかというのは大きな課題で、ここを我々、とりあえずこの3年間は女性がもっと働ける、子育てや家事と両立できる様な環境をつくっていこうとか、あるいはお年寄りでも元気な人は働いてもらえるような環境をつくろうということ、シルバー人材センターの緩和をする、こういうこともやっています。外国人も日本に来て働きたい人にはもっと働ける環境をつくっていこうということやっていますが、もう一段進めなければいけないと思うんですね。女性は確かに100万人ぐらい働く方が増えましたが、まだパートタイムで非正規の方が多いです。本来ならば正規で、フルタイムで働きたいという女性もたくさんおられると思います。能力のある方もたくさんおられると思います。その方がそうできるように、これは現在、保育所の整備とか進めていますし、それから、いわゆる103万円の壁とか、130万円の壁と言われる税制とか、社会保障制度、保険制度を、これを変えていくということが年末に向けて大きな課題だと思いますので。それに合わせて外国人も、もちろん、移民はいらないということですけれども、外国人、技能実習生も今回、この国会に通らずに残念だったんですけれど、日本に来て技能を学びたいと、働きながら学びたいという外国人もたくさんおられます。現在19万人ぐらい日本に来ていますけれども、この枠を拡大しようと。もちろん、人権とかもしっかり守ろうという管理もしっかりやるんですけれど、枠も増やしますので、これは10万人単位で増やしていけると思いますし、高度人材は日本版グリーンカードを取りやすくしようということで、この制度も今回成長戦略に盛り込みましたので、日本に来て働きたいという外国人に、移民ではなく、いろんな形で、日本で活躍してもらえる環境をつくっていかなければいけないと思っています。ですから、そういう意味での労働力の確保。もう1つ、大事な2つ目の要素が投資ですけれど、投資もようやくマイナス金利や金融緩和の効果というのか、これもすぐに出てくるというものではないと思うんですけれども、金利が安い時に資金調達して、未来の投資をやろうという動きが広がってきていますので、そういう意味で、日銀は現在マイナス金利の成果をどう見るかということを検証しているのだと思いますが、私は着実に効果が出てくると思います。住宅ローンの借り換えも増えていますから、その負担分が下がれば、その分を別のものに消費できるということも出てきますし、そういう意味で、金融緩和の効果は投資の拡大に向けて出てきていると思います。最後に残るのは生産性を上げるというところで、これは日本がまだ遅れているのがITの活用ですので、この機会に地方の人手不足対応も兼ねてIT(情報技術)投資、あるいはAI(人工知能)やロボットへの投資、これをこの機会に広げていこうと。しかも、人工知能は世界でしのぎを削りあっていますから、こういう将来に活きるようなものを、やっていこうということで、秋の経済対策はこれから中身をいろんな議論していきますけれども、成長力が上がるもの、将来の中長期的な成長に寄与するもの、構造改革に寄与するもの、というところにも相当重点を置いてやることになると思います」
反町キャスター
「政府としては政策を打っているのだけれど、デフレマインドが障害となって、政策が浸透していないというのはいかがですか?」
大塚議員
「デフレマインド、最初は成長率の関係でご質問があったんですけれど、潜在成長率が下がるということにはもちろん、人口要因もあります。必ずしもデフレマインドだけが影響しているわけではないし、主因ではないような気がします。それでかつデフレマインドが払拭されて、仮に物価が上がった時には、企業にとってはいいことですけれど、生活者が、物価が上がることを実は喜ぶかと。それは実感として喜ばないですね。ここでデフレ脱却がカギだという時の落とし穴がこの3年半ではっきりしてきているなと。企業側や、マクロ経済はそれを望むけれど、デフレ脱却で物価を上げるというこのフレーズが、生活者、あるいは家計の立場でどうそれが響いているかというところは少し考えなければいけないと。それはこれから申し上げることと関係があるのですが、つまり、2000年代に竹中さんが大臣でいらっしゃった頃に、デフレは金融要因なのか、需要不足か、それともマインド、まさに現在のデフレマインドみたいな心理的な問題なのかというのが随分論争になって結局金融要因であるとか、マインド、つまり、期待のところに主に力点をおいてアベノミクスの一本目の矢が行われたわけです。金融要因だから、まずはお金をばらまくと同時に、日銀が絶対脱却するのだ、政府も含めてコミットメントすると期待も良くなると。でも、これを3年半やってもなかなか良くならなかったということは論理的に詰めていくと、3番目の需要不足が最大のデフレの原因ではないかと。そうすると、デフレを本当に脱却したいと思ったら、需要を増やしてあげる」
反町キャスター
「アベノミクスの需要喚起策が緩かった?」
大塚議員
「そこを従来のアベノミクスの論理が正しいということになると先ほどの財政出動ということになるのですが、そうではなくて、需要を本当に生み出すためには所得の問題になってくるわけです。所得の問題を考える時に、ここが、論理矛盾が生じるのですが、デフレ脱却のためにインフレにするということは、所得の観点から考えると物価上昇は嫌なわけですよね。ここで家計とか、国民の皆さん個々人が社会保障とか、将来不安がある中で、デフレ脱却は良いことだし、経済を良くするのはもちろん良いことだけれども、でも、デフレ脱却して物価が上がるということは、その分、企業がどんどん内部留保ではなくて、所得の方にまわしてくれているのだったら、確かに自分達の所得も物価上昇以上に上がっていくからいいけどという、このトランスミッションが切れちゃっているんですね。だから、デフレ脱却は私も西村さんと一緒で賛成ですが、金融要因、それから、心理要因、需要要因というその前者の2つに徹底的にこの3年半働きかけたんだけれど、なかなか思うようにいっていないということは、実は、需要を喚起するというところに力点をおいてどう政策を組み立て直すか、だから、アベノミクスも作戦を変えた方がいいのではないかということを申し上げているわけです」
早川氏
「要するに、安倍政権の選挙戦略はワークしないと言いましたけれど、まったく努力してないと思ってはいなくて、政権は長く続くことが大事であって、これまでみたいに毎年1年ずつで変わってしまうと成長戦略なんて絶対できないわけで。そういう意味で、少なくとも安倍政権で、たとえば、農協改革とか、これはなかなか批准までいかないので困るんですけれども、TPPだって進んでいるわけで、それはそれでやっておられると思うのだけれど、難しいのは、財政健全化ということを考えると、このスピード感では間に合わないです。要するに、2%、3%成長してもなかなか2020年度のプライマリーバランスの黒字化さえ難しいわけですから、このスピード感ではダメですね。そこのところだと思います。努力していないというのではなくて、もっと本当に加速しないと。もし加速できないのだったら、消費税先送りなんかしてはダメです」

世界経済に『リスク』はあるか?
秋元キャスター
「世界経済の状況について、安倍総理の認識をどう見ますか?」
大塚議員
「リスクがあること自体は認めます、私も。特に商品市況がリーマンショックの時との比較で同じぐらい50%下がっているという、現象面、それこそ先ほど、早川さんがおっしゃったようにファクトとしては、これは事実ですから。ただ、リーマンショック後の商品市況の下落はまさしく需要不足で一気に下がってきたのですが、今回はどちらかと言うと投機要因、つまり、投機マネーがどこに向かっているのかというのが、ちょっと変わってきたんです。新興国の資源等を投機の場とする流れが少し変わってきてこういう数字になっているので、この数字だけでリーマンショックと比較するというのはちょっといかがなものかなと。ただファクトとして現に下がっているのは事実です。それと同時に、日本だけではなくて、世界各国超金融緩和に伴う過剰流動性の問題というのはありますし、それが思ったほど実体経済にプラスに働いていないという中で、どこかでまたバブル崩壊とまでは言いませんけれども、バブルの調整みたいなことが起きるリスク、これがあるということは認めます」
西村議員
「総理が説明されたのは、新興国の経済、これまでの世界経済、このところの世界経済、リーマンショック後をBRICsと言われる新興国が引っ張ってきたと。中国の景気減速が1番の典型ですけれど、1つの大きな要因としてコモディティ価格、商品価格が落ち、産出していた資源国、南米もそうです、アジアもそうです、アフリカもそうです。期待された成長がない。むしろ減速。ブラジル、ロシアは非常に厳しい状況にあると。産油国も厳しい状況にあるという中で、新興国の経済の中でリスクがあると。もう1つ言えば、中国の過剰設備の問題があって、鉄鋼にしても数億トンの過剰設備があると。これをフル稼働させるとその分輸出に向かっていきますので、これは世界全体のデフレの要因になっていくという。そんな中で全体としてリスクがあるということを我々は認識し、総理はそのことを言われたと思いますので、そのリスクを認識しながら、先進国、G7が中心となって世界経済を引っ張っていこうと。もちろん、日本も全力でやるということで、貿易に占める割合とか、投資とか、いろいろなことを考えると日本は存在感がありますので、そういう意味で、我々としてはしっかりやっていこうと。内需が拡大すると輸入が増えるわけですから。そういうことをしっかりやっていこうということです。この認識は、私は間違っていないと思いますし、G7でも事実この認識を共有し、それぞれの国が三本の矢をやっていこうということで合意しているわけです」

『財政健全化』は可能か?
秋元キャスター
「今回の新しい判断でも堅持されました財政健全化の目標ですが、達成できると考えますか?」
西村議員
「まず2020年は、2019年秋に消費増税、再増税をやりますので2020年にその消費税増収分が入ってきます。それから、成長、名目3%成長ということ、これなかなか先ほどから議論にある通り大変なハードルではありますけれども、これを着実に実行していけばいわゆる税収も増えます。社会保障制度改革をしっかり着実に実行していけば、本来毎年1兆円伸びる社会保障費を5000億円程度に目安に抑えていくということで、3年間でそれ以外のものも含めて1.6兆円ぐらいの伸びに、目安にしていこうということですので、そういうことを実行していけば、これは2020年黒字化というのは決して無理ではない数字だと思いますので」
大塚議員
「我々も、同じ目標を掲げてきたわけですから、堅持したというのは間違っていたとは言いにくいのですが、ただ、内閣府の現在の試算でも、2020年で黒字化のためには6.5兆円の不足があると。しかも、今回消費税2%の先送りをすると結局2.7兆円換算で、2%で、5.4兆円で11.9兆円ですよね。これを2020年までに埋めるというのは容易なことではないと。だから、今回は国債市場や長期金利への影響を考えると再引き上げ延期したうえで財政健全化目標まで一気に変更しちゃうと、これは相当な影響が出ますからやむを得なかったとは言うものの、冒頭申し上げたような数字を考えるとあまり現実的ではなくなってきていますので、これはそれこそ与野党でしっかり話し合ってちょっとマーケットや他国から見て、現実的だなと思える財政健全化目標にそろそろ軌道修正するという議論を始めた方がいいと思います」
早川氏
「現在お話があった通り、現在内閣府が自分で試算する数字でも、2020年度には6.5兆円の赤字なわけですけれど、前提は先ほど議論があった通り、実質成長率2%台半ば、名目成長率3%台後半でこうなるわけですよね。だけれども、どうやって潜在成長率が0.4しかない経済が、2%台半ばで成長するのか、それは成長戦略には時間がかかるはずですが、この計算は、あと1年か2年で潜在成長率は1.8ぐらいになるという前提です。これまで0.8が0.4まで落ちてきたのが1年か2年で4倍、5倍になるという、ちょっとなかなか信じにくい絵であることは間違いないということが1点目。それから、もう1つ大事なことがあって、プライマリーバランスというのは借金の金利を払う前の収支です。実を言うと、2017年4月というのは、日銀の金融緩和がうまくいっていないせいですけれど、おそらく多くの人は2017年4月までに日銀の2%の物価目標は達成されることはないと考えているので、そういう意味では、もし本当に2017年4月に増税が行われるのであれば、それは、要するに、日銀が国債を買い続けている段階であり、もし日銀がその後2%を達成し、日銀が2%を達成すれば毎月10兆円国債を買うのはやめちゃうわけですけれど、ちゃんと増税していますからね。信じてくださいと言えるわけですけれども、今回2019年10月に先送った結果として、場合によって2019年10月よりも先に2%を達成する可能性はありますね。そうすると、日銀は10兆円買うのをやめるんですよ。2回も消費税先送りして、2019年10月に本当にやるのかどうか明らかでない時に、マーケットは信じてくれるのでしょうか。マーケットが信じてくれなければ金利は急騰しますのでプライマリーバランスが仮にほぼバランスしていても大赤字になるわけである。おそらくプライマリーバランスもバランスしてないでしょうから、とんでもないことになる。先ほど、申し上げた破綻シナリオに一歩近づいたというのはそういう意味です」

西村康稔 前内閣府副大臣の提言:『日本“ネット”改造論』
西村議員
「かつて田中角栄さんが日本列島改造論と言われましたが、私は日本『ネット』改造論と、今日こんなふうに思いついたのですが、投資を増やしていく。それが生産性を向上させ、それによって賃金も上がっていく。人手不足も地方では特に著しいという中でITです、インターネット、それから、人工知能、ロボット、こういった、今後の日本経済を引っ張ってく最新の分野の投資を増やしていく。また世界でのいろいろな実験、実証実験、これをやっていく。介護の現場でもロボットスーツとか、必要になってきます。農業の現場でも必要になってきますし、こういったことをやることによって、人手不足を解消し、経済投資も増やして日本経済を成長路線に持っていくと。行政もITを使ってわざわざ窓口に行って何時間も待たされたりすることなく、いろんな手続きができる、簡素化する。それによって行政コストも下げると。そのために是非ITインターネットを活用するということを提言したいと思います」

大塚耕平 民進党政務調査会長代理の提言:『うまい話には罠がある 経済に手品はない』
大塚議員
「政治が国民の皆さんに説明すべきことですから、政権交代すればあっと言う間にいろんなものがきれいに片づくとか、あるいは金融緩和してお金をばらまけば経済は良くなるとか、そういううまい話には罠があるということを、政治は率直に国民の皆さんに説明しなければいけないと思います。そのうえで経済に手品はありませんので、現在の日本が抱えている問題を地に足をつけて好転させていくためには10年かかると思います。たとえば、教育予算や年金制度改革にせよ、ここはあまりうまい話を政治が国民の皆さんにすることなく、怒られてもいいので、手品はないので10年かけて良くしていきましょうということを国民の皆さんにご説明すべきだと思います」

早川英男 富士通総研経済研究所エグゼクティブ・フェローの提言:『社会保障の将来像』
早川氏
「今回、与党も野党も淡々と消費税先送りに合意されてしまいましたので、その財源のもとで社会保障というのはいったいどういう姿になるのかを、きっちりと説明していただきたい。むしろ3党合意の原点に戻って、要するに、ちゃんとした社会保障をするのだったら、これぐらいの財源が必要だということをもう1回国民に納得してもらわないといけないと思います。先ほどの子育てだって本当はもっとお金をかけて、保育所にしても、保育士の給与にしても、それはちゃんとやっていくべきだけれど、それだったらそれだけの負担は必要ですよということをもう1回、与野党合わせて国民の皆さんに説明していただきた