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2016年5月26日(木)
サミット初日徹底検証 議長国・日本の手腕は

ゲスト

岡本行夫
外交評論家 マサチューセッツ工科大学シニアフェロー
林芳正
自由民主党税制調査会副会長 参議院議員

G7・伊勢志摩サミット開幕! 最新情報&論点検証
秋元キャスター
「今回のサミット、スケジュール、このようになっています。まず昨日、サミットに先駆けて日英首脳会談、日米首脳会談、さらに共同会見が行われました。今日、G7首脳が、伊勢神宮を訪問して、サミットが開幕。午後からの全体会合1では、世界経済。全体会合2では、貿易。夕方行われた全体会合3と、現在行われている全体会合4では、政治外交について話し合われています。明日、午前の全体会合5では、気候変動について議論。議長国がG7枠外の国や国際機関のトップを招いて行われる拡大会合では、ベトナム、インドネシアの首脳や、潘基文国連事務総長、IMF(国際通貨基金)のラガルド専務理事らが新たに参加します。さらに午後には、議長として安倍総理が会見をしたあと、オバマ大統領が安倍総理と一緒に広島を訪問するというスケジュールになっています。岡本さん、今回のサミット、これまでの様子、どう見ていますか?」
岡本氏
「うまくいっているのではないですか。想像以上ですね。もう少し難航するかと思いました。だって、各国の関心と温度差は、随分関心は違うし、温度差も違いますのでね。たとえば、財政の問題にしたって、機動的な財政出動の重要性を皆、認めているわけですね。ただ、理念として認めて、実施段階が各国の状況に応じてというのは当たり前の話ですからね。サミットというのは、もともと皆で、無理に1つの共同宣言を出すというところよりも、皆の議論によって、ああ、こういう考え方をこの国はしているのか。ああ、ここの国はこのぐらい強いのかとかね。そういうことをわかり合って、自分のところの、政策の形成に間接的な形であっても役立てていくというところにポイントがあるんですね。ですから、ここまで財政出動という言葉を皆、嫌がらずに使ったということは、成果ではないでしょうか。それから、南シナ海の問題にしたって、これまでは欧州諸国というのは、南シナ海まではなかなか危機感を感じないし、関心もそんなに強くはなかった。それが、正面から取り上げられてね。それで、中国という名前が入らなかったのは、これは当たり前の話で、この間のG7の外相会合で随分、強いトーンの、海洋の自由の宣言が出ましたが、その時だって中国という名前は入っていないですよね。だけど、見れば、どこの国のことを指しているのかはよくわかるので。ですから、それをもう1度、首脳レベルで、これを首脳宣言の中に入れるというのは、これは中国としては予想以上にきついコンセンサスというか、考え方が中国に付きつけられるというような受け止め方ではないでしょうか」

日米首脳会談の成果と課題
秋元キャスター
「サミットに先立って昨日行われました、日米首脳会談について話を聞いていきます。この会談は予定時間を大幅に延長し、およそ1時間行われました。しかも、日米全体会合の前に行われました小人数会合では、全ての時間が沖縄の女性遺体遺棄事件について話し合われています。岡本さん、どう見ていますか?」
岡本氏
「1人の、とにかく凶悪な人間が起こした犯罪というものに、世界中のメディアが注目している中で、安倍総理はもちろんですけれど、オバマ大統領が時間を取って、その説明をした。非常に誠意のある態度だったと思います。英語の表現としても1番強い言い方で、オバマ大統領の、個人としての怒りを表明していましたしね。ですから、そういう意味では、この問題を安倍さんが提起したことも、オバマ大統領がそれを正面から受け止めたことも非常に良かったと思います。これで沖縄の人達の感情が収まるとは思いませんし、この問題はこれからもっと深刻な意味合いを持ってくる可能性がありますけれども、とにかく両首脳としては、これ以上の対応の仕方はできなかったのではないですか」
反町キャスター
「言葉についてお悔みという言葉、condolences、それと、regret、遺憾という言葉は、この2つは、オバマ大統領から出たんですけれども、こういう時は謝罪というのは、首脳間の言葉で言わないものなのですか?」
岡本氏
「謝罪というのは言わないでしょうね。では、岡本公三が、テロリストが、イスラエルのロッド空港で二十何人か殺しましたよね。その時、日本の総理大臣が、世界に向かってapologizeと。そんなことはやらないし。だから、もう国のリーダーとして深い遺憾の意を表するというのは我々の世界での謝罪と同じですよ」
反町キャスター
「そうすると、たぶん広島に行った時と同じようなケース。謝罪という言葉が入るかどうかというところの話が果たして、どれほどの意味を持つものかという話につながる話かと思うんですけれども、この表現というのは、この沖縄のケースに関しては、いわゆる首脳会談の言葉としてはマックス。最大限の丁寧な説明、ないし心を込めた説明。こういう理解でよろしいですね?」
岡本氏
「そうだと思いますね。だって、日米、いろいろな議論をしなければいけない案件がある中で、圧倒的に長い時間を、この1つの事件に割いたということ自体が、それは特筆すべきことだと思いますよ。さあ、これから地位協定どうするかですね」

元米兵 女性遺体遺棄事件の波紋
反町キャスター
「地位協定ですけれども、沖縄における、その事件。いろいろ1995年の9月の、非常に県民大集会に至った1995年9月の少女拉致、暴行以来、2008年、2012年、2016年。今年も3月、5月。3月にも女性観光客に暴行したケースもありました。沖縄における米軍関係者による様々な事件がある中で今回の地位協定の問題というのがどうなるのかということですけれども、米軍、在日米軍地位協定というもの。これについてはどう考えていますか?」
岡本氏
「私は、率直に言えば、これを変えると、かえって収拾がつかなくなる可能性もあると思っています。現在それを運用でやっているわけです。これがギリギリできることなのかなと思います。つまり、問題になっているのはただ1点ですよ。地位協定第7条の5項のCというのがありまして、これが被疑者の身柄を、起訴をする前に、日米どちらかで、身柄を確保するかということですね。アメリカ側が最初に捕まえちゃった場合には、アメリカの留置場に入れておくと。日本の警察が今度のように、先に逮捕した場合には、日本の留置場に入れておくということを、常に日本の留置場に入れておくようにしろというのが、地位協定改正を主張する人々の意見ですね。その気持ちは非常にわかります。ただ、これは、実はもっと大きな問題があって、それは裁判管轄権の問題なわけです。そもそもこの事件を裁判する権利はどちら側にあるかという、その規定で、かなり日本側に有利にできているんですね。有利というのはアメリカがヨーロッパの諸国と結んでいる地位協定に比べると、日本に与えられた権利の方が大きいですね。それで当時、アメリカの議会の中でも、この裁判管轄権について日本に譲り過ぎではないかと。それなら、せめて被疑者の身柄を拘置する段階ではアメリカ側が拘置してもいいということにしようではないかと。こうなったんですね。被疑者の身柄をどちらで拘置するかということより、そもそもこの案件を裁判できるのはどちらだという方がもっと大事な問題ですから。日本はしっかりと確保しているわけですね。日本が、では、地位協定を改定しましょうと言うと、今度は、アメリカ側がちょっと実は日本に譲り過ぎているのでヨーロッパ並みにしてくれと言ってくるかもしれませんですよね。そうすると、パンドラの箱を開けるという表現がありますけれども、どういうところに均衡を求めるのか。必ずしも日本に有利な最終結果になるかどうかはわからないと思います」
反町キャスター
「基本的に地位協定というのは、勤務中の軍人や軍属が犯罪を、犯した時という前提だったと思うんですけれども、今回みたいな、プライベートな時間の場合も、地位協定の適用範囲にはなるのですか?ならないですよね?」
岡本氏
「地位協定の範囲という、ご質問ですけれども、基本的には日本で罰せることができる犯罪というのは、全て日本側に裁判の管轄権がありますと」
反町キャスター
「それは、勤務中でも、勤務外でも時間関係ない?」
岡本氏
「ただし、例外がありますと。現在、反町さんが言っておられたように米軍人が、あるいは軍属が、勤務中に、公務執行中に起こした事件については、米側が管理しますと。つまり、米軍が一般の道を移動中に、軍用車両を運転していた。その車が日本人の通行人をはねちゃった。こういう時は彼の勤務中の出来事として、1次裁判権というのは米側に属するということになります。でも、これが勤務中でなければ、これは全部、日本側に裁判管轄権が属するということですね」

南シナ海問題と対中姿勢
反町キャスター
「昨日の日米首脳会談で、オバマ大統領、会見の中で、中国に関してこういうことを言っています。『中国が、アメリカとベトナムがパートナーシップを結ぶことを挑発と理解をするのが、今の中国の姿勢を表している。中国と南シナ海の国々との緊張を引き起こしているのは、我々ではないと。南シナ海での紛争を解決できるかどうかは、全て中国次第だ』と、中国という名前を何回も、何回も言った。これはなかなか、オバマさんが中国を名指しで批判するにしても、かなり踏み込んだ言い方だと思うんですけれども、どう感じますか?」
岡本氏
「これはオバマ大統領、本当に変わりました。2009年ですか、この中国に行った時は、中国の核心的な利益というものは尊重するという言質を与えてしまった。中国側は、強引にそういう言葉をオバマ大統領に言わせたわけですね。では、核心的利益というのは何かと。それはチベットであり、ウイグルであり、それから、南シナ海だったんです。中国はこれでアメリカも、南シナ海で中国は何をしても文句は言わないはずだと大喜びをしたんですね。ところが、アメリカは騙されたというか、その言葉の意味に気がついて、それから先はそのあと胡錦濤が2010年でしたか、ワシントンに行った時にも同じことをオバマ大統領に確認を求めたんですけれど、一切それに乗らない。だから、その時以来、南シナ海というのは、アメリカとしても航行の自由。原理原則の問題もありますし、それから、アメリカにとって、ベトナムとの関係の強化というのが、ここのところ、非常に目立ってきています。あとインドネシア、シンガポール、フィリピンという、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国との関係の強化というのはアメリカにとっても非常に重要なテーマになってきていますから。ここでベトナムだけではないでしょうから、彼の頭にあったのは。ASEAN諸国全体のことを考えて中国とは一線を画すと。かなり強く中国とまた対決するという政策を、現在オバマ大統領、いよいよ職を去るにあたってね、明確にしていこうというふうになってきた気がしますね」
反町キャスター
「もうちょっと早くと思うのは、それは無理筋なものなのですか?」
岡本氏
「習近平主席が何度もオバマ大統領と会談をしました。中国も巧みですから。2つの大国間の新しい関係を打ちたてようということは散々いったわけですね。太平洋というのは十分広いスペースがあるから。アメリカと中国が角を突きあわさなくても十分、共存していけるのではないかという。それにまた一時期引っ張られて。しかし、それもよく考えてみると、どうも中国は太平洋を分割する。いわゆるコンドミニアム論議ですけれども、自分達は、西太平洋を獲る。アメリカ、あなたは東太平洋で我慢しろと、こう言っているのではないかということで。ですから、オバマ大統領の後半というのは非常に中国の海洋政策の猜疑心と言うのが強くなってきている。それは時の経過と共にだんだん強くなってきているという、経過だと思いますね」

『外交・安保』の論点は?
秋元キャスター
「ここまで日米首脳会談の成果と課題を聞いてきたのですが、続いて、サミットの全体会合3では、政治外交ですけれど、日米両国の懸案でもありました、国際情勢について議論が交わされました」
反町キャスター
「日本政府のブリーフというのは、こんな内容で話し合われたよという説明が記者団にあったんですけれども、G7各国で一致したことに関しては、国際法の原則に従った秩序や上空飛行の自由の重要性を確認しましたと。東シナ海や南シナ海の現状を懸念するという認識を各国で共有しました。海の法の支配の三原則というのがありまして、これも、要するに、各国首脳宣言に明記することで合意をしましたと。国際法に基づいて国は主張をすべきである。自らの主張を通すために力や威圧を用いない。紛争は司法手続きを含む、平和的手段を追及すべきこと。こういう三原則を、首脳宣言に明記するということでG7各国が一致したということですが、岡本さん、この政治外交に関するG7で一致した項目。これはどう見ていますか?」
岡本氏
「これは非常に良いことではないでしょうか。つまり、日本がどういう国家かということを世界に訴えていく時に、日本は法の支配、それから、国際的な裁定に従いますと。だから、尖閣だってそうですよね。尖閣は現在、日本が実効支配しているから、日本から国際司法裁判所へ持っていくことはありませんけれども。しかし、竹島は、韓国に行こうと言って、韓国は一緒に行ってくれないから、まだそれは実現していませんけれども、結果には日本は服しますと。だから、同じように、尖閣だって中国が国際司法裁判所に持っていくなら、我々も管轄権を認めますよと。国際司法裁判所で解決しましょう。日本は、その結果は受け入れます、と宣言すれば、私はできると思うんですけれども、そうすると、世界に対して、この尖閣は、日本はこれこれこういう理由で、日本のものだとだけ言っているのではなくて、常に法の支配に服する国家であると。その反対の概念というのは現状を力で変えようとする国々。そうなってくると、現在、ロシアがウクライナでやっていること。それから、中国が南シナ海でやっていること。そういうのがそれと対置する、反対の概念としてより明確に無頼国家として印象づけられてくるわけですね。ですから、そういう意味で、サミットの首脳宣言として、誰も反対できない、条理を尽くした宣言ですからね。日本のイメージのためにも大変良いと思います」
反町キャスター
「林さん、いかがですか?政治外交における、日本政府側が発表したG7で一致した項目、どう感じますか?」
林議員
「岡本さんが言った通りで、これをきちんと謳うというのは、とても大事なことですし、誰が読んでも、その通りのことで、長い間の歴史の中で人類が辿り着いた、法の支配というところを明確に謳う。このことを、しかし、現在言わなければいけないぐらい、いろんなことが起きているということが、現在の世界の現状を表しているということも、一方で、言えるわけですね。従って、このことがまとまったということは、当然のこととして、これに対して明日以降、どういう反応がどういうところから出てくるのかと」

『対ロ姿勢』G7本音と思惑
反町キャスター
「日本側の政治外交に関する海の法の支配の三原則ですけれど、これは海かどうかということも含めて、ウクライナの話、クリミアです。ロシアの問題というのはこれから議論になっていくと思うんですけれど、たとえば、2番の自らの主張を通すために力や威圧を用いない。国際法に基づいて行うこと、平和的手段を追及すべきこと。これはロシアのクリミア併合においてヨーロッパ、日本も含め、様々な国、クリミア、ロシア批判について用いたロジックでもありますですよね。ご存知のように、総理はサミットの直前にソチでプーチン大統領とも長時間会談をして、9月に会いましょうというような話になって、年内にも日本に来るかもしれないという、日本の、ロシアに対する接近ぶりと、中国に対する批判のトーン、用いるロジックは同じものでありながら裏表矛盾していないかと。こういう見方はありますか?」
岡本氏
「それは日本がウクライナ問題について奥歯にモノが挟まったような言い方だと、今度は、欧州の首脳はそちら方がずっと関心事項ですから、何だということになりますね。ですから、安倍さんは議長として、非常にそこは難しいと思いますね。そうかと言って、あまりウクライナを激しく非難をすると、今度はせっかくの日露関係に、また影が差してくると、だから、難しいですよ」
反町キャスター
「ここはとりあえずウクライナというか、ロシア問題に関しては、安倍さんは、日本も経済制裁をロシアに課しているわけではないですか。そういったものも含めて、言葉のうえではこれまでのトーンで批判を続けていくしかないということは、これはしょうがないものですね?」
岡本氏
「それはそうですね。そうれはそうでしょう」
反町キャスター
「結果、たとえば、日露関係への影響。悪いものが出るのではないかという、そういう心配は、岡本さんはされないのですか?」
岡本行夫氏
「この間、安倍総理がプーチン氏に約束した8つの経済政策。あれは制裁があっても、皆できるものだけですね。だから、そういう意味で、非常に難しい道を通ってきているわけですね。プーチン氏は、このあたりたぶんわかって来るのだと思う。だから、プーチン氏として、日本の提案に乗っていくことが実態的に得か損かね。現在、安倍さんから出されている提案がロシアにとって得になるものだと思えば、このG7がどういう宣言を出そうと、それを日本のせいには彼はしないでしょうね」
反町キャスター
「林さんは、いかがですか?日露関係の影響は。この延長線上どう見ていますか?」
林議員
「だから、最後までこれだけなら、日本はうまくやったなということですよね。東シナ海、南シナ海だけがあって、海ですから、まったく。ですから、このままいくのか、途中のブリーフだとすると、最後の夕食を挟んで、政治外交で、反町さんのヨーロッパの方が入れてくれと、ウクライナも書いてよねとなった時に、でき上がりがどうなるのかというところまで見ないと、現在のところ、ここまでですと、日本は本当にうまくやったねということになると思います。ただ、ヨーロッパの首脳が入っているので、これで、東京でやっているのだから、こういうことかなということに、もしなれば、それはそれで、そういうことですし、このこと自体は別にウクライナについて何かを言っているわけではありませんから。それはニュートラルですから。このあとどういうふうに、ヨーロッパの人達がどういうことを言うのか、言わないのかということだと思います」

『世界経済』の論点は?
秋元キャスター
「伊勢志摩サミットの主な日程がありますけれども、全体会合の1では、安倍総理が最大のテーマとしています、世界経済について議論が交わされています。その内容がこちらです」
反町キャスター
「安倍総理のかなり世界経済のリスクが高いとの発言に対し、いわゆるクライシスまで言うのはいかがかとの意見も出た。これは1国から出たという話になっています。ここで、そのあとで世界経済のリスクとか、クライシスという言葉、それが危険性とか、危機という言葉ですけれど、そこのやり取りというのがちょっと引っかかる部分になっています。もう1つ、財政出動をするという国は複数ある。言わなかった国もあるが、必要性を否定した国はない。先ほどの、外交は安全保障から比べるとやや回りくどいブリーフの内容になっている。回りくどい部分を、わざわざ選んだわけではないですけど、外交安全保障の南シナ海のこととか、その他、諸々のことに比べると、林さんに聞きたいんですけれども、日本の思い通りに進んでいないような印象を受けるんですけれど、それはどう見ていますか?」
林議員
「日本の思い通りというのがそもそもどういうことというのがありますが、このリスクとクライシスというのは意味がだいぶ違っていて、よく日本銀行の景況が出ますが、現在はこうですと、やや持ち直しとか、だいたい良いですとか。ただ、こういうリスクがあります。それはこれから情報リスクと言いますが、こちらに行くかもしれない、こちらかもしれないけれど、普通のシナリオだったらこうですと。こういう言い方をするんですね。従って、リスクというのはあくまでも現在から起きるかどうかはわからないけれども、起きたら、こういうことがあり得るというだけの話で、現在の認識とは違うわけですよ。クライシスということをどう使ったかですが、現在がクライシスだということを、もしもおっしゃったとして、それに対して、いわゆるクライシスとまで言うのはいかがかというのだとわかるのだけれども、世界経済のリスクは高いと言ったことに対して、クライシスとまでと言う発言は、たぶん出ないと思うので、ここはちょっと合っていないと言う感じが文字だけ見ていると思います。従って、そこはもう少し正確にいろんな情報が出てくるといいなと思いますが、だから、もしこう言ったとしたら、いわゆる、と言うのではなく、世界経済のリスクが現在高いとまで言うのはいかがかと言うのだったらわかるのですが。下方リスクはいろんなことが言われています。チャイナオイルとか、いろいろなことが言われていますから、それはわかるのですが、危機的状況だと言うと、どうしてもリーマンショックみたいなことが現在起こっているのですかと、こういうような議論だったのかなという気がしますし。そういうことになれば、あの時、中国が4兆元というのをはじめ、これは何とかしなければということがあるので、そうすると2番目の方の財政出動を皆でやらなければねということにつながってくるのかなと。ただ、リスクがあるというだけで、現在、悪くないのに、すぐ財政出動ということにはちょっとつながってこないので。若干、言葉がうまくつながっていかないなという、これを見ただけでは。そういう印象ですね」
反町キャスター
「書き込みはしなかったんですけれども、日本政府のブリーフの中で、いわゆる危機、クライシス、危機とまで言うのはいかがかと言った発言をした国は1国だという話だったんですよ。ただし、G7の中で1国がそうだと言ったからといって、他の6か国、いや、これは世界経済危機に直面している、クライシスだと言ったかどうか。ここはわからないわけではないですか。その意味において、もしかしたらその危機感を、言葉が悪いかな、危機感を煽りたい日本側と、いや、そんなに危機というよりもリスクという表現が妥当ではないのという各国の足並みの乱れが出ているのではないか。それは勘繰り過ぎですか?」
林議員
「そこに行って聞いていたわけではないので、何とも言いようがないのですが、日本銀行が経済見通しを、月例で出しますよね。それもリスクが、下方リスクがありますと。いわゆる緩やかに回復軌道ですと。こういうふうに政府が言っているわけですから、日本の場合はね。リスクがあると取る方が素直かなと思いますけどね」
反町キャスター
「岡本さん、いかがです?世界経済は危機に瀕しているとまで言いたい日本側と、リスクという言葉の方が妥当ではないかという思惑が各国から示されたのではないかという、この状況をどう見ていますか?」
岡本氏
「林さんが先ほどから言われているようにリスクとクライシスという言葉は全然違うわけですよね。リスクは危険性でしょう。クライシスは危機でしょう。だから、いや、危機ではなくて、まだ、そこまで言うのは強すぎるのではないのと。どこかでそういう話は誰かがするんでしょうね。そこで会議の流れがこれによって大きな影響を及ぼしたとかは深読みではないですか。あまり気にしない方がいいですね」
反町キャスター
「安倍総理は異論が出たことは引き取って、結論の表現はシェルパに任せましょうと。ここの部分はどう見ればいいですか?」
岡本氏
「私の答えはいい加減に聞こえるかもしれないけれども、サミットの最初の5、6年は皆が新しい議論をしましょうと。皆が悩みを打ち明けあう場だったんですね。1980年代になると、世界はもう1度不況になるかもしれないけど、どうやって脱するか、ギチギチやっていましたよ。コミュニケづくりに首脳が自分で鉛筆をとってやり始めた。そのうちに、俺達、こんなことやり出したら、文書づくりだけで終わってしまうではないかと。我々はこのために来ているのかね、ということになりまして。皆もそうだよな、ということになって、コミュニケをギチギチ詰めて出す場ではないのだという認識が定着して、それが現在も続いているのではないですか。となると、実際の施策は、要するに、財政であるか、金融であるか、構造改革であるか、だいたい皆の考え方というのは一致しているところも多いわけですね。金融というのは金融システムにカネをじゃぶじゃぶ入れ過ぎたと。でも、世界は結局、脱デフレにはいかなかったと。財政だって、財政出動というのはいいということは、アメリカ、日本だけではなくて、本当はフランス、イタリアだって心中は密かにそう思っているんですよね。財政規律を緩めると、ギリシャを救うのにドイツ国民の税金を使えと。イギリスもEU離脱で国中がもめている時に、キャメロン首相がパナマ文章でやられている時に、財政出動と言うと国民の反発を買うのではないかと。だから、できることもあるし、できないこともあると。財政も金融も同じで、構造改革も同じ。だから、そこはそれぞれの国が自分の国情にあったハイブリッド型で皆を混ぜてやっていく。それをどういう表現にするかという。あまり対立することではないと思いますよ。ニュアンスとして財政1本化でいくとか、それはダメだともちろん、なりますけれど。だから、いいのではないですか」

オバマ大統領 広島訪問へ
秋元キャスター
「明日、安倍首相はオバマ大統領と一緒に広島を訪問するわけですが、どこに注目したらいいのでしょうか?」
岡本氏
「ようやく実現したかという想いです。大変いいことではないですか。アメリカの中も広島訪問に反対する声というのは根強くあるわけで、そこのところが変わってきているのでしょうね。現在、60歳以上の人に世論調査をしますと、広島への原爆の投下は正しかったのだという人は70%ですね。ところが、20代の人に同じ質問しますと、その率は47%でしかない。どんどん下がっていっているので、アメリカの国民の中に歴史的な認識の変化を感じます。70年経って、戦争時の日米間の最も感情的で難しい問題ですね、原爆というのは。それにオバマ大統領が正面から向き合おうとしている。謝罪しないでしょう。しかし、犠牲者に対して哀悼の意を表して、頭を下げると。我々は2度とこういうことをやってはいけないのだということで、大きな演説はしないでしょうけど、核廃絶について彼の決意表明をする。とてもいいことだと思いますね。そろそろ真珠湾へ日本の総理大臣が行って、謝罪はしなくても、犠牲者に対して哀悼の意を表するということをすべきだと思いますね。歴史を1つ1つ乗り越えていくのには時間がかかります。だけども、それが始まったという感じがします」
林議員
「広島の人の意見を聞いて、謝罪を求めないという人が多かったというのは、私は涙が出てしまったんですけれども。これが外交だなと。長い間経って大統領がせっかく来てくださる時にいっぱい抗議の人が来て、謝れということになれば、せっかくの大統領の決断というのが貶められるということになるのですけれど、こういう形で迎えて、来ていただくというのを、こちらも評価をすると。ここまでやって来られたなという想いですので、日米はこれだけ長い間、同盟関係をやって友好関係を築いてきたうえに、こういうことができるのだということを、これは世界にしっかり見せて、我々も他のところといろいろ問題もあるし、アメリカもあるでしょうけれども、こういうことができるのだという、いい見本になると思いますね」

林芳正 自由民主党参議院議員の提言:『遠交近交』
林議員
「遠くと交わって、近くを攻めるというのがもともとの言葉で、最後の交は攻めるの攻ですが、遠くとも交わって、近くとも交わると。これをやっていただいていると思いますし、向こうが、近隣諸国が中国を包囲するのではないかという、言われのない不安を持っているとすれば、そうではないんです、おたくとも付き合うんですということを、さらに強化をしていくということがとても大事なことだと思いますね」

外交評論家 岡本行夫氏の提言:『継続は力なり』
岡本氏
「日本の外交は顔が見えないとか、何やっているかわからないということも、これまでしばしばありましたけれども、1つのことを言い続けることが足りなかったのではないか。その意味では、今度のサミットはいいと思いますよ。南シナ海の話にしても、法による支配にしても、それを言い続けていくことが大事ですね。日本は国連総会で核廃絶決議を20回出して、20回とも通してきているんですね。これも1つの動きになりつつありますし、ですから、1年ごとに首脳の顔がクルクル変わるということではなくて、日本が力強いメッセージを同じように出し続けることが大事だと思います」