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2016年5月23日(月)
G7財務相会合を検証 サミットに残した課題

ゲスト

山本有二
自由民主党衆議院議員 元金融担当相
早川英男
富士通総研経済研究所エグゼクティブ・フェロー
山崎加津子
大和総研シニアエコノミスト

世界経済『安定の処方箋』は? G7仙台会議の成果と課題
秋元キャスター
「今回のG7仙台会議で合意した事項の概要です。『世界経済の先行きには不透明感がある』という現状認識は一致。先行きのリスクとして、テロや難民問題、イギリスのEU(欧州連合)離脱の可能性に言及しています。経済の安定、成長のために金融政策、財政出動、構造改革を、各国の事情を踏まえてそれぞれ実施するということ。為替の無秩序な動きは経済に悪影響、通貨の競争的な切り下げは行わないということを確認しました。まずは早川さんに聞きたいんですけれど、『世界経済の先行きには不透明感がある』という合意の前提の部分、この見解、どう見ていますか?」
早川氏
「先進国の経済についていうと、たとえば、雇用を中心に見ていけば国によって、若干程度の差はありながらも少しずつ改善していますので、世界経済は非常に危機的な状況にあるわけではないです。ただし、新興国まで視野に入れると、新興国の成長はいまひとつ思わしくないというのが共有された認識であり、且つもう1つは、先進国についても政策手段という面で見ると、そろそろ金融緩和には限界が出てきたのではないかということもあって、そうした中で不透明感があるということであり、特に昨年の夏、それから、今年の年初、世界の金融市場がかなり大きく動揺をしました。いずれも中国が震源地だったと思いますけれども、動揺をしましたので、特に今年の年初あたりについていうと、世界経済の下方リスクというのはかなり意識されたということだと思っています。現在は少し落ち着いてきました。アメリカが利上げを慎重にするということを明確にして以降、世界的な株価はだいたい落ち着いてきましたし、原油価格も少しずつ戻ってきていますので、落ち着いてはきていますけれど、では、本当に不透明感が払拭されているかというと、そこまではいけていない。そういう状態ではないかと思っています」
山崎氏
「私も同じように、今年の年初に比べると現在、この世界経済の先行きの不透明感というのが少し和らいでいるところだと思います。ただ、欧州の経済もそうですけれど、緩やかな成長をしています。こういうのが現状で、これがこの先も続きそうですというのがメインシナリオですが、ただ先を考えた時にはまさにテロだったり、難民問題だったり、英国のEU離脱だったり、こういう問題が予想されますので、このメインシナリオに対して、下にぶれてしまうリスクがあるという認識だと思います」
反町キャスター
「イギリスのEU離脱問題というのを、敢えてこのところで取り上げたということは、皆それなりに深刻さを共有するという前提に立った場合、この問題というのは、取り上げることによってG7の残りの6か国がこれは問題だねと世界にアナウンスしたいのか、キャメロンさん自身は離脱しない方がいいということを言っていると思っているんですけれど、キャメロンさん自身にしても国に帰った時には皆やめろと言っているよとね。どちらの方がよりパワーとして強く働いて今回の結果に盛り込まれたと見たらよろしいのでしょうか?」
山崎氏
「私は、1つには、もし離脱が起きてしまった場合のリスクの大きさが計れないというところが、他の国も嫌な問題だと思うんですね。イギリスに対して、できれば残ってほしいというメッセージを伝えたいというのは常にあるので、今回もその場として活用した。キャメロンさんも残留したいというグループの筆頭に立っている人なので、こんなに支援を得たんだよということを国内にアピールしたいという、両方があったのではないかと思いますが、ただ、他方で、離脱派の人達はそういうキャメロンさんとか、外からいろいろ言われるということに反発を感じる人達なので、これ自体が…」
反町キャスター
「言うと、かえって、(EUから)出たがるのですか」
山崎氏
「そうですね。逆効果になる可能性もあるかなというところが難しいところだと思います」
反町キャスター
「イギリスの国民性のことを話している?政治家のキャラクターのことを言っている?」
山崎氏
「今回は国民性ですかね」
反町キャスター
「国民投票ですからね」
山崎氏
「国民投票なので、国民の判断を聞かれているわけですが、EU離脱を言っている人達がもちろん、移民がたくさん来ることが嫌で制限をしたいとか、EUからこういう法律をつくったから、こういうことを守れとか言われることが嫌だから、そこから離れたいとか、いろんな思惑があるんですけれども、1つの動機として、EUからいろいろ言われることも加わるんですけれども、規制の権威に対する反発心、不満ということが国民投票で」
反町キャスター
「アメリカ大統領選挙みたいな話になってしまう」
山崎氏
「そうです。実はこのブレクジェットを支持している人達とトランプさんを支持する人と結構、似ているねという話があるんですね」

政策協調と日米欧の『温度差』
反町キャスター
「早川さん、もう1つ、この前提としての不透明感、リスク要因、云々の部分だけで考えた時に、日本はあまり景気が良くないかもしれないと。ヨーロッパはなかなか堅調な雰囲気を出しているねと。アメリカはアメリカで引き上げのタイミングを計ってくる中で、今回の財務大臣会合、ないしはこれからの伊勢志摩サミットでもそういう感じが出るかもしれないということも踏まえていうと、思惑のズレみたいなものが、今年の頭の頃、中国がおいたしていた頃は皆やばいなと思っていたんだけれども、ここに来てだんだん各国の足並み、思惑がズレてきているのではないか。その部分をどう見ていますか?」
早川氏
「おっしゃる通りだと思います。たとえば、よく言われるのは、アメリカは財政出動について積極的だと言われるのだけれども、それは、実はアメリカは自分でやる気があるかというとそうではないんですよ」
反町キャスター
「人によってやってほしいだけ?」
早川氏
「むしろどちらかと言うと、それはヨーロッパとか、日本があまりにも金融政策に頼ることについて、アメリカは不満に思っている。そうすると、ドル高になってしまうということについて、不満に思っているので、お前達もう少し財政をやれよ、という感じがあって。特にアメリカは、本音ではドイツはもうちょっと財政を出すべきではないですかとたぶん思っている、ということ。ただし、難しいのは、たとえばヨーロッパ全体で考えると明らかに、全体で見るとまだ失業率が高い。一方で、金融政策の限界もかなり見えてきているので、ヨーロッパ全体で考えれば財政を出すべきではないですかというのはごく自然な発想なのですが、では誰が出すのですかという話になった時に、これは難しいのは、1番余裕があるのはドイツだけれども、ドイツは完全雇用で別に財政を出す必要がないと思っているし、一方で失業率の高い、たとえば、イタリア、フランスは財政には決して余裕があるわけではないですので。では、誰が出すかというと、結構複雑になってしまう。一方で日本は、実は先ほど以来問題にあるように、世界で1番借金が多い国にもかかわらず、これが不思議なぐらいに財政には前向きだという、そういう複雑骨折しているので、簡単に皆で、一緒に手をつないで、財政出動しましょうという雰囲気にはなかなかなりにくい。リーマンショック直後みたいに世界全体が1930年代以来の世界恐慌になっちゃう事態になれば、これは皆でいくしかないということになりますでしょうけれども、現在はそうではないし、この年初は不安感がありましたけれど、少し落ち着いてくるにつれて、皆の思惑がバラけてきているということだと思いますよ」
反町キャスター
「山本さん、どうですか?アメリカ、ヨーロッパ、日本の間で、景気の経済の現状に対する温度差、感じ方、肌触りの感じが明らかに違うのではないか?」
山本議員
「まったく違うでしょう。ドイツは0.6%のGDP(国内総生産)比の財政黒字ですよ。他は全部赤字ですね。日本が1番厳しくて、5.2%の財政赤字。それで、日本が、そして財政的に余裕がない国が(財政出動を)やりたい。しかし、やるのはいいのだけれども、効果がないことはしたくないので、マンデルさんが言っているように、一斉にやらないと何の効果もないというようなことから、安倍首相はできるだけ一緒にやってくれないかなと。思い切りカンフル剤を打って、効果が効いてくるというようなことを期待しておったのでしょう。特に注目するのは、ローレンス・サマーズさんという大学の先生が、2013年に財政出動を世界中ですべきだというようなことを言っていて、それとバーナンキさんの論争があって、バーナンキさんはそんなことよりもまだ金融でできることがいっぱいあると、というように対立的な論争を現在でもしているという話ですから。その意味では、アメリカはどちらかと言うと日本などがそういう発言をすることをむしろ期待していたのではないかなと、アメリカの方が。それで皆が合意する。つまり、ドイツさえ賛成してくれれば皆できると思っていた。この伊勢志摩サミットでドイツがここまで固いのかということが、この間わかったということではないのでしょうか。」

日本の消費増税は…
秋元キャスター
「財政出動について聞いていきます。安倍首相もゴールデンウィークに、欧州を訪問した際に各国の財政出動の協調というのを提案していたのですが、結果的には、各国の事情を踏まえながら、足並みを揃える合意には至りませんでした。G7諸国の経済、財政の状況を見ますと、2016年のGDP成長率、IMF(国際通貨基金)の予測では、アメリカが2.4%で、ヨーロッパ、カナダは1%台と、日本は0.5%と伸び悩む見通しとなっています。累積の政府債務、いわゆる国の借金も日本はGDP比249%と膨大な数字となっています。ドイツは財政の健全ぶりというのが非常に目立つわけですが、先ほど、山本さんも話していましたけれども、早川さん、こうして見ると1番財政が逼迫している日本が財政出動を他の国に要請する。ちょっと変な感じがするのですが、日本が言わなければいけないものなのですか?」
早川氏
「いや、たぶんそこにはある種の日本独特の多少の思惑があったと思うんですよね。一方において、安倍首相自身はおっしゃっていませんけれども、官邸の周辺からは、消費税の引き上げは先送りしたいという発言が出ているわけですね。ただ、一方において、前回の総選挙の時に安倍首相はもう2度と先送りはしないと。要するに、消費増税に耐えられる経済をつくると約束していますので。そうすると、仮に消費税増税を先送りするとなると当然、それはアベノミクスが失敗しているだろうという批判が出てくる可能性がある。そうすると、良いアイデアはこういうことです。要するに、問題は世界経済なのだと。世界経済が失速するリスクがあるので、世界経済失速のリスクに対してG7が協調して財政出動をするのだと。そうすると当然、議長国である日本が消費増税というわけにはいかないだろうというふうにすると、アベノミクスは失敗しているのではないのだけれども、世界全体の理由で財政出動というのがある種、年初世界のマーケットが荒れた時にフッと浮かんだ1つのシナリオだったのだろうと思います。ただ正直言って、結構、虫のいい話で、これはなかなか難しくなっているというのが先ほど申し上げたようなことだと思います」
反町キャスター
「山本さん、現在の早川さんの論理立ては?」
山本議員
「消費税を上げるというのは、もう1回延ばしているわけですから、これ以上延ばすということに対して相当な理由づけがきっちりないと。確実に来年の4月から上げますということを言いながら、1年半延ばしたわけですから。嘘つきになりたくないということは絶対、政治的にはあると思います。それから、逆進性というのが問題です。そこに仕送りをある程度できるというような考え方が、年金生活者支援給付の支給に関する法律というやつがあって、5000円月々お渡しできますよということになりますと、だいたい行って来いで、感覚的には上げても、そんなに痛みはないのではないかというような話になってくると、EUや世界の諸国や先進国諸国、G7の中では日本の消費税が安すぎはしないかというのが基本にある以上、イコールな競争条件にするということを、むしろG7の各国が期待をしているのではないかなと。あとは日本国内の問題ですから。それは仕送りをするということで、片づくというように少し振れているのではないのかなと思っています」
反町キャスター
「そうすると、早川さんが言われたみたいに、消費税の引き上げ先送りがまずあって、そのために各国は財政協調しましょうね、財政出動で協調しましょうねと。日本だけ増税するというような、言いだしっぺでありながら足を引っ張るのはおかしいからやめようねと。そうではなく、財政出動したうえで、引き上げたうえで、さらに、低年金者に対する、逆進性、給付というものをきちんと手当をしていく。これが現在、出口で見えている部分?」
山本議員
「もし財政出動をするのであるならば、時間差攻撃で増税をしておかないと。これだけ借金を増やしておいて、まだ借金を増やすのか、というメッセージはマイナスになりますから、消費税は上げておきながら、財政出動と。適宜、適切にピンポイントで、きちんとしたところに、効果のあるところに手を打っていくということでクリアできるのではないかなと思っている」
反町キャスター
「早川さん、どうですか?それで日本経済が耐えられるかどうか。体力的にはどうですか?2ポイントアップは」
早川氏
「大丈夫だともともと思っているんですよ。と言うのも、そもそも別に、本当に消費税のせいで?と。だって日本は、たとえば完全雇用だし、有効求人倍率1.3というのが、1989年、平成バブルの真っただ中と同じレベルです。何が起こっているかというと、実は残念ながら、潜在成長率が日本の場合0.5%もない状態なのでなかなか成長していないだけであって、景気が悪いわけではないでしょうと。完全雇用で、企業収益だって別に悪くはないですよ。確かにちょっと円安で、下駄を履いていた部分はちょっと剥がれている程度の話であって、企業収益が大きく悪化をしているわけではないですし、そもそも、たとえば、実力の成長率が0.5%ない中にあって、労働分配率はこれまでちょっと円安の時というのは必ず企業サイドに収益が寄っていくので、労働者の取り分は下がってしまうんですよね。そうすると、実力が0.5%なく労働分配率が下がったら、それは個人消費が伸びないのが当たり前なのであって、別に個人消費が伸びないから景気が悪いという状況ではないと思っています」
秋元キャスター
「山崎さん、各国、足並みを揃えて一斉に財政出動するということにはどういうメリットがあるのですか?一斉でないとダメなのですか?」
山崎氏
「リーマンショックみたいな大きなショックがあって、世界的に景気がガクンと悪くなるという時には協調してやりますというのはすごく効果があるというんですね。G7はそういう時に力を発揮する場所だと思っています。ただ、今回みたいに足元の景気状況がそこまで悪くないという中、皆で一斉に財政出動しようということに対しコンセンサスを得るのがすごく難しいと思っています。私が見ていますと、欧州に関して言えば、そもそも財政赤字をあまり大きくしすぎないようにしようという合意があって、それがGDP比3%以内に財政赤字をしておきましょうというものですけれども、欧州の場合にはユーロ圏の債務危機というのがありまして、莫大な財政赤字が国債利回りの高騰につながるのということを、つい最近経験したばかり。つい最近と言っても3、4年前ですけれども。ですので、財政赤字を拡大させるような財政出動ということに関してはかなり慎重になるというところがそもそもあります。リーマンショックの後のような大幅な景気悪化ということであれば何か対策を打つと言ってくると思うんですけれど、現状のような、緩やかだけれど成長をしていますよという状況では、そういった財政出動、特に政府がお金を投じて景気対策するということに関してはすごく慎重なのだと思います」
反町キャスター
「財政出動の話でいうと、G7の財務大臣会合において、こういう発言があったと。麻生財務相からは、『経済成長には需要が必要という点では一致した』『需要喚起のための財政出動にも各国が理解をした』と。ドイツのショイブレ財務相は『持続的な経済成長のため、決定的に重要なのは野心的な構造改革である』と。フランスのサパン財務相『余裕がある国は財政政策を使うべきである』と。この3か国の言いぶりを見た中でも、財政出動が必要ということで各国一致と麻生さんは言っていますけれど、この説明自体、もう破綻しているのではないですか?」
山崎氏
「そうですね。財政出動、もしくは財政としてどのような役割を果たすか、政府としてどんな役割を果たすかということに関して、少し認識のズレがあるのかなと私は受け止めました。先ほど、GDP比3%以内の赤字と申し上げましたが、フランスはそれをオーバーしているので財政に余裕はありません。だから、自分達はできないけれど、他に頼むということですけれども、ドイツの場合には、財政収支は黒字なので余裕はあります。ただ、ドイツは独自にルールを定めていて財政収支均衡を目指しますということなので、GDP比3%の赤字ではなくて、財政収支均衡、イコールゼロということですが、そこまでの余裕はない。ただ、その余裕分は使ってもいいけれども、ドイツの場合には何か財政出動しましたと、それが持続的な成長に繋がるものでなければいけないという考え方の方が強くて、そこで出てくるのが構造改革です」
反町キャスター
「ドイツ人が言う構造改革というのは、財政出動のことなのですか?違いますよね?」
山崎氏
「いや、財政出動というよりは、政府がやる役割という意味の方が強いと思うんですけれども、ただ、その際にドイツが言う財政状況を健全化させなければいけないということとは結びついているんですね。たとえば、構造改革でよく言うのは、労働市場の柔軟性を高めてより失業率を下げ、雇用が増えるようにして、そこで意図しているのは、政府の負担、財政負担で、失業者に対する手当を出さなければいけないとか、そういった負担を軽くしましょうとか、雇用に関するコスト、たとえば、失業手当とか、健康保険とか、年金保険とか、いろんな給付のためにお金を払うと。これは企業と労働者の折半で払うんですけれど、そのコストを下げることで、雇用者を増やそうと。そうなれば、政府が年金、国庫負担をしていますけれども、そういったところも減る、という考え方があるので。ただ、これは結構時間のかかる改革ですよね」
反町キャスター
「各国の財政出動の立場の違いはいかがですか?これは、日本としてはこういう違いはある程度認めた上で皆でやろうとはちょっと言えない雰囲気だと感じますか?」
山本議員
「だけど、やった方が良いというようにどうも安倍首相は思っていまして、説得して連休に会って、このサミットの根回しが終わった。それでいよいよ財政出動ができるというようなところまで、一歩ずつ進めてきたのにもかかわらず、これではおかしいなというところは多少あるような気がします。だけど、今後我々が考えなければならないのは、第4次産業革命と言われるAI(人工知能)だとか、IoT(モノのインターネット)とか、ビッグデータとか、こういったものにお金をかけていくということが思い切りできれば、日本もリーダーシップがとれる分野でありまして、だから、その意味での思い切った出動ということを、特にマンデルさんが言うように、日本だけが出動したって意味がない。全世界がやってくれないかなという、それは安倍首相の悲願ですよね。景気回復の必殺技という。そこへ安倍首相も日本でやる以上はこれに懸けてみたいというような勝負に出た可能性は十分にあり得るだろうと。そこで24日、25日、どうなるか。これは財務大臣会合以上のものがひょっとしたら出てくるのではないかなと期待しています」
反町キャスター
「早川さんの話を聞いていると、ちょっと難しいのではないかなという雰囲気があるのですが、山本さんの目からすると、安倍首相はそこに勝負をかけてヨーロッパを周ってきているし、アメリカに対してもその根回しをしているはずだから、これはもしかしたら首脳会合においては、財政出動を皆でやろうと…」
山本議員
「意外なことが出てくるかもしれないと、私は期待をしている」
反町キャスター
「それはポイントになるわけですね?」
山本議員
「そうそう。それができると消費税は上げても、逆進性であっても、カバーをしながらも財源は豊富にあるし、やがて投資によってリターンがもっといっぱい出てくると。世界のリーダーシップの中から新しい分野で、新しい産業革命で出てくると。こういうようになるわけでしょうからね」

課税逃れ、テロ資金…どう描く?世界経済の秩序
反町キャスター
「G7の中でタックスヘイブン=租税回避地を網羅的に把握して租税逃れを取り締って、それをキチッと自国の財源にするのかということについてのG7の足並みが揃うかどうか?」
山本議員
「一応、今回の会合の合意で口座の総合情報の交換というのがありますから、それだけでもかなり強烈なパンチがあると思いますよ。税逃れ、脱税をするということは、もはや租税回避地でもなかなか困難になってきますし、ただグローバル企業になりますと、どこに置くか。フランスの税率だと、日本の税率だと、となるとまばらになりますから、全世界で仕事しているわけですから。その意味では、そういう子会社がタックスヘイブンにあるというようなことは、企業の活動の中で機動性を生むというようなことですから。あまりそれに対して徹底的に解明して、透明にするというようなことよりも、これからの成長を待つ、進展を待つという方が、企業活動のスムーズ性というか、それからお互いの市場の共通化をはかる意味において、今後、世界が一致した、為替の市場もないぐらい通貨も共通化できるというようなところにいくまでの、小さな溝として、目地として置いておくというのは、私はアリではないかなと思っているんです」
反町キャスター
「先ほど、山本さんが脱税と言いましたが節税。合法ですよね。違法ではないから取り締れないという、そうではなく、たくさんお金を持っている人、ないしは知恵がある人、大企業が、一般庶民ができないような知恵やノウハウを持って、本来払うべき所得税の大半を免除されているという、この不公平感を解決できるのは官僚でもなく、法律でもなく、政治ではないですか?」
山本議員
「いや、これまでは歴史的に言えば、スイスに預ければ全部秘密が守れる、あるいは香港に預ければうまくできるというような時代があり、そして、国のレベルではなくて国の一部の島と地域でやっている方が、まだ健全だと。以前よりは。それからすると進化をしていると、私はそう思うのですが」
早川氏
「パナマ文書で急にタックスヘイブンの話が注目されたような感じがしますが、これ実は前からずっと問題になっていて、実はOECD(経済協力開発機構)のレベルでは租税委員会というのがありまして、財務相の浅川財務官が世界全体の租税委員会の委員長で、彼の元でベップスと言って節税の取組を皆でルール化して、情報共有し、あまりにもおかしなものはルールとしてできないようにしていこうということをずっとやってきて、かなり進んでいるんです。そういう意味では、今回のG7の合意を見ると、これまでOECDレベルでやってきたことをもう少し今度は新興国まで広げてやっていこうというような話になっていると理解しています」
山本議員
「節税であって、決して違法ではないです。これぐらいグローバル化して、どこに拠点をおいても、過不足がある場合に、やむを得ず子会社をそこへ置くというようなことはマーケットとしてあまり無理ではない話。全世界が共通通貨になればそういうことは必要ないでしょうけれども、ある程度はそういうことは認めてあげないと、スイスと香港でできなくなっちゃったわけですから」

G7仙台会議の成果と課題
秋元キャスター
「G7仙台会議の結果が伊勢志摩サミットにどう引き継がれていくのかということですが、トップ同士に委ねられた具体的な課題は何だと考えますか?」
山本議員
「これは不確実性、あるいは不安定性、それをどうこれから解消するかという議論が必要。世界各国の消費を上げることが景気が上向くことであって、税収が増えることというように前提を置くと、不確実性がある限りは消費は上がりません。海外旅行とか、そういうものはテロ対策、特にテロの原資になっている、いわゆるテロ資金の撲滅。そういうものの透明性、そういったことがもし租税回避地で行われているならば、徹底的にそれをあぶり出す、透明性をもらうというようなことが私は伊勢志摩サミットでは世界の経済の景気回復、こういったものを不確実性の要因を取り除くというようなことに踏み込んで、具体的にやってもらわないと私は意味がないような気がします。ですから、一歩踏み込むためには、雇用の問題について、特にフランスの若者やスペインの若者の失業率は高い。では、どうするのかというような具体的なことまでもしコメントができれば、最高のサミットになるだろうと思っています」
早川氏
「先ほど申し上げたように年初と比べると少し不安感が薄れた状態にあるので、この状態で合意ということになると財務相が中央銀行総裁会議であったように、金融政策、財政政策、構造改革、それぞれの国でできることをやっていくという以上は踏み込むのはなかなか難しいのではないかと思っています。ただ、同時に、現在少し落ち着いていますけれども、昨年の夏や今年の年初に起こったようなことがもう1度、2度起こらない保障はまったくないですので、そういう意味では、G7が必要に応じて協調できる枠組みをずっと維持していくということは強く訴えておく必要があると思いますね」
山崎氏
「私も現在の経済の現状に対する認識をまず共通して持っていますということを打ち出して、なおかつリスクとしてこういったものがありますということを打ち出して、そういったことを認識していますというのをアピールするというのがまず1つ大事なのではないかなと思っていまして、そういった現状に対して、ではどうするかというところは各国それぞれ自分のところに必要な政策を用いてやりますという表現にしかならないのではないかと思っているんですけれど。ただ、できればそこで具体策に各国がそれぞれ踏み込んでくれると、こちらとしてはそういうことをやろうと思っているのだなというメッセージを受け取ることができる」

山本有二 自由民主党衆議院議員の提言:『短期緩和 長期構造改革』
山本議員
「短期的には緩和で、我々は下駄を履いて、竹馬に乗って、がんばって屋根の上のものを取りにいくということですが、やがてこれは臨時要求的な話ですから、終わりが来ます。終わりが来る時に参考になると思っていますのは、たとえば、農業のオランダ、これは1600万人しかいないのに日本の30倍の輸出力を持っています。ノルウェーは漁民の平均賃金が年に900万円。そういうような、日本にもなり得る可能性を示してくれています。それから、林業でオーストリアが1兆円の輸出して、日本は現在いくらかと聞いてみると200億円しかないというようなことからすると、まだ潜在的成長力は労働問題だけでなく、いろんな分野にあり得ることでありますから、構造改革というのを長期的には現在から進めていく。金融緩和というのは短期だと。しかし、根っこを構造改革につくらなければ、未来はないと思っていますので、ちょうどそれの転換点がこのサミットだろうというように思います」

早川英男 富士通総研エグゼクティブ・フェローの提言:『中国を組み込むことが必要』
早川氏
「世界経済の安定ということを考えた時に、どうしても中国が非常に重要ですね。実を言うと、中国の短期的な景気は少し良くなりつつあるんです。ただ、またインフラ投資をやるとか、また、不動産バブルが膨らみつつあるような形で良くなっているので、決して良い形ではないと思っています。必要なのは財政出動を使うのであれば、社会保障制度をつくること。社会保障制度があまりにもダメなのでなかなか消費主導に移っていかない、というので、社会保障制度をキチッとつくると。あるいは過剰設備、過剰な不動産みたいなもの、こういう不良債権の処理を進める。こういった形で、イエレンさんの話はまったくそういう話ですけれども、そういう形でお金を使って、安定させるというのが進まないと、将来、また2度、3度ここから世界を動揺させるようなことが起こりかねないと思っています」

山崎加津子 大和総研シニアエコノミストの提言:『問題意識の共有』
山崎氏
「根本的なことですけど、問題意識の共有というのが今回のサミットでちょっとそこもずれているのかなと思われてしまうと、まったくサミットをやる意味がないと思いますので、まずは問題意識を共有すること。それに対してどう対応するかは、これは各国それぞれの事情がありますので、必ずしも協調できないかもしれない。でも、その前提のところ、最終的な目標のところは共有しておいて、それに対して自国として何ができるかということをそれぞれ考えるという部分が重要なのではないかと思っています」