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2016年5月9日(月)
朝鮮労働党大会の内幕 ▽ 日露首脳会談の虚実

ゲスト

飯島勲
元首席総理秘書官 内閣官房参与
平井久志
ジャーナリスト 立命館大学客員教授(前半)
袴田茂樹
新潟県立大学政策研究センター教授(後半)


前編

検証 北朝鮮の党大会 金正恩『党委員長』へ
反町キャスター
「平井さん、今回の人事から聞いていきたいのですが、金正恩第1書記とこれまで我々が呼んでいたのが今度、党委員長。これは昇進というか、偉くなったのでしょうけれども、どういう変化だと見ればよろしいですか?」
平井氏
「朝鮮労働党のトップであるということについては同じですね。名前が変わったからといって、ポジションが変わるというわけではないと思います。委員長と言っていますけれども、おそらく朝鮮労働党中央委員会委員長だろうと思います。この職制は、実は以前、金日成主席がそのポストにあったんです。第2回党大会の時に、党総書記というポジションに就かれたのでなくなったポストですね。ただ、おそらく金日成主席が永遠の主席で、お父さんの金正日総書記が永遠の総書記になったので、第1書記という名前が、第2がいるのかとか、なかなかちょっと座り心地の悪い名前だったので、もともと金日成主席がやっていた、しかも、党中央委員会、今回の大会でも党中央というのが強調されていますので、そのトップだという名前で、新しい金正恩時代を委員長というポストでスタートさせるという意味だと思いますね」

核保有宣言の実情と波紋
秋元キャスター
「党の活動報告にこういうのがありました。『主権が侵害されない限り、核兵器を先に使用することはない。責任ある核保有国として、核拡散防止の義務を忠実に履行し、世界の非核化実現に努力する』ということですけれども、平井さん、この発言の真意、どのように分析されますか?」
平井氏
「うまく、たとえば、非核化という言葉を出したことで、あたかも何か譲歩したというようなニュアンスを出すという意図があったと思うんですけれど。中身的に言うと、むしろお父さんの金正日総書記は、朝鮮半島の非核化ということを言っていたわけですね。これは韓国には核兵器はありませんから、北朝鮮が非核化をすれば実現をする、実現可能なテーマだったわけですよね。それを世界の非核化というのは残念ながら現在の世界情勢の中では理想としてはあっても、現実的にはほとんど難しいテーマであるから、そういうフレーズを出すことによって平和的イメージを出すことですけれども、あまりにも意味のないことだと思うんです。それと、何か譲歩をしたような感じがありますけれど、実は北朝鮮は2013年に核兵器を持つことについての法律をつくっているんですね。自衛的核保有国の地位を一層強化することについてという法律があるんですね。その中にここで言っている、先制攻撃をしないとか、核の拡散をしない、核兵器の決定権は最高司令官だけにあるのだというのが法律に書いてあるんです。その基本ベースをこの場で言ったという。ただ、今年に入って北朝鮮はあたかも先制攻撃もあり得るみたいなニュアンスでいろんな発言がありましたね。そういう発言をもともとの基本路線に戻して、あたかもそれが国際社会に対する融和的な発言であるようなイメージを与えようとして、落としたのではないかという感じです」
飯島氏
「私は今回の党大会までの流れを見ると、そんなに驚きは持たない。かえって北朝鮮の国際政治は相当早く進展するのではないかなとまず見ている。どういうことかと言うと、いわゆる3回の核実験をやったりした。これは何かと言ったら・・・その前に金(正恩)第1書記、今度、委員長ですか、自国のことは自ら決めると。結果的に、自主先軍社会主義。これは親子3代、同じ言い分ですが、中国、ロシアの影響を持たずに、独自に自国のこと決めるのだと。過去3回の核実験は何ぞやと私なりに考えたのは1964年10月16日、中国が原爆実験をやりましたね。その点、中国が国際的に報道をした内容というのは何なのか。少なくとも我が中国は米国の帝国主義者の思い通りにはならないということで実験をやって、独自の核保有国になった。北朝鮮は1964年10月16日の中国の核実験と同じパターンを金(正恩)委員長が発言をしていると見ざるを得ない。ということになると、私は何で政治がうんと早く進展するのではないかなと見ているかと言うと、いわゆる6か国協議がなくなって、100%、核保有国だけが脅威。核ミサイル、それから、中国、ロシア、アメリカで。韓国、日本は外れ。これがまず1つ。こういう流れの中で言ったら、私は米朝が独自に、いわゆるコミュニケーションリンクとか、そういう有事の際の整備をきちんとこれから設置し、そういう状態がまず出てくるのではないかなと」
反町キャスター
「飯島さん、それは、いわゆる6か国協議から日韓が抜けて4か国協議みたいなものでやるという意味で言っています?」
飯島氏
「だから、そういう流れになると私は現状において断定せざるを得ない。制裁をしょっちゅうやっています。過去何回もやって。北朝鮮を交渉のテーブルに戻すための制裁と見た場合、少なくともこの前、米韓合同軍事訓練で極秘に会談をやったんですね、米朝で。不発で終わったんですよ。8月の米韓軍事訓練。今回もそうだったのですが、なぜかと言ったら過去2回、米朝会談で合意したことがうまくいっていなかった。たとえば、2005年のブッシュ(大統領)との会談の時は、インクが乾く間に云々と言って、経済制裁や何かを含めた状態の中で、いわゆるロケットを喋った。あるいはその他諸々の状態の中できていますが、現在のアメリカと北朝鮮の今回の報道メッセージの、言葉の行間の中で言えば、アメリカは核生命線のことが第一義。ところが、北朝鮮はそうではない、いわゆる核を持つ、核の生命線とは別に、現在休戦状態でしょう。これを会談しようという、まったく違った状態で、この前うまくいかなかった。そういう流れが出てくると思います。だから、結果的に僕は大変、国際政治、米朝間関係、早く進むのではないのかなと」
反町キャスター
「飯島さんの見立てだとこの期に及んでは6か国(協議)も何もなく…」
飯島氏
「絶対ないです」
反町キャスター
「米朝でやっていくしかない?」
飯島氏
「そうです。日朝は残っていますよ。ストックホルムの合意事項がありますから」
反町キャスター
「米朝でやると言っても、アメリカはこれまで北朝鮮と交渉をしないと、ずっと言ってきているけれども」
飯島氏
「いや、交渉しているではないですか」
反町キャスター
「水面下で?」
飯島氏
「だって、大きな国際政治で激突する時には、必ず政には裏であるわけですよ、話が。」
反町キャスター
「その意味で言うと、これから米朝、水面の上で見える形でやっていく時代に入っていくのではないかと。こういう意味で言っていますか?」
飯島氏
「ですね。今回の党大会に入る前の動きを見ると、昨年の8月17日からの米韓合同演習、これは確かに金正恩第1書記、今度、委員長が相当、私情になるのは当たり前ですね。いわゆるウルチフリーダムガーディアンという8月の米韓合同軍事演習は、目的は核先制攻撃をすると、北朝鮮に対して米韓が。いわゆる北朝鮮の指導部を除去して、米韓による朝鮮半島統一。これを言われれば、言われた方はカーッとなって、それから、3回も核実験をやっているんです。という流れから見ると私は意外とそういうぶつかり合いではなくて、米朝の狙いで、連絡事務所を設けるとか、そういう段階的な進展がこれから一気に進んでいくと私は見たいですね」
反町キャスター
「核実験とか、ミサイル打ち上げとかというのは暫くやらなくなる可能性もある?やめる代わりに米朝で会話が始まるとか、そんな問題ではなくて?それはやりながら、実験もやります、ロケットもやります。けれども、米朝の話し合いも始まりますと」
飯島氏
「イランもそうではないですか。核保有国というのがわかっちゃっているのだから。そういう状態の中で、合意事項ができたわけですね。私はそういう意味で、北朝鮮の核の保有というのを認めざるを得ない要素。ただ、実際は侵害されない限り自分達は使わないということも、実際どうなのかはわかりませんが、ある程度、信じる状態のところで、不一致の目的、第1の目的。アメリカはミサイル、核兵器を廃止する。ところが、北朝鮮は朝鮮半島の休戦協定。平和協定が先だと。これはまったく違った言い分です。ここらへんを今度はどうやってうまく利用していくか。そういうことになると思うんですね。核を持たない日本や韓国は関係ないというのは、当たり前ですよ」

透ける内情と金政権の狙い
秋元キャスター
「あらためて北朝鮮の過去の体制を見ていきたいと思います。36年前に朝鮮労働党の党大会を開いたのが金日成国家主席。国防と経済を同時に進展させる並進路線も実は1960年代半ばに打ち出され、36年前の党大会では軍に対する党の指導を強化する方針を明言。政権運営の主軸を党側に置くというスタンスでした。しかし、その後継となる金正日氏が軍を主体に統率をはかる先軍政治を先導。その結果、党大会は1度も開かれず、総書記の肩書とともに国防委員長という人民軍を指揮する立場での活動も多かったということですけれど、平井さん、この北朝鮮における党と軍のバランスについて、金正恩党委員長として今後、どういう方針を取ると考えますか?」
平井氏
「これまでもその傾向が出ていましたけれど、今度、新体制になってあらためて、軍よりは党中心で北朝鮮は動いていくという方向性がより強くなると思いますね」
反町キャスター
「それは新人事体制、政治局常務委員という新しく5人の名前が入ってきました。金正恩委員長は別ですけれど、この4人(金永南、黄炳瑞、朴泰珠、崔竜海)と金正恩委員長の関係、ないしはこの5人による意思決定はこれまでとどう違ってくるのか。どんなふうに見たらいいですか?この人事を」
平井氏
「おそらく崔竜海さんは労働党を担当する。朴奉珠さんは首相ですから内閣、経済ですね。経済を主に彼がリードをしていくと。黄ビョン瑞さんは軍の総政治局長ですから、軍を担当します。但し、黄炳瑞さんという人はどういう人かというと、もともとは軍人ではないですね。党の組織指導部というところの官僚だった人で、この党官僚である黄炳瑞さんが軍を主導していくと、中心人物になるということは、このこと自体が、軍よりも党が上にあるという象徴をしているということですね。もう1人いる金永南さん。北朝鮮の憲法では、対外的には国家元首のような役割ですし、国会にあたるところのトップの方ですから、対外的な元首の役割。そういう割り振りだと思いますね」
反町キャスター
「飯島さん、この間、訪朝された時に金永南さんに会ったのですか?」
飯島氏
「そうです」
反町キャスター
「どんな印象の方ですか?」
飯島氏
「20回以上会ったのですが、大変温厚な方ですね。相当、金(正恩)第1書記とは信頼というか、そういうものがあるということは感じましたね」
反町キャスター
「これはすごく強烈なパーソナリティを持って何かを進めていくようなタイプではなくて、金正恩委員長の方向をきちんと支えていくみたいな影の存在みたいな、そんなイメージですか?」
飯島氏
「率直に言って、日本の場合、拉致関係でいろんな噂がある。過去においても、いろんな指示をして結果的にダメだったとか、いろんなつらい経過があった。小泉内閣、安倍内閣はまったく同じで、3項目、拉致の早期解決、早期釈放、何でやったかという事実上の調査、そして実行犯の引き渡しという状態があったのですが、ズバリそういうことを言うと、この種の問題は単なる政治、外交関係ではなくて、政治家ではなくて、トップ同士でカタをつけるより道はないですよと相当厳しく言わせてもらった、金永南国家元首に。ある人に言われたんですけれど、国の国家元首相当との会談で、飯島さんの机の前だけに灰皿があったんですねと。時間無制限でざっくばらんに意見交換をしまうしょうと言ってくれたんですね、考えられないと思うんです」

金正恩『新体制』の狙い
反町キャスター
「平井さん、この執行部の顔ぶれ。現在、飯島さんが言われたような、金永南さんの性格も見たうえで、それぞれ軍と経済担当という、このラインナップというのは、過去に比べると、いわゆるたいぶ若返りをはかられているという言い方でいいですか?」
平井氏
「とは言い難いでしょうね。ですから、今回の党大会で大規模な世代交代が起こるのではないかという見方が強かったんですけれど、私はそれにちょっと否定的だったんですが、安定性を求めて、金永南さんなんて80代後半の方ですし、朴奉珠さんも70代の後半ですね。今回の党大会というのは、党大会を開催するために、各党の地方であるとか、職能団体とか軍で末端から代議員を選んでいっているわけですね。だから、おそらく朝鮮労働党の下部の組織は随分、世代交代したと思われます。ですが、この政治局であるとか、書記局であるとか、そういう重要ポストについてはあまり劇的な世代交代はしていないのではないのかな、この常務委員会のメンバーを見ても、そんな感じを受けますね。変な話ですけれども、80歳代後半の方達ですから無理やりに引退をしてもらわなくても、自然にあと5年ぐらい経てば、リタイアしていく、世代交代をせざるを得ない状況になるわけですから、あまりそういう無理をしなかったということではないかと思われます」

金正恩演説に潜む真意は?
秋元キャスター
「先週金曜日から行われていた朝鮮労働党大会、その演説の中で、金正恩第1書記、あらため党委員長ですけれども、日本にも言及をしています。『朝鮮半島再侵略の野望を捨て、過去の罪悪を反省、謝罪し、朝鮮の統一を妨害してはならない』と。日本人拉致問題には触れませんでした。平井さん、この金正恩、当時、第1書記の発言。日本に関する発言。どんなふうに聞きましたか?」
平井氏
「この発言部分は、実は外交のセクションでこの部分、発言が出たのではないですね。韓国との統一問題の枠内で出たんですね。だから、韓国との案件をずっと喋る中で、アメリカに言及し、日本に言及する。だから、平和協定のところなんかも統一問題の段落の中で出てきた話ですね。それを考えると、残念ながら、すぐの当面の課題で対日問題を扱おうとする感じは薄いのではないか。この文章で言うと、最後の朝鮮の統一を妨害してはならない、ここに彼らの力点があって、最初に動かすのはどうも南北なのではないのかなという感じがすると受け止めました」
反町キャスター
「そうすると先ほど、平井さん、飯島さんが北朝鮮を巡る国際的な環境というのは核を持っている国、中国、ロシア、アメリカと北朝鮮の話し合いが、まずあるのではないか。特に米朝が基本だと。平井さんの、現在の話だとそれの次というのは南北だと。韓国だと。日本はそのまた次ですか。もう先の先の、その先みたいな感じで、北朝鮮から見た交渉優先順位はそのへんに日本があるという認識でよろしいですか?」
平井氏
「ストックホルム合意が成立した時というのは(優先順位が)上がったと思うんですよ。ただ、その時は習近平氏のソウル訪問があってので、それに対するカードとして日本カードを切ったようなところがあって、非常に対日問題の水準が上がったわけですね。ところが、残念ながら現在の状況の中で北朝鮮の外交の順位として、日本に対する順位が下がっているのは、これは事実だと思いますよ。ただ、平壌の発表では、李洙墉外相が、彼は党内でほとんど力がなかったんですね。それが今回、政治局員になったというニュースが入ってきたので、実は日本問題を誰が担当をするかというコントロールタワーが現在いないんですよね。それが、外相が政治局員になったということは、ひょっとしたら彼が国際担当書記になった可能性もあるので、そのへんまだちょっとよくわかりませんけれども、今度の新しい金正恩体制の中で、誰が対日問題を担当するのか。今現在の国際担当書記の姜錫柱さんという人は、この大会にも出ていませんし、現在ガンで病気だと言われているんです。ですから、早く新しい対日のラインというものが確立されれば、私は水面下を含めて、日本政府はその新しいラインと交渉は早くやるべきだと思います。日本政府も対話のラインを切らないと言っているわけですから」
飯島氏
「そうですね、平井さんが言う通り、外相が、ここ2、3年、活発にアメリカとか、モンゴルとかで、活動をしているんですね。こういう中で日朝関係も、先ほど言ったように、姜錫柱さん高齢で名称だけですね。ですから、私は外相の位置づけというのは、今回の人事の発表では相当高い位置づけの発表だったと見ています」


後編

検証 日露首脳会談 北方領土問題の解決は
秋元キャスター
「安倍首相、領土問題解決に向けて手応えを感じたようでしたが、今後の進展期待できるのでしょうか?」
袴田教授
「新しいアプローチというのがそもそも何を意味するのかというのが公式的に発表されていないもんですから、我々専門家もいろいろ考えてはいるのですが、安倍首相は4島の帰属問題を解決して平和条約を締結すると。その基本方針には変わりがないということを述べておられる。とすると、ロシア側から見まして、日本のアプローチ、これまでの発想と同じではないかという形で見られる可能性がある。それをさらに乗り越えて、プーチン大統領も合意した、サインを示したということであれば、何か新しいものがあるのかということで、結局ロシアが1番求めている、1つは経済協定ですね。それから、もう1つはグローバルな問題ですが、現在ロシアは孤立しています。そこからの脱却というのが重要な課題になっていますけれど、だから、ロシア側は2+2という、前回安倍さんが公式訪問した2013年の4月に成立した外交安全保障の閣僚会議。それを復活させましょうということをロシア側が提案していると。つまり、これはその面で日本と関係を構築するということは、そういう国際的に孤立した状態ではない。それをG7の中の日本と構築するという、それをロシア側が求めた。だから、それに日本がどういう形で対応するか、ある程度それを向こうの要望に応じるということなのかなと、私はちょっと考えている」

どう変わる?今後の日露関係
反町キャスター
「安倍首相は会談後に、北方領土問題は2人で解決していこう話したという、これには響かない方がいいのですか?」
袴田教授
「この領土問題が解決するためには、3つの条件が必要だと。まず両国に強力な安定した政権が存在しているということと、そして、両国首脳の間で信頼関係が存在しているというのが2つ目。3つ目はこの問題の解決が日本にとってだけではなくて、ロシアにとってもメリットなのだということをロシア側がきちんと理解するという、この3つが条件だということを私は以前述べていましたが、3つ目の条件は、安倍首相の立場としては、不合理に獲られたのだから、ロシアのメリット云々を言う立場にはないわけで、従って、2つ述べられています。つまり、強力な安定した政権が必要だと。両国首脳の信頼関係、この問題は結局、政治的決着しかないというそのことの表現ですから、安倍さんのおっしゃっていることは正しい。けれども、1つ、私は問題を感じるのは、実際にプーチン大統領は、領土問題で譲歩できるほど強いのかという」
飯島氏
「確かに教授の言うように大丈夫かというのはありますが、99%北方領土の返還まではもっていけると私は見ています。そこまで進めると。最大の問題はいろんな学者がいろんな話をしている以上に困難な場面が最後に1つあるはずだということです。議論をこれまでしていない。どういうことか、1855年2月7日に当時のロシアと日本がウルップ島と国交線を引いて、現在の北方4島は日本の領土だと調印しました。それで1945年にヤルタ会談のあとに当時のソビエト軍が占拠して約72年きていると。こういう状態の中で返還運動というのが起きているのですが、問題はロシア議会も含め、アメリカの問題になってくる。たとえば、皆、2島もへったくれもないです。4島日本に返した場合、アリューシャン列島からのいわゆる国防関係を見た場合、北方領土に自衛隊の基地ができる。できるのは当たり前です、自国の領土に。ところが、そこは72年、現在のロシア政府の軍が存在した基地です。それが日本の完全に戻ると言っても、ロシア軍が撤退して自衛隊だけになって米軍と共用になった場合、私はプーチンさんだったらとんでもないとなりますよ。南の沖縄は自衛隊と米軍の共用、北はロシア軍と、そんなことは可能かどうかと考えると寝ちゃいられないですよ。だから、私は当面、安倍首相の100点満点は、土地の権利書がなくて返せ云々ではない。これだけは100%承認してくれると思うんですよ。ただし、新たなるアプローチというのは、経済、文化、スポーツ、諸々を含めたものであると。ということは、今回ソチの会談は2度目です。ウラジオストックで東方経済フォーラムというのも1回やっているんです。今度の9月2日、3日。東方経済フォーラムで、プーチンさんも出るし、安倍さんも出て議論しようと。9月の4日、5日。引き続き中国でG20、11月の19日、20日。ペルーのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)。ここまで順調に、既に第1安倍内閣で3回、今回含めてプーチンさんが10回ですが、この先の積み上げで結果的にはプーチンさんの来日は、ペルーのあとになるという、年末。そういうストーリーになっていくと私は頭の体操で見ています。今回発表された8項目と同時並行だと思います。」
反町キャスター
「経済の話と領土問題は平行で進めていくと。言葉が下品ですけれども、なぜ食い逃げというのは有り得ないと言い切れるのか?」
飯島氏
「プーチンさんも相当検討して、ウラジオストックのAPECの時は、ナビウリナという優秀な女性が全部やっていた。それで今度、日本でプーチンと安倍会談でうまくいったら相当大規模な経済が進むと見るのは、ロシア銀行の東京支店をつくりたいと。80名規模で。同時に、そういう状態でナビウリナを先般2年ぐらい経ちますか、中央銀行総裁にしたんです。こういう状態の中でさらにプーチンさんは日本を含めた北東アジアの中で中国とか、そういうのを抜きにした年最低2回ぐらいのアドバイザリーボードを設置したいというのが現在出てきているんです」
袴田教授
「飯島さんがおっしゃるようになってほしいと私は思うのですが、ロシアが、経済協力、それを最重要視しているのは間違いない事実ですよ。1つはアジアでのロシアのプレゼンスが経済的にあまりにも小さい。ロシア自体の極東の経済もあまりにも弱体であると。資源依存経済から脱却するためにも日本のハイテク、それから、日本の投資が是非とも必要。今回もだから、日本の投資、それを随分強調されたようです。ただ、日本は領土問題解決と、それから経済協力を並行して発展させる、進めるという、これは日本の基本的なスタンスですが、ロシアの方のスタンスは先ほど言いましたように、プーチン大統領自身が非常に硬い姿勢を崩していませんし、それから、メドヴェージェフ首相、ラブロフ外相は非常に硬い発言を繰り返しています。メドヴェージェフ首相やラブロフ外相は堅いけれども、彼らは非常に対日強硬発言をしているけれども、プーチン大統領は別だという考えがあります。しかし、メドヴェージェフ首相は北方4島での経済開発等によるロシア化。それから、軍事強化、それを進めるメドヴェージェフ首相と、領土問題と平和条約交渉は別であると信じられないような発言をするラブロフ外相がプーチン大統領の意に反してそういうことを言っているということはあり得ない。現在のプーチン政権のもとで、プーチン大統領に反発を覚悟で、意に反して言っているということはあり得ない。ただ、明確に分業体制ですよ。それははっきりとした分業体制です」

飯島勲 内閣官房参与の提言:『互恵』
飯島氏
「プーチン大統領、安倍首相のwin‐winの関係。これで物事を全部、北方領土から含めて、真剣に進めて、解決していけると、期待し、信じたいと私は思っています」

袴田茂樹 新潟県立大学政策研究センター教授の提言:『対等の関係』
袴田教授
「私は国際的にも日本とロシアが主権国家として対等であると見られるような関係を構築してほしいと。残念ながら現在は一方的に日本のトップがロシア詣でをずっと続けてるような状況で、国際的には対等な主権関係とは見られない。しかも、ロシアは言いたい放題厳しいことを、対日批判をしながらも、日本からは笑顔でいろいろ経済協力の提言を次々していくという、これは国際的に見ると対等の関係とは見られない。そういう意味で、本心の意味での対等の関係を構築することが日本、ロシア両国にとっていいことだと思います」