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2016年5月2日(月)
憲法9条とアジア情勢 中韓論客の指摘点は?

ゲスト

平沢勝栄
自由民主党憲法改正推進本部副本部長 衆議院議員
陳昌洙
韓国・世宗研究所所長
朱建栄
東洋学園大学教授(中国現代史)

中国・韓国と日本国憲法 改憲への道と3か国関係
秋元キャスター
「昨年9月に安保関連法は成立しまして、また、今年の3月に安倍首相が憲法改正について言及しているわけですけれど、この憲法をめぐる日本での議論、動き。まず、陳さん、どう見ていますか?」
陳氏
「韓国では具体的なことはあまり知らないのだと思います。だいたい9条について関心を持っていて、安倍首相になってからは解釈をして、集団的な自衛権のことが、ある程度できるようになったと。だから、その意味で、韓国の領海に自衛隊が入るかどうかが争点になっているんです。韓国外務省の答弁でも話した通り、透明性を高めてほしいと。その意味は、日本の動きが現在の安全保障の中でも軍事力を上げるだけでは、困るのだと。北東アジアの平和のために、日本の役割が何かということを示しながら、韓国、中国と一緒に、この地域の安全を守るという意識を持たないとダメだと。だから、ただ軍事力を上げるのではダメだということが、韓国の関心のところではないかと思います」
秋元キャスター
「中国はどう見ているんでしょうか?」
朱教授
「一昨年、昨年の安保関連法案とその後の動きというのが、日本が戦後の道から踏み出して、踏み外して、次、どこに行くのかと。そこのところの懸念というのが、1番ですね。かつてのすぐ隣の朝鮮半島・中国侵略と植民地支配。それに対して多くの人は依然かつてのことについて記憶が鮮明に残っているし、実際に日本が持っている力というのが、おそらく日本自身が思う以上に、周りの国で大きく見られているんですね。日本が本当に科学技術力を軍事に使おうとすれば、日本の核処理能力を核兵器にしようとすれば、あっと言う間にできるわけで誰も止められない。そういう意味で、目の前の、1つ、1つの動きというのはいったいどこに向かうのか。これらの動きの歯止めはどこにあるのかと。それについての懸念が表れているんですね」

『9条』をどう見る?
秋元キャスター
「平沢さん、この現行9条どこが問題なのでしょうか?」
平沢議員
「これは素直に読めば、自衛隊は違憲になります。陸海空軍その他の戦力はこれを保持しないと、こうなっているわけです。ですから、自衛隊は現在、日本が合憲としているのは、これは戦力ではない、軍隊ではないということで合憲としているわけ。なぜ軍隊でないのかというと、侵略ではなく、あくまでも日本に攻めてきた時に戦う部隊だから、これは軍隊ではないのだと。要するに、ある意味では詭弁です。もともと現在の日本国憲法というのは自衛隊が跡形もない時にできた憲法です。昭和22年にこの憲法は公布されました。朝鮮戦争が始まって、警察予備隊ができたのが昭和25年です。まだ跡形もない時に現在の日本国憲法というのが公布されまして、もともと憲法をつくった人の考え方は、日本を2度と立ち直らせないように軍隊を一切持たせないと。自衛のものも含めて持たせないと。しかし、そのうち自衛隊が出来て、それで自衛ができないのがおかしいだろうということで、そこで前項の目的を達するためにというのが、芦田修正と言われているわけですけれども、前項の目的を達するために、国際紛争を解決する手段としては軍を放棄すると。しかし、自衛のためには持つと。我々としては、当然のことながら自衛隊は持つと。ですから、合憲だと。それを憲法学者の多くは現在なお憲法9条に自衛隊は違反していると、違憲だと、こう言っているわけです。ですから、昨年の平和安全法制について、憲法学者の方々の多くが、これは違憲と言ったのは当たり前です。自衛隊も違憲と言っているわけですから。もっと言えば、安保条約も違憲、PKO(平和維持活動)も違憲だと。だから、私はもし憲法学者の多数の意見に従って戦後の日本の行政政治が行われていたら日本は大変なことになっていたと。現在だって自衛隊はないということになっちゃうわけで。私達はいくらなんでも外国に行ってアレ(武力の行使)をすることは放棄しましたけれど、自衛の戦いまで放棄するということは、これは独立国としてあり得ないこと。世界中どこの国だって、それは自衛のために戦うということはあり得るわけで。ですから、それは無理な解釈をしてやったのですけれども、今度、私達はもちろん、(自民党)改正草案で、改正憲法草案というのはファイナルでも何でもないですから。これから、いくらでも改正することはあり得ますけれども、私達はその中ではっきりと自衛権はありますよということを謳って、そして陸海空の防衛軍というのを、国防軍ですか、私達は持ちますよと。国防軍というのはこういったことができるんですということを今度、私達の改正草案の中ではっきりと書いたわけで、現在、何か宙ぶらりんみたいなところにある、違憲だと言っている自衛隊についてはっきりした憲法上のステータスを与えて、何ができるかということをはっきり書いて、それに基づいた法律をやった方がはるかに私は周りの国も安心だと思います。現在みたいに、何もないから」
朱教授
「私は、戦後の日本がこの平和憲法から出発して、その後、現実に合わせて自衛隊ということを創設して。これはかつての戦争への反省に立ったうえで、平和を守る決意を示して、同時に現実的には自衛隊が必要というところが、戦後の日本は、長年の努力と叡智の表れだと思うんです。そのようなものを結局、現在、改憲反対論者の大半、今日NHKも憲法についての国民の意識調査をやっていましたけれども、結局、反対論者の7割が最後にこの第9条のことに帰結するわけです。そこで日本がこれを外すとどこに向かうのか。ここに正義と秩序を基調とする世界平和を誠実に希求すると。かつての侵略戦争に対する反省で、2度と同じ間違いを繰り返さないと。そのうえに立ってできたもの。一方、現実に対して、アメリカが実用主義者で朝鮮戦争になると日本にすぐ軍隊を持てと。吉田茂政権がその時にそれは持たないのだと。この憲法の下で日本は平和の道で行くんだと。そのようなところで、戦後の日本の知恵。そのうえで日本の国際的な信用が与えられ、周辺諸国は現在、まさに日本の改憲の動きに対して、懸念を持っているのは、改憲して安心ではなく、改憲して、第9条をいろいろといじくることに対し、日本がどこに行くのかというものの不安が1番表れていると思うんです」
陳氏
「韓国の国民がいつも憂慮しているところは戦後の日本の道が本当にかつての戦争について反省しているかということについて、まだ疑問を持っているわけです。反省していないと。韓国の国民は70%が日本は反省をしていないのだと思っているわけなんです。もちろん、日本から見るとちょっと認識が違うからかもしれませんけれども、でも、韓国の国民はそういうふうに見ている。そのことが9条に反映されているわけです。だから、戦後、日本の歩んできた道をもうちょっと平和国家として歩んでほしいという気持ちもあるし、そのことが北東アジアの中で、日本の役割としていいのではないかということもあるのだと思います」

中華人民共和国憲法 『人権』『自由』はあるか?
秋元キャスター
「ここからは国のあり方、目指す姿を記した中国の憲法について聞いていきたいと思うですけれども、1982年に制定されました中国の憲法、前文の骨子は、このようになっています。堅持すべき五原則として主権と領土保全の相互尊重、相互不可侵、相互の内政不干渉、平等互恵、平和共存。また、帝国主義、覇権主義、植民地主義に反対。さらに、抑圧された民族、発展途上国の独立を支持。こういった内容が含まれるのですが」
反町キャスター
「その前文の骨子、堅持すべき五原則。主権と領土保全、相互不可侵、相互の内政不干渉、平等互恵、平和共存。まずここの部分から聞いていきたいのですが、憲法が、その国の守るべき目標とすべきものみたいな、ぼやーっとした存在なら、そこで終わっちゃうんですけれども、中国が現在、実際に行っていることを見た時にこの五原則、しっかり守られているのかどうか。そこはどう感じますか?」
朱教授
「中国は近代以来、日本だけでなくて、列強にいろいろやられてきた。50年来、この五原則というものは平和五原則と言って1954年にインド、当時のビルマ、ミャンマーとの間に合意したものです。発展途上国、新興国の帝国主義、列強にやられるということで、それへの反対というところで打ち出したもので、現在でもこの五原則というのは常に堅持すべきだということを主張しているわけです」
反町キャスター
「その次の部分にある帝国主義、覇権主義、植民地主義に反対。これも全部含めて、非同盟諸国というか、先進国、ないしは強国からの圧力に対して、立ち向かう憲法という性格が、僕は非常に強いと思うのですけれども、それは間違っていないですよね?」
朱教授
「当時は先進国とか、後進国、経済のことだけでなく、帝国主義、そして各国の主権を守る民族主義というのがいいと。新興国は、基本的に民族主義を主張しているということです。帝国主義に対して、帝国主義に抑圧された国でかつて植民地だったところから、独立と。そのような主張というのが当時の中国の国是として、今日に至って堅持しているわけです。おっしゃるように途上国、後進国、新興国の立場、意識を持って、このような主張になったと思います」
反町キャスター
「それはどうですか?35年が経ちました。現在の中国は、世界第2位のGDP(国内総生産)大国であり、そのうえで、12億人、13億人の人口を持ち、様々な国と、日本と、フィリピン、ベトナムとか、その他、諸々の国と国境問題を抱えています。その大国になった中国が未だに、いわゆる途上国の気持ちで憲法を抱えていること。おかしくないですか?」
朱教授
「正直言って、おっしゃるような疑問というのは、中国国内も提起されています。国際社会でもここまで大きくなった中国、いろんな動きというのが、いやこの動きが帝国主義的な行動ではないかという批判も逆にされる立場になりますし。内政相互不干渉というのはこれまで中国が常に貫いてきたのですけれども、たとえば、アフリカやいろんな国の中で、多くの問題、南スーダンを含め、そういう問題が起きて内政不干渉で、そのまま現地で政権の虐殺を容認していいのかというようなことで、中国は国連のPKOに参加し、あるいはマリでこの間、起きたことでも、中国は国連の一員として軍隊を派遣したりして。結局、現在の世界で、ただ途上国として大国から干渉されるなという時代ではない。その修正もあり得るところは、議論は出ています」
反町キャスター
「陳さん、中国の憲法の、前文の雰囲気を見て、これはちょっと現在の中国の体つきというか、見た目と全然あっていないと思うんですけれども、どんなふうに感じますか?」
陳氏
「体が大きくなっても、メンタルはついてくるのが遅いですから。その意味で、まだ中国が途上国の考え方で、現在、世界を見ているのだと。本当は、世界は現在変わってきて、今まで植民地時代で、戦って、それで自分の領土を守るためにいろいろな形で軍隊を持ったりとかすることは、現在は違う次元で国際社会が動いているわけです。そのことをもうちょっと気がついてやってほしいという気持ちはあるのだと思います」
反町キャスター
「朱さん、気がついていないのか、気がついているのだけれども、そのスタンスを変えて、大国としての憲法に書き換えることが自分に重荷だからやらないのか、わざわざ見えないふりをしているのか。これはどちらですか?えらい違いだと思うんですけれども」
朱教授
「えらい違いだけれども、私はその中間だと思うんです。結局、これまで引き摺ってきたもの、中国国内で。それはGDP、総額で見れば世界2位ですけれど、1人当たりで見れば、世界、まだ100位前後だと。そのようなところで結局まだ途上国。そうすると、たとえば、日本から何か言われる。研究者から客観的に見れば、日本の現在の多くの中国への注文、あるいは批判というのは、問題もあるんですけれども、少なくとも中国に言われるように、ただ、日本が中国をバカにしているものではないということ。ただ、中国の中では残念ながらそう思われているんです。だから、そこには途上国としての、かつてのコンプレックスが…」
反町キャスター
「どこかに出て行く時、我々は世界第2位のGDP大国だからと言いながら、何かこういったことになると、世界100位だからと。これはおかしいではないですか?」
朱教授
「まさに、現在の中国はこの頭で、混乱というか、動揺をしているんです。一方、現在の指導部、習近平さんが、国民に対して大国らしく振る舞えと。海外観光客で出ていくのはいいけれど、あんなマナーが悪い、行動が中国らしくない、そのような行動をする時はブラックリストに入れて公表をするというようなところで、少しずつ変えていくというところのプロセス。しかし、残念ながら結果として現在の中国は本当のこの世界の、冷戦後の世界の多くの秩序、流れということをよく理解したうえで、行動でするというところの心構えと意識が残念ながら、変えてはいるところですけれど、まだ成り立っていない。ですから、それはただ都合がよく解釈しているけど、このような揺れが続いているわけです」
反町キャスター
「平沢さん、どう感じますか?こういう憲法を抱えながら、体は世界第2位」
平沢議員
「中国は、共産党の一党独裁ですから。憲法がそもそもどれだけ意味があるのか。ここに書いてある領土保全の相互尊重と。本当に守られているのか。覇権主義だって、現在、中国自体が覇権主義ではないかという感じがしますので、中国は本当に守れているのかなと。5、6年前ですか、慶応大学の小林節先生と、長春で当時の日中韓、東アジアのビジネス関係の問題をいろいろ議論するシンポジウムに出てことがあるんですよ。そこで私が言ったのは、日本の企業が中国でいろいろビジネスをする時に1番困るのはルールが途中で変えられちゃうと、それはなぜかと言うと、党が変えてしまうんです。ですから、法より上に党がある。憲法より上に党がある。これでは、とても中国ではビジネスが安心してできない。これではダメだから、要するに、法治国家にしっかりなってほしいということを私は言ったんです。そうしたら小林さんもそのあと同じようなことを言ったんです、スピーチの中で。そうしたら、何があったかと言うと、午後はシンポジウムに出なくていいからちょっと見学に行ってくれと言われた。それで車をあてがわれて見学に行ったんです。どこに行ったのかというと、いかに戦争中に日本が、いわば残虐なことしたかという、反日博物館みたいなのがあるんです。ですから、党が上にあるのだと。本当のことを言ったら、こうなっちゃうのだから。ですから、私は憲法を書くのは、これはこれでいいですが、それならば憲法はしっかり守ってほしいと。中国はこの憲法通りにいけば、フィリピンやベトナムとこんなにゴタゴタすることはないです。ですから、私は、まずはしっかりとそこを守ってほしいと思います」
朱教授
「現在の話は、私は多くの概念を、大きい概念と小さい概念、いろいろすり替えていると思うんですね。法律、特に経済については、中国はWTO(世界貿易機関)加盟以後、WTOのルールに則って提訴をしたり、中国が負け、敗訴の場合には守ると。そういうようなところで、中国国内でいろいろ問題があるんですけれども、全般的にここまで世界で投資が中国に行って、実際、中国で儲かっている。中国経済もここまで発展をしている。もし完全に国際ルールや法がないままだったなら、今日のような発展がありますか。ですから、一部のものを持ってきて『中国は全てまだこうだ』というような話は30年前、15年前にはしてもいいですけれども、現在、もうちょっと現実、いろいろ変わっているというところを見たうえで言うべきだと思います」
反町キャスター
「朱さん、もう1つ、中国の憲法を我々見ている中で気になったのは、この33条と35条。33条の2項、中華人民共和国公民は、法律の前に一律に平等である。国家は人権を尊重し、保障する。35条、中華人民共和国公民は言論、出版、集会、結社、行進及び示威、これはデモのことですよね、デモの自由を有する。この33条2項、35条。要するに、基本的人権です。保障すると憲法で謳ってあるんですけれども、中国における人権状況、アメリカの民主党の人権主義者の人達も含めて言っていることとこの憲法に謳ってあること。中国の国内における状況。明らかにギャップがあると思うんですけれども、どうなっていますか?」
朱教授
「残念ながら、おっしゃる通りだと思います。先進国が長年の努力のうえで本当の法治国家、人権保障のところまで実現したと。もちろん、それぞれの国の事情があって、全て完璧ではないですけれども。中国は残念ながらまだおそらく60点が合格点というところであれば、まだ55点~60点の範囲だと思うんです。ただ、それをどう見るか。それが先進国に達したレベルで見ると、おまえはなんだと、不合格と言われればその通りです。中国はまさにその段階にきています。しかし、私は同時に現在の中国、ある現象を紹介したいんですけれども、中国人が現在、北朝鮮に皆、旅行に行くんです。旅行をしていて、皆、笑うんです。これは30年、50年前の中国とまったく同じだと。現在、中国も北朝鮮もあのように平気にいろいろ笑えるようになって、私は30年前に日本に来たのですけれど、当時、日本人が中国に観光で案内されたのは基本的に外部に見せるためにつくられたところ。一般の中国人の、外国人の自由な旅行、移動ができない。そういう意味で言えば、中国はかつて15点~20点から、この30年の間に55点~60点まで来たと。しかし、残念ながらまだ不十分で、特に経済発展に伴って、多くの国民が権利意識を持つようになった。前よりもっと主張するようになった。中国の弁護士が、中国が別に日本の憲法、アメリカの憲法を持ってきてやる必要はなくて、中国の憲法だけでこれを保障しますから、中国はいろんなところで違反をしているのではないかと、その戦いが現在、進行中なんですね」
反町キャスター
「平沢さんが中国における法の支配を求めたという話がありましたが、非常に大雑把な分け方になるんですけれども、法の支配というものがあり、ないしは法による支配、人が本当は支配をしているのだけれども、法律をツールとして道具として支配をしているという話があった。ないしは人の支配。人が全部決めるんだよと。敢えて言えば、党の支配とか、いろいろな支配の形があると思うんですけれども、中国は現在、何の支配なのですか?」
朱教授
「現在の習近平政権、共産党政権そのものは、外部でも指摘されるように党による法的支配というところが、党がこれを使って社会の秩序を維持するという、私はある意味、ある段階で半分は合理性があると思うんです。その発展の段階で、先進国、どこで見ていても、韓国、台湾で見ていても最初から民主化があってからの法治ではないです。法治しながら、しかし、法治という枠組みができて、国民が法を守るという意識を持つと、最終的に独裁などができなくなる。最後には、民主化の1つの土台になる。中国はそういう中で、現時点では当局は党による支配と。しかし、多くの法律関係者、弁護士というのは法をもって中国を変えていくと。そのプロセスはおそらくこれからまだ5年、10年続くと思います」
反町キャスター
「陳さん、現在の朱さんの話で言うと、韓国も昔、同じだったのだと。こういう話でした。それは一緒にされていいですかという話ですが」
陳氏
「韓国は民主化の課程の中で、法を変えるということになっているわけですから。現在はまだそこまではいっていないのだと、中国は。それと、確かに朱さんが言っているように法の統治というのは中国に定着しているんです。そのことがG2、巨大国になる基盤になっていることは間違いないのだと思いますね」

大韓民国憲法 『反日』が出発点?
秋元キャスター
「大韓民国の憲法ですが、前文は、悠久なる歴史と伝統に輝く 我が大韓国民は、三・一運動によって建立された大韓民国臨時政府の法的伝統と、不正に抵抗して立ち上がった四・一九民主理念を継承し、祖国の民主改革と平和的統一の使命に立脚して、正義、人道および同胞愛をもって民族の団結を強固にし…とあります。三・一運動が前文に書かれているこの意味は?」
陳氏
「韓国は5000年の歴史を持っているわけなんですね。その中で植民地時代になった時も、韓国の民族は闘って結局、独立したということで、ある程度韓国のアイデンティティというのは長い歴史の中でも民族をそのまま維持し、そこで民主化を成し遂げたということで、全文に書いているのだと思いますね」
反町キャスター
「つまり、現在の韓国というのは1919年の反日運動というか、独立運動というものが国の全ての基本である、そういう意味になるのですか?」
陳氏
「だから、これまで5000年のうちに国を失った時期というのはその1回だけですね。その中でもいろんな抵抗して、現在の韓国のことをなる基盤をつくったと。その意味でアイデンティティがそこにあるのだということを書いているんですね」
反町キャスター
「大韓民国臨時政府は、これは上海でしたか?」
陳氏
「国内で反日運動して、上海まで行って、そこでも反日運動して、結局韓国は独立されたということを主張しているわけですね」

大韓民国憲法 『改正9回』の意図
反町キャスター
「韓国における憲法改正は9回行われているのですが、韓国による憲法改正というのはどういう状況において行われてきたのか?」
陳氏
「韓国の憲法改正というのは、権力をどうするかということで、変えたんですね。その意味で独裁の政権が、自分の権力を維持するために改憲をしたんですね。」
反町キャスター
「最初の大統領の任期は2回まで。ところが、李承晩大統領は改憲して、初代大統領は3回までと、抜け道をつくった」
陳氏
「それで第2次(改正)までやったんです。3次は民主化運動が起こって、1960年4月19日に学生運動が起こって、それで第3次の改憲をしたんですね。そのときに基本権を増やしたんですね。そのことで、張勉政権は1年間保たれたのですが、そのあとに朴政権になってクーデターを起こして、それで第5次、第6次、第7次まで、大統領は3回、4回やるような、終身的になるようにしたわけですね。そのあとに、全斗煥政権がクーデターを起こして、第8次になったんですね。その時に、これまで大統領選は国民が直接選挙したのを間接に変えたんですね。それが第8次だったんです。9次になると民主化運動が成って、重要なことは大統領の任期は5年間だということを決めたんですね。だから、これを見ると権力の構造をどう変えるかによって、第9次まできたわけです」
反町キャスター
「権力者が思いのままに変えていたのが、ようやく収まった?」
陳氏
「そうです」
反町キャスター
「この経緯から、韓国の人達が日本の憲法改正に対して、これは危ないというのは理解できるわけですよ。それは韓国の歴史が時の軍事政権が自分の政権のための憲法改正の歴史だったから。ただ、その物差しで日本の憲法改正を見られると、これは僕らにとって迷惑ですよ。そこはどうですか?」
陳氏
「だから、日本と韓国は憲法改正の内容が違うんですね。日本の方は国の外交戦略、国の生き方をどうするかということで、憲法改正ですね。韓国はこれまでは見た通り権力をどう維持するかということでの憲法改正だったんです。だから、自分の国の生き方というのは日本人が決めるべきです。それは日本が憲法改正して、自分の生き方を決めるべきですね。それに韓国は反対することではないです。現在の環境が変わったことについても認めているし、憲法改正について日本側が役割をこういうふうにするのだと、外交戦略をこういうふうにするのだということがはっきりすれば、それは日本の国民の選択ですから。だから、日本の国民が選択することについて韓国がどう受け止めるか、それをどう考えるかは次の話ですね」
平沢議員
「現在の韓国の話で、韓国の憲法は日本と同じように非常に改憲が厳しいと言われている。ただ、違うのは、韓国は一院制です。ですから、一院制で3分の2の議会での賛成と、あと国民投票にかけて過半数と。投票の過半数です。日本に似ていますけども、一院制か二院制は違うので。なぜ一院制で、日本よりは容易な中で、改正してこなかったのかがよくわからないですね、1987年以降」
陳氏
「一院制にはなっても、与党が過半数を獲ることが難しいですよ」

中国・韓国と憲法 『自民党草案』どう見る?
秋元キャスター
「自民党の改正案をどのように見ていますか?」
朱教授
「9条というのはなぜここまで議論の的にもなり、世界各国からも注目されているか、1つは、それ自体が戦後日本の長年の平和社会の1つの保障であり、象徴であったわけですね。それを変えるということで、日本はどこに行くのかというのが、まず1つですね。2番目には、戦後の日本人の知恵で、この理想は、かつて示した大きな理念と現実に合わせて解釈の中で自衛権は行使できるというところで両立してきたんですね。そういうようなところを、1つは理念、理想と、一方で、現実というところを合わせてきたというところで、今度それを外して自衛権、国防軍を保持してどこが悪いのか、中国も韓国も持っているではないかというような話になってしまうと、私はすぐこの間の、G7外相の広島訪問のことを思い出すんですけれど、本当は原爆のことは、アメリカなどから見れば当時の戦争の一環として、日本がやったから我々は原爆を投下したと。しかし、日本は平和憲法があって、戦後の日本がこれを越えて、核兵器そのものを2度と使わせないのだと。そのような理念に昇華して、そこで世界にPRして、かつ戦勝国でも落とした国でも否定できなくなった。というところが、まさに憲法の結果であるんです。そういうことを全部外して単純にただ日本の国防、要するに、普通国家になって、そうしたら核兵器のどこが悪いか。アメリカ自身が現在、核先制不使用というのを絶対約束しないと。どこが悪いのかと。戦争を通常国家としてはやっていいのではないかと。そういう意味で、私は変えること自体が結果的に1つが周辺の諸国の国民含めて、日本への真義を…。正直言ってもう1つ、国際政治で見れば、日本がこれを、特に自民党でこれを政権がやると結果的に韓国と中国の日本との距離が開いてしまう」
陳氏
「憲法草案については、よその者がこれを反対だ、賛成だということを話しませんけれども、私が言いたいことは、日本の中でコンセンサスを持つことが重要だと思います。それができないで外国を説得することはできないと思いますね。だから、その意味で、現在の世論の動向というのは国内でもいろんな意味で、不信感を持っているのだと。国内で不信感を持っていることを外国人がわかるはずがないわけです。だから、それをまずやって、そのあとにこの議論になってほしいと」
平沢議員
「陳さんが言われたように、コンセンサスを得ることを我々していかなければいけないですけど、ただ、1つだけ言わせていただきますと、昨年、平和安全法制については中国、韓国からいろいろとご意見いただきました。しかしながら、世界のほとんどの国は、これをウェルカム、歓迎しているんです。ですから、これについて、注文をつけたり、やや苦情めいたことを言ってきたのは中国と韓国だけです。ですから、私達は中国、韓国を説得しなければいけないけれど、東南アジアの国々も皆歓迎です。たとえば、PKO法をつくって、PKOを海外に派遣したら、あの時、憲法学者が何と言ったかというと、戦争の記憶のある東南アジアの国々は猛反対すると言ったんですね。ところが、実際には猛反対するどころか東南アジアの国々もPKOで自衛隊を出して、皆、歓迎しているんです。ですから、昨年の平和安全法制も歓迎しているわけですから、我々はもっともっと中国、韓国にわかってもらう努力をしなければいけないと思います」

朱建栄 東洋学園大学教授の提言:『戦後の叡知 大事にしよう』
朱教授
「戦後の日本国民が積み重ねてきた叡知ということを大事にしようというところで、憲法の個々の部分を変えていくというところはある意味で当然ですし、そういうのをどのように理想とこれまでの蓄積と現実とでうまく両立できるようにするかというところですね。そういう意味で、私は平沢さんに1つ聞きたいんですけれども、現行憲法の中で、全文の第2部分の第2段落で日本国民は恒久の平和を念願する等々ですね、平和を愛する諸国民の公正と真義に信頼して我々は安全と保障を保持すると。それについては、もちろん、日本の周辺にもいろいろかつては脅威やいろいろなことがあった。現在もいろいろ脅威はある。しかし、それを国連の総意、国連の憲章に従って行動すると、それもまた日本の1つの戦後、特にここ20年、30年の努力の結果だと思うんですけれど、それを完全になくして日本の理念、世界に向けたメッセージは、ただの普通の国家、国防力を持っていいよ、ということ以外のもので、どこでPRするのか?」
平沢議員
「中国の憲法に是非それを取り入れてもらいたい。諸国民の公正と真義に信頼して、我が国の安全を守ることができるのですか、本当に。北朝鮮からどうやって守るのですか」
朱教授
「ですから、まさにそれが国連というところで、もう既に解釈しているでしょう」
平沢議員
「国連でできますか?できないでしょう。ですから、それは、私達としてそれは大変に良い理想ではありますけれども、現実はそんなに甘くないですよということです」

陳昌洙 世宗研究所所長の提言:『平和・実像』
陳氏
「現在の日中韓を見ると、それぞれの国は、平和を保つために憲法改正をしたり、それで自分の国の主張をしているところだと思います。もちろん、平和のために何をするかと言うならば、実像、その国々が置かれている状況を理解して、お互いに協力することを考えるべきだと思っているんです」

平沢勝栄 自由民主党憲法改正推進本部副本部長の提言:『未来志向』
平沢議員
「未来志向ということで、先ほどの韓国の憲法に3.1運動が出てきましたけど、確かに日本はいろいろと近隣諸国に迷惑かけたのは事実ですが、私達は何度もこれまでに謝ったわけです。これをいつまでも引きずっていたなら、未来の良好な関係ってなかなかつくれないと思うんです。ですから、私はもちろん、韓国のことについて私達は忘れないと。しかし、そこはどこかで区切りをつけて、未来志向で、私は両国の関係、日本と中国、日本と韓国、この3か国が仲良くなって、もっと協力しあえば大変地域が発展するのですから。これを私は現在、非常にこうやってお互いにぎくしゃくしているというのは残念だと思いますので、是非あまり過去のことに囚われないで未来志向でいきたいと思います」