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2016年4月18日(月)
熊本地震対策と救援 ▽ G20金融当局思惑とは

ゲスト

平田直
東京大学地震研究所教授(前半)
山村武彦
防災システム研究所長(前半)
菅原一秀
自由民主党金融調査会副会長 衆議院議員(後半)
藤和彦
経済産業研究所上席研究員(後半)
西濱徹
第一生命経済研究所主席エコノミスト(後半)


前編

緊急検証 熊本地震 最新・被害状況
秋元キャスター
「14日から続く、熊本県などで発生した地震ですが、これまでの状況をあらためて確認していきたいと思います。14日の夜9時26分に発生しました、最大震度7を観測した熊本地震ですけれども、その後、震度5弱以上の地震が多く発生していまして、発生回数は、このようになっています。震度7が1回、震度6強が3回、震度6弱が3回、震度5強が1回、震度5弱が6回と、全部で震度5弱以上が合計14回起きていまして、当初、14日に起きた地震が本震と思われていたのですが、気象庁は16日の午前1時25分に起きた地震の規模が14日の地震よりも大きいことから、16日のものが本震で、14日以降の地震は前震と考えられるという見方を示しています。一連の地震による被害状況ですけれども、これまでに42人の方が亡くなっています。崖崩れや建物の倒壊などによる行方不明方が9人。一方、熊本県内で避難している方がおよそ10万人ということです」
反町キャスター
「平田さん、今回の地震ですけれど、予兆と言おうか、予見と言おうか、今回の熊本の地震に対しては皆さん、持っていたのですか?」
平田教授
「予兆というのは1週間前とか、1か月前に、そういうことがあったかというと、残念ながら、そういう予兆はありませんでした。ただし、この地域で大きな地震が来ないとは地震の研究者は思っていませんでした。つまり、もっと言うなら、来るだろうとは思っていました」
反町キャスター
「それにしても今回のその規模というのは、このぐらいのものはあるだろうという感じなのですか?」
平田教授
「そうですね。非常に長い、たとえば、1万年とか、1000年…。1万年ぐらいを考えると、これまで九州地方は繰り返し大きな地震があって、その証拠が活断層という地形に残っているのですけれども、そういう調査をすると、過去にマグニチュード7を超えるような大きな地震があったということはよくわかっています」

今回の地震の特徴は?
反町キャスター
「言葉のことをいろいろ聞くのは、あまり適切ではないかもしれないと思いながら、ちょっと気になっているので聞きたいのですが、本震とか、前震という言葉がありました。当初14日に地震があったあと、それが本震と発表されて、そのあと16日の夜中の1時半にドンと次のが来た時点で今度、これが本震になって、14日のやつが前震、前の地震と変わりました。本震とか、前震とかという、まずその名前の根拠、それとそれにこだわる意味があるかどうか。そこは我々、どう考えたらよろしいのですか?」
平田教授
「気象庁が夜中に、1時半ぐらいに起きて、それが明け方3時か4時ぐらいに、この地震はあとから起きた7.3の地震が本震であると言って、最初に起きたマグニチュード6.5の地震は、これは前震でしたと言ったんですね。その時、どういう説明をしたかというと、最初に、14日の夜中というか、9時半ぐらいですか、起きた地震のそのあとに起きている比較的小さな地震ですね。それでも結構、揺れましたけれども、その地震の活動している領域の中で、大きな地震が起きたので、これは一連の活動の中でこれまで考えていた、これまで記録されていた、観測されていたものよりも大きな地震が起きたから、これを大きな地震のことを本震と言おうという説明だったんですね。そもそも前震とか、本震とか、余震とかというのは、地震学では非常に古い概念で、地震というのはそもそも、群れを成すと言いますけれども、1つの地震が起きると続けて起きたりするんですね。それを地震活動と言いますが、地震活動が全部終わった時に、この地震活動の中で1番大きい地震を本震と言い、その本震よりも前の地震を前震と言い、本震よりもあとの地震を余震と言うというのが、これが学問的な本震、余震、前震の定義です。ですから、本当は一連の地震活動が全部終わって初めてどれが本震かというのがわかるわけですけれども、気象庁は時々刻々と防災的な観点から判断をしなければいけませんので、それで最初に本震としていたものよりも大きなものが起きてしまったので、これは呼び方を変えようと、英断だと思いますけれども。気象庁、お役所が自分の言ったことを変えるのは大変なことですけれども、それは防災的な観点からは、最初に言ったものよりも大きなものが起きたという、これは1番重要なことは、この時、気象庁のマグニチュードは最初7.1と速報値で言っていたのを7.3というのに変えまして、この時、私が聞いた時、これは大変なことが起きたと思いました。それはどうしてかと言うと21年前に阪神・淡路大震災を起こした兵庫県南部地震というのはマグニチュード7.3の地震です。これは夜中でしたから被害の状況はまだわかりませんでしたけど、地震の規模7.3の地震が内陸の浅いところで起きれば、これは甚大な被害が出るということはその時、思ったことですので」
反町キャスター
「14日のやつはマグニチュード6.5だったですよね。その前震、つまり、その前触れと言いますか、その言葉が正しいかどうかはわかりません。その前震と言うにしてはマグニチュード6.5というのはすごく大きいのではないか。そこは、もしかしたら、気象庁が早く行政的な手続きもあるでしょうから、激甚指定を取るために早く本震を発表しなくてはいけない。そういう、いろいろ行政の手続きは別にしても6.5のマグニチュードで、これで普通、次、これより大きいのは来ないだろうなと思ってしまって…。山村さんも、僕らもまさかこのあとこれより大きなものが来るだろうとは思わない。これは素人判断として、そう思うのは間違いなのですか?」
平田教授
「いや、素人というか、気象庁の、プロも、あるいは地震学者も、私も含めて、6.5の地震が起きたあとに強い余震、強く揺れを感じる地震がたくさん起きていましたけど、その数はだんだんに減っていました。これが6.5の、14日の9時半に来たものが本震で、そのあとに余震があって、余震は強い揺れになるかもしれませんけれども、だんだんに減っていくと、その時には思ったんですね」
反町キャスター
「6.5のやつと7.3のやつというのは、これは前震と本震という関係なのですか。それともまったく2つの本震が中1日で起きたという、こういう見方にならないものなのですか?」
平田教授
「それは定義の問題なので、前震とか、本震とか、余震というのはそんな厳密な物理とか、メカニズム、原因論で定義をしているものではなく、一連の地震活動の中で、1番大きいのを本震と言って、前に起きたのを前震と言って、あとに起きたのを余震、その程度の概念ですから。それを目くじら立てて、どれを前震と言って、2つの地震が引き続き起きたというかというのはあまり意味がないです。もちろん、研究者はどうして6.5の地震が起きて、実は3時間後ぐらいに、6.4の地震がちょうど夜中にまた起きているわけですが、それから2日後に、7.5の地震が起きたかということは非常に重要なことですので、重要なというのは、もし6.5の地震が起きて、そのあと活動を調べて、将来7.3の地震が起きるということがわかれば、防災的に非常に役に立つ情報ですけれども、残念ながら現在の地震学ではそれを言うことはできないと思います」
秋元キャスター
「地震発生から震度6弱以上の地震を並べました。14日の震度7、これ益城町だったと思うんですけれども、16日の震度6強もありました。最後がこのあと大分県を震源とする地震も発生しているんですけれど、平田さん、この震源が北東に移動しているようにも見えるのですが、これはどう見たらいいのでしょうか?」
平田教授
「大きな地震のあとに、地震の活動が広がっているというのは事実です。最初に起きたのは益城町、その熊本の中ですけれども、だんだん大分の方でも起きるようになりました。移動しているというよりは、私の目には、地震活動の領域が広がっていると…北東の方向と、一部は南の方向、南西の方向にも広がっています」
反町キャスター
「益城町で最初に起きた地震が、大きな地震の発生の震源が、だんだん、移動しているようにも見える一方、先ほど、平田さんが言われたように、ここで大分での地震があったあとにも、まだ熊本の中で大きな地震が3回起きているんですよね。と言うことは、こう移動している、つまり、熊本の皆さんからは、地震はだんだん離れていっているのではないかというような印象のような情報もありつつ、一方、こちらでもいっぱい起きているぞという。これはどう見たらよろしいのですか?」
平田教授
「熊本では引き続き、起きています。熊本では引き続き、余震が起きているし、その余震が起きる領域が北東にだんだん飛び火しているように見えます」
反町キャスター
「そうすると、地震がどんどん震源がこちらにズレていっていると見るのではなくて、全体に広がっていると見たらよろしいという話ですよね?」
平田教授
「そうですね」
反町キャスター
「そうすると、たとえば、ここから始まった地震ですけれども、こちらの方に川内原発とかありますよね。どうしても原発との位置関係を考えてしまうのですが、こちらの方に向かって広がっていく可能性もあるのですか?現在のところまだこのへんまでで止まっていますよね。こちらから南の方で大きな地震には広がっていないと思うんですけれども」
平田教授
「そうですね。現状では広がっていないですけれども、北東の方向に広がるのと、南の方向と、一部は西の方向にも余震が広がっているんですけれど、それは地震が移動していくというよりは、範囲が広がっているというふうに考えられます」
反町キャスター
「それは先ほど言われた、前震とか、本震とか、そういうのが一通り本震まで終わったあと、現在、余震の段階で広がっているという話ではないですか?」
平田教授
「そうですね」
反町キャスター
「この状況というのをどのように見たらよろしいのですか?」
平田教授
「大きな地震が起きると、引き続き、小さな地震が起きるのはなぜか。それは諸説あって、それほどクリアにはわかっていないですけれども、基本的には非常に大きな地震が起きることによって、周辺の岩石に影響がある、力が及ぼされるもので、それで、中小の地震が起きるわけです。どうやって影響が及ぶかというのに少し時間の遅れがありますので、近いところはすぐに余震がたくさん起きて、遠いところは暫くしてから起きるということがあります。ちょっと言葉の問題ですけれども、震源というのは地震の位置を表していますので最初に起きた、あるいは14日起きた6.5、それから、17日に起きた7.3の地震の起きた場所とか、破壊があった場所が、時間とともに大きくなっているわけではなく、最初に30kmぐらい、長さ30kmぐらい、深さ20km、15kmぐらいの領域が大きく破壊されて、破壊されたことによって周辺の岩石に力が加わって、それで周辺で地震が起きやすい状態になったと。そういうふうに考えていますので、決してその震源がどんどん広がったといった時には、元の大きな地震の震源が広がったわけではない」

日本の地下でいま何が?
秋元キャスター
「地震調査委員会では、今回の地震は、布田川断層帯の活動によると考えられると評価していますけれども、これはどういうことなのでしょう?」
平田教授
「地震というのは地下の岩石がズレるように破壊される現象ですけれど、力が加わった時に、比較的壊れやすいというか、もろい場所で地震が起きます。そうすると、繰り返しほぼ同じ場所で地震が起きるので、1万年とか、10万年とか、そういう非常に長い時間の範囲で言うと、同じ場所で大きな地震が繰り返し起きるので、そこに特別な地形ができるんですね」
反町キャスター
「平田さん、布田川断層というのはどれのこと?」
平田教授
「布田川断層というのは、ここにある、こういう断層が布田川断層。実は14日にマグニチュード6.5、現在で言うと前震ですけれども、それはこれと隣接する日奈久断層というのの、この1番、北の端で起きた地震ですね」
反町キャスター
「そうすると、今回いろいろ起きている、この地震というのはだいたいこのへんのエリアにあるものというのが1つ。あと大分で起きたものというのは、断層でいうとまったく別のグループにあるわけではないですか。このへんの部分…」
平田教授
「そうですね。大分の別府-万年山断層帯というのがここにあるんですけれど、別府というのは温泉もあるし、地熱地帯ですので、こういう断層があるし、地震活動ももともとあるところなので、地震の起きやすい場所で、このマグニチュード7.3の地震が起きることによって、影響を受けて、刺激をされて、地震が起きたということだと思います」
反町キャスター
「断層がつながってなくても影響をもたらす例だと思った方がよろしいのですか?」
平田教授
「はい。そうですね」
反町キャスター
「この断層は直接くっついていない断層ですが、連動したというのを考えると、このへんの他のところはどうなのか。どこも皆、連動する可能性があると、こう思ったほうがよろしいのですか?」
平田教授
「ですけど、別府の、ここの断層で起きていますけれども、それは中小の地震ですので、強い揺れはありましたけれど、この別府-万年山断層帯というもの全体が破壊されるような大きな地震が起きたわけではないです。ここではそもそも小さな地震がたくさん起きていますから、この地域で地震が起きやすい状態に一瞬なったので、中小の地震が起きたということです」
反町キャスター
「山村さん、今回の地震というのは1回ドンと来た、もう収まってきたと思って戻ったところで、次の、いわゆる本震が起きてしまったと。今回の、この件も含めると震度5以上のもの、震度6近いものが繰り返し繰り返し何度も起こることによって、非常に戻りにくいし、リスクは増すし、ここはどう見ていますか?」
山村氏
「被災者としては、避難している方々が実際には約10万人ということですけれど、実際、全壊、半壊とか、建物の損壊は約3000棟。それは一部損壊まで含めてですけれど、普通だと、3000棟かける3人としてもそれほど大きくない、1万人とか、2万人の避難者であるべきですけれども、なぜそれほど、10万人避難しているのかというと、インフラが途絶えたとかもあるんですけれども、余震の数が多いということです。だから、家にいることが怖いからという恐怖感と不安感と、戻ってまた大きいのが来るのではないかみたいな猜疑心も含めて。だから、これで終わりではないというような感覚で、終わるまでは、もう家に戻れないみたいなような人もいっぱいいらっしゃるんですね。だから、このへんのところは情報として、もう少し説明というか、平田先生にいろいろ説明していただいていますけれども、皆さんにわかりやすく、この次、この余震はどのくらいで収まるとか、そういうような情報を提供しないと不安感を抑えることができない。現場では余震が多いのと、それから、救助活動に障害があるんですけれども、物流が、中には企業によってはコンプライアンスで社員を危険なところに行かせられないから事業者が規制してしまっているんですね。縮小して、業務を停止してしまっているところもあるわけですね。それによって、さらに不安感が増し、あるいは家に帰れない人が未だに避難している。インフラや物流がもう少し早く回復すれば、その10万人は一気に減るんですね。だから、このへんのところの相乗作用、マイナスの相乗作用が現在いろんな形で表われている。それが1つには緊急地震速報の精度の問題も含めて…」

地震速報について
山村氏
「緊急地震速報が鳴った時には真上にいるから、これは技術的にはしょうがないのでしょうけれど、揺れが収まってから鳴るとか、あと0秒ですと言われても、ピリピリと鳴ると、その現場で救助活動をしている人は撤退、退避とやるわけでしょう。その度にワーッと出る。でも、その頃には揺れが収まっているんです。だから、このへんのところをこのまま続けていていいのかなと。何かちょっと違うような気もするんですけれど」
反町キャスター
「現在の緊急地震速報のリードタイム、ちょっと何とかなりませんか?これはどうなのですか?」
平田教授
「いや、それは残念ながら、原理の問題として、近い地震のリードタイムを、猶予時間を長くするということは残念ながらできません」
反町キャスター
「できない?」
平田教授
「できません。しかし、昔はそんなものはなかったわけです、地震速報。ですから、揺れを感じたら、そこから退避措置をとると言って、現在は実際に揺れる、本当に揺れてから緊急地震速報がくるということは間に合わないということですけど、ちょっと離れていて、これまで揺れていないところでは役に立つので。もちろん、誤報などがありますから、精度を良くする努力はこれからも続けなければならない。それから、緊急地震速報を受けた時にどうそれを使うかということについてはもう少し検討する必要があると思いますが、山村先生がおっしゃったように、救援活動が停止してしまうことについては十分に考える必要があると思いますけれども、うまくこれを、この情報を使っていただきたいと思います」


後編

検証 産油国協議 『増産凍結』をめぐる思惑
秋元キャスター
「昨日行われた主要産油国の会合について。原油安の要因の1つ、供給過剰の緩和に向け、イランを含むOPEC(石油輸出国機構)全ての加盟国に増産凍結が求められたのですが、合意に至りませんでした。今回の結果について」
藤氏
「結果については、何ら驚きはないということでありまして、当然この合意は達成できないだろうと思っていましたので、何ら違和感はないということだと思っています。ただ、私はその中で、この一連の過程の中で、1番気になっていましたのはサウジアラビアの顔が見えなかったということです。成功するのかどうかは別として、従来から原油価格を維持するためにサウジアラビアがOPECの雄として、いろいろと一連のリーダーシップをとってきたのですが、今回この3か月に至るプロセスの中でロシアの顔は見えたのですが…」
反町キャスター
「ロシアはどんな顔を見せたのですか?」
藤氏
「ノバテク大臣が、1月の末からサウジから減産の提案があったという話になって、2月中旬にサウジとロシアとカタールとベネズエラで会議して、3月、4月の会議をやっていくのだということで一気に盛り上がりまして…」
反町キャスター
「その時点では凍結、ないしは増産停止、減産とまでは言わないけれど、そのまとまりそうな雰囲気あったのですか?」
藤氏
「はい。ですから、原油価格が2月の中旬からすごい勢いで上がったということであります。3月になって実はイランがなかなか増産の凍結ができないということでしたものですから、3月の会議を4月にずらすということでギリギリ調整をしてきたのですが、なかなかうまくいかなかったというところだと思っています」
西濱氏
「驚きはまったくないですけれども、市場の側からすればここまで一生懸命梯子をかけていただいたのに外されちゃって、という感覚はすごく強かったのかなと思いますね」
菅原議員
「世界の成長、日本の成長のためにはこの原油価格が上がる、油価が上がるということは株価が上がるということでありますから、期待をもって見ていました。いわばサウジアラビアのムハンマンド皇太子、これが大変力を持っていまして、最後までイランを含めた合意、いわゆる増産凍結を文書までつくっていろいろ根回しをしたけれど、直前になってイランが参加をしなかった。また、ロシアの話がありましたけれども、ロシアはイランに対していわば経済制裁を解かれ、いわば増産をしてこなかった特別な国だというようなメッセージも流しつつ、合わせてサウジともやりとりをする。非常に政治的な動きをしていたわけでありまして、結果、何が起きたかというと、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)から2.75ドルの下落で済んだと。明日以降、非常にこれは注視をしなければなりませんが、緊張感を持って、しっかり見ていきたいと思います」

増産凍結『非合意』の内幕
反町キャスター
「産油国の中における主導権争いみたいな、サウジアラビアとイランの争い。サウジアラビアの威光がかつてほど光っていない、こんな見方になるのですか?」
藤氏
「極端なことを言う専門家の中ではOPECの役割が相当なくなった。OPECの役割が形骸化したということになっています」
反町キャスター
「そうすると、今回の流れてしまった主要産油国会議、こういったものはこれから先、暫くは持てないだろうと見ていますか?」
藤氏
「次回が6月2日のOPEC総会ということですが、私は正直、期待はしていません。ここまで3か月かけて雰囲気を醸成したのに、できなかったということの徒労感は、産油国の中ではあったのではないかと」

『原油価格』への影響
秋元キャスター
「合意に至らなかったことが原油価格にどう影響するのか?」
西濱氏
「若干、世界経済を見る中で、2、3か月前と現在の時点ってちょっと色合いが変わってきつつあるのかなと考えています。なぜと言うと2、3か月前、特に、年明け直後というのは、中国で株式市場がかなりズタズタになって、中国経済自体がいったいどうなるのか、ある種の過剰な不安感みたいなものがあったのですけれど、先週、中国の1-3月期のGDP(国内総生産)が発表されましたけれど、確かに減速はしていると。しかしながら、どうもいろいろな景気対策をやって、底はうっているねと。最悪期はどうも抜けたのではないのと。世界的な原油の需要が落ち込んでいくという話ではさすがにないよね、というところがある種、下の値を支える要因になっているのかなと。一方で、供給の側となると、当然ながらどんどん増産の方向にありますし、かつ世界的に原油はどちらかと言うと在庫がだぶついているというところもありますので、上値も重いと思います。そういう意味で、上値は抑えられているけれども、そのまま下値、たとえば、先ほどお話があった1バレル30ドルを切るような話になるのかというとさすがにそういうような状況ではないよねと」
藤氏
「原油の先物は、国際金融商品ですので、マクロの金融の状況が悪くなれば、私は暴落もあり得ると思っています。特に、私が現在注目していますのは、アメリカの企業の業績です。3期連続で減益が続いていまして、この主な理由が原油価格の下落、4-6月も原油価格が上がると、先週までの前提では原油価格が上がる前提でしたので、少し業績が増えるということですが、たぶん原油価格が30ドル台で低迷すれば4期連続で赤字になると、減益になると。そもそもリーマンショック以降、最悪の減益の局面になりますので、そうなってきますとマクロの状況の中でリスクオフ。最初に売られる金融商品は原油先物ですから、私はたぶん実態とは別の金融要因でまだもう一段の底があるのではないかと見ています」
菅原議員
「主要の産油国はどこを見ているかというと中国を見ていると思うんですね。昨年の1-3月と比べて横ばい、6.7という成長率。各国を見るとまだ高い方だけれども、設備投資や輸出を見ると弱含みであって、不透明感極まりない。そこを産油国が見ている故に、どれだけ生産をしようか、増やそうか、あるいは滞留しようか等々の中で現在見ているのだと思うんですね。そのような中で、アメリカの経済の話で利上げをする、しないの話の中で、雇用は月に20万人ぐらい増えている。一方で、内需については不安もある。非常にどの国も強いところもあれば、弱含みのところもあって、そうしたことが原油価格の上げ、下げにも関わってくると思っています。ただ、30ドルを下まわることはないと思いますし、これからイラン、日に400万バレル、サウジとか、アメリカは1000万バレルを超えている。その意味では、まだボリュームが小さい。それが価格を上げたり、下げたりには結びつかない。それよりも6月に向けて、現在の体制で増産の凍結をするのだという意思を持って、誰がイランの首に鈴をつけるのかということだと思います」

検証 G20財務相会議 日本経済への影響
秋元キャスター
「ワシントンで行われたG20財務相・中銀総裁会議の共同声明ですが、『債務残高を持続可能な道筋に乗せながら経済成長・雇用創出に向けた機動的な財政政策』『通貨の競争的な切り下げを回避し、緊密に協議』『国際金融システムの透明性、清廉性を守り、租税回避、テロ資金供与などの悪用を防止』などが盛り込まれています」
反町キャスター
「持続可能な道筋に乗せながらは財政の健全化ですよね。財政健全化を持続可能な道筋に乗せながら、雇用創出、経済成長、機動的な財政政策、日本で言うなら、消費税を上げながら補正を組めよと言っているようなものではないですか?」
菅原議員
「これは参加国20か国の全ての国が共有する。そういうコミュニケです。中には、1番メインは金融と財政、構造改革。この3つを個別的に、かつ総合的にやるべしと書いてある。と言うことは、財政の再建は、GDPの2倍の債務残高があって、たとえば、デフレがまた進めば、ですよ、1%で10兆というそういう国民負担になってしまうと。それを避けなければいけない。また、高齢者はそれによってある意味では、プラスの部分もある。しかし、次の世代にそのツケをまわさなければいけない。この財政を強化しながら、また、消費増税によって消費が落ち込んでいる部分もなくはない。そこを財政出動ということで、やっていくのかどうかは今後の判断だと思いますし、非常に包括的なコミュニケだと思って見ていました」
藤氏
「私も役人の端くれですから…。非常に苦労をして、頭のいい役人の人達がつくり上げたのでしょう」
反町キャスター
「これはいい文章だと思ってもいいのですか?」
藤氏
「役人文書だと言えると思いますが、それがいいかどうかは判断お任せ致します」
西濱氏
「日本の場合、特にアベノミクスのもとで、これまでデフレがずっと続いてきたところから脱却だということになって、話が進んでいると。ただ、現在ここにきて道半ばというか、暗中模索の状態になりつつある中で、それぞれ20か国まったく直面する問題が違う中でギリギリのところで出せたのが、おそらくここに落ち着いたのかなという感じはなくもないなと思います」

菅原一秀 自由民主党金融調査会副会長の提言:『成長への構造改革』
菅原議員
「弛みなき成長のためには投資を呼び込み、かつそのための構造改革を進めていく、このことに尽きると思います」

藤和彦 経済産業研究所上席研究員の提言:『予測可能』
藤氏
「前半の地震の議論もありましたけれど、それから、後半の原油価格を含めた経済の話。一般の方は、私も含め、将来の見通しが非常に不確かになってきているという中にあって、これは2003年9月にIMF(国際通貨基金)が面白い論文を出しているのですが、高齢化が進むと金融政策が効かなくなるという論文が実は出ています。その詳細は時間がありますから割愛をしますが、その中にあって、厳しい財政の中で、これから財政政策のウェイトが高くなってくる。その中にあってなるべくその若い人も、高齢者の方も、中年の方も、予測可能な制度とか、そういう社会のあり方を、是非つくっていただきたいと考えています」

西濱徹 第一生命経済研究所主席エコノミストの提言:『立て直し』
西濱氏
「アベノミクスはここまで進んできて、ちょっと先が見えにくくなってきている中で、現在こそ基本に立ち返って一の矢、二の矢、三の矢をきちんとやっていく。これを着実にし、かつ民間企業、もしくは個人がきちんと経済活動しやすい状態に持っていく。これが最善の策なのだと。それしかないのだろうと考えています」