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2016年4月14日(木)
③櫻井よしこと米韓論客 韓国選挙と北朝鮮沸点

※熊本地震発災により、短縮してお送りしました。

ゲスト

櫻井よしこ
ジャーナリスト 国家基本問題研究所理事長
洪熒
統一日報論説主幹
ケビン・メア
元米国務省東アジア・太平洋局日本部長

韓国与党惨敗の背景と今後
秋元キャスター
「昨日行われた韓国の総選挙ですが、与党が大敗を喫しました。結果を見ていきたいと思います。保守系の与党セヌリ党が過半数割れ、第1党を左派系の野党、ともに民主党に明け渡し、大敗を喫しました。一方で、民主党から袂を分かった第3党の国民の党が得票を大きく伸ばしました。ちなみに野党が与党の議席を上まわったのは、金大中政権時、2000年の総選挙以来、16年ぶりとなるということですけれど、韓国の総選挙について聞いていくのですが、まず日韓関係全般という視点で、この結果がもたらす影響をどう見ていますか?」
櫻井氏
「かなり難しい問題が出てくると思いますけれど、基本的には前と同じと思った方がいいと思うんですよ。前と同じというのは何かと言うと、朴大統領が誕生しました。日韓関係がうまくいくのかというと非常に悪くなった。なぜそうなったかと言うと、韓国の対日感情というものと同時に、たとえば、最高裁判所が日韓基本条約の中で慰安婦問題は解決されていないのだ。だから、これについての補償を政府が日本政府に求めないのは憲法違反だというような、とんでもない司法判断が出てくるわけです。このような体質が韓国の中にできてしまっているということについてはこの選挙の前も後も同じです。ですから、私はここであまり日本側が慌てない方がいいと思うんです。もちろん、外交の前線にいらっしゃる方はやりにくいことがたくさん出てくると思いますけれども、それは仕事のうちと思って、日韓関係についての本質というところを見つめて、そこから、きちんとやっていくような、骨太の外交政策というものを日本は考えなければいけないと感じますね」
洪氏
「総選挙のために、日韓関係に大きな変化は、私はないと思います。政府が決めたことが、たとえば、民間の方で不満があっても、政府がやったことを、それでまた変えるとか、それは、私はあり得ないことですし、たぶん現在の朴槿恵政権は、日本との、そういう措置に対しては何も変えることはないと思います。もちろん、政治家の一部は、いろいろ言うでしょうが、それはいつもあることですから、それによって変わることはないと思います、まず」
反町キャスター
「なぜ負けたのですかね?朴さんのところ。すごく有利だと半分どころか最初3分の2と言われていましたよね。60%か、180とるのではないかと言われていたのが、だんだん150、それが割り込んで122。ズルズル負けが込むというか、勢いを失っていった最大の理由というのは何なのですか?」
洪氏
「これは、政治家は他も同じですが、弁明してはいけないですね。自分が間違って、こうなったのは、冷静に言えば、全部、自業自得なのですが。セヌリ党もそうですし、他の与党もそうだったのですが、これは初めてではないですよ。このような敗北とか、68年からの韓国の共和制の歴史の中では、これは初めてではないですよ。だから、十分、こういうことを覚悟すべきだったのに、覚悟をしなかったんですね。絶対、仮に私がセヌリ党だったら、3分の2をとれたと思います。たとえば、1月に、いわゆる北が水爆実験をした時、国民が圧倒的に韓国が生き残るための、何かを、対策を立てるという反応だったのですから、それをそのまま選挙の公約で出したら圧勝です」
反町キャスター
「今回の選挙でセヌリ党は北の軍事的な脅威を訴えなかった?」
洪氏
「安保の問題は一切言わなかったんです」
反町キャスター
「それは何で?経済とか、社会保障とかという前に、まず国が軍事的に危機的な状況にあるということを、なぜ与党である、朴大統領を支える与党が安全保障の問題を訴えなかったのですか?」
洪氏
「私がセヌリ党に聞きたいです、本当に」
櫻井氏
「それは、セヌリ党はすごく世論に媚びるんですよ。朴大統領も世論に媚びるんですよ。ですから、朴さんが大統領になった時に、何を言いましたか。皆さんにお金を配ります、福祉をします、そういった話ばかりですよね。韓国は北と対峙して非常に厳しいところに立っているにも関わらず、その1番苦しいところを言わなくて、皆さんのためにとにかく福祉をたくさんやります。彼女自身、スーパーマーケットに行って買い物をして、これは高すぎるから安い方がいいと、そういう話ばかりだったんですね。だから、これはもちろん、政治は貧しい人に優しくなければいけないです。これは私も政治の1番大事なところだと思いますけれども、でも、一国の大統領になった人が北朝鮮と対峙しているという世界の中で、最も厳しい政治状況の中に立っている国のトップとしては、そんなことばかり言っていてどうするんだと思いましたね。だから、本当にポピュリズムですよね。ポピュリズムで、今回だって、言うべきことを言わなかった。先ほど、反町さん、圧倒的有利と見られていたとおっしゃいましたけれども、圧倒的有利の状況はどこにもなかったです。支持率は低いし、それは野党というか、反対勢力は分裂していたから、敵失で有利だというだけの話で、自ら勝ち取るという意味での有利さはなかったんですよね」
反町キャスター
「もう1点、洪さん、朴大統領はセヌリ党の中で、非朴派というのを、公認を外したり、追いやったりをいっぱいしたではないですか。あれは朴大統領の手法?朴大統領が選挙にずっと強いと言われてきたではないですか。それが、要するに、今回、そういうことをやってしまった。朴大統領の選挙に向けた手法に誤りもあったというふうに見ていますか?」
洪氏
「私は、それは人のスタイルの問題ですから。それから、実はポピュリズムのことは朴槿恵大統領に限っての話ではなく、世界中が現在そうなっているので。世界中の政治家がそうやるから、韓国の政治家も、ああ、こういうのが政治なのかと。だから、現在、戦争中であること。また、韓国の大統領は最高司令官であること、それを忘れて、世界中の、いわゆる政治家達が全部そうやるから、平均的な行動に沿ってやったということですね」
メア氏
「1番心配していることはご存知の通り、東アジアの安全保障環境、甘いものではないから、目の前に北朝鮮の脅威があって、中国からの脅威があって、脅威に対処できるように朴大統領が指導力を発揮しないとならない。でも、その指導力を発揮できるような、これからの政治的な力がまだ残っているかどうかということを1番懸念しています」
反町キャスター
「レームダックになってしまうのだと見ていますか?あと1年ちょっとですよね?」
メア氏
「1年ちょっとは、まだ長いですけれども、でも、これまでも、そういう弱い立場だった党内と見ているから、もっと弱くなっているから。特に日米韓の協力が安全保障上の必要性があるから、それを期待できるかどうかということがこれからの問題です」
櫻井氏
「現在、メアさんがおっしゃったことはすごく大事なことで、まだ1年と8か月くらいあるのですか。そのぐらい。これは結構長いですよね。その間に、私達はいろんなことを本当はしなければ、日米韓でしなければいけないわけですね。朴大統領はすごく苦しい立場に立つと思いますけれど、韓国に対して、いつもすごく複雑な想いを私は抱いてきたのですが、慰安婦とか、すごく嫌なことを言われて、しかも、事実ではないことを言われて、すごく感情的には嫌なことですけれども、でも、韓国の国益と日本の国益、もちろん、アメリカの国益も考えると、ここはこういった感情を横におかないといけないと、私は自分に言い聞かせるんですね。国益のために何が1番いいのか。これは韓国の保守に対してでき得る限りの支援をすることだと思うんですよ。だから、その支援を受けるか、受けないかはまた向こう次第というところもあるから、なかなか難しいんですけれども、でも、この3か国が現在、本当の脅威はどこかと言ったら、中国ですよ。この本当の脅威、共通の敵、共通の脅威は誰か、共通の友人は誰かということをきちんと認識をして、ここのところの戦略、戦術を進めていくような、いろんな施策を韓国に対しても投げ続けて…」
反町キャスター
「セヌリ党が本当に真の敵は中国であると思っていると思います?」
櫻井氏
「いや、思っていないと思います。思っていないと思っていますけれども、そうですよということを私達は言い続けなければいけないし、でも、状況を見ればわかりますよ、本当の敵は。韓国の人と話していても、これは私の体験ではないですけれども、私の友人の体験で、韓国の人といろいろ話していたら、中国のことになるとある程度いったら諦めてしまうと。諦めちゃうのは属国だったからね、我々は、と言うというんです。日本には絶対そんなことを彼らは言わない。でも、中国は圧倒的な存在感を朝鮮半島に対して持っているわけですね。たとえば、ベトナムだって、そうですよ。長い、長い間、圧倒的に支配をしてきたという歴史がありますからね。その歴史の中でどうしても心理的に影響をされる部分があると思うんです。だから、脅威とは思わないけれども、怖いなと思う。あなた方、本当に、朴さんが中国の助けを得て南北統一なんてことを口走った時に、私は本当に言いたかったのは、本当に中国が朝鮮半島の人々のことを思ってやってくれますかと。あり得ないですよ。それをやるのは、むしろアメリカであり、日本だと思うんですね。だから、そこのところをちゃんと認識してくださいよというメッセージを、私は、韓国に日本が言葉だけではなく、行動で投げかけ続けながら、しかし、そこにあまり大きな期待を持たないで備えておくという両面作戦と言いますか、期待しながらも備えておくということがとても大事だと思いますね」

韓国与党惨敗で慰安婦問題は?
秋元キャスター
「櫻井さん、今回の総選挙の結果、昨年末の慰安婦問題を巡る日韓最終合意の履行にどう影響すると見ていますか?」
櫻井氏
「洪先生がおっしゃったように、政府が取り決めたことが総選挙の結果ひっくり返されるということはあってはならないわけですね。韓国政府の方もきちんと合意を履行しますということを発表しましたね。日本政府もそのつもりですから、履行してくださるということを信じて、そのような形で、両方とも進めていくべきだと思います。慰安婦像の撤去については韓国側でもどういうタイミングでするかということで、これは難しい判断を考えていたのでしょうね。だから、選挙のあととか、いや、選挙のあとでなくてもっと先の、来年の朴さんが大統領選挙でもう終わる、来年の12月の直前とか、いろんな考え方がありましたよ。だから、それは向こうの政治的な判断があるわけですから、私達はなるべく早くと思っていますけれども、韓国の方々の判断だと思いますね」
反町キャスター
「民主党は日韓合意に対して、非常に反対の姿勢を鮮明にしていますよね。その党が第1党になって、その民主党も、セヌリ党もともに過半数を持っていない。そういう状況の中で、予定通り履行していくと信じる?信じたいけれども、信じていいのですかというか、信じられるのでしょうか?」
櫻井氏
「いや、信じるというよりは、ここは韓国の政治家達がどこまで韓国の国益とか、国際社会における地位を考える、知的レベルに達するのかどうかということですね。この韓国と日本の合意というのは非常に国際社会に注目をされていました。もちろん、私達もいろんな不満がある。韓国も不満がある。でも、これは両方が合意した話ですから、受け止めましょうというので、これは高く評価されたわけです。これまで慰安婦問題について日本だけが悪いと言われていたけれど、よくよく考えたら、日本も譲ったねというところに私達はたどり着いたわけですね。これを今度は韓国が全部ご破算にすると仮定すると、これは国際社会において韓国とはどういう国なのだろう。中国と一緒なのかなと。国際法も無視するし、常識も無視する、合意もひっくり返す、というようなことになれば、韓国という国の国益、地位というのがどうなるのかということを次の韓国を担う政治家達は考えなければいけないということですね」
反町キャスター
「韓国国内の世論を見ると、世論調査だけを見るとですよ、今回の日韓合意に賛成で、これは良かった、良かったという人はそんなにいませんよ。韓国の多くの国民の人達には日韓合意について文句を持っている人がたくさんいらっしゃる。そういう中で、最大、第1党になった政党がそれに対して反対だ。それをもって、どういうふうに今後、政局に対応をしていくのかと。それを当然、我々は心配をするわけですよ」
洪氏
「これまで68年間、韓国の指導者は現在よりはるかに厳しい困難な状況でも、それを乗り越えてきたんですね。だから、ポピュリズムに振りまわされる人もいれば、それを自分が命を懸けて、リードする、乗り越える。そういう指導者もあるし、たとえば、現在、朴槿恵大統領は、私はある意味、チャンスだと思うんです。国会から保護されるのは期待できない。では、国民が自分を支持するように、本当に現在おっしゃったようにそういう高いレベルで、それをやれば、国民は、それはわかりますよ」
秋元キャスター
「朴槿恵大統領に、そういった力があるかというのは、あると感じますか?」
洪氏
「大統領にはありますよ。それは当然、どこの大統領にも自分がやろうとすれば、ありますよ。それが大統領の権力です」
メア氏
「ワシントンから見ると、昨年12月の、日韓の慰安婦に関する合意の1番重要なところは不可逆的な解決であるということでした。と言うと、過去の問題であるとしようとしていた。それは大切。何で大切であるかと言うと、アメリカの立場から見ると、脅威はある、中国と北朝鮮。我々、韓国の同盟であるし、日本とも同盟である。でも、韓国を防衛するために日本との協力が必要ですから。それから、韓国と日本の協力も必要であるので、この過去の問題をこれからはまだまだ議論するという状態になるのだったら、その協力はできなくなる。きちんと具体的な軍事面の協力が必要ですから。だから、ちょっと懸念している。大統領が弱くなったら、また、国内政治のためにこの慰安婦問題を挙げるのだったら、韓国の国益に有利に働くとはまったく思わないです。具体的に、アメリカが韓国防衛するために、日本にある米軍基地だけではなくて、日本の施設、民間施設も使う必要もあるし、これは韓国の指導者、軍と国防総省の高官とか、皆、わかるはずだけれど、たとえば、先月末、ワシントンの首脳会談があって、日米韓の話し合いの中で、ホワイトハウスの知り合いの話によると、かなり朴大統領と安倍総理の関係、雰囲気として友好的でした。でも、アメリカ政府が1番残念なことと思ったことは、GSOMIA(軍事情報包括保護協定)もまったく進んでいなかったということ、なぜかと言うと、朴大統領は、国内政治のことを配慮してまだまだできないという立場です。それは望ましくない」
櫻井氏
「現在、日本は1つすべきことがあるんです。それは韓国でこのようにちょっと左翼勢力が力を増してしまって、反町さんがおっしゃるような動きが出るやもしれない。その時、私達の側からどんどん情報を出していくべきだと思うんですよ。慰安婦の方々が四十数人いらして、その中の半分近くの方々がこの合意を歓迎しました。釜山の慰安婦の方々達はすごく歓迎していて、いわゆる挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会)と呼ばれる人達の影響の下にある女性達がすごく反対をしている。これは2つに分かれていて、この挺対協の人達の影響力というのが実は小さくなっているんです。だから、なぜそうなっているかというと、彼女達が言っているのは、もしくは彼らが言っていることは、あまりにも過激なのではないかという見方が、韓国の人達の中にも広がっているわけですね。私達は本当に日本がやりたいことはこういうことです。私達が見ている、韓国の慰安婦の実態というのはこういうものですということを韓国に向けても、国際社会に向けても、客観的事実としてきちんと出していくことによって、この慰安婦問題の解決を促す1つの要素になるようにしていかなければいけない。それは情報発信力というものなのだろうなと私は思っています。だから、この慰安婦問題というのは、どなたが相手でも難しい問題ですよ。なぜならば中国がすごい勢いで現在、中国の慰安婦について『Chinese Comfort Women』というのを、オックスフォード大学出版から出していて、これがCNNで紹介をされたりして、中国はこの本によって日本に対する慰安婦問題をユネスコの記憶遺産に登録しようとしているんです。この本というのはすごくデタラメ。本当にデタラメ。朝鮮半島の女性20万人、中国の女性が20万人、その他で合計41万人というのかな。その中の75%が殺害されたということです。だから、慰安婦で30万人の虐殺。南京で30万人の大虐殺という構図の英語の本がオックスフォードから出ている。これは世界的にいろんなところで引用をされて、これが元で日本に対する慰安婦の記憶遺産が登録されようとしているんです。だから、こういうことの中で韓国は1つの要素として利用されているということを考えると、日本は韓国の選挙の結果を受けて、もしかして状況が変わるかもしれないという状況の中で、これは積極的に情報を発信していくというふうに、私達の側の能動的な行動に結びつけなければ、日本は絶対に勝てないと思います」
反町キャスター
「つまり、情報戦と言いますけれども、いわゆるこれまで日本の方は、我々の番組でも言っていた情報戦というのは、韓国や中国は主にアメリカを舞台に、国際世論を舞台に、彼らが仕かけてくる宣伝戦に対して我々も対抗をしなければいけないと。嘘と戦わなくてはいけないという、その情報戦。これはわかります。現在の櫻井さんの話を聞いていると、たとえば、韓国国内に対して、がんばれ保守勢力と。本当の敵は誰なのか、ちゃんと見抜きなさいと問いかけている。そういう意味の情報戦で、そういうものは彼の国がちゃんと受け入れるのかどうか。何を言っているのだと、受け入れてもらえるのかという話ですよ」
櫻井氏
「諦めたら終わりなのよ。諦めるのは簡単です。もう面倒くさいから嫌だと思うのは簡単ですけれども、私達は本当に山場に来ていますからね、これから1年、2年、3年かは知りませんけれど、山場が続きますので、とにかく体力、気力を充実させて、やり続けなければいけないわけ。でも、韓国でも洪さんみたいな方がよくわかっていらっしゃる。それから、趙甲濟さんという、チョ・ガプジェ・ドットコムというので、インターネットでも、すごくメッセージを発信している方は、趙甲濟さんは千葉で生まれた方ですけれど、必ずしも慰安婦問題で私と同じ考えではないですよ。ないのはわかるのですけれど、韓国の国益という観点からきちんとしたことをやろうという気持ちにおいて、国益を共に追及する人達とはやっていけるんですよ。国と国との間で永遠なるものは友情でも憎しみでもなく国益だという言葉があるでしょ。だから、国益ということで、韓国、日本、アメリカがこのことを忘れずにいれば、多少の違いがあっても同志としてやっていける。この人達には話は通じますよ」