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2016年4月11日(月)
30分拡大SP①佐藤優 山内昌之が危機総点検

ゲスト

山内昌之
フジテレビ特任顧問 明治大学特任教授
佐藤優
作家 元外務省主任分析官
 

米・ケリー国務長官 広島を訪問『すべての人がここに行くべき』
秋元キャスター
「今日、広島の平和記念公園と原爆資料館を訪問したアメリカのケリー国務長官が、会見で資料館を訪問した感想を述べています」
反町キャスター
「佐藤さん、このケリー長官の会見の率直な印象から」
佐藤氏
「まずケリーさんの非常に誠実な人柄というのは伝わってきます。ただ、私達がここで忘れてはいけないのは、外務省や政府は社交辞令から絶対こういうことを言わないですけれども、広島、それから、長崎の原爆投下というのは国際法違反です。これは当時の基準での戦時国際法でも明らかな違反をしている、無差別爆撃ですね。ですから、この点においてアメリカは戦時国際法に違反した行為をしたのだと。ここのところは押さえておかないといけないことだと思いますね。しかし、この点についてアメリカに詰め寄っても、アメリカは絶対にそれを認め、謝罪をすることはないと思います。ですから、いくら同盟国であっても、過去の歴史においては認識が共有できない、立場が共有できないことがある。それをわかったうえでケリーさんは少しでも歩み寄ろうとしている。これは政治家として立派だと思います」
山内氏
「合衆国の国務省長官が、このレベルで(訪問)するというのは、大変なことですね。大変なことです。実際にこの資料館に行った時、誰もが心を揺さぶられる。これは人間として、本性があればそうです。ですから、おそらくケリー長官もそうだったと思うんです。ケリー長官は、しかし、その場面に関して、資料館内部の映像は映させていないんですね。これは選挙を控えて、アメリカの中の在郷軍人、退役軍人、ベテラン達がどう動くのか。未知の要素もあります。そういうことを考えて非常に慎重ではあるんです、国内関係で。しかし、佐藤さんが非常に的確にまとめられましたが、1人の政治家として誠実に国際関係と、最大の同盟国である日本に対して、その先にあるのは、日本の世論ということもあるわけですが、その辺に対して向かい合ったということにおいては、基本的には評価されるべきことではないかと思いますね」

G7外相会合の成果と課題
秋元キャスター
「G7の外相会合の成果として合意事項がありましたが、これらの合意を佐藤さんはどう見ていますか?」
佐藤氏
「北朝鮮に関しては実効性がない話を繰り返しているだけですね。簡単な話で、北朝鮮と中国の間にパイプラインが通っていますから。道路も鉄道もありますから。そこに国際監視団をつくって、送って、物流をチェックするというこれだけ決めれば完全な形で制裁が実現できるんです。しかし、それをしないというのは、中国はそれをしたくない。それと同時に、完全に北朝鮮を兵糧攻めにして、爆発するのが皆怖いんでしょうね。ですから、こういう声明をいくら出しても、逆に無力感だけが高まるだけだから、あまり私は強い意義は認められません。ただ、最も重要なのは東、南シナ海の状況に関してきちんとクレームをつけたということだと思うんです。なぜならば、これは日本とアメリカは関心がありますけれども、ドイツも、イタリアも、どうでもいいわけです。特にドイツやイタリア、フランスからすれば、金持ち喧嘩せずで、何も中国との間に我々は問題抱えているわけではないからと。そこのところ、ここをきちんと言わせたというのが、これは日本の政治力だと思いますね」
反町キャスター
「現在の段階、こういうG7の外相会合で、こういう中国を強く意識したものを出すということは、今後、次の国際会議までに、中国は何を言ってくるのか。ここがポイントになってくる?」
佐藤氏
「そうなってきます」
山内氏
「今回、東シナ海や南シナ海についてこういう文言が入れられて、先ほど、佐藤さんも言われたけれども、ヨーロッパ各国がこれを受け入れざるを得なかったのは、日本政府、外務省、外交がきちんと、ある意味、問題について処理をしていたからできたのであって、その前提がなければ、このようなG7での合意事項というのは成り立たなかったということを見ておかないといけませんね」

北朝鮮『核の暴走』の行方
反町キャスター
「先日、ワシントンで行われた核セキュリティサミット、今日あったG7外相会議においてもポイントになっていたのが、この北朝鮮の核開発の話です。北朝鮮・朝鮮中央通信では先日、北朝鮮は新型大陸間弾道ミサイルのエンジン燃焼実験に成功したという報道がありました。これに関して金正恩第1書記は『威力ある核弾頭弾を装着し、アメリカ本土を始め、地球上どこでも灰にできる』というコメントを出していると朝鮮中央通信は伝えているわけですけれども、北朝鮮の核開発の現状がどうこうという話をしようとは思っていなくて、今日は、ここは北朝鮮のリーダーを我々はどう思ったらいいのか。このリーダーの資質、並びに現状の彼の指している方向性、我々はどう見たらいいのかというところを聞きたいと思っているんですけれど、佐藤さん、このリーダーをどう見たらよろしいのですか?」
佐藤氏
「あまり漫画化して、カリカチュア化して見ない方がいいと思います。まず頭が良いです。情報処理能力も非常に優れています。入ってくる状況さえ正確ならば、正確な判断をします。ただし、責任感がゼロ。と言うのは、皇帝ですからね。責任感を持ったら、あの体制を維持できないですから。ですから、ある意味では、責任感を一切持たないようにして子供の時から育てた特殊な意識を持った人ですね。自分は一切、責任を負わないという、こういう発想です。現在、彼は周辺に言われ、アメリカから安全保障をとりつけるためには、とにかくアメリカを脅し上げるしかないのだと。こういうことです。ですから、消しゴムを投げて、彼女に振り向いてほしいと小学生が思うと、振り向いてくれないから、今度、画鋲を投げてみたと、それでも振り向いてくれないと。そうしたらある日、家の前に行って、大きなホースを持って立っているんですよ。実はバキュームカーとつながっていて、逆流させて、汚物を吹き出すことができると。ところが、本当にバキュームカーがあるのか、そういうものを吹き出す力があるのかどうかがわからない。それをやられたくなければ付きあってくれと言っているわけですよね。求愛を恫喝で表すという、そういう形だとうまくいくよという論理で動いているんです。これが間違いだということを教えてあげないといけないですね」
反町キャスター
「誰が教えるのですか?」
佐藤氏
「それはどこか外国の首脳だと思う。彼と会った時に」
反町キャスター
「誰とも会わないではないですか」
佐藤氏
「ちょっとまずいぞと。ですから、会うチャンスをつくらないといけないですよね。会って、教えてあげれば、それはそうかもしれないなと。あれ、俺、不正確な話を聞かされていたのかなと。こう思う可能性は、それはあると思います」
秋元キャスター
「それは中国とかではダメですか?」
佐藤氏
「中国は最近、態度が悪い」
反町キャスター
「中国(の態度)が悪いって、北朝鮮から見たら態度が悪いという意味ですか?」
佐藤氏
「ええ。中国は最近。意外と安倍総理あたり、チャンスがあるのではないですかね。きちんと会って話せば、安倍さんの言うことを聞くかもしれないですよ」

『混沌世界』の指導者たち
反町キャスター
「山内さん、金正恩第1書記が聞く耳を持つかもしれない相手というのはどんな人がいると思いますか?」
山内氏
「人間的に、平仄が合う、ケミストリーが合う。こういう人間はおそらく世界中、誰もいないと思います。どこを探しても。ただ、誰か言ってきて、自分に。それであれば、聞いてやるかと。その代わり、赫赫云々という政治的なディール。妥協や何かをよこせと。それで聞くというのは、アメリカ合衆国大統領ではないですか。オバマ氏であるか。あるいは次がどうなるか。そういうものがこちらへ来てやれば話は別だと。現象的に言えば、もちろん、プーチン氏は1番近くて、そういうことができるかもしれません。プーチンも、習近平も両氏とも、いずれとも北朝鮮という国の実態を知っていますから。彼は相手に、ほとんど感情なしに、論理と利益だけで語るというところにはややハードルが高くなってきているんですね。むしろかえって体制の違う国、アメリカや日本。こういった国の元首、総理。こういった人間達が言えば、というぐらいの、逆の論理。逆説の論理が働くということはあり得るかもしれません」

中国・習近平体制の実相
秋元キャスター
「先月、中国国内のニュースサイトに、習近平国家主席へ辞任を求める書簡が公開されまして、国内外に波紋を広げました。こういった内容が新疆ウイグル自治区の政府系のニュースサイトに掲載をされました。現在、サイトからは削除されているんですけれども、佐藤さん、この書簡の背景をどう見ていますか?」
佐藤氏
「大した話ではないと思いますね。と言うのは、どういうことか言うと、昔から投書で、ソ連でも、東ドイツでも、中国でも、こういうものがたくさん来るんです。あれだけ人間がいれば変わった人もいますから。ここでのポイントは、あなたが悪いのだと。あなたが代わればいいということで、共産党のシステムが悪いと、民意によって選ばれていないあなたがいけないのだという、こういう体制を根幹から揺るがすような話ではないわけですよね。ですから、無視しておいても全然、中国の体制にとっては怖くはないと思いますね」
反町キャスター
「党批判にはなっていない?個人批判になっている?」
佐藤氏
「そういうことです。ですから、あなたの性格に起因する問題。逆にちょっと穿った見方をしますと、この程度のことが党員でも言えるのかと。それによって銃殺されるわけはないと。と言うことは、中国もなかなか自由だな、こういうことも言えるわけですよ」
山内氏
「結局、ロシアと中国の違いですね。プーチン大統領は一応、民主主義的な手続きを経て、国民の意思によって、選挙を通して選ばれた大統領ということになっているわけです。ただ、この大統領選挙というのは、日本における完全自由な、アメリカ合衆国大統領選挙、日本の議会選挙という意味での自由かつ民主主義の選挙ではないけれども、ともかくプーチン氏は選ばれたと。国民が選んだという形をとっている。ところが、中国は国民の誰が選んだのかというと、誰も選んでいない。習近平氏は何の根拠で、どうしてここにいるんだというと、そういう説明ができないわけですよ。だから、そういう意味で言うと、ロシアと比べても、中国というのは、いわゆる手続き、あるいは民主主義のレベルにおいて、仮にそれが偽り、あるいは表向きだとしても、それさえ経ていないわけです。そうすると、これも穿って言えば、ある意味で、中国もロシアほどではないにしても、それなりに民主主義的なこの声や異論を出して、これで銃殺されない、そういう国ですよというようなことで、許容範囲であるということを現在の段階で示しておきたいというようなことだから、こういうのが出たということではないかと」
反町キャスター
「そうすると、反体制派が仕込んだ話でなく、体制派が自由をアピールするために出した紙かもしれない」
山内氏
「そういうことも含めて、ちゃんと穿って考えないといけないと思いますよ」
佐藤氏
「別に仕かけたわけではないですけど、そういうことを言う人がいるんだけれども、普段はサイトに載せないで止めてしまうと。しかし、取りあえず出しておくと。それが、また、少し経って、話題になった時に止めちゃうと。しかし、この程度の自由はあるよと、こういうことですよね」

『パナマ文書』と租税回避の実態
反町キャスター
「習主席もプーチン大統領も、パナマ文書というのが、それぞれの政権基盤を棄損するようなダメージになるのかどうか。これはどう見ていますか?」
山内氏
「習主席自身は腐敗、汚職の闘争の先頭に立って、犠牲を払ってやっていると。あと中国共産党の根源というものを突き崩しかねないぐらいのことをやっているわけですよ。本人のそういう行為に関しては、家族、親族に関しては、これは完全に押さえられていますからね。報道や、具体的な論評に関しては。中国共産党の権力構造の中では現在のところ、これがダメージを与えるということはないでしょう。プーチン氏は、民主的に選ばれた大統領で、そういう収入やいろんな蓄財行為に関しても最小化されていると。そういう点で、プーチン氏は、国民が選んだ大統領だ、我々が選んだと。こういう点での意味での人気度はロシアの中ではあるわけですよね。ですから、この文書に関してはよく言われるのは陰謀理論。あるいはダメにするがために出した。今回はどういう筋から出てきたのでしたか?これは、佐藤さん」
佐藤氏
「南ドイツ新聞から出てきていますね」
反町キャスター
「これをどう見ますか?」
佐藤氏
「プーチン氏については、プーチン自身の家族であるとか、プーチン氏自身が出てきたということだったら、これはロシアでは大スキャンダルになります。それは、デモが起きます。要するに、我々の大統領が、国内で蓄財をしているのだったらいいのだけども、外国で何かをやっているというのは、これはロシア人的な感覚だと非常に恥ずかしいことです。だから、その恥ずかしいことに対して、ロシア人、激しく反発をしますね」
反町キャスター
「友人だったらいいのですか?家族ではなくて」
佐藤氏
「友人だった場合には国内関係ないですけれど、今回、プーチン氏が少しずれてきたなと皆思ったと思います。本来なら、要するに、友情を大切にし過ぎて、ロルドギンという人について、プーチン氏は、友達はロシアのために楽器を買っていただけと。友達を誇りに思う。副業で稼いだほぼ全額を楽器につぎ込んだし、国家に寄付したと。しかし、20億ドル、2200億円ですよ。これはロシアの新聞に出ているんですけれど。もし単純計算で20億ドルもあれば、平均的なピアノ5万台、バイオリン約13万挺、チェロ148万挺。フルート139万管、ビオラ44万挺、それでお釣りでストラディバリウスを2挺。これぐらい買えるだろうと。こういう話で、しかも、統計で2015年に輸入されたロシアの楽器の総額は5000万ドル弱と。20億ドルの40分の1と。プーチン氏がこんなとぼけたことを言っていると言うこと自体、大丈夫か、とっつあんと。こういう感じになっていると思いますよ」
反町キャスター
「それはすごく皆、すごく暖かい目線でプーチン氏を見守っている印象です、その発言は」
佐藤氏
「比較的、そうではあるんですね」
山内氏
「記憶力や判断力は大丈夫かと」
佐藤氏
「そちらの方が心配をしています。だから、友情に引っ張られていて、こんな、すぐに底が割れるようなことで友達を守るなんて、うちの親方も最近だいぶずれてきたのではないかという、こういう心配ですよね」
反町キャスター
「イギリスの首相が父親名義での300万とか、400万とか儲けただけで、辞任要求で、国中がこんな騒ぎになっています。イギリスの民主主義とロシアの民主主義は」
佐藤氏
「根本的に違います。これは、私は教えられたんですよ。選挙とはどういうことか。佐藤、選挙というのは、悪い候補者と、うんと悪い候補者と、とんでもない候補者が空から降ってくるのだ。そのうちにとんでもないのと、うんと悪いのを排除するのが選挙だと。あれ、民衆の代表を出したか、そんなはずはないだろうがと。政治は悪いものだと。そもそも選挙の伝統を見てみろと。ギリシャのオストラキスモスだと。こいつは危ない奴だと。それを当然に書いて追放をしたと。選挙というのは悪い奴を追い出すためにあるので、本当のギリシャからの民主主義が未だに維持されているのはロシアだぜと。自慢気に言いますよね。ソ連時代は1人しか候補がいなかったのだぞと。それの信任投票で、横で秘密警察が見ているぞと。投票率は98%。そのうち、賛成が99%だけれども、秘密警察が見ている中で1%は反対の×をつけるのだと。これが、ロシア人だと自慢をするんですよ。だから、ちょっと選挙なんかの感覚が違うんです」
反町キャスター
「その延長線上に、現在のロシア国民のプーチン大統領に対する暖かい目線があるんですね。要するに、最悪の人間ではないからと。そんなポジティブな印象?」
佐藤氏
「それはそうです。最悪の人間。だって、それ以外、前の選挙でしょう」
山内氏
「民主主義というのは、チャーチルの言った有名な言葉。民主主義というのは、世界史のこれまでの最悪ものだと。しかし、世界史がこれまで生んだものの中では最良のものであると。そういうことは他にないという」
佐藤氏
「前の選挙に出てきたプーチン氏の対抗馬は、1人は共産党の人で、スターリンの時代に戻すというのが公約ですよ。それは嫌でしょう。もう1人は税金もとらないけれど、福祉をゼロにする。弱肉強食の競争1本でやっていく、こういう公約。そうすると、両方とも嫌でしょう。スターリン時代も嫌だし、弱肉強食も嫌だし。そうなると、プーチン氏が相対的に、ということになるわけですよ」
反町キャスター
「ロシアは中国よりはるかに情報の公開が進んでいて、ネット環境やら何やら。他の国の民主主義はどういうものかというのを皆、比較するという問題は起きないのですか?」
佐藤氏
「そういう比較は起きるんですけれども、決して、アメリカの民主主義で、たとえば、トランプさんとか、クルーズさん、それから、オバマさんとか、クリントンさんを見ても羨ましいと思っていないし、それから、日本の民進党と自民党のいろんなやり合いを見ていたって、ああいうような議会制民主主義がロシアに起きたって、あまりいいことはないのではないか。こういうような感じで見ていますよね」
山内氏
「民主主義の話でしょう。プーチン氏というのは、ロシア史が歴史等を通して、独特なのがあるんです。指導者に対するイメージ。これは指導者間の問題ですけれども。結局、国民はリーダー、指導者に対して、こう実行をしてほしいと。そう実行するということを期待したことに関して、きちんと実行をするんです。それと同時に、言葉でひと度、発せられたらその言葉は守ると。だから、意外とロシアは、あるいはプーチン氏は強硬なことばかり言っているように見えるけれども、クリミアに関して言えば、クリミアはロシアのものだと。そうしたら、クリミアはロシアのものだと言ったら、その次やったのはロシアが占領したんです。占領したんです、クリミアを。言葉に偽りがない。ところが、中国はこの点が非常に曖昧です。言葉に関する重みという点で言えば、中国は、尖閣は自分達のものだと言っておきながら、それに対して結局は何もしていないです。だけど、プーチン氏はそういうことを言わないで、クリミアは我々のもの、取り戻すと言ったら、取り戻す。こういう言葉に対する重みと、それから、国民がリーダーにこういう強いリーダーを求めるというけれど、もう少し踏み込むと、言った言葉に関して責任を持つリーダー。特に外との関係において、それは強いことを見せるのではなく、外に対してロシアが偽りのない立場というものを示すこと。これを示してくれる、そういうリーダー、これがプーチン氏だということ」
佐藤氏
「だから、北方領土もここは非常に重要であり、プーチン氏は、1956年宣言で、平和条約で歯舞群島、色丹島を引き渡す。この引き渡し条項に関しては、義務的であると。両国の国会で批准されたものであって、国際法的な義務を負うことを、はっきりと言っているわけですね。そこからは全然ぶれない。しかし、理屈はこうですよ。要するに、別に戦後においては、あれはロシア領に合法的になったと。しかし、ロシアは贈与するのだと。日本との関係を大切にしたいと。それで2島を引き渡すのだと。しかし、贈与と言ったら、日本はふざけるな、お前、盗んだものを何が贈与だということになるから、日本は日本で盗んだものを取り返したという返還と言えばいいと。お互いの合意文書は引き渡しとしておいたらどうかと。だから、これは1956年宣言だと。だから、一部の人達は最近、ロシアが強硬になって、領土を絶対に還さないのではないかと言っているのですが、それは全然ないわけです。理屈です」
反町キャスター
「でも、それは2島の話ですよね。残りの2島に関しては」
佐藤氏
「残りの2つに関しては、森さんの時に、残り2つについては協議をしようと。そうしたら、うん、考えてみると。それで、考えてみると言って、そのあと、予備交渉をしていた東郷和彦さんという欧州局長が、ロシアに行って、ロシュコフさんと話をすると言って行ったんだけれども、そのあと田中真紀子さん(元外相)が出て来られて、大混乱が起きて、川口順子さん(元外相)の時に日本側から断わっちゃったわけです。だから、この前、ロシアから高官が来て、私に言うんですけれども、もう1回、イルクーツクのあれに戻せと言ったって、プーチン氏は1回恥をかかされたと。日本の言うことを考えてみろと。パッドゥーマヤムと。日本の外務省の記録では承っておくとなっていますけれども、ロシア語で直訳すると、我々は考えてみると、こういうことですけれども」
反町キャスター
「話し合いがある程度、森さんとプーチンさんとの間の合意をもとに、スタートラインに、話し合いが進んでいたのを、ロシアから見ると日本の都合で、途中で放り投げられた」
佐藤氏
「ロシアがそう認識しているわけですよ」
山内氏
「だから、ロシアというのは大きいことで言うと、戦略的にはしっかりしているんですよ。その戦略に関して、日本がそこでピタッと平仄が近づいた瞬間がある。それがクラスノヤルスクや川奈であったわけですね。そういう戦略的なことに関して、ある意味では信頼できる。嘘偽りがない、そこに関しては。ただそれ以外のいろんな詰めや何かで、戦術的、あるいは政策的なことがあると、ロシアはダメなところがある。我々からすれば」
佐藤優氏
「要するに、約束は守るんですよ。しかし、約束していない部分で何をするかはわからないですからね。だから、きちんと詰めて約束をしておかないとダメです」
反町キャスター
「そうすると、たとえば、現在、恥をかかされたという話は、プーチン大統領が、自分が思っているのか、周りの人間がそう思っているのかで対応が違ってくるのではないですか?」
佐藤氏
「いや、プーチン自身です」
反町キャスター
「自身が恥をかかされたと思っているということは」
佐藤氏
「それで、どうも日本の外務省がそのへんをわかっているのかという想いがあるから、私には伝わっているわけで、サウンドしてくるわけでしょう」
反町キャスター
「その話を冷静に考えた時にもう1度、領土交渉を立ち上げて、向こうを引っ張り出すためには、何から始めなくてはいけないのですか?」
佐藤氏
「まず現在アメリカは何をやっているのという感じになっているんだけれども、これに関しては、ソチに行くと。ソチに行って、プーチン氏が日本に来るという段取りを整えることですよね。それは、たとえば、私はアメリカだってロシアとの関係で、関係を切っていないことがあるんですね。そういう分野へ協力をすればいいと思う、宇宙協力。宇宙協力は軍事に直接関わること」
反町キャスター
「そう言えば、ソユーズで行きますよね」
佐藤氏
「そう。なぜならば、アメリカのスペースシャトルが失敗をしているので、現在、宇宙ステーションに行けるのはソユーズロケットしかないですから。だから、宇宙分野は、あれだけロシアとアメリカの関係が悪くても完全な協力体制が続いているんです。だから、宇宙分野で日本は乗っかっていくことがあったら、アメリカも文句を言えない。そういうちゃんと隙間を見て、ちゃんと約束をしたら履行できるような協力をロシアとやればいいと思うんですよ」
反町キャスター
「宇宙分野での日本のロシアに対する協力というのは、それをテコに、プーチン大統領は国民の世論を取りまとめて、恥をかかされたけれど、日本からこういうオファーが来ているので、少し領土問題についても、我々の方から贈与を検討しなくてはいけない時期が来た、と言い出せるところまで、何かを積まなければいけない感じが」
佐藤氏
「いや、そんなに積まないといけないことはないと思いますけれど。なぜならば、石油、ガス価格も低迷をしていますし、それから、もう1つ、あまり皆、注目していないですけれども、実は中東がガタガタしてくるとスエズ運河が再び閉ざされる可能性がありますよね。そうすると、ヨーロッパとアジア間の9割の物流が止まるんです。ところが、現在、北極海を、地球温暖化と砕氷船技術の発達によって渡ることができる。そのあと日本にどうやって…ウラジオストックだって、大連にだってどの航路を通るのか。間宮海峡がありますよね、ロシアとサハリンの間。あそこは深さが平均で2mですよ。1番深いところで8mです。だから、大型船が航行できないですし、1年のうち5か月凍結してしまいます。そうなると、宗谷海峡か津軽海峡しかないです。と言うと、いざとなった時、日本は海峡封鎖ができますからね。そうすると、日本との関係を安定化させておかないと、すなわち北方領土問題で喧嘩をしていたら、この航路帯は使えないですよ。そういうことを考えると、物流作戦というのをきちんと海洋の北氷洋を使っての物流をやる。そういうことをやると、そこの中から付随して、連立方程式として、北方領土問題安定化させないとならないですよ。こういうようなことを組み立てられるかどうかですね」

『混沌の世界』を読み解く
秋元キャスター
「アゼルバイジャン西部ナゴルノカラバフ自治州で現地に駐留していたアルメニア系組織兵との間で紛争が勃発しまして、双方の兵士60人あまりが死亡しました。5日に一時停戦が合意され、両国を訪問したロシアのメドベージェフ首相が停戦合意の遵守を要請しました。佐藤さん、この地域で何が起こっているのですか?」
佐藤氏
「1988年、突然、ゴルバチョフ政権の時代だったんですけれども、アルメニアとアゼルバイジャンの地方紙があるんですね。アゼルバイジャンは『バキンスキーラボーチ』で、バクーの労働者と言うんです。アルメニアはコミュニスト、共産主義者という新聞ですが、お互いの悪口を書き始めている、1面で。とんでもない、あいつらはと。なぜかと言うと、アゼルバイジャンの中にナゴルノカラバフ自治州という州がある。アゼルバイジャンの中にあるのですが、当時8割ぐらいがアルメニア人でした。そのアルメニア人がアルメニアの中に入れてくれと、アゼルバイジャンと一緒にやっているのは嫌だと」
反町キャスター
「分離独立してアルメニアへの併合を求めた?」
佐藤氏
「分離独立というか、アルメニアとの併合要求ですね。当時、同じ国ですから、ですから、たとえば、和歌山県に天領とかがあるではないですか、少し、他の県の中に。ああいうような感じのところに、飛び地としてアルメニアに入れてくれということを言い始めたんですね。そうしたら何を言っているのだと言って大変な殺し合いになっちゃった」
反町キャスター
「それは殺し合いまでいってしまうのですか?」
佐藤氏
「殺し合いまでいっちゃったんです。その結果、ゴルバチョフは収まりをつけることができなかった。日本ではナゴルノカラバフというとほとんど忘れ去られていますが、あれのハンドリングがうまくできなかったから、ソ連は崩壊したと。それぐらいの大変な話だったんですよ。現在の状況を話しますと、ソ連崩壊後、三角形と四角形ができているわけですよ。どういうことなのかと言うと、四角形は、アゼルバイジャンの首都のバクー、ワシントン、アメリカの首都ですね、エルサレム、イスラエルの首都、アンカラ、トルコの首都、すなわちこの4つは仲間ですね。これに対して、エレバン、アルメニアの首都、モスクワ、ロシアの首都、テヘラン、イランの首都、この三角形は仲間ですよ。ですから、今回、前の停戦から20年以上、安定していた状況のところで、突然火を噴き出した背景というのは偶発的ではないと私は見ています。要するに、アゼルバイジャンがアルメニア側を攻撃してきた背景においてはトルコの影を感じますね。アメリカもどこかのところではそれを知っていると思います。トルコとロシアの関係が悪くなっていますね。トルコの方からロシアは調子に乗りすぎているのではないか。コーカサスという大変な問題があったよね、思い出した方がいいのではないかなと。チクチクと警告を発したのではないかなと」

世界が直面している『危機』
反町キャスター
「アゼルバイジャンとアルメニアの対立、日本から見たらはるか遠くて、どこの誰と誰が対立しているかよくわからないと。この対立を我々は現在どういう大きな事象の導火線としてどのぐらいの危険要素があると思って見なくてはいけないのか?」
山内氏
「大きく2つあるわけです。1つは中東危機との関係です。もう1つは、カスピ海からアゼルバイジャン。グリジアを経て、トルコへ出て行くパイプライン。それに対してロシアは別のパイプラインを持って、何とか阻止したいと。この2つ、エネルギー安全保障の問題と、それから、中東というものとの関係。中東問題はIS、イスラム国の軍事指導部がチェチェン人だということから、ロシアの国内問題でもあるわけです、シリアの問題は。だから、カスピ海から巡航ミサイルを撃つなんてことを考えついたりする。こういう中東危機とカフカースのソ連以来、ゴルバチョフ以来の民族問題。これが結合しかねない部分。実際、火を噴きかねない、大きな弾薬庫がナゴルノカラバフを中心とした南コーカサス」
反町キャスター
「アルメニア、アゼルバイジャンがなぜ世界の火薬庫になり得るのですか?」
山内氏
「アルメニアがロシア、アゼルバイジャンが従兄弟民族のトルコ、これの代理者、代理戦争的なことをやる部分になっているからです。トルコはロシアとの間でスホーイの撃墜を巡って緊張が生じている。シリア問題においても、トルコはもともとオスマン帝国として支配していたわけですけれど。要するに、アラブ(問題)にタッチさせないというのがロシアの戦略です。この戦略にトルコが反発して、衝突というものが起きたと。撃墜の背景にあるわけ。中東に対してもロシアが出てきている。チェチェン人はシリアでIS側の主要兵力である。こうしたもので中東とコーカサスは結びついているわけですね、実際。中東から起きた危機、火花に加えて、元からあるナゴルノカラバフを巡るアルメニア人とアゼルバイジャン人の対立が実はロシアとトルコの代理戦争的なものになっている、あるいはもっと大規模に発展するかもしれないというのが現在の状況です」
反町キャスター
「ロシアとトルコが直接武力衝突するリスクがあると言っていいのですか?」
山内氏
「そこまで直接には言わなかったつもり」
佐藤氏
「ただ、今後の発展によってはそうなることはあり得ます」
反町キャスター
「2つの小さな国の戦いはどうなっていくと思いますか?」
佐藤氏
「アルメニアに関しては、日本ではあまりイメージがないですけれども、国際的にはある種のビジネスがアルメニア人抜きではあり得ないです」
反町キャスター
「何ですか、それは?」
佐藤氏
「武器販売。アルメニア人はユダヤ人と同じように世界中に離散していまして、それに宗教が特別ですから、特別なキリスト教で、カトリックや聖教とは違うんですね。ですから、アルメニア人同士が結婚する傾向が強い。アルメニア人のネットワークは強いです。それが武器販売とも非常に関係している。プラス、たとえば、トルコとアルメニアの間で大変な論戦になっているのですが、前のトルコ人によるアルメニア人大虐殺」
山内氏
「1915年」
反町キャスター
「そんな昔の話、100年前」
佐藤氏
「それが昔の話にはならなくて、そのあと、アルメニアの民族主義的な正統で、ダシュナックという政党があるんですね。これはソ連体制になってから非合法化されるのですが、シリアに亡命する。シリアにアルメニア人がたくさんいます。そこでグルンクという鶴という軍団をつくってトルコ人を殺すと。トルコの大使を暗殺するとか、こういうような活動に従事していたようなテログループも持っているわけです。これはアルメニアに帰国して英雄になっています。ですから、とっても面倒くさいです」

日本・安倍政権の課題は?
反町キャスター
「沖縄の問題について」
佐藤氏
「日本政府としては誠実に向き合っているつもりなのでしょう。しかし、沖縄と噛み合わないというのは、これは別に政府が悪いというよりも、沖縄というのは日本の中で非常に特殊な歴史を持っていて、国際基準で言うともしかしたら亜民族、状況によっては別の民族になるかもしれないという特殊性を抱えている地域ですよ。そういったところの少数派の気持ちというのは1対99だと、99の側の人達にはわからないというのが普通です。ですから、お互いが理解できないが故に起きている問題ですよね。国際基準では明らかにこの沖縄の問題は、民族問題になっています」
反町キャスター
「中国の問題で、朝鮮族の問題、チベット族の問題がありますが、それと同じ?」
佐藤氏
「非常に近い状態になっています。ですから、国際的なニュースの報道を見ると、それに近いところで報道されていますね。スコットランドに非常に近い状況だと思います」
山内氏
「琉球新報、沖縄の新聞は、スコットランドの国民投票を言っていますけれども、地方紙としては異例のことですよね」
佐藤氏
「沖縄の琉球新報、沖縄タイムス双方のホームページを見ていただければわかるのですが、英語版が非常に充実している。中央紙と同じレベルの英語版のサイトを持っている。と言うことは、発信を国際社会に向けてやっているんですよ」
反町キャスター
「現在、政府が進めている向き合い方が違う?」
佐藤氏
「沖縄と向き合うこと事態を原理・原則から考えて見ましょう。要するに、日本とアメリカの基地問題ですよね。ですから、アメリカと日本の政府が沖縄と向き合うのは方向性がちょっと違う感じがするんですよ。その問題と言うのは、東京と沖縄の間で解決して、アメリカとの間で処理するといういうんだけれど、そこの順番が変わってしまっていると。これはある意味では、仕方のない構造です。と言うのは、少数派と圧倒的な多数派の関係というのは、お互いに理解できない側面があるんです。これは多数派が相当注意して見ないとわからないです。1952年にサンフランシスコ平和条約が成立した時点では、沖縄の基地は10%です。本土が90%です。1972年の沖縄返還時で50対50です。普天間の海兵隊はもともと岐阜と山梨にいました。沖縄にはいませんでした。現時点で73.8%が沖縄にあって、26.2%が本土である。こうなってきたのは、いわば本土の中の護憲運動、反基地闘争が高まる中で日本本土に(基地を)置いておくと面倒くさいと。だから、1972年までは日本国憲法が施行されていない沖縄に持っていっちゃえ。それで移動してしまった面があるんですよ。そのあとは本土の基地はどんどん減っていくけれども、沖縄の基地が減っていかないから比率が高くなったと。こういうことだから、沖縄として何なのという想いはあると。しかし、中央政府の方からすれば、そんなことを言ったって中国の脅威が高まっているのだから、それは地理的に近いところにあればいい。それではと沖縄は言う、海兵隊が抑止力として必要ならば、何で揚陸艦が佐世保にあるの、何で沖縄にないのと。こういうような議論になってきて、お互いの溝は議論をすればするほど埋まらなくなるという感じですね」
反町キャスター
「どうすればいいのですか?」
佐藤氏
「お互いの違いを知るということです。ですから、沖縄の人というか、沖縄人と私は言うんですけれど、沖縄人と日本人は違うのだということ。割れ目はもうあります。ですから、割れ目がある時に割れ目を見ないということよりも、どこに割れ目があるかということをきちんと見ることによって相互理解の線を見つけるということだと思うんです。それで、翁長雄志知事は私の非常に尊敬する先輩でもあり、友人ですからね。彼が本心で考えていることよくわかるんです。彼は、沖縄が日本から分離することは絶対にあってはならないと思っている。そのためには辺野古でやり過ぎて欲張りすぎると、そういう事態が生じてくるのだということは彼にはわかるんですよ。それから、あともう1つ。あの人は、日米安保体制は絶対に必要だと思っている。だから、沖縄の論理としては沖縄の基地は原発と違いますからね。原発はいろいろな議論はあります。しかし、原発が設置されている自治体では、都道府県と基礎自治体の首長・議会の了承を得たうえで組み立てられていますから。それに対して沖縄の基地は何1つ民意による了承を得ないでできていますからね。米軍の力によってつくられちゃったものがほとんどですから。そういう経緯において本当は嘉手納の返還も言いたいわけですよ。ただ、そういうことをしたらそれこそ抑止力が担保できない。だから、翁長さんの発想というのは、2つのことが非常に重要で、沖縄は日本に留まる、あともう1つ日米安保体制の維持です。だから、沖縄独立論者とか、沖縄の左派の極端な人からすると、翁長さんはトロイの木馬に見えるわけですよ。要するに、本当に考えていることは決して独立論ではないし、それから、安保廃絶ではないと。極めてこれは自民党と同じなのだと。その通りです。ところが、東京の中央政府からするとあれは何か極左の方になった的に見える。そうすると、翁長さんがいる間においては沖縄が日本から離れていくことはない。日米安保体制が崩れることはないと思うんですけれど、翁長さんがもうどうしようもないという形で権力の座から下りられ、権力を手放さずにいられない状況になった時に沖縄でポピュリズムが生まれてくるかもしれない。独立運動が生まれてくるかも知れないし、あるいは逆に過剰な形での今度は、要するに、このポピュリストが狙っているのは、沖縄と日本の間に衝突が起きて流血が起きることを狙っているわけですよ。そうしたら、その次の瞬間もし沖縄が諦めちゃうならば、ほーら、翁長のやっていたやり方というのは、結局は間違いだから、東京と仲良くやって、少しでも助成金を持ってこようと。逆にそこのところで沖縄の世論が激高した場合には、それでは辺野古の是非に関する住民投票をやろうと。さらに沖縄の自己決定権、独立に関する住民投票をやろうと。俺が大統領になるのだと。こういうポピュリストは出てきかねないですよ。私はその動きを1番心配していますね。ですから、翁長さんも本心では、これは決して安倍政権と共通のことを見いだせない話ではないですよ」
反町キャスター
「現在の政権の沖縄に対する姿勢というのには、その部分のベースは感じられないですよね?」
佐藤氏
「ですから、そのところで沖縄の状況に対する正しい情報がどこまで入っているのかということですね。他方、期待が持てるのは、安倍さんの判断で今回、和解案、特に暫定案に応じたことがどういうことかというと、政府の一部にある強硬論、このまま強気でいけば、沖縄が引っ込むということが間違いであって、これは流血で、状況によっては死者まで発生する、これは少なくとも安倍総理はわかっているわけでしょう。極端な形で衝突が起きるようなことは当面、避けないといけないという形で譲歩したのだと私は見ています」
反町キャスター
「山内さん、沖縄の問題をどのように見ていますか?」
山内氏
「昨年、私も沖縄に出張して、1番大きな新聞社の1つの最高幹部達、社長含めてお話したのですが、彼らがおっしゃったのは翁長知事と同じで、現在おっしゃったように沖縄の分離論、あるいは独立案なんかは全然考えていないし、言っていないと。それから、安全保障の問題に関しても、無条件での日米安保の否定と廃棄というような筋で考える人というのはまったく、あるいは非常に少数だと。責任ある政治行政あるいは報道に携わる人というのは意外と、というとこれはやや不適切な表現かもしれませんが、非常にバランス感覚と非常に総合性を持っている人達が多いということをまず知ってほしい。2つ目は、沖縄の問題というのは一種民族問題であると考える視点が大事です。我々は北海道に関してはアイヌ新法というものを成立し、日本国民としてアイヌ人、アイヌ民族が存在するということが法律的に認められ、それに関わる文化振興に関しても予算をつけられている。沖縄の問題に関して、これは沖縄人、琉球人、こうした琉球諸島の中でも沖縄諸島の中でもまた本島と他の島々との間にまた微妙な相違がある。そういう複雑な地域ということを考えないとダメで、民族問題というのは非常に処理を誤ると、大変な衝突や紛争が起きるというのは、先ほどのコーカサスなどでも見た極端な場合、非常にそういう観点を歴史的に見る見方は持ってほしいということですね」

山内昌之 フジテレビ特任顧問の提言:『“金”ハ力ナリから“知”ハ力ナリへ』
山内氏
「これは現在議論にもなっていましたけれど、沖縄の問題を考える場合でも振興策は大事ですが、お金という観点からだけ考えるというのではなく、沖縄とは何か、民族の問題として考える場合どうしたらいいのか。沖縄の歴史、安倍さんはある部分お気づきになっているようですが、こういう知は力なりという、これもともと中世の哲学者ベーコンの言葉だったと思いますけれども、これを良い意味で私は使いたいと。これは中国のように金で全ての国に関して説得していく、援助すれば解決するという、こういう見方ではなくて、中国にも必要なのもこういう知は力なりという、こういう考えではないかと思います」

作家 佐藤優氏の提言:『リアリズムに徹する』
佐藤氏
「たとえば、今日、ケリーさん達と一緒に並んでいた国の中で、核を持っているのはフランス、イギリス、アメリカで、これは第二次世界大戦の戦勝国ですよね。それに対して、あそこに並んでカナダを除いて核を持っていないのはドイツ、イタリア、日本。ですから、戦勝国と敗戦国の区別はあるんですよね。それは核の関係では露骨に出てくる。こういうことをリアルに見ないといけない。あるいは沖縄のことでも、お互いに違うのだということをリアルに見たところで折り合いをつけないといけない。こう思います」