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2016年4月8日(金)
中国出身3識者が斬る 内政経済『異常事態』

ゲスト

古森義久
産経新聞ワシントン駐在客員特派員
韓暁清
人民日報日本語版『日中新聞』代表
石平
拓殖大学客員教授
葉千栄
東海大学教授
 

日中4識者に聞く中国『異常事態』 南シナ海『米中対立』の行方
松村キャスター
「まずは先週行われたオバマ大統領と習主席の米中首脳会談です。他の課題では意見の一致があったのですが、南シナ海問題では、習主席が南シナ海での中国の主権を断固として守る。領有権をめぐる対立は関係当事者間の直接対話を通じて平和的に解決すべきと、航行の自由を口実に中国の主権を侵害する行為は許さないと、強い主張をぶつけていたのに対しまして、アメリカはホワイトハウスの発表で、オバマ大統領は中国に近隣諸国との意見の相違を国際法に沿って、平和的に対処するよう促すとともに、アメリカの関心は航行と飛行の自由であると強調したと、全体的には主張は控えめな様子です。古森さん、この中国の習主席、一方的という印象もありますけれども、この米中首脳会談はどのように見ていますか?」
古森氏
「日本側の受け止め方として、オバマさん、思ったよりも弱い口調だったということですよね。理由は2つか3つあると思うんですけれども、全体に現在のオバマ政権下のワシントンでは中国に対する姿勢が、たとえば、1年前と比べたら、格段と強行になってきたと。だから、中国はこういうことを、たとえば、サイバー攻撃をしてけしからんとか、南シナ海で勝手に埋め立てをしてけしからんとか、フィリピンとか、ベトナムという国に対して武力を背景とし、圧力をかけてけしからんということがいっぱい出てきてずっと現在まで、それまで6年間、ほとんど、中国という名前を出さないように、出さないように、一生懸命にこちらにおいでよということをやって、温和な外交をとってきた、対中政策をとってきたオバマ大統領も変わったわけです。ですから、今回、敢えてそこまでいちいち反論をしなくてもいいということが1つ。もう1つは、本来が核サミットで来ているわけだから、核サミットというのはオバマ政権の残された期間の中で何とか失敗はしなかったのだということで、もっていきたいものの1つですからね。現実は失敗しているわけですよ。核兵器をなくそうといってやったのに増えているわけですから、現実には。だから、習近平さんが核サミットのために来てくれたということ。米中が協力できるんだよという、数少ない分野のことできているわけだから、そこであまり対決することを言いたくないというのが1つ。それから、全体にアメリカ側の対中姿勢が強固になったので、もう言葉であまり言わなくてもいいと、行動なのだと」
松村キャスター
「石さんはどのように見ていますか?」
石客員教授
「私は、おそらくオバマさんにしては南シナ海問題で習近平氏と言葉で話す興味はもうなくなってしまったんです。これまで3年間、散々この話をしてきて、一向に習近平氏は何も変わらない。おそらくオバマさんからすれば、この問題で習近平氏と話をする必要も完全にないです。むしろ、先ほども古森さんがおっしゃったようにオバマさんの関心事がむしろ今回の場合は、核拡散、特に北朝鮮問題です。北朝鮮問題で習近平氏の協力を求めなければならない。敢えて南シナ海で、習近平氏と口喧嘩をする必要がない。しかし、先ほども古森さんが指摘をしたように、行動で、むしろアメリカが、これから、ちゃんとやる。たとえば、最近ロイター通信も報じているように、おそらく今月中にアメリカ軍はもう1度やる。航行の自由作戦を展開する。と言うのは、習近平氏があの話ですけど、航行の自由を口実に中国の主権を侵害する行為は許さないというでしょう。しかし、これからアメリカがやることが、まさに習近平さんが許さないことをやってしまうということ。要するに、行動上では完全に対立状態です」
葉教授
「このようなトーンダウンの裏には何があるかというと、1つは今回オバマ大統領にとっては、ホワイトハウスにとっては中国と北朝鮮問題で合意達成するような優先順位が1番目で。あとは、米中の長年の懸念事項であった寄港問題に関する合意が達成した。また、サイバーテロが報道されているほど実際はテーマに挙がっていなかったんですね。従って、お互いに合理意識で、まずはこれでいこうということ。一方で、中国はおそらく言葉では従来通りだけれども、米中、このままの対立では中国にとっては得ではないと。そろそろわかるはずです。南シナ海のこの小さいサンゴ礁のために、米中関係の全体が悪くなるということはおそらく得ではない」
反町キャスター
「韓さん、見てもらいたい。チャイナデイリーという新聞がどれほどの意味を持つのかも含めてのご相談ですけれども、チャイナデイリーという新聞に4日付で、王毅さんのコメント、こういうコメントが出ています。『南シナ海問題について、アメリカ側は、いかなる国にも味方しないと表明している。中国とアメリカの関係にとって、この件は問題ではない』と。南シナ海のことは問題ではないですよと、これは先ほどのオバマ、習近平の首脳会談後の発言で、このようなチャイナデイリーの発言が紹介されています。言葉だけを見ると、王毅さんは、南シナ海の問題というのはアメリカと中国の間のしこりにはなっていませんよと。この問題は大した問題ではありませんよと言っているように聞こえるんですけれども。先ほどの習近平さんの、ここは断固として守ると言っているのと、これは大した問題ではないですよという、この習さんの発言と王毅さんの発言。バランスがとれていないような気がするんですけれども、どう見たらいいのですか?」
韓氏
「中国の強気の原因は、これは南シナ海をやってもアメリカ、勝ち目がないです。だから、何も恐れない。やればやってしまえということで、いつでも準備をしている。だから、中国は現在そういう基地ができて、そういう飛行場を整備して、いつでも国の覇権がすぐできるから。そういうことに自信があるんですね」
石客員教授
「ただ、おそらく韓さんがおっしゃっているのは習近平氏の考え方であって、中国全体の国家的意思はまた違うと」
反町キャスター
「習政権の基盤がどのぐらい強いのかという話になりますね」
石客員教授
「それはあとの話」

南シナ海『乱開発』の行方
松村キャスター
「ここからは海洋進出を続ける中国の動きを見ていきます。こちらは、中国が主張する境界線、赤い線で、九段線と呼ばれるのですが、このエリアはフィリピンやブルネイ、マレーシア、ベトナムなどの国が主張する領海と重なっています。中国は、昨年9月スプラトリー諸島に3000m級の滑走路を完成させました。さらに、今年2月にはパラセル諸島に地対空ミサイルを配備。今年3月には地対艦ミサイルを配備したとされています。また、3月にはスカボロー礁、ここの周辺で測量活動を開始。新たな人工島を造成する動きと見られています」
石客員教授
「中国はこれを自分のものだと思っている。もう1つは、力でそれを支配、奪い取る、それが問題の本質です。鄧小平時代ももちろん、主張していますよ。鄧小平時代、胡錦濤政権までも主張していましたよ。しかし、鄧小平の時代、少なくとも胡錦濤政権までは、アメリカと徹底的に対抗をするまでは強く主張しないという。結局、習近平氏になってから、考え方が基本、完全に変わって」
反町キャスター
「変わったというか、要するに、中国の武力が増したということですよね。わかりやすく言ってしまうと」
古森氏
「中国が国力を強くして、支配権、影響力を膨張していくという、これは何も習近平さんだけに限らない。それは鄧小平時代から。だから、それを言うか、言わないか。隠すか、隠さないかの問題であって、かなり一貫として、流れとしてあるわけです。それを現在、どういう方法でやっているのかというと、たとえば、王毅外相が言った南シナ海の海洋問題については、アメリカはどこの国の味方もしないと表明していると、ここで言っているんだけれど、これはとんでもない、言葉の曲解であって、アメリカが言っているのは領有権と領有権のぶつかり合い。これに関してはどちらの味方もしませんよと言っているけれども、では、国際ルールを守ることに対しては必ず守る方の味方をするし、破る方に対してはかなり厳しい態度をとると。これは一貫して中国は国際ルールを破ってきているわけです。だから、現在のアメリカは、ワシントンでよく言われている、言葉はルールベイシスというルール、規則に基づくやり方をしてくれと。それを中国は全然していないと。たとえば、12カイリ。沿岸の領海、12カイリは皆で決まっているわけではないですか。それもわけがわからない。九段線なんてことはまったく国際的に意味のない、どこから誰が言ったのだ、資料の1つでも出してみろと言ったら、これだけ長く経って誰も出さないではないですか。何となく昔から言っているんだよと。点、点、点と9の線を描いたのも、その中は全部自分達のものなんて、こんなものは子供だって言わないよね、普通。だから、それが、錦の御旗になっちゃって、堂々とやっているということで。だから、あまりにも論理的に矛盾している。たとえば、軍事的な方法では解決しない、してはいけないのだということもアメリカは言っている。それも平気で破るし、外交的、平和的にやろうということに対しても破っているし。だから、まず土台が、言っていることがおかしくて、それをやろうとしている方法がもっとおかしいという、それを現在私が言っているような粗雑な言い方でいえば、わかりやすいですよ。だけども、外交、一国の外交が、超大国のアメリカの大統領はそういう言い方をしない。でも、本音はそうです、皆。ブリーという言葉がある。いじめっ子ですよね。中国はブリーだと。そうやって弱い者をみたら、ボカンとやるという、そういうような言葉があって、アメリカの博士号を持っているような中国の学者での間でも、1つの言葉として定着しているというのがワシントンの雰囲気で。だから、結論、この構造的な、どちらがどう欠陥があるのだということは少なくともアメリカとか、日本の国際基準に近い見方からすれば、あまりにも歴然としているという」
石客員教授
「九段線の線の引き方、一目瞭然です。覇権主義そのものでしょう。要するに、人の家の庭を全部自分の家の庭にしてしまうような。あり得ないでしょう、九段線」
韓氏
「これはもともと中国のものですからね」
石客員教授
「いや、だから、それが妄想だと」
反町キャスター
「でも、そこは韓さん、もともと中国のものだということについては、中国のずっと昔の…」
韓氏
「始皇帝時代、大航海時代、ずっと中国の領民達がそこを支配していたんですよ」
反町キャスター
「たまたま一時的に、様々な植民地戦争やら何やらで国力が落ちていたから、領有ができていなかったので、現在、我々が力を取り戻したから、ここのところをかつての時のようにしたい?」
韓氏
「返してもらいたい」
反町キャスター
「返してもらうという感覚というのは、中国の国内においては、13億の皆さんというのは、これは俺達のものだから返してもらう。習近平さんの言っていることは、これは正しいのだと。ナショナリスティックに声があがる?」
韓氏
「そうです。愛国心はここから生まれます」

習主席『辞任要求』の波紋
松村キャスター
「今年3月に、異例とも言える書簡がネット上に公開されました。読み上げます。『習近平同志、こんにちは。私たちは忠誠なる共産党員です。私たちはあなたにこの書簡を書き、あなたが党と国のすべての指導職務を辞めることを要求します。私たちが指摘せざるを得ないのは、あなたは権力を全面的に自分の手中におさめ、直接意思決定を行っているが故に、政治・経済・思想・文化といった各分野において空前の問題と危機がもたらされていることです』というものです。これは全人代(全国自民代表大会)開幕の前日の3月4日に公開されたものなのですが、全人代終了後の3月29日にも公開されています。習主席の辞任を求める書簡がネットに公開されている、この背景を葉さんはどう見ていますか?」
葉教授
「必ずしも現在、中国国内で相当、大きな声になっているとは言えません。ただ、現在、一部の文化人の間では、最も危惧しているものの1つは文化大革命当時、あるいは毛沢東の手法が再来しているのかなという危惧はあります。その中の1つは、表現、あるいはメディアへの取締まりをかなり強化している。もう1つ、いわゆる個人崇拝という、かつて文化大革命が終わったあと、共産党三中全会で明記し、2度とやってはいけないこと。再びちょっと芽生えているなという危惧は正直ありました。その中でプラス経済の、ここのところあまり良くないです。それから、外交に対しても、孤立しているのではないかという読み方もあります。そういった状況の中で、残念ながら一部ですけれども。それに対して、私はこういったことに対して、習近平さん自身の決定ではないかもしれませんが、周りかもしれませんが、何か取り締まりというか、犯人捜しとか、いろいろやっているのですが、これはナンセンスですね。これぐらいの内容なら堂々と習近平さん自身もよく言います。党内において外に対してもどんなきつい意見でも聞くべきだとおっしゃっている以上、これぐらいなら放っておいた方がいいですよ」
石客員教授
「おそらく放っておくことができなくなってきている、理由がありまして、この書簡が出ているのは新疆ウイグル自治区にある無界新聞というニュースサイト。このサイトに関わっているのが実は新疆の自治区政府です。共産党政府です。と言うことは、政府系のそういうニュースサイトに政府のトップ、国家主席の辞任を求めるそういう書簡が出るというのが普段ならば、絶対にあり得ないという話。その背後に何があるかというと実はこの新疆自治区の実質上のトップ、要するに、共産党の書記は張春賢という人です。彼は2010年に、胡錦濤政権時代にここのトップに任命されて、以来、ずっとここでトップを務めてきた。では、彼の背後に何があるのか。実は最近1月、先ほど葉さんがおっしゃった個人崇拝を助長する動きがあったんです。と言うことは、1月から中国の各省、各自治区、日本で言えば、都道府県。共産党のトップの一部が突然、習近平氏のことを党中央の中核、核心と位置づけて、それを擁護する。要するに、習近平氏に対する忠誠心を表す。そういう動きを始めたんです。あとで数えてみたら、だいたい3分の2の地方のトップが皆、同じような発言をしたんです。しかし、問題はあと3分の1の地方のトップ達は一斉に黙ってしまう。決して習近平氏に対し、習近平氏が我々の核心であり、断固として擁護しなければならないという、そういう発言を絶対しない。共産党体制の中でならば、本来はあり得ない話。だいたいそういう発言をすれば、だいたい皆、一斉にやるでしょう。では、この3分の1、要するに、発言をしない3分の1の中の1人がこの張春賢氏です。もう1つ面白いことは、先ほど、この文書が出たのは全人代開幕の当日でしょう。張春賢氏も全人代に参加したのですが、外国の記者が彼に聞いたんですよ。あなたが習近平同志を、習近平総書記を、中核として擁護するという考えかと、彼に聞いたんです。彼がその時にどう答えたかというと、そういう話はあとにしましょうということ。要するに、明言を避けるんです。中国の政治文化の中で、そういう質問に対して明言をしないことは、要するに、私は賛成しませんよということです」
反町キャスター
「習近平体制というのは弱くなっているのですか?」
石客員教授
「現在、共産党の党内でいろんな痕跡からすれば、習近平氏の政治、要するに、この文書が指摘した、権力を全て自分の手に収め、何でも自分が決断をする。それで経済も政治も外交もあらゆる分野において、いろんな問題を起こしている。彼は政治に対して、いろんな意味で、不満、反発が高まって、結構…」
反町キャスター
「汚職を摘発して、薄熙来さんやら何やら諸々を、そういう人達を全部やっつけてというか、追い出して、いわゆる一般民衆の習近平さんに対する支持がすごく高いというのは、これは違うの?」
石教授
「いや、それは一般民衆の一部が当然、支持をするんです。しかし、その代わりに、この腐敗を徹底的に摘発する彼のやり方が党内で逆に反発を招くんです。ただ、中国の場合は民衆が何かを決めるのではなくて、党内の雰囲気で全てを決める。ただ、現在、習近平氏は、ある意味では、この書簡が出たことが、私から見れば、決して偶然ではなく、むしろ党内の非常に大きな勢力が現在、徐々に反習近平に傾いていることの1つ」
韓氏
「私の認識は、改革開放以来、歴史がたどり着いた、中国の建国以来、最も偉大なのは毛沢東。その次は、改革開放の1番の人物は鄧小平。そのあとは中国の強いリーダーシップがなかった。皆、ちょっとこの手あの手、ちょっとやわらかい政治をしていたと。しかし、習近平就任以来、彼はまずはこういう、非常に自分の生死を忘れるぐらい勇気を持って、まずは党内に対しての腐敗。虎もハエも叩くということはもともと勇気が必要。なぜか、根強い官僚達がその中にあるから、それが1つのことで。もう1つは、彼は中国のそういう経済戦略、一気に中国の、そういう経済の基礎から、一帯一路ということを、つくって、要するに、中国は東、西アジアとして世界中に中国の道路を、鉄道とか、そういうようなものが、橋も全部つながるように、そういうシルクロードを新たに建設しようと思っていますね。そうすると、中国の国内にかかわらず、世界の、アフリカといろんな皆にそういう良い利益をもたらすということもできるんですね。だから、そういうことが実現できれば、たぶん歴史上に、彼は最も勇敢で、勇気がある改革開放できる1番の勇者だと思います」
反町キャスター
「そうすると、韓さん、先ほど、石さんが言ったみたいに汚職摘発とかでやり過ぎて、1部の民衆からの支持はあっても党内における習近平さんの人気というのはすごく現在、1部で悪いんだよと。要するに、習近平政権というのは現在がっちりしているのか、ちょっと心配な状況なのか、どうなのですか?」
韓氏
「中国は、中国共産党のみの、そういう政権ですから融通は効かないと、それなりの法律をちゃんとかけることになるので、だから、全ては法律上の、そういう中で、守られる中で、彼は弱くても強くても彼がまだ任期は3年しかなっていない。これから7年間あるから、だから、彼の力はもっと皆の中に、浸透する」
反町キャスター
「習近平政権は磐石なのかどうかをどう見ていますか?」
古森氏
「我々がこの中国の政権構造について語る時、ここは言論の自由、民主主義国の民主主義の場だから、世論であるとか、マスコミであるとか、多数決であるとか、言論の自由とかとそういうことが前提となって話しているけれど、中国というのは共産党の独裁で、野党もない、マスコミもない。世論なんてものはあってないようなものですよ。世論によってそれが民主的な方法で選挙という形で指導者を選ぶというメカニズムがまったくないわけだから、習近平さんがどうして国家主席になったか、我々は見ていてわからないですよ。誰がどうやって選んだのですかと。だから、中国共産党のそういうガチッとした独裁的な強さ。逆説的に言ったら、効率の素晴らしさ。何があっても盤石が如く8000万人ですか、現在党員は。それがエリートというかベスト&ブライテストが集まっていますよ。だから、中国共産党の良いところの1つは実績主義だと思う。実績のある優秀な人が、中国の中で、それで固めて、それで選んだ人だから、こういう退陣を求めるというけれど、これは現在、堂々と出ているわけではないだろうと思うし、そう簡単には揺らがないのだと」
葉教授
「古森さんがおっしゃる通り、共産党政権内部はまったくそんな状況にはなっていませんよ。ですから、1点張りでこうだと、こういう話、日本で公演する時、ネタとしてウケますよ。だけど、まだ現実にはなっていません。これは私ども簡単に期待してしまうのは、あまりリアリズムではないですよ。習近平さんの、特に周りの習近平さんに対するごますりのあのへんの気持ち悪い歌、地方から相当出てきたんですね。あるいはかつての毛沢東バッジのようなものが、今回、チベット代表団がそれをつけたんですね。だけど、面白いのはネット上でさすがに我々の世代、かつて文化大革命を経験した世代ですから、あの運動が一種のワクチンとして体に残っています。似たようなやり方が出たなと感じたら、それに敏感に反応するのは1人、2人ではないです。そうすると、そういった声が現在の時代すぐネットから上がってきて、さすがすぐ削除されました。バッジも外されましたね。そのぐらいの変化です。それ以上の変化もないです」

『パナマ文書』流出と習主席
反町キャスター
「パナマ文書の問題については中国の人達にどのように伝わっているのか?」
葉教授
「まず1点目、既にかなり広く一般の市民の間で知られています。繰り返してNHK放送の話をおっしゃっているけれども、NHK放送だけでなく、CNNとか、しょっちゅう(放送の中断を)やっている。日常茶飯事です。しょっちゅうやっています、基本的には。これは当然やるでしょう、これまでより大きな話ですから。それでかなり広く知られています。皆、携帯で海外の記事をスクリーンショットで撮って、写真をWeChatとか、SNSに出したら、つまり、単語を打たないで、フィルターかからないように皆やっているんですね。それはかなり広く知られています。従って、義理の兄という言葉はこの3日間でWEB上の1番検索回数が高い言葉で、ジョークでかなり使われている言葉です。『これ俺知らない、義理の兄に聞け』とか、というような言葉をこの2、3日で…。そのぐらいですから、もう1つは、この話はまったく正直、軽く、先ほど、相当時間を使って議論した書簡よりこちらの方ははるかに正直、深刻な問題です。と言うのは、現在の政治局常務委員7人のうち既に昨日も続報によって3人の家族の名前が上がっていますので、そうすると、反腐敗の先頭に立っている常務委員自身の家族をどう見ているかと。知られてしまうと非常にイメージダウンであります。従って、今後引き続き、従来通りのパワープレイで反腐敗をやるのか、それともいったんトーンダウンするのか。また、このような話はもちろん、党内上層部、あるいはいろいろなところでも知られています。このネタがどう使われるか」
韓氏
「当然これは歴史上にそんな耳にしたことない大きな話です。金額の大きさ、しかも、現在、最高の指導者ということですので、ただし、中国は習近平さんを潰すためにいろんな陰謀ではないかなと罠をかけている可能性も。現在は人を攻撃して、いろんな物騒なネット攻撃、バーッと広める、有名になればなるほどそういう攻撃をされるというのが皆、面白くて、そういう議論する時代になっているから。私の目で見ると、中国を潰すために何かちょっと仕かけているのではないかなという可能性もあります」
反町キャスター
「陰謀だと思います?」
韓氏
「そういう可能性はあります」
石客員教授
「本来ならば、もし習近平政権が盤石であれば、海外で何が出ようと内部は動揺しない。まさに現在が肝心なところで、このタイミングの問題、先ほど、私が申し上げたようにいろいろな痕跡からすれば、党内でいろいろな派閥、勢力が徐々に反習近平に傾いている。そうなると、この件はいろいろな人々が習近平を攻撃する恰好の材料になる。と言うのは、腐敗的なことを、あんたやっているのではないか。自分の親族をどうするか、ということ。そういう意味では、結構、現在の政権はこの問題にすごく神経質」

米『対中姿勢』の変化は
松村キャスター
「米国外交問題評議会が2月にまとめたリポートですが、『習主席は株式市場の停滞から労働市場の混乱までの失策の全ての責任をとらなければならない』、『中国外交は習主席の国内政治政策にますます振り回されることになるかもしれない』、『国民の関心を経済問題から遠ざけるために近隣諸国に紛争を仕かけ、アメリカと同盟国に対してはより強硬路線をとる可能性がある』というようなことが書かれています。このリポートの内容をどう受け止めますか?」
古森氏
「これは、現在のアメリカのワシントンで起きている中国を巡る動き全体を森とすれば、ここに上げている3点というのは木ですよ。全体の特定の1部、たとえば、労働市場だとか、経済停滞とかは大きな要因ではあるけど、その責任を習主席がとらなければいけないというようなことを誰が言っているのか、これは評議会が言っているのか、どういう形で習主席が責任をとるのかという、非常に曖昧な感じもあるけれど、だから、全体がオバマ政権を中心とした、これまでの対中政策は穏健すぎていると。あまりにも中国のいいなりになっていると。遠慮し過ぎているから、これは遠慮できないのだというふうになってきたという、これが森です。その中で細かいところに入っていくと、こういうことが言えるのではないかということ」

韓暁清 人民日報日本語版『日中新聞』社長の提言:『民間交流強化 経済交流促進』
韓氏
「日本は1番、自分の国力が強くなければ、誰にも頼っちゃいけません。そのために中国も敵にまわしてはいけませんし、だから、むしろ仲良くして、その中でいろんな民間交流を通じて、文化交流を通じて、友達、信頼関係をつくって、中国の経済交流を、利益を得るということは、1番、私は進む道だと思います」

石平 拓殖大学客員教授の提言:『敬遠中国のすすめ!』
石平客員教授
「ある意味で、私は持論でもありますけれど、要するに、日本という国、歴史から見てもですよ、中国大陸に深入りし過ぎた時に、残ることは何もないです。だいたい皆、火傷して帰ってくる。要するに、あまり深入りせずに距離を置いて、是々非々で付き合っていた方が日本のためになる。むしろ中国大陸にくっつけるよりも、日本は中国大陸周辺のアジア諸国とうまくやった方が日本の長期的な正しい外交戦略にもなるのではないかと私は思います」

葉千栄 東海大学教授の提言:『是々非々』
葉教授
「石さんの現在おっしゃった言葉だけれども、是々非々という言葉出たけれど、私と同じ意味かはわかりませんが、日中ともに現在の国際情勢の中で双方の指導者はこれまでよりも世界の声にもっと耳を傾けるべきですよ。世界の風、価値観、おそらくそこで双方とも損をしているところがあります。双方とも脱冷戦の思考様式でいろいろ先を見て、知恵を持って行動すべきです」

古森義久 産経新聞ワシントン駐在客員特派員の提言:『中国の行動にコストを』
古森氏
「これは中国の最近の行動というのは国際規範を無視している場合が多い。それに対して、アメリカも、日本もそうだけれども、そういうことをすると、そのために支払わなければいけない犠牲とか、コストがあるのだよということを。たとえば、中国当局はノーベル委員会が平和賞を自分の国の反体制分子にあげたということに対し、ノルウェーから、ノルウェーの鮭を買うのをやめてしまうとか、コストですよね、これは。中国からモノを買うのをやめる、そういう次元ではないけれども、たとえば、台湾との関係をもうちょっと日本は重視する。中国の嫌がることをすると、日本の利益になるという、皮肉なところってあると思うんです。そういう精神を日本外交に少し取り入れた方がいいのではないかと思います」