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2016年4月1日(金)
検証…日米韓首脳外交 北の暴走どう出る中国

ゲスト

佐藤正久
自由民主党参議院議員 参議院外交防衛委員長
興梠一郎
神田外語大学教授(専門:中国)
木宮正史
東京大学大学院教授(専門:韓国)
渡部恒雄
東京財団上席研究員(専門:アメリカ)
 

緊急検証 日米中韓 首脳外交 各国の『思惑』と『表情』
松村キャスター
「ワシントンで開かれている核安全保障サミットに合わせ、様々な外交が行われています。今回は日米、日韓、日米韓、そして、米中、米韓、中韓など、様々な首脳会談が行われています。佐藤さん、この相次ぎ開催されていた首脳会談、どこに注目をされていますか?」
佐藤議員
「今回は非常に日米韓の首脳会談が2年前のベルギーで行われた時と比べて、中身があったと。2年前はまさにオバマ大統領が日本と韓国の間を取り持ってやった、会うことに意義があったというぐらいのレベルであったんですけど、今回、本当にそれぞれのリーダーの本気度が違っているような感じがしました。アメリカのオバマ大統領にとっては、今回の核セキュリティサミットが最後ですから。ここでしっかりとしたメッセージを出さないといけない。しかも、北朝鮮の問題とリンクしますから。また、現在、共和党の候補者の1人であるトランプ氏が、日米同盟とか、米韓同盟は要らないみたいなことを言っているでしょう。そうではなくて、日韓、日米は非常に大事だということを、民主党の大統領としてメッセージを出すという意味では、非常に、今回、大事だと。また、朴大統領は4月に選挙を控えているんですね、国会議員の選挙が。その前にいかに北朝鮮に対して、強いメッセージを出すかということは与党にとってはプラスになりますから、それも本気度が違ったし。安倍総理もG7サミットの話がありますから、それについていろいろメッセージという意味で、日米韓の首脳の本気度が違ったと。これは日米韓という、この会談の中に成果として表れている。特に私が、防衛とかを担当している人間からすれば、非常に成果物として、日米韓の首脳が、防衛とか、安全保障に関する具体的な措置をしっかりと日米韓でやるようにということを、事務方に指示をするということで合意をしたと。具体的な措置の指示をするということは、ここまでは明確に、しかも、オバマ大統領は数週間から数か月の間という期限まで言った。年単位ではなくて、早くやれと。ここまで言っていますから。かなりいろんな措置、*GSOMIA(軍事情報包括保護協定)を含めて、いろんな面がたぶん出てくるのではないかなと期待したいと思います」

『暴走』北朝鮮への対応
松村キャスター
「今回、相次いで行われた各国の首脳会談で最大のテーマとなったのが、挑発行動をエスカレートさせる北朝鮮への対応です。まず日米韓首脳会談では3か国が核・弾道ミサイル開発を阻止するため、安全保障分野で協力強化。制裁決議や独自制裁の履行を徹底することで一致しています。さらに米中首脳会談では朝鮮半島の非核化追及で一致。制裁決議を完全に履行との方針を確認しています。中韓首脳会談では、習首席が制裁決議を完全かつ厳格に履行すべきと、6か国協議の枠組みでの対話再開に向けて努力をしたいとしています。これに対して朴大統領は、両国の協力が、中韓の協力が朝鮮半島はもちろん、この地域の平和と安定確保にいかに重要であるかあらためて示されたとしています。興梠さんは今回の中国の北朝鮮への対応、首脳会談における対応、どのように見ていますか?」
興梠教授
「そもそも米日韓でやって中国が入っていないというのはそこに距離を感じるんですね」
反町キャスター
「今日やっていた日米韓の場に、習近平さんも一緒に並んで、4人で対北朝鮮のスクラムをと?」
興梠教授
「そこで初めて決意が示される」
反町キャスター
「カルテットと言うのですか、そういう雰囲気を出した方が良かったと?」
興梠教授
「北朝鮮に見せているというか、うちは距離があるんだよと、僕には見える。あとは毎回、制裁すると言うんだけれど、何か月か経ってみると、また貿易が増えているとか。ニューヨークタイムスが今日の記事ですか、実際あそこに行って見てみると、コンテナも5%ぐらいしかチェックをしていないとか。結局1年経って、統計を見た時に貿易が増えたりしていると、ほとんど意味がないのだと。もうちょっと見てみないと。今回も北朝鮮(問題で)日米韓と距離を置いているような感じがするので、中国にとって北朝鮮はとよく言われますけれども、バッファーゾーンではないですか、緩衝地帯。その体制ですよね。要するに、独裁体制。共産主義の体制を、僕はベルリンの壁と呼んでいるんですよ。あれが崩れると、一挙にアメリカの影響力が、韓国を経由して入ってくるわけでしょう。それが1番プライオリティとして高いと思っているんです。あとはだいだい2次的な問題なので、あの体制を維持することに、自分のメリットになるという部分が中国にある限りは永遠にこの距離は縮まらないので、暫くすると相変わらず…」
反町キャスター
「変わらない?」
興梠教授
「また、そういうブレーキがかかるのではないでしょうかね」
反町キャスター
「そうすると、今回の米中首脳会談で言った、非核化追及で一致。制裁決議を完全に履行というのは、これは嘘?」
興梠教授
「いや、嘘と言うか、完全に正直そのあたり6か国協議の枠組みで対話再開に向けて、いつも中国だけがこれを言うではないですか。そこに結局、話をまた持っていく。また、元に戻してしまえというわけですよ。結局6か国協議は何も決まらない」
松村キャスター
「渡部さんは、アメリカの北朝鮮に対する本気度をどう見ていますか?」
渡部氏
「本気度というのはどのぐらいまでの本気度か。1990年代とか、北朝鮮が核兵器をつくったら、そこはレッドテープで軍事攻撃も辞さないというポジションをとっていたんです、かつては。もうそんなポジションはとっていないでしょう。つまり、そこに戻る本気度はないということ。と言うのは、これはアメリカがというよりはオバマ政権がといって言いと思いますが、オバマ政権の優先順位においての北朝鮮はそれほど高くないと。なぜかと言うと、あと1年しかないので。その間にできることと言ったらということですが、オバマ政権がいくつかレガシーというか、遺産としてやろうとしていることは、核というのがあるんですよ。なぜかと言うと、オバマ大統領は核なき世界と言って大統領になったわけで、核の不拡散、それから、核を移転させない、不拡散。同じ話ですけれど、核開発させない。その成果で挙げているのはイランですよね。イランで成功して、北朝鮮は難しいだろうなと思って、戦略的忍耐と言ってやらなかったわけです。では、やるかというと、たぶんやっても無理だろうと思ってやらないわけですね。ただし、この機会を利用していろんなことを考えています。たぶん日米韓、これは何とか関係を強くしたいと思っていて、それの最高にいいタイミングですから。それから、実は中国の南シナ海での行動監視でもアメリカのオフィシャル、政府の人ともちょっと話をしたことがあって、東南アジアがすごく中国に対して警戒を強めているので。要するに、すぐは無理だけれども、ジワジワと中国に対する警戒感のあるグループを、アメリカ側に付けてつくりたいと思っていて、つまり、南シナ海と同じ理屈で、日米韓ができているというのは非常にいいわけですよ。ですから、そこはその部分では本気でしょう。ただし、先ほど、言ったみたいに北朝鮮の核に対して武力攻撃も辞さないというのは絶対ないわけです。見越しているわけです、おそらく北朝鮮が。ですから、そこがオバマ政権というのは、実は非常に賢いようでいて、意外に賢くない部分もある。舐められるとダメだというところですね」
反町キャスター
「木宮さん、北朝鮮がアメリカをなめているのかどうかはわからないですけれども、今日、敢えて言いますけれども、また、ミサイルを撃ちました。ワシントンでも首脳外交に反応するかのように、今回100kmだったのですけれども、日本海に向けて発射をしています。今日に関して、たとえば、このタイミングで北朝鮮がミサイルを撃つと、どういうメッセージを国際社会、ないしはワシントンに対して発していると見たらいいのですか?それとも、ただの軍事演習ではまさかないですよね?」
木宮教授
「そうですね。現在、実際に米韓軍事演習が行われて、それに対して昨日、北朝鮮の外務省の声明も出たわけですけれど。ともかく北朝鮮から見ると、その中で言っていることは、北朝鮮の国家としての自主権を侵すようなことは絶対に許さないと。それに対しては、いわゆる対抗すると言っているわけなので。まさに軍事演習とか、国連決議を、安保理決議もそうですし、今回の核セキュリティサミットでの、北朝鮮に対して非常に非核化の圧力というのをどんどんかけているわけだけれども、北朝鮮としては、そういう、あくまでこれは核の問題は、自主権だということを言っているわけなので、それに対して、決して屈することはないぞという政治的なメッセージではないかと思います」

韓国への『THAAD』配備
松村キャスター
「その北朝鮮への対抗策として、米韓で配備が検討をされているのが、この地上配備型迎撃システムTHAADです。このTHAADシステムは付属のレーダーが北朝鮮だけでなく、中国の広範囲を監視できるとして、中国が配備に批判的だったんですね。今回、会談では習近平主席がこのように直接、釘を刺しているんですね。佐藤さん、それぞれの思惑をどのように受け止めていますか?」
佐藤議員
「中国にとっては嫌に決まっていますよ。THAADミサイルというのは、TPY-2レーダー、Xバンドレーダーというのがパックですよ。そのレーダーがだいたい1000kmぐらいはぼんやりですけれども、探知してしまうとなると、それは中国も反発しますし、ロシアも嫌がっています。そういう状況を見て中国が当然、それをうんと言うわけはないし。ただ、これは配備が決まったわけではないです。配備について協議を始めただけなので、これはいいカードに使われるんですよ。要は、中国が北朝鮮に対してしっかり制裁をやりなさいと、決議を守りなさいというためには、この協議をずっと継続するというのは、逆にそれはプレッシャーになりますから。いろんな面で、このTHAADというのは実際の外交カードとして使えるのだと思います」
反町キャスター
「興梠さん、習主席の発言というのは、オバマ大統領に中国の安全保障上の利益を損ねるのだと言っているとか、朴大統領に対してもそうした言行は避けるべきだと言って、習主席の発言というのは、中国系のメディアから、どんどん出されているんですよ。欧米向けのメディアからはあまりそのような話は取りきれないですけれど、正直、僕らの取材をした限りではですよ。中国側が、習主席の発言の発信を盛んにやっていること。これはどう見たらいいのですか?」
興梠教授
「来年、党大会がありますし、権力闘争がすごい時期ですよね。それで昨年に株価が大暴落して、そのあとの処理が非常にまずかった。人民元も切り下げたはいいけど、どんどん下がっていった。この2つが失敗と言われているんだけれど、これはかなり欧米で批判されているんですよ。要するに、経済の運営能力が、この人はないのではないかとまで言われているわけです。格付け会社の格付けが下がる、ムーディーズとか、S&Pとか、これまで共産党というのは、政治が強面で一党独裁だけど、スーパーマンだからいいではないかという見方があった。ところが、独裁者で凡人だったら大変だな、まで言い始めたわけですよ。欧米のメディア、かなりそういうのが増えているんですね。と言うことは、彼も感じ取っている。要するに、この人は強そうに見えるけど、ちょっと政権運営能力はどうなのだろう。経済は立て直せないわけではないですか。だから、そうすると、余計、外交で点を稼がないといけない。それでアメリカの政府筋とか、学者達がそれを懸念しているんです。毛沢東もそうだったけれど、経済政策で大失敗して数千万人を餓死させた。それをカバーするために、さらに大躍進をしようと政治運動をやったわけですね。これは個人崇拝とか、神格化とか、習近平さんがやっているわけですよ。民衆を味方に付けて、ポピュリズムで政権を維持するわけ。周りにいる共産党の党員は敵と。そこを飛び越えて民衆を味方につける。民衆が1番興奮するのは、対外的に強さを見せつける。経済がガタガタになればなるほど、そこで点を稼ぐ。それがアメリカが非常に心配している点。心配をしているんですね、実は」

日韓『GSOMIA』締結への課題
松村キャスター
「安全保障上の危機の際に、非常に重要なのは軍事的な情報の共有です。実は日本とアメリカ、アメリカと韓国の間では情報が共有されているのですが、日韓の間では、このGSOMIAと呼ばれるものが締結されていないために有事の際の影響が懸念されているんです。これについては日米韓首脳会談では早期締結を含めて3か国で安保協力に関する協議を進める方針で一致しました。中谷防衛大臣も締結に向けた働きかけを引き続き、行っていきたいと、非常に積極的なのですが、一方で、朴槿恵大統領に同行している韓国のキム・ギュヒョン外交安保首席秘書官は、まだこの問題は韓国内で環境づくりが必要だと。このように慎重な姿勢を示しているんです。木宮さん、なぜ韓国はこのGSOMIAに対して、このように慎重な姿勢をとっているのでしょうか?」
木宮教授
「記憶に新しいところでは2012年に実はGSOMIAは締結直前になって、韓国の方から、いわゆる国内の合意が得られていないということで、本当に直前にキャンセルになったんです。そのあと李明博大統領の竹島上陸があって、日韓関係がかなりおかしくなってしまったわけですけれども。そういうある種のトラウマがあるわけですけれども、韓国から見ると、1つは安全保障の問題と歴史問題というのが非常に密接に関連をしているので、例え、日本との必要性があったとしても、日本と安全保障上の関係を強化することについて、歴史を持ってきて、かなり慎重にならざるを得ないという国内の雰囲気があるわけですね。そうすると、それをある種、乗り越えてまで、日韓のGSOMIAが必要だと、韓国政府が国民に対して、どう説得をするのかというのが、1つ問題として残っている」
反町キャスター
「佐藤さんの立場から考えた時に、北朝鮮の核という軍事的脅威がかつてない所まできている現在というのは、韓国の国内を見た時に、こういう脅威があるのだから歴史的な問題を抱えている日本とも現在の安全保障のためには、GSOMIAのような、情報共有をやらなくてはいけないと国内を説得する、ずっとこれまでこられた中で最大のチャンスだと感じますか?」
佐藤議員
「非常にそういう面では北朝鮮対応というので、現在、日米韓が非常にいい形になっていますから。いいと思います。ただ、若干懸念は、韓国の国会議員の選挙がありますよね、4月に。その時、1つの争点は北朝鮮というよりも経済の問題と言われている、国内経済。中国は非常に貿易が下火になっているのに、韓国の経済が非常に弱い、そこは非常に困っているという時に本当に中国と袂を分かってまで、GSOMIAにいくのかと」
反町キャスター
「日本と情報共有を結ぶということは、中国との経済の関係を切ることになる?」
佐藤議員
「という側面も、ゼロではないと思います。中国というのがないと、たぶんGSOMIAは語れないと思うんです」
木宮教授
「もちろん、韓国がGSOMIAを2012年に決裂した背後の1つの理由としては、その当時としては、韓国の、だんだん中韓関係が韓国の北朝鮮政策を考える場合に重要であると。それから、経済的にも中国に対する依存というのは既に日米合わせたよりも依存度が高いわけですから。そういう側面で中国を念頭に置いて、果たして、日韓のGSOMIA、つまり、安全保障上、新しい日韓関係を制度化していくことが中韓関係にどのような影響を及ぼすのかということに対する、ある種の懸念が存在したことは事実です。現在、反町さんがおっしゃったように、現在の状況というのは北朝鮮の核ミサイルがあり、さらにはどうも韓国から見ると、これまでは韓国からすると中国が北朝鮮の挑発を抑えてくれるのではないかという期待があったわけだけれども、その期待がどうも裏切られたとまでは言いませんけれど、ちょっと信用できなくなったと。そうすると、韓国としては安全保障上、もちろん、米韓同盟が主軸ですけれども、それをさらに補完するためにも日韓の何らかの安全保障の枠組みが必要ではないかという議論が出てくる可能性は高いと思います」

中国『南シナ海』覇権
松村キャスター
「米中の南シナ海問題について、対話をどう受け止めますか?」
佐藤議員
「習近平国家主席のコメントは強いです。核心的利益という、南シナ海を核心的利益とも取れるような感じで言っているではないですか。これは、核心的利益はかなりあとには引けませんから。そこまでの覚悟があるということを、本当にこの通り言ったとしたら、相当強いメッセージですよね。南シナ海は一歩も譲らないという意思表示を国家主席が言ったのであれば、本当にこのように言ったのであれば、かなり強いメッセージだと思います。先ほど、興梠さんが言われたように、国内的にそれだけきついのであれば、ここまで言うということも理解はできますけれども、このタイミングでここまで言うのかなと。実際に今回、米中首脳会談のあとに米韓首脳会談があったんです。米中首脳会談の時間がすごく伸びてしまって、かなり朴大統領は待たされたらしいです、かなり。相当、この米中首脳会談はいろんな面であったと思いますよ。しかも、この問題であればオバマ大統領は譲ることできないし、しかも、航行の自由を口実に中国の主権、これを害すことは許さないと。アメリカが1番、南シナ海に入ってきて、いろいろやっているだろうと。そこまで言っていますから。すごいと思います、これは」
興梠教授
「核心的利益の範囲がどんどん広がっているので、あと自分が核心になろうとしているということが、実際に核心意識を持てというカリスマ運動をやっていますから、こういうスタンスというのはこれまでの中国の歴代の指導者、毛沢東は別として、鄧小平、江沢民、胡錦濤というのは鳴りを潜めて、黙々と経済成長に務めろと言っていただけですよ。ところが、習近平さんというのは、やることはやるという路線なわけです。実は中国国内にもあまりにも敵をつくり過ぎたという見方あるわけですよ。それで現在、一部公開書簡として、辞めてくださいという、辞任要求書簡というのが中国の公式メディアに出てしまって、もう大騒ぎになっています。20人ぐらい拘束していますが。その中に、外交であまりにも敵をつくり過ぎた。北朝鮮も入っていますし、その結果、日本とか、韓国とか、アメリカが組んでしまったと書いてあるんですよ。ASEAN(東南アジア諸国連合)も含め。だから、やり方があまりにも強引過ぎるという見方が、実は党内から出たのではないかと言われているんです」
渡部氏
「現在の議論だけしていると、アメリカはすごくこの話ばかりを一生懸命やっているように見えてしまいますが、本当にアメリカが現在、一生懸命やっているのはシリアの情勢をどうしようかということで、イスラム国もそうですし、それこそロシアとの駆け引きもあるわけですね。こちらはそれほどでもないということが1つ。もう1つは、中国との協力の中で実はレガシーが…。オバマ大統領終わりのレガシーの1つに、地球温暖化対策、これを中国と合意して、履行というのが控えていまして、これは中国側もわかっていて、自分達は球を持っているのだと思っているわけです。オバマ大統領に対しての牽制球もあるわけです。あまり強く言い過ぎてしまえば、そちらもへそを曲げちゃうよというのもあるわけですね。お互いにそれぞれのカードがあって、やりとりをしているというのが1つあると思います。あとオバマ政権の弱いところ、先ほどもちょっと言いましたけど、東アジアよりももっと大変なところを抱えているというところは見透かされていますよね。それから、地球温暖化という部分でオバマ大統領がレガシーをつくりたいところでは中国が合意することが鍵なので、これは。これも握られている部分がある。だから、弱みは握られているところも実はあるということが1つですが、ただし、同時にこの話に関してはオバマ大統領が強く言ったからって、中国側もオーッと思うかというと、そういう外交ではないので、オバマ外交は」
反町キャスター
「どういう外交なのですか?『航行の自由作戦』は張子の虎にもなっていない?」
渡部氏
「もちろん、牽制にはなっています。だって、きちんと口だけではないですから。ちゃんと軍を派遣してやっていますから。これは最低限の話、最悪の状況までいかせない。それから、同盟国を安心させる、そういうことあります。ただ、それ以上の強い力というのはあまり出すつもりはたぶんないでしょう。なぜかと言うと、やったからといってすぐに結果は出ないし、やったからといって中国側が言うことを聞いてくれるとは思わないし、かつやったからといって中国側が、たとえば、代わりにマイナスなこと、たとえば、地球温暖化に協力しないということはあっても、それをやったから中国側がおとなしく引き下がるとは思えない。先ほどの話もありますけれども、中国の行動、かなりの部分に内部の国内的な問題があるわけでアメリカとの関係だけでやっているわけではないですから、と言うことを考えると実はオバマ政権というのは冷静に対処しているとも言えるわけです」

沖縄『普天間基地移設』
松村キャスター
「日米首脳会談では、辺野古移設についてオバマ大統領が『日本政府がなぜ(沖縄県との訴訟で)和解に応じたのかわかりづらい』と懸念を表明しました。これに対し、安倍総理は『急がば回れの判断のもと、和解を決断したものである』と説明しました。オバマ大統領は『首相の戦略的判断として理解し信頼する』と応じたと言いますが、これは」
佐藤議員
「本当に懸念を示したかはわかりませんけれど、話題になったのは間違いないと。今回の辺野古の移設が和解ということで、若干、工事が遅れるかもしれないと話題になったのは間違いないとは思いますが、結果的に日本政府は和解についても外交レベルで情報交換していましたから。これは万が一、裁判で逆に負けたりしたなら、もっと時間がかかるということを伝えていますから、まさに急がば回れと、そういう形で伝えたというのが間違いないのではないですかね」
渡部氏
「逆を考えて見てくださいよ、もしこれが沖縄県と政府がガチンコ対立になってしまってトラブルが起こるというのがあったなら、たとえば、デモが発生するとか、それが現在の国際環境の中で日米(関係)がちょっと緩んでいるみたいなメッセージを北朝鮮、あるいは中国に送るのはよくないではないですか。それはやっぱり戦略的判断ですよね」

いつ動く 『慰安婦問題』
松村キャスター
「慰安婦問題ですが、昨年暮れに、日本政府が10億円程度を拠出、韓国政府が慰安婦少女象の移設について解決に努力すると合意したのですが、今回この合意を再確認しただけということですが」
木宮教授
「韓国としては総選挙を控えていて、この問題を動かすことをある種、野党が現在批判しているので、それを総選挙後にもっていきたいということが1つあるかと思うんです。それから、もう1つ、おそらく総選挙後、現在の現状だと与党がある程度勝てると思うんですけれど、そのあとで、財団の設立ということになるかと思うんですね。ただ、問題なのは日本の1部では、要するに、財団を設立するための10億円の拠出に、少女像の移転という問題をある種、条件として考えるということがあるかと思うんですけれど、これは、私は不可能だと思います。少女像の移転を条件として、財団の設立をするための拠出をするということは、これは韓国側がかなり難色を示すというか…」

興梠一郎 神田外語大学教授の提言:『中国の民主化』
興梠教授
「私は日本の外交というより、要するに、ヨーロッパで考えてほしいですけど、イギリスとか、フランスとか、ドイツとかに、東アジアがそうなるの1番いいわけです。要するに、お互いに民主主義体制で話が通じる。ところが、北朝鮮とか、中国はベルリンの壁がまだあるわけです。それが崩れないと、話も合わないですね。たとえば、同じ中華民族と言いますけれども、では、台湾はどうなのですかと。話がいろいろ合うわけですよね。韓国と日本も問題はあるけれど、理性的に解決できますよね。お互いに脅威ではないですよね。ですから、世界第2位の経済大国になったって中国は、大国の中で唯一の独裁体制をやっているわけです。これが終わらないと東アジアの安定はないので、中国の外交も変わりようがない。だから、民主化ということ」

木宮正史 東京大学大学院教授の提言:『選択の幅とプレゼンス』
木宮教授
「私は、米中関係の中で日本外交をどうもっていくのかという場合、日本外交としては選択の幅を広げながら、それでも埋没しないで、日本外交のプレゼンスをいかに高めていくのかと。そのためには日本と朝鮮半島の関係、特に日本と韓国との関係というものをいかに日本が戦略的に利用することができるのかと、それが重要だと思います」

渡部恒雄 東京財団上席研究員の提言:『朝鮮半島は日本列島に突きつけられた匕首』
渡部氏
「朝鮮半島は日本列島に突きつけられた匕首(あいくち)、ナイフです。これは昔から言われている、つまり、日清戦争、日露戦争、この時代からです。つまり、日本が大きな戦争をやる時は、朝鮮半島が敵対勢力の手に落ちることを防ごうと思って、戦争することが多いです。つまり、実は韓国という国がアメリカの同盟国で在韓米軍がいるせいでどんなに日本が安定しているか、しかも、どんなに軍事費を割かないで済んでいるのか、このありがたみを考えれば、あまり細かい感情的なところで韓国と仲違いしているよりは仲良くした方が、しかも、アメリカとの関係もスムーズにいくし、日本には戦略的に有利になる、ここですね」

佐藤正久 自由民主党参議院議員の提言:『日米、米韓→日米韓協力』
佐藤議員
「私は日米韓の協力をさらに進めようと。現在、日米とか、米韓はできているんです。渡部先生が言われたように、まさに朝鮮半島は他人事ではなく、日本の安全保障に直結する。日米韓の連携ができていない。たとえば、韓国にいる邦人を輸送する訓練も日米韓でできていないです。それを含めて、韓国をいかに日米側にもってくるかというのが大事だと思います」