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2016年3月17日(木)
北朝鮮の止まらぬ暴走 韓国『急旋回』と中国

ゲスト

森本敏
拓殖大学総長 元防衛大臣
村井友秀
東京国際大学国際戦略研究所教授
李洪千
東京都市大学メディア情報学部准教授

中韓『蜜月』から急旋回? 韓国外交と半島情勢の行方
秋元キャスター
「まずは韓国の外交を語るうえで外すことができない北朝鮮を巡る動きを見ていきたいと思います。1月6日、北朝鮮は水爆と称する核実験を行い成功したと発表しました。これに対して韓国は昨年8月以降、中止していた拡声器による宣伝放送を再開しました。さらに北朝鮮は2月7日に事実上の長距離弾道ミサイルを発射。これを受けて、韓国は南北協力事業であります開城工業団地の操業を全面中断しました。3月2日に、国連安保理が北朝鮮の制裁決議を採択すると、その翌日、北朝鮮は短距離の飛翔体6発を日本海に発射します。3月7日、韓国とアメリカが過去最大規模となる合同軍事演習を行うと、北朝鮮は短距離弾道ミサイル2発を日本海に発射しました。韓国と北朝鮮は応酬する形でのにらみ合いが続いているんですけれど、森本さん、現在の半島情勢に対する韓国の危機感、どう見ていますか?」
森本氏
「韓国は北朝鮮がこれまでになく…、4回目の核実験と言っても、水爆は成功していないと思いますが、少なくとも2006年から3年毎、2006年、2009年、2012年。2015年がちょうど3年だったけれど、1月6日ですか、今年にカレンダーが繰り下がっただけで、事実上3年に1回、ここのところ4回、核実験をやってきたんです。他の国、たとえば、アメリカとロシアの例を見ても、4年、6年ぐらいで、核実験を始めてから小型化に成功をしているので、過去10年の核開発を見るとだいたい小型化に成功しているという可能性が、まったく排除できない状態にあるのだろうと思います」
反町キャスター
「北朝鮮が、独自にこういう小型化、ないしはミサイルに載せるという技術を開発している、取り組んでいるということの背景に、たとえば、国連における国際社会の圧力。これはどちらが先かという話になるんですけれども、国際社会の圧力や経済制裁みたいなものが、かえって彼らにこういったものを急がせている可能性はありますか?」
森本氏
「いや、急がせているのではなくて、国連の制裁がいつになく厳しいものであるので、それに対する反発というものと、それから、アメリカと韓国がともに抑止力を発揮させようとしているので、それに対して我々がそういう力を打ち破る能力を持っているということを政治的に見せる、ある種のデモンストレーションとして、少し子供騙しっぽいですけれども、こういうのを見せるということをやって、国内の士気を高めるということなので、専門家が見たらちょっといかがわしいという感じがするんですけれども。それでも十分に政治的効果があると北朝鮮は計算をしたということではないかと思います」

韓国世論と政府の姿勢
秋元キャスター
「李さん、韓国の世論、半島情勢はどういうふうに見ているのでしょうか?」
李准教授
「核の問題というのは、北朝鮮と南の問題ではないということがあるんですね。なぜかと言うと、朝鮮戦争が平時における、戦争における内容においては、核を使うことは南に対してのものではなくて、アメリカに対してのものであるということなので。その意味で、核問題においては韓国側が持っている危機感は日本が感じるものとちょっと違うものがあると」
反町キャスター
「韓国の人達は、北の核は韓国向けではないと思っているのですか?」
李准教授
「韓国は十分、現在でも脅威と思っています。なぜかと言うと、ソウル市内が北朝鮮のミサイルの射程に入っていますので、そのような現実的な脅威というものが存在しているわけなので、その意味で、核の方は本当にすぐにでも飛んで来るミサイルの脅威とはまたちょっと違う次元の脅威ということです」
反町キャスター
「そういう前提に立った時に、世論調査の結果をどう見るかというのが、次の質問になってしまうのですが、韓国が北の核を自分の国に対する脅威と見ていないにもかかわらず、韓国の世論調査。韓国の核保有に賛成するという人が聯合ニュース・KBSの調査だと独自開発だけではなくて、在韓米軍が核を持つことも含めて賛成という人が52.5%。中央日報の調査において核保有についてどうですかという、この質問に対しては67.7%。これは3分の2ですよ。3分の2の人達が、韓国は核を持つべきであるという意見を出している。韓国の人達が本当に北の核に対して、自分の国に対する脅威だというふうに思っていないのであれば、ここまで強めの反応が出る?どう見たらいいのですか?」
李准教授
「それは、たとえば、核を、強い武器を持つべきですかという質問をした時に、それはないよりは持った方がいいでしょう」
反町キャスター
「そんな言い方と言ったら変だけれども、そんなシンプルなやり取りのものなのですか?」
李准教授
「それは、なぜかと言うと、韓国の方は核を持っていないということを世界で約束をしているわけですし、もちろん、朴正煕大統領の時にそのような動きがありましたけれども、核を真剣に戦力として持った方がいいと実際に、現実に思う人はそれほど多くないと思います」
反町キャスター
「それでは、国民の中においてもこれは思っているだけで、実際に持つかどうかは別だと皆、大人の理論で、口では言うんだけれども、実際に持つことはないよねと。タカをくくって賛成しているということですか。もっとわかりやすく言うと、この賛成の人達が、たとえば、韓国はもうじき総選挙がありますよね。一部の政党が、我々が国民の想いを実現するために、韓国は核武装を推進するということをどこかの政党がそういう形で訴えて、その政党が伸びるような、政治的なパワー、源泉になるような、そんなことはないですか?」
李准教授
「まずそんなことはないと思います。なぜかと言うと、既に韓国のセヌリ党と民主党が、政党公約を発表しているんです。10個の公約を発表しているんですけれども、その中に核という文字は1文字も入っていないですね。それを政治的な公約にして、票を得るということはまず韓国政治にはないと」
反町キャスター
「あまりにもカードとして危険だという意見もありますよね?」
森本氏
「朝鮮半島は、李先生がおっしゃるように、相手が第1撃でソウルを攻撃できる量としての通常戦力を持っている。これに対して核で抑止ができるのであればいいのに、在韓米軍は核を引いてしまったし、韓国も核はないし、北朝鮮は通常戦力だけではなくて、核兵器もいよいよ持つという段階になっていると。何で抑止ができるのだというと6か国協議もうまくいっておらず、北朝鮮に時間だけ与え、彼らの核兵器がどんどん現実に近くなっている。つまり、何の抑止もないではないかという不満と不安感というのがあって、率直に言うと、オフセットの手段がない不安感というものが」
反町キャスター
「オフセットの手段というのはどういう?」
森本氏
「つまり、相殺できる。何かで相殺できない、バランスが取れない。手段もない。それに対してアメリカを頼ってこれまでやってきたのだけれども、それが、信頼性が低くなっているというのであれば、自ら持つ方法しかないではないかというのが、この核保有論の根拠だと思いますね」
反町キャスター
「韓国における核保有論の台頭というのは、増えているのは、アメリカに対しても期待できないよねと。自分の国は自分で守るという…」
森本氏
「ちょっと言い過ぎですけれども、核の抑止というものに対するクレディビリティ、信頼感というのが、これが彼らパーセブションの段階ですけれど、パーセブションとして低くなっていると思っているんです。実際はそうではないですけれども、現に核で脅威を受けたら、本当にアメリカの核の抑止が機能するのかという不安感に対する答えとして、自分達で核を持っていないと抑止ができないねと。それをオフセットできないねという、そういう結果がこの数字に表れていると」
反町キャスター
「本来、そういう意見に対しては、朴大統領が、いや、そうではないんだよと。我が国は米韓安保条約、米韓安全保障体制のもとで、ちゃんと国内になくてもという、そういう説明を」
森本氏
「大統領が正しいです。大統領の考えが正しいです。だけれども、韓国は中国にずっとこの3年間依存し、頼って、中国こそ北朝鮮の核を止めることができるのであって、日米韓の連携によってできるのではないということで、経済だけではなくて、安保も中国に近寄っていったんですけれども、実はどんどん醒めてきて、そうではないと。中国が抑えてくれるわけではない。現に核開発が進んでいるではないかという国民感情は中国離れという論理と、核保有論というのはリンクしているんです」

THAAD配備…韓国の姿勢
秋元キャスター
「続いて、韓国外交の姿勢の変化が表れた事例として、アメリカが配備を予定している弾道ミサイル迎撃システム、THAADを巡る動きに注目していきたいと思います。そもそも韓国はTHAAD配備に慎重な姿勢をとっていたんですけれど、2月7日に北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射すると、韓国はアメリカとTHAAD配備に関する協議を行うと。その日のうちに正式発表をしました。これに対して中国は、THAAD配備は地域の戦略的バランスを崩し軍拡競争をもたらすとして反発しています。韓国はいったん中国に配慮をしたかのように実務協議を延期すると発表したのですが、結局今月4日から実務協議を開始しました。森本さん、もともと韓国は、このTHAAD配備に慎重な姿勢だったわけですけれども、最終的に協議開始に舵を切った。これはなぜ韓国はTHAAD配備に舵を切ったのでしょうか?」
森本氏
「韓国はこれまで、経済的にも、安全保障面でも、政治的にも、昨年の抗日戦線記念日が象徴ですけれども、朴槿恵政権が始まって以来、中国にずっと依存をして、中国との関係を最も優先する、重視するという対応に出ていたわけです。昨年から実は米韓でTHAADの議論は始めていたのですが、アメリカも、韓国も、THAADについては、米韓で話していません、協議をしていませんといって否定をしてきたわけです。それは、中国が在韓米軍のTHAAD配備について、韓国に反対をしろという圧力をかけてきたので、韓国としては米中の間に挟まって、困り切って、否定的な判断をしていたのですが、いろんな議論が現在からありますが、いずれにせよ、1月に核実験があって、2月に弾道ミサイルを撃たれて、この事実があっただけではなくて、その時の中国の対応が非常に韓国にとっては冷たくて。たとえば、1月6日の核実験のあと、国防長官、あるいは朴槿恵大統領、中国、李ホットラインでコンタクトをしようとしたけれども、電話にも出てこないという対応に出たので、これは中国に依存して、国家の安全保障をやっていても無理であるということで、米韓でTHAADの協議を始めますということを、公に大統領が言い始めたわけですね。THAADが何かという議論はともかく、THAADそのものは日本の持っているパトリオットのPAC-3を、もう少し範囲を広く、高い高度で対応できる迎撃用の弾道ミサイル防衛システムです。これを在韓米軍に配備するということなのですが、これ自身、中国が反対する理由は、このミサイルそのものよりも、このミサイルを運用するのに必要なTPY-2レーダーという、Xバンドレーダー。Xバンドレーダーというのは、入ってくる弾道ミサイルを早期警戒するレーダーで、このレーダーがあって初めて、このTHAADが撃てるわけですね。THAADの射程とか、範囲というのは限られたものでして、中国領域の中には届かないものですが、このTPY-2レーダーは、中国本土の中の…」
反町キャスター
「図を用意しました。現在、言われました。600kmから800kmの迎撃時の、TPY-2レーダーの探知範囲と、警戒時の1200kmキロの範囲は、どう理解をしたらよろしいですか?」
森本氏
「これはレンジが違うのですけれども、狭いところというのは、小さい枠というところは、まさにどういう角度から入ってきてもいいのですが、この赤いところを見ると、中国の概ね南部、最も重要な地域が全部含まれているということです。ですから、それは何を意味するかというと中国が開発していると思われる中国製の弾道ミサイル、防衛システムをこのレーダーによって早期に探知されるということですから。中国のミサイル防衛システムが無力化されるということですね。攻撃用のミサイルも探知できる」
反町キャスター
「ちなみに、THAADミサイル自体の半径というのはどのぐらいなのですか?」
森本氏
「これは言えないことになっていますが、はるかに狭く」
反町キャスター
「たとえば、この内側ぐらいのものかぐらい」
森本氏
「もう少し…朝鮮半島だけしかカバーしていません。もっと狭いと思います」
反町キャスター
「このぐらいの範囲しかカバーしないミサイルのために、こんなに広いレーダー、探知範囲を持つレーダーを持つというわけですね」
森本氏
「そうしないと早期警戒できないわけですね。この外側のところから入ってきたものに対して迎撃するわけですから。当然、範囲が広くないといけないと。それが中国の中に入っているということは、中国が持つ戦略兵器を、早期警戒できる手段をアメリカが朝鮮半島に持ってしまうということになる。それは中国とこれからのアメリカの戦力バランスにとって非常に中国が不利である。だから、配備するなと言え、という圧力を韓国にかけてきたのですが、韓国がついに手段をこうやって、カードを切って、いよいよ実務協議をアメリカとやるという決心をした」

アジア情勢への影響
反町キャスター
「中国にしてみたら本土が全てアメリカのレーダーの探知範囲になってしまうという、こんなイメージがある?」
森本氏
「そうです。冷戦時代にロシアの弾道ミサイルをアメリカの早期警戒用レーダーで中を見るというのを、すごく嫌がって、ヨーロッパのミサイル防衛システムに、ロシアがすごく反対をしてきたわけです。同じ論理です」
秋元キャスター
「李さん、THAAD配備に関して韓国世論というのはどんな反応なのですか?」
李准教授
「韓国ではTHAADに対して賛成が半分以上、53%を超えているんです。基本的には賛成していると。賛成の世論が半分以上になっているのは、たぶん朴槿恵政権体制に入って、中国に対して、北朝鮮との関係について何らかの役割を期待していると。その期待が、今回かなり朴大統領の面子も潰しているわけなので。その中国に対して安保における期待というのはまずできないということで、韓国も自分の国の国益ということで、このTHAADのことを考えているのではないのかなと。その韓国の中でも配置をしてはいけないという中国寄りの世論もあるし、配置すべきというような両方の世論もあるのですが、その中で最も大事なのは韓国も自分の国益ということを考えて行動をするようになったということが、これまでの中国とアメリカの間で韓国の立場が少々変わっていることではないかと」
反町キャスター
「李さん、でも、現在の森本さんの話を聞いていると、THAADミサイルに関連するTPY-2レーダ―というのは実際のミサイルの範囲はこのぐらいしかなくても、こんなに広い範囲のものまで見えてしまうレーダーが来ちゃうよと。この話、これは韓国の中で、ちゃんと皆さん周知のうえで、もうちょっとわかりやすく言ってしまうとTHAADミサイルを配備することによって、それと一緒に来るレーダーによって、韓国の安全保障ではなく、アメリカの安全保障の中に韓国が組み込まれるのではないかという、そういう議論はなくて、ただ、これで安全になると。そういう議論で○ですか?」
李准教授
「この問題自体はまず韓国が、それに対して選択できるかという点。選択はできない問題ですね。なぜかと言うと、このレーダーは在韓米軍の中に設置すると。それを韓国と議論はするんですけれども、これまでいろんな戦略武器が、韓国の許可のもとで配置されたというのはそれほどないわけですね。だから、このTHAADの配置とレーダーの配置というのは、アメリカの対中国戦略の中で行われることなので、韓国が大きく反対すると、中国が得するかもしれませんけれども、韓国はそのようなことは1つの壁になるのだということを今回、意識をした契機になったのではないかと思います」
反町キャスター
「村井さん、中国はこのレーダー、ミサイルではなく、敢えてレーダーと申し上げますけれども、このレーダーに対してはどういう受け止めなのですか?」
村井教授
「中国はもちろん、反対です。反対なのは、要するに、たとえば、だいぶ前になりますけれども、中国軍の高官が日本のイージス艦を日本にいる時にも反対したんですよ。その時にはっきりと理由は、中国の中距離弾道ミサイルの効果がなくなるからだと言ったんです。その後は一切言いませんけれども、おそらくそれが本音で。現在も中国の中距離弾道弾、射程、中距離ぐらいのミサイル効果を減らすような行動というか、対応というか、そういうものにも反対すると思いますね。と言うのは、中国の現在の基本的な国家戦略は中華民族の偉大な復興というんです。何かわからないかもしれませんけれども、簡単に言うと、英語に直すと、Make China Great Again。要するに、トランプさんの言っていることとほとんど同じですよ。だから、たぶんトランプ大統領になって、アメリカも中国になると思いますけれど、要するに、対外的な影響力を増やしたい。その時に何があるかというと、中国はソフトパワーがないですから。ハードパワーに寄らざるを得ない。ハードパワーというのは中国の場合、経済力と軍事力ですけれども、軍事力、その中国の偉大な目標を達成するためのハードパワーにケチがつくというか、それの力を落とされるということは絶対反対です。だから、どこに置くような形であっても、それには反対をするだろうということになると」
反町キャスター
「森本さん、そこで我々はこういう表を用意しました。今日聞いてきた、韓国の外交姿勢の変化というものを、ここに並べてみたんですけれども、要するに、この時の決定策は中国寄りの姿勢を示したものであると。こちら側に置くと、この時の決定というのは日米側に舵を切った証拠であるというような話で、この1つ1つの項目を聞いていきたいと思うんですけれども、森本さん、たとえば、AIIB(アジアインフラ投資銀行)の参加表明というのは、朴槿恵大統領にしてみたら中国寄りの姿勢の表明?」
森本氏
「かなり中国に同調して、抗日戦線記念日に出た時は1番近かったと思いますね。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加は、これは中国から見るとあまり愉快ではない。米韓首脳会談というのは相当大きいわけですね。ただ、日中韓の首脳会談の時に行われた、日韓の首脳会談はまだそれほどでもなかった。これがかなり日韓の外相会談で、こちらの方に振れて、ここからずっと日米韓の緊密な連携を維持しようとしているということです。すると、こうやって見るとどのへんからかというと10月から11月。米韓首脳会談。実は、この11月の日中韓首脳会談の時に、同日行われた米韓の国防大臣会合。つまり、カーター長官が来た時の会談、これは結構大きい。つまり、アメリカ側の働きかけが相当大きいと考えざるを得ないです。日中韓首脳会談の時の、日韓の首脳会談はまだそうでもなかったです。総理は朴槿恵さんのランチを断って、大使と2人で食事をした。だから、それほど戻ってはいなかったのですが、徐々にずっと戻ってきて、1番重要なのは、1月に核実験をやってから、この時にほとんど切れたんですね。どちらが切れたかというと、たぶん私は中国の方が切れたと。これは韓国の方が完全に舵をこちらに切ったようにも見えますが、しかし、ホットラインに出てこないというのは、中国の方は韓国の心変わりを既に知っていたということですよね。だからこそ電話に出てこないですね」

韓国これからの進路と姿勢は
秋元キャスター
「2015年のチャイナショック以降から、韓国の対中輸出がガッと減っています」
李准教授
「韓国のGDPの21%ぐらいが中国に依存していまして、中国からかなり黒字を出しているので、経済的に中国との関係を切るということは、国内において負担になることは事実ですね。逆に言うと、日本とアメリカにおける貿易が減ったということもあるわけなので、その意味で、貿易で中国依存を増やすというよりは日本とアメリカとの貿易を増やすということで、バランスをとれるのではないかという考え方もあるわけですね」

韓国外交変化を中国は
村井教授
「基本的には、中国から見ると、中国は韓国と対等な国と国の関係であるとは思っていないと思いますよ」
反町キャスター
「属国と見ているのですか?」
村井教授
「属国とは言わないまでも、上下関係があると思っています。だから、中国の国境を見ると中国に友好的な国はほとんどない。全部敵対的で、友好的と言われているのは力にならないラオスとか、ミャンマーも怪しいし、だから、北朝鮮だけが西側の影響を受けない大事な隣国です。北朝鮮は絶対に確保したいと中国は思っているんです。歴史的に見ても高句麗、北朝鮮の北部までは中国だという感覚もあって、非常に思い入れがある。韓国、南朝鮮というのは、中国から見るとプラスアルファで、友好的であればいいけれど、なくても中国の全体の戦略は変わらないです。だから、朴大統領が友好的であった。それは大歓迎ですよね。それをやめた。しょうがないという感じだと思います。韓国を中国側に呼び戻すために何かをギブするというつもりはないと思います」
森本氏
「中国にとって北朝鮮という国は、国家の安全保障上不可欠な緩衝地域ですね。しかし、北朝鮮の政治体制は中国の思い通りになる体制が望ましい。つまり、国と体制というのを分けて考えているわけですね。国はどうしても中国になくてはならない国。現在の政権でなくともよいと思っている。ということは言えるのではないかと思います」
反町キャスター
「韓国は中朝関係の根の深さをわかってなかったから中国に近づいた?」
森本氏
「そんなことはないと思います。十分に知っていると思います。自分達が中国に近寄ると、圧倒的に北朝鮮ではなく、中国の方が韓国をよく理解し、自分達の思う通りにやってくれる。つまり、韓国の思った通り中国は振舞ってくれる。北朝鮮に圧力をかけてくれるし、自分達が困った時に助けてくれると思っていたのだけれど、そんな国ではないですよね。中国は依存すればするほど、冷たくなる。それを韓国もだんだんわかってきて、思い入れをしていたけれども、その思い入れをしていたほど、自分達の国の利益になってくれない中国に醒めた感じになってきた」
反町キャスター
「中国に寄ったり、アメリカに戻ったり、大きなブレを見ても、韓国の人達は、大統領は国益の極限化を求めて苦労されていると見るのですか?」
李准教授
「現在でも支持率は40%になっているわけです。政治家は自分の政治的な信念というものを時期によって選択するという部分で、朴槿恵大統領の方は忠実にやっているという。大きなポイントとしては、韓国は自分の国益を守るためにいろんなチャレンジをしていくということですね。これまでアメリカだけに自分の安全を頼っていたのを、中国の方にもそのような可能性があるのかということをいろんなチャレンジをしていくということですね。それを韓国もできるようになったというのは、韓国の国際的地位とか、南北関係における平常戦力の違いというので、韓国にそれを考えるような余裕ができているのではないかということが言えると思います」

韓国のこれからの進路と姿勢は
秋元キャスター
「韓国は選挙を控えていますが、選挙によって対外姿勢が変わることはあるのですか?」
李准教授
「選挙結果によると思います。現在の与党が現状維持をするのであれば、朴槿恵大統領の外交をそのまま維持することがあると思いますね。選挙で政権が変わったとしても日米韓の連携関係が厳しい関係になるとは考えにくいのではないのかなと」
森本氏
「韓国との関係で、今年の1番の大きな政治課題は、日韓の首脳会談がどういう形でできるか。日中韓の首脳会議、我が総理が議長なので、どの段階でできるかですけど。第3国でやるということは考えにくいですから、結局日本でやる。日本でやることになると、朴大統領の訪日がある。と言うことは、昨年の12月に岸田外務大臣がおいでになった日韓の外相会談の続きをもう1度、日韓外相会談をやって、あの時、文章ができなかった日韓関係の文章づくりをする。それは非常に厄介な問題がある。それができないと朴槿恵大統領の訪日が成功しない。それができないと、日中韓の首脳会談ができない。だから、タイミングと内容が難しい。そこで日韓の路線が敷けるかどうかということ。そう考えると、韓国の総選挙の前にはありえないということですよね。そのあとですよね」

森本敏 拓殖大学総長の提言:『歴史をふまえて冷静に対応すべき』
森本氏
「歴史を冷静に見ながら、あまり感情的にならずに、何が北東アジアの安定に資するかということを考えつつ、こちらが韓国のやることに手を出さず、韓国の政権が国内を統治するやり方を冷静に見極めながら、対応していくということです。日韓の歴史的なこれまでのやり取りをベースにして、感情に走って、両国関係を悪くすることは絶対に避けなければいけないことだと思います」

李洪千 東京都市大学メディア情報学部准教授の提言:『平和第一主義』
李准教授
「仲が悪くても、関係をよくすることは大事。でも、何をしても北東アジアにおける平和をどういうふうに守っていくのか。守っていくことにおいて繁栄があるということなので、些細な対立を両国の発展と引き換えてはいけないということです」

村井友秀 東京国際大学国際戦略研究所教授の提言:『唇歯輔車』
村井教授
「唇歯輔車。これは中国がよく言う言葉で、中国と北朝鮮は唇と歯の関係だと。唇がなくなれば、歯は寂しい。だから、北朝鮮は絶対に守るんだ。同じことを韓国の人にも考えていただきたい。日本と韓国も唇歯輔車。要するに、日本が離れれば、韓国は寒い。だから、日韓関係というものは、韓国の安全保障にとって非常に大事だということをもう1度考えていただきたいと思います」