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2016年3月14日(月)
消費増税・景気・政治 日本を悩ます連立法程式

ゲスト

浜田宏一
内閣官房参与
本田悦朗
内閣官房参与 明治学院大学客員教授
土居丈朗
慶應義塾大学経済学部教授

来年4月の消費増税 実施すべきか?
秋元キャスター
「来年4月に予定されている消費税増税の是非についてゲストの皆さんの考え、詳しくはこのあとじっくり聞いていくのですが、まずは立場をそれぞれ聞きたいと思います。一言ずつ、まず本田さんから」
本田氏
「私は、来年4月に消費税を増税することは絶対にやってはいけないことであると。これをやってしまうと、アベノミクスが失敗に帰する可能性が高くなるという意味で、絶対反対です」
反町キャスター
「その意味で言うと、現在、言われているアベノミクスというのはもともとのアベノミクスには、消費税の引き上げというのは入っていないもの。そういうことですね」
本田氏
「そうです。アベノミクスの考え方と3党合意に基づく消費税増税の考え方は、まったく違います」
土居教授
「消費税増税は予定通りやるべきであると思います。アベノミクスの第2ステージというものが、安倍総理が再選されてから打ち上げられて、これから、まさに、第2ステージで、特に生産サイドに働き方改革を含めて、ないしは第4次産業革命への対応というのも生産性革命投資というのをやっていくと言っているわけですから。まったく矛盾しない消費税増税というのはしっかりやるべきですし、消費増税を先送りすると、最終的には世代間格差の是正を遅らせてしまうという景気よりも重大な問題が残っていると思います」
反町キャスター
「景気へのダメージはある程度覚悟しながらも現在、言われたみたいな世代間格差の是正や財政規律の問題を考えるとやるべきだ。こういう理解でよろしいですか?」
土居教授
「もちろん、景気への影響をできるだけ最小限にするために実質賃金を伸ばすような生産性向上、これが必要だと。これをやるということを、特に働き方改革をはじめ、1億総活躍実現を言っているわけですから、できると思います」
浜田氏
「内容について話すべきであってAかBかということを決める必要はないと思うんです。今日は非常に良いニュースで15%と機会受注が1月に増えたというニュースが入っていまして、こういうことが1月、2月、3月と続いて起こるような状況であれば、日本の政府は、財務省が宣伝するほどではないけれど、決して財源は豊かでなく、また、将来、自転車操業のようにして、現在の世代から借りて、将来の税収をアテにする状態は決して望ましいとも思えませんので、消費税を増税することがあってもいいと思うんです。ただ、3月、4月、事務量とか、技術的な原因で決めなくてはならないのがいつ来るのかが、僕はよくわからないですけれど、それがどんどん近づいてきていて、現在のように世界市場が非常に株価、あるいは円買い、そういうことで不安定になってパニックに近くなっていると。そういう状態で、ここで増税を日本がするという決定をした時は日本経済が、まずダメになって、世界全体が混乱に陥る心配がだんだん出てきたと。だから、そういう意味では、どちらとも言えないの方に私は動いているとご理解いただきたいと思います」

安倍政権『参謀』に問う 日本の景気の現状
秋元キャスター
「様々なご意見がある中で、消費税増税に関する最近の安倍総理の発言をあらためて見ていきたいと思います。1月6日の衆議院本会議では、従来通り、リーマンショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り消費税率の引き上げは確実に実施すると話をしています。1月19日にはまさに世界経済の収縮が実際に起こっているか専門的見地から分析し判断しなければならない。今日の参議院予算委員会では税率を引き上げても税収が上がらなければ元も子もないと。日本経済自体が危うくなるような道をとってはならないのは当然だ。現在そうした重大事態が発生しているとは考えていないと。このように答弁をしているんですけれども、では、日本の景気の現状、どういった状況なのかを見ていきたいと思います。今月の8日に発表された昨年10月-12月期のGDP(国内総生産)の改定値ですけれども、前期比、年率マイナス1.1%と、速報値のマイナス1.4%から上方修正されました。内訳を見てみますと個人消費がマイナス0.9%、住宅投資がマイナス1.2%、設備投資が1.5%、公共投資がマイナス3.4%と、設備投資の上振れなどでマイナス幅が縮小した形ですけれども、本田さん、こういう日本経済の状況、これは先ほどの安倍総理の発言で言う、リーマンショックのような重大な事態なのでしょうか?」
本田氏
「この数字を見る限りリーマンショック級とは言えないと思いますね。ただし、個人消費の前期比マイナス0.9%というのは相当の落ち込みでありまして、いろんな説明がなされています。たとえば、暖冬とか、いろんな政策ではいかんともし難いとおっしゃる方もいますけれど、ただ耐久消費材、半耐久消費財。そういったものが、たとえば、自動車、軽自動車、衣料品、電気製品、そういったものが売れていないですね。ですから、相当、以前からの消費税のマイナス影響というものが現在でも残っているということで、1月も振るわなかった。2月もどうかなと。今年の1月-3月についても、もしかしたらマイナス成長かもしれないというエコノミストも出てきました。最悪2四半期マイナスということであれば、技術的にはリセッション、マイナス後退と言われる状況が起きるのかもしれません。まだそれはわかりません。ただ、リーマンショック級かどうかと言う意味で、まだそこまではいっていないだろう。リーマンショック級のショックが、今年のいつか、あるいは来年のどこかの時点で襲ってくる可能性があります。と言うのは、中国経済は本当に何が起こっているのかわからない。つまり、統計を信用ができないですね。たとえば、国有銀行はともかく、ノンバンクと言われるものがいろんな形でもって、地方自治体、特に地方の共産党幹部に資金を融資していますけれども、これがほとんど不良債権化していると。この金額自身が日本円に直すと300兆円とか、大変なことが言われているわけですね。1番基本的な問題は過剰供給力の問題がありまして、需要供給が激しいギャップを持っています。従って、国有企業にメスを入れないといけない。リストラしないといけない。そうなると、大量の失業者が出ます。そういうリストラをする時は本来、思い切った金融緩和を同時にやっていかないと激しいショックを受けるというのが、まさにアベノミクスの理論ですね。ところが、彼らは金融を現在引き締めています。なぜなら彼らは為替レートを維持しようとして、放っておいたら暴落する可能性がありますから、人民元を買い支えているんです。ですから、マーケットから人民元を買う、買いオペをするということは、ベースマネーを減らしていることになので、いくら金利を低くしようとしてもベースマネーが減っている以上、金融引き締め状態にある。金融引き締め状態にある中で需給バランスを回復しようとしている。これほど危険なことはないです。ですから、中国にとっては、いわば八方塞がりというのか、唯一の、これが正しいという答えがもうない状態です。ですから、私はそれを期待していませんけれど、ハードランディングの可能性はある。そうすると、隣国の日本として確かに輸出のエクスポージャーは少ないかもしれませんけれども、既に投資している日本企業の影響です。それから、中国の経済が混乱することによって被る日本の金融市場、株とか、為替市場。そういったものへの影響を通じる、間接的な影響も含めると、相当な影響の可能性があります。結果、リーマンショック級といってもおかしくないショックがあるかもしれません。これは仮定の話ですけれども」
反町キャスター
「土居さん、現在の本田さんの日本の現状対応の分析。それと楽観を許さないようなチャイナリスクという、この話。2四半期連続でマイナスになったら景気後退だ。リセッションだという、この懸念。そのへんの話をどう感じますか?」
土居教授
「まずリーマンショック級の危機が起こるのではないかという予想が、純粋に経済的な話から出てきているだけならば、まだわかるのですが、選挙が近づいていると。だから、何か言い訳がないのかと聞こえてしまうところが悩ましいところですね。純粋に、本当にそういうことであるということであれば、もちろん、私だって危機についての可能性を計算に入れなければならないと思いますが、1つ、私が現在、用意したのはドイツです。ちょっと映していただきたいですけれども、ドイツは2007年に消費税率を引き上げました。付加価値税と言いますけれど。実はこの時、リーマンショックが襲ってくるとは全然予想せずに、メルケル政権は消費税率3ポイント上げたわけです。そうしたら、その後、リーマンショックが襲ってきました。経済、実質成長率は下がりました。しかし、彼らはそれと同時に、きちんと労働生産性を上げるような取り組みとか、そういうことを一生懸命にやりまして、労働改革を一生懸命にやっていたと。だから、リーマンショックが2009年の実質成長率を押し下げましたが、その後、4%まで回復する消費税率ついては、19%まで上げて以降、下げていないわけです。きちんと財政収支も改善をしていると。こういうことで、もちろん、税収も増えているわけですけれど、失業率も下がっている。こういうことですから、ドイツのようにきちんと消費税率を上げつつも生産性サイドの取り組みもきちんとやり、輸出競争力も伸ばすような取り組みもきちんとやれば、仮に上げたあとに、リーマンショック級のショックが来ても立ち直れる。こういうことはありますから、私は日本経済がドイツ経済ほど強くないとは全然思わなくて、決して日本経済はヤワではないというふうに、がんばれば、ドイツ経済と同じようなぐらいの生産性、ないしは製造業の強みというものを持っていると私は思っていますから、そういうところはちゃんと対応ができると。中国の問題も確かに中国はG20のあと、ないし全人代(全国人民大会)では財政出動をするということを決めました。実際財政収支の赤字はどのぐらいの赤字を出すかということで、彼らはGDP比で3%の赤字を見積もりながら、その範囲内で財政出動をすると言っているわけです。相当な財政出動になると思うんですよ。相当な額だと思います。片や日本はどうか。日本の財政収支は対GDP比で7%弱、34兆円の赤字を現在、日本は既に出しているわけです。既に出していて、こういう状況です。日本の財政はとても緊縮財政だと言わないと。マイナス7%弱の対GDPの財政収支。赤字ですから、ちゃんと財政は随分出している。だから、決して日本は機動的に財政出動をしろと言われながら、もう既に出ちゃっている状態ですから、その意味で言うと、財政出動する中国が、底割れしないようにしてもらえれば、世界経済もリーマンショック級のような話には当面、ならないということは考えられると」
反町キャスター
「先ほど、土居さんが言われたみたいに、ドイツにおいて労働市場改革がきちんと行われた結果、企業の生産性は上がり、リーマンショックでも翌年からきちんと戻していると。こういう話になるんですけれども、日本の政治にドイツで行われた労働市場改革に匹敵するような改革ができるのですかと。できるのだったら上げてもいいではないですかと。このロジックになっていっちゃうのですけれども」
浜田氏
「できるように努力すべきだということだと思います。ただ、ドイツの点でいうと、ドイツはそういう生産性を持っていますから、スペインとか、ギリシャという人達が、割高なユーロで苦労をしていることによって利益をいつも受けているんですね。だから、ドイツが悪いとは言いませんけれども、そういうユーロの、別の状況というのも一緒に考えてみなくてはいけないと思います」
秋元キャスター
「本田さん、個人消費が伸び悩んでいますけれども、消費税を8%に引き上げてから2年が経とうとしていますが、なぜ伸びないのか、ちょっとグラフで説明していただけますか?」
本田氏
「家計消費の2003年からの数字をグラフ化したものですけれども、2014年4月に増税したわけですけれど、1年と1四半期前のトレンド、傾向線を示したのがこの真ん中の黒い点線ですね。それから、95%の確率で入っている、その枠を示すのがこの上下の赤い点線です。これを見ると増税をする直前に駆け込み需要というのがあって、上に飛び出してしまうわけですね。これは95%の確率よりももっと消費が上振れしたということです。過去を遡ってみますとリーマンショックの時に95%の信頼区間よりも下がっています。同じようにこのトレンドラインから、この95%の信頼区間、かなりの確率で入るであろうバンドからずれているのが今回の消費の底割れですね。ですから、そういう意味で言えば、この底割れというのは相当激しい底割れであって、言い方によれば、リーマンショックに相当するショックがずっと続いているということが言えると思うんです。実はこれが今回の増税ですけれども、その前の増税。1997年の時の増税。この1997年の時も増税をすると、底割れをしているんです。ほぼフラットになってしまった。それがきっかけとなってデフレが始まったんですね。もちろん、もう少し長期的な目で見ると95%の信頼区間に近づいてきますけれども」
反町キャスター
「このあと、少し上昇局面にはなるけれども、この時、消費税を上げたことによって下に落ちて、暫く低迷期間が続いた?」
本田氏
「そうですね。ただ、トレンドラインです。これは0.8%。対前期比、平均伸び率で0.8%になっていますけど、今回、2014年の増税の10年ほど前、これは0.2%です、対前期比平均の伸び率。つまり、トレンドが変わらなかったんです。元に戻っていないです。確かに少しは回復しています。ただし、トレンドの角度です。対前期比の平均からすると、0.8%から0.2%に落ち込んでしまって、もう元には戻らなかった。それがまさに、デフレということですね」
反町キャスター
「結局、前回の消費税引き上げに伴う景気の長期低迷。リーマン以降に匹敵するような、今回のこの落ち込み。バンドの外に出てしまった2つの現象を考えると、今回のこの状態からさらに2ポイントを引き上げてしまうとどうなってしまう可能性が?」
本田氏
「これが最悪の状態です。これがまた同じようにずっとフラットになってしまう。あるいは少しは戻るのでしょうけれど、0.2%のトレンドには戻らない。ますますトレンドが低くなってしまう。前期比の伸び率が低くなってしまうということで、長期停滞に突入してしまう可能性があると」
反町キャスター
「土居さん、この表における本田さんが指摘した2つのポイント。今回のポイント、消費低迷というのはリーマンに匹敵するような低迷ぶりであるからと。この指摘はいかがですか?」
土居教授
「サンプル期間の取り方と、バンドの取り方で当然決まってきますから、そこまで本当にどの期間をとっても必ずこうなると言えるものなのかということを指摘したいと思いますね」
反町キャスター
「ただ、サンプル期間をいつ採るにしても、この数字、上下…」
土居教授
「いや、結局サンプル期間によって伸び率とその変動幅が変わってきますから、リーマンショックを入れると当然変動幅は大きくなるし、いれなければと、サンプル期間の問題がありますから、これをそのまま鵜呑みにはできません」
反町キャスター
「そうすると、たとえば、この表から感じられるように我々はリーマンショックの時に匹敵するような消費の冷え込みに直面しているというのは、必ずしもそうではないと?」
土居教授
「ええ。と思います」
反町キャスター
「マイナス0.9%という数字が出ていましたよね。ああいう数字を見ても、まだそんな深刻に考える状況ではない?」
土居教授
「四半期だけですよね。1年通じて、マイナス0.9%だと相当な影響があると思いますけれど、1四半期だけですから増やしたり、減らしたりするということがありますし、直近の四半期というのは季節調整で相当、ぶれるわけですね。だから、事後的に見ても、本当に下がっているのかどうかというのは暫く検証が必要だと思います」
反町キャスター
「この表についてどうですか?土居さんの現在の反応については」
本田氏
「たとえば、サンプル期間について見ても、バブル崩壊のあとからだけ見ても、トレンドが変わっていますね、明らかに。ですから、この図だけで現在起こっていることがリーマン級だと、そこまで強調するつもりはありません。だけれども、この線を見ると、推移を見ると激しい落ち込みをして、底割れしているというのは歴然としていますね」

『賃上げ』&消費増税
秋元キャスター
「今年の春闘、賃上げの水準はどうなると思いますか?」
本田氏
「水準は過去2年間を超える水準を実現していただきたいんですけど、現在日本を囲むグローバルな経済環境、それから消費の伸び悩みからして企業の経営者のマインドはあまりよくないでしょう。と言うことで、いざという時のためにとっておこうと、内部留保で積んでおこうと思われる経営者の方が多いということは予想されます。ですから、できるだけ労働分配率、つまり、賃金として上げてほしいですけれど、なかなか現実問題としてはそうはならないかもしれませんですね」
反町キャスター
「労働分配率を上げるために政府、ないし与党から各企業に既にやっていますけれど、賃上げしてくださいよという働きかけ。これも働きかけであって強制力を持たないわけではないですか。では、それができるのか、できないのか。できないならば、だったら消費税の引き上げを先送り、ないしは凍結すべきだという。こういう結論になるという理解でよろしいでしょうか?」
本田氏
「マインドを上げるためには、いろんなやり方があると思うんですけれど、日銀が先般行われたマイナス金利政策、これもマインドを上げてくるという政策の1つですし、それから、来年4月に予定されている消費税増税をできるだけ早い段階でやらないと宣言してしまう。ということによって、足元の消費が活発化してくる可能性は十分にあります。ですから、まだデフレ期のマインドがマイナスの市場向き、あるいは慎重すぎるマインドがこびりついているんだと思うんですね。ですから、別に非難しません。なぜならばその15年、20年デフレをやってしまったというのは政策ミスです。日本銀行と政府の重大なる政策ミスなので、責任転嫁をするつもりはありませんが、現在アベノミクスを思いっきりふかして景気を良くしていく、マインドを変えていくという時にもう少し企業も前向きのマインドを持ってほしいという気がしますね」
土居教授
「マイナス金利による好影響というのは期待できるということは私もまったく同感です。ただ、さらなるもう一段のマイナス金利というのでしょうか、マイナス金利の第2弾というのですか、そういうところもやらなければいけない可能性はありますけれど、量的、質的緩和は引き続きやるべきだと思います。問題は、消費増税を先送りしたからと言って消費が戻るのかということです。既に8%のままですから、8%で物価が消費税以外のところで変化しなければ、同じ物価ですから、実質賃金が増えなければ、それで消費を増やすということはないと」
反町キャスター
「消費税を先送りした時に、賃金が上がって消費が増すのかどうか?」
浜田氏
「消費の場合、それが高度経済学なんかでいうことですけれど、現在の件でこれまで高くなったものを、人は安くなればだいたいは戻ろうとする。ですから、普通の経済学の米の飯が効く段階だと思うんですね。1番の問題は、生産が増えて、雇用が増えるから企業は賃金を上げないといい労働者がとられてしまうと。そういう状態になるのが正攻法なわけですね。もちろん、そこで同一賃金とかは直していくにしても。そう考えますと、財源とか、消費税を上げたい気持ちもわかるけれども、その消費に対する影響は行きと帰りは違うというのは論証してください。まだやってみないからわからないわけですけれども、逆のことが起こると。これだけ消費が影響を受けたというので、逆にしてやった時にそこへ戻らないというのは、財務相のウィッシュフルシンキング(希望的観測)という感じだと思うんですね」
秋元キャスター
「消費税増税、なぜ必要なのか?」
土居教授
「世代間格差が消費増税を先送りすると是正できなくなってしまうという問題です。消費増税を先送りして、経済成長やデフレ脱却を優先すれば、それによって所得が増えるから、それで若い世代の人達にも恩恵があって、世代間格差が縮まるのではないかという言い方をされる場合もあるのですが、これは島澤さんと小黒さんが分析したものをお借りしたのですが、生涯純負担率と言って、分母が生涯所得です。生まれてから死ぬまでの得る所得。分子が実際に政府に払った税金や保険料から受けた給付を差し引いた、結局ネットでどれだけ負担をしたかというのが分子にある。そういうグラフです。現在日本は、社会保障制度は賦課方式と言って、親に仕送りする仕組みになっていますから、1920年生まれの方は自分が負担したよりもたくさん給付が受けられているという状況になっている。この大きさを云々するわけではありません。要は、この世代間格差があまりにも大きいというのが問題です。世代間格差というのは将来世代で、実際自分が働いて稼いだ生涯所得の半分以上が負担で持っていかれてしまうという世代が、将来世代でいるのに対し…」
本田氏
「もちろん、世代間格差の是正というのは大事だと思うんですけれども、実際、消費税という形でこの財源を賄うということの、その是非ですね。つまり、アベノミクスを長年やってきた、その直後の措置としてどういう税目をどういう歳出に充てるのがいいのかということで、消費税が社会目的税化してしまっているわけですね。その結果、非常に低所得者、あるいは年金生活者に非常に重い負担がかかっている。かたや社会保障の歳出を確保するために消費税を増税しなければならないという状況、論理が生まれてきているんです。つまり、社会保障が人質とされて、消費税増税がないとそれがにっちもさっちもいかない状況になってしまうという状況に陥って、だからこそ消費税を増税させなければならないという論理が生まれてくるわけですね。だけれど、本来消費税と社会保障というのは何ら関係もないわけでありまして、消費税が社会保障目的税化しているのは世界中で日本だけですね。ですから、社会保障と税の一体改革、それはいいですけれども、それは消費税との一体改革ではなくて、税収拡大、もっと言えば、経済成長社会保障一体改革ということで、もっとマクロ的に捉えていただきたいと思いますね。つまり、目的税から外しなさいということですね。もっと自由にいろんな税目あるはずですね。たとえば、固定資産、いろいろな金融資産、資産を持っていらっしゃる方には資産税をもう少し負担していただいても構わない。あるいは相続税をもっと大衆課税しても構わないと。そう言った方法もあり得るわけですから、必ずしも消費税と社会保障を1対1対応させる必要はないと思います。それから、世代間負担から言えば将来、積立方式の一部導入も検討するとか、賦課方式になると、こういう問題は常につきまとうわけですので、そこはもっと広い観点から議論していく必要はあると思います」

浜田宏一 内閣官房参与の提言:『金の卵を生むにわとりを先に殺さないように』
浜田氏
「税とか、そういうものは皆、生産に対する意欲を欠いたりしますので、所得、財源をつくり出すのがまず大事だと思うんです。ただ、1つ、現在のゼロ金利で言えることは、もし日銀が全部の日銀債務にマイナス金利を課したとすると、財政危機は一夜にしてなくなるという議論を最近聞きましたので、言っておきます。要するに、ゼロ金利というのは金利といえばいいですけれど、結局、日本銀行にかなり巨大な権限で税金を預金してきた人にかけられるというのが日銀交付金で財務省に入っていくという。ですから、現在の国債に対して全部マイナス金利を認めれば日本の国債問題なんて一挙に解決してしまうと言った人がいます」

本田悦朗 内閣官房参与の提言:『・緩やかなインフレ予想の定着 ・企業の積極的投資活動の定着』
本田氏
「2%増税すると。10%にするための必要条件ということで、緩やかな2%程度のインフレ予想が定着して、それが行動基準になる。いわゆるアンカーとして機能し始めると。それが第1条件。これはアベノミクスの基本中の基本です。もう1つは、企業が未だに貯蓄超過になっているんですね。家計部分は貯蓄超過、これは当然です。普通の経済では企業は投資超過のはずですね。ところが、日本の企業はまだ将来不安、あるいはデフレの名残もありまして、ひたすら内部留保を積んでいるという中で誰がお金を使うのですかと。皆貯蓄しているんです。唯一政府部門が財政支出をすることによって、日本のマクロ均衡は成り立っている。従って、2%の増税をする時には、企業が投資超過になってもらう。そうすると、マクロ均衡を達成するために政府部門に対する、つまり、財政に対する負荷が小さくなるはずです。その時こそ増税しても大丈夫ということだと思うんですね。実際現在、内部留保はまだ増えているんです。その時急速に財政需要が良くなってきています。つまり、ちょっと財政が改善するのが早すぎる状況にあります。そうするとまだ赤字ですが、財政赤字ですけれど、直前と比べると日本の現在の財政は緊縮状態にだんだん入っていってるんですね。そこは十分注意しないとマクロ的なバランス、つまり、GDPが減ってしまう恐れがありますということです」

土居丈朗 慶應義塾大学経済学部教授の提言:『脱他力依存 第4次産業革命』
土居教授
「企業にきちんと設備投資なり、促すということは大事で、特に現在、第4次産業革命の波がきていますから、これをきちんと掴んでいただいて、日本の経済を丈夫なものにしていただきたい。何かと消費増税をするのは財務省の陰謀ではないかとか、日銀がこれまできちんとやっていなかったからデフレになったのだとか、海外の経済の調子が悪いから日本経済は弱いのだとかという、何かとこう自分のせいではない、他の人が悪いことをしているからと。そういうことはきちんと他の人のせいにするのではなくて、自分のことでやれることをきちんとやっていただくということが活路を開くことになると思います」