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2016年3月8日(火)
中国全人代を読み解く 6.5%成長は可能か

ゲスト

佐藤正久
自由民主党参議院議員 参議院外交防衛委員長
金美齢
評論家
朱建栄
東洋学園大学教授

中国全人代開幕 どう見る? 新5か年計画
秋元キャスター
「先週土曜日に開幕した全人代(全国人民代表大会)の冒頭で、李克強首相が政府活動報告で発表しました第13次5か年計画の主な内容から見ていきます。2020年までに所得倍増。そのために今後5年間のGDP(国内総生産)成長率目標を年平均6.5%以上とする。整理、撤退などを通じて国有企業改革を推進し、鉄鋼産業などの過剰生産を解消。『二人っこ政策』を充実。海洋戦略を制定し、海洋強国を建設ということですけれど、朱さん、この今回の新5か年計画、どう見ていますか?」
朱教授
「中国経済の発展はこの30年、もちろん、輝かしい発展を遂げてきましたけれど、でも、これまでのような労働集約型、低賃金の企業の発展というのは持続不可能になったわけですね。中国の今回の第13次5か年計画というのは明らかに一定のスピードを下げてでも、量の拡大から質の充実。言ってみれば、途上国経済から先進国への脱皮、競争力のある経済への脱皮と。そのようなところを狙っているわけですね。そのために一歩新しい開発が必要ですし、一方、これまで引きずってきた競争力のないもの。それをどのように処分をするかと。そのような課題に直面し、これからの5年間の中国の行方にとって1番重要な5年に対する青写真というのが、今回の全人代で出されたわけですね」
佐藤議員
「今回、いつもと比べると拍手の数が少なかったらしいんですよ。約2時間の演説の中で、いつもの経済政策とか、訴えというのが非常に少なかったと。拍手の回数が。これは中身が、どうしても生みの苦しみを国民に強いているような中身であるので、なかなか拍手というのは少ない。特に経済政策の中で今回、李克強首相が言われた部分では、まさに生みの苦しみを伴う調整のプロセスの中にいて、この関門さえ突破すれば、中国の経済は必ずや不死鳥のごとく蘇り、再び光り輝くことができると。つまり、危機感があるわけですよ。ここまで経済で、首相が言うということは相当、今回、厳しい内容であり、それは覚悟もあるのだろうと」

どう見る? 経済の現状
秋元キャスター
「その厳しい内容となった5か年計画についてですが、まず今後5年間で、GDP成長率目標を、年平均6.5%以上にするということについてですけれど、中国のGDP成長率を見てみますと、1992年以降10%前後という高い数字で成長していたんですけれども、昨年は6.9%と。ついに7%を割りました。朱さん、こういう状況は、新5か年計画で示されたような平均6.5%以上という成長率は達成可能なのでしょうか?」
朱教授
「習近平さんは昨年、G20の会議でも言ったんですけれども、中国はただの成長率を維持するためなら手段はいくらでも残っていると。中国の銀行金利もまだまだ下げる余地も大きいし、財政出動を含めて、いろんな地方でインフラをすると。しかし、中国は、要するに、これまで30年間の路線を変えないといけない。それは厳しくしても追い込みをして、量的拡大路線から質の充実へいくのだと。それは、私はある意味で、1970年以降の20年間の日本に似ていると思うんです。日本は1970年頃、成長率が9%、10%ですね。それ以後の20年ずっと下がっていくと。しかし、下がる中で質が充実し、日本は先進国になったわけですね。中国はまさにこの段階に入った。中国国営企業は、日本でひっくるめて言われているんですけれども、本当に中央政府が管理をするのは100社ちょっとで、正直言って現在、国に保護をされているという、独占という意味で、それはそんなに悪くないですよ。しかし、地方政府が抱えている国営企業。まさにその問題、ゾンビ企業で、余剰の生産が問題となっている。そういった中で今回、私は中国側もかなりそれを意識して、この第13次5か年計画の内容、私はその骨子を読んだんですけれど、まさにおっしゃったことが、第1はハイテクの部分で、中国は、たとえば、宇宙ステーション。航空機のエンジンの開発など。何よりも2番目は人材育成。この間に海外から1万人以上の高級人材、教授クラスとか。国内では100万人の高級人材の育成と。他に環境、農業や、高速鉄道。これから、現在は営業の距離は2万kmにもなっていないですけれど、2020年までに中国の新幹線は3万kmまで。社会福祉、教育、1億人の戸籍…。農村の戸籍が都市戸籍になる。そのような大転換が、まさに大革命のようなことがこれから行われるんですね」
反町キャスター
「先ほど、朱さんの方から5か年計画の中における具体策。ハイテクである、飛行機のエンジンであるとか、1万人の人材、海外からのどうのこうの。国内100万人の人材育成とか、いろいろありましたけれど、僕らが注目したのはこのプロジェクトです。中台高速鉄道というのがあります。北京から福州までの部分というのがあるのですけれども、問題はこの大陸から台湾に向けて、我々の聞いたところでは126km。だいたい前後のりしろを含めても150kmキロぐらいの海底トンネルを掘っていくと。台湾をトンネルでつないでしまおう、高速鉄道を結ぼうという、この計画ですけれど、金さんどうですか?大陸からトンネルを掘ってきたら、台湾の人達はどう思いになるのですか?」
金氏
「今回、そういう高速鉄道、台湾人は85%以上、90%の人が反対だと思いますよ。だから、道というのは出口がなくてはいけませんよね。たとえば、下関と門司の海底トンネルがあって、私は1度そこを歩いたんです。人間が自由に往来できるわけ。そんなことをしてしまったら、台湾のアイデンティティというのは保てない」
反町キャスター
「朱さん、現在、金さんが言われたような反応というのか、はっきり言って、ハレーションみたいな…、中国が大陸側から掘るぞと言えば、台湾の人達は、特に今度、蔡英文さんが総統になる。現在の台湾の世論を考えると、そういうハレーションが出るのははっきり言って明らかですよ。明らかであるこの環境下において敢えてこういう玉を投げてみせる。中国は何を狙っているのですか?わざわざ台湾における反中世論を煽っているのか。ないしは揺さぶりたいのか。何が狙いですか?」
朱教授
「私は、これはあまり政治的とか、軍事的な解釈をする必要はないと思います。経済で10年前に大陸と台湾との三通交流に当時、独立派は8割、9割が反対と言っていたのが、いつの間にか現実に、双方の交流、現在、中国大陸から台湾への観光客、いろんなところで、三通というのは日本と同じくらい便利ですね。ですから、そういうような民間交流というのをまず1つ狙っているんです」
反町キャスター
「佐藤さん、今回の5か年計画の中でパラセル諸島において、いわゆる南沙ではなく、西沙です。新しい計画が出ているという話。これはどういうことですか?」
佐藤議員
「これは、海南省というところの省の中に、西沙諸島は入るわけです。三沙市と言うんですけれども、三沙市の市長が海南省の分科会の中で明らかにしたことによると、ウッディー島、あるいは永興島と…」
反町キャスター
「この間のミサイルを並べて問題になったところですね?」
佐藤議員
「大きな島ですね。あの近くに七連礁という、七つの小さな島が連なっているところがあるらしいです」
反町キャスター
「このパラセル諸島の中に?」
佐藤議員
「ええ。その中に7つのうち3つが、北、真ん中、南と連なって、そこがだいたいウッディー島から4海里、6km弱というところにある。その島を2015年から、昨年から埋め立てをしていて、つなげたと。一部については港湾の施設の工事もしていると。今後はその3つの島、つながった島、そこに3500m級の滑走路と、それとウッディー島をつなぐ橋を今後、架けますということを明らかにした」
反町キャスター
「そうすると、西沙諸島、パラセル諸島の中にある小さな島のいくつかは埋め立てて、なおかつその島々を橋でつないで」
佐藤議員
「島々をつないで、そこで滑走路をつくるわけですよ。3つの島とウッディー島の橋を架けるということを明らかにしたようです」
反町キャスター
「朱さん、これは目的は何ですか?」
朱教授
「現在の埋め立ての話は別です。ここではあくまで小さい島ですね。目に見えるところの島同士をつなげて、これから一大観光拠点に。中国が埋めたというのは、小さいところをつなげるというところで、それは東洋のハワイに。中国は既に民航機、これから観光団を三沙市に誘致すると。そのような話も今回、現在の地方部会で言っていますね」
佐藤議員
「パラセル諸島というのは潜水艦の基地、海南島に近いわけですよ。どうしてもその海南島ということを考えた時に、パラセル諸島、これに対する軍事的な、航空優勢とか、海上優勢がほしいと。拠点にしたいというのは、それはどこの国でもたぶん考えることだと思います」
反町キャスター
「そうすると、朱さんが言われたみたいに、この島々の間に橋を架けて、3500mの滑走路をつくり、ここをハワイ化するのだというのは、佐藤さんから見たらとても信じられない?」
佐藤議員
「ハワイという側面もあるかもしれません。実際ハワイも米軍が絡んでいますからね。だから、両方の側面があるのかもしれません。ただ、3500mの滑走路をつくると。現在既に、ウッディー島には3000m弱のやつがあるんですよ。そんなに近い、6km圏内に、そんな大きな2つというのは普通、ちょっとおかしいでしょう」
金氏
「でも、レジャーと言うと既に海南島が、そういう役割を担えばいいわけではないですか」
反町キャスター
「佐藤さん、軍事的な意味で言うと、たとえば、海南島に中国の潜水艦の巨大な基地があるとした場合、このパラセル諸島の中に3000m級の滑走路を2つつくり、さらに島々を橋で結ぶということは、この島の潜水艦の基地を守るためには、非常に重要な意味を持つのですか?」
佐藤議員
「持つと思いますね。と言うことで、そこの潜水艦の基地というのはトンネル陣地ですから。だから、上から見たってわかりませんから。知らないうちに潜水艦が出て、戻って来るというものに対し、当然アメリカも潜水艦なり、あるいは哨戒機で、その動きを撮ろうという動きをするでしょう。それに対して中国としては、それを防ぐためにも、そういう近いところに拠点があれば、そこから哨戒機を飛ばしてアメリカの潜水艦の動きを牽制し、アメリカの航空機に対しても牽制ができますから、そこはいろいろ考えると思いますよ」

どう見る? 軍事戦略
秋元キャスター
「中国の軍事戦略を見ていきたいと思います。全人代で発表された今年の国防費は、昨年よりも7.6%増となりまして、金額にして、日本円にして1兆円あまり増えました。佐藤さん、この中国の国防費をどう見ていますか?」
佐藤議員
「これまでと比べ6年ぶりに伸び率が2ケタを切って、7.6%と言われていますけれども、経済成長が現在、鈍化しているという中において上がっているわけですから。つまり、経済成長が減速しても軍拡路線は続いていると見てしまいます。しかも、7.6%というと1兆円余りでしょう。自衛隊の予算が5兆円ですから。5分の1が伸びたということについては、軍拡路線というのはまだ進んでいると見るのが自然だと思います」
秋元キャスター
「その中身ですけれども、新5か年計画の中では、海洋戦略を制定し、海洋強国を建設という文言があるんですけれども、佐藤さん、これをどう見ていますか?」
佐藤議員
「習近平政権の方針として、海空重視という部分はあります。これまで陸中心だったものを現代戦にマッチングするよう、海空を重視して近代の軍隊的なものにしたいというのがあると思います。その中で象徴的な、東シナ海、南シナ海における膨張主義というのか、拡大主義ですね。その中で現在言われているのは、海洋戦略がマッチングすると。海洋戦略というのは、別に軍事だけの話だけではなく、あるいはいろんな資源の問題もありますし、シーレーンの問題もあります。いろんな問題を含んでいるんですよ。ただ、結果として、中国の海洋制覇の目標は太平洋とインド洋ですから、将来的には。太平洋とインド洋、そこに行くための基盤として、この5か年の間、東シナ海、南シナ海にしっかりと基盤をつくりたいというのが、おそらく今回の基本計画、海洋戦略です」
金氏
「かつてアメリカと太平洋を二分して、アメリカと中国で半分にしてやろうという、そういう話がありましたよね」
佐藤議員
「いずれは太平洋までやろうとしているんですよ。その前に東シナ海、南シナ海をしっかり自分の基盤としないと、インド洋にも、太平洋にも、行けませんから。そこのあたりをたぶん中心に、海洋権益、あるいは主権を守るために関係するための警察なり、軍なり、あるいは水産庁なり、そういうのを束ねるような戦略、計画をつくりたいというのが今回の目的ではないかなと」

海洋戦略に見る思惑
反町キャスター
「海洋戦略を制定し、海洋強国を建設する。中国はこれから制定すると言っている、その海洋戦略はどういう戦略になりそうなのですか?」
朱教授
「中国は自国にも当然、長い海岸線があって、海に面している。これまでは大陸国家的な一面で、これからは海の方を強化していくということは間違いないですね。当然、軍事力を含め、何より現在、中国の対外貿易、特にエネルギー輸入は8割が、シーレーンを通っているわけですね。本当にこのシーレーンが、マラッカ海峡などで止められたら、中国経済はすぐアウトですね。日本経済は、石油備蓄というのは半年間、180日ある。中国は最近、石油価格の暴落で大量に買い込んでいるんですけれど、それまでは2週間分しかないですよ。つまり、外の方で戦乱があって、それを止められなければ、中国経済はたちどころに混乱すると」
反町キャスター
「中国の海洋戦略というのはシーレーンの防衛が最大のポイントになるのですか?」
朱教授
「私は、本音で、アメリカは絶対、中国の発展をいろんな、あの手、この手を使って妨害してくるというようなことで、最低限、これはいざという時にアメリカから簡単にやられないように、海軍力、空軍力、アメリカの弱みというところ、宇宙というところを、そういうようなところで、アメリカと対等の軍事力というのは持たない。何より戦略的に、かつての旧ソ連がそれで失敗をしたのですから。中国はそれをしない。ただ、最低限、アメリカに侮られないような、そういうところを、海軍、空軍というのは、これから相当力を入れていくと思います」
反町キャスター
「その通商路、たとえば、シーレーンが先ほど、どこかの軍によって止められてしまったらという、その場合の中国が考えている仮想敵というのは、どこの国の軍隊によって中国向けのタンカーが止められるということを考えているのですか。まさかアメリカではないでしょう?」
朱教授
「アメリカしかないですよ」
反町キャスター
「アメリカを仮想敵とした、中国のシーレーン防衛計画というのを我々はどう見たらいいのですか?」
佐藤議員
「シーレーン防衛というのは、たぶんアメリカとの関係ではなく、たぶん一般論的に、中東とか、アメリカからシーレーンを守る、韓国も日本も同じで、別にアメリカを仮想敵国としてシーレーンを守るというための海洋進出ではないと思いますね」
金氏
「先ほどから実は不思議でしようがないのは、中国がどこを仮想敵にしているのかという話が出ましたけれども、中国はいったいどこから自分を守ろうとしているかという大問題に、むしろ皆が中国の覇権主義に恐怖を感じているというのが現状でしょう。それなのに中国というのは、いったいどこまで自分達のところまで攻め込んで来て、自分達の仮想敵になるのかという。それはまったく本末転倒ではないかという気がしますけれど」
反町キャスター
「朱さん、どの国の軍隊が怖いのですか?」
朱教授
「ですから、見方によって、まったく違う結論ですね。日本、あるいは一部は、中国はいわゆる第一列島線を、内海を、自分の海にするとかで、中国から見ればそもそも第一列島線、第二列島線という概念は、我々が持ったものではなく、それはそもそもアメリカがかつて朝鮮戦争の時に、米中対決で中国を封じ込めるためにつくったわけですね。何で中国は外に出てはいけないのかと。そのようなところで、中国海軍は本当に宿願で、悲願で、太平洋に当然、出たいと、それはあると思うんですね。と言うのが、現在の経済発展に伴って当然、それが中国の発展、これから民業で言えば、貿易もそうですし、漁業もそうですし、いろいろな意味で、これから海というのが…全世界の面積の7割は海ですから。これまでは中国は大陸国家で、海に出ていくということは、私は相当これからも力を入れて…」
佐藤議員
「覇権的な膨張主義はやはりあるんですよ」
反町キャスター
「それしか残らない、現在の話を聞いていると、中国はどこから守ろうというのではなく、膨張しようとしているというイメージしか。ディフェンシブな、守りの話ではなくて、こちらから広がっていく…」
佐藤議員
「自分達の利益のために、国民を守るために、膨張しようという」
朱教授
「膨張というのは、ある意味で、経済の発展がある段階まで来たら皆、外に進出するではないですか。日本も、アメリカも、皆そうだったではないですか。どの国が発展して、内向きなのですか?」
佐藤議員
「経済の発展と領土拡大は違いますよ」
朱教授
「中国は今回、王毅さんが記者会見で言ったんですけれども、中国は自分の領土以外のところに1度も自分の領土を主張したことはないということ。中国自身のこれまでの領土で盗られたものに対する主張と、他の領土、他の国にもともと属さないものの領土を取るのとは全然違います。かつての日本の軍国主義、侵略、それと混同してはいけない」

国有企業改革の行方
秋元キャスター
「整理、撤退などを通じて国有企業改革を推進とありますが」
朱教授
「たとえば、鉄鋼産業、現在生産能力8億トン。日本は1億トンです。ですから、明らかに過剰で、過剰というのはただ使い道がないというだけではなく、環境汚染、いろいろな問題をもたらしているわけですね。今回は李克強首相が本当は紙に書いた報告は9000万トンの生産能力の縮小と、ところが、読み上げた時に900万トンと読んでしまったんですけれど、この日本分の生産能力をこれから数年間でなくす。そういうようなところ、正直言って、身を切るような傷みで反発や、地方の利権、いろんなところでそんなに簡単ではないですね」
反町キャスター
「それは中央政府が管理している国営企業100社があって、地方政府が管理している会社がもっとたくさんあると。国が管理している会社も地方政府が管理している会社も製鉄やらセメント会社やらどんどん整理統合していく?」
朱教授
「製鉄、鉄鋼、それから、炭鉱、鉱山、そのようなところは現在まさに重点ですね。それは1番難しいし、従業員人数が多いところですから」
反町キャスター
「企業が統合することではない?そこで当然、解雇が発生しますよね。共産主義国家における失業?共産主義国家における解雇は何か変ではない?」
朱教授
「現在おっしゃった問題この30年間、常に問われてきたわけですね。かつて社会主義国家は全員雇用。ところが、経済改革の中ではそれはできないので、1990年代の末、まさに朱鎔基さんが大量に辞任、解雇して、整理して、その結果、傷みを伴った改革で、その10年後に中国は競争力を持った。今回もまさに難関に向かわざるを得ないと。国内の経済構造の転換、環境対策、PM2.5がこんなに深刻になっている。いろんなことで見れば、当局も相当厳しいことですけれども、やらざるを得ないというところに、中国全般的には中国経済が急にハードランディングすることはないと思うんですけれど、しかし、具体的に見れば、そのようなところ、成功を確保するというような確証はないので、これが1つ株価の問題に。中国不動産は最近、日本はつい最近まで中国のゴーストタウンの話だったのですが、最近また別に、今度は不動産価格が非常に高騰しているんです。登記の対象になった、いろんな問題が現在の中国にある中で国営企業の改革はこれから数年間は最大の問題ですね」
佐藤議員
「質の転換は本当難しいと思うんですよ。我々、日本国民もこのまさに中国のゾンビ企業、それにどうやって中国が立ち向かうかを見ておかないと中国経済が世界経済のリスク要因と言われるぐらいですからね。まさに今回、鉄鋼と石炭だけでも180万人のリストラが…。でも、実はそれだけではなくて、セメントもそうだし、造船も、自動車も全部入れると600万人(のリストラ)という話もあるんですよ。だから、これは本当に質の変換を、ゾンビ企業をどうやって整理統合するか、これは日本の方にも影響が出ますから、しっかり見ておかないと本当に構造改革は鬼門中の鬼門だと思います」
朱教授
「見ることと、日本の経験を中国ももっと学ばないといけないと思います。これは日本がいちいちクリアしてきたテーマですね」

中台関係の今後
秋元キャスター
「5月20日に台湾で初の女性総統に就任する蔡英文さんの中国に対する考え方、どういったものだと考えますか?」
金氏
「刺激しないようにしています。つまり、現状維持ということは中国を刺激しない。ですから、先ほど、高速道路をつくるという話、地下道です、とんでもない話で、そんなものができてしまったら、台湾の独自性というのか、自立というのが保たれるかどうかが大問題なので、現在、蔡英文さんというのはこの前も言いましたけれど、新しいタイプの政治家で、冷静ですよ、とても知的。だから、自分が現在何をすべきかということがよくわかっている。それは何かと言うと台湾の現状維持。現状ということは自立した国であると。ですから、これは変えるつもりはない。中国にも近づかないし、そうかと言って独立を宣言して、刺激するようなこともしないと。これが蔡英文さんの現在の姿勢ですよ」
反町キャスター
「踏み込みたいけれど、我慢しているのですか?たとえば、より独立に踏み込みたいのか、より中国に近づきたいのだけれども、どちらかの気持ちがあるけれど、動けないから我慢をしている?」
金氏
「名より実をとるということですね。要するに、何という名前にするかというよりも、現在の実、現在の台湾がある状況。台湾が現在ある状況がどうであるかということで、それが1番大切だと思っていると思います」
朱教授
「その通りだと思うんですね。両方とも、現在、中国大陸が使う表現というのは平和的発展。関係を発展させていくというようなところで、言ってみれば、台湾の一部の独立派は中国大陸に崩壊や大混乱が起きたら独立すると。現時点では現状維持。そういうところもあるし、一方の中国大陸は発展の中で、台湾ともっと一体化していくという中で自然に統一が実現すると、双方の思惑は違うと思いますけれども、ただ今回、民進党政権がもう1度成立し、両者の関係をどうするかと、それが2000年の時よりは明らかに、今回は中国大陸も蔡英文さんも少なくとも対立緊張というような関係にはもっていきたくはない。中国大陸にとっても、中国にとっても当然、外交全般、経済の発展がある。台湾にとっても当然それがありますので、そういう意味で、今回、王毅さんがアメリカ訪問中に…この話は本当に大事ですね。中国の外務大臣がここまで踏み込んで言ったというのは専門家も皆、驚いたんですけれども、現在の台湾の憲法というのが中国大陸含めて皆1つの中国と言っていると。蔡英文さんがこれからこの憲法のもとで台湾を治めるのですから、それでいいのではないかというようなところで、言って見れば、台湾とこれ以上対決したくない。蔡英文さんにもう少し時間を与えて、民進党のこれまで凍結された、しかし、独立という綱領がありますから、そういうところの処理も含めて、それにもうちょっと時間を与える。互いに真正面から衝突しないようにと、今回そのメッセージは重く、送ったと思います」

評論家 金美齢氏の提言:『七つの中国』
金氏
「私は、中国は大き過ぎると思うの。何事にも適当なサイズというものがあると。人口にしても、領土にしても。だから、これだけ異質なものが無理やりくっついている。それは無理があるので、7つぐらいに分けるとちょうどいいのではないか、連邦制度で。私はかなり前に『七つの中国』という本を出したんですよ。それは台湾の人が書いたものを李登輝さんが、できたら、日本で翻訳して出してほしいと言われ出したんです。全然、売れなかったんだけれども、それはモンゴル、チベット、ウイグル、それから、東北地方、昔の満州、北京を中心にした真ん中。それと、南の方というように7つぐらいに分かれて、連邦制をとるとちょうどうまくいくのではないかというのが私の考えです」

朱建栄 東洋学園大学教授の提言:『十年スパン』
朱教授
「私は、中国を見るうえでも、日中関係を考えても長いスパンで見なければいけないと。日本の報道やいろんな論調というのはどうしても一時の一部の動き。大きい流れで見ると、中国は発展し、いろいろな問題を抱えながらも、全体の発展の勢いと趨勢は変わらない。日本と中国は本当に経済面で世界最大の協力相手国ですね。そういうところを含めて、互いに最大公約数でもっと利益を求めていくと。ちっぽけなことで喧嘩するより、30年、50年のスパンで見ていくこと。まずはこれから10年間、日中をどうするかということを真剣に考えることが大事だと思います」

佐藤正久 自由民主党参議院議員の提言:『核心・改革・膨張』
佐藤議員
「今後、中国を見るうえで、習近平国家主席がどれだけ核心としての存在感を国内で強めていくか。外交は内政の延長線上ですから。まさに毛沢東、鄧小平、江沢民に続いての核心というところに近づくかどうか。一方、そのためには今日議論のあった国有企業の改革。これがどこまで今後いくか。同時に、我々が懸念している覇権的な膨張主義と言われる、そういう動きが今後どこまで広がるのかという、3つの視点で見るのが大事ではないかと思います」