プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2016年3月2日(水)
詳報…米国大統領選挙 トランプ旋風の背景は

ゲスト

森本あんり
国際基督教大学教養学部教授・学務副学長
前嶋和弘
上智大学総合グローバル学部教授

米大統領選…スーパーチューズデー トランプ、クリントンが前進
秋元キャスター
「今回のスーパーチューズデーの結果をどのように見ていますか?」
前嶋教授
「1つ言えることは最近の世論調査はだいたい正確になってきたので、ほぼ想定内だと思うんです。いくつか誤差みたいな形があるのですが、基本的に想定内です。想定内であるとともに、今日出たヒラリー・クリントンさんとサンダースさんと、ルビオさん、トランプさん、クルーズさん、全員が得したと。損しなかった。誰も負けなかったという意味で、全員勝った。もちろん、負けている人もいっぱいいるけれども、こんなカタチだと思います。例外的なことを言いますと、サンダースさんは、彼はマサチューセッツ州で勝てなかったのはいけなかったですよね。リベラルの牙城で、大学も多く、若者が熱狂的に支援しているところですが、ここで負けてしまった。他のところで勝ったんですけれど。そこは大きかったかなと。ルビオさんが1つミネソタを押さえた。これは大きいと思うんですよね。まったくどこも勝てずに、3月15日のフロリダをどうするかというのがルビオさんにとっては大きかったのですが、ここを獲ったと。それに対してのステップがついたと。こういうことだと思います」
秋元キャスター
「トランプ氏の躍進を予想されていましたか?」
森本教授
「まあ、そんなふうになるのではないかと私も思っていましたけれど、共和党の方は早く決着が着いて、撤退が1人出ると、1本化が進みますよね」
反町キャスター
「非トランプ陣営の1本化?」
森本教授
「そうですね。そういう可能性が少し減ってしまったので、2人ともがんばり過ぎていて、これから大変だなというのが1つ。私、最後にニュースを見たのは今日の昼頃なのですが、民主党の方はオクラホマという、どちらかと言うと田舎をサンダースさんが獲っている。おかしいなと思って見ていたのですが、よく見たら、そこはフラッキングをご存知ですか、シェールオイルを採るために地面に水をぶち込んで採るアメリカのオイルの採り方ですよね。それがすごく盛んなところですよ。そのために地震が起きたり、環境汚染が起きたりしているというのを皆、批判している、それにサンダースさんが環境汚染を訴えていたので、たぶんそれが効いたのかなと素人判断で考えました」

序盤の天王山 止まらぬトランプ人気の背景
秋元キャスター
「アメリカ国民には既存の政治家に対する不信感があるのでしょうか?」
前嶋教授
「こんなに不信感を持っているというのは、アメリカの政治史の中でないですね。いろいろな理由があるのですが、1つ言えるのは、民主党と共和党が競っていながら、どちらの政党も立場がどんどん、民主党だったら左に行き、共和党だったら右に行きと。と言うことは何かと言うと妥協できない、政策がまとまらない。何も動かない政治。一方、景気はリーマンショック以降、回復し、失業率もよくなって5%、ニューヨーク株式市場は、今年になって悪いけれど、伸びている。要するに、リーマンショック前の段階になったんですけれども、でも、何か先行きが不安だ。自分自身は儲かっていないような気がする。儲かっているのはウォール街だけだと、こんなふうに思っている人は結構多く、アメリカというのは常に前向きで自分の時よりも自分の子供の生活がずっとよくなると信じているのがアメリカ人。能天気であるのですが、その能天気なアメリカの7割の人達が自分よりも自分の子供の生活は悪くなると思うようになっている。これはすごく政治に対する不信ですね。政治が動かないから自分達の社会、自分達の生活がよくなっていかない。だから、政治をやってきた人達、既存の経験を持っている人達はそれだけで悪だというのが現在のアメリカ社会の想いだと思うんですね」
反町キャスター
「本来であれば、二大政党に対するノーが、トランプ現象だとすれば、第3の候補というのが出てくるチャンスかもしれないと。そういう話にはならなくて、2択になっていくのですか?」
森本教授
「出発点においては、まだ二大政党をサンダースさんもトランプさんも信じていたのだと思います。インディペンデントではまず勝てないだろうと思っていたのです。現在の段階では、ちょっと違ってきたかもしれませんね。ですから、この夏から半年の間に随分変わったということでしょうね。二大政党制に対する人々の信頼感が」
前島教授
「アメリカはすごく不思議で、風が吹かない選挙です。どういうことなのかと言うと、アメリカの選挙で1番重要なのは、その人が党派性を持っているのか。要するに、パーティーIDと言うのですか、アイディンティティを民主党に感じるか、共和党に感じるのか。それはどこで生まれて、宗教は何で、人種は何で、要するに、固定票があるんですね。固定票があるんだけれども、その固定票のところが信じられなくなってきたのが1960年代ですけれど、でも、固定票は強い。先ほどの話ですが、第3政党は勝てないですよね。2つの、強い共和党から強い民主党まで5段階ぐらいあるのだけれど、自分の生まれ育ち、自分の想いで生きていく、それが選挙そのものなので、第3政党は難しいと」
反町キャスター
「トランプさんは民主党、共和党を行ったり、来たりしていますよね。それが共和党の候補になること自体、アメリカ国民から見た時、党派って関係ないよねと、2大政党の否定という1つの萌芽にならないのですか?」
前嶋教授
「現在なっています。まさにそういう議論はあります。ただ、予備選というのは1番偏った人達を持っていくというのがあります。だから、現在は、サンダースさんにしろ、トランプさんにしろ、偏った言動ですね。本選挙に残ったなら、わからないですが、トランプさんもここまでの暴言ではなく、どうしたら勝てるかを考えたら、真ん中に寄ると思います。どうなるかわからないところもありますけれども。そうすると、より多くの票が獲れるというパターンだと思います」
反町キャスター
「トランプさんは戦略的に考えている?党内競争を勝つための意見と、大統領本選に臨んだ時のポジショニングのチェンジのことまでやる人だと。そういう意味ですか?」
前嶋教授
「そうだと思います」

二大政党と候補者の関係
反町キャスター
「森本さんの著書『反知性主義』というタイトルになっています。これはトランプさんを支える構造がその言葉に代表されると。この言葉がどうトランプさんとくっつくのか、説明していただけますか」
森本教授
「トランプという人と、それを支えている人達、支持者達、それはまた違うと思いますよ。トップに立っている人が誰に代わったとしても支持者層というのはそんなに変わらないですよ。そういうことで言えば、一種の安定感があって、反権威ということでまとまっていると、民主党でも、共和党でも言えると思います。ただ、ワシントンポストが社説で、そろそろ共和党の指導者達、目を覚ましてくれ、と出ていましたよね。あれは確かに言っていいと思いますけれど、言ってもダメですよ。なぜかと言うと、アメリカの党のアイディンティティは、カードがあるだとか、党費の支払いとか、あるいはこれまでの党員登録だとか、そういうことには基本的には依存しないのではないですか。だから、『私が共和党だ』と言った瞬間には誰も、いや、お前は違うよ、と言えないシステムになっているのではないか。従って、日本の場合、政府と党は2枚看板でしょう。そうすると、官僚制を増やしてしまったと批判も出ますけれども、基本的には自民党の自民党らしさを党の方で維持できるんですよ。党三役がいたり、派閥の領袖がいたりして。だが、そういう制度は、システムとしてはアメリカの共和党や民主党には存在しない。党首すらいないのですから。そうすると、誰が、あなたは共和党の候補者ではありませんよ、と言えるか。誰が言えるのですか」
反町キャスター
「共和党はトランプさんに言えないのですか?」
森本教授
「言えないですよ、基本的には。というふうに理解しています」
前嶋教授
「アメリカの選挙制度の中で、党のコントロールはまったくつかないですね。おっしゃった通りで、私は昨日までは共和党支持だったけれども、明日からは民主党支持というのはあり得るんですね」
森本教授
「候補者はどうですか?私は昨日まで民主党だったけれども、今日からは共和党ですと言える?」
前嶋教授
「なかなか戦略的に難しい…」
森本教授
「戦略は別ですけれど」
前嶋教授
「トランプさんなんかはそうですよね。ブルーグバーグさんもまさにそうですよね」
秋元キャスター
「米ワシントンポストの社説ですが、『思いもよらなかったことが不可避になりつつある。不動産王ドナルド・トランプ氏が共和党の指名候補になりそうだ。良心ある共和党指導者は
「彼を支持しないし、支持できない」
とし、トランプ氏の指名を阻止するためにあらゆる手段を講じるべきだ』と、このように社説で載るのは異例と言われていますが、そもそもメディアがトランプ氏の発言を取り上げて、人気に火がついたということもあるわけですよね?」
前嶋教授
「ありますね。2つ申し上げたいことがあります。現在のワシントンポストの話ですが、先週1週間ほどワシントンに行ってきて、調査をしてきたのですが、基本的にはワシントンの政策関係者とか、大学の教員、1人としてトランプさんを評価しない。これは本当にアメリカの危機だと。ある方は、これはファシズムだ、絶対に阻止しなければいけないと、共和党支持者の人が。日本の場合のファシズムではなくて、ムッソリーニ、あるいはヒトラーに似ているかもしれない。絶対に止めないと世界のためによくないと、共和党がぶっ潰されると、こんな話をずっとしていたのですけれど、それを代表しているのがワシントンポストですよね。現在止めないといけないという政治エリートの意見と、そうではないトランプ支持者というのは、大変言いにくいですけど、ブルーカラー層で、あまり教養がなくてという、この2つの流れがある。この2つの間の越えられない川は大きいですよね。(ワシントンポストの社説は)一方の川の意見ですね」

トランプ旋風と米国の変容
反町キャスター
「トランプさんは、トークショーホストの経歴があるではないですか。それが今回のブームの火種になっている部分はありますよね?」
前嶋教授
「それももちろん、あります。才能的というか、能力的に。ただ、彼はトークショーというよりも、リアリティ番組のホスト、日本で言ったならどうでしょうか、最近あまり出られない、みのもんたさんが、過激なみのもんたさんがおもしろおかしくやっていくという形ですね。ですので、彼はコメディアンです、基本的には。コメディアンです。ですので、コメディアンでテレビの向こう側が何を言っているかよくわかっている人ですよね。一方で、トークショーホストというのもそういう人であるのですが、もうちょっと政治的に右か左を読みながら、田原総一朗さん的な人だと思うんですよね」
反町キャスター
「既存メディアとか、既存政治家、ワシントンとか、ウォール街、そういうものに対しての代表者にトランプさんが位置しているということでいうと反知性主義でアメリカを分析した時、このトランプ現象というのはどのような分析になるのですか?反知性主義とはどういうことですか?知性を批判するの?」
森本教授
「そうですね。そこは出発点ですけれども、日本でよく反知性主義と言われていることは、あいつは知性がないよという意味ですよね、何となくね。アメリカの伝統の中では、そういう使われ方も、もちろんするんですけれども、同時に知性が何かと固定的に結びついている時に、それに対する反発が出るんですよ」
反町キャスター
「アメリカで言ったら、知性が既得権益とか、そういうものに、ワシントンとか、ウォール街とか、そういうのに結びついていると?」
森本教授
「結びついた時に、それに対する反発として出てくるのが…」
反町キャスター
「誰が反発する?既得権益とか、うまみに預かれない人達が反発すると、そういう意味でよろしいですか?」
森本教授
「そうではない人もいますよ。反知性主義を標榜するためには、こちら側も、結構知性がいるんですよ。だから、相手のことをきちんと見極めて批判をするためには、こちらにもないとね」
反町キャスター
「トランプ候補の言っている話というのは、高度な知性に裏づけられたものであるという意味で言っている?」
森本教授
「そんなことはないと思うけれど。でも、トランプさんは知的な人ですよ。反知性主義の旗手というのは、だいたいこれまでは学校教育をほとんど受けていない人達がなっているんですよ。だけど、この時代で学校教育を受けてない人はもちろん、いませんからね。トランプさんだって大学を卒業していますし、そういうところはあります。それにしても彼は何と言うかな、親の代もちゃんと言いましたけれど、セルフメイドというかな、自分で自分の金を稼いだ人ですよね。そういう人が自分の金を使って自分の言いたいことを言う、やりたいことをやる、これは正しいことです、アメリカでは」
反町キャスター
「トランプ氏本人がそういう形であるのはわかります。ただ、トランプ候補を支える人達が、現在言われたような既存メディアとか、既得権益、そういうところと反対側にいる自分達は割を食っていると思う、たとえば、低賃金労働を強いられている白人の人達ですよ。教育の水準が低いと言われる白人の人達ですよ。そういう人達がトランプ候補を支持する。ここのところにおいて担ぐ人達は、トランプ候補は反ワシントン、反エスダブリッシュメントの候補だと思って担いでいても、実は彼自身、トランプ候補というのは大変なエスダブリッシュメントだという矛盾というのはトランプ・サポーターの間ではこれ処理されていないのですか?」
森本教授
「反知性主義とは必ずそういう宿命にあるんです。大阪の橋本市長なんかも、個人名で何ですけれど、非常にはっきりした反知性主義の旗手ですよね。彼自身は非常に知的で、インテリです。能力もあります。既存の政治家をやっつけながら階段を上がっていくんですよ。階段を上がりきったところでは、今度自分が反知性主義の反発を受ける側に、つまり、権力と固定するわけですから、なるわけですね。だから、必ず峠を越えるとあとは下り坂です。だから、トランプさんも同じ運命を辿るに違いない」
反町キャスター
「このまま共和党の候補者になって」
森本教授
「彼が批判の先になりますからね。そうすると、その支持者達もそのことに気がつくでしょう、俺達は彼に希望を託してここまでやってきたんだと。よって蓋を明けて見たら、彼大統領になってどうなるんだという、そういう疑問になるかもしれません」

米大統領選と米国の変容:『偉大なアメリカ』
秋元キャスター
「ヒラリーさんも、トランプさんも演説では『偉大なアメリカ』という言葉を使っています。2人の言う『偉大なアメリカ』はどういうアメリカなのですか?」
森本教授
「トランプさんが『メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン』と言うでしょう。そのグレイトの言葉の意味ですよね。トランプさんは成功者ですから、彼が伝導しているこの福音というのは富と繁栄ですよ。それはアメリカのキリスト教の特色です。彼ばかりではなくて、その前のレーガン大統領もそうだし、ヴィンセント・ピールという『積極的思考』という本を書いた人もそうだし、そういうずっと伝統があってやってきているわけですよね。だけど、アメリカが本当にグレイトである理由は、富だの、成功ではないです。もうちょっと理念的なものです。自由だとか、正義とか、平等だとか、そういうキラキラした普遍的な理念があってこそアメリカはこれまでグレイトだったんです。トランプさんはそういう意味でのグレイトというのにはあまり関心を持っていない。彼はビジネスマンですからね。やがてもし彼がリーダーシップを発揮する時がくるとしましょう。こない方が僕はいいと思いますけれど、その時には、彼はもう少しビジネスライクな話で外交を考えるでしょう。でも、それはアメリカのグレイトネスな一部分とはちょっと、これまでのグレイトネスとは違うグレイトネスですよね。これまでは世界の警察なんて言って、迷惑な話だけれども、世界に出て行った。それはなぜかと言ったら民主主義だとか、人権とか、大義名分があって、それを負うためにやってきていると。それがアメリカのグレイトネスだったんですよ。彼が言っているグレイトというのは全然違うと僕は思います」
秋元キャスター
「トランプ氏は『再び偉大なアメリカを』と言っています。クリントン氏は『アメリカはずっと偉大だ』と言っています。この違いは?」
前嶋教授
「まったく意味が違うと思うんですね。簡単に申し上げますと、トランプさんが言っている偉大なというのは、俺みたいな成金が、という意味ですよね。俺は成功者だ、ルーザーにはなるなと。彼としては、私はウイナー、他の人はルーザー、そこがポイントです。一方、クリントンさんは典型的な、民主党的な議論ではあるのですが、アメリカはずっと偉大な国であり続けていると。さらによくするためにいろんな意味でのバリアーを、障害を越えて、1つにアメリカをしていくんだと。女性の社会参加、政治参加もあり、同性愛の人のこともあり、あるいは人種的なこともあり、いわゆる典型的な民主党の平等主義」

今後の展望 あり得る?トランプ新大統領
秋元キャスター
「もしもトランプ氏が大統領になったら、どんなことになると思いますか?」
森本教授
「先ほど、ここに来る前に記者クラブにいたんですけれども、たまたま食堂でジェラルド・カーティスさん、コロンビアの教授にお会いしたんですよ。この話が出たら、カーティスさんは、もしトランプさんが選ばれたらどうしますかと言ったら、僕は日本に帰化するよと言っていました。あまりアメリカにいたくないらしいですよ。私は専門家ではありませんから、ただの素人の推測にすぎませんけれど、トランプさんはとにかく徹底してビジネスでこれまでやってきましたから、そういう事態になったとしましょう。その場合には、彼の周りをどういうふうなブレーンが、それをサポートするかという問題にもなりますよね。副大統領だけではなく、組閣をどうするかという問題にもなるし、彼自身がそういう意味では変化するでしょうね。これまで言ってきたこと、ブラッギングなこともあるでしょうし、大ボラを吹いて、ちょっとアテンション集めるという力もありますよね。さて、実際(大統領に)なった時にそのまま実行するか。たとえば、(国境に)壁を建てて、メキシコに払わせる、どうやって払わせるの?そんなこと誰もできると思っていませんよね。それはリアリティの問題とは違ってくると僕は思います」
前嶋教授
「2つに分けて考えたいと思うんですね。内政です。アメリカの政治システムは独裁者をつくらない。基本的に権力分立、議会の方が大統領より強い政治制度のシステムです。何があっても議会が何とかすると。上院、下院が何とかする、止めると考えられています」
森本教授
「議会も問題ありますけれど、もう1つは、三権としては最高裁の判決が出てきますよね。彼は同性愛の結婚に対する見直しだとか、中絶の合法化の憲法判断だとか、ああいうものをひっくり返したいと現在の段階では言っているわけですが、そういうのは危険だと思える。実際にそうなるかはわかりませんが、最高裁の判決、エスタブリッシュな判決に対してあまり評価しないというのは大統領としてよろしくない。それから、人権の問題も、たとえば、テロリストの家族を拷問して何とかと言うんです。彼はコマンダー・イン・チーフです。3軍の長ですね。ところが、軍の方では長いエリートの伝統があるわけですよ、軍には軍の。そうすると、軍とコマンダー・イン・チーフとが潜在的に対立してしまうことになるんです。これは非常に危険です。彼には核のボタンがあるわけですからね。現代の日本人にはなかなか理解しにくいところですが、軍の存在は大きいと思いますね」

前嶋和弘 上智大学総合グローバル学部教授の提言:『多様性』
前嶋教授
「これはどういうことかと言うと、アメリカは1つではない。たとえば、トランプさんを見る見方も1つではない。共和党の中でも、穏健な保守、あるいはワシントンポスト的なワシントンの人達があれを下ろしたいと1つになっています。一方、彼を支持する人もいる。もちろん、共和党と民主党の差もそうであります。民主党の中もサンダースさんとヒラリーさんの差はあります。だから、誰の発言であるのか。誰のメッセージであるのか。もしヒラリー政権、あるいはトランプ政権になったら、誰の発言でどんな意味があるのかと、ちょっとバックグランドを想像するともっと日本にとっても有益かなと、こう思います」

森本あんり 国際基督教大学教養学部教授の提言:『正統(政党)の蝕』
森本教授
「ちょっとだじゃれですけれど、政党がしっかり立ってないと保守本流にしても、リベラルにしても、そういうことがキチッとしてないと、それに対する異端の異議申し立ても十分にはできないということです。政党というのは先ほど、ちょっと申しましたけれど、軒を貸して母屋を取られるという状態ですけれど、個々の意見を1つに集約するわけですよね。妥協するわけです、お互いに。そして政治を動かしていくわけですけれど、その中には必ず、自分の意見が全部は反映されない。だけど、一部は反映されていくと。そういうのが政党のシステムとしてこれまで動いてきたので、私はこれを大事にこれからも育てていってほしいなと、日本でも、アメリカでも、と思います」