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2016年2月26日(金)
中東3駐日大使に聞く 『イスラム国』の盛衰

ゲスト

ワリード・アリ・シアム
駐日パレスチナ大使・常駐総代表部代表
ワリフ・ハラビ
駐日シリア・アラブ共和国臨時代理大使
ハッサン・ジャナービー
駐日イラク共和国大使
飯島勲
元首席総理秘書官 内閣府参与

中東3駐日大使に聞く シリア『停戦』へ
松村キャスター
「イラク、シリア、パレスチナの大使に、中東和平実現への道筋を聞いていきます。シリア国内での内戦は、大きくは政府軍、反政府勢力、『イスラム国』の三つ巴の争いとなっているわけですが、このうち政府軍と反政府勢力が明日午前7時から停戦する見通しとなっています。停戦に向けた動きをまとめました。今週22日、アメリカのオバマ大統領とロシアのプーチン大統領が、シリア政府と反政府勢力に日本時間の今日午後7時までに停戦受け入れを約束するように要求する共同声明を出しました。この呼びかけに対して、シリア外務省は23日、過激派組織『イスラム国』やアルカイダ系のヌスラ戦線、さらに、それに関連するテロ組織への攻撃を続けることを条件に反政府勢力との停戦を受け入れると、このような声明を発表しました。反政府勢力も24日、2週間の期限つきなら一時停戦に同意できるとの声明を発表しています」
反町キャスター
「今回の停戦の対象には、IS(『イスラム国』)、ヌスラ戦線、これ入っていない。ISでもない、ヌスラ戦線でもないテロリストグループとは停戦の協議をするということになっている。シリア政府から見た時に、IS、それとヌスラ戦線、それ以外のテロリストグループ。この違いは何ですか。さらに言うと、同じ交渉をしない相手側のIS、『イスラム国』とヌスラ戦線。『イスラム国』とヌスラ戦線の違いが我々にはわからない。この説明を聞きたいですよ」
ハラビ氏
「私達は、最初から、このように言っているんです。こういった勢力、つまり、全て武器を使っているところは、それは全てテロリストであると言っています。差別化をするのは難しいんです。テロリスト組織というのが、特定の大きな国と結びついていたりしています。つまり、アメリカやカタールやサウジアラビアやトルコといったところですね。ですから、そこの問題というのは、ロシアとアメリカとの間の合意ができましたけど、それは簡単なことではないですね。どの組織がテロリストで、どの組織がテロリストではないかという合意はなかなか難しいです。大きな問題ですけれども、実際に、ヨルダンとサウジアラビアに、テロリスト組織のリストをつくるようにということを依頼しているんです。しかし、この2つの国にしても中立ではないです。既に介入をしている特定のテロ組織との結びつきがあるという状況です。ですので、どうすれば、こういった2つの力に対して権限を与えることができるのか。このようなリストをつくるという権限があったとしても。それから、アメリカ、ロシアがこの問題に現在、取り組んでいます。シリアも、またその努力を示しています。このロシアと協力をしていくと。つまり、どのような地域。テロリスト組織といったところに、どの地域にあるのかということ。そういった組織は、どういうところなのか。たとえば、現在停戦があるとおっしゃいましたが、しかし、それは適用されるのは特定の集団ですので、ISとヌスラ戦線は除外をされています。もし何か軍事行動がとられた。何か違反行為があった。どの集団からでも違反があったという場合は、その場合には武器を使いたいという意向を示したということになります。ということは、それは、テロリスト集団になるんです。ということは、ロシア、アメリカの合意に従いましょうと言ったのです。その2つのテロ組織というのは、それは国連安保理のリストにテロリストであるとされているんです。他のアルカイダ関連の組織というのもあります。そのあと、もし他の組織が武器を使った、この戦闘行為の停止の時に武器を使ったということであれば、この集団もテロリストであることになります。つまり、アメリカは、この組織を国連安保理のリストにテロリスト集団として載せるべきだということです」
シアム氏
「テロリスト集団の定義ということですが、ヌスラ戦線、アルカイダ、その他、ISと言ったのは、それはシリアのものではないです。これは外国勢力です。外国から来ているんです。ですから、そう言った外国から来ている集団であるということですね。外国から来ている勢力で、それはシリアの中で戦っている勢力である。それは、しかし、外国から来ている。そう言った外国から来ている戦力がシリアに介入するのは、安らぎでないというか、アメリカがその時、介入をしていました。そして、ロシアも介入しています。ですから、ロシアとアメリカは関与し、と言うのは、ロシアはシリア政府を助けています。アメリカは反政府を支えています。ですから、この2つの大国が合意して、この対立をやめさせようとしているわけです。たとえば、トルコとロシアが対立するようなことにはなってほしくないと。また、航空機が撃ち落とされるというようなことがトルコでありましたけれども、そうなってほしくはないからです。ですから、ここで戦闘行為をやめる、とても大事なことです。ですけれども、そういった組織の定義。これは外国勢力であるということです。イスラム教徒ではないですね。イスラム教徒という口実を使っているだけです」
反町キャスター
「現在の話を聞いていると、何でヌスラやISが今回の停戦協議に入っていないのかというと、その理由は、アメリカとロシアが話をしたから。アメリカとロシアの力が及ぶのはアサド政権と反政府勢力だけであって、ロシアもアメリカも、ISやヌスラには影響力を行使できないから。彼らにロシアやアメリカの力が及ばないから、この停戦合意の中に入っていないのだと聞こえます。それでよろしいですか?」
ハラビ氏
「それはテロリスト組織ですよ」
反町キャスター
「シリアの中における反政府勢力はアメリカのアンダーコントロールに入っているではないですか。だから、彼らは停戦合意の中に入っている。でも、ヌスラやISはロシアやアメリカの影響を受けないから、彼らはまったくそのところとは違うところでテロ活動を働いているから、今回の合意の枠に入っていない。アンダーコントロールできないから、こういうことになっているのではないですか?」
ジャナービー氏
「ここで、単純化されたと思うんですね。かなりアプローチについて、単純化された聞き方をされましたけれども、そんなに簡単なことではないですね。ロシアとアメリカが、その2つに対して影響力がないので除外されているというだけのことではないです。それは現在の発言にもありましたけれども、大使からの。それは単純化し過ぎてはならないと思います。そういった正当なる主張ですね。この地域の人達が民主的な国になっていきたいと考えているわけですね。これまで、アラブの春という言い方がありました。これが、アラブの春が始まった時には本当の変化が及ぶだろうと。民主的な社会ができると、政府ができると思っていたんですね。ですから、これは正当な主張があるんです。しかし、この正当な主張というのは対応がされていないです。特定のアラブ世界の中で、一部では適切な対応がされていないです。ですので、これはテロリスト組織や過激派組織が乗っ取ってしまった形になったところがあります。ですので、この地域では、現在、私は完全に停戦の動きということ、高潔性を保つということ。シリアのためにそれを支持するものであります。それは是非、この政府が統合されることを、私は支持したいと思っています。ですから、その停戦を支持します。敵対しているもの同士という中で、交渉をするというのは、それは違った見方をしているので敵対しているのであって、特定のヌスラ戦線とかISを除外するということは世界のためにもいいことですね。世界のためにもいいことだと。この2つが除外をされていると、アメリカとロシアが除外をしているということを明確にしていると。つまり、何もこの2つのテロ組織とは交渉しないということです。アルカイダからの分派であるわけです、この2つの組織というのは。ですから、アルカイダがどうしてアフガニスタンやその他のところで支持を得てきたのかと言うと、それはまったく違った問題ですけれどもね。しかし、この2つの組織、大きなテロ組織2つが除外されているというのは、この地域のためになることです。地域の利益にかなう。そしてシリア、イラクの国益にかなうことです」

イラクとシリアの現状
反町キャスター
「ISとヌスラ戦線を入れない形で停戦をしたところで、何ら停戦としての意味はないのではないか?ここはいかがですか?」
シアム氏
「もちろん、ヌスラ戦線とISと交渉しません。と言うのは、交渉をしたら合法と認めるからです。反政府勢力、アメリカ、ロシア、シリア政府ですが、2つのウィルスを排除しなければなりません。ISとヌスラ戦線です。この2つを排除することができたら、あとはシリア国民が民主的に誰が新政権であるのか、もちろん、自分達の大統領を国民が選ぶわけです。外国人、多国籍軍が民主活動を押しつけるために来るわけではありません。アフガニスタンで失敗をしています。その意味で、国民の意思で、自分達で決定するわけです。外国人の力が、勢力が、我が国に来ることはできません。さらに武器も要りません。そうした組織が互いに戦うようにすべきでありません。誰が武器、弾丸を、コミュニケーションの手段を与えているのでしょうか?大国です。こうした国々が武器を販売しているのです」
反町キャスター
「今回、僕らが最初にこのトピックで扱ったシリアにおける停戦合意というのは、シリアの中における戦闘を停止するというような意味ではなくて、IS、ヌスラ戦線という、シリアの外から入ってきたテロリストと、シリアの人達が一丸となって対決して、彼らをシリアの外に追い出すための闘いの準備を整えるための停戦である。そういう理解でよろしいですか?つまり、停戦のための停戦ではなくて、ヌスラ戦線やISと、シリア全体が一丸となって戦うための、そのための準備のための停戦であると。そういう理解でよろしいですか?」
シアム氏
「その通りです」
反町キャスター
「それが全然皆わかっていない。あたかもシリアの中に平和が起こるかのように思っている。そういうことではないのですね?」
シアム氏
「そうではありません」
ハラビ氏
「少し付け加えていいですか。これは1番大事なことだと思います。なされていないと思います。西側のマスコミが行っているプロパガンダと、シリアの人々が現在、直面している問題は違う。現在シリアで起きている、現実に起きていることは、最初に申し上げますが、これは内戦ではないということです。これは国際的なテロです。一部の力、アメリカ、トルコ、サウジアラビア、カタール、イスラエルが加わった戦ですね。その中で宗教というのを利用しているんです。マスコミも残念ながら、西側のマスコミも、そうした図式というのを、現在、現実に起きている真実を隠しているんです。たとえば、内戦という言葉を使っているわけですね。内戦という言葉を使って全世界に伝えようとしている。シリア、さらにはイラク、人々が共存していないように言っているのですが、しかし、我々はそうした近隣諸国と共存をしてきました。スンニ派と、シーア派、クルドの人々。そうした人々と戦ったことはありません。シリアの歴史というのは、7000年、8000年の歴史があります。そうした危機というのは既に乗り越えています。そうした組織というのは、政治、さらに地域の秩序を変えていこうとしているのです。彼らは地図を塗り替えようとしているんです。そうした国々の権力を満たすため、イスラエルの希望を満たすためにです。それはイスラエルの国家をつくるためのものです。これは宗教に基づくものです。この地域を、いわゆる民族や宗教によって分けていこうとしているんです。たとえば、戦いを続けるためにイスラエルに全ての力を与えて、この地域をコントロールしようとしているんです。アメリカも満足していると思います。と言うのは、アメリカの軍事的、さらに安全保障上、経済的な国益というのを達成できるからです」
反町キャスター
「その話、アメリカが利益を得ているというのはわかるんですけれども、そもそもの話として内戦ではないと言うのなら、1つだけここで聞かせてください。アラブの春が、シリアに広がった時にアサド大統領は力によって、その動きを弾圧しましたよ。それについての反発がアメリカや他の国から出てきた、これも1つの事実ですよ。それは認めるのですか?認めないのですか?」
ハラビ氏
「むしろ最初に伺いたいのですが、あれは本当にアラブの春だったのでしょうか。現在冬だと思います。ここで考えなければならないのはその主な理由です。そうした状況を、この国においてつくったということです。たとえば、素晴らしい中東というもの、それは、たとえば、アメリカとイスラエルですが、ライス氏が2000年に来た時ですけど、中東に行って発言しました。新しい秩序と言ったのです。素晴らしい中東とおっしゃっていました。つまり、その結果、混乱、不安、暴力がつくられたんです。さらに国境を塗り替えて、国々というのは、民族、派閥によって、宗教によって分けていこうとしたんです。パレスチナの問題、ユダヤ国家の設立。さらにパレスチナの人々が独立国家を築くということ。つまり、そうした混乱を誰がつくり出したのか、忘れてはなりません。それ以降のことですが、実際にイラクへの進攻や、さらにリビアもそうです。リビアは破壊をされてしまいました。様々な混乱というのがアメリカによってつくり出された。これがアメリカの政策です。これが、いわゆる混乱をつくり出すというものです。それが我々に押しつけられようとしているんです。そのためにシリアの人々ですが、これはシリアの人々でないと言っています。国連の報道にありますが、実際にこのような地域にいる兵士、たとえば、イギリス、アメリカ、フランスも行っていますが、多くの、そういった外国人達が、IS、ヌスラ戦線などに参加しています。そのような関連組織に参加しています。アルカイダの分派などの組織に参加しています。シリア国内でそうしたことが起きているんです。その結果80か国、実際、既にシリア国内で、そうした組織が活動をしています。それで本当にアラブの春と言えるのでしょうか。このような大国の支持というのも忘れてはいけません。我々は国際的なテロに対してほぼ5年間、戦い続けているわけです。なぜその中でそれを達せなかったかというと、そうしたISやヌスラ戦線に対しての支援というのがあったからです。たとえば、サウジアラビア、カタール、トルコからの支援があったからです。それに加えて、アメリカからの政治的な支援というのもあります。たとえば、穏健派、穏健な反対派と言われている人達です。これは非常に危険だと思います。つまり、こうした力を利用して、テロを利用して、政治的な目標を達成しようとしているんです。これは非常に危険だと思います」

『イスラム国』の系譜
飯島氏
「テロ組織、ISとか、アルカイダ、タリバン、こういうテロの過激派組織の基本的ニーズというのが何かと言ったら、戦闘員、資金、武器ですね。基本的ニーズを支援している国がどこかと言ったら、支援をしているのは6か国。トルコ、サウジアラビア、カタール、フランス、イギリス、アメリカですね。この6か国が最大の支援国と言えると思います。では、トルコの場合、どうなのかと言ったら、難しいのは海外の戦闘員とか、義勇軍が、いったんイスタンブールに入って、そこで募集事務所に入って、お金をもらって、カタールと、イスタンブールで戦闘訓練して、それから、シリア、イラク方面に密入国をして…」
反町キャスター
「ISの募集所がトルコ国内にある?」
飯島氏
「2か所あるんですよ。だから、トルコから密入国し、トルコから脱出する。さらに、トルコの場合はISを中心に移動の許可を与えている。戦闘でのISの負傷兵はトルコの病院で治療している。これが現実」
反町キャスター
「トルコのメリットは何ですか?」
飯島氏
「いろいろな領土の問題ですよね、昔の。では、サウジアラビアとカタールは、日本の大事な輸入相手国。サウジとカタールは違っていて、たまたま反アサドに加わった理由の根底は、サウジアラビアとカタールは自国のエネルギーをシリアからトルコ経由で、EU(ヨーロッパ共同体)にパイプラインをつくりたい。絶対アサドさんは許可しないですよ。だから、アサド政権が潰れれば、自国のエネルギーのEUに対する供給がプラスになるという…」
反町キャスター
「ハラビさん、シリア政府はサウジアラビアやカタールのパイプラインが通るのに反対しているのですか?」
ハラビ氏
「私達は反対していますよ。カタールからヨーロッパにパイプラインを通すのに対して反対しています。もちろんです。それはシリアの現在の大きな問題というのは、それを信用していないです。アラブの中でも現在の危機に関わっているところもありますが、大きな問題があるのは、特定の国際的な勢力は残念ながら地域の勢力と連合を組んでいると。アメリカとこの地域の勢力が連合を組んでいるということです。つまり、サウジアラビアとカタールが、そのことでカタールの政策は破壊的なものになってしまいました。シリア・アラブ共和国に対して、破壊的なものになってしまいました。現在のこの問題というのは、なぜISがもっと力を…」
飯島氏
「サウジアラビアとカタールは共通です。イスラエルの場合は全てのシリアの反政府組織に対して、ゴラン高原を中心に武器、医療品を供給していると。こういう状態。では、アメリカの場合はどうなのかと言うと、アメリカの場合はトルコ、ヨルダン、カタール、サウジアラビア、イラクの基地利用を行っていると。同時に、アメリカ軍はクルド族を、ISを使って追い出したんですね、シリアの地域から。ISを支援していながらシリア、イラクを攻撃させている。これもよくわからない」
反町キャスター
「イギリス、フランスはなぜこの地域に関与しているのですか?」
飯島氏
「たとえば、イギリスの場合、MI:6の情報機関の数字はちょっと多いのですが、私が知る政府の公式数字は、昨年、シリア、イラクの戦闘地域に行ったのは500名。自爆テロもやりますという、洗脳された帰国者が250名もいる。あるいはヨーロッパ全体でどうなのかと言ったら、昨年の暮れぐらいまでに、ヨーロッパ全体でISに1万4000人(の参加)を超えているという。それはイギリス、フランスだけではなくて、オランダ、デンマーク、ベルギーも戦闘参加していると。フランスだけでは1400人以上が出国して、90人のフランス人がトルコ、シリア方面で死んでいるんですよ。こういう現実の中で、何としてでもISを潰したいつーのが国民の、国のニーズです。問題は、心配なのは、ISの戦闘員がこれはやばいと言ったら、トルコ経由で世界中のいろんな場所に行った場合、収拾がつかなくて、どこで何が起きるかわからないこともあるんですね。難民問題も出てきている。イスラエルの場合はそういう状態できていますから、それぞれの国によっていろんなアレが複雑。だから、こういう中で最初に呼びかけたわけではないですが、アメリカが主導的にリビアの問題、あるいはチュニジア、たとえば、イラクのフセインを打倒し、イラクの国民に自由な社会をつくろうと言って、10年が経っている。いまもっておかしいと。リビアもカダフィを殺して、3年以上も経って…。シリアを叩けと言ったら、ムードは多民族、多宗教のシリアですから、その中でアサド大統領を潰すよりはアサド大統領は生かした方がいいのではないかというムードに変わってきていると。こういう中で一貫してやっているのはプーチン氏。EUのフランス、イギリス、ドイツはどちらかというとプーチン氏に寄っていると、私は個人的に見ています」

米『中東政策』の功罪
反町キャスター
「アメリカの中東政策というのは失敗しているのですか?」
ジャナービー氏
「その答えはとても困難ですね。イエス、ノーで答えるのは困難ですが、しかし、多くの中東の危機がありました。現在のところ何も学習していないということだと思います。中東における失敗から学んでいないということです。歴史的な恨みというのがあったと思いますね。植民地にされたと。不正があったと。イスラエルが建国された。パレスチナ国民に対して加えられたこと。それは宗教的な過激派の人達がしているわけではなくて、独裁者がアラブ世界にいたと。パレスチナにおいて独裁的な政府があったとか、抑圧をしたとか、たとえば、経済成長がうまくいかなかったということもありますよね。パレスチナという名のもとに行われてきたことというのが、この国を前進させることには失敗した。繁栄や経済成長を達成することができなかったんです。こういった要素、勢力というのは貧困を利用しているというのは間違いありません。これは何も説明にはなっていないと思います。と言うのは、こういった人達は非常に豊かな人達ですね。たとえば、ビン・ラディン自身も非常に富裕な家の生まれでしたね。大きな富を蓄えてきたと。アメリカに投資をしていたというようなことも言われ、非常に複雑な図式になっているんですね。私に言わせれば、この基本的な原因というのは不公平がパレスチナに加えられたからだと。イスラエルがつくられたことによって」

複雑化する中東情勢
松村キャスター
「『イスラム国』の問題にしても、イランの問題にしても、イスラム教同士の戦いになっているように見えるのですが」
シアム氏
「まず明確にさせてください。イスラエル、パレスチナというのは、宗教的な諍いではありません。土地を巡る戦いです。1つの土地に2つの国。イスラエルは土地を渡したくないわけですね。なぜイスラム教徒が互いに戦っているのかというご質問ですが、それはイスラム教徒が互いに戦っているわけではありません。勢力同士の戦いで、原因があります。サウジアラビアには石油、イラクにも石油、イランにも石油、そういった国は皆、石油を持っています。石油の力があります。外国の勢力がここに来て、私達をお互いに競わせて、戦わせている。しかし、サウジアラビアとイランというのは、それは石油のことを巡っているんですね。イランは石油を売ることができます。サウジアラビアもこの市場を支配してきました。この戦いは、いったい誰がこの市場を支配するのかという戦いです。それはスンニ、シーア、あるいはキリスト教徒とユダヤ教徒ということではなくて、それはそのような名目のもとで戦っている。と言うのは、たくさんのシーア派、スンニ派というのがレバノンにも、シリアにも、ヨルダンにも住んでいます。また、パレスチナにも住んでいますし、アラブ諸国にもいます。お互いにつながりがあります。1つのイスラムです。そこには違いはないです。ですから、それはスンニ派とか、シーア派だとレッテルを貼られていますけれども、宗教を分派してしまっている。それは、たとえば、人種に分けているんです」
ハラビ氏
「私は、間違いなくそれは正しいことだと思っています。スンニ派対シーア派の戦いではないと。それは宗教を利用しているんです。口実にしているんです。ですので、サウジアラビアというのは石油の価格を安くして、ロシアに圧力をかけて、イランに圧力をかけています。ロシアとイランはシリアを助けているということで、サウジアラビアは、ここを潰したいわけですよね。つまり、石油を使っていると、経済的な圧力をかけているということですね、ロシアに対して。アサド大統領が独裁者かという話がありましたけれど、誰がこの人を独裁者だと言うのですか?この人は責任を持って自国民を守ろうとしているんです。だから、ロシアがアサド大統領を、シリアを助けています。だからこそ、多くの進歩が見られたんです。もし自分の国の大統領を自分達が決められないということであれば、5年間も何で大変なテロとの戦いをしているのか。現在でも何で生き延びて進歩できるのかということです」
ジャナービー氏
「この戦いというのは宗教ではありません。また、分派的な見方をしているわけではありません。地政学的な要素があります。また、大国の利権です。それが、それぞれの地元の勢力、リーダーに代弁されているということです。思想的な違いがあるのも確かです。そうは言いましても後ろにある動きというのは、それは変化を求める動きです。それで特定の集団、特定の勢力というのが変化を求めている。本当に民主的な社会を希求していると。本当に市民権を、平等を認めたいと。特定の勢力で現状維持をしたいというところもあります。この地域において、紛争があると、国境の外で戦いとなって、戦争を国境の中に持ってくるのは危険ですから、外で戦いをさせている」

ワリード・アリ・シアム 駐日パレスチナ大使・常駐総代表部代表の提言:『END ISRAELI OCCUPATION of PALESTINE THANK YOU JAPAN』
 シアム氏
「イスラエルがパレスチナの占領をやめてほしいということ。さらに日本政府のパレスチナへの支援にお礼を申し上げたいと思います。イスラエルがパレスチナを占領しているんです。20年にも渡って、和平合意を締結しているにもかかわらず、未だに和平はありません。占領が続いています。しかし、その中で日本政府がパレスチナを支援してくださっています。安倍総理の指導力のもとで、パレスチナとイスラエルの首脳が日本に来て、占領をやめさせるようにしていただければと思います」

ワリフ・ハラビ 駐日シリア・アラブ共和国臨時代理大使の提言:『Restore Bilateral Good Relations on Different Fields』
ハラビ氏
「日本の人々に対してのメッセージというのはいい関係を様々な分野で結んでいきたいということです。政治、経済、文化、様々な分野での関係があります。政治においてテロと戦うというのは非常に重要です。シリア政府と一緒に協力していただければと思います。現在、日本ですが、安保理のメンバーでもあります。日本の意見というのは非常に尊重されていると思います。さらに、協力することができると思います。たとえば、経済や文化など、JICAや考古学的な研究、さらに公民活動においてもそうです。その意味では我々の危機解決に尽力いただけると思います」

ハッサン・ジャナービー 駐日イラク共和国大使の提言:『1.Defeat Daesh 2.End Occupation of Palestine 3.Establish Democratic Palestine 4.Economic DEV. 5.Democracy』
ジャナービー氏
「最初に申し上げたいのは平和に日本が関わることができるということです。まずテロ、ISを撲滅することが必要だと考えています。2点目として、パレスチナの占領をやめさせるということです。3点目としては、民主的なパレスチナの建設が必要だということです。占領が終わり、独裁者が再びパレスチナの人々を支配するのではなく、民主的なパレスチナが必要だと思います。そのためには経済的な発展というのが必要だと思います。そうした中で人々がチャンス、繁栄を手にすることができると思います。5点目としては、民主主義です。我々は民主的な社会、民主的な国家を望んでいます。そうすることによって、中東の平和が訪れると思います」

飯島勲 内閣府参与の提言:『格差是正』
飯島氏
「現在シリア問題も、ヨーロッパのIS問題も含めて、要するに、貧富の差、それから、失業、こういう状態でありますから、格差を縮める努力を、日本政府としては紛争地域も含め、人道支援という状態で、徹底的に協力しようと。これは難民の対策も含めて、そこらへんの格差是正、ヨーロッパを含めて、大事ですね」