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2016年2月25日(木)
株価低迷の真相を探る 金利と原油と中国と

ゲスト

小山堅
日本エネルギー経済研究所常務理事・首席研究員
加藤出
東短リサーチ代表取締役社長
西浜徹
第一生命経済研究所主席エコノミスト

日本株低迷要因分析 中国経済減速の余波は
秋元キャスター
「安倍総理は、2月15日の衆院予算委員会で、日本の株価下落の要因についてこのような発言をしています。『世界的にリスク回避の動きが金融市場で広がる中、我が国の市場でも変動が見られている』としたうえで、その背景にある要因として『中国の景気減速、原油価格の低下、米国の利上げの動向』に言及しています。3つの海外要因について、1つずつ詳しく見ていきたいと思いますが、まず中国の景気減速についてですけど、こちら日経平均の株価のグラフですが、突然の人民元切り下げが発端とされる、昨年8月の中国発世界同時株安、世界市場が中国の景気減速の懸念に揺れ、日本の株価もここから低迷をし始めました。続いて、大きな下落は今年の年明けです。中国市場で株価が大きく変動をした場合、自動的に取引が停止されるサーキットブレーカー制度を導入した途端、取引停止が相次ぎ、世界市場が再び動揺をします。日本の株価も大きく下落をしてしまいました。まずは西浜さんに聞きたいんですけれども、中国経済の減速、それから、世界を取り巻く金融市場について、どういった分析をされていますか?」
西浜氏
「中国の金融市場というのは、実態の経済とかなり乖離しているのが、大前提としておかないといけないのではないのかなと思うんですね。特に昨年初めから非常に株価が一気に現在に比べて3倍ぐらい上がったんです。よく考えると中国経済は減速している、減速していると言われていたにもかかわらず3倍も上がるのは明らかにこれはおかしいと思うんですね。これは、つまり、ある種バブルだ。バブルが弾けたというのが、おそらく、これが昨年1年間の中国の株の流れなのではないのかなと思うんですね。どうも市場は、中国の実態経済が、思われている以上に悪いのではないかというようなところを相当、意識しているのではないかと思います。そのきっかけになっているのはリーマンショック。世界金融危機があったあと中国が大規模な景気対策をやったとか、もしくはアメリカが急に量的に金融緩和をやりましたけれども、この大きな政策をやったものの巻き戻し、ある種、ツケを払う状態にきているというような形になっているのではないかと言われています。ここに大きく、中国4兆元の財政出動と書いてありますけれど、4兆元とはどれぐらいの規模かなかなかイメージがつかないと思います。ちょうど当時の額にしてだいたい日本円にすると53兆円ぐらいです。しかも、当時の中国の経済規模は日本と同じですよ。そうすると、日本はせいぜい景気対策をやると言ったら、3兆円やったら、なかなかやったと。5兆円やったら大規模という話になるわけです。それが、50兆円を超えているわけですから、これは確かに景気はかなり盛り上がって、その一方で何が起きたかというと中国の景気から当然、新興国、資源国というのは、おんぶに抱っこになったんですね。こういうふうな流れがある中で、その中で、アメリカは急に量的金融緩和、これを3回行っているわけです。そうすると、お金がじゃぶじゃぶになった。実際にアメリカ国内も当然、量的金融緩和政策をやると金利が下がってしまいます。となると利回りを求めるお金はどうなるのというと、高い成長を求めて中国、もしくは資源国、もしくは新興国といったところに流れていった。そうすると、中国がうまいことまわっている時はよかったわけです。一方、中国が減速するとなると何が起きたかというと、それによって景気はどんどん新興国、資源国に悪影響を与えてきているということです。もう1つが、アメリカはいよいよ昨年末、利上げを始めました。つまり、金融緩和の鎮静化、正常化に向かっているということになると、これまで入って来たお金が逆流していくということになる。そうすると、これまでの中国の景気拡大、もしくはアメリカのじゃぶじゃぶなマネーによって、ある種、浮かれていた新興国、資源国が、一転して苦しい状態になってしまっていると。そもそも何で中国がそんなことになっているのかというと4兆元の景気対策によってある種、国内で言われていますが、過剰状態というのが生まれているということですよね。これは特に言われているのは不動産投資の過剰であったり、もしくは在庫の過剰であったり、生産設備の過剰と言うんですけど、それによって資源であるといったものをなかなか買ってくれなくなってきている。これが大変逆流する大きな要因になっているのではないのかなと考えています」
反町キャスター
「中国の現在言ったような状況が日本の為替と株にどう影響しているのかというところを説明していただけませんか?」
西浜氏
「中国のこの4兆元の財政出動によって、過剰状態が生まれているということになっている。現在、中国の景気減速というのは、実は製造業を中心に起こっているんです。製造業の何が問題かと言うと、日本と中国との1番連動しているところというのは製造業です。そうすると、製造業で落ち込むとなると日本も当然落ち込んでしまう。プラス中国の景気減速によって新興国、資源国が減速し、特に新興国で言うと、アジアがその中心になるかと思うんです。アジアも減速して、中国も減速をする。そうすると、日本にとってみれば、どちらもマイナスに作用してしまっている。つまり、業績が悪化するということです。それによって株が下がるという流れになってきていると、このように見ています」
秋元キャスター
「西浜さん、中国などの新興国リスクについて、今後の見通しについて、1番懸念される事態というのはどういう事態なのでしょうか?」
西浜氏
「新興国や資源国と呼ばれるあたりが、基本的に経常赤字。これはなかなか経常赤字という意味合いが難しいんですけれども、経済活動をするために必要なお金が国内にあるか、ないかということです。赤字ということは、国内にないということは、まるまる一生懸命経済活動をしようと思うとどこかからお金を持ってこないといけない。そのためにちょうどよかったのがアメリカのQE、量的金融緩和によって、アメリカからどんどん入ってくると。つまり、経済活動に必要なお金がアメリカによって賄われる状態になったんですね。これが巻き戻っちゃうとなると、一気に経済活動ができなくなってしまうということになりますね。これがどれぐらいの緩やかなスピードで落ち着いていくのかというのが1つのポイントになるでしょう。もう1つ、景気が中国の景気の拡大に見事に、おんぶに抱っこだったわけです。中国向けの輸出をどんどん増やすことによって、資源国においては価格も量もどちらも増やしていったという流れができたと。それがもたなくなってきているから、資源国も難しくなってきているし、新興国も難しくなってきているというのがあります。中国がハードランディングしないということと、もう1つは、世界的なマネーが本当に穏やかな形で収まっていくのか。これが担保されないと資源国、新興国についてある種、近年のブームと呼ばれた。これはブームだったんです、はっきり言うと。本当に地力があって、新興国、資源国と言ったところが成長できたかというと、いろんな意味で、アメリカからのお金によって下駄を履かせてもらっていた。中国がいろんなお金を出したことによって下駄を履かせてもらっていた。その下駄が完全に現在、歯が折れてしまっていると」
反町キャスター
「たとえば、中国の需要を満たすために、新興国は注文を受けて部品を安く輸出します。資源国も輸出します。その新興国や資源国の中におけるインフラの整備や何かのためのお金、必要なものはアメリカから供給されていました。この構図というのは当たっているのですか?そういうことではない?」
西浜氏
「必ず(しも)インフラ等々に向かっているかどうかですね」
反町キャスター
「何に向かっていたのですか?アメリカのお金というのは」
西浜氏
「1番厄介なのは不動産に向かっていたり」
反町キャスター
「インフラ整備とかではなくて、単なる投機」
西浜氏
「と言うのもある。それが故に現在、苦しんでいる。つまり、はっきり言って、調子が良い時に自分達にとって必要な投資はこれなのだからというような形で、きちんと青写真をつくってできていればよかったんですけれども」
反町キャスター
「現在の話は新興国や資源国、受入側の話?」
西浜氏
「ええ。しかしながら、新興国、資源国は、景気がよい時は言葉悪いですけれど、ある種、調子に乗っている」
反町キャスター
「それはどこの国。たぶん日本も、そうでしょう」
西浜氏
「はっきりと、そういう政策はとれないわけですね。それが故にアメリカが金融政策を変えると言ったらブースカ、ブースカ、アメリカに文句を言ったりするわけですね。という状態になっているということですね」
反町キャスター
「中国の為替の話を聞きたいんですけれど、中国経済の、先ほどの株価が落ちた背景なんかも含め、減速懸念が一気に広がったのが人民元の切り下げ、昨年8月のショックというのがありました。これはどう見ていますか?」
加藤氏
「これは中国当局の説明が下手だったこともあり、余計な不安を招いてしまったかと思うんですね。実際は為替レートを下げて、輸出を増やさないと、中国は危機的だということが背景にあったわけではなくて、まず大きく2つ理由がありますが、1つは、IMF(国際通貨基金)の方からSDRという特別引き出し権という通貨に入りたいなら、もっと為替市場のメカニズムが働くような仕組みに変えなさいというアドバイスが実は、事前にあったわけです。その中で値決め方式をもうちょっと柔軟にするという話があって、それをある種、素直に取り入れたというのが8月の決定でして、金融政策の方向性が、中国は金融緩和方向で、アメリカは引き締め方向ですから、自ずと人民元は安くなっていくと。なので、市場の流れにある程度委ねるのなら下がっていくわけです。あと、もう1つ理由があって、あの時は8月ですけれども、あの頃は9月にFRB(連邦準備制度)が利上げ、ゼロ金利解除するかもと。中国当局も思っていたわけですね。それまでに中国の人民元というのは随分上がってきていましたので、実質実効為替レート、BISというところがつくっていますが、2005年の7月から人民元というのは切り上げを始めまして、特に2014年の途中から2015年にかけてというのは急激に上がってきていたんです。ドルも上がっていたので、結構、ドルと人民元をリンクさせていましたから、当時。それ以上に人民元は、対ドルでも、より引き上げていましたので相当、人民元高がきつい状態であったわけです。このまま9月にFRBが利上げすると、ドルと強くリンクさせていると一緒になって、また上がってしまうということで、FRBのゼロ金利解除前にリンクを少し弱めておきたいとか、そういう市場メカニズムを働かせるようにして、ドルと一緒に上がらないようにしておきたいというのと、2つ理由があったということです」
反町キャスター
「完全自由化したわけでもないですよね?」
加藤氏
「ただ、そこは徐々にやってきているわけです。元の方向が逆なんですね。輸出に有利なように下げようとしているわけではなくて、あまり下がらないようにしているというのは、彼らもびっくりしちゃったわけですね。自分達がIMFの上限を入れて、仕組みを変えて、2%下がったと。そうしたら、世界中で株式が暴落したという、これは明らかにコミュニケ―ションの失敗があるんですけれども」
反町キャスター
「中国の金融当局のコミュニケーション能力が低いと。そういう意味で言っていますか?」
加藤氏
「市場メカニズムというか、市場というものを現在、勉強中の経済なので」
反町キャスター
「そんな勉強中の国の経済が、資源国や新興国を引っ張って、IMFのSDR、要するに、国際基軸通貨の仲間入りをするというのはおかしくないのですか?」
加藤氏
「そこは、まさにおっしゃる通りが故に、SDRに入れ、できるだけ先進国の仲間に組み込んでしまって、我々と同じようなやり方にしていかないと」
反町キャスター
「条件が整ってから仲間に入れるのではなくて、仲間に入れてから…OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)みたいな感じ?」
加藤氏
「そうですね。と言うのは、結局、巨大なわけですよ。無視できないですから。日本の2倍以上になってきているわけで。しかも、鈍化しているとは言え、中国の分母が大きいので6%台の成長というと、成長した分のパイが、東南アジアの4、5国を合わせた経済がまるごと増えているので、そうすると、西側先進国のスタイルをできるだけ取り入れてもらって、できるだけ一緒にやってもらわないと、という面もあるわけですね。また、すごく意識のギャップがあって、中国当局としては別にハードランディングとか、そんなに心配をしていないわけですね。もちろん、危うい部分もあるわけですけれど、オールドチャイナとニューチャイナというキーワードで整理できるかと思うのですが、先ほど以来出ている、4兆元投資関連業は、まさにオールドチャイナで、それは過剰生産、過剰設備で、そこを整理していかなければならないと。一方で、消費や環境、あるいはハイテク関連のニューチャイナという部分もあり、昨年のGDP(国内総生産)でもサービス産業が5割を超えてきていますので、そちらのニューチャイナの部分をいかに伸ばしながら、オールドチャイナの調整をしていくかという、現在バランスに取り組んでいるわけですけれども。なので、結構、それなりに消費は、勢いは残っていますので、日本の自動車が最近、中国で割と売上げがいいのは、日本車を買えるぐらいの所得の人が増えてきたというのがあるので、セグメントによってはうまくいけばまだまだ稼げるところはいっぱいあるわけです、中国は。全体として減速しているのは間違いないのですが。何ぶんパイが大きい中での減速なので、しかも、国がでかいですから、減速している地域もあれば伸びている地域もあるので、うまく狙っていけばまだ日本企業にもチャンスはあるとは思うのですが。得てして、日本企業はオールドチャイナにどっぷり入ってしまっているところが多いですから。なおさら、中国の減速を日本の株式市場は受けてしまって。もっと消費の方に入っていく必要があります」

原油安の背景は?
小山氏
「世界全体で見ると、原油価格が下がり始めた2014年というのは、需要の伸びが低い年だったんですね。それは中国の需要が鈍化したというのもあるのですが、もっと大きいのは供給の方の話で、アメリカのシェールオイルというのが過去数年に渡ってすごい勢いで増産を続けてきたんです。2012年、2013年、2014年、連続して大増産、この期間でアメリカの国内で、アラブ首長国連邦、それ1国分と同じくらい生産量がアメリカで増えてしまったんです。これが原油安の1つの大きな原因だと思います。需要面がこれまでよりも若干落ちてきているというのも確かですし、特に昨年の2番底、原油価格の下落。今年に入ってからの下落も、これは中国、世界経済がこれからもし悪くなっていくと需要の伸びがもっと縮むかもしれない。伸びていくにしろ、伸びしろがどんどん減っていって、これから伸びる供給を吸収できなくなるのではないかと思って、どんどん下がっているという状況ですね。ですから、一方で、需要面が大事です。だけど、大きな鍵は供給サイドでどれだけアメリカを中心として増えてきたのか。これから先もう1つ大きいのはイランですね。イランはこれまで経済制裁を受けて、生産量や輸出量を減らしてきた。ようやく核合意がまとまって、これから生産量を増やしますと、イランは世界に向けて高らかに言っているわけですね。今年中に少しずつイランの石油が増えてくる。そうすると、需要が中国問題などで伸びないかもしれない。イランが市場に帰ってくると。これは供給過剰がもっと悪くなるということになって、どんどん下がった。それが20ドル台に下がった1つの大きな要因ですね」
反町キャスター
「世界経済がうまくまわるための、適正価格はどのくらい?」
小山氏
「石油の需要と供給でうまくまわしていく、需給のバランスという観点で言えば、70ドル。現在、市場が均衡点を探しているような状況ですね」
秋元キャスター
「視聴者からの質問です。『エネルギー輸入依存国の日本で原油安が株価低迷につながるメカニズムがどうしてもわかりません』とのことですが」
小山氏
「これは実はすごく難しい問題で、当然原油が安いと、日本だったらガソリンも安い、灯油も安い、電気代も安くなる。いいことがいっぱいあるはずですし、貿易赤字の改善の面でもいい。だけど、今回の原油安で考えて見ると、先ほどまで議論していたように、その大きな背景要因の1つに世界経済不安、特に中国経済不安があるんです。だから、それがある意味でいくと、原油も株も両方の共通背景要因になっていることが1つある。だから、現象として起きている原油安の共通背景要因は何かと考えて見たら、中国問題、経済不安というのがあるというのが1つです。あともう1つは、ある意味でいくと、株が下がる、経済が悪くなるということは、リスク性のある資産から安全資産の方にお金が流れていくという、そういうマネーの問題でもあるんですね。これまで通常は、原油市場はリスク性の高い資産だと思われていますから、そこから当然、お金が逃げていくという、そういうマネーの循環という面もあるわけです。それから、あと石油に特定して言うと、まさにシェールの問題とかで、これまでもシェールでばんばん儲かって稼いでいた100ドルの時代の人達がたくさん借りている、こんなに下がっちゃうと、シェール企業の中には経営が非常に難しくなる、行き詰まる、場合によると破綻するかもしれない。そしてエネルギー企業の全体の株が下がるということで、それも株の悪循環をつくり出しているんですね。あと3つ目は、産油国問題です。原油価格が下がれば、産油国経済は悪くなるのは当たり前で、彼らの財政は本当にはっきり言えば、火の車ですね。そうすると、その中で起きているのが、産油国が持っている、ソブリン・ウエルス・ファンド、国家ファンドみたいなところが株を売らなければいけないことになっているような状況も生まれています。これがまた株を悪くする」

米国の利上げ見通しは?
秋元キャスター
「慎重な様子の米国の金融政策ですが、イエレン議長の最近の発言にはどういうメッセージが込められていると思いますか?」
加藤氏
「彼らのゼロ金利政策、それから、大胆な量的緩和策ということをやってきて、アメリカ経済がある程度、回復してきたので、さすがにゼロ金利、量的緩和を続けている状況ではないだろうということで、徐々に正常化に入ろうとしてきたわけです。そういう意味では、黒田日銀にとって幸運な面もありまして、黒田さんが大胆なバズーカ緩和策を始めたのが2013年4月ですけれども、前の議長のバーナンキ議長が2013年5月から量的緩和が間もなく縮小に入りますという話をし始めたので、それだけアメリカ経済は、よかったわけですけれども、そうしますと、アメリカの金利が先行き上がっていくのだなと市場は予想しますから、黒田さんの大胆な緩和があるのでアメリカの金利は上がっていくだろうと市場は予想すると。黒田さんの緩和があるので日本の金利は下がっていくと。アメリカ経済は当面は強い中で徐々に正常化するのであろうとなると、金利差と経済も強いということであれば通貨が、ドルが上がってくわけです。そうすると、反対側で円が安くなっていくわけですから、アメリカの経済が強くて、かつ円が安ければ、日本からアメリカへの輸出も伸びるであろうということで、非常にいいスタートになったんですね」

日米金融政策の今後は?
反町キャスター
「日本の株価、あまりいい具合にならない形に、現在なっていますけれど、これはアメリカの金利が今年3回、4回上げたらこうなるだろうというのを折り込んだうえでの株価と見たらいいのか、それとは直接関係ない?」
加藤氏
「広い意味では、アメリカの金融政策の正常化を折り込む中での摩擦というか、ではあるとは思うんですけれども、ただ、日本銀行としての誤算というか、不運だった面として、そもそも2013年4月に現在の大胆な量的規制緩和というのを始めて、2年でインフレを2%にすると宣言したと。その2年で2%にすると宣言して、大胆な政策をやることで人々の気持ちを変えて、軽くしてインフレにするのだと始めるわけですけれども、現状インフレがなかなか上がらないまま間もなく4年目に入ろうとしているわけです。なので、本当はそろそろ戦略の見直しをすべきところ、タイミングであるとは思うのですが、マイナス金利政策の導入というのはある種、2%は諦めずに徹底抗戦でいきます、という宣言でもありですね。ただ、たぶん黒田さんとしては戦略として仮に2年でインフレ2%いかなくても2年ぐらい経っていれば、FRBが利上げモードに入って金利を上げていけば、円安が進むであろうから、金利差が広がって、そうすると、日本はインフレそこそこでも円安が続いていくと輸入物価も上がってきますし、世論としてもそんなに円安にいかなくていいと。そろそろ日本銀行さん、出口いってくださいという声が出てくる可能性もあったわけです。アメリカが順調にいってくれれば。ある種、ですから、当初、短期決戦のつもりで始めたと。もしそれがダメでもアメリカがうまくいってくれれば、何とか出口が出てくるかなというつもりでいたのでしょうけれども。まず短期決戦で終わりだった。さらにアメリカの方がうまく利上げできないということになってしまったものですから、シナリオも崩れてきたと。これまですごく大胆な緩和で、国債をがんがん買ってきましたから、ここから先、国債の買い入れをなかなか増やせないということで、そこの手もだんだん尽きてしまったということでのマイナス金利ですけれどもね」

株価低迷の背景分析 日本市場の支え手は?
反町キャスター
「株式相場に入ってくるお金が増えている、この部分はいかがですか?」
西浜氏
「実際のところ、公的資金だ何とかと言われていますけれども、実際のところ、業績相場で確かに上値を追っていく環境にあったのは間違いないと思うんですよね。非常に円高に振れて、かなり意気消沈しているところがありますけれど、基本的に円安で輸出高は増えていないのですが、実際に輸出する額はちゃんと増えましたと。それによって企業は過去最高収益というのをしてきたと。そのようなところもあって、確かに株価は上値を追っていく環境にあったのだろうと。ここも非常に厳しくなってきていますが、現在第三の矢、つまり、三本の矢の三本目ですよね。これどういうふうにしてやっていくのかのところも当然必要ですし、財政再建は確かに重要な一方で、財政再建に拘泥し過ぎて景気の腰を折るのも変な話なので、景気に目配せしながらいったいどういうふうに財政をやるの。これはおそらく次の話になると、たとえば、来年の消費税みたいな話になってくるかもしれませんから、そういったことをどういうふうにするという青写真をきちんと描かないと、現在、確かに国会の中で、アベノミクスどうなんだ、こうなんだという話ですけれども、そこは確かにいったん議論しないといけないけれど、先行きどういうふうな形で日本経済、本当に飯を食っていくのですかという絵を描かないと、本当の意味で、株がただ踊るとか何とかの世界に陥っちゃうのではないかと思っています」
反町キャスター
「日本の株式相場に対しては、オイルマネーがガーッと入っていたり、グーッと抜けていっているという話もありますけれど、今後の日本の株式に対するオイルマネーの入りをどう見ていますか?」
小山氏
「これは原油価格次第で、というのはあるんですよ。私はちょっと違う観点から言いますと、今日は原油安と株安の共振というのか、連動の話をしたのですが、冷静に考えてみると、特に日本にとっては原油安というのはいろいろな恩恵を起こしているはずである。これは認識する必要は大事だと思うんです。逆に言うと2011年、2012年、2013年、この時期、日本は原油が高くて、しかも、化石燃料たくさん輸入しなければいけなかった。原子力が全部止まった。現在、逆に言うとそれが全部逆転している状況であって、エネルギーの観点からすれば、日本の実態という面からいくと、様々な追い風があると言ってもいいわけですね。企業にしてみれば、あるいは家計にしてみれば、エネルギー代金の低下というのは一種の減税効果なわけですから、将来の成長に向けた、いろんなことをやっていくという地道なベースのところから言うと、割と現在悪くないというところをちゃんと追っかける必要があると思いますね」

小山堅 日本エネルギー経済研究所常務理事の提言:『レジリアンス』
小山氏
「基礎体力と言ってもいいのかなと思っていまして、全体として株式市場、お金も2012年から増えていると言っても、上がったりする時もあれば、下がったりする時も、どちらもあるわけで、それはマーケットですから仕方がない。基本で考えてみたら、日本の総合的な競争力をどう強くしていくのかということが基本かなと。オイルマネーとか、海外要因というのは当然すごく影響するけれど、究極的に突き詰めてみたら、日本の企業、日本の産業が、そういう様々な外的要因にも耐えられるレジリアンスというのを高めるというのが、私は大事かなと思ったのでこう書きました」

加藤出 東短リサーチ代表取締役社長の提言:『北風から太陽へ』
加藤氏
「イソップの寓話で、北風と太陽。北風で風をどんどん吹かせて、服を脱がそうとしたけれど、かえって着込んじゃってダメだったと。太陽が照らしたら、自然と脱いだと、暑くて。日銀のマイナス金利政策というのは預金をほとんどゼロにして、安全資産には投資できないよと、北風を吹かせて、株に投資させようとするんですけれど、かえってそれでは怖がって服を着ちゃう、防衛的になっちゃう面もありますので、結局投資したくなるような成長していく企業をいかに増やすかという、家計の株式投資率を上げるという問題があるんですけれど、そもそも論として投資したくなるような企業をいかに増やしていくかというふうにしていけば、自然と投資はいくと思うんです。そういう意味で、成長戦略なり、あるいは個々の企業のがんばりも大事ですけれど、シャープのような話もある一方で、新しい企業が湧いてくればいいわけですから、チャレンジができるような社会の仕組みみたいなものを同時につくっていくということも必要だと思いますね」

西浜徹 第一生命経済研究所主席エコノミストの提言:『裾野を広げる』
西浜氏
「現在お二人から企業だとか、収益の方からお話があったんですけど、どちらかと言うと、市場も1つ重要なのかなと。日本の家計資産の中で、株は実は10%もないと。アメリカはだいたい34%、35%。ユーロ圏でも20%弱と言われている中で、なかなか株は、日本人、どうしても一般的に向かない。それが故にどうも企業が株主の方を向いているとどうも自分達と会議しているような感覚ありますけれども、自分達が株主になると、実際自分達にどういうふうな形で恩恵を受けるのかというのを必然的に考えるようになりますから、おそらく金融教育みたいなことをセットでやらなければいけないのでしょうけれど、取引の分厚さを増すためにも取引の裾野、これを家計等々にも広げてくことが必要なのではないかと考えています」