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2016年2月19日(金)
トランプとサンダース 反主流席巻の大統領選

ゲスト

藤崎一郎
前駐米大使 上智大学国際関係研究所代表
海野素央
明治大学政治経済学部教授
渡辺靖
慶應義塾大学環境情報学部教授

米大統領選『非主流』の躍進 『暴言王』トランプの実像
松村キャスター
「非主流派が躍進する民主、共和両党の指名候補争なのですが、まず、共和党から見ていきたいと思います。注目は何と言っても、ドナルド・トランプ候補です。初戦のアイオワではクルーズ候補に惜敗したものの、2戦目のニューハンプシャーでは得票率35%で圧勝しました。支持率を見てみますと、ほとんど首位を明け渡すことなく独走が続いているんですね。渡辺さん、いかがでしょう。この現状、どのように見ていますか?」
渡辺教授
「そもそも先週、テレビ討論会があったんですけれども、そこでオーディエンスからトランプが発言するたびにブーイングが起きるんですね。まるで共和党と戦っているような印象があったんですけれども、その人が1位になっていると。それから、今日ですか、ローマ法王から批判された。まさにカトリックと戦っているような印象を与えている方が首位を走っているというのは、これまでにちょっとない状況ですね。いろんな説明ができるんだと思うんですけど、この方はビジネスマンなので、日本の人はなかなかわかりにくいかもしれませんけれども、その手法はアメリカの、特に不動産とかを扱っている人によくありがちな手法で、初めにでっかく相手が絶対飲めないようなことをふっかけて、いわゆるアジェンダを自分のところに固めてしまうんです。あとはどんどん落としどころを見つけていくと。それから、討論会も、どうも不利な条件のものは蹴飛ばして出ないと。これまでの政治家でこんな人はいなかったですよね。ただ、ビジネスをやっていると弱い交渉の席には着かないという鉄則を守っている。カーター元アメリカ大統領が面白いことを言っていまして、実はトランプというのは案外大統領になったら悪くないかもしれないねと。つまり、ビジネスマンで、非常に現実的な人なので、うまく軌道修正をしていくのではないかというようなことも言っていますね。そのあたりが彼の躍進の秘訣かなという感じがします」
反町キャスター
「と言うことは、要するに、トランプさんを支持する人達は彼の過激な言葉を楽しみながらも、大統領になったら、そこそこトーンダウンすることを織り込んでいるということですか?」
渡辺教授
「ですから、彼の一言一言を信じているというよりは、発する、彼の気の強さと言いますか、そのあたりだと思うんですよね」
海野教授
「ニューハンプシャー州で個別訪問をやったんですよ。そうしましたら、私が歩いていたら、左側からヒラリー、ヒラリーという声が聞こえたんですよ。私は、いつもヒラリーさんの公式の帽子を被っているんですよ。このHのマークが入った。クリントン陣営とわかったのではないですかね。ヒラリー、ヒラリーとやっているんですね、2人が。ヒラリーさんの支持者ですかと言ったら、ニタニタ笑うんですよ、ポケットに手を入れて。トランプだと言うんです。トランプさんの支持者というのは白人、男性、低所得者、高卒、労働者ですよ。判を押したような人達ですよ。それで、いきなり30代に見えた労働者が私に向かって、こういう言い方です。あんた、女性が大統領になったら嫌だろう、と言うんですよ。女性というのはヒラリーさんのことです。女性蔑視ですよ。その時、ああ、こういう人がいるからトランプさんが暴言、失言をしても、下がらない、支持率が、と思ったんですよ」
反町キャスター
「既存の政治家、ないしはホワイトハウスのスタッフとか、上院や下院の国会議員が言ったら、大変なひんしゅくを買う発言。大統領候補なら許されるのですか?なぜこの人だと許されるのか?」
藤崎氏
「これまで許されなかったでしょう。それはおそらく日本でも同じで、そういうことを言う人だという期待値がある方が言うと、また言った、という感じになって、だんだん慣れっこになってくるのではないですかね。普通だったら、メキシコの話だってそう、移民の話だってそう、女性蔑視の話もそう。大変な話になってきますよね。ただ、今回は先ほど、まさにおっしゃった、法王、フランシスとの関係の話は、これは本当にどうなるのだろう。教皇様との関係はあれで大丈夫なのだろうかという、ちょっとわかりませんね」
反町キャスター
「これまでの様々な人種差別的なこととか、排外的なことを言っても、ある意味、許されていたかと思うのですが、これはもしかしたら致命傷になるのかもしれない?」
藤崎氏
「致命傷になるか、致命傷にならないかはわかりませんけれども、影響はかなりあるような気はしますね」

トランプ ローマ法王と応酬
松村キャスター
「トランプ候補ですが、その人物像を見ていきますと、実業家で、不動産王とも言われています。資産は自称、1兆円を超えています。スローガンは、Make America Great Again、アメリカを再び偉大な国へということですね。トランプ候補の発言をここで見ていきます。『不法移民の流入を防ぐために、アメリカとメキシコの国境に高い壁を建設すべき』とこう発言したことに対し、ローマ法王は『キリスト教徒であれば、壁ではなく、架け橋をつくるべき。トランプ氏はキリスト教徒にあらず』と批判しています。それに対して、トランプ氏は『リーダー、特に宗教指導者が他人の信仰や信仰心を問題視するべきではない』と。さらに『もしバチカンが過激派組織イスラム国に攻撃されたら、法王は、トランプが大統領だったらよかったのにと思うだろう』と、このように発言をしているんですね。海野さん、このトランプ候補の発言をどう見ていますか?」
海野教授
「トランプ候補は注目を集めるのがうまいですよ。しかし、それ以上に、トランプ候補は現在アメリカに吹いている風を読んでいます。その風というのは反職業政治家。つまり、政治家としてキャリアを積んできた人に対する有権者の怒り、不信、裏切られたという気持ち。反エスタブリッシュメント、支配層に対する、怒り、不信、裏切られたという気持ち。反インサイダー、ワシントンにいる上院、下院。そして、知事に対する怒りです。その3つの風を読んだ選挙戦略をとっているんですよ、たとえば、スピーチの中で、必ずトランプ氏は職業政治家を叩きます。愚か者だとか、無能であるとか。職業政治家はこれまで口先だけで、アクションをとってこなかった。そのアクションというのが、例のアメリカとメキシコの間につくる国境の壁であるとか、一時的にせよイスラム教徒を入国させないとか、アクションをとるのだとか。ですから、そのメッセージが全てその風を読んでいるんですよ、反職業政治家とか。そこは非常に戦略的にやっていますよ」
反町キャスター
「たとえば、今回のローマ法王とのやりとりは、これまでの過激な発言と同じ線上にあると見ていますか?噛みつく相手を今回、間違えたとか、そういうわけではないですか?」
海野教授
「それはもちろん、怖いですよね。怖い人にやりましたね。ただ、怖い人ほど注目度は高いわけですよ。注目度は高まりますよ」
松村キャスター
「渡辺さんはいかがでしょうか?ローマ法王に対する発言を含め、国民はどのように見ているのでしょうか?」
渡辺教授
「現在、アメリカ国民の7割が、アメリカが間違った方向に行っているということで、相当アメリカの政治不信が高まっていると。特に議会と言うのは、1割ぐらいしかないわけですね。ですから、これまでの政治家がいかに変化を語っても、もう自分達は信じないぞということが、海野先生がおっしゃったような職業政治家に対する反発なので。もう1つ大切なのは、ワシントン対する反発があるんだけれど、ワシントンの中には結構、既存のメディアも入っているわけですね。つまり、主要なメディアも全部、ワシントンのいろいろな既得権益とか、そういうようなところと全部一枚岩なので、トランプさんが過激な発言を言う。それに対してメディアが攻撃するとかえって支持率が上がっていくというような、不思議なねじれた構図になっていますね。ローマ法王から批判されたことと言うのがどう出るのかというのは、私もわからないですけれど、これまでの感じからすると、叩かれたことによって、また、支持率が伸びる可能性もあるんですけれども、ただ、さすがにローマ法王ですから、これはちょっと一線を超えているような気もします。同じことを、先週の討論会でも感じて、明確にトランプさんがイラク戦争についてはっきりと批判して、ジェブ・ブッシュさんを攻撃しているんです。これに対してのブーイングというのはすごいものがあって、共和党にとってイラク戦争というのはまずい点もあったけど、大枠としては正しい戦争だったと。そこに異議を唱えたということがあって。最新の世論調査で、NBCとウォールストリートジャーナルの方で、トランプさんがクルーズさんにちょっと抜かれたというのがあって。もう1つは、別の世論調査があって、FOXニュースの方は、相変わらずトランプ候補がリードしているので、まだその討論会でのイラク戦争批判がどう出たのかという即断をするのはちょっと早いんですけれども、もしかすると、今度のローマ法王からの批判というのが大きな変化…、トランプさんにとっては逆風になる大きなきっかけになるかもしれませんね」
藤崎氏
「実は2008年の大統領選挙の時、オバマさんが出てきましたよね。オバマさんとマケインさんでやりましたね。その前はオバマさん、クリントンさんでしたよね。その時、まさにオバマさんは、自分はワシントンにまだ来たばかりで、ワシントンではないのだと。クリントンはずっとワシントンではないかと。マケインもずっとワシントンではないかと。マケインさんは32年間上院議員をやっていたにもかかわらず俺はワシントンではないのだと言って、一生懸命にやりましたね。職業政治家、ワシントンに対して、自分達はそれと一緒ではないのだと。その頃からずっと出していかなければいけない状況。ただ、それがもっと酷くなってきたのは何かと言えば、オバマさんの政策がこれまでずっと民主党がやりたくてもやれなかった医療改革であるとか、あるいは銃砲規制の問題であるとか、環境の問題であるとか。民主党の政策ですよね。大きな政府につながる。これに対して大変な抵抗が共和党の方にあって、通さない、通さない、できる限りブロックし、しかし、やられちゃったものはできるだけ返そうとしながら、しかし、できなかったということに対する、共和党の中で溜まっていたものが現在ここに結びついているのかもしれません」

共和党指名争いの行方
松村キャスター
「共和党候補者の支持率をあらためて見ていきましょう。トランプ候補が抜きん出ているのですが、2位以下は入り乱れて拮抗しているという状況です。渡辺さん、この構図をどう見たらいいのですか?」
渡辺教授
「現在の、共和党の党内の情勢というものを簡単にまとめてみたものですけども、穏健派という主流派、職業政治家と言ってもいいのかもしれませんけれど、ブッシュ候補、それから、オハイオ州の元知事だったケーシック候補です。それから、ルビオ候補。ルビオ候補はもともとちょっと保守寄りの人だったんですけれど、保守派のクルーズ候補というのがあまりにも筋金入りの右なので、想定的に最近は穏健派に見られるケースが増えてきました。それとは別の次元で、アウトサイダー派としてトランプ候補がいるということですね。トランプ候補というのは、2009年まで民主党だった人ですよね。ですから、生粋の共和党員かと言うと、違うと。さらに、もうちょっとだけ細かく見ていきますと、いわゆるアイオワ州、それから、今度、戦いがあるサウスカロライナ州あたりで影響力があるキリスト教保守派の福音派、この支持を強く受けているのはクルーズ候補。そして、ティーパーティですね。ティーパーティ、クルーズさんも、ルビオさんも、トランプさんもそれなりに受けているんですけれども、1番の支持を集めているのはクルーズ候補だと。ネオコン、最近あまり聞かなくなりましたけれど、このネオコンというのは、ルビオ候補を支持している傾向があるようですね。こういうような状況になっているということです」
反町キャスター
「それぞれ穏健派、保守派、アウトサイダー派となった時に、それぞれの支持層の要求。候補者に対して求めているものというのは重なっていないのですか。要するに、アウトサイダー派、トランプさんの支持層がもし流れるとしたら保守なのか、穏健なのかとか。穏健派の支持層がもし流れるとしたなら、保守なのか、アウトサイダーなのかと。そのへんの支持層の入れ込み具合というのはどう見ていますか?」
渡辺教授
「トランプ候補の支持層というのは、プアホワイトと言われている人達ですよね。最近どんどん広がっているんですけれど、コアはそこにあると。白人はどんどん人口が減ってきていると。貧しい人というのはなかなか教育の機会もないし、雇用も不安定だと。トランプさんの戦略というのは、とにかくそのプアホワイトの票を獲ると。そのためにはあまりイデオロギーにはこだわらない。だから、たとえば、彼が言ったようにもっと富裕層には課税を強化するぞと。だけど、共和党のこれまでの候補は減税、減税ですから。富裕層に課税するなんて言っちゃいけないわけです。それから、社会保障は守るだとか、もちろん、イラク戦争にも反対していますから。ですから、共和党らしからぬ面が多々ある。それはおかしな話だけれども、あくまで彼はビジネスマンというんですかね、このプアホワイトの票を獲るため。そこが究極の目標と。実はトランプさんがもしダメになった場合、どこに流れるかというのは、いろんなところにバラけていくと思いますね」
反町キャスター
「もし、たとえば、社会保障の充実だとか、富裕層に対する課税とかを言っているトランプさんが、もしも本当に共和党の候補者になっちゃったら、民主党の言わんとしているところを食いちぎる可能性も、民主党から見たら、もしかしたらトランプさんは怖いのではないですか?」
渡辺教授
「ですから、冗談ともわからない言葉があって、トランプさんは何をするのかわからないと。もし彼が候補になったら副大統領を誰にするのかと。バーニー・サンダースにするのではないかと。いわゆる貧しい人達の票を固めるにはそのコンビネーションだという」
反町キャスター
「いわゆるブッシュさんとか、エスタブリッシュというのか、いわゆる本命と言われた人達。その人達の苦戦の背景は先ほどの反職業政治家。その一言に尽きてしまうのですか?」
渡辺教授
「そうでしょかね。もちろん、予兆があって2009年ぐらいからティーパーティが出てきてから、議会なんか、いろんな議連が出て、ティーパーティの勢いの中で、結構、有名な主流派の政治家がどんどん選挙で落選したということがあって。党の雰囲気というのは、どう見ても主流派の穏健派の候補が勝つなんてことがちょっと考えられない雰囲気が、もともと何となくその雰囲気が漂っていたような感じがしますけれども」
反町キャスター
「藤崎さん、いかがですか?共和党の中のレース」
藤崎氏
「1番の焦点は、おそらく今度のサウスカロライナ、ネバダ、それから、その次の3月1日のスーパーチューズデーです。3月15日ぐらいまでの間、これから1か月以内に、主流派の人が1人に絞られるのかどうか。つまり、ブッシュさんになるのか、ルビオさんになるのか、ケーシックさんになるのか。だいたい多くの人はルビオさんだということで、1番強いのではないかということを言っていましたけれども、そこはわかりません。ただ、私が会った人はこれまでそういったことを言っていましたが、この前ニューハンプシャーの時のディベートで若干、つまずいた部分がありましたよね、クリスティさんとのやりとりで。だから、そういうことが足を引っ張らなければルビオさんがいいかもしれない。ブッシュさんかもしれません。そこで1本化がだんだんはかられていくと、急に雰囲気が変わってくるかもしれませんね。これまで10%、15%と分かれていたものが、三十何パーセントになるかもしれないわけです。そうなるか、ならないかは、あとひと月以内で、そうすると、あと5か月間の行く末は、このひと月ぐらいの間にだいたい見えてくるのではないかと見ている人が多いようですね。私も、実はこういうふうなことでお話をするので、何人かのアメリカの評論家に話を聞いて、アメリカ人の知っている人にいろいろ話を聞いて、だいたいこのひと月が勝負ではないかという感じを持っている人が多いような気がしました」

クリントン苦戦の背景は?
松村キャスター
「民主党のクリントン候補は予想外の苦戦を強いられていますが」
渡辺教授
「昨年の夏からクリントン陣営に入って1186件もまわって、なのに、0.2ポイント差という結果だったんですよね。ですけど、クリントン陣営に入ってみると、2008年の教訓を活かしていますよ。たとえば、クリントンさんの選対の入口に行動指針というのがあるんです。その行動指針を見ると、たとえば、会議をやって意見の対立が起きた場合に自分が攻撃されたことと思わないと。寛容になることだと。2008年に選対の中で、選対本部長と戦略担当が喧嘩して、空中分解になっちゃったんですよ。ですから、そのような行動指針を決めたんです。もう1つは、クリントン陣営には、かなりオバマ大統領の元選挙スタッフ達が入っています。たとえば、フィールド・オーガナイザーという人達です。私のようなボランティアのまとめ役です。つまり、2008年オバマ大統領に地上戦で負けた。ですから、戸別訪問をやると。しかも、コミットメントカードを、クリントンの支持者だと、たとえば、党員大会でクリントンさんを支持することを約束しますと、ここに署名してもらうんですよ、有権者に。さすがにアメリカ人もひきますよ、署名することに対して。日本でいうと印鑑を押すことですから。法的な拘束力はないですよ。ですけど、署名してもらうんですよ。そして、この裏に、住所、電話番号、メールアドレスを書いてもらって、回収して戻ってくるんですよ。投票日の1週間前、あるいは党大会の1週間前に切手貼って、署名した人に送り返すんですよ。あなた、署名していますよねということで、これをニューハンプシャーでもやっているんですよ。実はこの戦略というのは2012年、オバマ大統領がコミットメントカードを、対ロムニー戦でやって、効果をあげたわけです。しかも、戸別訪問をやった時に、お願いします、とは言わないですよ。計画をつくらせろという指示が出ていたんです。たとえば、当日、何時に選挙に行くのですか、投票に行くのですか、午前中ですか、お昼ですか、午後ですか、夕方?と言って、計画をつくらせるんですよ。それをやらせる。そうすると、有権者も考えるんですよ。それをやって、計画をつくらせて、心理的な効果を出すんだということを選対の中で言っていたんですよ」
反町キャスター
「行かせるのが目的なのですか?札を入れさせる?」
渡辺教授
「札は、このコミットメントカード。それで行かせるためにメーカープラン、計画をつくらせる。そのやり方もオバマ陣営のやり方ですよ。つまり、オバマ陣営の2012年のやり方、2008年の教訓を非常に活かしている。ただ、問題点が1つだけある。若者がサンダースさんの方へ行っちゃっている。それだけクリントンさんは、エキサイティングではないですよ、若者にとって。新鮮さがないですよ。職業政治家です」
反町キャスター
「サンダースさんは74歳ですよ、エキサイティングなのですか?」
渡辺教授
「エキサイティングですよ。大学の、公立の授業料を全部無償化ですよ。それに加えて、最低賃金を15ドルまで上げるんですよ。クリントンさんは12ドルですよ。3ドルしか違わないけれども。しかも、クリントンさんは『トランプのような金持ちの息子に授業料を無償にする必要はない』と言っているんですよ。それは正しいですけれども、サンダースさんのメッセージは浸透していますよ」

『超リベラル』 サンダースの実像
松村キャスター
「サンダース候補の人物像をどう見ていますか?」
海野教授
「戸別訪問をやると、サンダースさんの支持者達は、バーニーは本物だと言うんです。バーニーは本心を述べていると。ヒラリーはメッセージをコントロールしていると。言いたいことを言うんですよ。ヒラリーさんはウォール街からお金をもらっているんです。バーニーさんはもらっていない。しかも、ヒラリーさんはスーパーパックを使っている。バーニーは使っていない。非常にそこのバーニー・サンダースさんとヒラリーさんを対照的に比べて意見を述べるんですよ。ですけど、クリントン陣営は、サンダースさんのことをいい人だと言うんですよ。サンダース陣営の支持者達はクリントンさんのことを信用できないとか、メール問題もそうだし、とにかくクリントンは職業政治家だと。インサイダーだとか、エスタブリッシュメントだということを、同じことを言うんです、支持者達は。と言うことは、サンダースさんのメッセージは浸透している」
渡辺教授
「ヒラリー・クリントンさんの支持層は中高年が多い。白人ももちろん、支持はあるのですが、マイノリティからの支持が、黒人、ヒスパニックからの支持が厚いと。既婚女性、それから、低所得者層より高所得の人になればなるほど支持が強い。ですから、バーニー・サンダースさんの方は、若くて、将来雇用不安を抱えている若年層が支持基盤になっているということになります」
反町キャスター
「クリントン候補が勝つためにはどうしても若者に積極的にアプローチしていかないと勝ち目がないということになるのですか?どういうメッセージを出せば、若者の心を捉えるかを考えてはいるんですけれども、ここは彼女の実績が災いとなって出てきている部分で、昔からテレビでもおなじみの人で、飽きてきた感があって、実績があるが故に、いまさら新しい夢は語れないわけですよね。つまり、大統領選挙というのは、自分と重ね合わせて、ちょっと酔いたいんですね。酔わせてほしいと。ところが、クリントン候補は安定性があって、政策通ではあるのですが、どうしても物語という点においては、サンダースさんが持っている革新性とか、それに比べてどうしても凡庸に見えてしまうという点があると思いますね」
反町キャスター
「サンダースさんは、できないけれど、風呂敷を広げている部分はないのですか?」
渡辺教授
「あるんですよ。クリントンさんから叩かれているのですが、ただ、若い人にとっては、クリントンさんは実績を語れば語るほど、自分のことを語るんですよね。自分がこういうことをやったとか。そうすると、若い人達にはそういう自慢をされても意味がなくて、むしろ自分の現在の不安をわかってほしいと。そうなった時にはサンダースさんの方が心を惹きつけられる。ただ、政策実現性としてはどうかなと」

民主党指名争いの行方
反町キャスター
「今後の展開の予想について、まず民主党は」
海野教授
「これは特別代議員がありまして、特別代議員というのは一般の代議員とは違いまして、上院とか、下院とか、知事とか、民主党の幹部を指しているんです、この場合。その特別代議員がクリントンさん支持なので、クリントンさんが有利ですよ。ところが、現在のような、クリントンさんが0.2ポイント差で勝ったとか、22ポイント差で負けたというような相撲をやっているとこの方(ブルームバーグ氏)が狙っているわけですよ。この方が出てこないためには横綱相撲をやらなければならない。そこが注目ですね」
反町キャスター
「え!?ブルームバーグさんは民主党から出るわけではないですよね?」
海野教授
「ではないけれど、チャンス。(ブルームバーグさんは)クリントンさんの戦い方を見ているんですよ。この方(サンダースさん)が落ちた場合、若者が投票に行くのか、ですよ。若者に行ってもらわないと異文化連合が成り立たない」

共和党指名争いの行方
反町キャスター
「共和党は?」
海野教授
「どう戦うかによるのですが、組しやすいのはトランプさんです、クリントンさんから見て。と言うのは、トランプさんは、女性からの好感度が低い、ヒスパニック系からの好感度が低い、アフリカ系からの好感度が低い。つまり、クリントンさんは、異文化連合で戦えるんですよ。クルーズさんが出てきた場合、クルーズさんも女性票だけ見ると、10ポイント離されるんですよ。クリントンさんの方が有利です。ところが、1人だけ苦戦する方がいる。ルビオ候補です。キューバ系なので、ヒスパニック票が獲れるようなイメージがあるのですが、獲れないです。キューバ系とメキシコ系は仲がよくないですよ。キューバ系は、政治亡命ですから、優先されて市民権を得たわけですよ。メキシコ系は出ないわけですね、同じヒスパニック系でも。キューバ系というのは白人ですよ、肌の色が。メキシコ系は非白人です。キューバ系とメキシコ系は不和ですから、そこは票が獲れないですけども、唯一、クリントンさんの(支持基盤の)女性票を獲るんですよ。差が5%まで縮まるんですよ、それがルビオ氏。クリントンさんは、ルビオさんについて、選対の中でも多くも語らないですよ。私は、裏返すと最も警戒しているからだと思います。ですから、できたら、この人(トランプさん)に出てきてもらいたい」
渡辺教授
「現在、支持者の数で言うと、クリントン候補は467人集めていて、バーニー・サンダース候補は2人ですね。ですから、いろいろあるかもしれませんけれども、現在の状況ですと、クリントンさんがなる可能性が高いかなと思います。共和党との戦いになると、現在の(共和党の)中の感情的なしこりみたいなものがあって、党内で一致できないと。分裂してしまうと、自ずと民主党の方に分があるのかなと。クリントンさんがルビオさんを恐れているというのは私も同感です。ルビオさんはアメリカン・ドリームの体現者ですから、夢を語れるわけですね。その点は大きな魅力だと思いますね」
藤崎氏
「おそらく民主党で、バイデンさんとか、ブルームバーグさんは、ギリギリまで待てなくて、もし出なくてはいけないとなれば3月とか、4月には態度を決めなければいけないだろうと思います。そこのところが、要ウォッチだと。共和党との関係では、ルビオさんか、ブッシュさんか、両名ともフロリダ出身ですね。ケーシックさんはオハイオの方。これが組みまして、ルビオさんとケーシックさんでもいいし、ブッシュさんとケーシックさんでもいい。そういう組み合わせ、いわゆる保守本流の人の組み合わせと対クリントンさんとなると、そう簡単ではないですね。確かに現在厳しいやり取りをやっているんですよ。ところが、思い起こしてみると、2008年の時にもオバマさんとクリントンさんのやり取り、なかなかすごいものがありましたね。クリントンさんが『バラク・オバマ、恥を知りなさい』と言ったりして。別に雨降って地固まるわけではないけれど、しかし、そこで候補が決まったら、利敵行為はできないから、まとまっていく方向に動いていくだろう。皆、自分のグループを持っているわけではないですね。トランプ派というのも、クルーズ派というのも、あるわけではないから、だんだんまとまってくるのかもしれません。ですから、トランプさんとの戦いよりは、クリントンさんにとっては、ルビオさん、ブッシュさんと戦う方が厳しいかもしれませんね」

藤崎一郎 前駐米大使の提言:『隣の跡目 口出さず』
藤崎氏
「誰になったら大変だとか、困ったとか、そういうことを言ってもしょうがない。相手がお決めになることですから、だから、誰になっても大丈夫なようにしておく。余計なことを言わないと。この番組でこういうお話をさせていただきながら、言うのも何ですが、隣の跡目 口出さず、これが1番大事だろう」

海野素央 明治大学政治経済学部教授の提言:『統一』
海野教授
「現在、共和党も分裂しています。職業政治家と非職業政治家ですね。民主党は世代間の対立ですね。中高年と若者。統一した党が有利になっていく。ですから、必ずクリントンさんにしろ、ルビオさんにしろ、トランプさんにしろ、統一をしなければダメですね。ここに注目ですね」

渡辺靖 慶應義塾大学環境情報学部教授の提言:『共和党大会』
渡辺教授
「共和党大会、7月にあるのですが、民主党の方は討論会などを見ていても、激しいやり取りはあるのですけれど、議論の水準が結構高いです。共和党の方は、お互いが嘘つきだとか、言いあっていて、これまではまとまってきたかもしれないけれども、今回どうなるのだろう。共和党の大会で分裂することになって、話し合いで決めなくてはいけなくなると。それに不満を覚えたトランプさんが党を割って無所属で出るとかになると、おもしろくはなるなと思います」