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2016年2月16日(火)
乱調株価円高どこまで 特効薬あるか世界経済

ゲスト

山本幸三
自由民主党衆議院議員 元経済産業副大臣
早川英男
富士通総研経済研究所エグゼクティブ・フェロー
小林俊介
大和総研エコノミスト

大波乱の金融市場 世界同時株安その理由は?
秋元キャスター
「昨年12月からの株価の推移を見ていきたいと思います。昨年12月30日に1万9000円台をつけていた日経平均株価は今年になって下がり続けまして、先週の金曜日12日には、およそ1年6か月ぶりに1万5000円を割り込みました。週が明けてから値上がりしていて、今日は1万6054円43銭でした。一方、円相場ですけれど、昨年12月16日にアメリカが利上げを発表してから円高に振れ始めまして、今月10日、FRB(連邦準備制度)のイエレン議長の議会証言をきっかけに11日、ロンドン外国為替市場は一時110円台まで急上昇しました。今日は1ドル=114円63銭ということですけれど」
早川氏
「今年に入って何が起こったかというのを時系列で振り返って見ると年初、中東と中国だったと思うんですね。要するに、最初、サウジとイランの外交関係が一段と悪化をして、そのことが一段の原油安につながったのが1つ。それから、もう1つは、中国株がもう1回大きく下げました。これは昨年のもともと、やや強引な株価対策の反動みたいなものが、半年経って出てきたということ。それから、いわゆるサーキットブレーカーであると。先ほどの株価の下落を一時的に止めるサーキットブレーカーの扱いとか、人民元の誘導等についてやや不透明、不手際が目立ったために、もう1回、中国株が急落して、このことがおそらく年初の世界的な株安、あるいは日本から見れば円高。あと1回、それは落ち着きかけたんだけれども、2月に入ってからの現象について言うと、むしろアメリカ経済についてすごく弱い経済指標が出ているわけではないのですけれども、マーケットの中にはアメリカ経済の減速、極端な場合はアメリカ・リセッション説なんてものもある」
反町キャスター
「景気後退という意味ですか。リセッションは、日本語に直訳すると、そういう意味ですけれども」
早川氏
「そう言っている人もいて。従って、従来、今年はアメリカが金利を上げていく年であるという前提で考えていたものが、現在、金融市場の中では、アメリカは1度も上げられないのではないかみたいな見方も出ていて、そうなると、当然、アメリカ金利は上がっていくはずだというのが、上がらないとなればドル安になる。ドル安は、反射効果で考えれば、当然、円高になるということが、2月に入って特に明確に出てきて。日本の場合は円高になると、いわゆる輸出企業にとって収益悪化要因になるし、現在では輸出企業に限らず、非製造業も海外事業をやっているので、海外の儲けが円換算する時に円高になると目減りしてしまいますから。そういうこともあって、収益悪化要因になるので、いわば株安につながった。そういう形で、今年初めからごく最近まで、そんな形で展開してきたと」
反町キャスター
「半年ぐらい前ですか、日本経済にとって適正な相場というのは、100円から110円だとか、いろんな話ありましたよね。現在、114円というのは、そんなに我々が大変で、日本経済が沈むと言うのは?」
早川氏
「要するに、中長期的に適正だという相場というのはよく購買力平価を計算するとどれぐらいになるかという議論があって、これは計算に仕方によりますけれども、100円ちょっとぐらいではないかという見方が多いので、長い目で見ればそのぐらいに戻ってくる可能性は、当然、あるわけですが、日本は現在、デフレ脱却を目指して、金融緩和をやっているので、おそらく現下の局面では購買力平価よりも多少円安方向になるのが自然な動きだと思っています。ですから、長い目で見て110円がいけないのかというと、必ずしもそうではないと思って、ついこの間も諮問会議の伊藤元重さんは100円ぐらいも容認すべきではないかとおっしゃったみたいですけれども、それは長期的にはそうだという話であって、現下の局面においてはもう少し円安気味で何とか維持していかないと、いずれは2%の物価目標達成といっても、もとの100円に戻っちゃうと、なかなかそうはいかないので、少なくとも現下の局面は少し円安目で推移させてほしいというのが日本サイドの…」
反町キャスター
「原油はどうですか?」
早川氏
「原油についてはもともと原油安というのが、経済にとってプラスかマイナスか。よくよく考えると一時期は、原油安でいいではないかと言っていたわけですよ。それは、よくよく考えると原油安が何によって起きているかによるわけです。たとえば、供給要因によって起こっているのであれば、供給が増えるわけですから、それで値段が下がるのであれば、当然、輸入国にとってはプラスに働くわけなので、それはそういうことになるんですけれども。しかし、そうではなくて、むしろ、それは世界経済の減速によって需要が減退するから原油が下がっているのだとすれば、それは必ずしも単純に喜ぶわけにはいかなくて、現実に起こっている原油安というのは実は両方起こっているんだと思うのですが、皆の見方というのが、ちょっと振れている。一時期は、原油安は良いことだと皆、言っていて、最近だと原油安は危険なことだと。いや、必ずしもそうではなく、実は両方、ただ、中国の減速みたいなファクターとアメリカのシェールオイルみたいなファクター、両方が走っているので、要するに、あまり過度にポジティブにも、あまり過度にネガティブにもとらえない方がいいと思うんですね」

異変あり?利上げ見送り アメリカ経済の現状
秋元キャスター
「急激な円高を招くきっかけとなったのが、FRBのイエレン議長の議会証言ですけれども、『経済が下振れすれば、昨年12月に始めた利上げペースも減速するのは適当だ』という発言ですけれども、早川さん、金融緩和から引き締めに転じたアメリカが慎重になってしまった背景というのはどういうものがあるのでしょうか?」
早川氏
「もともとアメリカは経済データ次第だと言っているわけであって、1つは確かにアメリカ経済のデータ、必ずしも強いものばかりではないというのがあるんですけれども、もう1つは、年初来の世界の金融市場の混乱によって海外経済、特に新興国の経済が心配だというのが影響しているのだと思うんです。実は昨年も本来は、昨年の9月ぐらいに1回目の利上げを行うと言われていたんですけれども、要するに、前にいわゆる中国ショックと言われる世界市場の動揺があって、アメリカはそれを慎重に見極めるということで結果的に1回目の利上げが12月になったということであり、今回も現在、また海外市場が動揺しているので、もう少し時間をかけて見極めたいということだと思います」
秋元キャスター
「小林さん、アメリカ経済をどのように見ていますか?」
小林氏
「既にアメリカ経済、減速は始まっているという状況です」
反町キャスター
「悪くなっているのですか?」
小林氏
「たとえば、GDP(国内総生産)の成長率を確認していきますと、4-6月期には既に年率換算で3.9%ぐらい成長はしていたんです。ただし、7-9月期にはこれが2%まで減少して、減速して、10-12月期。これは1月の終わりにちょうど出てきた数字ですけども、この数字、0.7%まできているという状況です。何でここまで減速しているのかということなのですが、結局のところ、ドル高、原油安で、企業が収益を出せないような状況になっているということです。結果として設備投資、新規には伸ばしていけない。あるいはヨーロッパからどんどん安い輸入品が入ってくるということですから、純輸出も伸びないというわけですね。そうした中で、家計消費だけは伸びているんですけれども、何で家計消費が伸びているか。これも結局のところ、ドル高と原油安。実質ベースでは家計の所得が浮き上がっていると。これによって消費しやすくなっているという状況があるわけです。ただ、先行き、ドル高、原油安の恩恵が消えた時に企業収益がまったく伸びていない中で、どうやったら所得がどんどん増えていくような画を描けるのかと言われると、ここは少し慎重にならざるを得ない、あるいはアメリカの家計、相当株を持っているという状況ですので、企業収益が上がらず株価が横ばい、あるいは1月からはかなり下がっているという状況ですので、そういう意味で、なかなかアメリカ人の懐、どんどん紐を緩めていく状況というのは少し想定しづらい。そういう意味で、私はリセッション、景気後退に入る可能性はそれほど大きくないと思っていますけれど、一方で、既に減速している。さらに言うと、そこから先の加速のドライバーというのも目先では少し見当たらないというのがアメリカの現状ではないかなと思いますね」
反町キャスター
「イエレン議長のこの発言というのは、もしかしたら、まだ強気のふりをしている。もっと事態は深刻ではないのかぐらいの気持ちで見ていましたか?」
小林氏
「深刻とまでは言わないですけれど、少なくとも年4回利上げをしていくというようなストーリーを突っ張っていくほどに実態経済は強くない。もちろん、これから先、データ次第というところもありますので、非常に強いデータが出てくればもう1回利上げを4回やりますよという話も出てこないわけではないですけれども、少なくとも現状から判断する限りは年4回というストーリーはあまりにも強すぎると。そういう意味で、もしかすると、ということではありますけれども、わざわざ敢えてそのようなタカ派的な、かなりマーケットにきついようなメッセージを出してきた理由はもしかすると景気以外のところにあるかもしれないということになりますね。私の見立てでは、もしかするとバブルの芽が大きくなる前にある程度ガス抜きをすると考えているのではないかなと考えています」
反町キャスター
「成長率が落ちているだけで、バブルの芽が出ていると、そういうことですか?」
小林氏
「そうですね。それについてはフリップで説明をさせていただければと思います。こちらのチャートは、アメリカにおける新規社債の発行高の推移と、それから、その目的別のブレークダウンを見ているものです」
反町キャスター
「社債の発行高自体は、折れ線チャートですね」
小林氏
「そうですね。折れ線のチャートで新規の社債の発行高を示している。こちらを見ていただくと過去5年ぐらい、かなり高い水準での社債の発行自体は続いてきたという状況が見てとれるかと思います。ただ、その中身を見ていただきますと、ほとんどは自社株買いとM&Aにまわっていた。つまり、利益に直接効くような実態面の投資が出ていたというよりは、社債を発行して株を買うような動きというのはかなり進んでいたというようなことですね」
反町キャスター
「これはどういうことですか?たとえば、非金融、メーカー、サービス業というところだとしましょう。それが、たとえば、名目上、新規事業の展開をします。お金が必要ですと社債を発行する、お金を集める。集めたお金で自分の会社の株を買っているということですよね?」
小林氏
「そうです」
反町キャスター
「それはどういう意味なのですか?」
小林氏
「本来であれば、企業の業績を伸ばす、あるいは成長のための投資をするということであれば、新規事業に投資をするというのが当たり前の話になってくるのですが」
反町キャスター
「設備投資とかに本来だったら使うべきだと」
小林氏
「ただ、ここについてはもちろん、プラスに出ているわけですけれども、そうは言っても小さい。つまり、資金の需要がそれほどないという状態です。ただ、その一方で、これだとどんどん成長してくれと投資家のニーズにマッチしなくなってしまうということになりますので。社債コストが非常に安い、金融緩和のおかげで、非常に安い中で、株式を購入することによって、1株あたりの利益を上げていく。それによって株価を上げていくというようなことが企業として好まれてきたというような状況があったということですね」
反町キャスター
「イメージがよくわからないです。要するに、タコが自分の足を食っているみたいな、そんなイメージ?」
小林氏
「イメージとしては近いものがあるかもしれないですね」
反町キャスター
「それは結局、アメリカ経済のどういう問題点が出ていると見たらいいのですか?」
小林氏
「これは、1つには低成長ということで、実態経済に、直接的に影響を与えるような設備投資の需要というのはそれほど大きくなくなってしまっている。それが故に、では、どこにお金をまわそうか。社債の金利は安い、借入れはできるということであれば、株式を買って、配当を払う量を減らしましょうという話になってきてしまっているということですね」
反町キャスター
「重役はストックオプションを貰うわけではないですか。成績良かったら何とかという。要するに、会社の重役が社債を発行して、資金を集めて自社株を買って、株価を上げているとなったら、ストックオプションの、自分の持前を増やしているようにも見えます」
小林氏
「そうですね。そういうインセンティブは、非常に働きやすい金融市場だったということですね」
反町キャスター
「それは非常に不正な臭いを感じる」
山本議員
「それは単なる誤解で、1株あたりの利益を上げれば、株価は上がるという誤解をつくって、自分の持っている株を上げて、とりあえずその間、高い給料を貰っていきましょうという、経営者がですね。結局負債比率を上げているだけですから。リスクも上がっているわけですから。まさに自分の足を食べている。一見、1株当たりの利益が上がって株価が上がるような幻想を与えただけですから、意味がない。アメリカ経済についても、確かに製造業とか、輸出関係がダメですから、あるいは原油が安くなって、シェールオイルの企業が潰れそうだという話も出ているので、ちょっと投資が起きにくい状況になっています。ただ、アメリカ経済をずっと見ていて思うのは、アメリカ経済というのは強くて、世界で何が起こったって倒れないですね。そういうところ、悪いけれど、消費はいいわけですから。消費、車も売れているし、住宅も売れているし、金利が下がれば、それなりにやるということもありますから。アメリカ経済は減速しているのだろうけれども、それほど世界経済が悪くなったからというだけで影響を受けるほどの…」
反町キャスター
「あまり心配されていない?小林さんは非常に心配だと言っていましたけれども」
山本議員
「私は、アメリカ経済はそれほど心配していない」
反町キャスター
「たとえば、この表に出ているようなこういう状況というのは、非常に何か不透明な感じもするし、何かお金を中だけで回しているような、実態経済のテコ入れにつながっていないのではないか、この社債の発行高はあまり懸念するにあたらない?」
山本議員
「もう、私はそんなふうには思えないですね」
反町キャスター
「早川さんはどう見ていますか」
早川氏
「基本的には、僕もアメリカ経済の見方についてはどちらかというと、山本先生に近くて、現在、まさに小林さんのような見方が出てきているので、先ほど、申し上げたように、いわゆるドル安が起こっていることだけれども。たとえば、最近、雇用者数の増え方が少し鈍化していると言うんだけれども、アメリカは失業率が5%を切ったわけで、完全雇用になったら、毎月20万人も増えないですよということであって、騒ぐことないと思います。もちろん、おっしゃる通り、明らかにこれまでのドル高があるので、製造業部門は苦しい状態になっているのは間違いないけれど、アメリカは製造業のウェイトの低い経済でありますので、製造業の弱さはあまり強調するのはいかがなものかなと思っています」
反町キャスター
「小林さん、アメリカ経済の先行きが、ちょっと心配だという中での、イエレン議長の証言ということは、利上げの先送りを言ったということは、マーケットは、議長は、ちゃんと現場、実態経済を見ているなとマーケットは歓迎しているんですよね。違うのですか?」
小林氏
「これは先週水曜、木曜、イエレンさんの発言を受けて株が下がったと。非常に面白い状況になったということですね。これ、なぜかと言うと、1月までの相場というのは、どちらかと言うと、拙速な利上げ。これに対する懸念がある中で、マーケットが荒れていたということですけれども、2月に入ってからのテーマというのは少し軸足が移り始めている。具体的に、欧州の銀行なんかが少し問題を抱えているようだということですね。少し信用不安の話が出てきているということ。それから、アメリカの景気についても、少なくとも10-12月のGDPについては弱かったということで、アメリカの景気、少し弱含むのではないかといったところに、主眼が置かれるようなマーケットになってきているということですね。結果として、先週、水曜、木曜日にイエレンさんのお話がありましたけれども、利上げを慎重に考えるという意味では、1月のマーケットであれば、これは好感するようなタイミングだったと思うんですけれど、しかしながら、残念ながらマーケットの受け止め方は利上げに慎重にならざるを得ないくらい景気が悪いのではないかと。行き過ぎた懸念だとは思っていますし、実際に蓋を開けてみれば、先ほど、早川先生、山本先生もおっしゃったようにアメリカの景気、そこまで悪くはないと。ちゃんと成長に戻っていくということだと思いますけれども、少なくとも、先週のマーケットは、そういう見方をしなかったということですね。一方で、面白かったのはその次の日、金曜日ということですね。これはダドリーさん、FOMC(連邦公開市場委員会)の副委員長ですけれども、この人がハト派の話をした時には、株価は非常に上がったと。今週のマーケットは日本株なんかも非常に良いパフォーマンスになっているということですけれど、これが何で2つ違ったのかと考えると、実はあまりFRBの高官の発言そのもので、マーケットの雰囲気が変わったということではなく、金曜に何があったかと言うと、ヨーロッパの銀行に対する信用不安。これがひと度、後退した。それに加えて、1つ良いニュースがあったということで、これは小売り販売額だということですね。アメリカのハードデータ。それなりに良いのが出てきたということで、木曜日までにマーケットが見ていたような行き過ぎた、アメリカに対する景気の悲観論、これが後退したのが金曜だったということですね。そういう意味では、利上げに対して慎重になるというのは、単体では、本来ではプラスになる話ということになるわけですけれど、それに加えて、マーケットが見ているものとしては、景気の後退不安がどれだけ本当なのかと。あるいは信用不安につながるようなことになるのかどうか。そういったものまで出始めているという状況ですので、FRBがどうするかということを少し超えて、もう少し世界的な協調が必要になっている状態だと思いますね」
反町キャスター
「よく中央銀行の総裁とマーケットの対話とか、コミュニケーションとよく言われるではないですか。その意味で言うと、FRBのイエレン議長の発言というのは、まさに会話の最たるものであるはずにも関わらず、現在の話を聞いていると実はイエレンさんが何を言おうと、あまり関係ないとは申しませんよ、それよりも大きなファクターで、現在マーケットが動いているように思う。これは違うのですか?」
早川氏
「これはありがちなことですよ。要するに、イエレンさんとしてはできるだけ、自分達が考えていることを正直に話して、マーケットに理解してもらいたいと思っているわけですけれど、先ほどの小林さんのお話で結局、マーケットは結構、自分が現在どう考えているかを、たとえば、イエレンさんの発言を読み込んでしまうというところがあって、たとえば、現在マーケットが非常に弱気になっている時に、たとえば、イエレンさんがこういう発言をされると安心するのではなくて、ヘッドも心配をしているのかと思い込んじゃったというのが小林さんの解説で。これは過去にもいろんなところでよく起こることですね。そこのところ、常に軌道修正しながらやっていかなくてはいけなくて、本当はそんなに強気なつもりではなかったのにマーケットは勝手にすごくタカ派的に解釈をしちゃったとか、これまでも何回もあって、その度に、イエレンさんと前任のバーナンキさんもうまいこと修正しながら進んできていると思いますけどね」

世界経済低迷 打開のカギは?
秋元キャスター
「世界経済の安定に向けて有効な打開策はあるのでしょうか?」
早川氏
「これまで主に先進国同士である種の金利安競争をやって、その罠にとらわれているところがあるんですよ。たとえば、アメリカは1人だけ、いわば金利安競争から自分だけ足抜けしようとしたんだけれど、足抜けしようとすると、日本もヨーロッパもさらに緩和するということになって、なかなかうまく抜けられないで、むしろ引きずり戻されるのではないかと皆が心配しているというのが1つあって。もう1つ、従来考えてなかった中国という大きなファクターがあって、言ってみれば、日本とアメリカとヨーロッパだけだったら大人のポーカーなので、それはそれでうまくやっていけるんですけれども、中国みたいな固定相場の人が入ってきてしまうと、このままジワジワ下げていくと、資本流出が加速してしまうし、じゃあ1番簡単なのは、本当は一気に2割3割引き下げれば、簡単ですけれども、それを謳うと、逆に世界に非常に大きな衝撃を与えてしまうと。たとえば、ASEAN諸国(東南アジア諸国連合)もすごく大きなダメージを被るので、そうもいかない、というのがある種のジレンマになっていると。そうすると、ある種の世界的な政策協調ができればいいなと思っていて、たとえば、まずは各国で金利安競争をやめましょうということは決める。それから、2番目に財政の余裕のある国は財政出動しましょう。中国は如何ともし難いので、ある程度の資本規制を復活すると。資本流出が行われないように規制をもう1度強化する。これは実を言うと、この間、今年春のダボスで黒田総裁は実は中国は資本規制をせざるを得ないのではないか、した方がいいのではないかと言われたと報道が流れていますけれど、私も同じ意見で、これができると世界は落ち着くのですが、たぶん政治的にこの合意は難しいですね」
山本議員
「問題に関連するのはアメリカと日本と中国ですから、この3か国で政策協調をやる必要があると。その政策協調というのは、私は世界的な需要不足の状況だから財政拡大、量的緩和の方向にそれぞれ3か国が歩調を合わせてやるというのがいいと思います。それから、中国については、資本規制を私はやっていいと思っているのですが、おそらく効かない、効果がない。と言うのは、香港との間で貿易の形を通した資本流出がどんどん起こっています。香港の業者が領収書を書いて、中国側に渡して、お金を渡しているわけです。だから、貿易の形をとってやったらコントロールしようがない。それはどんどん起こっていて、おそらく完全にはコントロールできないので、結局、そういう投機筋が一斉に入って来て、やられちゃうのではないかなという気がします。だから、そこはそれでも少しは止められるかもしれないから、やれるものだったら日米中首脳サミットで、それを含めてやりましょうということをやればいいと思う」

マイナス金利きょう開始 日本経済への影響は?
秋元キャスター
「マイナス金利を導入したあと、株価が下落しています。これはどう見たらいいのでしょうか?」
早川氏
「確かにタイミングで見るとまさに日銀がマイナス金利を導入したら円高、株安になっちゃったみたいになりますけれど、先ほど申し上げたように、基本的な円高、株安の基本的な背景は海外要因なので、今回日銀の政策がこれの引き金になったということではなく、基本的にはマイナス金利政策というのはどちらかと言えば、円安要因に働くはずですね。マイナス金利にすることによって、短期から長期まで全体に誘導カーブを押し下げるものでありますから、そういう意味では、本来はそうなのだけれども、ちょっと悪いタイミングに当たってしまったというのは事実です。事前にも今回そもそも円高、株安は、海外要因なので、ここで日銀が金融緩和をやっても効果がないかもしれないと言っている人達がいたんですけれども、結果から見るとそうなっちゃったという感じはありますが、しかし、あくまで1週間、2週間で評価すべきものではなく、少しマーケットが落ち着いてくれば少しずつ効果が出てくるはずなので、見極めていった方がいいと思う。もう1つは、従来どんどん国債を買っていくやり方というのはそろそろ限界が近づいてきたと思うので、それよりはマイナス金利の方が比較的長期間、続けられるし、それと、もう1つは、いざとなれば、現在のマイナス0.1%からもう少し1回、2回は追加金融緩和が可能になるので、そういう意味で、このスキームの変更自体はよかったのではないかと思います」
反町キャスター
「マイナス金利をどう見ていますか?」
小林氏
「これは基本的な見方はまったく同じです。マイナス金利なり、金利の引き下げというのは、ある意味で触媒のようなものだという考え方をしています。そういう意味では、景気が良くて、資金需要がある。あるいはマーケットに上昇トレンドがあって、上昇の期待があるような時にはマイナスの金利で預けておくよりは、そういったところに設備投資にお金を貸し出すという話があるとか、あるいはマーケットにお金を入れてリスクを取りにいくという動きが出るわけですけれど、残念ながら、今回の場合は、たまたま外部環境の悪い時に当たってしまったというだけであって、この政策はマーケットが落ち着く、あるいは景気が好転してくるタイミングではかなり効いてくると思います」

山本幸三 自由民主党衆議院議員の提言:『日中米の緊急サミットで政策協調を』
山本議員
「日中米の緊急サミットを開いて政策協調をやらないと下手をすると世界経済の景気後退を招きかねないということで、是非安倍さんに今回はサミット議長国ですから、やってもらいたいと。これは、本当はG7プラス中国がいいのですけれど、経済の関係から見るとヨーロッパの直接の影響は日本にもないので、中国も直接はありませんから、最低限、日中米だけはやった方がいいのではないかと。そうすることによって、落ち着かせないと少し心配だなと思っています」

早川英男 富士通総研経済研究所エグゼクティブ・フェローの提言:『国際協調』
早川氏
「私も似たような話ですけれど、国際協調と書きました。お話はもともと、景気を回復させるために、ということだったのですが、日本は確かに低成長であるけれども、これは潜在成長率が低いだけであって、現状ほぼ完全雇用だし、それに加えて企業収益も好調なので、特に日本の景気が悪いと言う必要はないと。むしろ日本にとって心配なのは海外環境なので、しかし、海外経済を安定させるためには国際協調が必要ということです。ただし、国際協調については先ほど、既に明らかになっていますけれども、山本先生が考えておられる国際協調と、私が考えている国際協調は違いますけれど、そういったことで世界経済を安定させない限りは、日本国内の問題がなくても、日本は大きな影響を受けてしまうという意味で協調が必要だと思います」

小林俊介 大和総研エコノミストの提言:『国際協調 需要創出』
小林氏
「私からも国際協調、もう1つ、需要の創出というお話をさせていただきたいと思います。国際協調については、まさにご指摘いただいた通りというところですけれども、一方で、低成長を打破していく、あるいはデフレ脱却と財政再建の二兎を追うためには、財政を出すというだけではなく、愚直に成長戦略をやっていく必要というのが各国あるということだと思います。そういう意味で、アベノミクス第2ステージということで、特に労働投入に対してかなり刺激するような政策に舵を切ってきたわけですけれども、これは非常に好感すべき流れだと思います。ただ、もう1つ付け加えることがあれば、労働投入、それから、労働生産性で全体のGDPのパイが決まるということですから、生産性を上げていくような規制緩和、あるいは新しい産業を育てていくような規制緩和。そういったものをやっていく中で潜在成長率の基礎を上げていく。そうした中で二兎を追っていくということが長期的には求められるのではないかという考え方をしています」