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2016年2月15日(月)
成長への魔法のワード 『経済圏』を識別せよ

ゲスト

石破茂
地方創生担当大臣 自由民主党衆議院議員
冨山和彦
経営共創基盤代表取締役CEO

『GとL』で考える日本経済 『地方創生』に必要な施策とは
秋元キャスター
「今日発表されました、昨年10月から12月期の実質GDP(国内総生産)の速報値ですけれど、前期比年率でマイナス1.4%と2四半期ぶりにマイナスとなりました。石破さん、この数字をどう受け止められますか?」
石破地方創生担当相
「これは、何でこんなことになったのかというと、いろんな分析はあるんですけれども、今日は寒いですが、だいたい暖冬ですよね。この冬は。そうすると、冬物衣料が売れません。あるいはここは議論が必要なのだが、個人消費が伸びていませんということなので、こういう数字になったのではないかと。これは(経済再生担当大臣の)石原さんも言っている通りですよね。ただ、企業収益とか、そういう、いわゆるファンダメンタルズというのですか、そういうものは悪化していないというのが政府の判断であるが故に、現在、審議していただいている来年度予算、28年度予算、そういうものをきちんと成立を早期にさせていただいて、切れ目のない経済対策を行わせていただきたいというのが政府の見解です」
反町キャスター
「野党の質問でのやりとりを見ていると、アベノミクスの行き詰まりを象徴するような数字であるかのような発言が、ずっとこれからも飛ぶのでしょうけれども、その件、政府の政策の行き詰まりではないかという指摘についてはいかがですか?」
石破地方創生担当相
「だから、それは最初から言っている話、三本の矢というのがありますね。大胆な金融緩和、機動的な財政出動、成長政策というかな、構造改革というかな。3つありますと。その最初の大胆な金融緩和、機動的な財政出動というのは教科書通りに言っているわけですよ。でも、どちらもいつまでもどこまでもできるものではないですよねということは最初から言っていることで、この2つで時間的な猶予を与えられているわけだから、まさしくこれから先、日本の経済構造をどのように変えていくのか。冨山さんが常に主張しておられるようにグローバル経済に効くやり方と、ローカル経済に効くやり方は違うでしょうと。これまでみたいに、大企業があって、その下に下請けというのがだいたい地方の経済を引っ張ったわけです。だけども、大企業そのものが移っちゃった。あるいは下請けだったら、よその国にしちゃいましょうということになったら、ガタンとそこが落ちるわけで、そういうわけにはいきません。だから、ローカル経済に相応しいような構造改革とは何か。日本全体で働いている人で、世界を相手に商売している、主に製造業。そこに勤めている人は全体の2割しかいないわけで、それが稼ぎ出す経済は3割しかないわけで、それ以外の部分を改善していかないと日本全体の経済が変わるなんてことはあり得ない話」
反町キャスター
「冨山さん、いかがですか?マイナス1.4%、どう感じていますか?」
冨山氏
「基本的な問題として、賃金の上昇は必ずしも追いついてきていないわけです、実質において。この背景、どうしてそうなるかというと、生産性がそう簡単に上がらないんですよ。別に、金融緩和したから生産性が上がるわけではないので。これは構造改革にしても、生産性を上げるにしても、やや遅行的、時間がかかるんです。構造を変えていくということになるので。カンフル剤ではないですから。そうすると、そこは時間がかかるのはしょうがないところがあるんです。ですから、デコボコGDPがするのも、ある意味、暫くはしょうがないところがあって。ですから、大事なことは、ここで変に結果を焦って、やるべき努力をやめちゃうということは危険で。ですから、この数字に一喜一憂しない方が私はいいと思います」
反町キャスター
「ただ、石破さんが言われたみたいに、これまでのアベノミクスという意味で言っていると思うんですけれども、大企業、輸出産業に偏ってきたのではないかという話をされました。そこのところはいかがですか?」
冨山氏
「偏ってきたというか、結論から言うと、緩和性、金融緩和はしました。円高、行き過ぎた円高が止まりました。これは基本的にはグローバル製造業にしか効かないです。たとえば、ローカルでやっている、運輸業とか、あるいは飲食業にとっては、むしろ緩和性があると、輸入コストが上がりますから。コストが上がっちゃうんです。必ずしもいいことばかりではないわけで。ですから、そう考えちゃうと、これまでの話というのはもちろん、だからと言って彼らの元気がなくなるわけではないです。たとえば、インバウンドでお客さんがいっぱい来たりするから、だいたいオフセットとして行って来いですけれど。ですから、最初の、特に第一の矢というのは、大手製造業、グローバリー製造業についてはほとんどいいことばかりです。ですから、これは別にやってもいいですよ。それで別にローカル経済が不幸になっているわけではない」
反町キャスター
「でも、輸入原材料の値上がりとか、そういう部分は?」
冨山氏
「そのマイナス面がありますけれど、たとえば、インバウンドのお客さんが来るわけです、地方の観光業には。あるいは大企業の人達の所得が増えますと、その人達が、たとえば、観光で地方に来るとかね、そういう消費の活性化が起きる。だから、だいたいニュートラルです。ですから、これはこれとして置いておけばいい。こちらはこちらで、がんばってくださいということです。そうすると、一方で、ローカル経済圏に効くような経済政策は何ですかということを直視して展開するということが大事で、この多くは構造改革論的な話になるんですよ。生産性を上げるという議論なので。そうするとそんな短期的に成功はないので、ここはちゃんと腰を据えて、要するに、持続していくということが大事だと思います」
秋元キャスター
「冨山さんが言われたグローバル経済圏とローカル経済圏について説明していただけますか?」
冨山氏
「グローバル経済圏というのは、製造業や大企業は貿易材ですね。一斉にできるもの。国を越えて、あちこちできるようなものですから、どこでつくってもいいし、どこでも消費できるという世界です。この世界というのは世界中で競争をやっているわけです。だから、世界中、要するに、日本の会社が地球の裏側の会社と競争をしているのかもしれないし、ということになるかもしれないので、非常に完全な競争、グローバルな完全競争です。だから、勝っていこうと思ったら、世界1位とか、2位、3位を目指さないと、逆に、生き残れない、殺されてしまう産業です。ところが、だから、グローバル化というと皆、こういう産業領域になると思うでしょう。ところが、先ほど、石破大臣も言われたように、2割ぐらいの人しかここでは働いていないです、現在は。だいたい先進国はこんなものです。ドイツはあれだけユーロが弱くて、輸出で食っているように見えますけれど、実態として25%ぐらいですね。こういう経済圏の中では。むしろ先進国共通に大きくなってきているのはローカル経済圏で、どういう産業があるかというと、非製造業、かつここはそんなに資本がいらない産業が多いので、交通とか、飲食とか、社会福祉。あるいは不動産、建設ですね。こう言った産業というのは、どちらかと言うと、中堅、中小企業が中心で。どういった単位で競争をしているかというと商圏内競争です。私どもはバス会社を経営していて、岩手県のバス会社ははっきり言って、宮崎県のバス会社とは競争していないですよ。なぜならば、サービスとか、生産した場所でしか消費できないですね。対面しなければできないですね。だから、善くも悪くも空洞化も起きないですよ。そこでしかできないから。実は、岩手県のバス会社は現在、人手不足ですごく困っています。運転手が足りなくて。たとえば、ベトナムに行ったら、大型の運転手がいっぱいいます。ベトナムでバス会社をやっても岩手県の人は乗れないわけです。だから、そういうベトナムとは競争にならないです」
反町キャスター
「国際競争力は問われない?」
冨山氏
「問われないです。基本的には、不完全な商圏内競争となります。なおかつこう言った産業というのは労働集約産業です、どちらかと言うと。だから、すごく雇用吸収力がある、人をいっぱい使うので、だけれども、労働集約的ということは裏返して言うと、生産性を上げるのがそう簡単ではないですよ。ロボットを入れて自動化ラインというわけにはいかないので。そうすると、いっぱい人を雇用は吸収できるんだけれども、なかなかその賃金というのは上がりにくいという、そういう性格を持っていて、特に日本の場合にはこの産業領域の生産性が世界の先進国の中ではずば抜けて低いです。要するに、8割の人は、世界的に見て異様に生産性が低くて、賃金が低いところで働いているという問題です。賃金上昇で言うとここのゾーンがなかなか上がってこないですよ。要するに、アベノミクス、1番効くのは、グローバルの方に効いていますから。こちらはどんどん賃金が上がるんですけれども、こちら側はなかなか上がってこないというのが現在、課題です」
反町キャスター
「全体の割合が、ここにGDPのグローバル産業というか、企業ですね、GDP、日本の3割ですよね。こちら側が、要するに、ローカル企業やローカル経済圏のGDPの6割から7割」
冨山氏
「稼いでいます」
反町キャスター
「稼いでいる。その割合というのは実際、僕らが経済指標を言う時には、どうしても、グローバル経済圏の活躍の数字を言いますよね」
冨山氏
「言います」
反町キャスター
「それは間違っている?日本経済の実態を示していないという意味でもありますか?現在の指摘は?」
冨山氏
「たぶん、そうです」
反町キャスター
「そうすると、このグローバル経済圏とローカル経済圏の関係というのは、これはゼロサムですか?」
冨山氏
「ゼロサムも関係なくて、善くも悪くも直接の産業連関がないわけです。だから、昔の元請け、下請けであれば、ややゼロサム。もっと下に高いお金で受注してあげれば、トリクルダウンで落ちてきますよと。ところが、現在、産業構造は先ほど、石破大臣が言われたようにそうなっていないので、ローカル経済の主役というのは中小下請けではないですよ。いわゆる中小企業の90%は非製造業ですから。ゼロサムではないので、だから、それぞれに応援をしなければいけないということです」
反町キャスター
「そうすると、さすがに全然言わなくなりましたけれど、アベノミクスというのは、金融緩和やら、財政出動で、輸出関連大企業をとにかく強くして、株価を上げて、資産を上げて、強くして、それが徐々に染みていくという、トリクルダウンという言葉を誰も言わなくなりました。それはもともとない話だった?」
冨山氏
「もともとないと私はかなり前の本に書いているので、予想通りなかったという感じです」

『ローカル経済』再生 地方公共交通は…
秋元キャスター
「ここからはローカル経済圏の再生の話について話を聞いていきたいと思うのですが、まずは冨山さんが実際に携わられた具体例について聞いていきたいと思うんですけれども、冨山さん、地方公共交通の再生、経営改革に携わっていますけれども、たとえば、福島交通グループなど、どういった状況に陥っていたのでしょうか?」
冨山氏
「これは全部、実は、経営共創基盤の子会社、孫会社でぶら下がっている会社で、全部100%買収して再建をしているのですが、元を正すとだいたいこの地方のこの手の公共交通会社というのはいろいろ手広くやっちゃうんですね。昔、人口増えていましたから。ホテルやボーリング場やら、あれもやるこれもやるで手を広げました。でも、途中で人口減少に転じます。そうすると伸びきってしまっているので収拾がつかなくなって、それで苦しくなって、最後は倒れるという、そういうパターンでうちにくるんです。中身をよく見ると、本業の公共交通、バスです。地方バスというのは、実はちゃんとやればちゃんとなるビジネスです。と言うことは、やってみるとわかるんですけれども、たとえば、東北地方、多いですね、福島、岩手県北、茨城は茨城。要は、どちらかというと過疎が進んでいる地域で、それこそ震災もありましたし、原発事故もあって大変な状況ですが、実は、そういった状況で再建をやっていても我々が1番困っている話は運転手が足りない、人手不足ですよ。ずっとこの9年間。福島交通を始めてから9年目ですけれども、最初から、ずっと人手不足です。リーマンショックの時にも人手不足。だから、リストラもまったくやっていないというか、やりようがないです。そういう状況です」
反町キャスター
「土台となる産業、たとえば、今言われた交通機関以外、ホテル、ボーリング場など関連産業をやっていることについていうと、元となる産業については、人手不足だと。そこは、要するに、人減らしとか、賃金カットとかをしない?」
冨山氏
「しない。むしろ路線も伸ばしているぐらいです。これはなぜ起きるかというと、人口減少は地方から始まっているわけです。相対的に若い人が減って、高齢者が増えますね。地方のバスに乗る人というのは、若い人ではないですよ。生産年齢世代の人は軽自動車、皆、車で移動しているんです。だから、バスに乗る人というのは、高齢者か、若年、学生さんです。一方、運転手の供給源は生産年齢人口です。これはだんだん減ってしまうんですね。だから、需給は相対関係なので、お客さんが相対的に増えて、運転手が相対的に減ってきているんです。売上高は横ばいです。むしろ運転手が本当に足りなくて、そうすると実はいろんな手が打てるんですね。1番大事になるのは、意外と地方のこの手の会社というのは、ちゃんとやっていることが、たとえば、コスト。どの路線が儲かっているか、儲かっていないか、どのダイヤが儲かっているか、儲かっていないか。運転手ごとの生産性、事故率はどうか、あるいは燃費がどうか。それと、整備する営業所が何か所かあって、その何か所、それぞれどこが、生産性が高いか、ちゃんと分けて見ていない場合が多いです。これを、とにかく緻密に、緻密に分けて、収支を調べて、どこが儲かっているか、儲かっていないのかを見える化して、これができるとPDCA、プラン、ドゥー、チェック、アクションというふうに改善がまわせるんです。これをしぶとく、しぶとくグルグルまわしていくと、実は着実に生産性が上がってきます。たとえば、細かい話ですけれど、路線のダイヤを変えるとか、あるいは走っているルートがありますでしょう。何でこういうまわり方しているのかと言ったら、石破大臣いるから言いにくいんですけれども、昔、○○先生のお母さんがここに住んでいたんですよ。ところが、そのお母さんが亡くなっていて、だけど、何となく走っているというのがあるんですね。そういうのをまっすぐに戻したりですとか、そういったこと。地方には人口移動が結構あるんです。それこそ限界集落がなくなったりしますから。そういったことを丁寧に、丁寧に直していきながら、生産性を上げていくんですね。生産性というのは、たとえば、1番低いのは労働生産性なのですが、労働時間分の生産付加価値です。と言うことは、無駄な労働を減らすか、時間を使わないようにするか、ちゃんとお金を上手にとるかということですね。これを上手にやっていくということで実は収益も上げられるし、労働生産性が上がります。これは賃金に直結しますから、賃金も上げられます。逆に、賃金が上げられないと現在、いい運転手が採れません。そうすると、よりブラックな、要するに、長時間、低賃金労働している会社は、問題になる運転手を雇うことになっちゃうんです。どこかのケースではないですけれども。ですから、結局現在はホワイトな経営をしている方が収益も良くなるし、賃金も上がるんです。だから、すごくいい時代です」
反町キャスター
「たとえば、先ほどの福島交通の話を聞いていると、手を伸ばした結果、収益が悪化している関連事業がありました。そこはどうされたのですか?」
冨山氏
「これはやめていきます」
反町キャスター
「そこにおいてはいかがですか?解雇というのは、そこは避けられない。人員整理は?」
冨山氏
「ほとんどは吸収できてしまいます。伸びているところは伸びているので。たとえば、観光なんかが伸びていますから。ですから、現在とにかく解雇で人手が余るという問題は、地方においてほとんど問題ないです。東京以上に人手不足で足りないですから」
石破地方創生担当相
「これまでは、人は減っているよねという感じだったんだけれども、これから先、その減り方は尋常ではないわけですよ。すごい勢いで減るわけ。日本全体で見たって、現在1億2700万人いますよね。西暦2100年になったら半分になりますよ。200年経ったら、1391万人。300年経ったら423万人とか。恐ろしい勢いで人が減るわけですよ。それが地方消滅と言われる所以であって。これはさすがにまずいということになっているわけですよね。ですけれども、地方というところは、若い者は黙っておれと。よそ者は帰れと。バカなことを言うでないと。いわゆるよそ者、若者、バカ者を排斥して、それなりにコンフォタブルな世界、よそ者もいないし、若者もいないし、バカ者もいないし、ということですよね。だけど、そのコンフォタブルな時代は終わったのではないですかと。そして日本経済全体がこのままいったらば、経済も消滅に向かいますねと。人もいなくなりますよね。要は、国の終わりですよね。それはまずくないですかという話ですね。これはグローバルな話になると何が何だかよくわからない。金融工学はよくわからないという話になるわけですが、たとえば、その前、私が運輸委員長をやっている時に、十何年も前ですよね、観光業どうするのというお話だった。金曜日の夜からお客さんは一杯ね。金曜日、土曜日、日曜日、行ってらっしゃいませと言うまでは忙しいんだけれど、あとはお客さんがいないわけです。そんなもの生産性高いわけないではないですか。でも、週末にお客さんが来るから、一生懸命に投資して、良いサービスの旅館には人は来るけれど、そうでないところも、でも、その日しか行けないのだから、それなりにやれてしまうわけです。そうすると給料なんかが上がらなくてやっていけるねという経済がそこにあるわけですよね。それでホテル、旅館なんて、そんなものではありませんかということですし、シャッター通りと言われるけれども、そこに行ってほしいものがある?実際にある?そこに行って商品知識ある?ある人もいるでしょう、品揃え良いところもあるでしょう。でも、昔の中国の人民商店みたいなもので、入ってきたら何しに来たみたいな、そういうところがないとは言わない。そういうのを変えていかなければいけないので、そういうところでも、たとえば、ご高齢になっていろんな商品、品揃え難しくなったねと。あるいは接客技術も現在の時代に通用しなくなったね。だけど、兄ちゃんは銀行に勤めているし、姉ちゃんは市役所に勤めているし、年金もあるしということになったならば、そんなに一生懸命に商売をやろうというインセンティブは効かないです。だから、それで一種、幸せな光景なのかもしれないけれども、起こったことは何ですかというと、シャッター通りですよ。町の荒廃ですよ。だから、それを止めなければいけないよねというのは皆、巻き込んで、政治家もそうだし、行政担当者もそうだし、商店の方々もそうですよ。これで誰かがそんなことはないとがんばっちゃうとダメですね。だから、政治家や行政ががんばりましょうと言って、いい、そんなことしなくて、と言われちゃったらどうしようもない。商店街ががんばろうとと言っても、政治家が邪魔したり、行政が邪魔しちゃったりと、シャッター通りになる。要は、行政は行政でやりっぱなしだし、誰も結果をチェックしない。民間は民間で、お上、何かやってよ。何かイベントをやるから補助金を頂戴と、それをやったらお終いと。市民は何をやっているのだろうねとか言って、冷ややかに見ている。だから、やりっぱなしの行政、頼りっぱなしの民間、無関心の市民、これが三位一体になったなら、それは終わるわけですよ。だから、そうではないでしょうと。伸びしろはいっぱいあるでしょうというのがローカル経済」

ローカル経済再生策 非製造業の生産性
秋元キャスター
「なぜ日本の非製造業の労働生産性こんなに低いのでしょうか?」
冨山氏
「いろんな理由があるのですが、要は、非製造業がいろんな意味で雇用吸収してきた、そういう役割を担ってきていて、従って、いろんな意味で、ゾンビと言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、非常に生産性の低い会社を温存してきたというのは1つの側面としてあると思います。その裏側で言うと、現象としてIT化の導入が遅れているとか、たとえば、バス会社の生産性向上の時にICカードの導入が大事です。ICカードを入れるとどこからどこまでお客さんが乗ったのかが正確にわかるんですよね。ところが、それがわからないと、ないと皆、現金入れちゃうでしょう。何回か往復して営業所に戻ってきてジャラッと入れちゃうから、いったいどこにお客さん乗っていったかがわからないですよ。だから、分ける化、見える化ができないですよね。あるいは車にタコメーターをつけて、ドライブレコーダーをつけて監視をしていれば、たとえば、事故の多い運転手さんと事故の多くない運転手さん。それから、燃費の良い運転手さんと悪い運転手さん、これが全部ある意味、測定ができるんです」
反町キャスター
「それは運転手にとってはかなり不幸な状況ですよね」
冨山氏
「だけれども、実はそういうことをやっていくと、今回ちょっと不幸な事故ありましたけれど、実は年代別で言うと60代の運転手が、1番事故が少なくて、平均ですよ、事故少なくて燃費も良いんです。若い運転手の方が実は良くない。と言うことがわかってくるわけです。ですから、この前の事故は極めて特殊な状況で起きている。と言うことはいかにもなんです。普通ああいうこと起きないです。そういうことがわかることによって、生産性が向上するわけです。そういう努力が必ずしも行われていない。あるいは行わなくても会社として生き残れるような、いろいろな支援策があったりしたということだと思います」
石破地方創生担当相
「だから、その企業を潰すなんてかわいそうだということで、その昔、そういう企業を潰さない、徳政令みたいな、そんなバカなと我々は言ったのだけれど、人非人みたいに言われるわけですよ。そういう可哀想な企業こそ温かい手を差しのべねばならん。そのように見えるけれども、結局、労働者はすごく不幸になるわけですよね。安い賃金で長時間働かなければいけない。ですから、そういう企業には退出してもらうのであっても、労働者に退出してもらうわけではないですよ。退出するのは経営者だから。労働者はそれによって生産性の高いところに移るわけです。だから、誰がかわいそうなのと議論をした時に、何か皆かわいそうみたいなこと言うけれど、そうではないでしょうと。だから、経営者が間違ったことによって、皆、不幸になるわけだから、経営者に退出してもらえばいいんです。労働者は他のところに雇用されればいいです。経営者が嫌だ、嫌だと言う場合には、それは、退職金とか、所領安堵とか、何かある程度考えなければいかんでしょうよ、皆が不幸になるよりは」

生産性&企業『退出・集約化』
秋元キャスター
「個人保証の免除、これはどういうことでしょう?」
冨山氏
「これは、1番スムーズな体制というのは、M&Aで事業を譲渡していくのが1番いいですね。ところが、その時に債務超過になっているとM&Aができないです。株の価値がなくなっちゃっていますから。よっぽど相手が気前よくて債務全部引き受けてくれればいいですけれども、それがなかなか起きないので、そこで、たとえば、転廃業することになると、日本の中小企業は皆、個人保証で銀行からお金借りているんですね」
反町キャスター
「信用保証協会とかから借りるとか?」
冨山氏
「信用保証協会の場合も結局、個人保証、むしろ信用協会で借りるのに個人保証をつける場合が1番悲惨です。後ろが税金なので、要は、本人が破産しない限り免除してくれないですよ。特にそういうケースが過去に多かったです」
反町キャスター
「中小企業の人達が信用保証協会からお金を借りる時は基本的には家、屋敷を抵当に入れて借りる。そのパターンが多い?」
冨山氏
「そこに連帯保証をつけているというケースが過去は多かった。個人でも。そうすると廃業しようと思うと、免除して貰おうと思ったら自己破産するしかなくなっちゃうんです。そうすると、たとえば、現在の中小企業の経営者は60代、70代が多いわけです。では、70代の老夫婦がやっとある意味では引退しようと思うと、そこで自己破産して、家、屋敷をとられて裸の状態で老後を迎えるということが起きちゃう。そうすると泣きながら、歯を食いしばりながら、債務超過の会社の経営を続けるということが起きちゃうんですね。そういう状況をなくすために個人保証の免除、ですから、立派な豪邸とか、超高級な新品の外車とか、あるいはどこかで売れちゃうような高い絵は、それは出して貰った方がいいですね。だけども、その人が老後を全うするのに必要なぐらいの小さな財産は持っていてもらっていいわけで、ですから、そういった免除を、たとえば、信用保証協会においてはあるいは金融機関においてもスムーズにできるような仕組みをつくって上げないと、これは、彼には彼で立場があるので、後ろに株主代表訴訟をやるとか、問題があるので、そういう仕組みをつくっていくことが大事。現在金融庁がそういうガイドラインを出してはいるんですけれど、本当は、民法とか、そういう法律の中で、そういうことをやりやすいような仕組みをつくってあげた方がおそらく免除する側も楽なのだろうと思います。それから、もう1つ、転廃業・事業譲渡促進支援金というのは、これは言葉としてアイデアなのですが、要はそういった方、たとえばの話、もうお金がない場合、あとが大変なので、何らかの形で転配業を促すようなお金を出してあげたらどうか。財源の問題が当然あるんですけれど、現在それこそ保証協会の融資は年間何千億円という単位で代弁債してるんです、保証協会の側で。たぶん1000億円単位で、たぶん一般会計から繰り入れているのではないか。穴が開くので。これ実態は、それこそリーマンショックの時みたいなセイフティネッットの時はしょうがない。でも、平時でもそれが続いているということは、おそらく普通の銀行が貸せないのをもっぱら信用保証協会でゾンビ企業が借りちゃっているというケースが多く、これは結局、延命資金ですよ。これは誰も幸せにならないので、これをむしろ小さくしていって、そこの財源をこういうところに充てるというのも1つの手だと思います。現在、これは必要ないですから。それと法人税改革については、日本の法人税というのはどちらかと言うと弱者保護型になっていて、中小企業は税率が低いです。と言うことは、赤字の会社が多いです。実は日本の法人7割以上の法人が20年間平均払っていないです、税金。要するに、税務上7割以上の会社がずっと赤字ということになっているんです。その割に廃業率が低いですね。どう考えてもおかしいです。だから、そういういろんな支える仕組みがあるから、それが生きているわけですけれど。法人税も結局、現在の法人税というのは基本的には儲かるとペイされる仕組みになっているので、全体の税率を下げると同時、かつ大企業も中小企業も同じような税率にしていく、できるだけフラットな税率にして、むしろ外形標準化した方がいいと思います。と言うのは、赤字だろうが、黒字だろうが、社会インフラを使っているわけです。道路を使っているわけです。だとするとできるだけ外形的な方に持っていった方がいいと、ある意味で消費税も外形の一種ですけども、外形標準型にした方がいいと私は思っています」

『最低賃金1000円』
秋元キャスター
「最低賃金1000円というのがあるんですけれども、これは退出・集約化にどうつながっていくのでしょうか?」
冨山氏
「現在会社として困っているのはどこにいったって人手不足です。だから、人が採れないと会社が赤字になっちゃうというケースが一部の居酒屋で起きていますでしょう。そういう状況です。ですから、ある意味では体質を促す時に市場規律が一番どこで働くかというと労働者市場で働くんです。そうすると最低ラインを結局最低賃金に決めていますから、要するに、1000円を払えない会社は退出してくださいというのをやっていった方がいいというのが私の意見で、実は日本の最低賃金は先進国の最低レベルです。あり得ないくらい安いですね。たとえば、岩手県の運輸業種はたぶん700円にいってないのではないですかね。これはだいたい現在の円ドル換算からすると5ドルとか6ドルですよ。5とか、6ドルというのは先進国の最新ではないですね。いわゆる先進国のレベルで10ドルにする、しないで揉めているわけです。これはもし1000円に耐えられないと日本中の経営者が言い出したら、それはある意味、恥を知れということになっちゃいます」
石破地方創生担当相
「生産も上がらないままに1000円払えと言ったら、それはもたないですよ。私達が言っているのは、労働生産性を上げた結果として、1000円にしましょうねと言っているわけであって、生産性も低いまま、1000円にと言ったら、そんなのはできるわけがないだろうとくるのは当たり前というのは当たり前ですよね」

『コンパクトシティ化』
反町キャスター
「もうひとつ、コンパクトシティに関しては?」
冨山氏
「ローカル圏の産業は規模の経済性があまり効かないですよ。東京に出ていってもしょうがない。むしろ密度が必要です。たとえば、訪問介護が明らかですが、山間部の過疎地で訪問介護をやりますでしょう、移動30分で介護10分になってしまうんですよ。移動している30分は何も生産性がなくて、CO2をばら撒いているだけです。であれば、皆に集住してもらって、その中でバスを走らせる、あるいは小売業も集積があればお客さんの密度も高くなりますから、そうやってコンパクトシティ化した方が生産性も上がるし、社会サービスも少ないコストで充実したものができるので、これはマストですね、地方においては」

政府の『地方創生策』は…
秋元キャスター
「地域再生法改正案のポイントについて」
石破地方創生担当相
「国会でこれからご審議いただくわけで、何とか早く成立をさせていただきたいと思っているんだけれども、いわゆる新型交付金というやつですよ。これは。これまで農林水産省にこういう補助事業、国土交通省にこういう補助事業、経産省にこういう補助事業、さあ、どれを選ぼうかなと。ハードの場合にはどれが、事業規模がでかく、どれが、補助率が高くて、どれが、自己負担が少ないかなということで選んでいました。そうではなくて、国のメニューにはないけれども、うちはこれをやりたいんだというものに対して自由に使えるお金が増える。それは政府が選別するとか、そういう意味ではなく、そこのことはそこでないとわからないのだ。でも、国のメニューにないものがあるのだ。出してくださいなという。これも安倍政権の間はやるけど、次の政権になったらやらないのではという、そんなことになってはいけませんので、法律できちんと位置づけて、制度が続くものにしましょうね、信頼性のあるものにしましょうね。金額も確保できるようにしましょうねというのが交付金の話ですね」

冨山和彦 経営共創基盤代表取締役CEOの提言:『新陳代謝』
冨山氏
「企業も、それから、人材ももっと代謝を高めて、入れ替えを高めて、もっと動いて、これは老壮青、あらゆる世代の人が、もっと会社の間も移動した方がいいし、産業の間も移動した方がいいし、あるいは東京と地方の間も移動した方がいいですし、地方の中でもっとかきまわした方がいいと思いますね」