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2016年2月2日(火)
年金制度をどう守る? 基金『直接運用』是非

ゲスト

長妻昭
元厚労大臣 民主党代表代行 衆議院議員
西沢和彦
日本総研調査部上席主任研究員
藤沢久美
社会保障審議会年金部会臨時委員
シンクタンク・ソフィアバンク代表

年金の現状と今後を議論 厚生年金未加入200万人
秋元キャスター
「まずは年金の仕組みについておさらいしていきたいと思います。年金ですけれども、国民年金と厚生年金の2階建てになっています。国民年金は日本に住んでいる20歳以上60歳未満の全ての人の加入が義務づけられているものです。会社勤めの人や公務員は国民年金にプラスして厚生年金にも加入しています。ところが、厚労省の調査で、厚生年金に加入する資格があるのに国民年金だけになっている人が、およそ200万人いることがわかりました。厚生年金への加入条件ですけれども、国、地方公共団体、法人及び従業員5人以上の個人事業所で、正規、非正規問わず、週30時間以上働いている人となっています。保険料は基本給、残業手当などの税引き前給与の17.828%を会社側と労働者側が折半することになっています。今回、200万人が厚生年金未加入ということなのですが、長妻さん、なぜこれだけ多くの人が未加入になっているということが起きてしまうのでしょうか?」
長妻議員
「現在も従業員5人以上とありましたけれど、これは個人事業主の場合ですね。株式会社であれば、1人でも従業員、これは2人でも厚生年金に入れなければいけないわけで。だから、私も愕然とするのは、私も大臣を辞めたあと、全国いろいろ応援にまわっている時に若い人から相談を受けて、うちの会社は社長の方針で国民年金ですと。こういう相談を受けたと、それは違法ですからね。うちの会社の方針で営業は皆、国民年金ですと。大変ですと、若い人から。それは、あなたの会社は違法行為をしているんだと。そういう相談が結構あるので、厚労省に言ってサンプル調査をしてくれと。それで通常の調査に新たなに質問を入れてもらって、2万人の方から回答があって、本来は国民年金に入っている人に調査するのですが、厚生年金に入らなければいけない、会社で働いている人が結構、いらっしゃって、それが推計200万人ということが出て、これは会社としては事業主負担で払わなければいけないですね、半額。だから、それがちょっと企業にとって負担だから、それを払わないというケースが多いのではないかと思うんですが」
西沢氏
「週30時間というのは法律ではないですね。昔、厚生省が、社保庁ですとか、都道府県の指揮下にあって、都道府県宛に正社員の4分の3は厚生年金に入れなさいという手紙を送ったんですね。法律でも何でもなく、単に手紙で運用をされてきただけであって、ですので、非常にフワフワとしたものですね。おそらく社会保険庁も、入らなければ年金給付をしないだけだから、という考えがどこかにあって、キツク取り立てるということがおそらくなかったと思うんですね。ですから、法律上、極めて曖昧なものであり、しかも、執行も弱かったということで、こういうことが起きていて、だんだん数字として明るみに出てきたということだと思います」
反町キャスター
「厚生年金を受ける資格を持っているにもかかわらず、入っていない。それに対する事業者、ないしは経営者側の責任というのは懲役まであるという話ではないですか。それは周知されていないということなのですか?」
西沢氏
「甘かったんだと思いますね。そもそも、法律でもない」
秋元キャスター
「バレないと思っていたということですか?」
西沢氏
「厚生年金自体が、会社が厚生年金適用事業所届けという紙を日本年金事務所に出して初めて適用されるんですね。届け出制です。ですから、もっと本当は社保庁なりが、能動的にいろんな事業所をまわって、あなたのところ適用されますよ、とまわらないといけないのですが、それがたぶん十分ではなかったと思うんです」
反町キャスター
「それは社保庁から見たら、厚生年金加入者、ないしは加入事業所を増やすというのは、社保庁にとって仕事が増えるから面倒くさいという、そういう意味ですか?」
西沢氏
「1つは、保険料が高いですから」
反町キャスター
「そうですね。企業側も負担するのは、給料の9%ですよね。半分だから。
西沢氏
「年金事務所にしてみると、払ってくれなさそうな事業所から入れてしまうと、厚生年金の納付率が下がってしまうかもしれませんよね。それは仕事としても大変ですし、自分の成績も下がるという考えがあったのではないかと思いますね」
反町キャスター
「そうすると、社保庁それぞれの事業所の評価というのは納付率という物差しではかられている部分があるということですか?」
西沢氏
「かつては。ただ、現在はそうではなくて、仮に滞納になる懸念があるとしても、適用すべきは適用せよということで、ですので、こういうかつてであれば、出さないような数字を出してきて、適用徴収を現在進めてきていると思うんです。ですから、厚生年金については単に加入しているところの納付率で評価するのではなくて、きちんと適用していくということも年金事務所の仕事として評価していくという方向になっていますので」
反町キャスター
「それはいつ変わったのですか?つい最近なのですか?」
西沢氏
「これは日本年金機構になったのは、2009年末。2010年からでしたか。それから変わってきたと思いますし、最近になって国税庁から源泉徴収義務者という源泉徴収する会社の情報を1年前ぐらいから貰うようになりまして、それと付きあわせて、未適用事業所を探そうとしているんですね。ですから、この数年でだいぶ変わってきていると思うんですけれども」
反町キャスター
「そこはどうですか。長妻さん、変わってきていますか?」
長妻議員
「多少は進んできてはいるのですが、ただ、現在のペースでいくと200万人を適切に入れるには17年かかってしまうんですよ、17年」
反町キャスター
「現在のペースというと、現在の新規加入者、厚生年金加入者の…」
長妻議員
「入っていない人をちゃんと指導して入れるというのをやっているのですが、現在の人、モノ、金でやるとちょっと遅いので。今回の問題というのは、消えた年金問題では相当被害者が声を上げましたが、今回も、たとえば、そういう被害者というか、そういう方々がなかなか声を上げられないのは会社にばれるとちょっと内部告発みたいな話になるわけですね。会社が違法行為をしているわけですから。なかなか言えないというか、対応部署は年金事務所です。全国300か所あるんです。そこに言っていただければ、年金事務所から企業に指導が入るわけで。個人情報を守ると年金事務所も言っていますから、どんどん言っていただきたいのですけど、なかなか二の足を踏む方が多いですね。会社にばれたらまずいのではないか、クビになってしまうのではないかとかですね」
反町キャスター
「そこを乗り越えさせることを考えていかなければいけないということですね」
長妻議員
「そうですね」
反町キャスター
「西沢さん、強制力、事務所が、いわゆる加入率というものを、納付率でいろいろ成果が問われるので、それはしょうがないという話がありましたけれど、どうにもならないものですか?」
西沢氏
「基本的には、社会保険料という名前はついても賃金課税ですよね。正社員への賃金に課税している。ですから、正社員を雇用するのに抑制的に、事業主はなりますし、それで非正規も増える。保険料を払って、若い人が病気になかなかなりにくく、病院にもいかないし、年金もそれほどもらえないと。現在の社会保障制度は賦課方式。若い人から高齢者への移転なので、これを賃金課税でとる必要はあるのかなと思っていまして、ですので、本当は、私は移転の財源でもあり、労働市場に中立的でもない社会保険料を、もう少し抑制するために、税の割合をもう少し増やしていった方が公平で、企業もない袖は振れないですから、払いやすくなるのではないのかなと思っているんですけれども」
反町キャスター
「それは払える企業と払えない企業で不公平感は生まれないのですか?全部を税で、大企業から中小企業まで、払える企業から払えない企業まで全部、そこを均して、企業負担の割合をもっと小さくして、個人負担も小さくしてということですよね。要するに、ハッキリ言ってしまえば、消費税をドンと積み増して、それを原資に充てると、こういう話?」
西沢氏
「私は、その方が公平だし…」
反町キャスター
「取り立てを厳しくするよりも、別の財源を求めた方がいいのではないかと、こういう話です。そういう話はどうなのですか?税と社会保障の一体改革で、この議論までさすがに出ていないですよね」
長妻議員
「だから、ある意味で言うと、事業者負担が税金によって軽くなるということですよね。そうすると、ある意味では、企業の減税に連なる話になるわけで、このご時世、現在、企業の法人税も安くし、企業の負担もどんどん軽くして結局、消費税が重くなるということは国民の皆さん全体が被っていくと。でも、私は先進国で、他の国も調べましたが、こんなに、200万人を入れていない国はないわけで、ちょっとまずいのではないかと思うんですよね」
反町キャスター
「その200万人の解決策として、西沢さんが言っているのは、要するに、取り立てを厳しくしてやっていく?コツコツ積み上げていくというよりも、税で大きな網をかけた方が早いのではないかと」
西沢氏
「1つ執行をきちんとやるというのが前提です。それも、おそらく、限界が見えてきた時に、先ほど、申し上げたように賃金課税の是非というのがもっと問われ、税と一体的に保険料がいいのか、あるいは税の方が効率的で公平なのかという議論になってほしいということですね」
反町キャスター
「藤沢さん、どうですか?消費税の話から、現在出てきましたけれども。税による社会保障の充実、どう見ていますか?」
藤沢氏
「税をどこにかけるか。その利益にかけるのか。利益以前のところにかけるのか。どこにかけるかという議論もすごく必要だと思うんですけれど、たぶんきちんと年金保険料を払っていないのは零細とか、小さい会社で、大企業は皆払っているわけですよね。大企業と中小の負担感を考えた時に、どこかに損益分岐点みたいなところがあるかなという感じはするんですよ。要するに、全部税にすると、これまで払っていなかった中小、零細の方も払わなければいけなくなるということで、公平感があるし、大企業の方は既に年金保険料を払っていて、それなりの大きな売上げや利益のある中で税金がかかるというと、あまり利率が高いと負担感が今度は大企業にきちゃうんですね」
反町キャスター
「でも、企業負担分9%弱が軽減されるかも、ゼロになるかもしれない?」
藤沢氏
「そうなので、そう考えると、どのへんのパーセンテージで、いったいどの企業の数字にかけていくのかというのはいくら計算してもいいかなと、聞いていて思いました」

どう促進? 厚生年金の加入
秋元キャスター
「国民年金と厚生年金の違いも見ていきたいと思うのですが、国民年金は、加入者が自営業者など1742万人。月々の保険料が1万5590円で、平均年金受給額がおよそ5万4497円ということになっています。一方で、厚生年金の方は、加入者は会社員など3599万人で、月々の保険料は税引き前給与の17.828%を会社と労働者側で折半するのですが、平均年金受給額がおよそ14万7513円となっていて、国民年金に比べると3倍近く多くなっているんですね。また、今年10月から厚生年金加入条件の勤務時間が従業員501人以上の企業では週30時間以上から20時間以上に引き下げられていて、加入資格を持つ人がさらに増えるということですけれども、西沢さん、このような状況で厚生年金への加入を促すためには何が必要になってくるのでしょうか?」
西沢氏
「現在の年金受給者の年金を下げることです。現在の年金受給者の年金を下げることによって、将来の年金受給額が少し底上げされると。それは現在の若い人達の年金額ですから。ですので、政治家は現在の高齢者、年金受給者に対して、あなた達の年金を下げますと。高齢者から反発の声が出てきますよね。その反発の声が出て、それを見て若い人達が、こうして政治家も俺達の世代のことも考えてくれているならと思うことによって、年金の方を向くのです。ですから、それをまったくしない限りにおいて、年金は安心ですよと言っても、それはそっぽを向かれるなと私は思っていますので」
反町キャスター
「加入率を高めるためには、まず高齢者の年金を減らせと。要するに、現在年金から離れている若者の心を取り戻すステップになると、こういう話ですよね?」
西沢氏
「そうです」
長妻議員
「我々も法律を、政権の時に検討をしていまして、現在も政策で掲げているのですが、収入が非常に多い方で年金受給をしている方ですね、多くの年金を。そういう方については税金部分、現在の基礎年金の半額が税金からの補助が入っていますから、その税金部分は我慢をしていただくと。その財源を低い年金の方に充てると。こういうような考え方を申し上げていますので、これは現在も政策で掲げています。日本の問題は、年金を受給している方を10分類しますと、1番多く貰っているグループと、少ないグループで7倍も差があるんですね」
反町キャスター
「年金受給額で7倍も差があるのですか?
長妻議員
「1か月1番多くもらっているグループと、1番低いグループでは7倍以上の差があるわけで。ですから、そこが相当、年金格差が激し過ぎるので、そこについては多くもらっている方が、基礎部分の税金部分を低年金の方にまわしていくというようなことを、我々は考えています」
反町キャスター
「年金格差というのは、たとえば、現在の話だと、国民年金というのは、一律で、だいたい5万円から6万円もらえるものだなと思っているんですけれども、それが7倍差に広がるというのは、要するに、現役時代の月々の積み立ての差だと思っていいのですか?何で、そんな7倍も差が広がるのですか?」
長妻議員
「1つは、国民年金と厚生年金の差。あと共済年金、公務員。これはどの職業に就いているかで相当まず差が出てくると。厚生年金の場合は、給料天引きですから、未納というのはないわけですが、国民年金の場合は、給料天引きではないので、これは未納が相当多いというようなことも1つの要因であると。もう1つは現在、高齢女性、1人暮らしの貧困問題というのが、これからたぶん大きく問題になってくると思いますが、65歳以上の1人暮らし女性の貧困率が45%ということで、2世帯に1世帯が貧困状態にある。これは生活保護世帯並みの収入以下ということなのですが、相当困窮されている。その方々は、おそらく厚生年金の夫の妻、専業主婦で、国民年金の3号に入っていて、非常に年金額が少ないということも原因でありまして、そういう意味では、高齢女性の貧困問題とも連動しているわけで、相当過去の年金の綻びがあったことが現在、そういう形でまわってきているということですね」
反町キャスター
「西沢さん、話を聞いていると現在、国民年金も払い込みの年限によっては満額出ないケースとかがあって、それで非常に低年金の人と、現役時代に国民年金をちゃんと払って、厚生年金も、企業も自分も折半してきれいに払いきって、それで現在、たとえば、20万円とか、30万円とか、もらっている人がいるかもしれません。その差が7倍といった時、これを格差というのには僕はちょっと違和感があって、それを格差と言ったら、たとえば、ちゃんと貯金して生活している人と、貯金をしていない人、アリとキリギリスの話ではないけれど、これを格差と呼ぶのはおかしいのではないかなというのは間違いですか?」
西沢氏
「差はあっていいと思うんです。ただ、差はあっていいんですけれど、果たして公的年金が現在、長妻先生の手元にある第1分類だと3万4000円。3万4000円の年金は、国の年金として、あるいはもらっている基礎年金ですけれども、基礎と名前がつく年金としての役割を果たしているのかというとまったく果たしていなくて…」
反町キャスター
「それは生活保護の範疇ではないのですか?生活費の足りない、だって、生活保護というのは最低ナショナルミニマムみたいな線を決めて、足りない分だけ、年金をこれだけもらって、残りの足りない分を出すのが、生活保護の部分があるわけではないですか。それがあるにもかかわらず、年金に7倍の差があるから、これはおかしいというのは、僕は納得がいかないですけれども、そこはおかしいですか?」
西沢氏
「7倍は別として差はあっていいと思います。たくさん保険料を払ったら、たくさんもらえるというシステムになっているので。ただし、格差が問題と言うよりもナショナルミニマムの問題になると思うんですね。そこがまったく充足していないと。ですから、ナショナルミニマムを充足させたうえで、しかも、生活保護という年金とまったく別の仕組みでなく、ある程度、広義の年金の中で、ナショナルミニマム保障しながら、そのうえで、一定程度の差があるというのは保険料納付のインセンティブを高めるためにも重要だと思うんですね」
反町キャスター
「年金の仕組みの中での最低生活保障というのが、なくてはならない。そういう意味で言っていますか?」
西沢氏
「そうです」
反町キャスター
「それをやったら消費税は何パーセントあっても足りないでしょう?」
長妻議員
「ただ、格差があっていいのだということですが、これも限度があって、西沢さんがおっしゃる通りなのですけども、では、財政的にどちらがいいかということですね。年金の格差を放ったらかしておいて、1番低いグループだと1か月3.4万円、おそらく生活保護に陥る方も多い。ただ、生活保護に陥ると、これは医療費も含めて丸抱え、全部税金ですよ。すごく負担ですよね。そうであれば、もう少し現役時代の年金を整備して、ある程度、年金格差を縮めることが生活保護に陥る人を減らして、結局は財政的にも、本人の幸せも含めて、プラスになると。そういう考え方もあるわけです」

年金積立金…運用のあり方
秋元キャスター
「年金積立金の累積集積額ですが、2015年度の4‐9月期は減っているわけですね。こういう状況で年金積立金の運用というのは、このまま続けても大丈夫なのでしょうか?」
藤沢氏
「こういう状態というのは、どの状態を指すのかというのがポイントですけれど、現在一時的に下がっているというのはどうしても株式に投資するとか、値動きのあるものに投資をするので、そのマーケットが下がると下がるんですね。年金の運用は別に1か月とか、半年、1年で運用成績を見ているわけでなく、長く期間をとって見ているものなので、短期的にこうやって下がるというのは、今回が特別なことではなくて、当然のことであるというふうな認識ではあるべきだと思います。運用している立場の人から見ると、当然のことで、実際のマーケットが下がっているものよりは下がっていないので、上手なのではないのと、逆に言われてもおかしくない感じはします」
反町キャスター
「西沢さんはどう見ていますか?」
西沢氏
「これは2014年の10月31日にダブルバズーカで、追加金融緩和があって、その夕方に基本ポートフォリオが発表になって、国内外の株式を50%に比率を上げたんですね。12月に総選挙があって、10月31日と11月4日、合計で1000円ぐらい株価が上がって、私は、これはその政治的に積立金を利用したと思っているんですね」
反町キャスター
「どういうことですか?それは?」
西沢氏
「本来、これは厚生年金、国民年金、被保険者のお金なのであって、基本ポートフォリオをどういう形にするのかというのは被保険者の十分な合意のもとに、基本ポートフォリオは構成されるべき。私は株が悪いと言っているわけでなく、であるにも関わらず、サプライズ、ダブルバズーカで市場がサプライズを受けたということは、そこには当然、国民の厚生年金、国民年金、被保険者の合意がないと(いけないと)いうことですよね。わかっていれば、そんなことは言わないですから。ですので、プロセスとして非常に問題があったと思いますね。確かに収益は出ているのでいいのかもしれませんけれども、私はそのプロセス自体を非常に問いたいですね」
長妻議員
「これは、私が大臣の時に年金の積立金は25%が株だということだったんですね。いろんな誘惑はありました。いろんなところから、もっと株を増やした方がいいと。ちゃんと検討会をつくりました。ただ、検討した結果、25%のままでいこうということでずっと民主党政権はやってきたわけですね。ところが、自民党政権になって、突然50%になっちゃったわけです。半分を株で運用すると。私は西沢さんのおっしゃる通りだと思います。私も25%からびた一文、株の比率を増やしてはいかん、そんなことは思っていないのですが、今回の議論のプロセスはまず安倍総理がスイスのダボス会議で総理になりたての頃、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の年金の積み立てを成長の糧にしますというような、趣旨の華々しいスピーチをしたんです。それで成長戦略を議論する会議の中で、年金の積立金を成長戦略に使いましょうと。びっくりしたわけです。勝手に成長戦略に使ってほしくないと。ただ、100歩譲って、もし被保険者の代表者が集まるような、たとえば、年金部会のようなところで、あまりにも利回りが低いからちょっと株を上積みしたらどうでしょうと、被保険者とか、加入者、あるいは受給者のためにもそちらの方がいいのではないですかと、こういう議論が出てきて積み上げて、そういうふうになるならいいのでしょうが、そもそもの議論が成長戦略にするために130兆円をどうやって使おうかというところから入って、半分を株にしちゃっていまして、PKOとも言われていますよね。株価を維持するために、と言うことも言われているので議論のプロセスも問題だし、半分も株に投資して、国内の株式市場で見ると、何と金額で言うと国内株全体の8%弱もの株をGPIFが持っているという、すさまじいことなので。アメリカは、基礎年金、公的年金が300兆円あります。1円も株で運用していません。全部元本保障です。これは、アメリカは株で運用すると企業にいろんな影響を与えるのではないかと、恣意的に政治が、銘柄から選ぶのではないか。こういったグリーンスパン氏が、FRBの議長が議会で名演説をして、それでやらなくなったわけですね」

年金積立金 『インハウス運用』の是非
秋元キャスター
「インハウス運用にするメリットにはどういうことがあるのでしょうか?」
藤沢氏
「2つメリットがあると思っているのですが、1番大きな1つのメリットはコストを下げる。誰かに頼むということは頼むコストがかかるわけです。なので、頼む料というのを内側にしてしまえば、少し抑えられますよねということとか。あとは人に頼んだものをいったんやめるという時に、株の移動があるんですけれど、そういうものもインハウスでやっておけば、株の移動コストも下がるというような意味で、1つはコストを下げるためにインハウスという時間運用という手法を取り入れましょうという。もう1つはこういう運用とか、投資の世界というのは、情報がある意味、命ですね。自分達で運用しているということがあれば、いろんな情報がこれまで以上に入ってくるという意味で、より資産を守るというか、そういうことができるという、2つの大きな理由があって、議論されていると認識しています」
反町キャスター
「現状はどうなっていますか?この議論は?」
藤沢氏
「これはかなり拮抗していますね。正確に言うと、3つに分かれていまして、1つは自分達で運用するのは構わないのだけれど、パッシブ運用と言って、わかりにくいですよね、インデックス運用とも言われるのですが、株式市場とまったく同じ割合で株を買うと、東京証券取引所と同じ割合で株を持ちましょうと」
反町キャスター
「独自でやる意味があるのですか?」
藤沢氏
「自分達でやった方が、ただ、日本の場合は人に頼んでも少し安いですけれども、でも、それを自分達でやるという意味で、それだったらマーケット通りの割合で株を買うので、やってもいいのではないかということで、パッシブ運用だけ時間運用でやっていいですよというのが1つ。2つ目はパッシブ運用、インデックス運用だけでなく、アクティブということで少し市場とは違う割合で株を…。ただ、それも勝負すると思う方が多いですが、そうではなくて、アクティブというところがOKになっていると、お願いしていた株を引き取って、少し入れ替えるというような作業もできるという意味で、積極的に儲けを狙いにいくためのアクティブではなく、コストを下げるためのアクティブであるのですが、そこらへんのパッシブとアクティブを両方OKにしましょうというのと、3番目はまったくそんなことは一切、インハウス、時間運用なしで全部これまで通り外にお任せしましょうよと。この3つが現在議論されています。ただ、債権に関しては、現在GPIFは自家運用もできて、していいことになっているので、ここで債権と株を分けている理由とかの説明は十分にされていないです。なぜ債権はよくて株はダメなのかとか、そういう議論は一切まだないです」

長妻昭 民主党代表代行の提言:『適正なリスク 公平な負担』
長妻議員
「適正なリスクと言うと、株の半分投資という話もありましたけれども、成長戦略で投資するというのではなく、リスクを負う人達、被保険者とか、年金受給者の代表者が集まる、たとえば、年金部会などできちんと議論して適正なリスクを決めるというのがまず王道だということと、もう1つは、公平な負担というのは年金が、相当年金額が昔は高いそうですね。そういうところについて税金部分を一定程度我慢し、低年金にまわすとか、あるいは最低保障年金をつくる時に、お金は天から降ってくるわけではないので、一定の負担をキチッとお願いするような選択肢を出し、年金がいいだけではなく、負担の方もキチッと責任を持って、選択肢を国民の皆さんに示していく、こういうことに尽きるのではないかと思います」

西沢和彦 日本総研調査部上席主任研究員の提言:『マクロ経済 スライドフル発動』
西沢氏
「2004年に年金改正が導入された給付抑制の仕組みですけれど、給付水準に現在であれば54%まで所得代替率が下がっているはずが、62.7%までむしろ上がってしまっているんですね。ですから、これはデフレ下や低インフレが効かない仕組みなので、これは完全に効くように、本当は通常国会で法改正すべきなのですが、すごく腰砕けな案が出るように聞いていますので、そうではなくて、これをきちんとフル発動させるような法案を今国会に出してほしいと。運用の話というのは、本当はもっとあとで長くじっくり話していい議論なので、まずはこちらをやらないと、年金財政という母屋は持たないと思います」

藤沢久美 社会保障審議会年金部会臨時委員の提言:『リスクの理解』
藤沢氏
「年金部会に出ていて感じるのは、皆さん、リスクという言葉を使われているのですが、使っていらっしゃるリスクの意味が皆違う。値下がりがリスクだったり、値動きがリスクだったり、将来年金がもらえないのがリスクだったり、だから、とても世の中での議論が、リスクという1つの言葉が、違う意味で使われながら議論されるので、全然前にちゃんと進んでいかない感じがするんです。そういう意味では、1つの言葉の意味も皆でもう1度考えながら議論を立て直していく必要があるのだなと思っています」