プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2016年1月20日(水)
『電力小売り全面自由化 消費者の利益になるか』

ゲスト

星野剛士
経済産業大臣政務官 自由民主党衆議院議員
町田徹
経済ジャーナリスト
石川和男
NPO法人社会保障経済研究所代表

検証…電力小売り全面自由化 新規参入する企業の狙い
秋元キャスター
「電力小売り自由化に関するこれまでの流れと、今回の電力小売り全面自由化についておさらいをしていきたいと思います。競争の促進によりサービスの向上や料金の抑制、さらに、消費者の選択肢を増やすという目的で、2000年の3月に最初は大型ビルや大工場など、大口需要者向けに電力小売り自由化が始まりました。その後、小売り自由化の対象が、小規模の工場ですとか、中小のビルへ拡大され、いよいよ今年4月から一般家庭でも電力会社を選べるように電力小売りが全面自由化されます。今回の電力小売り全面自由化、具体的にどうなるのかと言いますと、これまで私達は、地域の大手電力会社から、直接、電気を買っていましたけれども、4月からは電気の契約先を自由に選べるようになります。その契約先となる小売り部門として、これまでの大手電力会社だけではなくて、ガス会社や石油会社、携帯電話会社、ケーブルテレビ会社、旅行会社、さらにはコンビニチェーンなど、電力とは異なる事業者も手を挙げていて、各社様々な料金プランを出しています。私達消費者は、ライフスタイルに合う料金プランを提示している会社を選択して、契約することができるようになるわけですが、一方、こうした新たな小売りの会社は自社の発電所をはじめ、発電所を持つ企業と契約をし、電力の卸売市場で調達して電気を売るということになります。現在、130社が電力市場に参入登録をしているんですけれど、町田さん、この異業種で新たに参入をしようとする企業、その狙いは何でしょうか?」
町田氏
「これはいろんな業態によって、違うんですね。ガスであるとか、石油であるとか、これらは現在持っている資源で新しい収入源を立てたいですから、ガス会社も発電をして、電気を売ると。あるいは石油会社も発電をして電気を売る。そういうような業態に参入をしていきたいということで、ここは割と、そういう意味では、川上からいきますから、本腰が入り易い業態です。それから、携帯電話会社、ソフトバンク、KDDIと出ていますけれど、携帯電話の方は、たとえば、NTTドコモが生命保険を売りますと、そういうことも言い出していて、既存の携帯が成熟期に入ってきて、売れるモノがあれば、何でも売りたい、セットにできるものがあれば何でもセットにしたいという感じが極めて強いですね。それから、ケーブテレビもそれに近いところがあって、自分のケーブルテレビのエリアで守れるものが何かバンドル、何か周辺で売れるモノがあって、少しでもメリットを見せ、解約されにくくなるのであれば、やっていきたいと」
石川氏
「現在、町田さんがおっしゃったけれども、結論から言うと、他業種の参入企業というのは、顧客の囲い込み、電力小売りをダシに使って、特にセット販売というのは、需要家の立場からすればいったんセット販売をやったあと、次に変えるのが面倒くさくてしょうがないと。これ人間の心理ですよ。私もそうですよ。だから、そういう点でいうと、囲い込みのチャンスを新規参入組は得たと」
反町キャスター
「囲い込みということは、たとえば、携帯電話だったなら、auが始めたならば、ソフトバンクもやるよと。ソフトバンクがやるならば、今度はNTTドコモがやるよという、どこか同じ業界、業種の中で、どこかが電力小売りに手を出したなら、セット販売で。当然、他の2社もこれは堪らないということで、自動的に他の競合している会社も入ってくるような。こんな傾向が出ているというのが現在の感じですか?」
町田氏
「ソフトバンクとKDDIは明らかにそうなっていますね。ドコモはそこまでまだ出ていませんけれども。このセット販売で1つだけ気をつけてほしいのは、携帯であった2年縛り。これがこの手のセット販売にほぼもれなくついてきますので、どこが本当に安いのかがわかりにくいのだけれども、ここだと決めてしまうと、やめるとペナルティーですよというのがついてきますので、実は非常にわかりにくい部分がついてくる、厄介な電力の自由化だということは、利用者がわかっていないと心配ですね」

料金競争と消費者の利点
秋元キャスター
「さて、料金の抑制が大きな目的の1つであります、電力小売りの全面自由化ですけれど、新規参入企業の現在、発表されているプラン、ちょっとこちらで見ていきたいと思います。たとえば、東京ガスの場合ですと、電気とガスでセットにした場合、戸建て住宅で3人家族の場合、4700kWh使用する場合で、現行の東京電力の料金と比較をして年間でおよそ4000円から5000円安くなります。ただ、20A以下は契約できないなどの条件もあって、全世帯が対象というわけではありません。また、ソフトバンクは戸建て住宅に住む3人家族で、月392kWh使用する場合は、電気と携帯電話とのセットでポイント付与も含めて、現行の東京電力の料金と比較して、年間で、およそ8920円相当が安くなるとしています。旅行会社のHISの場合は、契約アンペア数は関係なく、一般電力会社より5%割引に加えて、電気の申し込みの際、旅行も一緒に申し込むと1世帯につき、海外旅行3000円、国内旅行1000円割引するとしています」
町田氏
「これは皆さん全員、これだけ値引きになるわけではなくて、たとえば、電気代で言うと、月額1万5000円から2万円払っているような人達がこれぐらいのプランの恩恵で、月額4000、5000円の人だと全然そんな規模にはいきませんので、今回メリットがあるのはたくさん使うヘビーユーザー向けになっていることが特色です」
石川氏
「あとは、東京ガスにしても、ソフトバンクにしても、ホームページを見れば、細かい字で書いてあるんですけれども、現在、20Aと、1つの基準があるんですけれども、それ未満は対象ではないと書いてあるところがたくさんあるんです。つまり、あまり電気を使わない家庭だとか、あるいは、たとえば、生活保護とか、住民税非課税世帯の人達というのは、町田さんが言ってくれたのですが、今回はその人達はほとんど関係ない」
反町キャスター
「旨みがない?」
石川氏
「旨みがないというか、適用されない。もともと電気事業というのは、昭和39年にこの法律ができたんですけれども、もともとは日本の国民全員への供給義務というのを課して、全電力会社が全国民の家に送電線を、配電線をつないで電気をあげようという、これは福祉ですよ。公共の福祉ですよ。公共の福祉なので、低所得者、あるいはあまりお金を払えない人達に、政策料金と言って、本当は赤字だけれども、内部補填を許しているんですよ。安くさせているんですよ。これは、実はそうです。この部分、政府は言いませんけれども、すみません、星野さん。言いませんけれど、そういうところが結局、対象にはならないですよ。たとえば、各年齢層で、だいたい5%ぐらいは住民税非課税世帯だし、たとえば、60歳以上になると1割を超え、70歳以上になると2割を超えるぐらいの人達。そのぐらいの人達は、住民税非課税世帯として極めて年収が低いですね。そういう人達が、たとえば、旅行とセットにできますかと。CATVと一緒にセットにできますか。光ファイバーをやりますかなんて言われた時には、ほとんど、俺は関係ない、みたいな世界になっちゃうんですよ。そういうところは、今回は置き去りというか、それが、だから、自由化はそういうことですよ。需要家が供給者を選ぶのもあるんですけれども、本質は供給者がこのお客さんだけですと決めているんですよ。供給者が需要家を選ぶという側面を、きちんと政府は説明をしないといけないです、本当に」
星野議員
「その点について、全面的に否定をしようとは思いません。ただ、我々は、要するに、これまで決められていたんですね。この地域、僕も神奈川に住んでいますけれど、東京圏内というか、首都圏にいたら東京電力が電気もつくるし、送配電もするし、小売りもしていますよというところにまったく競争はない。総括原価方式という方式で、ずっとやってきた。小売りの部分は自由化をしますので、新たな発想を持って、うちはこういう仕事をしている、こういう顧客もある、それをプラスアルファで、電力も売りましょうという企業の、創意工夫ですよね。そこが競争だと我々は思っているんですけど、そういう企業が多く参入をしてくれて、適正な、ですよ。適正な競争をすることによって、消費者側からすると、選択肢は間違いなく増えるわけだし、ライフスタイルもそれぞれ違いますよね。自分は携帯電話のヘビーユーザーだという人もいれば、旅行が好きだという人もいるかもしれないし、その他のものにケーブルテレビなどとセットの方が自分はいいなと。自分のライフスタイルに合うなと思ったら、そういうところを選んでいただく。そういうところで自由な競争を行うというところが、我々が意図しているところですけども」
石川氏
「実は政務官がおっしゃったことというのは、私と政務官の議論というのは本来、法律ができる前に言わなければいけない議論ですよ、本当は。ところが、その議論というのはほとんどされていません。これは、1つは、3.11の福島第一原子力発電所事故によって、東京電力という電力業界の雄。世界で1番の電力会社でしたよ、それまでは。それが事故になって、発言権を失ってしまったと。そういうふうに、言ってみれば、電力業界の意見がほとんど反映されない状況になっていたんですね。その時に、これをやったということなので、世の中全体の空気がアンチ電力です、そういうふうになっていたんですね。そういう空気の中で、この議論が進んできたので、本来やるべき、現在やるべき話がシャットアウトですよ。現在の話というのは、私と政務官の議論というのは、別に、私は電力会社寄りではないですけれども、消費者の公共の福祉を考えた場合には、ちょっとさすがに、そこの自由化は行き過ぎではございませんかというのが本来は出るはずです。出ていないですから、これは…」
反町キャスター
「町田さんも同じ考えですか?要するに、そもそもコンセプトとして、今回の自由化というのは、小規模ユーザー、わかりやすく言ってしまうと、低所得者に対しては何ら恩恵のない、場合によって将来、電力料金の引き上げのリスクをもたらしかねない電力の自由化だという考え方、これはいかがですか?」
町田氏
「おっしゃる通りですよ。私は、実は新聞記者出身ですけれど、もともと通信であれ、航空であれ、金融であれ、自由化すべしと。マーケットメカニズムで消費者の選択を増やして料金を下げていくということをベースに主張をしてきたジャーナリストですが、電力のこの自由化だけは、実はやるんだったら、本当は20年、30年前にやっている話ですね。日本は現在、人口減少で、2030年、2050年と見ていった時に、電力のトータルの需要は増えそうにないです。だから、新たに発電所をつくっても、ビジネスが伸びないです。そういう時に自由化しても、現在やっている人達が利益の一部を削って、利益を削る競争をちょこっとやってくれるだけで、大胆なマーケットの革新とか、イノベーションとか、それから、価格の大幅な下落とかは期待できないです。いい例、成功した例は通信です。1985年にNTTに民営化をしました。あの時、民営化以前のNTTは売上げは5兆円ぐらいです。現在、NTTグループは、あれから28年、30年近く経って、10兆円を超えています、グループの売上げは。さらに存在しなかった通信会社がいっぱい生まれてきて、通信事業者全体だと5兆円から20兆円になっています。さらに、コンテンツとか、通信機器とかのマーケットまで合わせると100兆円になっています。あの時、自動車電話、携帯電話と言っていたのがどんどん小さくなって、モバイルの時代になるんだよとか。そのVAN通信、付加価値通信網と言っていたのが、パソコン通信に入っていって、インターネットの時代に入るんだよとか、すごく通信で何か起きそうだねという時だったから、あれをやって、この成果が出て、通信事業者自体は、実は料金はすごく下がっていて、電話で言えば、1985年を100とすれば、現在もう6割を切っている。携帯電話で言えば、まだまだ高いけれど、昔の10万円していた携帯電話に比べれば、20%以下になっていると。(電力の自由化では)そういうことが起きる環境ではない。これから人口減少をする。しかも、これまで20年、30年の間に3回、4回、絶対嫌だと言って自由化に抵抗をしてきた電力会社の1番大きな東京電力が福島第一原発事故と、東日本大震災の計画停電で、経営がガタガタになって、国営化してもらわないともたないような時に、これはチャンスだ。これまでできなかった自由化をやろうと考えちゃったから、現在やるべきタイミングではないし、むしろ、別なことを考えないといけなかったのに、中途半端な自由化が始まっちゃったという格好ですよね」
反町キャスター
「かたきをとっている?」
町田氏
「かたきをとっていると思います」
反町キャスター
「経産省出身の石川さん、これはかたきをとっているのですか?」
石川氏
「男の喧嘩ですよ、これは。だけど、現在は先ほど言ったように、私と政務官の議論というのは法律ではなく、法律案の段階でやらなければいけなかったんだけれども、今さらそんなことを言っても仕方がないので、だったら、4月1日に、電力小売り自由化が始まりますと言って、なかなか難しいですけれども、我々消費者がどうやって、ずる賢くなるかということを考えるのと、それから、これによって電気だけの単体を見たら、比較的余裕のある都市部の人は電気料金だけは下がります。現にそういうメニューなのだから。ただ、町田さんも説明してくれたような2年縛りだとか、そういうセットでもって、携帯とか、CATVとか、そういうものをトータルでやった時に果たして、得かどうかというのはそれはやって見なければわかりませんので、だから、私は少なくとも今回、始まるので、ですから、そういうものを覚悟して、何年かやっていくうちに、こういう法律というのは規制ですから、ずっと未来永劫後生大事にこれをやるわけでは決してございませんので。実際、2020年に、オリンピックの年、その直前ぐらいに発送電分離とか、料金規制の撤廃の本施行というのが始まる直前に見直しになる。現在から、だいたい5年後ぐらいですよね。そうすると、それまでの間に電力小売り全面自由化の功と罪。メリット、デメリットの両方があぶりだされてくると思います。おそらく経済産業省は準備している、現在から準備していると思いますので、それに向けて我々全員が電力自由化ですから、全員が電気を使いますから。良いとか、悪いとか、ここが不便だの、良かっただのという声を出していかないと、これは電力システム改革というのは進んでいますからね」

東京電力と新規参入企業
秋元キャスター
「先ほど、新規参入企業の割引プランを紹介しましたけれども、これに対抗して大手電力会社も各社新しい料金プランを発表しているんです。激戦区と言われる首都圏の東京電力で見てみますと、標準的なメニューのスタンダードプランでは3LDKのマンションに住む4人家族の場合、ポイント還元も含め、現在の料金より1年間でおよそ1000円相当安くなるとしています。また、月1万7000円以上の料金を払っている使用量が多い家庭向けのプレミアムプランでは、1戸建て4人家族で、3月末までに2年契約の予約をすると、ポイント還元も含めて、2年間でおよそ2万9300円相当、安くなるとしています。町田さん、たとえば、このスタダードプランは1年間で1000円しか安くならないわけですけれども、これで新規参入企業に対抗できるのでしょうか?」
町田氏
「新規参入企業も、冒頭でお話をしたエネルギー企業なんかを除くと、1年間で1000円という人は、イメージで言うとたぶん月額8000円前後ぐらいの料金を払っている人だと思うんだけれども、このへんから上が安くなる。3%か5%安くなるところをもってきていますので。東京電力も似たような水準だということは言えると思います。もうちょっと下の方にいくと、東京電力の方が安いところが出てきたりもします。ただ、2年間の予約をするとポイント還元も含めて2年間でと。実はポイントとしては1万2000ポイントをくれる。1万2000円をくれるんです。だけど、これは、本当は国営企業になっていて国から借りている4兆円とか、5兆円という政策補助のお金。原発廃炉のお金。これをお返しするために、利益を還さなければいけないやつを、今年度中にお客さんに1万2000円を配るから、この値引きをするから、うちと契約をして、2年間縛りますから、と使っているわけですね。これは税金の使い方として、こんなことをしていいのですかと。これが1つですね」
反町キャスター
「僕は現在の話、町田さんの話を聞いていると、おかしいと思うんですけれども、おかしいのですか?おかしくないのですか?」
星野議員
「東京電力の、福島第一原発の事故を起こした東京電力に絞って、ちょっとお話させていただくと、逆の面から言っても、今回の自由化が、新しく東電に悪影響をもってと言えば、競争が激しくなっていくから。これから廃炉をしなければならない、汚染水対策もしなければいけない。そういう東京電力に対しての経営が厳しくなってくるのではないかという意見もあると思うんですけども」
町田氏
「自由化が進展すれば」
星野議員
「進展すれば、ですけれど、同じことだと思うので、東電の中期計画というのをちゃんとつくっているんです。経営計画というのを。そこは自由化の影響を盛り込んだものになっています。この経営計画に従って、着実に福島第一原発の事故処理も行われると考えていますし、政府として引き続き、福島第一原子力事故の責任を東電が全うできるように、適切にそこは指示をしていきたいと思っています。これはちゃんと廃炉機構法に基づく東電の新総合特別事業計画というものをちゃんとつくって、また、昨年の4月にも改定をしているんですけれども、その全部を説明している時間はありませんけれど、電力システム改革の第2弾として、発電と送配電と小売りの拡充に対して分社化を、ちゃんとやりますねと。1番先にやるわけですね、他の電力会社に比べて。そういうことも含めて、東京電力グループ全体で廃炉の問題とか、そういうものはちゃんと責任を全うしていける体制をとっていますので、そこが…」
町田氏
「経営が成り立つとか、福島第一原発の廃炉の処理が進んでいくのとは別で、税金を入れてもらっている会社がそれを使って、そのお金を還しもせずに一般の企業と競争することが問題です。申し上げている問題の論点は、だから、違うんです。逆にライバルからすると、こういうことをやられたら公正競争ではないです。自由化の前提というのは、イコールフィッテングで競争をすることですから」
星野議員
「だから、通電と送配電と小売り三社に分けているんですよね。今度、自由化されるのは小売りの部分ですから、違う視点から言ってみれば、東電はこれまでしっかりと電気もつくってきた。これから義務として、送配電もする義務もあるんです。だけども、分かれた3番目の小売りの部分に関しての自由化に対して、創意工夫というか、自分達の発想を持って、そこで自由な競争をすると。そこは、私達は認めていますし、それが全部ごっちゃになっている議論なので、そこは違うと僕は思う」

『電力システム改革』光と影 『発送電分離』の利点と課題
秋元キャスター
「発送電分離は消費者にとってどういうメリットがあるのでしょうか?」
星野議員
「2016年から小売りを全面自由化していきますと。発送電というのはつくった電気を送るもの。これは、だから、2020年までしっかりと担保して、たとえば、新規参入するところに、あんたのところは気にいらないから、うちの送電網貸したくない、だとか、貸す時に、あなたのところだけ料金を高くするとか、そんなことしたらちゃんと電気が届かなくなりますから、そういうことを避けるためにしっかりとそこはちゃんとやってくださいよということですね」
石川氏
「やる前にどうなるのかと言うのは、誰でもやろうとする時にはいいと言うに決まっているんですね。ところが、日本の場合には大概外国を見てやるわけです。特にヨーロッパ、アメリカ、よく欧米の例と言うでしょう。欧米の例はどうですかと言ったら、欧米はもう自由化、発送分離やっている国、あるいはアメリカの場合は州ごとに違うのですが、幾つかの州は自由化をやめた州もあるのですが、そういうものが進んでいます。その時に現在、反町さん、消費者にとって何がいいか、消費者メリットは何ですかと考えた時に、電気事業において、消費者メリットが何かと言ったら、安い電気が安定的にくる、3.11より前のことなのではないですかというようなことになると、欧米の例を見ると上がっているんです、料金が、自由化して。だから、私は日本が確実に上がるとは言いませんよ」
反町キャスター
「安倍さんは、成長を阻んできた岩盤を打ち抜いた、と自画自賛されていますが」
石川氏
「成長を阻んだわけではなくて、岩盤だというのは確かだけれど、成長は阻んでいません。だって、それなりに日本経済ですごくやって…」
反町キャスター
「日本の電力は高いという…」
石川氏
「何で高いのかと言ったら、化石燃料をこんだけ輸入しているでしょう。それは船賃も高いし、そこでまた港に持ってきて、加工したりするのも高いし、ついでに言うと為替の話もあって、それは外国と比べたら何だって高いですよ、この国は」
反町キャスター
「それは燃料費とか、固定費の問題ですか?いわゆる企業努力の問題、送電網のメンテに金をかけ過ぎているとか、そのへんの議論は?」
石川氏
「それについて言いますと、電気事業の場合はちょっと特殊で、独占でもって常に供給義務を課せられていて、絶対に供給を切るなよと、電力会社の責任で、となると、それなりの投資をして、安全投資をして、回収するという仕組み。これが皆さん大嫌いかもしれないけれど、総括原価方式と言うんですね。これによってやってくると当然、これは効率化のための仕組みではないですよね。安定させるための仕組みなので、効率化とはちょっとというか、かなり違うんです。そういうものを今回やめますとなった時に普通下がると思うでしょう。だけど、送電網のところというのは独占だから、ここにはきちんと投資しなければいかんということをいろいろ考えて、日本はさらに輸入だと、欧米に比べて。となると、欧米でさえ自由化後に上がっているでしょう。全部上がっている、ほとんどが上がっている」

『電力自由化』本当の狙いは
反町キャスター
「自由化がもたらす将来像についてはどういうイメージを持っているのですか?」
星野議員
「それはあまり固定化して、こうだ、ああだというふうではなくて、だから、第1段階目としてまず小売りは自由化しますから、ここに新たなイノベーションも含めて、新たな智恵、そういうものが発揮できる競争環境はつくりますということですね」
反町キャスター
「政府は自由化したら安くなると、少なくとも政府の発言、これまでは安くなるからいいんだよ、と聞いてきた気がするんだけれども、ここはどうなのですか?」
星野議員
「基本的には一概に言えないですよ。自由競争がこれから始まるわけですから。ただ、現在出てきているプランではだいたい5%。小売りの部分で5%から10%安くなるというプランがたくさん出てきていますから、そこらへんは1つの定石というか、イメージとしては…」
秋元キャスター
「短期的には安くなるけれど、ちょっと長い目で見たら高くなるということですよね?これまでの話だと」
星野議員
「いろんな議論がごちゃごちゃになっているんですけれども、小売りの形に関しては、これから130社、もっと増えるかもしれません、4月まで。そういうところがいろんなプランを引っさげて競争市場に入ってくるわけですよ。そのうちの少なくないところが料金的に見ても5%から10%安いものを引っさげて提示している。最終的にどうなっていくのかというのは低料金でメリットがある。もっと言えば、多くの消費者の皆さんから選んでもらえる。長く使ってもらえる。そうしたプランを持っている会社が生き残りますよね。そういう競争環境を常に政府としては…自由な競争がないと違うところにマイナス面が出てきますから」

『自由競争』の行方と課題
反町キャスター
「全部自由化した時に、エネルギー基本計画はまったく意味のないものになるのではないか?」
星野議員
「2030年の我々の電源構成、エネルギーミックスというのはわかりやすく言うと、原発依存度は20%から22%、再生可能エネルギー・トータルですよ、トータルの再生可能エネルギーは22%から24%、その他は化石燃料で、石炭なり、天然ガスであり、石油でありということで賄っていこうというのが大枠の絵ですね、我々が目指している。確かにおっしゃっているのはわかりますけれども、ただ、我々はこれをこれがベストミックスだ、電源構成としてはベストミックスだと、いろんな研究を重ね、そういう結論が1つ出た。それにもっていくと。なぜもっていかなければいけないのか、その理想像に。もっていかなければいけないのかというと、それは様々な問題があります。まず自由化で、小売りの自由化から始め、様々な新しいとこにも小売りで入ってきてもらいたい。新しいアイデアがほしい。それから、また再生可能エネルギーを可能な限り拡大をしていきたいと。なぜですかと言えば、化石燃料をどんどん燃やせば、CO2(二酸化炭素)、この前、パリ協定、COP21(気候変動枠組条約第21回締約国会議)に行かせてもらったのですが、これは大きな前進だと思いますけれど、日本は日本で責任がある。CO2の排出量を削減していかなければいけないという問題があります。そういう国際的な責任もありますから、そういうものも全部含めて、様々な再生可能エネルギーをもっと導入することとか、一部安全が確保された原子力発電所は、それは稼働させていただきたいということとか。全部を含めてそういうエネルギーベストミックスにもっていきたいと思います」

石川和男 NPO法人社会保障経済研究所代表の提言:『“自由化リスク”に覚悟を!』
石川氏
「自由化というのは、リスクが伴います。これまで国が守ってきたものを自由化するので、そうなります。このリスクというのは特に需要家です。今回の自由化について言うと、これは需要家が供給者を選ぶのではなく、供給者が需要家を選ぶということですので、そういうことをきちんと理解したうえで、これに向かって、2020年にもう1度発送分離をするのか、料金規制撤廃をするのかを見直したいと、そういうことであります」

経済ジャーナリスト 町田徹氏の提言:『スマートメータ』
町田氏
「通信のマーケットで言うと、昔はNTTのジーコ、ジーコというダイヤル付きの黒電話しかつながらなくては成長はありませんでした。イノベーションもなかった。そこにFAXがつながり、パソコンがつながり、インターネットの時代がきて、通信が大きく成長して、競争の自由化もしています。同じように、電力のネットワークにつながるスマートメータをコントロールし、電力会社が認めたものしかくっつけない時代はダメです。そこの解放を進めることで電力の側からもイノベーションや成長をすると思っています」

星野剛士 経済産業大臣政務官の提言:『消費者のメリット』
星野議員
「今回の小売り自由化ですね。全ての改革の目的というのは消費者のメリット、これのために自由化をしますし、様々な制度も整えていきたい。このように思っています」