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2016年1月14日(木)
河野洋平元衆院議長と激動アジア・日韓合意

ゲスト

河野洋平
元衆議院議長

日韓『慰安婦問題』の今後
秋元キャスター
「河野さん、今回の日韓合意、どのように受け止めていますか?」
河野氏
「去年の暮、突然に合意ができ、私は大変喜んでいますが、いずれにしても両国政府とすれば、いわゆる従軍慰安婦の方々が相当、高齢になられて、これは急がなければならないということもあって決断をするということになったのだろうと、思っていまして、ザクッと言えば、よくぞ決断なさったと、私は素直に敬意を表したいと思います」
反町キャスター
「それは、よくぞ決断されたというのは両方?」
河野氏
「両方です。もちろん、両方です」
反町キャスター
「割合的に言うと、韓国の方が背負ったものが多いのではないかと見る向きも多いですけれども、その政治的な負担度というのは、どのように感じますか?」
河野氏
「本来、精神的には、加害者の立場である方が、精神的にはうんと重い荷物を持っていたはずです。ただ、それが第3者から見ると、どう見えるかというのは、これは、見方はそれぞれだと思いますが、私は安倍総理も相当重い気持ちを持っておられたに違いない。それを決断された。これは国内にもいろんな意見はあるわけですから。それを承知のうえで総理が決断をされた。これは非常に不満を持たれた方も国内にはあると思うけども、それは、やや総理と似たようなお考えの方々が、不満が多かったわけですから。ですから、決断し易かったと言えば、し易かったろうし、逆に言えば、大変、決断に思い切りが必要だったかもしれません。そういう意味から言えば、両首脳ともに、非常に重い決断をなさったと」
反町キャスター
「日韓合意の直後、自民党の稲田政調会長が、像の撤去が先であって、されたあとでないと、日本が韓国側につくる基金に10億円を出すという話は、あとにするべきであるという話。この件については、稲田政調会長だけではなくて、他の議員であるとか…他の議員からも賛同に至る類似の意見多数出たという、こういう話になっています。さらに、自民党の桜田さん。今日、自民党の午前中の部会で、職業としての売春婦だったのだと。それを犠牲者だったかのようにしている宣伝工作に惑わされ過ぎだという、こういう発言をされて、騒ぎになったあとに、従軍慰安婦に関わる私の発言につきまして、誤解を招くところがありましたので、発言を撤回させていただきますという、ここまでの顛末に今日なってしまったんですけれども、党の中で、稲田さんや他の方々が言って、それに対して、いかがなものかという雰囲気が、ワッと出て、韓国からもボンッとハレーションが一部出て、そこから、2日、3日経って、また、こういう話が出てくる。自民党の中には、今回の日韓合意に対する不満というものが、叩いても叩いても、また、出てくるのかなという印象が拭い去れないですけれども、どう見ていますか?」
河野氏
「今度の発言は、つまり、党の中堅議員ですよね。その中堅議員がこういう発言をしたというのは、私はまったく驚きで、まったく勉強をしていないというのか、知識がないというのか。また、こういう時にこういう発言を平気でするという、政治家として、そういうセンスというものがまったく私には理解できませんね。こういうことはあってはならないことだし、政治家としては失格だと思います」
反町キャスター
「自民党の中の1つの意見、稲田さんが代表されている意見で言うと、10億円を出すのと、撤去というのは絶対、撤去が先でないといけないと。ただ、撤去に関しては日韓の間でどういう約束があったのかというと、韓国側というのは、これについては努力目標であると言っているわけではないですか。努力目標だと言いながらも、撤去が前提でなければ10億円を出さないという、この議論というのは、日韓合意に対する理解度に問題なのか。ないしは、そうではない、もっと根っこの深い問題なのか。敢えて言っているのか。そこはどう見ていますか?」
河野氏
「私は、これは日韓関係をどういうふうに持っていくかという、大局的な見方を、政治家として、するべきだと思います。そういう見方ができなければ、これは現在の状況の中で、政治はできないと思うんです。まして総理が決断をされたという時に、10億円が先か、撤去が先か、何ていう議論ばかりをしているというのは、それは問題がないわけではありません。ないわけではないけれど、問題はもっと大局的に見れば、ここで日韓関係を正常化するというか、日韓関係の間にあったトゲを抜いて前向きの日韓関係をつくっていこうという、大きな決断をしたというものを支持するか、しないかという問題だと思うんです。ああいう言い方をすれば、それは韓国側にももちろん、言い分もあるでしょう。それから、私は岸田外務大臣が今度は非常によくやられたと思うんですね。直接ソウルへ行って、韓国の外務大臣と、あれだけきちんと話をして、私は岸田大臣の決断というものもあったのだろうと思いますが。そういうことは総理としても、あるいは外務大臣としても日韓関係をうまく持っていく、健全な形に持っていくということが、日韓両国関係のみならず周辺の平和と安全とか、繁栄とか、そういうことを考えれば、ここは大事な判断だということで、おやりになった。それを理解しなければ、そういう理解がまったくなくて、ただ単に一部を掴んで、あれこれをするということは、私は意味がないと思うんですね」
反町キャスター
「合意に関してですけれど、日本側が約束したことは、要するに、ここにあるような話でして、元慰安婦の方々を支援するための基金を、韓国側がつくった基金に対して拠出をしますと。総理がお詫びと反省の気持ちを表明します。これは、昨年の談話であるとか、先ほどの、先日の、朴大統領との電話であるとか、そういう形で済ませている、やっているというのが、日本側の立場であるんですけれども、こういったことというのはかつてのアジア女性基金の時にやっていた話ではないかと。そうすると、たとえば、今回の日韓合意において日本側が新たに何かをするのかと言えば、お金を出すだけという言い方は失礼かもしれないけれど、基本的なスキームというか、アウトラインは変わっていないような気もするんですけれども、それはどう見ていますか?」
河野氏
「そう見ていいと思いますね。私は、ここに書かれていることが、河野談話にも書いてあった通り。それから、現在おっしゃられたように、アジア女性基金がやってきたのもその通り。その通りで、それは、やったのは、いまや20年前ですよね。この20年間の大半はそういう日本側の態度。韓国側も受けて、こういうことを前提に、さらにできることをしましょうよと。談話には書いてあるわけですから。何をするかということは研究されてきた。それが安倍内閣になって、これはちょっと違うかもしれないと見直さなければいけない」
反町キャスター
「最初にね」
河野氏
「最初に。そこから問題がいろいろとあって、それがまた元に戻ったということですよね。ですから、これは元に戻りましたねと。プラス何があるかというと、いっぺん違うことを言った人が元に戻したから、本当かね、というクエスチョンマークがちょっと韓国側についたと。そういうものを現在申し上げたように、外務大臣が行って、おそらく総理大臣が、責任は俺が全部とるから行ってこい、と言って、外務大臣を行かせたと思うんですけれども、行って、向こうの外務大臣とのやり取りの中では相当、外務大臣として、がんばったり、飲み込んだり、自分の責任でやった部分も相当あるだろうと思うんですね。そうやってまとめて、合意をして。確かに言われれば、紙もないではないかと…」
反町キャスター
「口約束と言い方は、下品かもしれないけれども」
河野氏
「口頭でやっただけだろうと。そういうことですけれど、外務大臣にしてみれば、あれだけマスコミ、プレスを前にして、公開の記者会見の場で両大臣が共にきちんと発言をすれば、それは相当な担保があると見ていいと思います。ですから、それで事は一歩前へ進んだということで、私はよくやられたなと思いますね」
秋元キャスター
「この前のアジア女性基金の時はうまくいかなかったわけではないですか。今回はうまくいくと思いますか?」
河野氏
「これは、だから、今回、韓国側に財団をつくって、そこに日本は10億円を出すというわけですから。今度やるのは、韓国側がやるわけですから、仕事は。この前は日本側がお金を持って行って渡そうとしたんだけれども、今度は、韓国の財団にお金を出して、作業は韓国側がおやりになると。そういうことになったわけですから。そこはだいぶ違うと思いますね」
反町キャスター
「慰安婦像の撤去の問題について昨日、韓国の朴大統領が記者会見の場においてこういう話をされているんですよ。ザクッと言ってしまうと、慰安婦像の撤去について、どうこう指図できる立場ではないんだけれども、被害者らの理解を求める努力もしていきますと。僕らはこの慰安婦像の撤去をどういう思いで見るべきなのか。待つべきなのか。つついてはいけないのか。黙って待つ、約束の10億円を出したうえで。向こうの誠意をじっと待つのが大人の対応なのか。ないしは稲田さんではないけれども、出す以上はね、と。その思いはわかる部分もある。これはどう見たらいいのですか?」
河野氏
「それは、基本的には韓国政府の努力を待たなければいけないと思います。ただ、言えることは、今度の合意は政府間の合意です。ですから、当事者、いわゆる従軍慰安婦の人達との合意ではないですよね。日本政府と韓国政府の合意ですから。ですから、当事者は、それに対して、別の意見を持っている可能性というのは十分ある。それは、これで良かったと思っている人がいるかもしれません。だけど、そうでないという人もいるかもしれません。中には、我々に一言も話がなくて、頭越しで決めたではないかとおっしゃる方もおられるようです。だから、我々は、そうは言うけれども、政府間では合意をしたと。政府間で合意をしたのは、先ほどから繰り返し申し上げているように日韓関係というものをこれで前向きに進める状況をつくるという意味で政府間合意をして、その合意の中で、少女像ですか、そういうものの撤去、その他については韓国側に要請をすると。韓国側も努力をしましょうと、こう言っている。我々は韓国政府の努力を待つと。韓国政府の誠意ある努力を待つということだろうと思うんですね」
反町キャスター
「待つしかないのですか?」
河野氏
「そうだと思います」

アジア情勢と安倍外交
秋元キャスター
「日韓関係が改善に進む一方で、北朝鮮が発した水爆実験成功の声明が、近隣諸国に大きな波紋を広げています。今月6日、北朝鮮はアメリカと帝国主義者の核の脅威から、国の自主権と民族の生存権を守る自衛的措置として、水爆実験を行ったと政府声明を発表しました。この動きに対して、日中韓、それぞれから批判が出ています。日本は、国連安保理決議への明白な違反だと。断固たる対応を検討するとしています。そして、韓国は、強く糾弾。安保理の追加制裁を含むあらゆる措置をとると。中国は、断固として反対。北朝鮮大使を呼び、厳正に申し入れるということですけれども、河野さん、北朝鮮を巡って緊迫するこのアジア情勢をどのように見ていますか?」
河野氏
「すぐ傍の北朝鮮における核実験ですから、これに我々がどういう対応をするかということを考えないといけない。そこで現在言われているのは日米韓3国で北に対して制裁措置をやろうと。日米韓だけではダメだから、中国にも呼びかける。それ以外の国にも呼びかけてやろうと言うけれど、どうも中国はちょっとニュアンスが違うなということになって、また、日米韓でやったとしても、中国からちょろちょろといろいろなものの出入りがあったりして、制裁が効かないのではないかと。だから、中国を何とかしなければいけないということで、中国にいろんなことをやっているというのが現在の状況だと思うんです。そこで現在お話があったように、私は、北朝鮮問題は中国、それから、もう1つ、ロシアです。中露を入れて考えないと問題はきちんと処理ができないだろうと思うんです。処理という言い方もちょっと問題のある言い方ですけれども。中露を入れて、北朝鮮問題を何とかしようと思えば、すぐ頭に思い浮かぶのは、いわゆる6か国協議ですよね。これはまさに日米韓中露北と。その6か国協議というのを、ずっとやってきているわけですね。ところが、何年もほとんど開店休業状態。中国が議長、当番といいますか、武大偉さん、かつて日本の大使なんかをやられた中国の方ですけれども、武大偉さんが世話人で、一生懸命にやって、いろいろ言って歩いていらっしゃるらしいけれど、ここのところ、6か国がテーブルに着いて、いろいろな話をしたということはないわけです。中国は中国でかねてからそうですし、今回もまた朝鮮半島非核化が大事だと中国は一貫して言っているんですよね。非核化が大事だと言うなら、言うだけではなく、北の核実験についても、これを何とかしなければ朝鮮半島の非核化にならないわけですから。中国はそこをどうするのですかと。もっと従来の主張、発言を具体化する努力をされたらどうですかと。してくださいと言わなければいけないし、日本もそんなことを中国に現在、言えた間柄かいと、こう言われるように、日中関係は、だってついこの間までは、日米韓で中国包囲網をつくろうという相談をしていたわけですから、その中国包囲網をつくろうとしていた日米韓が今度は一緒に足並みを揃えて、北朝鮮包囲網をつくろうと言い始めて、はいはいと言って、中国が足並みを揃えるかどうかということもちょっと考えなければいけないでしょう。だから、アメリカという国は相当重層的な関係を持って通りいっぺんの米中関係ではないでしょう、きっと。政治的にはこう、経済的にはこう、安全保障はこう、様々なレベルで米中関係をやっているでしょうから、それは、アメリカは中国とある程度の話をするでしょうけれど。日本はそんなに複雑な日中関係をつくっている、構築しているとは思えませんよね。そうすると、現在の日中の政治関係から見て、中国と一緒にやろうとか、あるいはやってくださいよと言えるような関係になっていないことを私はとても残念に思うし、心配しているんです。このままでは北は成功したと。俺は持っているぞと。核保有国と認めろと言って、向こうの、北朝鮮の主張というものを皆が、何となく聞かされているという状況が続いていってしまう可能性がありますよね」

安倍外交と日中関係の針路
河野氏
「じゃあ、どうやって中国と向き合うかということを考えなければいけませんね。どうすればいいか。いくつか方法はあると思うんです。中国の理解、中国の考え方。それが、つまり、世界の超大国というんですか、リーダーになった中国は自分が世界の超大国になった、リーダーの1人になったという自覚を持って、世界の平和のために、あるいは秩序を維持するために自分は応分の働きをするという自覚を中国に持たせる。これは1つ大事なことですね。中国がそういう自覚を持てば、そういう無茶なことはしにくくなる。こういう中国をつくらなければいけない。それ以外にも、中国と日本とで向き合っていたのでは、それではどんどん差がつく一方ですけれども、日本一国ではなくて、いくつかの国と一緒になる。たとえば、ASEAN(東南アジア諸国連合)の国々と日本は一緒になって中国と話し合うために、もっとASEANに力を入れる、日本はね。ASEANに力を入れるというのは、1番大事なのは、福田ドクトリンと言われる、福田赳夫先生がかつてアジア外交で話をされた福田ドクトリンなどをきちんと考えて、ASEANの国々とイコールパートナーとして、一緒に汗をかこうと。一緒に何かの目的に対して努力をするということで、本当のASEANの仲間になって、中国と向き合うといいますか、話し合うという形をつくると。これは安全保障上もそういうことを考えるし、あるいは経済パートナーとして、ASEANの国と日本との経済的な集合体みたいなものをつくっていくことによって中国と向き合う。やがては中国も俺もその中に入れてくれと。俺も一緒に入るよと言った時、仲間に入れて、仲間だという形をつくるというようなことをやっていかなければいけないと思うんですね」

安倍政権と自民党政治の課題
河野氏
「安倍さんは自公一緒になって過半数を目指そうと、こう言っておられて、それは何かというと、憲法改正をそれでやるんだと、こう言っておられる。一方の山口さんは数だけ、数合わせで憲法改正のことは言っちゃダメだと言っておられますね。そうすると、自公で一緒になって選挙を戦う。自公で一緒になって選挙を戦うけれども、自民党は憲法改正を訴える。公明党はおそらく憲法改正は訴えないだろうと思うんです。訴えないのはいいんだけれども、訴えないけれども、公明党が当選者の数を増やせば、安倍さんの言う憲法改正に貢献するわけです。それは公明党の本意だろうか、ということを僕らちょっと不安に思いますね。私はもともと連立政権というものは、選挙になったらいったん辞めて、連立を解消して、自民党は自民党の本来の主張を高々と掲げて選挙に臨む。公明党は公明党の本来の主張を掲げて選挙に臨む。選挙が終わった段階でどちらが多いかは知りませんが、多い方が政権を担うと、参議院ですから衆議院で政権を担っている自民党が公明党に対してもう1回連立を組みましょうと。こう言って申し込まれたら、その時に、どういう政策で合意をして連立を組みますかということをそこで話をするべきだと私は思うんですね。現在のまま選挙に突っ込んで、一方は憲法改正だと言い、一方はそれには慎重だと言っている人が肩を組んで有権者に訴えて歩いて、有権者はどう投票すればいいのでしょうね。これは有権者に対してはちょっと親切ではないやり方だと私は思いますね。だから、憲法改正に積極的という他の政党もあるのですから、そういう政党は憲法改正だと言って、選挙が終わった段階で、そこと組んで憲法改正を進めるというのなら、それも1つの方法ですよ。あるいは選挙が終わった段階で、公明党ともう1度組むんだけれども、その時の力関係から言うと、公明党の主張が強くなって、威勢良く言っていたけれど、少しトーンダウンしなければ組めなくなるということがあるかもしれませんね。だから、現在のまま、とにかく現在のまま計算すれば、2つ足せばこうなるよと。だから、憲法改正だというのは、それは安倍さんのお立場から言えばそれは1番いい、期待できる、期待する方法だけれど、一方の公明党の立場も考えれば、必ずしもそうではないのではないかと。もっと言えば、有権者からすれば、どうすればいいんだと有権者はということになると思います。だから、有権者というものをほとんど忘れて候補者だけの話をしておられると見えると」
反町キャスター
「現在の党内の憲法に関することでもいいのですが、党内の言論環境をどう見ていますか?」
河野氏
「不健康ですね。言わなければいけないと思っている人はいるんだけれども、言えないで、消化不良と言いますか、極めて不健康な状況だと思っています」
反町キャスター
「現在の自民党を見てどう感じているのですか?」
河野氏
「現在1番安倍政治が心配なのは、つまり、安倍さんの国会答弁を聞いていても、それから、安倍さんのいろんな演説やパフォーマンスを見ていても、つまり、愛情がないね」
秋元キャスター
「誰に対しての愛情ですか?」
河野氏
「国民に対して。あるいは国際政治の相手方に対して。もっと愛情のある政治をやらなければダメだと思うんです。彼は常に戦闘的だよね。戦闘的なのは馬鹿に男性的で、何か格好がいいと。断固としてとか、毅然としてとかというのは格好いいかもわからないけれど、でも、私は、政治を語ったり、相手と本当に誠実な話し合いをしようと思ったら、もっと愛情がないと話がちゃんとできていかないだろうと思うんです。安倍政治に1番欠けているのはそういう愛情だと思いますね。もっとそうやって国民に対しても愛情を持つ。たとえば、予算委員会のやりとりを聞いても、すぐに上げ足をとって、民主党の政権の頃はこうだったではないか、というようなことを言うでしょう。確かにそうかもわからない。だけども、そこはもう1つ、大きくなって、それはあなた方も努力をされたけれども、我々は我々なりに努力をしてこうなっているんですよ、と言って、国会で、政党間で議論する時には、相手の党に対してもリスペクトするという、そういう気持ちがなければ、議論というのは深まっていかないし、お互いに納得していかれない。現在のように、俺が正しいのだと、お前が間違っているんだ、と言って、切って捨てて歩いていたら、国民的合意はできないね。半分敵をつくっているようなものだから。民主政治というものは、理解してくれる人、合意する基盤というのは、広ければ広いほどいいわけですよ。その広い基盤をつくるために、議論はちゃんとしなければいけないと」

民意汲む『あるべき政治』の姿
反町キャスター
「安倍さんの次の総理総裁は、安倍さんと同じような総理総裁がずっと続いていくというのか。そこはどう見ていますか?」
河野氏
「自民党という政党は1党で長く政権を取り続けましたね。ちっとも変わらない、自民党ばっかりだと言われていたけれども、自民党の中にはいろんな知恵が働いていたんですね。たとえば、政権は長く続いたけれど、総理はしょっちゅう代わっていたわけです。総理はしょっちゅう代わっていて、総理の代わり方も、たとえば、中曽根さんは、非常に強い政治でした。そのあとは竹下さんがやる。非常に優しい。つまり、中曽根政治で随分傷んだ人もいるだろうと。それを竹下さんが癒す役割をやるとか。そういうことを考えて、やっているんですよ。そこは非常に上手にやってきているんですね。だから、1つの党でも、外国から見れば、あの党はずっとあれではないか、そんなバカな民主政治があるか、こうも見えたけれども、実際入ってみると、それは竹下派がやり、次に今度、大平派がやると、仮にですよ、言ったら、それはもう党が違うぐらい肌合いが違うし、それから、リーダーの考え方も違うわけですよ。それが1つの自民党という傘の中で行われていたわけです。だけど、有権者の意思によって変わっていたかというと、そこはそうではなくて、有権者はとにかく自民党を選んで、その選ばれた自民党の中でいろいろ工夫があって、変わっていたと。ここは、たとえば、田中さんのあとは三木さんでいく、というふうに思い切った、びっくりするような変化もやりながらきていたんですね。そういう多様性、そういうものが小選挙区制、それから、昨今の政治でなくなってしまって、非常に単純化された政党になって、だから、おっしゃるように、安倍さんがダメになったあとはどうなりますか、と言っても、安倍さんのあとも安倍さんですみたいな話になりかねない。それでは、党を変えなければしょうがないというふうに世論は動くだろうと思いますね」

河野洋平 元衆議院議長の提言『対話』
河野氏
「対話を重視してほしいと、対話を重視していかなければいかんと。それは日中も対話が大事、日韓も対話が大事、日米ももっと対話が重要だし、それから、国内でも、たとえば、政府と沖縄との関係ももっと対話が大事だと思いますね。その対話も、形式的な対話は要らない。もっと本当の誠実な対話というものが大事。日中は対話ができましたよと言うけれど、本当に誠実な対話で中国も日本を本当に信頼し、日本も中国を信頼するような対話ができているかということを考えると、積極的平和主義というのは対話をしていくことが積極的平和主義の1番の元なのであって、積極的平和主義で外国の軍隊のお手伝いをするというのは積極的平和主義だと僕は思わないです」