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2016年1月11日(月)
独自データで読む2016 株安の不安と景気予兆

ゲスト

宅森昭吉
三井住友アセットマネジメント理事・チーフエコノミスト
松野利彦
SMBCフレンド証券チーフストラテジスト
永濱利廣
第一生命経済研究所主席エコノミスト
大山泰
フジテレビ解説委員

2016年景気はどうなる? 株価年初来5日連続下落
秋元キャスター
「まずは年初から荒れています株価の動向ですが、昨年は、中国の上海総合指数の下落ですとか、ギリシャショックなど世界の景気減速を受けまして、8月、9月は不安定な時期が続きました。先月発表されたアメリカの利上げのあと、一時、安定したものの、今年の最初の取引となりました1月4日は、一時、500円以上下げるなど不安定なスタートなり、先週末8日の終値は、1万7697円と、1万8000円台を割り込む結果となっています。まずは松野さん、この年初からの乱高下ですけど、この状況をどう見たらいいのでしょうか?」
松野氏
「大きくは外部環境の悪化というところが1番大きいかと思うんですけれども、中国の経済の話と、アメリカの経済の話と、それから、原油安と。おそらく、この3つが市場心理を揺らしていまして、これが為替の世界で、ちょっと円高の材料にもなっているものですから、あまり円高、特に今朝、116円台に一時入りましたけれども、また、117円台に戻っていますが、あまり円高になると、日本の企業利益が結構、最近、為替、円安に依存していた部分が大きいので、これが離れちゃうと、来年度の企業業績にちょっと支障が出る可能性があるのではなかろうか。たぶんこのあたりを織り込んできて、株価を調整しているのではなかろうかと思いますね」

株価下落 円高傾向は続く?
秋元キャスター
「安倍政権発足、当時、85円台で推移していた、対ドル、円ですけれど、その後、円安が進行しまして、昨年の12月には120円から122円で推移していたのですが、年が明けて、118円から117円と急速に円高が進行して、昨年の8月以来の高値をつけているわけです」
反町キャスター
「アベノミクスというのは円安によって、たとえば、株とか、資産とか、多少値上がりして、企業も力を持って、元気になってくれよ、という政策であったとした場合、円安のメリットというものを活かしてそれぞれの企業が体質を強化するとか、構造改革するとか、新規事業にチャレンジするとか、そういうことを、あまりしていなかったという意味で言っている部分というのもあるのですか?」
松野氏
「実際のところは、そういったことも行われてはいるのですが、ただ、直近では、為替のところで、実際に企業の利益そのものがすぐに構造を変えられるものではないものですから、足元の利益としては、為替が円安に向かったところで為替債権、ならびに国際競争力のアップといったところが企業利益にかなり寄与したのは確かだったので、それが離れてしまう可能性というのが現在、ちょっと危惧されていますね」
反町キャスター
「脆弱な印象はありますよね。その話を聞いていると、要するに、日本企業が強くなったのではなくて、ただ、為替によって風が吹いていると、そういうふうに聞こえちゃうのですが」
松野氏
「本格的デフレ脱却が宣言できていない状況を考えると完全には変わっていないのだろうなというところはあると思いますね」
秋元キャスター
「宅森さんはどう見ていますか?」
宅森氏
「基本的には中国の株価の影響を受けて、それが全部、飛び火をしているような感じです。8月の時とよく似ているのではないかなと思いますね。国内の経済はとか、たとえば、日本の株の場合はそのへんも材料になると思うのですが、ちょっと不透明な材料がありますよね、昨年の年末に出てきた家計調査で、11月分は、これは暖冬の影響が大きいのですけれども、ちょっと消費が振るわなかったとか、そういう話があって、そうすると、何となく景気大丈夫なのだろうかと。皆、不透明だなと。機械的な景気の判断で景気動向指数というのがあるんですけれども、これを見ても、足踏み状態という判断が、ずっと昨年の5月から11月まで続いているんですね。そうすると、ちょっと良かったはずなのに不安かもしれないという、そういう心理面でおかしくなっているのではないかと思うんですよ。ただ、おそらく実態経済の方は、春になったりとか、また、初夏になったりすると、かなり日本の良い数字が出てくると思いますよ。それはあとでいろいろ話が出てくると思うんですけれども、たとえば、景気判断も早ければ、2月の5日の日に改善というふうに変わる可能性もあるんです。ちょっともたつくかもしれませんけれども。ちょっとあとずれの可能性もあるのですが。かなりギリギリです、これは。だから、悲観的に見ようと思うと、悲観的になるし、そうでなければ、強気にもなれるし」
秋元キャスター
「永濱さんはどう見ていますか?」
永濱氏
「すごく懸念をしているのは、要は、製造業のISM、アメリカの。アメリカの経済成長率は非常に連動性が高いんですね。ということからすると、昨年10‐12月のアメリカの経済成長率が今月末に出てくると思うんですけれども、結構、弱い数字が出てくるのではないかなということからすると、もしかしたら、現在、足元の円高、株安というのは結構、長引く可能性があるのかなと。こうなると、何が起こるかというと、私は非常に懸念しているのは、このタイミングが悪いと思っていて、なぜかと言うと、これから今年の日本経済、特に内需を考えた場合、春闘の賃上げ率ですね。これが非常に大きなカギを握ると思うんですけれども、まさにこれから賃上げ率の議論が本格的に始まっていく中で、悪影響が出やしないかというところが1つですよね。さらに言うと、日銀短観を見ても、今年度下期の大企業の製造為替レートは118円です。一例かもしれませんけれども、下まわっているんですよね。それを考えると、企業業績の下方修正の懸念が出てきて、それも織り込んで株価が下がっていると思うんですけれども、これが結構、長引いてしまうと、一時的な不安とは言っても結構、今年の景気に影響を及ぼす可能性があるかなと」
反町キャスター
「宅森さん、現在の株安がそのまま、春闘賃上げに影響するのではないかという永濱さんの話、いかがですか?」
宅森氏
「まだ早計過ぎるかなと思うんですけれども。あくまでも一時的にかなり下げているだけだと思っているんですよ。株価と連動をするのは、たとえば、景気ウオッチャー調査の景気判断DIとかがありますけれども、明日出てきますよね。1月に出てくる12月分は結構、改善しやすいんですよ、季節的にも。そういう良い数字が出てきたりすると、流れが変わる可能性もあると思っています。だから、1月末まで、ずっと現在の状態が続くとはちょっと思えないと思っています。たとえば、中国だって人民元の元安の方にずっと基準値を誘導していたから、また、8月と同じで、きっと悪いからやっているのだと思って、株を下げている面もありますよね。それが現在少しずつ戻している感じですね。だんだん、そのへんの操作をしているのもなかったねとなってくると、また戻ってくる可能性もあると思っていますけれどもね。暫く様子を見ないとわからない局面だと思いますね」
永濱氏
「もともとこのマーケットの悪影響がなくても今年の春闘は懸念していて、なぜかと言うと、既に出ている労働組合側の要求額が昨年よりも少ないところが多いですよね。だから、賃上げ率が昨年よりいかないのではないかと。さらに、こういう状況になると。別にこういう状況でなくても、私は今年の賃上げを結構、懸念をしているんですけれども」
反町キャスター
「賃上げが実現されなかったら、いわゆる成長と分配がどうのこうのと総理も言っていますけれども、その分配も成長も何もなくて、賃上げそのものが、また、別の次元で必要だと思っているわけではないですか。全てその前提が瓦解していくような現象になってしまうんですけれども、それは今年の日本経済は、春闘において既に大ブレーキがかかってしまう?」
永濱氏
「私は懸念をしていますね」

原油価格下落で日本経済は
秋元キャスター
「さて、荒れている株式市場ですが、その1つの要因とも言われているのが原油価格の下落です。この原油価格の推移を見てみますとリーマンショック後、回復基調にあったものが一昨年から大幅に下落をしまして、昨年の傾向は変わらずとなっていました。松野さん、中東の情勢の緊迫化もある中で、今後この原油価格はどうなっていくのでしょうか?」
松野氏
「昨年から今年にかけて需要量が増えることは増えるのですが、供給量はさらに、もっと増えると見られていますので、その状況を考えるとなかなか上がりにくい状況だなと思います。一方で、中東の問題ですけれども、これはサウジアラビアとイランの問題を含めて、OPEC(石油輸出国機構)の中で揉めているわけですけれども。マーケットが見ているのは、いわゆる地政学的リスクの高まりというところをあまり見ていなくて、本来、そういうところを見るのであれば、原油が上がっていなければいけないのですが、むしろ下がっているということを考えれば、そこよりもむしろ産油国の間で話がまとまらなくて、これは減産の話がまとめられないのだろうと。今回の原油価格の背景は、OPECが価格主導権を握ろうということで、商売敵のシェールに対してどう対抗をしていこうかということだと思います、明らかに。掘削コストというのですか、生産コストが違います。彼らの生産コスト以下のところに原油価格を下げてやれば、生産量が落ちるのだろうということですが。シェールのところもシェールのところで開発がどんどん進んでいて技術革新もありますので、生産コストがどんどん下がっているんです。現在、だいたいバレル30ドルぐらいまで下がっているというふうに、ものによっては言われていますので」
反町キャスター
「この原油価格でも競争できるのですか?シェールは」
松野氏
「ものによって競合できるのも出てきていますので、ですから、そうなってくると、さらにもうちょっと下げようかと言う話になるのかなと思いますね」
反町キャスター
「永濱さん、原油安のメリット、デメリット。どう見ていますか?」
永濱氏
「直接的に、大きなメリットだと思いますね。それはなぜかと言うと、1バレル100ドル前後ぐらいあった時の、原油の年間の輸入金額って14兆ですね。現在足元を計算すると、円建てで換算をしても3分の1ぐらいにいるんですね。となると、それだけで、同じ量を輸入しても、9兆ぐらい、それだけ海外から減税してもらうのと一緒で、さらに、原油が下がると、天然ガスもつられて下がりますから、実は10兆円減税をやってもらうのと同じ効果があるので、間違いなく日本経済、特に地方経済とか、エネルギーをたくさん使うところはプラスが、表面的にはプラスなのだけれども、市場関係者とか、そちらを考えると原油が安くなり過ぎてしまうことによって資源国の、たとえば、デフォルトリスクとか、あるいはシェール関連の投資問題、デフォルトリスクとか、さらに全体的な、そこまでいかなくてもオイルマネーが引き上げてしまうとか、そういうマイナス。一昔前までは原油が下がるというと、そういうコストが安くなるプラスの面があったんですけれども、最近は原油がこれまで上がってきたことで、その裏で、マネーが動いてしまいますから、それの巻き戻しの、マーケットを通じた影響というのはあるので、市場にはマイナスに効いてしまうというところがあるのでしょうね」
反町キャスター
「諸手を挙げて喜ぶわけにいかないという話になるのですか?それともどこに注意をして原油価格を見ていったらいいというのはあるのですか?」
永濱氏
「適度な価格で下がっていくのはいいと思いますけれど」
反町キャスター
「この30ドルというのは?」
永濱氏
「これが、たぶん緩やかに下がっていくならいいいんですけれども、あまりにも急激だったから。私はまだ騙しだと思ってて、最悪のシナリオは何かというと、それこそサウジとイランの対立の激化によって6月にOPECの総会で、たぶんそこでも減産が合意できないのではないかみたいな話がありますけれども、こういう形で冷戦状態でそういうのであればいいんですけれども、これが実際に、軍事的な、具体的な衝突になったりしてしまうと、まさにこの2か国の間に、だって、ホルムズ海峡だってあるではないですか。そうなっちゃうと、マーケット的には、それはリスクだし、たぶん原油価格だって跳ね上がっちゃうと思うんですね。それがたぶん日本経済にとっては最悪のリスクシナリオで、たぶん大丈夫だと思うんですけれども、サウジにしてもイランにしても経済状況が、特にイランなんて経済制裁をこれまでされていましたから、そんな軍事的な衝突が激化すると、ただでさえ経済が厳しいのに、やらないと思いますけれども、なっちゃったら、それは低リスクですけれども、それは最悪」
反町キャスター
「日本は、中東への依存度は8割ぐらいでしたっけ」
大山解説委員
「ホルムズ海峡を通ってくる原油が8割ですね。日本に来ている」
反町キャスター
「どこの国よりもリスクが高いですよね。中東へのエネルギー依存度が。それはイラン、サウジの軍事的な対立が激化した時に1番ダメージを被るのは、おそらく日本だろう。そういうことを考えた時に今年の日本の景気というのは、安心だとはとても言えない」
永濱氏
「言えないです。だって、今年の株とか、為替の見通しを見ても、今年ほど予測が大きく振れているって、最近になかったですよね。まさに猿飛佐助ではないですけれど、どちらにも動く要素があるので、不透明感が高いなと。私は、良くはなってほしいとは思いますけれどもね」

中国市場大荒れの要因
秋元キャスター
「続いて、日本の景気に影響をする要素。もう1つ、中国市場も荒れています。中国で年頭より運用を開始されているサーキットブレーカー制度というのがあるんですけれど、これは日本の金融市場などでも取り入れられている制度で、中国では株価が上下5%変動した場合には15分で、再開後7%変動すれば終日取引が停止する仕組みになっていました。この制度が年始早々始動してしまい。市場が混乱したということが投資家に不安を抱かせたということですけれども」
松野氏
「サーキットブレーカー、そのものが悪いのかというと、これは他の先進国でも運用されている話なので、それほど、問題のあるような制度ではないとは思うのですが、問題はその変動の幅というか、変動率ですよね。たとえば、アメリカで、最少が7%変動をしたら提出して、その後、13%下がったら停止して、20%下がったら終日停止してという段階的な措置をとって、結構、大きく幅をとっているんですよね、変動率に対して。アメリカのマーケットと、中国のマーケットを比べた場合、明らかに中国のマーケットの方が、価格変動率が大きいわけですよ。にもかかわらず、少ない変動率ですぐに停止してしまうような恰好の制度にしちゃったものですから、明らかに制度上のミスですね」
大山解説委員
「中国の株価が年開けでちょっと乱高下して、乱高下というか、ずっと下がっていたんですね。その引き金は4日に、中国の製造業関連の指標が悪いのと、人民元がずっと下がっているベースがあるというので、昨年の夏もそうですけれど、要は、人民元、それだけが下がっているということはなかなか実相の見えない中国経済自体が、ダメなのではないかという解釈とか、それから、人民元を下げないと、輸出競争能力も含めて、足腰の底上げがもたないのではないかと、常に中国は実相が見えないだけに、そのへんも取り沙汰されているんですけれども、年明け、松野さんは、そのへんのマーケットの分析も含めて、どう見ていますか?人民元の動きは」
松野氏
「中国の、株式のマーケットの参加者、個人投資家がほとんどですから、ここはほとんど、当局の意図が理解できない、しにくいような状況になっているところが、不安心理としてはあると思うんですけれども、人民元安に関しては、これはどちらかというと、安値に誘導している可能性があるのではなかろうかなとは思いますけれど。昨年の11月にIMF(国際通貨基金)の特別引出権、SDRの無効性通貨で採用される時、人民元そのものが国際的に、自由に取引できる通貨にないにしても、国際通貨の仲間入りすることがある程度できたということで、この次は、今度、景気を回復させようと。この目的は、今年、中国がG20の議長国になっていますので、そこで経済的に問題ないですよということを示そうということで、製造業がどうしても弱めなものですから、何とかするために人民元を安値に誘導したというのが、どうもそうではなくて、そうしないとまずいのではなかろうかというような受け止め方で、ある意味では、資本の投資ですか。キャピタルフライトにつながっていくと、こんなところは懸念されたのではなかろうかと思いますね」
秋元キャスター
「宅森さん、中国のこの動きをどのように見ていますか?」
宅森氏
「そうですね、中国ですけれども、実は、こういうデータがあるんですね。ESPフォーキャスト調査。日本の経済について、日本のエコノミストに日中コンセンサス調査ですが、特別調査ということで、昨年8月に、いろいろ中国ショックがあって以降、10月調査から始めているんですけれども、中国国家統計局ベースの製造業のPMI(購買担当者景気指数)の見通しを聞く調査です。日本経済の専門家なので、だいたい8割ぐらいの方が回答していただいている形です。これは最新の12月の初めに聞いた調査で、今度新しい1月調査は明後日発表になります。日経センターのホームページでどなたでも見られます。これを見ると、2015年10-12月期はあまり良くないよというのはわかっていた感じですね。コンセンサスですね。持合い17で、下降で12、上昇2。これはどういう意味かというと、PMIは50が景気の分岐的なものですから、50をちょうど持合いというふうに判断をします。50超になるだろうというのは上昇ということになりますね。50未満ですと、下降です。圧倒的に下降がウェイト的には大きいわけですよ。出てきた数字が49.7ですから、平均すると、3か月。だいたい結果通りですね。想定通りのものが出ても何で大騒ぎをするのか、逆に言いたいことですけれど、50より悪いから、悪いんだという材料にはしやすいんでしょうね。じゃあ、その先、皆さんがどう見ているかです。商社系のシンクタンクとかいろいろあるので、中国の情報とか、何かを得て回答をしていただいていると思うので、そういう中でどういうふうになっているかですけれども、ちょっと春ぐらいまではパッとしないですよね。4-6月期に少し良くなるのかなぐらいですけれども、7-9月からです、明らかに、回答数で、半分が上昇になると。だから、今年の後半は持ち直してくるだろうというのがコンセンサス。どんどん良くなっているということになっています。おそらくこれまで、たとえば、金融政策とか、何かもやっていましたし、何か悪ければ対策も打つだろうと言われていますし、そういったものの効果が出てくるのではないかというようなことを考えるのではないかと思うんですよね。これは毎月、とりあえず特別調査でやっているので、注目されるのは、今度1月分の調査でどうなっているかとか、そういう比較をちょっとしながら見ていくといいと思うんですけど、同じ傾向が続いているようであれば、年後半以降は持ち直していくと見ていていいのではないかなと」

中国経済の動向
反町キャスター
「松野さん、中国の景気どのように見ていますか?」
松野氏
「現状はこんな感じですよね」
反町キャスター
「そもそもPMIをどう見たらいいいのかと、購買担当者指数というのは、いったいどういうふうな数字だと?」
松野氏
「いわゆる企業の購買担当者の景況感ですね。中国の場合、出しているのが2つあって、中国の当局と、それから、あと財信PMIという民間のところがあるのですが、今、見ていただいているのは、中国当局が出しているところですけれども、製造業は現在、おっしゃられていたように50を若干下まわっているところですけれど、一方で、非製造業が少し上向きになり始めているという格好で、確かに、製造業が悪いですし、どうしても過剰設備がありますので、これを何とかしなければいけないので、ここを良くするような話がたぶん出てこないと思います。一方で、非製造業そのものはまあまあしっかりしているような状況ですので、これが少しずつ製造業そのものを、年後半、回復の方向に向けていくだろうという方向のものが先ほど、宅森さんのを見せていただいたところの、結果につながっているのではないのかなと思いますね」
反町キャスター
「その数字から言うと、決してそんなに落ち込まないだろうと。特に、非製造業の数字というものが、これからを支えていくという話だったんですけれど、前提として中国の経済統計が信頼できるかなという中で、こういう数字を我々は信用していいものなのですか?」
松野氏
「ヒアリングベースなので、統計そのものは信用できないというのは確かに世界各国、多少の違いはあっても、いじっている部分はなきにしもあらずと思われますので。ただ、中国の場合、特にそれが激しいものですから、ということなのですが。ただ、そうは言っても、いじれる範囲も決まっていますし、過去の修正も当然ありますので、そこらへんはある程度、統計を信用していくしかないですけれども、ただ、マーケット的には、これがもっと厳しくなるのではなかろうかと。おそらくそういったところが株安ですとか、人民元安につながっているのではなかろうかなと。でも、統計が示しているところはそうではなくて、そんなに厳しくなるような話ではないと思いますね」
秋元キャスター
「永濱さん、現在の中国経済、どのように見ていますか?」
永濱氏
「お二方が出しているPMI、国家統計局版ではないですか。もう1つ財信というのがあって、こちらの方をマーケットが注目をしていて、要は、イギリスのマーキット社が元締めをしているんですね。先ほどの、国家統計局というのは、結構いいですけれども、直近のデータを見ると、財信のPMIは、製造業が48.2まで下がっていて、頼みのサービス業も50.2のところまで下がって、ギリギリのところまできているんです。だから、実は中国経済の足元は良くないと思います。ただ、良くないからこそこれから景気対策が出てくるのでしょうね。3月5日の全人代に向けて景気対策が出てくるだろうし、人民元が下がったこと自体は、それはマーケットにちょっと不安感をもたらしたかもしれませんけれども、中国の製造業を見れば、プラスになってくるので、過去の、昨年より今年は、中国経済は落ち着くのかなと」

日本経済の現況
秋元キャスター
「実際に企業は景気回復を実感しているのでしょうか?」
永濱氏
「実はこれまで悲観的な話ばかりしていましたけれども、いいところもあって、実際に企業の在庫調整がいいところまできているので、逆に言うと、昨年の景気が思ったほどパッとしなかったのが、私はここが理由かなと思っていて、これは出荷在庫バランスというデータですけれど。出荷の伸びから在庫の伸びを引いたもので、在庫循環を見る、一般的なデータですけど、これが水面下にある時というのは在庫調整局面でなかなか在庫が積み上がって、生産が伸びにくいということですね。これが下がったのがいつからかというと、消費増税ですね、消費増税で在庫が積み上がって、だから、だいたい1年半以上ですか、かけてようやく昨年年末ぐらいに水面上に上がってきて、ようやく在庫調整が進んできたということからすると、昨年は、ちょっとぐらい需要が伸びても在庫が余っていたので、なかなか生産が伸びにくかったんですね。それが足元は過剰在庫が一応解消されてきたので、需要さえ伸びれば、それに見合って生産も結構伸びてきやすいという状況ではあると思います。私は今年度の経済成長率よりも、来年度の経済成長率の方がよっぽどのことがなければ、高くなるとは思います」

賃金は上昇するのか?
大山解説委員
「今年、新年の連合の祝賀会に行ったら、黒田日銀総裁が、昨年は会場にいただけ、何も言わなかった。今年はちゃんと日銀総裁としての挨拶を壇上でしたんですよ。賃上げしろというような、直接的なことは言わなかったですけれど、経済学的に見ると、物価の上昇と賃金の上昇はちゃんと連関しているみたいなスピーチをされたんですよ。現在の永濱さんの話を聞いていると、中央銀行の総裁と総理官邸と政治家が賃上げしろ、賃上げしろと言っていて、労働環境の改善にエネルギーを使う労働組合がややおとなしいというのは初めての光景のような気がして、そのぐらいマクロ経済的には今年の賃上げというのはかなり注目しなければいけないという感じですかね」
永濱氏
「かなり注目しなければいけないし、逆にそれをたぶん政府も、日銀も十分認識されているからこそ、日銀総裁は普通そんなこと言うかという議論もありましたけれども、そこまで考えられているからこそ、そういう発言をされたのではないかと思います」
宅森氏
「今年いろいろチャンスだと思いますよ。だから、私は昨年あたりからずっと言っているんですけど、昨年の段階だと18年ぶりと23年ぶりのデータに注目してくださいということを散々言っていたんですね。18年ぶりというのはまず失業率とか、雇用関連がどんどん良くなったんですよ。最初に5月の段階で18年ぶりの低水準になり、秋には20年ぶりになりましたけれど、たとえば、18年ぶりに良くなったものは自殺者の数字。まだ年間は出ていませんけれども、出たら話題になると思いますけれども、あまり皆さん注目していないですけれども、おそらく3万人、年間3万人の自殺者数というのは頭の中に入っちゃっていると思うんですよ。2万5千人を切りますよ、昨年。それはいつ以来かというと、1997年以来です。要するに、金融危機で生活関連の自殺者が増えて、しょうがなくて生活経済関連の人が自殺を残念ながらしていた。それがようやく正常状態に戻るんですね。残念ながら健康問題でお亡くなりになる方がいるので、それは昭和の終わりから平成9年、1997年までずっと2万人前半ですよ。そのレベルに戻ったはずです。これは結構底上げの1つではないですか。そういうこと自体がわかっているのかなというのがあって、先ほど、言いましたけれど、23年ぶり、24年ぶりのところ、たとえば、短観のところでも雇用関連の判断DIが23年ぶりですよとか、そういう数字が出ているんですね。そうすると、そこまで遡ってその時の経済がどうなっていたのかを見ないと、要求するも何もないですよ。ところが、過去20年間、話が大好きですね、皆さん。たとえば、名目成長率3.1%は政府の見通しがあると、これなかなか難しいと思いますけれども、絶対できないというふうに言うではないですか。その根拠に20年間で1度もない。それはちょっと変だと思うんです。だって、1991年度までは、3%台は逆の意味でなかった。それ以上だから。と言うことで、局面がそこでガラッと変わっているんですよ。バブルがはじけて以降とか、それから金融危機以降とか、それが常識として見ていると、判断が間違っていると思うんですね。そこのところを見てくださいよということで、一生懸命に安倍さんなり何なりがおっしゃっているのかなと思うんです」

気候と景気の関連性
秋元キャスター
「日本経済を見るにあたり、今年ならでは、という特徴は何かあるのでしょうか?」
宅森氏
「現在エルニーニョ現象というのが起こっていまして、最大級ですよ。ちょうど1997年の後半から1998年にかけて20世紀最大級のエルニーニョというのが起こっていた。ほぼそれに匹敵するぐらいの強いエルニーニョが起こっています。それで、11月は本当に冬物、コートなんかが売れなくて消費に悪影響を及ぼしました。これは夏には平常状態に戻ると気象庁が言っているのですが、ちょっと厳しいと思いますね。実質・旧大型小売店販売前年比は1981年から直近までの1-3月期平均は1.0%。エルニーニョが起こった時にはマイナス0.3%になるんですよ。夏は冷夏になりやすいということで低いですよね。昨年はラッキーなことに梅雨明けが早かったんですね。それで梅雨が早く明けたことによって、暑い夏がきていたので、冷夏の影響があまりなかったというラッキーな面があったのですが、今回は厳しいということで、エルニーニョの影響で冬物が厳しいかと。ただ、暖かい、おそらく桜の開花は早いのではないかと思います。その時に、平年の(東京の)桜の開花日は3月26日なのですが、5日以上早い時があります。5日以上早い時の景気局面を見ると1度も後退局面がきたことがない。春になると、天候要因がプラスに効いてくるのではないかと思います」

宅森昭吉 三井住友アセットマネジメント理事の景気予測:『良い年にする』
宅森氏
「最後の『する』というのがポイントですけれど、良い年になりますようにということで初詣に行かれている方が多いと思うんですよ。結局、他人事というか、何か良くなってほしいな、となっちゃうと思うんですけれども、ただ、おそらく今回先ほどの賃上げの話もそうだったのですが、当事者として、賃上げ要求する時にどう考えるとか、そういったことをやっていかなければいけない年ではないですか。だから、それぞれの立場で今年は良い年にするんだと。良い景気にするんだということで、がんばっていくことが必要で、そうしないと不安心理だけがどんどん増幅していって、ダメになっちゃう可能性もありますよね。ということで良い年にするという、最後の『する』にちょっと力点を置いて書きました」

松野利彦 SMBCフレンド証券チーフストラテジストの景気予測:『デフレ脱却宣言に期待』
松野氏
「これは何を意味するかというと、株価ですよね。2万2666円というバブル崩壊以降の戻り高値を上まわることによって、完全にデフレ脱却宣言ということが数字上で言えるのかなと思いますんで、早くそういうことができるような格好で、政策を総動員して、株価を持ち上げて、こういったデフレ脱却宣言をしていただきたいなと。そういうところに期待する1年かと思っています」

永濱利廣 第一生命経済研究所主席エコノミストの景気予測:『うるう年に注意』
永濱氏
「うるう年ではないですか。そうすると、当研究所の研究員の試算だと、1-3月の経済成長率が年率換算で1.2%押し上げるらしいんですね。そうすると、安倍政権の選挙にとっていいわけですよ。GDP(国内総生産)が出るのが5月で6月に改訂なので。でも、それは一時的な要因だから、4-6月は逆に言うと、普通にゼロ成長でもマイナスの1.2%に下がっちゃうってことになるんですね。それを考えると4-6月期のGDPは来年の消費増税の限定というか、たぶん見られると思うんですね。そうすると、もしかしたらうるう年要因が結構波乱をもたらすのかなと。そうなると来年、消費税が上がるか、上がらないかで今年の景気が大きく変わると思います。消費税が上がるのであれば、駆け込み需要が出るから今年の景気はいいと思いますけど、来年は悪くなると思います。先送りになれば、今年の景気はそこそこぐらいで来年はデフレ脱却に近づくのではないかと」