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2015年12月22日(火)
登用目標30%→7%へ 女性活躍の建前ホンネ

ゲスト

岩田喜美枝
21世紀職業財団会長 内閣府男女共同参画会議議員
高城幸司
セレブレイン社長
深澤真紀
淑徳大学客員教授 タクト・プランニング代表取締役

女性登用の目標30%→7% 下方修正のワケ
秋元キャスター
「まずは年内に決定される見込みの第4次男女共同参画基本計画案で、今月の3日、政府が小泉政権時代の2003年に設定しました、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度になるよう期待をするという目標を事実上、断念し、下方修正しました。その数値目標がこちらです。国家公務員の本省課長や室長相当職を現状の3.5%から7%にする他、都道府県15%、市町村で20%。民間企業の課長級で15%。こういった目標に下方修正しているわけですけれど、まず岩田さんは内閣府男女共同参画会議議員ですけれども、なぜ30%という目標を7%に下方修正したのでしょうか?」
岩田氏
「まず30%という数字がどういう数字かというと、30%が7%に下がったというのではないです。この30%というのは現在、読み上げていただいたように、2003年に閣議決定された文書ですけれども、2020年までに30%程度になるよう期待するという文書です。だから、これは数値目標と言えないこともないかもしれませんが、私の理解は、ビジョンですよ。2020年までに、社会のあらゆる分野で指導的な地位に立つ人が30%以上は女性になる、そんな社会にしたいねというビジョンですね。そのビジョンを受けて具体的な領域ごとに数値目標を決めて、取り組むということですが、先ほど、第4次の行動計画。今月中にたぶん決まると思うのですが、現在、今年までのが第3次ですね。第3次の男女共同参画行動計画に何が数値目標になっているのかというと、国家公務員の課長級の女性比率は5%程度というのが数値目標です。そのビジョンとしては、30%を放棄するわけではないです。そういう社会にしたいねというのは引き続きビジョンとして持って、たとえば、国家公務員については現在、5%目標というのを7%に上げる。次の5か年計画では7%に上げる。だから、7%に比較するのは、30%ではなく、5%の方だと。本当に微々たるものですけれどね。でも、現状が5%目標を掲げたけれども、3.5までしかいかなかったんですよ。ですから、その3.5の倍といったって7%というのは小さい数字ですけれど、そこまで持っていこうという、そういうことですね」
深澤客員教授
「特に、2003年に提案されたものが、2012年に復活してきたところも一面あるのではないですか。2003年から2017年にかければ、それこそ先ほどの人材を育てていこうということがあったんですけれど、これが10年ショートカットされてしまったので、もう少し、2020年という言い方ではなくて、10年ぶりに戻ってきた目標ですから、また、2025年、2030年に向けて、それでもわかりやすい、大きな数字があった方がいいですね。これもまたダメだったという空気です、結局。夫婦別姓の時と同じようで、違憲だろうと、誤解が広がっていって、そうではないんだよということですので、目標として掲げることは大事だけれど、2003年のものが急に、また10年経って出てきてしまったので、2020年は無理だった。ただ、現在おっしゃったように少しずつ下の方を、今年採る子は、いずれ管理職にするんだという気持ちを企業が持つということがすごく大事ですよね」
秋元キャスター
「そうすると、最初の目標は、期待として私達は持っていいと」
深澤客員教授
「期待というか、持たないと大変なことに日本はなってしまいます。数字的に低すぎて、本当にかなり恥ずかしいことになっていますから、これは本当に、結構、世界からどうしてそんなに少ないのと、驚かれるぐらいの数字ですので、変えていくのは当たり前だと思っていただいた方が…」
高城氏
「そもそも企業の視点に立つと、リーマンショックとか、震災がありましたので、この5年間ぐらいというのは、中には新卒採用はゼロであったとか、そういう企業がたくさんある中で、女性の比率を増やすというのは、そもそも人を採っていないわけですから、管理職は増やせないというのが前提にはあると思うんですよね。それから、そもそも今回の数値目標を既に達成している企業というのは、民間でもかなりあるんですね。でも、その企業は何をしているのかというと10年前に経営トップがそれを宣言しているんですよ、きちんと。10年前に宣言して、それを、きちんとマイルストーンをひいてやってきた金融機関、製造業はちゃんとクリアしているんです。ですから、この30%はおそらく10年かけている作業だと思うんです。ですから、おそらく今回7%というのは現在から10年間で達成する30%の通過点を決めたのではないのかなと思いますね」
秋元キャスター
「達成している企業もあるという話だったんですけれど、自主的に取り組んだのですか?」
岩田氏
「そうです。女性活躍推進法という法律が今年の8月に通って、来年の4月から施行になるんですけれど。これは301人以上の従業員を雇っている企業。それから、行政もそうですが、国や地方自治体も数値目標を決めなさいと。その数値目標を達成するための行動計画をつくって情報開示するということも義務づけられたんです、法律。だから、これからは義務になるのですが、これまではそうではなく、先ほど、おっしゃったように、経営者が、女性がもっと活躍した方が自分の会社にとって良いと。自分の経営課題であるというふうに自発的に取り組んだところは成果がだんだん出てきているということですね。私が資生堂に入ったのは、2003年の暮れだったのですが、その時は、管理職の女性の比率が10%ぐらいでした。資生堂は数値目標をつくろうと。散々議論をしまして。2013年度末までに30%という数値目標。実際の数値目標をつくったのは2003年よりも数年後だったので、10年はなかったと思うんですけれども。それで結果どうだったかと言うと、30%はいかなかったんですけど、26点何パーセントまで行ったんです。数値目標をつくって、それに向けて女性の育成を急がなければとても26%、27%はいかなかったと思いますので、これまでは女性の活躍が必要だと思った会社が自発的に数値目標をつくって、それに向かって女性の育成を急いだということだと思いますが、これからは先ほど言ったように法律上の義務になりますので、どこの会社でも301人以上の従業員を持っているところはやらなければいけないということになります」

女性の働き方を考える
反町キャスター
「高城さん、先ほど言われた、その30%を達成した企業。10年前から始めているという、そのトップの判断があったところ。それは、たとえば、社会貢献というのか、社会活動としてやったのではないはずですね。それが企業のメリットになるという前提で取り組んだと思うんですけれども、実際に、たとえば、30%を達成した企業の企業業績はどうなのですか?」
高城氏
「営業収益も出ているんですよね。良いですよ。ですから、それは、結果論ではないと思うんですよね。1つは、女性の視点でマネジメントを含めてやっていきたいという意識があったのだと思うんですよ。それがおそらく企業の成長になる重要なポイントだということを」
反町キャスター
「そこまで結果が出ているにもかかわらず、何で日本は進まないのですか?政府は別ですよ。公務員は。私企業のトップだったら、そういうのを見たら、これはやった方がいいのではないかという、これは広がっているのですか?それとも見ながら、うちはそこまでできないね、という。こういう感じですか?」
高城氏
「冷静に考えると、10年間というスパンは以外と長いわけですよ。だいたい企業において言うと経営は2回転しているわけですよね。ですから、おそらくと言っていいんですけれども、現在の代表的な会社というのは当時の経営トップはいないです。ですから、10年後のことを考えて、現在のことではなく、将来のことでやれるかですよね。おそらく最初に採用をする時にはいろんな段取りが大変なわけですね。仕組みづくりも。ですから、そこの部分の入口で、面倒臭いなということで、諦めてしまったそうですね」
岩田氏
「安倍政権になって、経営者のマインドというのは相当、変わっていると思うんですね。従来は、たとえば、女性を差別してはいけない。だから、女性を活用しなさいという、こういう人権的な観点からの議論だった。少子高齢化で労働力人口が減少するので、女性を使わないとまずいのではないですかという労働政策的な議論だったのですが、そういうのは、率直に言って、経営者の気持ちに響かなかったのだと思うんですね。今回は、もっと女性が活躍する。それも質的に活躍するとそれは企業経営にとってプラスになる。日本の経済全体にとっても、それは経済の復興につながるという、この切り口が経営者の胸に届いたというか、ストンと落ちたのだと思います。ですから、まず大手企業。そして、首都圏から、本気で取り組む経営者があらわれまして、それが現在、地方に伝播している感じを私は受けているんです」

女性管理職が増えない理由 若い女性の昇進意識
秋元キャスター
「21世紀職業財団の調査です。若手男女社員に昇進意欲について調べたところ、管理職になりたいという男性が47.9%に対して、女性は14.3%でした。岩田さん、男女でこれだけ差があるというのはなぜでしょうか?」
岩田氏
「差があるのは事実ですね。では、なぜかということを考えたいと思うのですが、私はもちろん、女性の意識の問題もあるかもしれないけれど、上司の問題だったり、会社全体のことだったりするんですね。まず1つ考えられるのは、女性を少なくともこれまでは管理職に育成しようというふうには育成されてこなかった人が圧倒的に多いと。20代もそうです。20代は家庭責任がないので、いくらでも鍛えたらいいのだけれども、現実には、そういう鍛える上司は少ないですね。育児期は特にそうです。育児期もちょっと間違った優しさで、しっかり鍛えないでしょう。そうすると、期待をされる、あるいは鍛えられるという、そういうことがあれば、男女でその差がなく、管理職になりたい人、なりたくない人が出てくると思うんですけれども、管理職になるということを前提に育てられていないというのがまず1つです。期待されて、がんばらない人はいないと思うのですが、期待が必ずしも十分にされていない、あるいは伝わっていない。それから、2つ目は、現在、管理職もプレイングマネージャーで、すごく忙しいですよ。管理職の働き方を見ていて、魅力的ではない。あるいは管理職になると、もっと労働時間が長くなる。そういうことだと子育てをしながらはとてもできないと思うので、管理職を望まないというか、そういう理由とか、さらには、本当に女性管理職が身のまわりにいない女性にとってはイメージができないと言うんです。女性が管理職として、男性、女性の部下をマネージする、統率するというイメージができないと。マネジメントスタイルというのはいろいろあっていいと思うのですが、自分の身のまわりに男性の管理職しかいない。男性の管理職のマネジメントスタイルというのはしばしば女性にとってはちょっと違和感がある。たとえば、俺についてこい的なマネジメントだったり、MBAで習ったような理屈っぽい説得のされ方であったり、ちょっと女性には違和感があるのですが、いろんな女性も含めて、いろんなマネジメントスタイルがあるのだと見せてもらえれば、私はああいうマネージャーになりたいというのが出てくると思うんです。ルールモデルという言葉がよく言われますけれど、ルールモデルは近くにいない人は自分がマネジメントになっていることを想像すらできないという方が未だにいらっしゃるという。それ以外にもたくさん理由はあるかもしれません」
秋元キャスター
「深澤さん、このデータをどのように見ていますか?」
深澤客員教授
「そうですね。まずはなりたいというか、もうそもそもなれるかどうかという当然、含み込みなわけで、女性は当然このような質問をされると考えていないですよね。新卒で入ってくる時に、管理職にする気があるの、と逆に聞きたいわけですね。ただ、むしろこの14.3%は、男性の47.9%よりもよっぽど強い、この14.3%の人達はというのは1つあると思うのですが、ただ、一方では、今年パソナが女性管理職を対象に調査をしたら、半分以上の人が受ける前は心配だったけれども、受けてみたら半分ぐらいの人は受けて良かった。後悔したという人は1割を切ったんです。つまり、受けて良かった。私は個人的にいろんな形で女性管理職にはなった方がいいよと。勧めて失敗だったという人はよほどのブラック企業ぐらいでですね。当然ですけれども、一段上がると、見える景色と、出られる会議と、見られる資料が違うので、会社の仕組みがわかるわけですよね」
高城氏
「前提としてなりたいという人の中から通常、選ぶんですよ、管理職というのは。前提は。ただ、大事なことはなりたい人が必ずしもなれるわけではないわけです。会社としての人事評価とか、適正を見ながら選ぶんですけれども、これだけいれば、この中から管理職候補を選べるんですけれども、1番気になるのは、この(管理職になりたいと思う)女性の比率の中にいる方々ではなくて、管理職になった時に適正な人がいる可能性が高いと。むしろこのあたりにいるのではないかと思うんですよ」
秋元キャスター
「あまりなりたくない方」
高城氏
「特に我々がよくインタビューするとそうですけれども、社内で活躍をしている女性に限って、管理職になると、これまでの仕事を捨てて、新しい仕事に就くという意識があって、それが嫌だという人が多いです。ですから、このミスマッチがあるのではないかというのを非常に懸念しますよね」
反町キャスター
「だって管理職はなりたい人から選ぶんだと言いながら、女性に関して言えば、やりたくない人から引っ張った方が、いい人がいるかもしれないよという、この部分ですよね。これはどう解決していけるのですか。別の言い方をすると、やりたくないけれども、適正があるけれども、やりたくない人に、無理に管理職を押しつけたというか、押しつけているんですよね。押しつけた場合は?」
高城氏
「いや、そういうことではなく、管理職の魅力を会社側が伝えていないですよ」
反町キャスター
「それは育て方の問題?」
高城氏
「そうです」
深澤客員教授
「この10年間、どこの企業に行っても、優秀なのは女子ばかりなんだよねと」
反町キャスター
「採用担当の皆さん、そういうふうに言いますよ」
深澤客員教授
「絶対言うのに、採った、採ったけれども、育てられない。女は辞めるとなっちゃうんですよ。でも、それは自分達が育ってきたやり方を、もう1回応用しようとしているんですよね。ところが、これは女性にも有効ではないし、現在若い男性にも有効ではないです、その自分達が育ってきた方法論というのは。でも、それしか知らないものだから、現在の若いやつらということになってしまうんですけれど。小学校から大学まで男女平等はかなり行き届いているので、だから、本当に女性は会社や社会で初めて知るんですよ。日本って本当に男女が平等ではないんだ。知らなかったということを初めて知るので、そこでかなり梯子が外されてしまうんですね。急に全然違う扱いを受けるわけですよね。会社もまだそこが上手にできていない会社が多過ぎるという。女の子だからねと、久しぶりに言われてしまうわけですよね。大学から会社に入って」
反町キャスター
「高城さん、企業側の意識の問題。育てない。教育しない。チャンスを与えない。結果、早晩そのプロセスの結果、男性社員と女性社員という、ベースのところに大きな乖離が生じて、それがさらに女性を活用しないという流れを、さらに強めているという、これに関する問題意識というのは、日本の企業は持っているのですか?」
高城氏
「持っているのですが、持っているからこそ現在、新卒採用においては男女の数を揃えていこうとか、ある程度、同人数を採ろうという意識になっていますから、入口はたいぶ揃ってきたんですよ。ところが、これが、たとえば、主任とか、係長とか、その上を選ぶ時に、選抜をするわけですよね。そこでなぜか元に戻ってしまうんですよ。それは、我々も謎ですけれども、選抜型研修をよくやるんですね。そうしますと、ほとんどの企業は男性だけを選んでくるんですよ。なぜですか、という質問をすると、それはわからないと言うんですね」
反町キャスター
「採用するのも人事だし、研修担当もだいたい人事ですよね?」
高城氏
「いや、違うんですね。それは直属の上司が選ぶんですよ。人事ではなく、直属の上司の方が誰を選ぼうかと考えた時に、その時に男性を選ぶんですよね」
秋元キャスター
「何でなのですかね?」
岩田氏
「私がいます21世紀職業財団で、調査をした、問題意識はどうかというと、現在まさにおっしゃったように、採用の時にあれだけ優秀だった女性達も、目がキラキラして、いやー、素敵な女性達だなという女性達が、だんだんどんよりしてくるんですよ。それは30代になって起こるのだったら、ある意味、子育てが大変だろうからとか、理由がわかるのですが、私がある会社で調査をしたところ、採用時点では女性の方が優秀だという会社が、5年で、5年でですよ、逆転しているんですよ。20代の後半で逆転する、評価が。男性と女性どちらが優秀ですかという評価が逆転しているんです。それはどうしてなのだろうと思ってやったのが、この調査ですよ。それで、1つだけ言うとすると、人を育てるというのは、私は仕事体験を通じて、それだけと言ってもいいぐらいだと思うんですけれども、期待のかけ方、仕事の与え方が若手女性と若手男性では違うんですね。上司とか、人事部が違うんです」
反町キャスター
「大学生に世論調査をすると専業主婦になりたい人が増えているというデータが、うちの番組でも何回か使ったことがあるんですけれど、これは女子大生の保守化というふうにザクッと言ってしまうんですけれども、それはどういうふうに受け止めたらいいのですか?その流れがもし本当だとすれば、結果がこうなるのも、さもありなんという。別にしょうがないのではないの、女性自ら選んだ道でしょうというふうに、この見方は間違いですか?」
深澤客員教授
「そうです。我々は、まさに男女雇用機会均等法世代ですね。その時には、女性は希望を持ったんです。やっと自分達が大学で経済や法律を学んだことが活かせるのではないか、語学が活かせるのではないかというので、その私達が死屍累々ではないですか。どんどんとダメになっていって、それを見ているわけです。まさに、母の世代です。現在の大学生の母の世代というのは皆、私の母の世代は勤め経験のある母親は少ないですよ。でも、現在の大学生というのは、私の子供世代ですから。そうすると、母親が、逆に中途半端な現実を知っているんです。なので、かえって言葉に重みがあるんですよ。女は会社なんかに行ったって、いいように使われるだけだから、いい旦那さんだけみつければいいのよと。私の母の世代よりももっと説得力があったりするんですね。つまり、保守化というよりも、母親が負け戦をしたがために、それを娘に強く言うというのか、保守ではないですね。むしろ、反動に近い」
反町キャスター
「負け戦の感覚の再生産が現在、日本の社会で起きている?」
深澤客員教授
「そうですよね」

『資生堂ショック』が問う 子育てと就業支援のバランス
秋元キャスター
「資生堂が改革に取り組んだ狙いというのは何だったのでしょうか?」
岩田氏
「資生堂は女性の多い会社で、女性達にしっかり活躍してもらわないと、経営が成り立たないような会社ですね。現在ご紹介いただきましたように、美容職の社員が多い。かつて結婚し、お子さんが生まれると辞めていた。そういう人達がもったいないでしょう、せっかく経験を積んで専門家として育ってきているのに。と言うことで、育児期に仕事を継続してもらいたいということで、育児休業制度を入れたり、短時間勤務制度を入れたりしたんですね。どんどんワーキングマザーが増えてきたわけです、現在1100人くらい美容職で短時間勤務をしている人がいるんです。人数が少なかった時にはわからなかったことが、これだけ短時間勤務する人が増えてきて、ぶつかった問題、わかってきた問題があるんですね。2つありました。1つは、本人の育成という観点からの問題です。成長できるかどうかというのはしっかり仕事体験を積むかどうかということで決まると思うんですね。店頭に立っている美容職にとって、何人のお客様に会って仕事をするか、カウンセリングするか、その経験が大事ですが、ウィークデイの昼間はお客さんが少ないです。お客さんが多いのはウィークデイだと夕方から夜にかけて、土日はお客さんが多いんです。ところが、シフトから免除していると、暇な時間帯だけ店頭にいるという感じになってきて、圧倒的に十分な美容職としての経験というのが残念ながら不十分ということもあった。1つは人材育成の観点ですね。それから、もう1つは、周りへのしわ寄せですよ。シフトから自動的に免除していると、では遅番は誰がやるのか、土日勤務は誰がやるのかというと、短時間勤務をしていない他の社員のシフトの回数が増えるということで、人数が少なかった時は何とか吸収できていたのが、これだけ大きくなってくると、もうそろそろ負担が限界だという、そういう事態になったということです。資生堂としてやったことは、ここはとても大事だと思うのですが、一律でシフトに入れというふうにしているわけではないんですよ。上司が1人1人丁寧に面談をして、それぞれの個人の事情に応じて、どういう形だったらシフトに入れるか。たとえば、月に何回とか、週に何回とかということで検討してほしいと問題提起をして、女性の美容職の社員は家に帰ってまず夫と相談して、夫にどれくらい保育園の迎えを頼めるのかとか、あるいは実家のお母さんとか、ご近所の方とか、自分がどういう体制をつくれるのかということを検討して、また会社の方に報告してもらって、あなたは何回お願いできますね、というふうにしていったというのが昨年の4月ですね。ところが、今年の秋になってマスコミ報道を通じて、それを受け止めた女性達は、売上げ至上主義のために女性の子育て支援策を後退させたと。厳しくなったと受け止めて、労働強化というのか。これまでは子育て支援のためにシフトを免除していたのに、それが後退したと受け止められたのだと思うんですね。それが資生堂ショックというふうに呼ばれているのですが、私は資生堂ショックの本当の意味でのショックというのは、女性の活躍について先進的な企業ですよ、自分で言うのもおかしいんですけれど、資生堂は先進的企業の1つなので、先進企業だから先ほど言ったようなことにぶち当たったわけですね。どこの企業も、どの業界もシフト制を持っているようなところで、女性が増えていくと、ワーキングマザーが増えていくるとまったく同じ問題が出てくると思いますし、シフト制ではなくても、たとえば、残業が一般的なそういう職場で、短時間勤務をする人とか、残業ができない育児中の女性とかがどんどん増えていくと、周りにしわ寄せがいったりして、似たような問題が起こってくると思うんですね。その時にそれをどうやって乗り越えるかということを、資生堂は1つのやり方を世の中に問題提起をした。女性が子育てをしながら子育て支援の先にあるものは何なのかということを世の中が気がついた、資生堂の事例で。そういう意味のショックというのが本当の意味での…」

女性登用の目標7%に 女性の働き方を考える
秋元キャスター
「女性管理職を増やすためには何から手をつけたらいいのか」
深澤客員教授
「実は、日本の女性政策は男女雇用機会均等法とか、男女共同参画とか、女性活躍ですとか、一億総活躍とか、何でこういうフワッとした言葉が出るのかというと、男女平等というシンプルな言葉を使いたくないんですね。男女平等という言葉を使わないために手を変え、品を変え、いろんな言い方をしているんです。男女平等でいいのですが、何か嫌だなと皆、思っているんですね。おじさん達は何か女の人に怒られると思っているんですけれども、男女平等というのは女性のためではないですよ。男性も楽になるんですということを覚えていただきたいということと、一億総活躍については、一億総活躍国民会議の民間議員の菊地桃子さんがソーシャルインクルージョンの方がいいとおっしゃって、これも社会的包括という意味ですけれども、カタカタではわかりにくいので、とてもいい概念なので、私は一億総活躍に代わる翻訳を考えたんですね。それは一億無排除社会です。つまり、総活躍はどんな人でも鞭打って活躍し、活躍しない人は役に立たないということですね。そうではないです。子育て中だったり、介護だったり、あるいは自分が鬱だったり、癌だったり、どんな人達にも必ず社会にコミットできる部分があるんですね。無排除ということが大事なので、実は子育ての女性を放っておくこと、あるいは女性を管理職にしないということも排除ですよ。排除しないということがすごく重要なので、女性の問題を絶対矮小化しないということが大事だと思っています」
岩田氏
「女性の管理職をつくるために、大事なことは2つです。1つは育児期に辞めない、仕事が続くという、それをどういうふうに支援できるかということですね。もう1つは、単に仕事が続けば管理職になれるという問題ではないでしょう。成長して、実力をつけて、それを公平に評価してもらって、登用するという。だから、これをキャリアアップと仮に呼ぶとすると、仕事の継続とキャリアアップが大事だと思うんですね。その仕事の継続とキャリアアップのことを考えた時に、現在の日本の企業で何が1番大きな障害かと整理をすると、私は長時間労働だと思うんですよ。これは明らかに高度経済成長期の意識の名残ですよ。その当時は長く働けば働くほど、モノをたくさんつくればつくるほど、売れたという、長く働くことは会社に貢献していることという、そういうことだったんです。それから、高度経済成長期に初めて日本で専業主婦世帯がマジョリティになったんです。専業主婦世帯だと、家のことは妻がやってくれる、男性は何時間でも職場にいて、がんばれるという、この時はこの時で結構それなりに調和していたと思うんですけれども、それから、時代はどんどん変わり、たとえば、長く働けば働くほど会社に貢献できるなんてとんでもない、むしろどうやって世の中にない新しいアイデアを出していくかという、それが成長の原泉になっているでしょう。そういうことも違ってきているし、専業主婦世帯ではなくても現在は共働き世帯がマジョリティですよ。そういうことを考えると、現在の働き方の価値観、長く働くのが当たり前、長く働いている人は会社に貢献しているという、それは昔のしっぽがずっと引いていると感じがするので、そこを変えるという。残業はゼロにはならないと思います。臨時的なこととか、一時的なこと、だけれど、普段は残業がないという、これが当たり前という、そういう社会になれば、極端なことを言ったら、他に何もしなくても女性はもっと活躍できる、管理職が当たり前のように増えると思います」
高城氏
「やりがいと成長実感がある状態をつくるのは重要だと思うんですね。そのためには、働き方の選択肢を広げることがすごく重要ですよ。ただ、さらに重要なのは、それを積極的に選べるということですね。どうしても企業側というのは、1つの軸になる仕組みをつくって、それを端っこにつくるんですよ。専門職制度というのは昔からあったのですが、例外的な方が働く仕事で、中心に総合職を置くんですよね。そうではなく、たとえば、時間とか、場所とか、いくつかの切り口の中で自分が何をしたいのかということと、会社の期待をうまくあわせていく中で、積極的に仕事の働き方が選べるような状態をつくっていくことが重要なことではないかなと思うんですよね」

岩田喜美枝 21世紀職業財団会長の提言:『働き方改革』
岩田氏
「先ほどもお話しましたけど、働き方改革ということで、これは2つありまして、1つは、長時間労働をなくす。残業がないというのを当たり前にするということです。もう1つは、いかに働き方の選択肢を多様なものが準備できるかという、そこが本当に根源だと思うんですね。そこが直れば女性は活躍します。放っておいても活躍します」

高城幸司 セレブレイン社長の提言:『選択型にて』
高城氏
「選択するということは自分で考えなければいけないですね。管理職になりたいと考えている男性も選択しなければいけないということ。自分の人生を深く考える機会をつくることで、活躍できる機会ができると思いますね」

深澤真紀 淑徳大学客員教授の提言:『女だけの問題にしない』
深澤客員教授
「何度も言っていますけれど、こういう問題は女だけの問題ではないよと、結局は働き方全体(の問題)。日本の将来のために現在手をつけないと日本が大変なことになります。あとは、このテーマがどうしてあまり取り上げられないかというと、日本の報道機関は女性がすごく少ないです。女性の管理職、女性の役員、もちろん、フジテレビにだって女性役員はいないと思いますし、そうすると、実は報道機関ほど女性をどんどん登用していかなければいけないというのもあるんですけれども、とにかく女の問題をやっているなと、もしかしたら今日ご覧になっている方は思ったかもしれませんけれども、これは社会の問題です。女の問題は全ての問題だということです」