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2015年12月18日(金)
ななつ星から地方創生 石破大臣×JR九州会長

ゲスト

石破茂
地方創生担当大臣 自由民主党衆議院議員
唐池恒二
JR九州代表取締役会長

『ななつ星』に学ぶ地方創生
松村キャスター
「『ななつ星in九州』ですが、コースは博多から長崎、大分を周る1泊2日のコース。博多から大分、宮崎、鹿児島など、九州を1周する3泊4日のコースがあります。料金は40万円から140万円とちょっと高めですが、それでも、抽選倍率は、平均で33倍。最高で316倍という部屋もありました。これまで延べ5548人が乗車。そのうち、外国人は645人。1割以上となっています。2014年度の売上げは5億円でした。私は2年前に取材で乗ったことがあるんですけれど、その時、本当に豪華で、きれいで、感動して、あと細かいところまでもてなしの心が行き届いていて、まさに究極の贅沢を味わったわけですが、利用者からはどのような声が寄せられますか?」
唐池氏
「たくさんのお手紙を、乗られたお客様からいただくのですけれども、ほとんど、感激したとか、感動したとか、人生で最高の旅だったとか、大変お褒めをいただくお手紙をいただいて…」
松村キャスター
「涙する方も多いということですけれども」
唐池氏
「乗られたお客様はそうですね、ほぼ全員が3泊4日、あるいは1泊2日の中で、1度や2度は涙を流されます。私達がびっくりしたのが、乗られたお客様以外に沿線から手を振っていただいている地元の人達、あるいは駅のホームでななつ星を見送っていただく人達。その人達の中にも3人か4人に1人は見るだけで涙されますね」
松村キャスター
「それだけ特別なものと存在ということですね」
唐池氏
「ななつ星、私は魔力を持っている列車だと思いますね」
松村キャスター
「石破さんも、ななつ星に乗車したことがあるということですが」
石破地方創生担当相
「某テレビ局の取材で乗せていただいて。もちろん、数時間乗っただけですが、そこで唐池会長や水戸岡さんとお話させていただき、世界一の列車をつくるのだという、その執念。世界一でなければダメだという執念ですよね。これが形になったのが、この列車だということ。こんなに素敵な時間があったんだ。こんなにおいしいものがあったんだ。こんなに素敵な場所があったんだという。それは皆、発見なわけですよ。これがななつ星という装置でしょうね」
反町キャスター
「先ほどの、近隣の通過する時の住民の人達が手を振ってくれるとかね。社員の人達は、僕なんか自動車メーカーの例で考えたんですけれども、工場で、自動車、町の工場で働いている人達が、たとえば、F1をつくる工場があると。そこに行って徹底的にトップのサービス、クオリティを感じたあと、現場に戻る。その繰り返しをすることによって、会社全体の士気が上がるというケースがありますよ。ななつ星というのはJR九州の中においてどういう役割を果たしていますか?」
唐池氏
「ななつ星をつくる時に、ななつ星に直接関わるスタッフは、30人、40人ぐらいですよね。ただ、ななつ星が走る線路。まずななつ星が走りやすいようにきちんと手入れをしよう。あるいは小さな話ですけれども、ローカル線で行きますと、森の中を走りますから、夏になると枝が伸びるんですね。その伐採もきめ細かくしていこうと。線路も乗り心地の良いように手当をしていこうとか。そういったことで駅自身もサービスのレベルを、ななつ星が走るのだからもっと高めようとか。そういう空気が社内全体に及びましてね。だから、ななつ星に直接携わらなくても、自分達のそれぞれの部門、部門で、ななつ星を支えているのだという、そういう誇りが社員の中で湧き上ってきましたね」
反町キャスター
「現在の効果について、石破さん、どう感じますか?地方創生を考えるうえで何かコアとなるもの、それが広がっていく、広がりについて、1つのモデルケースになるのかどうか?」
石破地方創生担当相
「JR九州の列車に乗ってみたいなというのがあるわけです。ななつ星はダイヤ改正ごとに停まる駅が変わったりしますのでね。そうすると、今度、うちに停まってというのがあるわけですよね。だから、地域の競争になるわけですよ。今度、うちに停まってほしいと。地方創生というのは、どうせうちのところなんかダメだよと言っているところに人なんか来るわけがない。うちって、こんなに素敵だよ。来て、来てというところでないと、人は来ないですよね。ななつ星が停まること自体が大変なステイタス。そこにモノが乗るということは大変なステイタスです。だから、乗った人が感涙にむせぶというのはもちろん、ヨーロッパに行くのもいいでしょうよ。アメリカに行くのもいいでしょうよ。だけど、日本語が通じて、日本の習慣が通じて、こんな良いところがいっぱいあったのに知らなかったねということが、たくさんある。そこで感動することによって、良かったよ、良かったよということを人に伝えると、また、お客さんが来る。もう1回乗ってみようと思うのと、もう2度と行きたくないというのと全然違いますよね。もう1回乗ってみたいよねという人、これはリピート率が高いですよ。ななつ星ってね。よそからもっと人が来てもらえる。リピートによって、またお客さんが増える。そういう良い循環が生まれているのでしょうね、ななつ星は」

鉄道事業の未来予想図
松村キャスター
「ここで、2014年度の決算について、JR九州と北海道、四国について比較をしました。それぞれ連結の鉄道事業とその他の事業の売上げ。営業費用のグラフをこのように並べています。JR北海道やJR四国については売上げよりも営業費用がかさんでいるため赤字となっています。JR九州については、鉄道事業よりもその他の事業の方が上まわっていて、結果、営業費用を上まわっているんですよね。このところ黒字になっています。唐池さん、このグラフを見ますと、鉄道事業以外で利益を確保することが必要になってくるということでしょうか?」
唐池氏
「そうですね。私ども約4割が鉄道の売上げ、6割が鉄道以外の売上げということになっていまして。ただ、28年前にJR九州が発足したころは、鉄道の比率が7割ぐらいいっていましたね。7割だったのを現在4割までシェアを縮めたと言いますか、他の部分の売上げを増やしたのですけれども、そうかと言って、鉄道の売上げが落ちたかというと、途中で九州新幹線を開業しましたし、実は鉄道自体の売上げも28年前のJR九州発足時の1069億円から、昨年の1450億円まで、300億円以上伸ばしているんですけれども、それ以上に鉄道以外も伸ばしてきたんですね。一緒になって、鉄道と鉄道以外の事業が一緒になって、九州の街づくりをしていこうということを掲げまして、鉄道でできる街づくりの部分と、鉄道以外でやっていける街づくりの部分と、組み合わせで街づくり、石破大臣がいらっしゃいますけれども、地方創生のお手伝いをしたいなという気持ちですね」

鉄道事業と地方創生
松村キャスター
「地方鉄道に関する気になるデータがあります。2000年度以降、採算がとれないとの理由で、鉄軌道路線が廃止されるという事例が相次いでいるんですね。地域鉄道の現状を見ますと、2012年3月までに全国で35路線、673.7km廃止になっているんです。石破さん、この現状をどう見ていますか?」
石破地方創生担当相
「それは、いみじくもおっしゃられたように採算が取れないという話です。ですけども、高速道路でさえ、採算がとれているところがどれぐらいあるのだろうと。ましてや料金をとらないで、普通に走っている国道で採算がとれるか、とれないからと、採算がとれないからこの道路廃止という話は、私は、寡聞にして、聞いたことがないですよね。何で鉄道は採算ということが言われて、道路は言われないのでしょう。先ほど来、JR北海道の話が出ているけれども、鉄道の脇に高速道路を走らせたら、それは鉄道に乗る人いなくなりますよ。そこにおいていったい地域における鉄道の役割、自動車の役割、飛行機の役割、船の役割。それっていったい何だろうねということを、経済がどんどん伸びている時、人口がどんどん増えている時は、あれも、これもというのがあってもいいのでしょうけれども、経済が低成長で、人口が当面減るという時に社会インフラ、公共交通インフラをどうするのが1番効率的で、人々の生活に寄与するのでしょうねということは、もう1回、考えないといけないのだろうと思いますね」
唐池氏
「現在、JR九州を見ても、28年前、実は国鉄からJR九州になった時には、九州、ほとんどの線区が赤字線区ですよね。私達はどうしたかというと列車本数を増やしました。新しい駅を60も70もこの20年間でつくりました。どんどん設備投資もしました。ダイヤも便利にしました。スピードアップもしました。そうすると、28年前ほとんど全線区赤字状態の線区のなかで、かなり黒字線区が増えてきたんですよね。やれば、できる部分がまだまだ残っているのだろうなと。それが実感としてわかったわけですよ。若干の、各社、現在地図で見た通り線区が廃止されている部分もありますけれども、私どもは廃止線区ないんですけれども。これからもたぶんやりようによってはきちんと維持できるのではないかと思っていますし、3年ほど前に、熊本の麻生地区の線路が集中豪雨と土砂崩れでズタズタになりまして、1年間、実は運行をストップしたんです。1年の間にきちんと線路をつくり直して1年後に再開をしたんですけれど、その時、地元の方の歓迎ぶり、感激ぶり、待っていましたという盛り上がりが本当に、現在でも残っていまして、心に。このように九州の鉄道は皆さんから愛されているのだなと。あの時、実感しましたね。これは何としてでも、交通のネットワークという形では、私どもも維持していこうと決意をしたところですね」
反町キャスター
「唐池さん、JR九州のビジネスモデル。4割が鉄道売上げで残りがその他事業の売上げということでいうと、その他事業というのは流通、住宅、諸々含め、いろんなことをやっていらっしゃると思うんですけれどもね。人口減少社会における鉄道事業の将来ビジネスモデルみたいなもの。どのように考えていますか?」
唐池氏
「鉄道は街づくりと共に歩んできた歴史ですよね。私鉄がそうですよね。人口の減少は確かに止め難い大きな流れですよ。ただ、鉄道の沿線で捉えると、それほど落ち込まないです、実は。もともと歴史的に人口が集まったところを中心に鉄道が走っていますから。人口が大幅に落ちていくのは、申し訳ないですけれども、山間部とか、そういったところが、鉄道からちょっと遠いところがかなり落ちるんです。この20年間、30年間で5割落ちるところもあります。それはたまたま鉄道があまり走っていないところが多いですよね。鉄道の沿線だけで見ると、これほどの減少率ではないです。都心も走っていますし、鉄道の駅の周りには人家が張りついていますし、住みついていただいています。だから、これほどの減少はない。実は、私ども1番頭が痛いことはですけれども、ここ数年、ローカル線で、お客様が減ってきたかというと、この3年、4年で見ると、実は増えてきたわけです、ローカル線も」
反町キャスター
「利用者数がですね」
唐池氏
「はい。人口は確かに減っているのですが、たとえば、学校も統廃合されますよ。小学校、中学校、高校なんか。そうすると、移動が出てくるんですよ。さらに今度、鉄道沿線に人が出て、集まってくるようになるんですよね。鉄道というのはやりようによっては街づくりをうまく組み合わせていけば、鉄道の周りはそんなに人口は減らず、いわゆるコンパクトシティのラインができあがっていくのではないかと。それを目指して、私達は、鉄道とそれ以外の分野で街づくりを進めていこうという戦略に変えたんです」

『或る列車』と地方創生
松村キャスター
「JR九州は、ななつ星に続いて『或る列車』という豪華スイーツ列車の運行を今年8月から開始しました。或る列車は、豪華な室内装飾と有名シェフが監修し、地元の食材を使ったスイーツコースが非常に人気で、料金は2万円からとなっています。総工費はおよそ6億円ということです。8月から10月までは、大分、日田間を。11月から来年の3月までは、長崎、佐世保間を2時間半かけて走ります。九州の魅力を堪能できるということです。唐池さん、この名前も非常に印象に残るんですけれど、或る列車はなぜ誕生したのでしょうか?」
唐池氏
「私どもは、楽しい、おしゃれな、いわゆる観光列車を、デザイン&ストーリー列車と呼んでいます。九州に10本あるんですけれども。何を大事にするかと言いますと、水戸岡鋭治さんによる列車のデザイン。もう1つは、その列車に備わった、あるいは地域に伝わる物語を大切にしたい。デザインと物語を体現したのがこのデザイン&ストーリー列車だということで、或る列車という名前だけでも1900年頃、100年ぐらい前に幻の列車となった、その物語が蘇ってくるんですね。それだけでも物語ができているのではないかということで、では、それに世界の成澤シェフにお願いをして、スイーツと軽食を提供していただいて、その組み合わせで、大分と長崎という、その離れた地域を3か月ごとに交互に走らせることによって実は競争が生まれまして。大分の人は長崎に負けてはいられないと。大分の人は大分で採れたおいしいフルーツを使ってもらいたいとか、あるいは野菜を使ってほしいとか、ここの観光地を重点的に紹介をしたいとか、売り込みに来られます。一方では、長崎は長崎でここの窓から見る夕日の素晴らしさは日本一だとかね。そういう売り込みがある。大分に負けていられないということで、それぞれ、すごくレベルの高い商品の提供とか、素材の提供をしていただくようになりました。それが良い意味で、本当にレベルアップとなって、それが成澤シェフによって、食の部分はそれぞれの地域の1番おいしいものを寄せ集めて、レシピをつくっていただいたということです」
松村キャスター
「2時間半で2万円と決して安くはないと思うんですけれど、人気の秘訣はどこなのでしょうか?秘密は」
唐池氏
「ななつ星というイメージが、或る列車につながったということ。それと昔からの鉄道ファンの中には或る列車という存在をご存知の方も結構いらっしゃって。そういった郷愁のようなものと組み合わさって、或る列車が1つの物語としてできあがって、その物語に触れたい、あるいは近くに行きたいと、そういう気持ちで申し込まれているのではないのでしょうか」
反町キャスター
「1編成2両だけですか?これは」
唐池氏
「そうですね」
反町キャスター
「しかも、これは来年3月までは決まっていて、来年の3月以降はどこを走るのですか?」
唐池氏
「また、順番に」
反町キャスター:
「また、日田に戻る」
唐池氏
「大分を、日田に戻って、2、3か月走って。そのあと、また、長崎に戻そうと思っています」

『或る列車』と地域性
松村キャスター
「スイーツ列車ということで、この或る列車で提供されているお料理やスイーツですが、いちごなどのフルーツや野菜、魚など九州の食材を使用していますね。唐池さん、このような試み、どこまで地元経済に効果をもたらしていますか?」
唐池氏
「大臣がいつもおっしゃるんですけれども、経済的効果というのは、もちろん、あるんですよ。もちろん、あるんですけれども、地方創生で大事なことは、経済的効果は当然ですけれども、それと共に、その地域の人達が地域にいること、住むことの誇りを感じること。あるいは自信を持つこと。それが地方創生の、経済とは別のもう1つ大きな柱ではないかという気がします。そういう意味で、世界に発信する列車に、九州の特産物を乗せていただくということは、乗せていただく農家の方、生産者の方にとっても、誇りに感じていただいているようですよね。九州、自分達の住んでいるところは何て良いところなのだろうと。そういう自信とか、誇りが湧きあがってきているんですよね。或る列車も、ななつ星も、そういうものを醸成してきているのではないのかなと思いますね」
反町キャスター
「唐池さん、ななつ星にしても、或る列車にしても、プロジェクトに対して、たとえば、国からの財政支援はないですか?JR九州だけでやっているのですか?」
唐池氏
「もちろん、ないです」
反町キャスター
「僕はそこを石破さんに聞きたいのですが、たとえば、或る列車にしても、その地域間の競争を発生させる。なおかつその地域にはある程度出しているところ、走っている地域におけるプライドみたいなものもくすぐるみたいな形。つまり、鉄道事業を越えた1つのプロジェクトになっているとすれば、地方創生という立場からした時に、これを一企業に任せておくようなものなのか。それを、たとえば、政府が関与するのかは知りませんが、もしかしたらもっと唐池さんが望んでいるような関与ではなく、規制緩和なのかもしれない、僕はわからないですが。国としてこういったものに対する関わり方というのはどうあるべきだと感じていますか?」
石破地方創生担当相
「日本国中で、地方創生というのかな、アクティブに動いている人達が異口同音に言うのは、補助金をもらったらダメになると。補助金をもらっちゃったら事業が事業でなくなると。どうやって採算をとろうとか、どうやってお金を返そうかとか、そういうマインドがどんどん減退をしていって、補助金をもらったらダメだと、ビジネスは。そうおっしゃる方は多いですね。そこにおいて、良い野菜をつくろうとか、良い果物をつくろうだとか。でも、なかなか規模の拡大もできない。品種の改良もできない。あるいは水の手当てもできないというようなところに、たとえば、基盤整備、土地改良。そういうものを使ってマインドがきちんと活きるような、そういうような整備はします、必要なものは。ですけれども、こういう鉄道ビジネスに国がお金を出すということは、そんなに良いことだとは思わないですね」

鉄道事業とインバウンド
松村キャスター
「安倍首相の発言で『観光立国をどんどん進めることは確実に地方創生につながっていく。そのためにも、日本の地方と地方を、新幹線をはじめとした交通網でしっかりとつないでいく。まさに“地方創生回廊”を完備する必要がある』という、この総理の発言、いかがですか?」
石破地方創生担当相
「人口は当面減るわけですね、どんなにがんばっても。移住というものを進めることによっても、人口全体が増えるわけではありません。人口が減るのを何とか最小限に止めようとは思っていますけれど。そうすると、外から来てくださるお客様、それがお金を落としてくださるということに、これまで日本は貪欲であったかというと、決して貪欲ではなかったですね。外国からどうやってお客様に来ていただきましょうか、中国から来るお客様には中国に向いた、そういうような対応があるのでしょうよ。中国のお客様のニーズというのは買い物と食べ物ですから。では、アメリカやオセアニア、ヨーロッパから来るお客様は別に買い物をしたいわけではないし、ラーメン食べたいわけでもないし、そういうお客様は何を望んでいらっしゃるかというと、日本の伝統であり、文化であり、芸術であり、自然なわけですね。どのお客様にターゲットを絞って、どのような商品を提供するかというのは別に考えなくてもこれまでは団体さんいらっしゃいみたいなことで、旅行会社さんがボーンと何十人、何百人の団体客を入れて、それでまわっていたわけですね。それが流行らなくなりました、個人旅行の時代であります。個人旅行に完全に対応できないままインバウンドの時代になっちゃったので、外国の方がおいでになる時にいろんな夢を持っておいでになるわけです。来て、これは違うのではないのと思われたら困るわけで、総理が言っているように交通網でしっかりとつないでいくと同時に、そこに来たら、フランスの方だったらフランス語が通じますか?オーストラリアの方だったら、英語が?スペインの方がいらっしゃったら、スペイン語が通じますか?イスラムの方が来られたら、イスラムの方々に合ったようなハラール処理を施した料理を出せますかというのをすごくきめ細かにやらないと人は来ないですよね。だから、鉄道網交通網と同時に、どの人にどのような対応をするのかということを、これまで考えてこなかったと。エクスキューズとしていいや、いいやと。フランスに世界一お客様が来るのは陸続きでドイツがあるでしょう、スペインあるでしょう、すぐそこがイギリスでしょう、日本周りは皆、海なのよねという話だったんだけれども、現在外国から来るお客様はローコストキャリア、安い飛行機、開港前は開港即閉港と陰口をたたかれた百里空港、茨城空港、現在ここはLCCがバンバン飛んで、1番安い時は、茨城空港から上海まで片道5000円、丸の内までバスでぽっきり500円、ということになると、5500円で行けちゃうわけですよね。そうすると、周りが海だからと言うのはあまり通用しなくなってきたんですね。豪華客船という、昔はお金持ちの乗り物が豪華客船ですよという話だったのが、現在3000人、4000人を運ぶ、あのでっかい船、あれ1泊で2食1万円ぐらいからあるんですね。そうすると、それが3000人、4000人運んで来ますねと。LCCで安いですねということになれば、周りが海だから人が来ないのは当たり前だよねという言い訳は通用しないです。これまでそれを逃げ口上として外国からのお客様をどうやって受け入れるかという貪欲さがやっぱりなかった。それにきちんと対応していけば、お客様はいっぱい来ますよねということではないだろうか。それも数だけではなくて、どれだけお金を落としていただいたかということも同時に指標として重視されなければいかんですよね」
松村キャスター
「インバウンドをどのように取り入れようと考えていますか?」
唐池氏
「私どももインバウンドはこれからの鉄道事業にとっても、あるいは鉄道以外の事業にとっても大事なお客様が増える可能性の最も大きなお客様だと思っています。現実にここ数年、本当に飛躍的に増えてきています。鉄道のお客様も。私達が中国の上海にJR九州の事務所を開きまして、5年前に。九州新幹線とか、日本の新幹線のパンフレットを持って旅行代理店とか、いろいろな企業をまわろうと。まわったら、全然新幹線に関心を示さない。自分達の国に十分ありますから。わざわざ日本の新幹線に関心を持つ必要がないですね。15年前と全然違うんです。ところが、私達のJR九州の誇るデザイン&ストーリー列車のパンフレットをお見せすると、それには感動されるんですよね。これに乗りたいとおっしゃるんですよ。大臣おっしゃるように、時代とともに、また国によっても、日本に来たい動機、目的が違いますから。現在九州に来たいのは新幹線に乗るためではないです。このおしゃれな楽しいデザイン&ストーリー列車が目的の方も多いですよね。実際に私どものデザイン&ストーリー列車の『ゆふいんの森』という列車は平日ですと7割は外国人です」

政府機関の地方移転
松村キャスター
「政府関係機関の地方移転方針、狙いは何でしょうか?」
石破地方創生担当相
「これは、地方創生という事業を始めるにあたって、東京一極集中を是正するために、企業の本社機能で地方に移せるものは移していただけませんかというお願いを、たとえば、ブルドーザーのコマツさんには、坂根さんという、立派な経営者がおられて、本社を、何も東京の溜池に全部機能を置いとかなければいけないわけではないだろうと。主力工場のある小松に研究部門とか、企画部門は移すべきではないかということで随分移しました。私も行って見てきました。そうすると、たとえば、女性社員の方が同じ女性のコマツ正社員でも、東京の溜池と石川県小松だったら、結婚される率とお子さんが生まれる率をかけあわせると5倍違うとか、いろんなことがあるわけで、民間企業にもそれをお願いしましょうという時に、ちょっと待てと。民間にそう言うのだったら、政府はいったい何なのだと。民間には移れ、移れと言っておきながら、政府が移らないで誰が本気になるのだというね。そういうご指摘があったんです。政府は公平な行政を旨とします。当たりまえですけれど。民間とは違うんです、以上、おしまい。本当にそうかいということですね。30年ぐらい前竹下内閣の時に地方に移転しました。でも、それは東京の首都中枢の土地の値段がガーンと上がっていた時期で、それを抑制するというのが政策目標だったから、みなとみらいとか、大宮とか、そういうのに移ったというのがほとんどでした。今度は地方に移した方がより効果が出るものがありはしませんかということですね。つまり、現場に近いという感覚をだんだんなくしているのではないだろうか。以前と比べてテレワークがすごく発達した。30年前はせいぜいファックスだったではないですか、電話と。でも、現在はテレワークがこれだけ進んだ。新幹線もこれだけ走った。飛行機もこれだけ発達した。テレビ会議も頻繁に行えるようになった。状況が違うわけです。地方に移した方がより現場に近い感覚で、国全体のための仕事ができるものが、ありはしませんかということです」

石破茂 地方創生担当大臣の提言:『モーダルシフトの徹底とハブ&スポーク』
石破地方創生担当相
「つまり、鉄道も飛行機も船もバスもトラックも全部というのは、経済がどんどん成長して、人口が増えている時はそれでも良かったかもしれない。でも、現在の時代になってくると何に鉄道が適しているのだろうとか、どの部分が飛行機だろうとか、どの部分が船だろうかというのをきちんと検証して、交通システム体系をつくっていかないといかんですね。その時に鉄道と自動車というのは、先ほどの鉄道路線の廃止の話もありましたが、何が1番地域のためになるのだろうかということをもう1度モーダルシフトという考え方を徹底するということが大事だと私は思っています。もう1つ、ハブ&スポークというのは、地域がどんどん過疎化していきますが、でも、そこに拠点となるもの、かつて合併前の役場があったところ、そういうところに拠点をつくって、ハブですね。そこから自転車のスポークのようにいろんな線を張っていくことによって、集約するけれど、地域全体は衰退しませんという考え方はとても大事で、その時にでっかいバスが空気を運んで走っていますとか、そういうことでなく、デマンドバス、デマンドタクシー、あるいは無人走行、そういうものを組み合わせて地域におけるハブ&スポーク型の交通を構築してくことによって、地域の衰退を防いでいくと。そういうような考え方を導入していきたいなと思っています」

唐池恒二 JR九州代表取締役会長の提言:『移動手段から観光資源へ』
唐池氏
「鉄道に限った話ですけれども、公共交通と言いながらも。鉄道というとA地点からB地点に行く移動手段。これはもともとの鉄道のあり方ですけれども、それを鉄道に乗ること自体が楽しい、乗ることが目的になる。乗ること、鉄道自体が観光資源になっていくと。それまでは観光資源である観光地に向かう手段が鉄道だったんですけれど、乗ること自体、それ自体が、鉄道自体が観光資源になる。これが特にローカルの公共交通の中ではこの戦略が活きていくのではないかなと思いますね」