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2015年12月9日(水)
第二期安倍政権の3年 官邸主導の力学と功罪

ゲスト

伊吹文明
元衆議院議長 自由民主党衆議院議員
伊藤元重
東京大学大学院経済学研究科教授
柿﨑明二
共同通信社論説委員兼編集委員

検証…安倍政治この3年 『官邸主導』の経済政策
秋元キャスター
「柿﨑さんは著書の中で、安倍総理の経済運営を分析するうえで、国家先導主義という言葉を使っているんですけれども、具体的にどういう部分が国家先導主義なのでしょうか?」
柿﨑氏
「まずこの言葉ですけれども、僕の造語なんです。何でこういう造語をしたかというと、最終的には国家主義に非常に近い状態になる手法をとっている。もっとシステム的に徹底してやっている状態を国家主義と言いますから、それからすれば、国家主義とは言えないので、新たな言葉をつくったというわけですけれども、一番典型的なのは、最近で言うと、わかりやすいのは携帯電話だと思いますので、つまり、値下げしろということですけれども、いろいろそれについて問題があると。その値段の設定の仕方で問題があるということですけれども、国が出ていってやっていくということで。あと振り返りますと、これは第二次内閣で顕著ですけれども、つまり、3年前、賃上げをやりました。政労使会議という会議をつくって、あれは話し合うという形でなっているんですけれども、紙をよく読むと結局は賃上げをしてくれという話ですね。ですから、促すというよりも督促に近い感じで、受け取り方によっては指示になって、結局、それで上がってはいるようですので、その形。それから、最近で言うと、官民対話ということで投資の問題。それから、これは人事。ちょっとわかりにくいかもしれませんが、女性の活躍政策の中で上場企業は少なくとも、役員1人必ず女性を入れてくださいと。言ってみれば、企業の専管事項です、全て。賃金、それから、設備投資、それから、人事というのはあまり国が業界の再編とか、そういう大きな枠組みでは、国が、経産省がもともと経済ですから、やってきましたけれども、ここまで細かくやったというのは、僕は初めてでしたので、それが次から次へと続いたということで、これを何とか説明できないかなということで、こういう言葉を使ったということです。もっと言うと、これは企業ではないんですけれども、もっとはっきりしているのは人口目標です。昨年の6月に閣議決定しましたが、50年後に1億人程度を維持すると。これは最初、目標という形でやっていましたが、そのうち地方創生の中では見通しという言葉になり、最近、また目標を国家意思として掲げて、目標なのでしょうけれど、これが70年ぶりですよね。1941年に、1960年代に1億人にするという、増やすという。今回、減らさないということですけれども、それは国家が初めて、戦後は初めてです、人口目標を立てて、それに向けた法律をつくっていくという手法…」
反町キャスター
「それは、要するに本来のあるべき国の形としては良くないという意味で言っているのですか?」
柿﨑氏
「このやり方を短期的には、僕、長所として、短期的というのも変ですけれども、長所として短期的には、効果はある程度は上げると思います。最終的には目標までいくかどうかは別として。ただ、これを長くやっていくと、いろんなところで、お上が出てきてくださいよというのは、もともと日本が持っている心性ですから、このやり方と次の内閣も、この前、総裁選があって、どなたも手を挙げなかったので、是として次もやっていくとなると、これは期間限定的なやり方だと僕は思います。これをずっと続けていくと結局はかなり国家主義に近くなっちゃって、活力を失って。もう1つは、国民の分裂に、分断という言い方はきついですけれど、分裂につながっていくのではないかと。つまり、国の言うことをきこうという人達と。それは全然悪いことではないですが。それから、いや、それはおかしいのではないかということで、つながっていくと思います。それは、結局は、国の活力を失わせると思います」
反町キャスター
「伊吹さん、いかがですか?」
伊吹氏
「柿﨑さんに反論をするわけではないんだけれども、もう少し歴史的に、大きな流れというのか、うねりみたいなものをよく考えておかないといけないと思うんだけれど、明治維新のあとは、富国強兵で、国民が皆ある方向を向いて、昭和10年頃まで、約70年間やってきたわけでしょう。戦後、アメリカに追いつけ、追い越せというので、大量生産、大量消費が幸せだという価値観で、だいたいこれが70年近く、現在まできて、それが少し行き詰ってきているという感じですね、僕はね。と言うことは、アメリカイズム的な感覚が経営者にも社会にも行き渡っちゃっているから。アベノミクスというものを始めたけど、企業はなるほど、率直に言えば、日銀景気で随分利益が上がっているけれども、それを好循環するためには、賃金にまわすか、ある程度そこそこのことにして、国内で投資をしてくれればいいのだけれど、皆、海外に持っていくと。それは国内の賃金や勤労意欲が低いから仕方のないことだけれども、そういう時に、この経営者の、アメリカイズム的な感覚ではなくて、もう少し日本が大切にしてきたものを考えれば…」
反町キャスター
「労使一体とか、そういう意味で言っていますか?」
伊吹氏
「下請けとか、従業員に配分してくれてもいいのではないかということを言っているわけで、それは国家が介入せざるを得ないと、経営者の矜持とか、モラルとか、日本社会全体が持っている、そういう人間的な温かみとかいうものを、これを第一次安倍内閣の時に、安倍さんは戦後レジームの脱却と言った中に、僕はそういうことが含まれているのではないかという…」
反町キャスター
「美しい国と言っていました」
伊吹氏
「うん、随分第一次安倍内閣の時の安倍さんに僕は期待していたんだけれども」
反町キャスター
「伊藤さん、いかがですか?現在の話は」
伊藤教授
「まず賃上げの話と携帯電話の話を一緒にするのは、ちょっと全然違う話だと思うんです。賃金というのは基本的に市場で決まるから、要するに、政府は何も口を出すなと。あるいは企業がやるがままにやると。ある意味でいうと、1つの市場感ではあるんだけれども、だぶん、そういうことをサポートする経営者はそう多くはないと思うんです。何かというと明らかに我々が言うところのコーディネーション・フェイリアというのが起きているんです。つまり、日本全体として見ると、現在の状態で、デフレ脱却するために賃金が上がっていく方がいいのだけれど、1つ1つの企業の立場に立って見ると、なかなか自分から率先していけないと。そういう時にどうやるかと言うと特にデフレからの脱却にあるから、非常に重要です。日本はそういう手法をやってこなかったかというと、1970年代は、逆の意味で、石油ショックで賃金がやたら上がっちゃって、物価が上がってきて、これが逆の、非常に高いサイクルを開いたものですから。むしろ賃金をあまり上げないでくれと。そうすると、物価にもいくからということで、これは日本の所得政策として、非常に成功例として世界で言われているわけで。ある意味で、ちょうど現在、逆のことをやっているわけです。これがなぜ現在、ここに出てきているかというと、おそらくデフレから脱却をする過程であるという、日本の特殊な時代背景みたいなものがあると思うんですね。そもそも黒田日銀総裁が始めた金融政策も非常に似たところがありまして、期待に訴えかけるという伝統的な手法ではちょっとなかなか説明できないところが実は非常に主役になってきて、そのために、いわゆる非伝統的と言われるようなことをやってきたわけです」
反町キャスター
「それは、たとえば、官民対話とか、そういう?」
伊藤教授
「そうではなくて、インフレーションターゲッティングだとか、あるいは貨幣をずっと増やしていくとか。これは旧来のもうちょっとマーケットの正攻法でやるような、金利を調整するとか、あるいは貨幣水量で調整をするとか、そういうやり方から見たら、とんでもないやり方に見えるんですけれども。ただ、時代が要請をしたと。まったく同じことで、要するに、現在言った分配とかであれば、たとえば、補助金とか、あるいは旧来の方法でやるということもあり得るんですけれど、たぶん、そういうことでできるような状況ではないということだとすると、実はこの賃上げということに、政府がある種、主導的な立場であるというのは、僕は十分にあり得るんだと思います」
反町キャスター
「15年とか、20年とか、続いていたデフレから脱却するためには、多少、政治的な力強さというか、悪く言えば、強引さかもしれない。そういうものがないとできないほどの状況に日本はあったと。もしくは現在もある?」
伊藤教授
「強引かどうかというのは実際に企業の経営者が賃金を上げなければいけないという圧力をどれだけ感じるかということだろうと思うんですけれども。ただ、要するに、ガバメントリーチだということだと思うんですけれども、別に賃金を上げなければ、罰則を加えるとか、そういうことではないと思うので、これは十分現在の、いわゆる柿﨑さんがおっしゃった、今後の経済の中ではあり得る話だろうと思うんです」
反町キャスター
「短期的なものであるべきかどうかという点についてはかがですか?」
伊藤教授
「デフレを脱却して順調に民間、個々の合理的な判断で全体のコンディションがうまくいくような経済になってくれば、そういうことはたぶん必要なくなってくると思うんですけれど。ただ、現在、僕が非常に大事だと思うのはアベノミクスの前半の3年で、非常に大胆な金融緩和をやって、それなりに、デフレからの脱却の1つの道筋がついたんです。これは株価だとか、企業収益だとか、税収とか。ところが、本当の意味でのデフレからの脱却というか、20年の日本の低迷からの脱却ということになってくると、最後は、メインプレイヤーは国民と企業ですね。国民と企業がもっと消費を増やす、あるいは企業の中での賃金が上がっていくことが分配にまわってくるということをやるとすると、ある意味、第二次安倍内閣、第二ステージの中で日銀とは違った形の、いわゆるデフレ脱却の、次のステップが現在、試みられていると。ただ、それが本当に成功するのかどうかということは、初めての試みですから、やってみないとわからないという面はあると思います」
柿﨑氏
「言ってみれば、ある局面の限定的なやり方とおっしゃっていて、たぶん、そう思われていると思うのですが、安倍さんは政労使会議の中で、実は麻生財務大臣が、自分はこのやり方には反対だったのだと。継続も反対をした、というのに対して、安倍総理はこういう慎みをもって国家が関与していくというのが瑞穂の国の市場主義だと、あるいは資本主義だと、本の中にも書かれています。詰まるところ、これまでよりもうちょっと関わっていくということが恒常的なやり方だと安倍総理は考えていると思うんです。となると、僕は話が違うのではないかなと」
反町キャスター
「それは、つまり、安倍内閣が永久に続くわけではないので、次の総理総裁がきた時には、また、変わるという前提で言っていますか?ないしは安倍政権の間に、そういう文化が日本の中に根づいていくことによって、日本がそういうものを是とする、常に。そうなってしまうのではないかと?」
柿﨑氏
「そちらの方です」
反町キャスター
「我々が安倍カラーに染まりきってしまうのではないか、という心配をされている?」
柿﨑氏
「安倍カラーというか、国が出てくるべきだというのは、安倍カラーにとどまりませんから。もともとある心性なので、そこに染まりやすいですよね。こういうやり方をやっていくと」
伊吹氏
「これが、こういうやり方が長く続くかどうかは、安倍さんだから続くかどうかではなくて、むしろ経営者の側の、だから、ブライトな企業とはいったい何だと。配当を高くして、常に株主の方を向いているというのが本当にいいのかと。内部留保のほとんどが海外投資に向かっているというのがいいのか。そのあたりは、第一次安倍内閣の時は、教育基本法を改正して、日本人の価値観を少しずつ変えていこうという根本的な政策から、戦後レジームからの脱却というのを始めようとした。僕はその志は大切にしてもらいたいと思います」
反町キャスター
「その意味で言うと、安倍的政治というものが、長期とか、短期ということではなくて、周りがそうならしめているという部分があるのではないかと、そういう意味ですか?」
伊吹氏
「日本社会全体の価値観とか、だから、そろそろアメリカに追いつけ追い越せ、大量生産、大量消費、利益優先、効率という価値観から少しは新しい価値観を考え出す、考えなければいけない時ではないかと僕は思っているんですけれども」
反町キャスター
「その過渡期にあるということですか?」
伊吹氏
「うん」
反町キャスター
「その過渡期にある時には、現在の安倍さんみたいな強い総理が必要だと。そういうことですか?」
伊吹氏
「いや、それがいいかどうかはわからないけれども、第一次安倍内閣の時の戦後レジームからの脱却という言葉の中には、そういうことは込められていたのではないのでしょうか」
反町キャスター
「伊藤さん、現在の伊吹さんの話はいかがですか?」
伊藤教授
「経済だけに関して見ると、バブルが崩壊して以降、日本は迷走してしまったんだろうと思うんです。ですから、もちろん、その前にもいろいろありましたけれども、戦後の経済復興から、産業のあり方。それがグローバル化、企業展開という形で、ある種、皆さん、同じような方向を見ていた。もちろん、それと同じ方向に皆が行く必要はないと思うんですけれども。ところが、バブルが崩壊して、非常にふらふらしてしまいまして。そういうことに対してかなり不満を持っている人が多いと思うんです。ある国際会議で、ブラックジョークがありまして、世界の政府で、長期のことを考えて行動できるのは中国だけだと。これは非常にブラックジョーク。ですから、そうなりたいと考えているわけではないです。ただ、他方で、そのジョークの裏側にあるのは、多くの国が非常に迷走していると。ところが、たとえば、1番現在象徴的なのは気候変動みたいな問題です。これは30年、50年先を見ていろいろなことを考えていくということになってくると、自由な経済だけに任せたのではダメだし、小手先の、おそらく省エネの政策でできる話ではなくて、大きな方向性を示し、それをコンセントにして政策をやっていくということが求められると思います。そういう問題がいくつかあると思うんです。人口問題は本当に対応可能かはわかりませんけれども、しかし、これももし対応可能な道があるとすると、これも1つの政権でということではなくて、そちらの方向にいけると。そういう意味で、まさにある種の方向みたいなものを、方向自身もちょっと探っていくということで、どこかで決まっているわけではないですけれども、そういう流れができる。でき始めてきているという見方もある。だから、デフレ脱却という意味で申し上げたので、先ほどは。それは確かに、現在の特殊な状況かもしれませんけれども。ただ、実際に我々が直面をしている、現在のこの社会、経済の問題もそういう大きなリーダーシップというか、ある種の方向性みたいなものを意識しながら、政策運営というのを一方で求められているのは事実だと思います」
反町キャスター
「その方向性というのは、もう安倍政権においては決まっているのですか?」
伊藤教授
「いいえ」
反町キャスター
「僕は表面的なことでしかわからないですが、規制改革会議では、規制緩和をやりましょうというのと、官民対話みたいなもので賃上げをしなさいよというふうにグーッと言うのと、それも未だに迷っているのかというふうに…それを迷っていると見るのは間違いなのですか?」
伊藤教授
「いや、よく僕は外国の方に申し上げるんですけれど、安倍内閣、今回の安倍政権が出てくる前は、6年間で6人の総理大臣が出てきましたと。仮にその時々の総理大臣が立派な方としても、これはなかなかコンシステンスというか、一貫性をもってできないわけです。そういう意味では、現在の、安倍内閣ができるかどうかは別として、そのあとチャンスがあるわけで、その中でおそらく政策というのは、現実的にはいろいろなことを試みるわけです。規制緩和をやれば、その中で押せる部分があるのだ。たとえば、ビザを緩和した場合、思ったよりも外国の観光客が来てしまった。これはもちろん、グローバル化にとって大事だと思うんです。だけど、他方で、たとえば、労働市場改革みたいなものが必要なのかもしれないけれども、なかなか生身のいろいろな人間に関わることだから難しいと。そういうことを押したり、引いたりしながら、たぶん方向性を。その中で、常にどちらの方に行くべきなのであろうかということを考えながらやるのが政策運営なのかなと思います」

目標『GDP600兆円』
秋元キャスター
「GDP600兆円という高い達成数値目標を掲げたことについて安倍総理の本気度をどう感じますか?」
伊吹氏
「最初から名目3%と言っているわけですよ。その目標が高すぎるというのがあるんですけれどね。ちょっとテクニカルな話ですけれど、GDP(国内総生産)の定義が今度計算方法が変わるものですから、そこも折り込んで見るとだいたい3%でいくとほぼ600兆円。ですから、600兆円ということを、それは目標ですから、これからどうかということだと思うんですけれども、ただ、そういう中で、国民に届くまさにそういうメッセージは大事だけれども、先ほどからお話し申し上げているのですが、600兆円というのは1つの考え方なのかなと思います」
柿﨑氏
「現在のGDPでいうと、よく引きあいに出てくるのが、池田(勇人)さんの所得倍増(計画)でしたけれども、所得倍増という言葉自体はまた(安倍首相の)お爺ちゃんですけれど、岸(信介)元総理が経済審議会に諮問しているんです。岸さんの政策です。ワーディングも含めて。その時に何があったかというと、あれはかなり達成可能だった、当時から既に。あれを出した時に誰もとてもこれは無理だという話ではなかったんですね。つまり、当時の経済成長、それから、余力を踏まえたうえで、これは達成できるけれども、ワーディング、何があったかと言うと安保で大変なことになりましたので、言ってみれば一億総活躍に近いんですけれども、国民を統合できるような幸せな経済ですから、当時のことですから、ワーディングもつけようということでああなったんですけれど。今回違うのは本当にできるのかという疑問がかなり出てきてしまっているということなので、目標だからと言ってしまうと、公約自体いろんなものが目標だからということになってしまうので、達成できなくてもいいということになってしまいますので、それから、もう1つ言うと、基準が変わりますよね、GDPの。それで言うと達成できるという考え方もあるのかもしれませんけれど。でも、オリンピックは終わってしまいます。3%というのが結局その金メダル100個を取りましょうみたいな、できるの?ということなのかなと思いますけど」
伊藤教授
「600兆円という数字はいざしらずこの相場観は大事だと思うんです。2008年にリーマンショックが起こってから、ずっと4年間ぐらい名目GDPが下がっているわけです、下がり続けているわけですよね。それで、安倍内閣が出てきたら増え続けているわけです。これはさらにもっと言えば、実は消費者物価を見ているとあまり物価が上がってないように見えるんですけれども、石油の価格が下がっているものですから、すごい勢いでデフレデータ、名目GDPが増えているわけです。それでも600兆円まで結構難しい数字だと思いますけれども、ある意味で、方向感として見たら、これが、たとえば、名目GDP目標550兆円ですと、たぶんインパクトが非常に小さいと思います。600兆円をどう見るのかということだと思うんですけれども、日本経済にとっての名目GDPの動きがどうなるのかということ、これを国民が意識することが非常に大事だと思います」

『豊かな国民生活』とは
反町キャスター
「安倍総理が目指す豊かな国民生活。イメージはありますか?」
柿﨑氏
「イメージは実はないのですが、美しい国とか、戦後失った価値観という言い方をしたりとか、それが愛国心だったりになりましたけれども、やはり…」
反町キャスター
「物的なものではない?」
柿﨑氏
「ですから、そこが矛盾を感じるところですけれども。1番、僕はちょっとおやっと思ったのが、この前の税制で、子供NISA(少額投資非課税制度)という、子供にNISAをやらせるのが始まったんですけれども、僕はどうしてもこれが、棚田で皆仲良く田んぼを耕して、誰かがケガをしたら皆で助け合うみたいな、安倍総理は非常に美しいと言っているのですが、それと、子供にNISAを教えるというのはどういうふうな関係になって、どうすればあれが美しいと感じるかというのが、僕には理解できなかったので、財務省の方が聞いたら、これは、総理は嫌いでしょうと言っていました。ですから、疑問があったので聞いたら、この政策は総理ではないですよと。だとしたら、僕は外すべきだったのではないかという気がするので、かなり話題になったんですけれども」

安倍首相『強さ』の背景
秋元キャスター
「安倍首相の強さ、安全保障関連法を成立させましたが」
柿﨑氏
「法案そのものというよりも、強さで言いますと、政治部記者ですので、かなり俗人的な話で言いますと、官房長官を現在の方にしたというのがすごく大きかったと思います。もっと遡ると総裁選。ガチンコの総裁選をやったということが実は基盤をつくっているんだと思います。つまり、力がどこにあるか、番頭さんは誰なのか、懐刀は誰なのか、その人達がやって勝ったとなると、結局、力の形が見えてきますので、政治って、要は、理屈とか、論理で決着つかないところを何とか決めなければいけないですよね。となると、知性、それ以外の胆力、政治力みたいなのを持っているということが、決定するところにいる人の条件になります。それは証明しようがないので、証明するとなると総裁選だったのではないか。それ以外でも危機管理の問題もありますけれど、決定的なのはここが1番大きいのではないかと。もう1つは、野党が分裂しているとか、いろいろありますけれども」

衆参ダブル選挙の可能性
秋元キャスター
「衆参ダブル選挙について」
柿﨑氏
「維新が11月22日に大阪で、Wで勝ちましたので、だから、大阪Wから、衆参Wへと。つまり、一定程度の野党の分裂状態を続けることができたので、可能性はかなり高まったのではないかと思います。もう1つは、共産党と民主党との関係。共産党は国民連合政府というのをくっつけましたよね、選挙協力に。あれをやっている限りは、絶対にくっつかないですよね。オリーブの木と言いますけれども、オリーブの木の肝は、皆が集まるということではなくて、共産党が左翼民主党に変わったからオリーブの木ができたんです。だから、共産党はそのまま他が変わっていくというのならオリーブの木はできない。つまり、選挙協力がなかなか進まないという状況がこのまま続くと、そうすると左の共産、右の維新、真ん中の民主という三分立であれば、やらない手はないと考えなくはないと思いますね。そもそもまったく考えていないということはあり得ないので」

柿﨑明二 共同通信社論説委員兼編集委員の提言:『抑制』
柿﨑氏
「(安倍首相は)非常に正義感といいますか、あるいは責任感が強い方ですので、それに駆られてかなり行き過ぎた部分が出てくる時も見られます。国家指導者ですので、自民党、選挙で戦っている政治家という面プラス国民を統合する立場の国家指導者として抑制的な部分をもうちょっと持っていただけたらなと思います」

伊藤元重 東京大学大学院経済学研究科教授の提言:『一貫性』
伊藤氏
「先ほど申し上げたんですけれど、非常にこの20年、迷走していて、経済の方向性が見えていないということが非常にいろんな問題を起こしてきているので、せっかく長期政権であるということで、一貫性を持って方向性をより明確にしてほしいなと思います」

伊吹文明 元衆議院議長の提言:『この国の 行く末思い 除夜の鐘』
伊吹氏
「お二人のおっしゃったことも大切にしながら、人間のやることですから、賛成、反対いろいろありますよね。だけど、国のことを思ってしっかりやってもらいたいという意味です」