プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2015年12月4日(金)
場外乱闘 露vsトルコ 対『イスラム国』暗雲

ゲスト

城内実
前外務副大臣 自由民主党衆議院議員
内藤正典
同志社大学大学院教授
鶴岡路人
防衛研究所地域研究部米欧ロシア研究室主任研究官

対『イスラム国』次の一手 米・英・仏“真の狙い”は
松村キャスター
「シリアを巡る各国の動きを見ていきます。現在シリア国内ではアサド政権のシリア政府軍、反政府軍、過激派組織『イスラム国』、クルド人組織など各勢力が戦闘を繰り広げています。この各勢力に対する欧米各国の動きや、ロシアの利害が複雑に絡みあっている状況と言われているのですが、鶴岡さん、まずは欧米諸国ですが、この地域への関与の仕方をどのように見ていますか?」
鶴岡氏
「まず初めに指摘しなければいけないのは、ヨーロッパ各国、アメリカを含めてですけれども、現在やっているシリアの空爆というのは、シリアのアサド政権を倒すための空爆ではないです。ですから、シリア内戦に直接介入するということではなく、明確にIS、『イスラム国』に対するものということですよ。2013 年に科学兵器をアサド政権が使った。あれに対する報復、懲罰として計画されていた空爆とは明確に…」
反町キャスター
「もともとは」
鶴岡氏
「アサド政権に対する。しかも、アサド政権の退場を目的としたものでしたけども、今回に関しては、昨年から行われている今回の空爆ですけれども、これは明確にISを対象としたということですので、この全体の中で、どこまでヨーロッパ諸国が本気で内政に介入するかというと、それはちょっと、また、おそらく別の問題ということになるのだと思います」
反町キャスター
「まずフランスは、要するに、今回、現状、矢面に立っているのですが、フランスは本気でIS、『イスラム国』壊滅に向けて動き始めていると。そういう理解をされていますか?」
鶴岡氏
「11月13日のテロを受けて一気に、感情的にスイッチが入ったという部分は確かにあるのだろうと思います。ですから、テロ事件を受けて空爆を強化している。シャルル・ド・ゴールという空母も派遣しているということで、明確に空爆を強化しているわけですけれども、ただ、そうは言っても、どう空爆しても空爆によってISを壊滅に追いやることはできないと。これは皆、わかっているわけです。ですから、現在、空爆を強化していても、ISをそのまま叩き潰して平和がやってくるとは、さすがに誰も思っていないと。もし本当にISを最終的に叩くということであれば、地上軍の投入が必要だと。これも理屈では皆、わかっていると思うんですね。ただ、地上軍を派遣するほどまでの決意というのか、コミットメントはないと」
反町キャスター
「EU条約(リスボン条約)。この文言のところで、特に42条7項の中に、『加盟国がその領域に対する武力侵略の被害国となった場合に、他の加盟国は(国際連合憲章第51条に従って)全ての可能な手段を用いてこれを援助し及び支援する義務を負う』という条文がありますよね。フランスは今回の同時多発テロを受けて、このリスボン条約42条7項を発動させることを各国に求めたという理解でよろしいのですか?」
鶴岡氏
「発動したという言われ方をしましたけれども、これも非常に厄介なことでして…」
反町キャスター
「発動して…。だから、法的なステイタスがよくわからないまま、どういう状況なのか。フランスはこの発動を各国に要請したということになるのですか?」
鶴岡氏
「これは結論から言うと、フランスが発動したんです」
反町キャスター
「フランスが発動すると、42条7項にもとづいて、フランスが、我が国が武力侵略を受けたので、被害国となったので、他の加盟国、EUの加盟国は全ての可能な手段を用いて援助をしてください。義務を負いますよ、と各国に要請をしたということになるわけですか?」
鶴岡氏
「あるいは勝手に求めたということです」
反町キャスター
「それに応えるのかどうか。でも、普通こういう約束だったら、加盟国各国を拘束する力があるはずです」
鶴岡氏
「まさに、そうでして、この文言をどう読んでも加盟国が勝手にやるということですね。実際、行われている」
反町キャスター
「加盟国が勝手に宣言をして、加盟国に協力を求める」
鶴岡氏
「しかも、その協力を求めるのも2国間ベースです。EUは一切、出てこないです」
反町キャスター
「つまり、集団的自衛権の話ではないの?」
鶴岡氏
「これは文言上、まさに集団的自衛権でして、国連憲章第51に言及しているので」
反町キャスター
「集団的自衛権のような文言に表現上なっていて、1国が襲われた、その敵対国に対し、加盟各国が共同で敵対国に対する軍事的な行動を行うということが、この文言ではないのですか?」
鶴岡氏
「共同ではないです」
反町キャスター
「これを支持するのはEU加盟各国。今回で言うならば、ドイツ、イギリスとかですね」
鶴岡氏
「特にシリアに対して軍事的な貢献ができる国。能力的にですね。おそらく相当限られている。フランスも飛行機1機出してもらうために、どこまで努力をするかという問題もありますので、ドイツとイギリスを確保すれば、とりあえず軍事面では目的は達成されたと」
反町キャスター
「もう1つ、アメリカはどうですか?アメリカの、今回のISの空爆に対する本気度をどう見ていますか?空爆、ないし地上軍の派遣を含めての踏み込み方をどう見ていますか?」
鶴岡氏
「最初の話に戻ってしまうのですが、今回の空爆の目的が何かということだと思うんですね、実態面として。また、指導者達も認めていますけれども、ISをそのまま潰す、アサド政権を倒すということではなくて、ISの支配地域をこれ以上広げないようにする。あるいは可能だったら、なるべく小さくしていくと。要するに、ISの力を削ぐ、ある意味、時間稼ぎということだと思いますよ。ですから、その範囲でやると」

ロシア軍機撃墜の実態
松村キャスター
「さて、パリの同時多発テロを受けて、過激派テロ組織『イスラム国』掃討に向けて、欧米とロシアの連携の機運が高まった矢先に起きたのが11月24日、トルコ軍機によるロシア軍機の撃墜でした。撃墜されたロシア機の飛行ルートなのですが、双方の言い分は食い違っています。トルコ側の主張は、トルコの領空に2機が侵入した、としています。5分間に10回の警告を与えたうえで撃墜したと、この地点で撃墜をされたとしています。一方、ロシアは、避けたと、入っていないと主張しているんですね。鶴岡さん、このように真っ向から主張が対立しているのですが、撃墜を巡る両国の主張については、いかがでしょう?」
鶴岡氏
「トルコが主張しているルートですね、これは一応、アメリカやNATO(北大西洋条約機構)を共有して、アメリカやNATOも受け入れていると。しかも、アメリカは、独自のレーダー解析をやって、同じような結論に達していると言われています。ですから、入ったのは、おそらく確実だろうと思います。どうして入ったのかというところですが、10月に連続してロシア機がトルコの領空に入った事件がありまして、10月上旬だったと思いますが、あの時に相当トルコは強く抗議をしています。駐トルコのロシア大使を呼んだりして、非常に強く抗議をしています。それは抗議プラス警告をしていたと言われています。だから、次にこういうことがあったら、何が起こってもその責任はロシアだよということでして、要するに、撃墜するかもしれないということだと思います。それをどれぐらい、ストレートに言っていたかはわからないですけれど。その後これが起きている。おそらくトルコ側はある程度、待っていた。待っていたというのは、来てほしいという意味ではなくて、次に領空侵犯されたら、ただではおかないぞという姿勢を示すためには、領空侵犯されたあとにスクランブルしても間に合いませんので。この小さなところを通った、通らないという話ですから。ですから、ある程度、待ち構えていて落としたのだろうと。おそらくロシア側としてもその警告を10月に受けていますので、領空侵犯するようなことがあったら、もしかしたら撃たれるかもなというのは、軍レベルではわかっていたのだと思います。ですから、トルコは撃ち落とすつもりで撃ち落ちし、ロシアは撃ち落とされる可能性のリスクを背負ってここに行ったということです」
反町キャスター
「リスクを背負ってまで、この出っ張りの部分を横切ると。十何秒間という話もありますね。リスクを背負ってまで通過するほど、心配しなければいけない地域なのですか、ここは。このへんの地域というのはISの地域ですか?ここは」
鶴岡氏
「ISではないから重要…」
反町キャスター
「要するに、本来、空爆の対象でないはずの反アサド、反政府軍の支配地域ですね。そこの地域をしつこく空爆したかったロシアの思惑と、そこを空爆することによって通過するであろうこの地域に対する領空侵犯をしつこく警告をしてきたトルコの思惑の違い。これはどうなるのですか?」
鶴岡氏
「1つ、簡単な説明はトルコ系のトルクメンというのが、反アサドとして…」
反町キャスター
「トルコ系の住民がいる。ロシアはISの支配地域と言うが、こちらの方になってしまうんですけれど、もっと南の方か。全然関係のない地域を飛びまわっていて、ロシアの空軍はISに対する空爆と言いながら、トルコ系住民に空爆を降らせていた。こういうことになるのですか?」
鶴岡氏
「まさに、そうです。しかも、ISがメインターゲットだとも実は言っていないんですね」
内藤教授
「昔から、シリアはロシアの島ですよ、あそこは。ロシアの領土になるんです。私は三十数年前、シリアに留学をしていた、数少ない日本人なのですが、その当時から、まだ当時はソ連ですよ。アサド政権軍側の空軍基地はミサイルの基地があるんですけれど、そこは周りの木を伐り払って、非常に見晴し良くしているんですよ。イスラエルから見えるようにね。見えるようにするというのは、そこにミサイルがあれば、ソ連軍の軍事顧問団がそこにいるのがわかるわけです。イスラエルも当然わかりますよね。そうすると、イスラエルは攻撃することができない。うまい人質ではないですか。そういうことを実は40年に渡って続けているので。ただし、1回だけ、湾岸戦争が起きた時だけ、ちょうどその頃、ソ連が崩壊しますので、シリアは一夜にしてアメリカに寝返ります。あの時に有志連合に入っちゃうわけです。ところが、そのあとロシアは、シリアに基地がありますから、この地中海に面したタルトスの海軍基地を失ったらロシアのプレゼンスは完全に下がっちゃうんです。だって、あとは黒海からイスタンブールの狭いボスポラス海峡を越えて、トルコ人がじっと見つめている中を軍艦が通らなければいけないわけ。そんなバカなことしたくないですよね。と言うことは、現在のバッシャール・アサド氏、息子の世代になってからも、ずっとロシアはとにかくこの基地を大事にしているわけで、何としても、アサド政権にしがみつかなければいけないと。と言うことは、アサド政権に刃向う敵は、ロシアの敵なので、だから、トルクメン人も含めて攻撃をするのは、ロシアは最初から別にISではなくて、反アサド軍の方を叩くのが彼らの支援の本来の目的です」

トルコとロシアの軋轢
反町キャスター
「城内さん、今回のトルコ軍の撃墜事象以降の、ロシアとトルコの外交的な接触の仕方。どんなふうにご覧になっていますか」
城内議員
「相当、経済制裁と、近いものがありますよね。トルコとロシアは非常に人的、あるいは物的交流がすごくある中で、たとえば、ロシア人はトルコの野菜とか、果物に依存して生活しているわけですね。それを止めるとか、その次の段階、天然ガスとか、エネルギーはどうなるのかということも含めて。あと査証免除も停止しているんです。かなり相当、中身のある、ある意味厳しい制裁もかけているんですよね」
内藤教授
「ところが、ロシア側にダメージになるようなのばかり言っているんですよ、現在。これから真冬のロシアなって、生鮮食料品の主たる輸入先はトルコですよ」
鶴岡氏
「ヨーロッパから禁輸しちゃっているので」
内藤教授
「ヨーロッパは禁輸でしょう。ウクライナもあるでしょう。じゃあ、どうなるのですか」
城内議員
「食べる野菜と果物がなくなっている」
内藤教授
「天然ガスは、確かトルコの全輸入量の50%以上はロシアからですよ。ただ、昨日、一昨日、エルドアン大統領はカタールに行っていますよね。いざとなったら、ここからくれと。買いつけに行っていますね。だから、もちろん、トルコはもともとルートを複数に持つようにしているので。それはそれとして、いきなりもし58%を止められてしまったら、もう寒いですから、これは異常なダメージになりますから」
鶴岡氏
「そうすると、ロシアも倒れますから」
内藤教授
「ロシアは売り先がなくなると、今度は」
反町キャスター
「そうか。ヨーロッパには売れない。トルコにも売れなくなったら外貨が入らなくなる」
城内議員
「ロシアが自分で自分の首を絞めるような」

イラク・シリア内の勢力図
反町キャスター
「ISに対する姿勢は、同じNATOと言いながらも、トルコと他の加盟国は全然違いますよね?」
内藤教授
「これはしょうがないです。トルコの国内は95%以上スンニ派のイスラム教徒ですね。別にキリスト教徒なわけでも、無神論者がいるわけでもないですから。ほとんどいませんから。実際に最近行われたアンケートを見ると、ISに対して好ましいと答えている人の数が8%と出ているんですよ。トルコの人口は7600万人ですから。500万人もシンパシーを持った人間がいるということになってしまうんです」
反町キャスター
「ISにね」
内藤教授
「はい。そうすると、実はマレーシアとか、パキスタン、むしろ日本に近い方のアジアにも相当数あるんですよ。そうなると、ISというのは史上例を見ない凶悪なテロ集団です。しかし、テロ集団だから叩けという非常に短絡的な発想だけをしていると、これを潰すことができないです。つまり、周りにシンパシーを持っている人間がいるということは、そこを逆に空爆をされると、シンパシーを持っている集団から、ISの戦闘員が出てきてしまうおそれがある。実際それは既にフランスやドイツやイギリスでも起き得ることで、アメリカでも起き得ることだ。現実に我々は向きあわざるを得ないですね」
反町キャスター
「実際、空爆は効果、成果をあげていると見ていますか?」
内藤教授
「一定のところまであげているのでしょうけれども、しかし、イラク、シリアに合わせて7000回以上の空爆をしてもISは消えないわけですから。その点で効果は非常に限定的だとも言えるわけですね」

テロ『拡散』の懸念
反町キャスター
「一方で、IS自体、この地域に限定をした場合のISの武力というのか、この場合は戦闘力と言った方がいいかもしれませんけれども、それはどう見ていますか?」
内藤教授
「これはかなり落ちていると思います。今回かなり真剣に油田をもし攻撃するなら、油田からの石油収入が主たる収入源であるということは言われていますので、これが断たれれば、わざわざ遠くから戦闘員として馳せ参じる人間の数は明らかに減ります。その点では、抑えられるんです。ところが、既にISは時限爆弾を仕かけちゃったんです、いろんな国に。これがパリのテロが典型的にそうなのですが、パリのテロは、フランスに対する強い憎しみはあまり感じられなかった。その反面、フランスにいるイスラム教徒に対して、お前達、わかっているのか、その不道徳側につくのか、我々側につくのかみたいな二分法で迫っても普通のイスラム教徒はそんなことを聞きはしませんよ。そんなバカげたことを。ところが、テロ後、フランスで何が起きているかを見ると普通のイスラム教徒に対する敵意が高まっちゃっているんですね」
反町キャスター
「誰の敵意が?普通のイスラム教徒に対する」
内藤教授
「フランスに、500万人もいるわけです。既にフランス国民ですよ。彼らに対して、たとえば、スカーフとか、ベールとか、女性が被っていたりすると、フランスではもともと既に罪ですよ、公的な場では。犯罪になってしまう。ところが、別にイスラムのシンボルではないです。体の一部を出すと恥ずかしいと思っているから被っているだけなので、言ってみれば、スカートの丈を短くしろとか、長くしろということを国家が命令しちゃっていることになるんですね、イスラム教徒側からすると。だから、ただでさえ、普通のイスラム教徒は、テロリストになろうなんて思っていません、そういう人達にとっても大変住みにくい国です、あそこは。このテロのあと、ここはフランスだからスカーフをとれと。それは隠したいところを脱げと言っているんですよ。つらいですよね、女性達は。そういう形で追い詰めちゃうと、ISが寄ってくるわけですよ。もちろん、それでも乗りはしないです、ほとんど。(ISの誘いに乗るのは)おそらく現状で1万人に1人ぐらいだろうと思うのですが、若者達の中に」
反町キャスター
「それでも、500人いれば十分ですよ」
内藤教授
「今回(のテロ実行犯が)5人だとしたら、495人テロリストが残ってしまうということになるんですよ。実際に行われていることを見ると、メトロの中で、スカーフを剥ぎとられるとか、お前らテロリストは帰れ、と罵声を浴びることなど、フランスだけではない、ドイツでも、ベルリンでも、アムステルダムでも、どこでもあるんです、これは。長年に渡って調べてきましたから。このままやっていると危ないぞと思ってきたんですね。今回フランスでそういうテロが起きましたけれど、今後ヨーロッパにおいて、それが分断になっていくんですよ。現在は何の悪意もなくスカーフを被っている人達がどこかの瞬間で、ネットや何かから洗脳をされて、こちらの方がいいのだと。『イスラム国』のようなものの方がいいのだというところに、10代の人だったら吸い寄せられないという保障はない。それが非常に危険です」
松村キャスター
「最近はテロの範囲を広げています。『イスラム国』に何か変化があったのでしょうか?」
内藤教授
「これが先ほど言った時限爆弾の1つですけれども、フランチャイズ化が非常に容易です、この組織は。ピザ屋の支店と同じ。アルカイダの9.11のプロフェッショナルな訓練。つまり、飛行機のパイロットを養成したんですよね。長い時間かかりますよね。あれを(ビルに)命中させるというのは本当のプロの仕業です。と同時に、訓練している長い期間、アメリカという国に対する敵意を、憎悪を維持しなければいけない。当然彼らだって罪のない人を殺すということの良心の呵責というのに何回も襲われるはずですが、それを乗り越えてテロリストになるわけです。ところが、今回の場合は酷くインスタントです。銃の乱射だけできればいいだけで、あとは騙して自爆用の、ベストを着せていればできてしまう。その点に戦慄したのですが、非常に怖がらせる効果は大きいにもかかわらず、何の悪意もない市民の命を奪うという凶悪さが大きいにもかかわらず、テロそのものは酷くインスタントだということです。アンカラの自爆テロもそうでしたし、他で起きているものも、要は、メッセージさえ届いて、コーディネーターがいて、実行犯がいればできる形になっている。どうもエジプトは空港で仕かけられたのではないかというようなことが言われています、まだはっきりとはわかりませんけれども、つまり、ISにある意味、共鳴する人間が先ほど1万人に1人と言いましたけれども、実際おそらく世界では15億人もイスラム教徒がいるわけですから、10万人に1人としましょう。それにしても膨大な数が出ちゃうんですよ」
 城内議員
「ISというのは非常にバーチャルな、当初は非常に非現実的な観念のもとで、どんどん若者達を感化さして、発信力がありますから。それで非現実が現実になって、それぞれの人達がある意味、主人公となって、そういう現実化をし、そういうテロに参加するような、外国人の方が多いですよね、1万5000人ぐらいではないですか。ドイツとか、イギリスの国籍を持っている人達が、フランスもそうですけれど、仲間になっていくわけですよね。そういうふうに変質していって現在、ある意味では、もちろん、地上軍が出て行かないと根絶はできないけれども、ある意味、追い詰められていて、外に向かってテロを起こしているのではないかなと私は見ています」

『テロ』と『難民問題』
松村キャスター
「テロリストが難民を装ってEUに入っていた、この事実はヨーロッパではどのように受け止められているのでしょうか?」
鶴岡氏
「そういう可能性自体はずっと前から指摘されていましたし、入国の段階で完全に身元を調べるというのは現実問題として無理なわけですね」
反町キャスター
「ギリシャに入国した時点で?」
鶴岡氏
「ギリシャに入ってしまうと、そこから先はかなりある意味、自由に移動できると。ただ、今回の場合はいろいろと他のところも通っていますけれど、ただ、全部地続きですから、そのフェンスを建てたという話がありますけれど、それも全部建てても、全部を防げるわけではないです。ですから、大陸に入ってしまえば、ある意味、こっちのものというのがあると思います」
内藤教授
「私は夏、トルコにいたんですけれど、私の家の前はエーゲ海ですよ。夜中に難民が上がってくる、私の家に。つまり、下で夜中にボートを待っていたと。ところが、密航業者が騙してボートが来なかった。真っ暗ですから、下は。ここから崖を若いシリア人達が上がってくるんです。トルコ人は言葉ができませんから、私は昔シリアにいたことあるので、アラビア語で聞いたら2年間さまよってここまで来たと。だけど、自分は学生だと。ドイツに行って勉強したい。その繰り返しです。膨大な数です、普通にいるわけで、海岸線はすごく入り組んでいますから。いいですか、シリアとの国境も管理しろ、エーゲ海からの海岸線も守れというのは不可能ですね。たとえば、私のいた町というのは警備艇が2隻しかないので、それで警備しなければいけない海岸線が60km以上あるんですよ。無理です、もう。夜陰に紛れて、彼ら最後は浮き輪で行くとか、ゴムボートでエンジンもついてないやつで行っちゃったので、それでも確かにおっしゃった通りで、(国境まで)10kmしかないです。うまく行けば3時間ぐらいで着くわけ。ところが、ギリシャ側が(警備を)強化したから、ギリシャ側の沿岸警備隊がゴムボート撃っちゃうんです、今度。そうすると、しょうがないから、トルコの漁船が助けに行って、また戻してくる。毎日、毎日、実はそういうニュースを聞いていたんですよ」
松村キャスター
「トルコ約218万人、レバノン約107万人、ヨルダン約63万人、難民が流れ込んでいるという状況です」
内藤教授
「トルコは町という町、現在シリア人で溢れているんですよ。イスタンブールとか、イズミールとか。イズミールは特に目の前にギリシャの島があるんです。トルコが独立した時に目の前の島までギリシャにとられたから、ギリシャ領ですので、だから、小さな亡くなられたお子さんはボドルムというところから目の前のコスという島に行こうとしたのですが、そこは4kmしかない。だから、確かにそこに殺到したんですね。警察も、密航業者に対して止めようとはしたのですが、手に負えないです、まったく。事実上、野放しで出て行っちゃう。もちろん、密航業者の方はこの海岸には今日は警察が来ないから、こっちにしようねみたいなこと言っていましたから、それで出て行っちゃう。そのうち、ギリシャに到達する前に溺れて死ぬと大騒ぎになるから、夜中の3時ぐらいに船頭が一緒に乗って、また別のトルコの海岸に連れて行って、さあ、ここはギリシャだと言って、船頭さんだけがどこかに行っちゃう。そんなのが毎日ありましたよ。その現実が積もり積もって現在の状態があるんですね。しかも、密航業者の半分以上はシリア人自身です。さらに言えば、ここから密航してギリシャに渡り、ギリシャからベルリンにまで行ける人というのは密航業者に1人頭で払った金額は1200ユーロから1500ユーロ、つまり、15万、16万(円)か、20万(円)近いです。彼らは大家族ですからね。7人家族だったら懐に百数十万(円)持っているということですよ。つまり、金持ちです。ドイツは確かに先に手を挙げたけれど、逆に言えば、それだけのお金と、ある程度、学歴も高いでしょう。そういう人達を吸い上げといて、先に手を挙げてとろうというのがドイツの策だったのではないかと、私は逆に思っている」

日本の役割と課題
松村キャスター
「日本には何ができるのでしょうか?資金的な援助でしょうか?」
城内議員
「日本が得意とする、人間の安全保障。まず現に難民及び国内避難民が大量に発生しているわけですから、緊急的な形での人道支援、中長期的には難民の人達も開発に携わっていただくように、JICA(国際協力機構)と何かが連携して、そうした人達に職、人材育成、そういったこともやると。いろんな分野がありますよね。たとえば、健康保険、食料、衛生面、教育面、そこらへんは日本が非常にきめ細かく、民政、ニーズにあった形でやってくということで、これは日本に任せてくださいということです。ただ、8.1億ドルですけれども、特に安倍総理がおっしゃっているのは、過激主義を生み出さない、中東については、キーワードは中庸と。ですから、対症療法も大事なのですが、根本治療としての中庸の精神、特に東南アジアのイスラム教徒は非常に温和というか、穏健ですね。そういった中庸の精神を醸成する、そういった宗教者を招聘するとか、人的交流を進めるとか、そういった分野でもしっかりやっていく必要があると思っています」

内藤正典 同志社大学大学院教授の提言:『共生の幻想』
内藤教授
「これは別にもちろん、『イスラム国』のことではないです。『イスラム国』に行ってしまう人達がどうしてもこれイスラム教徒の間から出るんです。何となく対話できるのではないか、西洋とイスラムの間を、ずっと言ってきましたけれども、そろそろ対話は無理だと、1回やめてもらった方がいい。代わりに、お互いに条件を出しあって、これはやってもいいけれども、これはやらないでくれということを一種の講和条約みたいにして、イスラムとの間に考える時期にきたという意味です。私はずっと共生を説いていたのですが、ここにきて、私は現在こう考えています。心情論的な共生論は役に立たない」

鶴岡路人 防衛研究所主任研究官の提言:『手段と目的』
鶴岡氏
「これは2つ意味がありまして、1つは、目的と手段を混同してはいけないということです。これは混同するケースが多いと。何が目的で何が手段だったのかという関係がおかしくなる。もう1つは、目的に照らした手段をしっかりと常に考えるということだと思います。冒頭に申し上げましたように、空爆にしても、空爆だけで『イスラム国』が倒れるわけはないと。でも、今回空爆を強化して、『イスラム国』が倒れないと、何だ空爆やっても倒れないではないかという声が必ず上がってくるんですね。ですから、その時に常に立ち返るべきは、どういう限定的な目的に対して、どういう手段を発動しているかということなのだと思います」

城内実 前外務副大臣の提言:『対症療法と根本治療』
城内議員
「有志連合による空爆などは対症療法ですけれども、根絶することは非常に難しいと思っています。根本治療は何かと言うと、先ほど申しましたように、緊急的な人道支援ではなくて、もっと中長期的な貧困をなくすとか、そもそもその民主主義というか、民主主義にもいろんな民主主義があると思うんですけれど、統治能力、統治機構をしっかりつくって、体制をしっかりつくって、人材教育をして、まず若者達が希望を持って働けるような、そういうお手伝いというのは、日本は結構得意ですね。技術移転とか、人材開発とか、そういったところに焦点を当てる。両方ですよね、病気も対症療法だけではなくて、体全体の免疫力を高めて、ISのような人達が結局、散らばって、分散してまた帰ってくるのではダメですから、なくすということが大事だと思います」