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2015年11月30日(月)
検証!日本のテロ対策 元警視総監が突く死角

ゲスト

米村敏朗
前内閣危機管理監 元警視総監
黒井文太郎
軍事ジャーナリスト

パリ同時多発テロ なぜ防げなかった?
反町キャスター
「米村さん、情報の分析というものは、『収集』『伝達』『集約』『分析』という段階が大切だという話をされていると、我々は把握しているのですが、今回のフランスのテロ事件を見た時にどこに問題があったのか?」
米村氏
「これはまだ十分、背景の情報が明らかでないので、これだと明確に言えるのかどうかは別として、ポイントは今回のテロリストの中で首謀者とされるアブデルハミド・アバウド。これがまさに首謀者ですよね。これに関する情報をまったくフランスは事前に入手されていなかった。これはフランスの内務大臣も、記者会見で何回も言っていますね。このアバウド容疑者については、欧州のどこからも事前に情報がなかったと。欧州域外の国から、敢えて国の名前はあげていませんけれども、欧州に入ったという情報はテロが起こった3日後の16日に来たということですよね。だから、彼について言えば、ベルギーもそうですし、フランスにとっても最重要な危険人物だったはずです。この情報をフランスとして入手できなかったと。どこかであった情報…」
反町キャスター
「そうすると、ここで言うのだったら、収集の問題…」
米村氏
「収集の問題」
反町キャスター
「そういう話になりますか?」
米村氏
「収集の問題。それから、諸外国にあった情報が、3日遅れで来たと。伝達の問題もありますね。集約の問題というのは、その先にあって、たとえば、欧州に入ってきた時にどうするのかといった時に様々な情報を集めていってどこが狙われているかということの対応も必要だと思うんですけれども。まず今回は収集と伝達において、言葉はすごくきついのですが、私も実はインテリジェンスの仕事をやりましたけれども、ここまで言うと非常に厳しいかもわからないけれど、インテリジェンスの敗北だと思いますね」
反町キャスター
「それはフランスのインテリジェンス、情報機関の敗北という意味ですか?」
米村氏
「いや、フランスだけではなくて、欧州全体の…」
反町キャスター
「なぜフランスで起きたテロが欧州全体の失敗だというような受け止め方になるのですか?」
米村氏
「結局テロリストの活動というのは国境がないですよ。テロリストに国境がないわけで、1国の情報だけではとても、いわゆるテロに対応するということは難しいと。ですから、欧州全体、あるいは欧州域外の国も含め、グローバルなインテリジェンス、いわば収集と伝達、あるいは集約がないと画は描けないし、対抗する手段はできなかっただろうなと思いますね」
反町キャスター
「黒井さん、いかがですか?ヨーロッパ全体の失敗、敗北だという米村さんの指摘は?」
黒井氏
「今回の件に関して言うと、入ってくるのをキャッチするのは非常に難しいので、警備当局が、アバウドというのは、とにかくウォンテッドNo.1ぐらいの重要人物なのですが、それのバックアップの人脈がベルギーにありますから。そこに対する日頃からの監視体制が少し弱かったのだろうなと思うんですね」
反町キャスター
「それは、でも、フランスの責任になるのですか?」
黒井氏
「協力してやります、ベルギーと、もちろん。ですから、どちらかと言うとフランス側の治安当局が、主導権を持ってやるオペレーションになると思うんですけれども。それは情報を掴んで、シリアで彼が行方不明になったのは確かですから空爆の目標ぐらいに考えていたんですけれども、どうも見つからないということですから」
反町キャスター
「空爆の目標になっていた人物が、実はパリにいて、テロを起こしたという話ですか?」
黒井氏
「はい。それは割と直前に、いわゆる難民ルートで入って来たらしいという情報になっていますけれども、入って来たら、必ずバックアップ、人脈が動きますから。それをキャッチするというのがセオリーとしては必要ですけれども、これができていなかった。なぜかと言うと、私の考えでは、おそらく網のかけ方が雑で、広すぎる。おそらく数千人規模の監視対象になりますから、その中で、アバウドの行方が掴めないのだったら、彼の人脈というのを重点的に調べようではないかというところまでいっていなかったのかなという気がしますね」
秋元キャスター
「フランスというのは、こういうインテリジェンスの能力が高い方ですか?ヨーロッパでは」
米村氏
「高いです。これはインテリジェンスの失敗だと申し上げましたけれども、フランスのインテリジェンス機関の能力は高いですね、はっきり申し上げて。それにしてはということですね。欧州全体のインテリジェンスの協力問題ももちろん、重要です」
反町キャスター
「それは、たとえば、EU(欧州連合)の問題として、シェンゲン協定というのがあって、EU加盟国のどこかの1国に、第3国から入国した場合には、域内の移動は自由だというのがありますよね」
米村氏
「そうです」
反町キャスター
「これはテロリストにとってみれば…」
米村氏
「それは非常にテロリストにとってみれば有利な環境ですよね。要するに、テロリスト自体、国境がないわけですから。しかも、国境検問がないということになるとテロリストを追いかけるのはいかに難しいかという部分は確かにあります」

海外でのテロ 日本人犠牲者を出さない方策
秋元キャスター
「今年1月、イラク、シリアの難民支援や過激派組織『イスラム国』と対峙する周辺各国に向けて、総額2億ドル程度の支援を表明した日本に対して、『イスラム国』は、機関誌は、このように安倍晋三の愚行により全ての日本国民とその権益はいまやあらゆる場所で、カリフの兵士や支援者達の標的となったと日本人もテロの対象であることを示唆しているんです。9月に発表された機関紙では、世界中のイスラム教徒に対して、ボスニア、マレーシア、インドネシアにある日本の在外公館を標的にしたテロ攻撃を呼びかけているんですね。米村さん、この日本人旅行者ですとか、現地に住んでいる日本人がテロに巻き込まれないためにはどういうことが必要だと考えていますか?」
米村氏
「今回のようなソフトターゲットを狙ったテロについて言えば、欧州にいる日本人の方も当然、そういうところを利用する可能性があるわけですよね、当然のことながら。そうすると、基本的に言うと、インテリジェンスがないと対応のしようがないなというのが私の実感ですね」

テロ対策のポイント 『インテリジェンス』
反町キャスター
「インテリジェンスと言いましたけれども、日本語に訳すと情報ですよね。インフォメーションというのも情報ですよね」
米村氏
「うん」
反町キャスター
「そのインテリジェンスというのは、この場合で言うと、どういう意味だと我々は理解をしたらよろしいのですか?」
米村氏
「インテリジェンスというのは情報もしくは諜報と言ってもいいかと思うのですが、例えて言うと、フランスの場合も、米国の場合も、通信傍受をやっていますね。膨大な量をやっています、はっきり申し上げて。そこから分析をしてというのもありますが、そういうものも含めて、インテリジェンス、諜報という意味では、そこが入ってきますね」
反町キャスター
「そういうインテリジェンスがないと、日本人旅行者、現地在住の日本人を守ることができないという、こういう話ですか?」
米村氏
「警戒してくれとか、ということを言ううえにおいても、なかなかそこは非常に難しいかもわからないですね」
反町キャスター
「では、日本は事実上できないということではないですか?」
米村氏
「それは外国の機関とできるだけパイプをつくって、情報集約をしながら、日本人に対して警戒措置をとっていただくよう、出すか、出さないか。外務省がやっているのは渡航制限の問題とかありますよね。あれも1つのやり方だと思うのですが」
反町キャスター
「いわゆる今日、話を聞く中で、テロを未然に防ぐにはどうしたらいいのかという話の中で、言われたのは、いわば情報というか、リスクを公表して、皆危ないから、あそこには行くな。ないしはこちらに来るなということを言うこと自体は、テロを未然に防ぐ方策としては、これは松竹梅と言いませんけれども、比較的テロリスト側の手のひらに乗った対応の仕方とは違うのですか?」
米村氏
「いや、そういうことを考えても仕方ない。テロ対策というのはどこまでいっても最後の目的は事前防止。なぜかと言うと、テロが行われた時の犠牲が計り知れない時に、そうなった時に、テロの本当のリスクがあるのだったら、それは説明をして国民に警戒を呼びかける、あるいは然るべき機関にこうしてほしいと。たとえば、今回は起こったあとですけれども、第2のテロ、第3のテロの可能性がある中で結局はベルギーでは地下鉄を止めるとか、あるいはフランスでも予定をしていたイベントを中止するという対応をとりましたけれど、それはフランス当局にしても、ベルギー当局にしても、テロの危険があるという話をしたうえでの話ですよね」
反町キャスター
「それは、そういう意味でも当然のことですか?」
米村氏
「当然です」
秋元キャスター
「現在の日本はそういう場合ちゃんと国民に公表する体制になっているのですか?テロの危険性がこれだけあるからという…」
米村氏
「ありますよ。それでないと、協力もらえないと思います」

『イスラム国』による 日本国内で起きる可能性
秋元キャスター
「ここからは国内のテロ対策について聞いていきます。米村さん、日本国内で過激派組織『イスラム国』のような組織がテロを起こす可能性をどう見ていますか?」
米村氏
「プライオリティの問題だろうと思うんです、『イスラム国』にとっての。それから、テロを実行するうえでの実行可能性と言いますか、それがどの程度まで、日本の場合にはあり得るかという問題だろうと思うんですね。確かに紹介をされた通り、(『イスラム国』機関誌)DABIQによれば、明らかに日本は国民とその権益の敵で、ターゲットとなったということを言っています。ただ、こういう言い方というのは、これまでにもアルカイダでもありました。日本が十字軍の一員になったと。十字軍というのはインパクトの大きい表現です。まさに即、敵だという話になるんですけれども、それはアルカイダも、ウサマ・ビンラディンも、ザワヒリも言っていたし、それから、今回もそういう言い方をしているということだろうと思いますね。果たしてどれほど日本が彼らにとってプライオリティの高い標的なのかという1つの問題があるんだと思うんです。それから、日本は幸いなことに極東の島国ですよね。『イスラム国』にとってみれば、遠い敵ですよね。近い敵と遠い敵。あるいは日本の国内に潜在的なテロリストも含め、あるいはシリアの帰還兵みたいなものを含めて、どれだけいるかと。まずほとんどいないと思いますね、日本の国内には。そういう点から言うと、先ほど申し上げたプライオリティも他の国に比べれば低いだろうし、あるいは実行可能性という意味でも日本の国内でテロをやるということについてはかなり困難な話だろうなと思いますから、私は正直言って、そんなに高い話ではないだろうなと思います。ただ、オリンピックとか、サミットとなると、そこで何らかのテロを行う効果、反応のことを考えると、彼らにとってみればやれるものならやりたい。1つの機会であろうと思いますから、そこは油断がならないなと思います」
反町キャスター
「オリンピックとか、サミットというとプライオリティ、先ほどの言葉で言うと、プライオリティが上がることになるわけですか?」
米村氏
「上がります」
反町キャスター
「向こうにしてみれば、狙うだけの価値が出てくる?」
米村氏
「それは狙うだけの価値はあります」

日本国内のテロ対策 『水際対策』
反町キャスター
「日本の場合は、入国管理、空港やら、港やら、諸々の入国管理の水際で止める技量、能力というのはどう見ていますか?」
米村氏
「これはあります。あるけれども、さらに高めなければいけないねという話だと思います。入国、いわゆる水際対策というのは、例えて言いますとそこでのチェック方法として現在、政府が是非これをやろうとしているのか。PNR(パッセンジャー・ネーム・レコード)です。PNRというのはパッセンジャー情報です。エアラインのパッセンジャーの情報を事前にもらって、それでチェックをしたうえで、入国審査にそれを厳密にやっていける、使えるようにしましょうと、これは始まったばかりです。欧州はこれがなかなか問題がありまして、EUではそれがEUの域外も含め、そういう情報提供をするのはどうかと言っていますけれど、ただ、この問題はおそらくだいぶ上がっていくだろうと思います。PNRなのか、あるいは外国人については指紋をとっています。現在のところ人差し指2つかな、とっているような状態で、あとは顔写真とか、いろいろなのがありますが、問題はデータベースですよ。データベースがないと照合できませんから。要するに、危険な人物というのがいろんな形でデータベース化される。それによって、照合されることによって、チェックができるわけで、データベースの蓄積というのは1つの課題。それは日本だけでなくて、諸外国との間でデータの蓄積をやろうと」

日本国内のテロ対策 『ソフトターゲット』
秋元キャスター
「安倍総理は先週金曜、東京オリンピック・パラリンピック推進本部で『選手や観客、国民の安心、安全のため、政府を挙げてテロ対策、サイバーセキュリティ対策は万全を尽くします』と。今後のテロ対策を強化していくことを表明しているのですが、パリ同時多発テロでテロリストの標的としたのが警備手薄なコンサート会場、レストランなど、いわゆるソフトターゲットだったわけですけれども、米村さん、ソフトターゲットを守るためというのはどういう方策があるのでしょうか?」
米村氏
「日本の国内でですか?」
反町キャスター
「オリンピックとか、サミット、この場合でいうとサミットです」
米村氏
「オリンピックの期間中に日本を狙う、ソフトターゲットを狙ったテロのリスクは高いという情報がもし入ったとすると、これはなかなか大変ですね。警備はしなければならない、ある程度。だから、ソフトターゲットの警備で、警察がやれる警備というのは見せる警備ですね。警察官をできるだけ配置して、いわゆる相手に対して抑止力を与えるような警備をすべきだと。これはソフトターゲットの数というのは、膨大な数がありますから、それは全部が全部できないかもしれませんが、しかし、ある程度、要するに、警備力の配置をしなければいけないだろうなという形になります」
秋元キャスター
「黒井さんは、日本でテロが起こる可能性をどう見ていますか?」
黒井氏
「こういう機関誌で名前が出ましたので、日本が。そういうのを気にされるのはわかるのですが、たまたま人質案件があったから出てきた話なので、1番、モチベーションとして、テロリストの人達というのはジハードをしたいという、強い熱情がありますから、十字軍に一撃を食らわせたいと。そのために命をかけるんだという熱情がありますので。DABIQをつくっている、『イスラム国』のメディア委員会というところは外国人のスタッフが多いので、ちょっとインテリ志向ですけれども、実際にテロをやる人達は、自分達が命を賭してまでやるからにはそれなりの大きなものをやりたいというのがありますので、日本ということにはなりづらい。もちろん、サミットとか、首脳が来るとか、いうのがあれば、モチベーションは上がるんですけれども、動機はあるんですけれども、おっしゃるように、実行するのはかなり大変なので、それだったら他の十字軍の国でやった方がいいのだろうなと。ただ、だから、ゼロではないです。何があるかわからない、手を変えてくるというのはありますから。ただ、蓋然性としてはあまり大きくないのだろうなと思うんですね」

日本国内のテロ対策 サミット・東京五輪は
秋元キャスター
「東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は、セキュリティ要員について、警察官2万1000人、消防・救急隊員は6000人、海上保安官850人、民間警備員1万4000人、ボランティア9000人、合わせて5万0850人を考えているようですが、この規模で十分対応可能と見ていますか?」
米村氏
「わかりません、はっきり申し上げて。ただ、この数が、正直言って、どういう根拠で出しているのかわからないですけれども、情勢如何だろうなという感じがします。それは、この数でできるか、できないかという問題よりも、いろいろな想像力を働かせたうえで、その対処能力としてどういうやり方をやっていくのかというのを含め、官民連携の中で、警備体制をとっていくべきだろうと思います。たとえば、民間警備員の方1万4000人となっていますが、あるいは機械警備的なものも、この中で加えていかないといけない。たとえば、監視カメラだとか、あるいはパスのあり方とか、そういうものも含めて、計算した時に、最終的にどれぐらいの人数が、人的なパワーとして必要かというのはこれから詰めていく話だろうなと思いますね。警察官の2万1000人というのはかなり大規模な動員ですし、それから、消防もかなりの動員だろうと思う。この間実はイギリスの人達と討論会というか、議論というか、パネル(ディスカッション)があって、そこで言ったんですけれども、イギリスの場合は直前になって民間警備員の数が足らないと言って、ロンドンオリンピック。いきなり軍に変わったんです。私はその時、この話は誰がどう言ったかは言わないことになっていて、中身は引用していいということなのですが、ただ、私のことだから言いますと、我々が理解し難いのは、民間の警備の人と、軍との代替性というのがあるのですかということですね。それぞれのキャラクターが違いますから。ところが、イギリス場合は、会場警護の中まで軍隊を入れたんです。そこは軍に対する1つの認識の違いがあるのと、軍の方からすると、アームド・フォースの方からすると、それは頼まれたと。リクエストがあったと。国民の理解もあったという中で軍を会場警備まで導入したと。確か16日前ぐらいに民間の警備員が足らないということで、その分の代替要因として軍が入っていったということなのですが、日本ではちょっとそこは考えづらいなと思っているんですね」
反町キャスター
「軍に対する意識の違いがそこに出てくるのではないかとこういう意味で言っているわけですよね?」
米村氏
「イギリスはしょっちゅうやっているわけではないと思いますけれど、こういう警備の時に軍を活用するということに対して会場警備まで入ることに対して理解があったのだろうと思うんですね」
反町キャスター
「いかがですか?」
黒井氏
「現実問題として、日本で兵士が警備するというのは現実的ではないので、要は、警察の中でどのぐらい重装備な警察を投入するかという話になるかと思うのですが、それは状況次第ではあると思うんですね。ただ、機動隊を配置しますけれども、中にまでどれだけ機動隊レベルの警官を配置するかとなるとそれも状況次第。危機情報がなければ、それまでは必要ないとは思うんですけれども、何か情報が入ればということですよね」

日本のテロ対策 『国際テロ情報収集ユニット』
秋元キャスター
「政府は国際テロ情報収集ユニットを来月上旬にも設置する方針を示していますが、この新しくできる組織、情報集約という観点で、どんなメリットがあるのでしょうか?」
米村氏
「収集ユニットということですから、情報収集をどうしようかという話ですね。おそらく海外の情報機関とパイプをつくって、アラビア語ができる者も含めて、そことの間での情報のいわばインテリジェンス・オフィッサーをつくって、それを活用していこうということだろうと思うんですね。これ自体は当然のことながら、情報というのは、収集というのはできるだけ多く収集できれば、それにこしたことはないと思っていますから、やるべきだろうと思いますが、問題は海外の情報機関とパイプをつないで情報収集をすると言ってもそう簡単ではないということだと思うんです。実は昔ペルー事件がありました、日本大使公邸が占拠された事件(ペルー日本大使公邸人質事件)で、当時、初っ端な方、私は行きましたけれども、行くに当たって比較的今回いいなと思ったのは、ペルー側の情報収集の対象となる機関の人達について言えば、前々からパイプがあったんですね。私もあったし、外事方も。ところが、行ってみると、我々の知っているカウンターパートが残念ながら公邸で人質になっている。そういう事態だった。アクティングダイレクトが来たのですけれど、それは最初の話はけんもほろろでしたよ。それは相手がどういう人間なのかということがあって、ここは大変難しいと。ですから、情報収集というのは、現在すぐ行って情報をとってこいという形でできる話ではないので、相手との信頼関係も含め、構築しないとできない。それから、収集と言ったって、そこで、相手と対峙・対応をするこちらの人間のセンスという問題もあります。話を聞いていても何が大事で何が大事ではないか、聞いた話はそのまま本人の頭の中で解釈されますから、その解釈が正しい解釈になるような育て方もしなくてはならないということであって、人の問題が1番大きいと。それと、もう1つは、1番大きい問題はコロコロ人を変えるべきではないと。日本の機関、官僚制のある程度通例かもわかりませんけれども、人が変わり過ぎる。インテリジェンスの世界では、私は前々から言っているんですけれど、会う度、会う度にハウ・ドゥ・ユー・ドゥでは話にならない。どう元気か?とか、どうしていた?とか、あるいは家族はどうか?とか、そこまでの話にならないと本当のコミュニケーションはとれないですよ」

日本のテロ対策 情報収集の課題
反町キャスター
「国際テロ情報収集ユニットを立ち上げると言っても他の省庁から往復切符で来るような人ではダメではないですか?」
米村氏
「2年ではとてもとても無理だと思いますね。つくった以上、機能した方がいいねという話で、どうやったら機能できるかという観点から言うと、センスのあるしっかりした人選をしたうえで、長期間にわたってそこでやってもらうと」
反町キャスター
「長期間は5年とか、10年とか」
米村氏
「それぐらい。10年とは言わないけれども」
黒井氏
「本当は専門機関ができれば、形だけでも第一歩ですけれど、この大改革というのは、皆さん総論賛成、各論反対みたいなところがあって、なかなか進まないと。今回のユニットは、それで大事な一歩だと思うんですね。それがうまく機能すれば、官邸も注目してこのチームはいけるぞということになればいくのだろうなと思うんですね。だから、どれだけその人が場数を踏んで、どれだけ経験を積んで、分析も同じです。経験を積んで専門になっていかないといけないので、そういったチャンスを与え、それが、たとえば、本人のマイナスにならないような仕組みがあれば、やりたいという人もどんどん出てくるだろうし、民間の関与もあっていいと思うんですね。いろんなことをやって経験値を積むということですね。ですから、海外の、たとえば、インテリジェンスオフィサーと話する時も30歳過ぎて初めて海外に行きましたという人では話が合わないというのがありますから、それでしたら、バグダッドに2年間いたのだとか、カブールに3年間いたんだというのであれば一目置かれると。そういった経験値を積ませると。今回4か所、出先機関をつくるのは、非常にいいことだと思います」

米村敏朗 前内閣危機管理監の提言:『インテリジェンスのグローバル化』
米村氏
「先ほどから申し上げている通り、テロ対策というのはインテリジェンスが1番重要だと思います。はっきり言って、インテリジェンスなくして、テロ対策はないということだろうと思うんです。水際対策も当然。そのためには日本のインテリジェンスの機能がどこまでグローバル水準にいくかというのが1つの大きなテーマだろうと思いますね。法制面もそうですし、人材の面でもそうですし、形だろうと思うんです。そういう意味で、インテリジェンスのグローバル化というのは、日本のインテリジェンスの最大の課題ではないかなと私は思っています」

軍事ジャーナリスト 黒井文太郎氏の提言:『人材育成』
黒井氏
「人材を育成していくということですね。場数を踏むということが結構大事で、たとえば、海外だけではなくて、国内でも、こういった話、オリンピックとかがあると、いろんな情報が入ってきます。それはほとんどがガセですね。その中でどれが本当かを見いだすというのは職人技と言いますか。ここまで警備をしたら、いけると思うのは、そういうのも職人技と言いますか、それは経験して、1人1人の個人能力を上げていくというのも大切ですから、入れモノとか、形だけではなくて、人を育てる仕組みをつくっていくというのは重要かなと思います」