プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2015年11月26日(木)
1億総活躍へ緊急対策 加藤担当相に秘策は?

ゲスト

加藤勝信
1億総活躍担当大臣 自由民主党衆議院議員
樋口美雄
慶應義塾大学商学部教授 1億総活躍国民会議有識者メンバー

『子育て支援』の緊急対策
秋元キャスター
「加藤さんが担当される1億総活躍社会。これをどう実現していくのかということを聞いていきたいと思うんですけれども、まず安倍政権が掲げる新三本の矢をあらためておさらいしていきます。2020年のGDP600兆円を目指す経済成長。若い世代の男女を対象にした調査から割り出された希望出生率、1人の女性が平均1.8人の子供を出産、子育てできるような環境を整える。現在10万人以上とされる介護を理由に仕事を辞める人をゼロになるように様々な支援を行っていくということですけれども、まずは今日、発表された緊急対策の中での子育て支援について見ていきたいと思います。希望出生率1.8実現に向けてということですけれども、緊急対策として、小規模保育所ですとか、認定こども園、企業内保育所など、保育の受け皿を50万人分拡充するということです。三世代同居の増築支援。さらには不妊治療の助成。これらは緊急対策として盛り込まれました。さらに今後の検討課題としては出産前後の国民年金保険料の免除。非正規雇用労働者の育休取得。さらには新婚生活の住居支援や出会いの場などということですが、こちらはまだ具体的ではないということですけれども、加藤さん、まずはこの受け皿について聞いていきたいと思うのですが、保育施設の拡充50万人分ということですけれども、具体的にどのように進めていかれるのでしょうか?」
加藤1億総活躍担当相
「現在、待機児童解消のプランというのがありまして、平成25年から29年までで40万人分の受け皿をつくろうということでやってきました。それでも、まだ待機児童、増えてきている状況ですから、ここで10万人分をプラスして、待機児童の解消と。まさに預ける場所がないというのは子供を産みながら働こうという想いを持っている方にとっては大変な障害になるわけですから。障害をとっていくという意味においては、まず保育の受け皿をしっかりとつくっていきたいと思っています」
反町キャスター
「たとえば、小規模、認定こども園、企業内保育所と、ここの部分を聞いていきたいのですけど、小規模の保育所というのは、つまり、規制緩和が前提になっている、こういう理解でよろしいですか?どんなものを想定されているのですか?」
加藤1億総活躍担当相
「小規模保育所というのは通常の保育所ですと50人とか、もっといらっしゃる。小さい規模の保育所に対してもいろんな支援を、これまで以上にしていくということで、なかなか都内の場合、大きな保育所をつくれない場合もありますね。そうしたら、小規模なものをむしろ展開することによって、その受け皿をつくっていく。それから、企業内保育所、現在4000近くあると言われているんですけれども、そういったものも現在あるものをもっとうまく活用していく。もちろん、それで増やしていただければ、それでありがたいと思いますけれども。そういった展開の中で、こうした受け皿の拡充をはかっていきたいと思っています」
反町キャスター
「企業内保育所というのを、それぞれの企業がそこで働いている人達のためにつくっているのが主ですよね」
加藤1億総活躍担当相
「基本はそうですけれども、中には隣の会社に勤めている方とも連携をとって、受け入れている、あるいは地域の方を受け入れているところもあります。実際、認可保育所とされているところも中にはあります」
反町キャスター
「僕は別に現在子育てをしているわけではないですけれど、僕が、たとえば、子育てをするとしたら、会社まで子供を連れてきて、保育所に預けるのではなくて、最寄りの駅にあるところに預けたいというのが普通ですよね」
秋元キャスター
「満員電車で子供を一緒に連れて会社に毎日行くというのは、お母さんとしてはちょっとしんどいかなという気がするんですけれども。どうですか?」
加藤1億総活躍担当相
「もちろん、ですから、現在フレックスで、働き方とか、時間をずらして出勤をすることを組み合わせることで、近くにいた方が何かあった時には安心だという方もおられます。それから、中には現在の駅前保育みたいな形で、自分の通勤する途上で預けると。いろんなニーズがありますから、それに応じた対応が必要になってくると思います」
樋口教授
「事情というのは違ってくると思うんです。先ほどのように、通勤、ラッシュアワーというところの問題は大都市の問題。一方で、地方においてはまた車で通勤するというのがあるわけですから。実は今日示されたのはメニューという形で、それぞれの地域が自分のところに適するもの。それを選んでいくというようなことを提示したのだろうと思います」
反町キャスター
「それは決めるのはどこなのですか。自治体が決めるのですか?」
加藤1億総活躍担当相
「最終的には自治体がそれぞれの地域で、分析してこういうことをつくっていこうとしていきますから。あとはうまくこの制度を使っていただく」
反町キャスター
「補助というか、国からの経済的な、ハコをつくっていくにあたっての支援の、具体的な出資割合とか、補助の仕方とか、それはこれからの話になるわけですよね?」
加藤1億総活躍担当相
「基本的には現在でも保育所を、民間の保育所をつくる場合には、助成制度がありますから。それをこの分だけ当然増やしていかないと拡充できないということになりますね」
反町キャスター
「特に、新たに補助枠、助成枠を拡大するということではなくて、1つ、1つに対する助成枠を広げるということではなくて、トータルの50万人分をカバーできるだけの補充枠の増枠?」
加藤1億総活躍担当相
「ですから、量的な拡大もありますし、特にこういったところをもう少し増やしていけるよということに対する現在の助成に比べて、かさ上げしていくというのも含めています。ただ、中身はこれからつくっていかなければいけませんけれども、全てに対して両方というわけではありませんけれども、この50万の枠の拡充に関しては、両方の考え方を持っています」
秋元キャスター
「子育て支援について見ていきたいと思うんですけれど、受け皿づくりが順調に進んだとしても、そこを利用して出産、子育てをする若い世代がどれだけ増えるのかというのが大きな問題だと思うのですが、加藤さん、この点について今後どのような取り組みを進めていかれるのでしょうか?」
加藤1億総活躍担当相
「最初に保育の話で言ったんですけれど、出生率が低下している原因というのは大きく言うと2つに分かれるとありまして、1つは、結婚をしたいけれども、できていないという状況。もう1つは、結婚された夫婦が希望する子供さんを、たとえば、1人は産んだけれども、いろんな状況が整っていないから、本当はもう2人か3人持ちたいけれども、できないという、そういうことがありますので、現在言った、後者の話は保育所の受け皿づくりも1つの方策ですが、まず出会いとか、あるいは結婚に踏み込むための、若い方の雇用の安定とか、待遇とか、そういったことも当然考えていかないと、このターゲットは実現していくことはできないと思います」
反町キャスター
「出産前後の国民年金保険料の免除とか、非正規雇用者の育休取得は、要するに、産業界というか、経営側との話をつけていかなければいけない部分ですよね?」
加藤1億総活躍担当相
「これは保険料の免除は、これは制度の問題でありまして、現在の厚生年金に入っている方は、前後について、こういう対応になっているので、国民年金の方に対して免除をしていくと。免除というのは通常、免除をされた期間は本来の年金に比べて半分になってしまいます。そうではなくてフルに出ますという意味での免除ということを言っています」
反町キャスター
「フル?」
加藤1億総活躍担当相
「フルというのは払っていないですけれども、普通、払えないという申請と、要するに、半分だけ税金が入っていますから税金分だけは将来、年金として支払われると。今回については払っていない保険料を含め、全額が支給できることも想定して議論してきたいと」
反町キャスター
「現在、厚生年金に入っているところは、企業に雇用されている時は、厚生年金と言いましたけれど、厚生年金をきちんとやっている企業、本当に法人数として保障されているかというと、ここの部分も含めると結構、厳しい議論になりませんか?」
加藤1億総活躍担当相
「ですから、一方で、厚生年金に加入すべき対象は決まっているわけですから、そういうところにきちんと入っていただき、もちろん、入っている方からは保険料を徴収し、併せて会社側も負担をしていただくというのを、しっかり厚生労働省が、あるいは年金機構がやるのでしょうが、それに対応していくという話だと思います」
反町キャスター
「非正規雇用労働者の育休取得。これについてはいかがですか?」
加藤1億総活躍担当相
「非正規労働者の方でも一定の仕事をし、それから、育児休暇に入って、出たあとにも、引き続き、辞めないという場合には取れるようには書いてあるのですが、ちょっと書き方がわかりにくいということがあって、なかなか使われていないので、ちょっとその条件をもう少しシンプルにしていこうと。それから、もう1つは、これをあることすら知らない人が多いですね。ですから、非正規だから、そういうのがないのではないかと思っている方がいるので、そういうこともしっかりとPRしていく必要があるのだろうと思います」
反町キャスター
「これは、下品な言い方になると思うんだけれども、雇う側も、非正規労働者というのは、ある意味、忙しい時には雇う。忙しくなくなったら切る。本人が自己都合で辞めるのだったら、それは切ってしまおうと。そういう非常に柔軟な、悪く言えば、非常に厳しい環境に置かれた雇用関係だという意識が一般にはあると思うんですけれども、それを敢えてこういうふうな形で、育休取得も可能だよということ。これは産業側、経営側からは何が反応はないのですか?」
加藤1億総活躍担当相
「いや、もともと制度はありますから、その制度をもう少し使い勝手を良くしていこうということ。それから、現在、雇用情勢が厳しくなっていることがありますけれども、非正規の方でも慣れている方に働き続けていただきたいというニーズは当然、企業側にもあると思いますから。では、一時的には育児休業を取るけれど、また戻ってきていただいて、ある程度、慣れている方が継続してもらえるということは企業側にとってもプラスだと思いますね」
反町キャスター
「現在の日本の労働市場、ないしは会社、企業において可能なものなのかどうか。そこをどう感じていますか?」
樋口教授
「可能なものかどうなのかというより、可能にしていくには何が必要かというところだと思います」
反町キャスター
「そう言うということは、かなり現実厳しい。高いハードルだと言っているように聞こえます」
樋口教授
「現状を考えると厳しい、実態としては。なかなか特に非正規と言ってもいろんなタイプがあるわけで、労働時間の長さによるパートタイマーとフルタイマー。パートですという人もいれば、有期雇用という期間の定められる労働者もいるわけですね。たとえば、期間を定めている労働者というのはなかなか1年を超えて休むと、その期間が切れて終わりだという。そうすると、そこで雇い止めということに至ってきたのが、これまでだと思うんですね。明記されていないと自分はこの後も引き続き続けるつもりだったというようなところが、子供を産んだら今度、それができませんよということになったら、これは少子化というようなところから考えても、非常に大きな問題だろうというところがありますから。企業としてはなかなか受け入れ難いというところもあり得ると思いますが、そこは国がちゃんとそういった姿勢を示していくのだということだろうと思います」
反町キャスター
「出会いの場ですけれど、これは何をするのですか。国が、婚活、要は、お見合いおばさんみたいなことを国が始めるのですか?」
加藤1億総活躍担当相
「国がというよりは、現在、市町村等で、あるいは市町村の中の商工会。商工会議所と市町村が一緒になるとか、いろんなパターンがありますけれども、出会いの場をつくって、そこでその地域の人、その地域に来てもいいと思う人、いろんなパターンがあると思いますが、そういう出会いの場をつくっていくというようなことを、現在やっているわけですね、自治体で。あるいは結婚して、スタートをする時、なかなか住宅取得費とか、いろいろと敷金とか、お金が要りますよね。そういうところを支援するとか、いろんな施策をしていますから。そういった取り組みの中で何でもかんでもというわけにはいきません。それから、出会いの場で、食べたり、飲んだりするところまで税金でいいのかという議論もあると思いますけれども、それ以外の部分について、そういったことを支援し、かつ効果があると。これまでもいろいろと実践してきた中で、あるものについて、そういう施策をしっかり支援していくということを考えていきたいと思います」
反町キャスター
「国が主催をしてお見合いパーティをやるわけではなくて?」
加藤1億総活躍担当相
「国は、直接はやりません」
反町キャスター
「加藤さんが、10人ぐらいずつ並べて、どうよという話ではない?」
加藤1億総活躍担当相
「それは、国としてはやりません」
反町キャスター
「自治体に対して支援をしていく?」
加藤1億総活躍担当相
「自治体がうまくやっている事例に対して、それを支援していくということを考えていきたいと思います」
反町キャスター
「自治体がやる出会いの場。要するに、公設のお見合いみたいなものというのは、僕も、何回か資料を読んだり、見せてもらったりもしたけれども、どうですか?あまり実っていないような印象が。そうでもないですか」
加藤1億総活躍担当相
「正直言って、私も出たことがないんですけれども、いろいろなアンケート調査を見ると、そういう自治体における結婚支援事業で、どんなことをやってほしいかというと、最初にあがってくるのが出会いの場を設定してくれ、という声が出てきていますし、実際、それでうまくいっているところもあるようですね」
反町キャスター
「自治体の長の人気とりのツールになっているような印象はないですか?要するに、選挙活動の一環みたいな。自治体の首長とか、知事がここまでやっているんですよ、私は県民、市民のためにと。そういう印象を僕は受けてしまうんですけれども、そうでもないですか?」
加藤1億総活躍担当相
「これは1回だけではなく、継続をしていかなければいけませんから。そういう意味では、むしろこういう支援をすることによって、自治体により積極的に取り組んでいただくということが必要だと思いますけれども」
樋口教授
「そこはPDCAサイクルが基本的な流れだと思いますよ。やって効果がないのだったらやめるし、逆に、効果があるのだったら、あるいはどのようにやれば効果が出てくるのかというようなことをチェックしていくというようなことが重要だと思います」
反町キャスター
「たとえば、農村だったらお嫁さん来ないので、どうこうというところで一生懸命にやっている部分がある。都市部と郡部とではニーズが違うような気がするんですけれども、そのへんはどうなのですか?」
加藤1億総活躍担当相
「都市部と郡部の違いもあるかもしれません。それから、実際の、民間のこういう会社がありますね。ただ、これは非常に高いですよね、費用が。入会金があるとか、1回あたり、なかなかそれにはちょっと応じられないという方もいらっしゃると思うので、その状況、状況の中で、現在まさに地域の実情に応じて、市町村に展開をしていただくということだと思います」

緊急対策 『介護離職ゼロ』
秋元キャスター
「安倍政権が掲げる新たな3本の矢。続いて、介護離職ゼロに向けての政策について見ていきたいと思うんですけれども、介護を理由に仕事を辞める方々、いわゆる介護離職の現状はこのようになっています。どの世代でも女性が多いですけれども、両親が高齢者となる50代で急増していて、総数では10万人を超えています。このような現状を受けて、今日、明らかにされた緊急対策では、介護離職ゼロに向けて、特養ホームですとか、介護施設、サービス付高齢者向け住宅を拡充したりですとか、都市部の国有地利用や施設に係る規制の緩和などをすることによって、介護関連施設50万人分を拡充するという緊急対策。さらに、もう1つの緊急対策として、介護人材の確保、育成支援というのがあげられました。今後の主な検討項目としては介護休業給付金の引き上げ、介護休業の分割取得など、今後の課題としてあげられています。特養ホームなどの介護関連施設を50万人分増やしていくということですけれども、この政策の重点目標の達成の目途などは、加藤さん、どのように考えていますか?」
加藤1億総活躍担当相
「これは、2020年までに38万人、とりあえず増やしていこうというものを持っていたんですけれども、それに対して、今回、12万人分かさ上げをして、特に今回の介護離職ゼロという問題。それから、他方で、先ほどの保育所と一緒ですが、待機をされている方々もいらっしゃるので、そういったものの解消をはかっていきたいと」
反町キャスター
「ここ数年、安倍政権になってからの社会保障政策というのか、介護、医療に対する基本的な政策というのは、在宅医療、在宅介護が基本であったと僕らは理解しています。それは、いろんな意味において、医療費の削減の目的があるとか、いろんな目的があるにせよ、少なくとも簡単に病院に行く。簡単に施設に入るのではなくて、家でなるべくいろいろなケアサービスなどを受けながら。クオリティオブライフを保持しつつ、在宅医療、在宅介護というのを目指してきたというのが、これまでの安倍政権の社会保障政策だと思っているんですけれども、舵を切ったのですか?」
加藤1億総活躍担当相
「いや、そこはまったく変えていません。だから、基本的には、在宅でできるような在宅の介護を支援するサービスも当然これから活用していかなければいけません。ただ、さりながら、だんだん介護が重たくなってくる。特にアルツハイマー等ですね。そういった症状になってくるとなかなか難しくなって、どうしても施設で、という声もありますから。そういった部分に対して答えていこうというのが今回の対応です。これだけで介護の必要な人。たとえば、要支援、要介護2とか、という人達まで施設にということではまったくなくて、できれば自宅でということを思っている方も多いですから、そういうことをできるだけ支援をし。しかし、どうしても症状の問題、あるいはご家族の問題を含めて、そうした施設でなければならないという人に対してはこういうことを用意していくというのが考えられます」
反町キャスター
「選択の幅を提供すると。こういう理解でよろしいですか?」
加藤1億総活躍担当相
「そうですね。それぞれの個々にとってみれば、そういうことで、ただ、基本的には在宅でと。いよいよ難しくなってくれば、そういった施設等でと。そういう考え方はこれまでとまったく変わっていないということです」
秋元キャスター
「在宅ということになると誰かが家でケアをしなければいけないということですよね。そうすると、それが介護離職になるのではないですか?」
加藤1億総活躍担当相
「いや、ですから、在宅の中でも、たとえば、24時間で対応するようなところもあります。この間、私が見に行ったところも家とテレビ電話みたいな仕組みをつくって、何かあればそこからいっていただくという仕組みもあります。ただ、それはその方がある程度、レスポンスできないと、できませんよね。ですから、それは状況、状況に応じてということですね」
反町キャスター
「今回、50万人分の拡充という、この話が目につくんですけれど、一方、この介護関連に関して、規制緩和などを含めての民間サービスの参入拡大。これについてはどういう議論になりますか?」
加藤1億総活躍担当相
「民間というか、もともと民間も含めて、参入するというのが、介護の世界ですよね」
反町キャスター
「そこの部分は、たとえば、現在いろんな特養までの、フルスペックではないですか?民間の有料老人ホームというのはそこに至るまでのファシリティを全部整えられないところもあるわけですよ」
加藤1億総活躍担当相
「ですから、今回のサービス付高齢者住宅というのは、これは、民間が提供する仕組みですよね。この中でもきちんと、たとえば、サービス付高齢者住宅があり、しかも、そこにこの間、私が見に行ったところは、下に医療機関が入っていたり、介護の施設が入っていたりと。これは24時間ケアしていただけるような仕組みに近いと思いますので、そういったものも含めて、今回拡充をしていこうと。こういうことですね」
樋口教授
「介護の問題も、地域性というのが今後、すごく大きくなってくると思いますね。現在のところは若い人達というのは大都市に多いということで、大都市では逆に高齢者の比率が低いということですけれども。今後を考えると、特に団塊の世代。この人達というのは大都市に地方から出てきて、集団就職してという方達が多いんです。そうなってきますと、大都市における介護というのがますます不足をしてくるというようなことを考えていきますと。その一方で、地方においては確かに高齢者の比率は上がっていく。ただ、地域によっては高齢者も絶対数、人数は減っていくというようなところもあるわけですね。ここに提示をされたのはまさにオールジャパンでどうするかというようなことで、今度はそれぞれの地域が考えていかなくてはいけない問題になってくるのだろうと思いますね」
反町キャスター
「そうすると、国が一律に全国で同じ政策を、網をかけるという前提ではないはずですね。要するに、地域の、それぞれの独自の判断を国が財政面で、ないしは規制緩和でバックアップしていく。やりやすようにやりなさいよと。それぞれの自治体の事情を含めて。そういう前提になっているのですか?今回の建てつけは」
加藤1億総活躍担当相
「もちろん、それもありますが、ただ、現在、都心部でそうした施設が足りないということもあるので、今度は現在国有地を借りる仕組みになっていますけれど、なかなか高いので、その賃料を安くするとか。あるいは現在、自分の持ちものでなければいけないというものを、そうではない形でもいいと、規制緩和を含めて。これは主として、都市部を中心に不足感が出てくる。それに対して対応をしていくことも含めて、パッケージ全体をつくっているということですね」
秋元キャスター
「介護職の離職率、人材確保はどのように」
加藤1億総活躍担当相
「これまでも平均賃金も一般の産業に比べて低いこともあって、何回となく、やりました。27年度からも介護保障の中で、そういった処遇加算というのもつくって、それぞれの施設で対応していただいていると、こういう努力もしてきています。それから、一方で、入って看護師になりたい人を応援していく。それから、1回辞めている方に入って来ていただくということがあります。介護の現場はなかなか労働負担が大変なので、たとえば、ロボットを使うとか、それから、様々な書類とか、結構大変です、そういう事務的な作業も。そういったものはICTを活用する等々で生産性を上げていくというようなことも考えていかなければいけないと思います」
反町キャスター
「なぜ定着率が低く、低賃金のまま、それでなおかつ人手不足なのか。これは介護士も看護師も同じだと思うんですけれども、なぜだと考えますか?」
加藤1億総活躍担当相
「1つは、特に介護の場合は全て介護報酬と絡んできていますから、なかなか自分で自由に設定できない。別途サービスすれば、そこは自分でできますけれども、この介護保険の中に関してはそうはいかないということもあります。ですから、そういう処遇につながる。もう1つ、お話を聞いていると誇りみたいなのも必要だということです。ですから、専門性を持たれている方ですから、それにあった仕事に特化していただいて、そうでないものはまた違う方に補ってもらうとか、そんな仕組み、やり方も必要だろうと思いますね」
反町キャスター
「他の業種と比べた時に賃金が低い。それは介護士も保育士も同じ状況だと思います。そこの部分は、たとえば、介護士の場合には老人ホーム系のところというのは公費がドーンと入って、しかも、経費運営というのはかなりの多くの部分は人件費に割かれているのがほとんどの中で、そういう中で、事実上の公費がほとんど経営の基盤になっているようなところで介護報酬を下げて、先ほどの賃金部分の手当については手を打たれたと言いますけれど、上がっていないですよ、大きくは。そこの部分を、どうやって介護士の待遇を改善していくのか、具体策はどうですか?」
加藤1億総活躍担当相
「上がってないとおっしゃいましたけれど、今回の加算もかなりやっていただいているという報告も上がってきているんですけれども、あともう1つは、現在申し上げた介護報酬と絡む、介護報酬が上がるということは皆さんの負担、介護保険料が上がる、あるいは税金の価格が上がると、こういうつながりになってくるので、もちろん、ある程度はそういうことをお願いしていかなければいけないだろうと思いますが、他方で、生産性をどうやって上げていくのかということを先ほど申し上げましたけれども、結構事務的なことが大変なので、それをICTを使うことによって転嫁していく。あるいは現在、厚労省に出す書類をできるだけ簡素化する。そういった負担を減らすことによって、本来のところにあてる時間を増やしていくことができれば、それは、たとえば、現在10人の方をケアできる。それがもう1人増える、2人増えるということも可能になってくるかもしれません。これはちょっと具体的にこれから詰めていかなければいけないと思いますが、こういったことも含めて、やっていく必要があるのだろうと思います」

『1億総活躍社会』への展望
秋元キャスター
「視聴者からですが、『問題は介護離職ではなく、介護が終わったあとの復職が困難なこと。私自身、父の介護で数年間はほとんど仕事ができず、介護が終わっても元の仕事を取り戻すことができず、新たな仕事を始めようにもそれまでの数年間の収入がないことから融資を受けられず、生活自体が困難な状況に追い込まれました』とのことです。もう1度働き手として社会に出られるために、どういう取り組みをしていくのですか?」
加藤1億総活躍担当相
「基本的には、まさに介護から離職をしてもう1回再就職される、あるいは子育てで仕事を辞めましたと。子供が大きくなったからもう1回正規で働きたい。いくつかのパターンがあると思いますけれども、そういった方に対してまず基本はハローワーク等がありますので、そういったところでマッチングをしていくと。ただ、なかなかそれでうまくいっていないからこういう話が出てくるわけなので、そうすると、そういう方が実際の求人のニーズとマッチングできていないとすれば、マッチングできるような形で、能力開発をやっていただくとか、そういう支援をしていくというのがメニューの中にあります。そういったことをしながら、就職につなげていく。それから、現在のご年齢だとちょっと年齢が高くて難しいという方もいらっしゃると思うので、そういう意味では、高齢者の就労ということをまた促進していく。今回の中にも盛り込ませたけれども、そういった形で企業に対する就労、雇用したことに対する支援といったことも行う中で、そうした高齢者でもう1回再就職したい方も応援していきたいと思います」

どう変わる? 日本人の働き方
反町キャスター
「介護離職ゼロに向けては、いわゆる先ほどの38万人を50万人にするとか、そういうことではなくて、就職意欲を喪失してしまうような中高年者の、労働市場の環境改善の方がよっぽど重要ではないかという印象があるのですが」
加藤1億総活躍担当相
「先ほど言った25歳から33歳、まさに就職氷河期の人達が就職していて、ある意味、引きこもってしまい、労働市場からなかなか離れる方がいますが、そういうことに対してアウトレンジで手を伸ばして、丁寧にいろいろ出てくるところから始まって、非正規で働き、それから正規にいくという、丁寧な移行をしながら、それぞれの方々に働いていただく意思があれば、実現ができる。そういう社会にしていかなければいけないと思いますね」
反町キャスター
「具体策としてはどういうものがあるのですか?」
加藤1億総活躍担当相
「ですから、その状況、状況に、1つ1つに対応していかざるを得ないと思いますので、現在言った若い方々、たとえば、学校を卒業して、就職するという方が多いのですが、その間うまくいかないと、就職戦線から。そうならないように、学校側と、それから、就職を支援するいろいろな組織とつながりながら、落ちないようにそのまま持っていくということは当然、このレベルだと必要だと思います」

『GDP600兆円』への道筋
反町キャスター
「名目GDP(国内総生産)600兆円に向けてと考えた時に、これが1番大切だというのは?」
加藤1億総活躍担当相
「現状を見ると、賃金は春闘で随分上げてきました。それから、雇用も現在人手不足の感じになってきました。ただ、そういうこと自体がまだ消費の拡大につながっていない。それから、企業も史上空前の収益を上げている、あるいは内部留保がある。それが設備投資にまわっていない。消費が拡大し、設備投資が増えなければ、GDPというのは増えない構造になっていますから、まずそれをどういう形で増やしていくのかというのは当面の第一の矢としては非常に重要になっています。そういう意味では、まず賃金が上がっていく基調をつくっていくという意味においてベアの要請であり、最低賃金の議論が出てきます。それから、企業がもっと稼いで投資をしやすい環境で法人税の議論、あるいはさらにそれをどういう形で展開するかという意味において、様々な分野の開発につなげていく。同時に生産性の向上をはかってもらう。そういう流れをつくっていきたいと思っています」
樋口教授
「今回の緊急対策でサブタイトルがついているんです。それは成長と分配の好循環の形成に向けてという、これはすごく新しい考え方だなと。これまで経済成長というと、たとえば、生産性をいかに上げて…というようなところだったわけですけれど、分配のところも非常に重要だというような、たとえば、成長があって企業が収益を上げているのだったら、それが、たとえば、賃金に跳ね返る。そうすることによって、消費も増えてくるでしょう。あるいは企業における設備投資も増やしてくれと。そうすることによって好循環になっていくよと。それがまた成長につながっていくのだということですね。この考え方、私はまさにそうだなと思っていまして、その中で具体的なもので考えると、賃金のところというのは1番気になるところですね。最低賃金の引き上げというのが、今回2020年までに年率3%という加重平均で全国1000円というような数字。これまでもこういったものというのは出てきたのですが、これは、たとえば、賃金格差を縮小するために必要だという議論だけだったと思うんですね。それによって、最低賃金が上がれば、他の賃金にも非正規の人達に波及していくんだというような形ですね。特に人手不足というような、ある意味では、景気の循環、景気の好転による、いいところというのが出てくるわけですから、そういったものをうまく使って、非正規の雇用条件を改善する。正規の方にそれをフィードバックして、そうすることによって消費を拡大できる。需要を拡大していくのだというようなメッセージも入っていて、これは考えるべき秘策だと思っています」

加藤勝信 1億総活躍担当大臣の提言:『挑戦』
加藤1億総活躍担当相
「今回の、1億総活躍実現に向けて、先ほどからありましたGDP600兆円、あるいは希望出生率1.8、あるいは介護離職ゼロ、これはそれぞれなかなか挑戦的な課題であります。そういったものを具体的に実現していく中で、我々は日本の未来を切り拓かないと。ですから、今回の一歩はまずそれに向けての挑戦の一歩だという意味で挑戦と書きました」

樋口美雄 慶應義塾大学商学部教授の提言:『仕事と生活の調和改革』
樋口教授
「育児にしろ、あるいは介護にしろ、離職しなければいけないのはバランス、普段の仕事の長時間労働であるとか、あるいは柔軟性に欠けた働き方しかできないというようなところは問題だと。いろいろ考えて見ると、基本的にあるのはこれですね。ここのところの構造改革というのを進めていかないと、男であろうと、女であろうと、あるいは若かろうと、年をとってからもがんばれるような、そういった社会にならないだろうと思いますので、ここのところを本丸という形で考えていくというようなことが必要なのではないでしょうか」