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2015年11月23日(月)
検証!首脳会議の表裏 テロの脅威と南シナ海

ゲスト

小野寺五典
自由民主党政務調査会長代理 元防衛大臣 衆議院議員
川上高司
拓殖大学海外事情研究所長・教授
興梠一郎
神田外語大学教授

ASEAN、東アジアサミット 日本はアジアで何ができる?
秋元キャスター
「今月に入り、多くの国際会議が開かれています。安倍総理が出席した主な国際会議ですけれども、今月15日から開かれていましたG20 首脳会議。18日~19日にはAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会合がフィリピンで行われて、19日の夜には日米首脳会談も開かれました。21日~22日、ASEAN(東南アジア諸国連合)関連首脳会議、東アジアサミットが開かれました。30日からはパリでCOP21(気候変動枠組条約第21回締約国会議)が行われます。まずは小野寺さん。積極的に国際会議に出席している安倍総理の狙いはどんなところにあるのでしょうか?」
小野寺議員
「これはテロの問題についても、南シナ海の問題についても、現在減速基調にある経済の問題に関しても、また、国際社会で環境問題が大変重要ですので、その問題についても、総理が直接、海外で日本の考え方を伝えるというのは大変重要だと思います」

東アジアサミット閉幕 米中の攻防とは
秋元キャスター
「昨日開かれました東アジアサミットですけれども、議長声明の原案は、このような内容でした。南シナ海における航行の自由の重要性を再確認。中国の埋め立てを含む、最近の動きに対する複数の首脳の深刻な懸念に留意。テロの脅威に総合的に対処する必要性を強調。過激主義につながる潜在的要因を特定。北朝鮮の弾道ミサイル発射に懸念を表明と。議長声明の原案はこのような内容だったんですけれど、閉幕から1日以上経った現在でも、正式な議長声明が発表されていないわけです。文言調整などで、中国とアメリカで激しい攻防があったということですけれども、興梠さん、この状況、どう見ていますか?」
興梠教授
「航行の自由に関しては出せるかもしれませんね。2番目の埋め立てという話になってくると、中国というのが誰でもわかるので、そこは相当抵抗しているかもしれないですね。あと深刻な懸念というのはそのあたりの文言で、当初からたぶん根まわしはいろいろとやったと思うんでしょうけれども、なかなか決まらないのではないですか。中国のASEAN政策は結局、1対1でやりたいんですよね。バラバラにしちゃうと弱いから。束になってかかってこられると困るんですね」
反町キャスター
「今回、東アジアサミットは束になってかかってこられた?」
興梠教授
「束にされちゃったというか」
反町キャスター
「それはアメリカが束にしたということですか?」
興梠教授
「アメリカも日本も今回かなり積極的に。いろんな、おそらく事前の根まわしもあっただろうし、円借款の問題だとか、経済面も絡めて、中国の得意なところでやり返しましたよね、全体的に。ネットワーキングがかなり事前にできている。日本とアメリカが組んで安心感を与えるような形で持っていった感じがあるので、それはASEANと対応する時だけだと全然違うのではないですか」
反町キャスター
「川上さんはいかがですか?議長声明を巡る混乱です。どう見ていますか?」
川上教授
「アメリカはここのところ軍事費削減をやっていまして、5年間で1000億から3000億ドル以上の削減をしていますから、そうしますとアメリカは、どうしても同盟国、もしくは地域に加担してもらって、束になって、中国にヘッジしないと、この地域の覇権を維持できないと」
反町キャスター
「束になってかからないと大変だよと、諸国に言うという前提の話に聞こえるのですが」
川上教授
「言わなくても周辺諸国は重々承知しています。韓国もあっちに転んでいますし、南、東シナ海の諸国もかなり転び始めたと。これは何としてもつなぎ留めないとアメリカの威信にかかわるし、同盟体制にひびが入ると。そういうことだと思いますよね」
反町キャスター
「小野寺さん、この議長声明が揉めている展開。この混乱の状況をどのように見ていますか?」
小野寺議員
「これは中国が相当、危機感を感じているんだと思います。私も何度かこういう国際会議に出ていますが、毎年毎年中国に対するASEANの国の見方が厳しくなっています。一昨年ぐらいまでは比較的、中国に対して遠慮の国が多かったのですが。これはフィリピン、ベトナムはじめ、実はそうだったのですが、昨年ぐらいからは、かなり声を上げ始めまして。おそらく今年の会議は相当、そういう国も声を上げ始めたと。そうすると、中国はだんだん自分がかなりASEANの中でも、悪者としてどうもクローズアップされている雰囲気を肌身で感じているので、それまで議長声明という形で書かれると、完全に中国自身がむしろ中国国内でどういう反発が出るか、そういうことを考えた場合に面子の問題と、それから、国内の世論に対してどう対応するか。その両方で相当この部分について慎重になっていると思います」

中国の提案は
反町キャスター
「東アジアサミットの続きになりますけれども、首脳会談において、李克強首相が東アジアサミットで提案したものというのは、5項目だというふうに中国メディアが報じています。特に、重要なのは②番と④番ですけれども、②番の、直接関係する主権国家は国際法の原則に則り、領土と管轄争議を解決する。直接関係する主権国家というのは、いろいろ問題を持っている国々は1対1で処理しようということだろうと読めます。一方、④番の、域外各国は域内国家が南海の平和と安定を維持する努力を尊重し、地域情勢を緊張させる行動をとらない。つまり、地域内の問題は地域内の国々に処理をするので、外の国は口出しをするなということだと思うんですけれども。まず川上さん、李克強首相の提案する5項目をどういうふうに感じますか?」
川上教授
「これはまったくアメリカの言っている正義ですよね。国際法で言う正義。それに対して、真っ向から対立していることを自ら言ったんだと思います。特にフィリピンは、仲裁裁判所に、国際法に則ってと訴えていますから、これに正義があるわけです。ここで本来でしたら、解決すべきところを、これでは不利だと中国は見ているのでしょう。ですから、それに対して1対1でやろうと。しかも、表面的に国際法の原則に則り、領土管轄権の紛議を解決すると言っていますから、これは1対1で丸め込もうとしているわけです。それから、とにかく④番に至りましては、本当に中国らしいなと思ったんですけれども、平和安定を維持する努力を尊重し、地域情勢を緊張させる行動をとらない。アメリカ及び日本は黙っていろというようなことを言っているわけですね。これは本当に論外だと思います。ただ、アメリカはこれに対して滔々と力ですね。力なき正義は暴力になりますから。それは中国であります。力なき正義は無力になりますから。アメリカはちゃんと12カイリ以内に護衛艦を通して示しているわけですね」
反町キャスター
「李克強さんの5項目の提案というのは、明らかにアメリカを強く意識した、アメリカを排斥するための5項目みたいに見えるわけですか?」
川上教授
「本当にそう見えると思いますけれども、しかし、結構、ロートーンできているのではないかと思うんですよね。つまり、かなりアメリカを正面から敵にまわしてしまうと、非常に南シナ海で自分の立場が悪くなると。しかも、軍事バランスから見て、圧倒的にアメリカの方が有利なわけですね。これに対してどのへんに玉を投げるかということを考えた場合に、いろんなものが国際法の原則に則り、こういう言葉を入れたり、国連海洋法公約を含むという文言を含ませたり。これは、だから、仲裁裁判所で、ちゃんと法的なものに我が国は応じると言っているわけです。言っていながら、至るところで仲裁裁判所が、中国の方は違憲であるというようなことを言っても、中国は従わないということも、透けて見えてくるわけです。従って、④番で受けて、緊張させる行動をとらないと。今回の場合はフィリピンが、アメリカの弁護士を用意してかなり周到な準備で呼んでいますから、それを含めまして、緊張させる行動はとらないと戒めているわけです。ですから、正面からあたってしまったらアメリカにはまだ負ける。しかしながら、時間的なものを稼ぎながら、それはなし崩し的にといった形で解決をしようと。こういうふうに読めるような気がします」
興梠教授
「これは、教科書ですけれども、中国の軍事戦略。まったく同じことが書いてあって、今年の5月、中国政府が出したんですけれども、たとえば、域外国と使っているんです、ここで。どういう問題かというと、最初にアメリカがリバランスで、アジア太平洋に帰ってきていて、日本が同盟関係を強化して、云々であって。その流れの中でいくつかの域外国が、要するに、南シナ海の事務に極力介入していると、いくつか。たぶん日本も入っているかもしれない。その中で、ごく一部の国は、中国に対して海と空から頻繁な接近、偵察を維持している。だから、日本が2つ上で出ていまして、アメリカがごく一部。ですから、出てきたなと思ったんですね。②、③、④は、アメリカ出て行けという話。日本も余計なことをするなと。主語は全部、私とASEANだけの話をしたいんだと。これは中国、得意です。中国対ASEANだとやりやすいんです。特に各国撃破します。中国共産党の戦法ですけれども、兵法ですけれども、自分が1で敵が10の時は、敵の10をバラバラにして、1にしろという」
反町キャスター
「小野寺さん、日本はここでいう域外国家に当たるのですか?」
小野寺議員
「南シナ海に直接影響のある、面している国、ASEANが中心ですが、そこは域内。この域内は浅く、ASEANを意識していると思いますから、そこから他の国が入るのは、これはダメと明確に言っているんだと思います。先ほど、個別撃破のお話があったと思いますが、今月に入って習近平氏自身がベトナムとシンガポールを個別に訪問し、それから、王毅外相がフィリピンを訪問しているということで、実はこの会議の前にそれぞれいろいろ行っていそうなところ、ピシピシと、むしろ首脳級でまわっています。そういう意味では、事前に今回は分断して協議しようということで、既に動きが始まっているので、そういう意味で、中国の戦略というのは先ほど、お話に出たような個別撃破の戦略になるのだと思います。ですから、逆に日本がとる戦略、アメリカがとる戦略というのはむしろまとめて、1つの塊として、私どもとしては中国としっかりあたってほしいと。ASEANは現在1つの共同体になろうとしているわけだから。それに向けて当然ASEANと深い関係がある、日本やアメリカがあと押しをしていく。そういう意味では、私どもとして逆に向こうがやられたくない戦略としては、ASEANがまとまって、中国との交渉。これが本筋なのではないかと」

南シナ海問題 日本の対応は?
秋元キャスター
「東アジアサミットの会見に臨んだ安倍総理ですけれども、アメリカの航行の自由作戦を支持するが、自衛隊が参加することはないと述べているのですけれども」
反町キャスター
「今回の、総理が最初の日米首脳会談のあとというか、記者ブリーフにおいては、派遣を検討すると言う言葉を総理がおっしゃったのではなくて、別の人がこういうやりとりがありましたと。でも、公式なブリーフで言っている発言があって、それと、今回、記者会見の中で、総理がそういったことはありませんと否定をされたと。もともと先の国会で当初、安全保障法制を考えた時に、できるようになったからといってやるものではないです。ただし、こういうことが法律的な建てつけとしてできるようになりましたということがいわば他の国に対する抑止力になる。いつでも我々はやろうと思えばできるんだけれども、そこから先はいろいろ塩梅がありますよ。ただし、本気になってやりますよということが、地域の安定をもたらすために抑止力になるのではないかという議論だというふうに僕は記憶をしているんですけれど、今回の主旨からすれば、総理の当初の発言、状況をいろいろ検討したうえで派遣を検討するという発言をもし本当に言ったのであれば、撤回する必要はなくて、そのまま残しておいても、抑止力の効果で言えばアリの話だったのではないかと。こういう見方はないですか?」
小野寺議員
「今回の平和安全法制で変わった部分というのは、あくまでも日本の問題として、たとえば、航行の自由が妨げられるとか、シーレーンが大変になる、様々なことで、日本に影響が出てくることがまず前提となりますね。現在、南シナ海で起きている議論について、それが日本に直接つながるかどうかというのは、日本は知っていませんが、いずれにしても、力による現状の変更は良くないということを明確に言っています。大切なのは対外的に伝わるメッセージが、たとえば、自衛隊がそこに行くんだということが、ある面で1人歩きをしてしまうと、これはこの地域のバランスを崩すことにもなりますので、そこは明確に今回、総理は記者会見で否定された発言をされました。ですから、そういうことだと思います。ただ、日本ができることはたくさんありますから、そこはしっかりとやっていく。ただ、すぐ自衛隊を出すという、そういう話ではなく、もっと日本ができることから、しっかりやっていく。そういうことがあの記者会見の中には込められていると思います」
反町キャスター
「川上さん、いかがですか?僕の言っていること暴論ですか?」
川上教授
「いや、確かにおっしゃる通りだと思いますが、その他にテロが起こりましたね。フランスの同時多発。あれが非常に私は大きかったと思うんですね。つまり、総理自身があれによって、アメリカが相当そちらの方に米軍のアセットをひかれると。当然ながら、不測の事態が起きますから、自衛隊としても限られたアセットの中で、ここは抑制的に考えておかないと、もしかするとグローバルに、シリア、もしくは…」
反町キャスター
「引っ張り出されるかもしれない?」
川上教授
「かもしれない。それから、それを鑑みて、戦略的に総理が考えたならば、日本の周辺をまずがっちり固めて、リザーブして、将来起こるであろう不測事態に対し、それを展開するという具合に、かなりこれは戦略的に考えられたのではないのかなと私は思うわけです。特にアメリカの場合は、おそらくかなり強い期待が日本の方にひしひしと伝わってくるはずですから。それは一部戦略的に抑制されながら。それから、私は、国際会議で南シナ海に行くのですが、ベトナムあたりの高官から、中国が最大に間違っていたのは日本を再軍備させたことだと。こういう痛ましい言葉が出てくるんですね。そこまで、期待をさせてしまったら、これは引きずり込まれますから。そこのところはブレーキかけながら、ここのところはトーンダウンされたのではないかと」
小野寺議員
「テロの問題も、これも重要な課題だと思っています。当然アメリカが、南シナ海への関心が薄くならないようには、私どもは話し合いをしていくことが必要だと思いますが、実は米軍の中には当初から、平和安全法制を議論する中で、これは南シナ海を含めて、日本がそれなりの分担をしてくれるのではないかと、そういう期待も実はあったのも事実です。ただ、私も、平和安全法制の説明をする中で、米軍の方にお話をしたのは、あくまでもこれは我が国の平和を守ることが前提であって、これが実は初めから南シナ海のことを想定した話ではないんだと。我が国としてできることはしっかりとやるけれども、能力的にも、あるいは対外的にも、そこは様々なことを考えながらやるべきことだということでお伝えしています。そういう中で、総理も同じスタンスですので、何か首脳会談で少し踏み込んで、今回訂正をしたということではなくて、ある面では同じトーンなのですが、誤解を与えないようにあらためて正確にお話をされたのではないかと思います」
反町キャスター
「一方、中国側ですけれども、サミット終了後にすぐ行われた、中国の外務次官の会見ですけれども、中国側の発表に、こういうのがありました。習国家主席は、南シナ海を軍事拠点にしないと言ったけれど、軍事施設にしないとは言っていない。中国は自分の岩礁に必要な軍事防衛施設を建設している。多くの国がやっていること。南シナ海の航行と飛行の自由にそもそも障害は存在していない。中国は、この自由を断固として守ると。こういう発言を昨日、サミット直後に中国の外務次官は発表をしているのですが、小野寺さん、この発言をどう感じますか?」
小野寺議員
「中国らしいなと思いますね。習国家主席が軍事拠点化しないと言ったと」
反町キャスター
「これの違いがわからない?」
小野寺議員
「拠点というのは、通常から言うと、軍事の様々な中心にするということだと思いますが、軍事施設はとりあえず軍事の様々なものが、そこに展開をされて、言ってみれば、いざという時に拠点にもなるというのが、この施設の話だと思いますので、非常に正直な言い方をこの次官はされて、たぶん聞かれたから、こういう話をしたのだと思います」
興梠教授
「面白いなと思ったのは結局、現在のところ自由に通れるではないかと。アメリカもいわゆるパトロールに行って、別に中国が追いかけたという話ですけれども、それも撃ったわけでもないし、強行措置をとっていないですよね。最後に、この自由を断固として守るというのは、信じてくれというように見えるわけですよ。私も別に何かこの場で全部占領をするつもりはないですから、というように見えるので、最初の2つは、かなり強気な感じですけれども、3つ目は、何となく私はそんなに危険ではないですよということを言いたいのかなと」
反町キャスター
「国際世論に対する懐柔策?」
興梠教授
「プレッシャーを感じているのかなと思って。ただ、それで油断させるという手もありますけれどもね。ただ、何かプレッシャーを感じているのかなというのは」
反町キャスター
「でも、興梠さん、何だかんだと言っても、これだけ騒ぎになっていろいろ言われても、たとえば、中国は島を手放すとか、埋め立てた島を元の岩礁に戻しますとか、そういうことはしますか?」
興梠教授
「それはあり得ないと。そこは書いてありますから。海上における権益保護の闘争は長期に渡って存在するだろうという」
反町キャスター
「ちょっと騒いだら1回止めるかもしれないけれども」
興梠教授
「それはやっていますよね。既に。習近平、アメリカに行く前に。ちょっと止めてみた。それはうまいです。だから、長期的なビジョンは決まっているから」
反町キャスター
「止まるかもしれないけれども、下がらない?」
興梠教授
「いや、それは、中国で緩兵之計と言うんです。ちょっとだけ下がったふりをして、ガッと入るという。昔からやっていますね」

南シナ海問題 アメリカの対応は
秋元キャスター
「アメリカ側の中国に対する思惑をどう見ていますか?」
川上教授
「アメリカはこれまで中国に対しては、軍事的に抑止して、エンゲージメントと、つまり関与すると、これをずっとやっているわけですね。暫くアメリカというのは中国に対して非常に甘いです。アピースメント政策、宥和政策をとってきたわけですが、ここにきて半年から1年ぐらいですか、特に元国務次官のヒルズベリー氏が『ワンハンドレットイヤーズマラソン』という本を書いてから、特にアメリカの雰囲気がガラッと変わりました。中国に対してこれは間違っていたのだと、現在アメリカというのはもっと厳しくやるべきだったというふうなことから、とにかく中国に対しては厳しくやると出ていますね。かつ、そう言いながら、どこまで厳しくやるのかというのは、中国とは、まずは、紛争はしないと。これはおそらく間違いないわけですね。中小国と中国が紛争する。これはもちろん、中国が割って入りますが、表には出ないと。仲介に入るだろうと。それから、もう1つというのは、アメリカというのは裏で中国と経済的に握っていますから、これは正面からどんなに強いことを言ってもどこかで戦争は回避すると。こういう具合に非常にしたたかな戦略をもって対していると思うわけですね。それから、もう1つ忘れてはいけないのは大統領選挙の年でありますから、中国に対しては厳しく言わないと、大統領選挙が危なくなるというところはかなりフレーズアップしていますから、その点を我々は注意していかなくてはいけない。中国は中国で国内事情がありますし、アメリカはアメリカでそういう大統領選挙という国内情勢がありますから、これで一見、2つの国ともかなり南シナ海を巡ってはかなり緊張が高まるように見えますけれど、どこかでそれを回避すると。それはとにかく米中が直後に軍事協力の演習をしたと。いろんなところで国防大臣が中国との話し合いに入るとか、そういうふうなところが常に駆け引きがそこで行われているわけですね。ですから、非常にそういう抑止とエンゲージメント関与、これを使い分けながら米ソとも共存共栄の道をたどると」
反町キャスター
「南シナ海の島の領有権を巡って、本気で中国と対峙している国々は、あまりアメリカに期待しても、アメリカさん、あなたが頼りですと、何とか中国を追い出してくださいと言って、アメリカに寄っていったところで、最後のところアメリカと中国が握っていたら、結局、翻弄されているだけで何も得られずに、ただあっちの人、こっちの人うろうろしているだけで、国自体は疲弊してくだけと、そういうことになりませんか?」
川上教授
「ベトナム、フィリピンは非常にしたたかな国でありますから、疲弊するどころか逆に天秤にかけながらAIIB(アジアインフラ投資銀行)からお金を貰いながら、こちらの方はちゃんとADB(アジア開発銀行)からお金を貰いながら、したたかにお金を引き出しながら、時には中国につき、時にはアメリカにつき、時には日本を引っ張り込みですね、そういうふうな複雑な時代に入っていると思うわけですね」
反町キャスター
「アメリカの中国に対する見方をどう感じていますか?」
興梠教授
「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)も連動していると思うんですけれども、オバマさんが中国にそういった貿易秩序をつくらせないみたいな発言をしたではないですか。オバマさんはアメリカが戦後つくってきた地域の秩序を破壊されたくないわけです。これまで自分がそこを安定させてきたという自負があるので、そこに新しい現状変更するような力を中国が示しているのは非常に気にくわないわけでしょう。中国は、自分の形にしたいわけ、自分の思うような国にしたいわけです。自分の規範からはみ出ないように。TPPは、それらしいところは入っていますけれどね。政治改革をしないとおそらくクリアできない部分がかなりあるので、国有企業だとか、いろんな問題、それも含め、要するに、現在の中国のあり方というものは気に入らないわけでしょう。政治体制も含めてですから、それを何とか地域の安定に役立つような形に持っていきたいと。いろんなプレッシャーをかけているわけですよ。アメリカのつくったルールの中でやってくれと。それはどういうことかというと、習近平政権になってから、これはハリス司令官も言っていたかな、随分、急いでいると。そういう発言をされていたんです、カナダのハリファックスで発言された時、2、3日前。急いでいると中国は。私もそう思うんです。とにかく習近平さんになってからAIIBをいきなりつくってみた、自分の秩序をつくりたくてたまらないわけでしょう。それは敏感に感じますよね。周辺の国も感じるのではないですか。世界銀行とか、アジア開発銀行の向こうを張って新しい銀行をつくった。こんなことこれまでやっていないですから。とにかく力を見せつけたいという勢いがすごく、国内でやっている政治闘争の延長路線なわけですよ。それをアメリカは敏感に感じていて、放って置いたら、中国の秩序をつくられてしまうというのがあると思うんです。だから、それは一方では、だけど、中国と事を構えるとか、戦うという意味ではないですね」
小野寺議員
「おっしゃる通りだと思うんです。おそらくアメリカはこれまでは中国に対して比較的甘い考えで見てきて、経済的にも非常に将来大切なパートナーだと思っているのだと思いますが、ある時からアメリカがこれまでつくってきた世界秩序、あるいはこれまでの価値観というのを、中国は自分達がまた別な主張をして、そこに挑戦してきているという、そういうところから反応がガラッと変わったと思うんです。そういう意味では、大きな意味では、米中は現在緊張状態にあるのですが、私がこの問題で1番心配しているのが、南シナ海というのは、こういう体制の問題に関してはアメリカがコミットする必要があるのですが、実際にあそこの航行の自由で1番貿易的な利益を受けている国というのは日本を含めて東アジアの国になります。そうすると、日本はむしろそういう大きな仕組みということよりも、現実的にあそこに中国が島をつくり、そこに滑走路をつくり、そこに戦闘機を置き、あそこに防空識別区をつくり、そこに、たとえば、飛んでいく航空機に関していちいちチェックをされ、通る船に関してはいちいち監視をされ、こういうところが実はこの1年、2年ではないですよ。これができてしまうと、10年、50年、100年、実はこういうことがあの海域で起きてしまう。1番当事者として心配なのは、むしろ日本ということになりますので、この問題については日本がむしろ南シナ海の話というよりも、それこそシーレーンの中で重要な場所と考えて、対応しないと、アメリカとのコミットの仕方と日本が直接受ける将来に渡る様々な懸念というのはかなり違うのだということで、ここは、日本はアメリカ任せではなく、日本は日本としてこの地域の重要性というのをもっと強く考えるべきだと思います」

アジアのテロ対策 APEC首脳宣言
秋元キャスター
「アジアのテロ対策について、アジア各国はIS(イスラム国)などテロに対する姿勢は一致していると見ていいのでしょうか?」
小野寺議員
「テロで1番困るのは、いつどこでどんなことが起きるかわからないということになると、経済活動に非常に大きな影響を与えます。そうすると、アジアはASEANも含めて、現在経済の成長センターと言われて、ようやくここで様々な投資も受けながらどんどん成長していって、観光面だけではなくて、様々な投資がこれから入ってほしいと皆、思うわけです。ところが、そこでテロが起きてしまうと、投資の妨げになってしまいます。ようやくこれから伸びようとしているところで本当にテロが起きてしまったら経済的に大変なマイナスになる。だから、この地域で絶対にテロは起こしたくないと。これはどの国もたぶん同じスタンスだと思います。ましてやISに関して、イスラム国に関しては、あまり関連も多くない地域でありますので、現在のうちにしっかりといろんなことで遮断しておけば、これは中東やヨーロッパのような形にはなかなかつながらないのではないか。現在のうちにしっかり体制をとろうということは、これはもう共通の認識だと思います」
反町キャスター
「アメリカから見た時、中国というのはサイバーテロを国全体でやっている国という認識でいいのですか?」
川上教授
「私はそう思いますけれど。次元がいささか違うと思うんですよね。今回のテロの場合は、ISという共通の敵が出てきたというようなところに対し、中国を敵にまわしてしまえば、何らかの形で中国も国際的なテロ活動に対し、巻き込めるかもしれない。中国の南シナ海、もしくは東シナ海のアセットをテロの方に向けられれば、アメリカにとってはプラスになるというのが1点。2点目は、この間の米中首脳会談でも、サイバーに関してはある程度合意できていますから。そういう意味では、とりあえず置いておいて、今回のテロに関しては中国に協力してもらいたい。ひいては南シナ海に対してトーンダウンしてほしいというようなのがあるのではないですかね」

川上高司 拓殖大学教授の提言:『戦略的思考 日米同盟』
川上教授
「現在アメリカはパワーが若干落ちていると。中国はそれに対して年間5%から6%伸びていると。いわゆる無極化、極がない状況になっているわけなのですが、それで周りについている国がほとんどどちらに向かっていいかわからないと。アメリカをとるのか、中国をとるのかという状況の中で、日本としましては、そういう状況の中で戦略的な思考をとりながら、戦略的にアメリカ一辺倒ではないと。しかし、日米同盟を重視しながら、かつ自主防衛をやったり、ロシアを使ったり、南シナ海の国を使ったり、あるいはインドを使ったりしなくてはいけない。戦略的な思考が必要となっていると。でも、その中核は日本とアメリカが戦略的一体化をしながら、歩調を合わせながらやらなくては、日本は生き残れない時代に入ったという提言をしたいと思います」

興梠一郎 神田外語大学教授の提言:『面の外交』
興梠教授
「今回もまさに面の外交をやったというか、点ではないですね、この国とこの国は。面的な展開をしていたでしょう。それは基本だと思うので、今後も面をどんどん広げていくというか、面の中に取り込んでいくと。そうすると、向こうは点ですから、そういったイメージでやっていくと日本にはかなり有利な展開になると思います」