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2015年11月17日(火)
激烈化進む?地球気象 政府方針の大転換とは

ゲスト

鴨下一郎
元環境大臣 自由民主党衆議院議員
五箇公一
国立環境研究所主席研究員
肱岡靖明
国立環境研究所環境都市システム研究室室長

激化する気候変動 温室効果ガス削減の行方
秋元キャスター
「今月30日からパリで196の国と地域が参加し2020年以降の地球環境の枠組みを決める、第21回国連気候変動枠組条約締結国会議=COP21が開催されます。2012年の数字ですけれども、各国の二酸化炭素排出量。中国が26%。アメリカが16%。EU(欧州連合)28か国合わせて11%。インドが6.2%。ロシアが5.2%。日本が3.9%となっています。中国、アメリカ、EUで世界全体の半分以上を占めているということになりますが、これまでのCOPでの交渉の経緯は、1997年、COP3が京都で開かれまして京都議定書が採択されました。アメリカ、日本、EU、ロシア、カナダなど先進国全体で、温室効果ガスを削減することが決まりました。しかし、2001年に、当時、最大のCO2排出国だったアメリカが離脱します。また、削減義務のない中国やインドなど新興国からの排出量の急増で、削減効果が限定的なものになりました。その後、新たな枠組みづくりを巡り国際交渉が続いているのですが、未だ合意に至っていないということです。そこで、今回、パリで開催されるCOP21で2020年以降の新たな枠組みの合意を目指しているというわけですけれども、まずは肱岡さん、今回のCOP21で焦点になるのは何になるのでしょうか?」
肱岡氏
「多くの国がその目標に向かって皆でやっていこうと。そういう枠組みができるかどうかというのが、まず、いの一番だと思います。もちろん、枠組みができたうえで、どうそれを運営していくのか。さらには、どういうふうに、それをチェックしていくのか。もう1点、実は適応策についても議論されていて、その排出削減に加えて、実は適応策がそこにどう盛り込まれるのかも大きなポイントだと思います」
反町キャスター
「地球温暖化というのは、喫緊の課題という危機感の共有というのが、はかられていないから、皆同じ枠組みに入れることが大切と聞こえます。それでよろしいのですか?」
肱岡氏
「はい。ただ、危機感があっても、良い生活をしたい。経済を発展させたいと。それに伴うCO2を排出するということを、排出削減することで、その成長を止めるというところに、皆さん、そこまではしたくないと思ってきてしまっているわけです。なので、いや、うちは入らないと。お前はがんばれということもあったわけです。なので、皆が、そちらの方に向くということがもし今度パリでできるのであれば、本当に画期的なことだと思います」
鴨下議員
「COP21は、京都議定書以来、全部の締約国が入るかどうか、そういうようなことを試されるという、非常に、言ってみれば、日本だけではなく、世界中に注目されているCOPですけれども、私は、ちょうどCOP13の時に環境大臣をやっていましたので、洞爺湖サミットの時です。だから、いろいろと交渉をしましたけれども、アメリカ、中国、それから、いわゆる新興国と、言ってみれば、沈みそうな島嶼国。こういうところの利害というのは激しく対立するわけですね。そうすると、では、現在の地球温暖化というのは先進国がずっと石炭だとかを燃やし続けて、出したCO2によって起こっているのだから、あなた達が責任をとれと。しかし、俺達は、これから経済発展していくためにはそれなりのエネルギーは使うだろうと。だから、その分だけ、何らかの形で、資金だとか、何とかを援助しろと。こういうようなことで、激しい交渉をしているところです。でも、最終的には、これがまとまってもらいたいというのは人類皆の方向性だろうと思っていますので、このCOP21というのは、非常に皆が注目し、なおかつ最大限の努力をするべきだと思うし、アメリカも比較的、今回は積極的だというようなことを聞いていますので、うまくいってほしいと思っています」
反町キャスター
「肱岡さん、よくこの話をする時に、今度のフランスのCOP21というのが本当の最後だとよく言う人も多くいるんですけれども、本当の最後ですか?どのぐらいの、本当の、ギリギリというか、切迫感を持って、今回のCOPを我々は見るべきなのか。そこはどうですか?」
肱岡氏
「2009年のコペンハーゲンでうまくいかなかったということで、既にそれから、2015年と。さらに、今回、皆さん、各国に対する目標を、上限目標を足し合わせて見ると、どうも世界で言われている2℃、目標というものに対して、削減の量が足りないということもわかってきているわけです。なので、もし今回できなかったとすれば、来年、すぐにできるかと言うと、それはないでしょう。また、さらに延びてしまうといううちに、どんどんCO2が出てしまって、我々が目標とする2℃というものがもしあったとしても、それは達成できないということが言えるのではないかと思います。そういう意味では、現在がんばらずに、いつがんばるのですか?現在、一生懸命にがんばったとしても、足りないかもしれないのに、さらに引き延ばしていいのかというところなので、そういう意味では、ギリギリだと思います」

各国の利害と多様な主張
秋元キャスター
「COP21に先立って、各国が提出している削減目標案というものがあるんですけれども、まずアメリカですけれども、2025年に、2005年比で26%から28%減。EUは2030年に少なくとも1990年比で40%減。さらに、日本ですけれども2030年度までに、2013年度比で26%減となっています。最も多い中国ですけれども、2030年までに2005年比で、GDPあたり60%から65%の減ということですけれども」
反町キャスター
「これまでは過去においてCOPでこういうことをやってきた時は少なくともこの番組の中でやっている限りにおいては、基準を設けて何パーセント減とか、そういう物差しを皆で決めてきた。それがCOPにおいて、これが良いのか、悪いのか。基準内がフェアか、フェアではないかという議論があったと思うんですけれども、こういうGDP(国内総生産)あたりのCO2排出量という新たな技を出してきたというのは、これは最近のことなのですが、昔からこういう理屈で、そういう排出権をある程度確保しようとした動きがあったのですか?」
肱岡氏
「実は削減の基準というのか、考え方はいろいろあったんです。たとえば、過去からずっと出してきた排出量によって気温が上がっている。では、その責任をとりなさいと。自分達は現在、出し始めたと。先進国はずっと前から出しているのだから、その累積で責任をとれというやり方もあります。さらには1人当たりGDPでお金持っているところがいっぱい削減するのは当たり前ではないかと。なので、貧しいところは生活が大変なのだから、お金があるところが考えなさいとなります。しかし、全て、皆がそれに納得するようなやり方はないわけです。なので、今回はそういうふうにミックスされ、少なくとも、途上国も削減する努力を示しているところと、先進国も基準を変えてでも、自分達の目標を出すというのは、その組み合わせが出てきたのだと思います」
反町キャスター
「中国の中には、この温度上昇を食い止めなくてはいけないという世論、ないしは政府に対する要求としては強くないということでいいのですか?」
肱岡氏
「どうなのですかね」
反町キャスター
「中国の世論に、中国一般国民で、この温度上昇を何とかしろよという話が、要するに、政府を突き動かすだけの、そういう一般世論が存在するかどうか、僕は彼の国にはないと思っているんですけれども、そういうものがあれば、もうちょっと別の言い方ですよね?」
五箇氏
「中国に仕事で何度か通っていた時期もあったのですが、普通に新聞やテレビを見ていて、環境問題そのものというものが、一面を飾るという風土はないですよね、まだ。どちらかと言うと、個人の生活レベルであったりとか、そういう部分における、より豊かな生活であったりとか、より高い給料、そういった部分に対する欲求の方が現在は先行している状況で、平たく言うと、日本がかつて戦後から現在に至る高度経済成長時代の勢いの開発がそのまま、そっくり再現されているような状況ですから、我々日本人はその時に、環境を考えていたかというと、かなり二の次にしてきたという歴史を持っているわけです。それとまったく同じことを実は繰り返していると考えると、現在、中国に強い制限というものを加えようとしても、それは聞かないでしょうね。経済発展の欲求がムーブメントとしては強すぎる状況なので。まさに、GDP成長率がようやく7%切ったという、それだけで大騒ぎになっているような国ですから、まだまだ発展したいという欲求の方が先行していると」
反町キャスター
「気を使って一緒に行こうよと、あなたの言い分でいいから、一緒に行こうよとやらないとダメな国?」
五箇氏
「究極的にはこういう国際的な枠組みづくりにおいては、大きい国の方に対して気を使わざるを得ないというのは、現在も昔も変わっていないのだろうなというところは、平たく言うと、国連とあまり変わらないところもあるのかなと。超大国による拒否権ではないですけれども。言ったもの勝ちですよね、大きな国というのは」

地球温暖化のいま
秋元キャスター
「18世紀の産業革命以降の世界の平均気温、およそ0.8℃上昇していると考えているんですね。世界の平均気温の推移ですけれども、全体に右上がりなものの、1980年代、それから、1990年代に顕著だった気温の上昇が今世紀に入って足踏みしているようにも見えるわけですけれども、肱岡さん、これをどう見たらいいのでしょうか?」
肱岡氏
「これは、たとえば、1850年からずっと2013年を見ていただきますと、直線で上がっているわけではないですね。上がったり、下がったり、ある時は停滞しているように見えると。さらに、この10年は、たとえば、熱量が海の中に入ったのではないかとか。太陽の動きだとかがあるんですけれども、2014年は1850年以降、最も暑い1年だった。現在のグラフでは2013年までしかないですけれど。グーンと上がっているというか、少し上がっているんですけれども、少なくとも下がっている傾向はないですね。さらに、2014年、今年の6月は1850年からこれまでの中で最も暑いのは6月だったんです」
反町キャスター
「それは日本だけではなく?」
肱岡氏
「世界です。なので、残念ながら、ここは止まっていると見えていて、ここから下がっていくのかという傾向はまったくないですね。もちろん、ずっとこのまま停滞してくれれば、温暖化も止まって良かった、良かったになりますが、上がったり、下がったりを繰り返して、ただ単にその周期の一部であって、さらに昨年も、今年も暑いと」
反町キャスター
「この間NASAが南極の氷が増えているという発表をしました。温暖化なのに?」
肱岡氏
「これまで南極の氷が減っているという研究成果がいっぱいあった時に、増えてきたので、これはおかしいと。嘘ついているのではないかと。いくつか理由がありまして、まず計り方ですね。たとえば、1cmぐらいのレベルのものを、衛星レーダーを使ってやるので、その計測方法がどうだったのか。たとえば、氷も密度が一定ではないので、密度の決め方によって、全体のボリュームも変わりますし、実際、海面が上昇しているのは、海面が熱膨張によってということで、その1つの現象が起きたからと言って、これから南極に氷が増えていって、必ずしも止まるというわけではまったくないようです」
反町キャスター
「北極は氷が減っているんですよね?」
肱岡氏
「北極は関係ないですね。陸地のところの氷が海にくることで海面が上がるので、あとグリーンランドが溶けると」
反町キャスター
「北極の氷が溶けても海面上昇とは関係ないのですか?」
肱岡氏
「たとえば、アイスコーヒーで、氷が入ってて溶けても溢れないではないですか。陸地にあると溶ければ、そこに供給されますけれども、実はもともと氷が浮いていますよね。放っておいても、別に溢れていませんよね」
秋元キャスター
「温暖化が危険だと、北極熊が歩いて、氷が、みたいな」
五箇氏
「それは生き物の話でしょう。北極熊というのは北極の氷の上で生きている動物だから、それがなくなると、彼らの生息域が減ってしまうということが問題になってくると」
秋元キャスター
「日本で言いますと、五箇さん、この夏、サメの目撃情報が、神奈川県ですとか、茨城県などの海水浴場でもありましたし、それから、猛毒のヒョウモンダコが鳥取県ですとか、神奈川県まで北上しているということですけれど、これも温暖化の影響なのでしょうか?」
五箇氏
「昨年、今年と非常に海水温が上がったので、その関係で、海の生き物達の分布が変わっちゃったんですよね。特にプランクトンとか、サンゴ礁といったものの分布が変わるということで、それをエサにする小魚が増えれば、それを食べる大きな魚が増えるという形で、そのまま食物連鎖で、それを狙ってサメがどんどん北上してくる。結果、今年、茨城沖あたりでも相当サメが出たという。それはよく見ると、ボラという魚が大量に実はその近海に来ていて、それを追いかけて食べに来ているというのもわかっている。それは至近的な要因としては、明らかに海水温の上昇が原因なのですが、異常な海水温の上昇、そのものが温暖化と直接関係しているかどうかというのは、そういう短期スパンで起こる現象をそのままリンクして考えるというのはちょっと難しいのではないかと思いますよね。海流の流れとか、そういったものの変化で海水温というのは大きく変わりますから。特に今年は確かに赤道直下の海水温が非常に上がったということが日本近海における海水温の上昇にすごく大きく影響していると言われていて、特別な年であったことは間違いないのですが、そういった一種の異常気象という、異常海温上昇というそのものは温暖化が原因ですかと言われると、現在その答えを出すだけのデータというか、パラメーターが少ないというのが現状だと思います」
反町キャスター
「現在海流の話をされていましたけれども、海流と温暖化の関係みたいなもの、パラメーターと言いましたけれども、それが論証をきちんとされる時というのは、実はもう間に合わないのかなと?」
五箇氏
「間に合わないと思いますよ。時間がかかることです。もし先ほどおっしゃったみたいに、気温上昇そのものはすごい勢いで進んでいるので、その時間が足りないというわけです。要は、検証を待っていたのでは足りないと。だから、予防原則に基づき、現在、計算され得る最大の予測値をもってそれに対応するということが現在求められている1番の次善の策ということになるということです」

どうなる? 地球の未来
秋元キャスター
「気候変動に関する政府間パネル、IPCCの予測によりますと、このまま何も対策をとらずに、温室効果ガスを排出し続けた場合、2100年の世界の平均気温は、1985年から2005年までの平均気温に比べて3.7℃前後上昇すると。削減を徹底して行った場合は1度前後に抑えられるとしているんですけれど、肱岡さん、この3.7℃前後上昇した場合というのは、世界はどういう状況になるのでしょうか?」
肱岡氏
「いろんな分野、水資源ですとか、沿岸、防災、健康、生態系、いろんな分野において深刻な影響が起きるということが示されました。さらに、適応策を何とかそれを軽減しようという対策をやったとしてもなかなか下がらないということが示され、さらに、いろんな分野、地域で起こるということが示されています」
反町キャスター
「どんなにがんばっても上昇が止められないということですか。勢いは車が急に止まれないという話に聞こえるのですが?」
肱岡氏
「影響が深刻だということですね。たとえば、大きな干ばつが起きたり、大雨によって洪水が起きたりと。その被害の影響の度合いが大き過ぎて、対策をしたとしても、我々の英知ではなかなかその被害を軽減できない。たとえば、熱波、熱いのを想像しますと、熱いところが広がると、たとえば、エアコンのある家はいいですけれども、世界中に暑い日がドーンと来たと。熱波が来たとなると、なかなかそれがないところでは、非常に熱中症になりやすいと。だから、逃げづらいわけです。大きなところで干ばつが起きると。そうすると、食料がとれない。そうすると、お金のあるところは食料を買えたとしても、なかなかお金のない人、貧しい人達は食べるものもないということで栄養失調になったり、亡くなってしまったりということが起こると」
秋元キャスター
「ちなみに、3.7℃上昇した日本というのはどういう気候になっているのですか?」
肱岡氏
「日本はだいたいプラス4.4℃。これも日本は世界全体を基本とすると、上がり目です」
反町キャスター
「何で日本はそんなに高く上がりやすい形なのですか?」
肱岡氏
「緯度が高い方が、気温が上がりやすいとか、世界の中でも上がりやすいところ、下がりやすいところあるんですけれど、要は、残念ながらプラス3.7℃という時には、だいたいその計算結果、プラス4.4℃になっていますので、より影響が大きく出ると思います」
秋元キャスター
「今、夏は36℃とか、37℃になる日があるではないですか。それが単純にプラス四点何度かになっちゃうとか、そういうことですか?」
肱岡氏
「それに近いと思います。あと暑い日、真夏日が増えるとか、猛暑日が増えると言うのも出てきます」
反町キャスター
「生活は4℃上がるとだいぶ変わりますよね。それは50年、60年、2100年のシミュレーションでしたか。あと85年かけて4℃上がるという理解なのですか?」
肱岡氏
「それはその通りですね」
反町キャスター
「その時、英知に期待するとは言いませんけれども、急に変わるのではなく、徐々に変わっていくことによってだんだん順応していくのではないかという、甘いものではないのですか?」
肱岡氏
「それは生態学的にはどうなのですか?」
五箇氏
「人間そのものがということですか?」
反町キャスター
「人間の生活とか、経済構造とか、経済活動が…」
五箇氏
「結局、人間そのものは恒温動物という動物ですから、それぐらいの温度上昇でも十分、肉体的には耐え得る。もちろん、ご老人とか、小さいお子さん達の健康への影響は甚大なのですが、問題は人間の生活を支えるための生態系生物達の存続ですよね。その部分は相当大きなダメージを受けると。1番に植物そのものは、温度上昇に非常に弱い種は間違いなく、動けないですから、滅んでいくことになります。農業の問題も、農業は本来、その土地で安定して循環、サイクルしてつくっていくものが、今年、ここは採れなくなるから、来年あそこに行こうという具合に、順繰りに遊牧民みたいに移動するというわけにいかないですから。そういう部分で生活レベルとして、まさに、生態系の変化というのが日本人の生活にはおそらく大きな影響をもたらすことになるだろうということは言えると思います」
反町キャスター
「自然の、現在の農業というのは、人間が人工的にやるもの。そうではなくて、もっとより脆弱だと動けないと言うけれども、たとえば、自然の植物とか、野生動物というのは4.4℃上がると死滅するのですか?」
五箇氏
「しますね」
反町キャスター
「死んじゃう?」
五箇氏
「死滅するものもいます。逆に増えるものも出てきます。しかも、増えるものというのは意外と害虫の類であったりして、人間にとって都合の悪いものの方が増える可能性が高い。たとえば、蚊であったりとか、ハエであったりとか、ゴキブリであったりとか、クモであったりとか、熱帯、亜熱帯産がどんどん増えるという環境が出てくると。基本的には、熱帯、亜熱帯産のそういった節足動物ほど、実は危険ですね。そういった野生動物由来の病原体の主な分布範囲というのが、赤道直下の辺りに集中しているわけで、そこの生き物がやってくるということは、そういった病原体感染症の問題もそのままやって来るということが起こるので、滅ぶ動物もいれば、増える動物もいるけれど、そういった環境から考えれば、要は、南の生き物が増えれば、増えるほど、健康面でもリスキーな世界が広がってしまう可能性は高いと考えないといけないということですよね」

進む地球温暖化 政府が適応計画を公表
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『適応計画』に盛り込まれた主な対策例(環境省資料より作成)
・農業・森林・水産業  高温に耐えられる品種の開発、病害虫対策
・自然災害・沿岸域  堤防の設備と避難などを組み合わせた対策
・健康 デング熱などの熱帯性感染症の対策
・水環境・水資源 雨水・再生水の利用促進
・自然生態系 サンゴ礁などの保全・再生
・産業・経済活動 スキー、海岸部のレジャーなどの観光業について、地域ごとに対策を検討
・国民生活・都市生活 打ち水の実施、緑のカーテンなどの普及推進
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秋元キャスター
「そもそも適応というのはどういう考え方なのでしょうか?」
肱岡氏
「温暖化が進むと、悪影響が出てしまうと。黙って見過ごすわけにはいきませんので、悪影響を少しでも軽減したいと。そういう対策、適応策をまとめています」
反町キャスター
「温暖化は避けられないというのが前提で温暖化とどうやって共存していこうか。こういう考えですか?」
肱岡氏
「そうは言っても、現在の気温上昇が0.85℃。実は第2作業部会でも2007年と比べると既に起きている影響が、非常にたくさん文献があったんです、既にいろいろな影響が起きているので、それに対して何とか対策をしようと」
反町キャスター
「高齢者に対する配慮など、医療費・社会保障費など質的な変化も出てくるのではないですか?」
鴨下議員
「トータルで言えば、気候変動そのものは国民生活の全てに影響しますから、たとえば、食料だとか、何かの供給だって変わってくるでしょう。外国から輸入するものだって、もしかすると砂漠化してきて干ばつが起こって、いろんなことが起こると圧倒的に食料の値段が上がることだってありますから、だから、現在、想定できているものは、おずおずと始めたと言う話ですけども、ある意味では、もっと厳しいことが起こる可能性があります。それを現在から想定して全てやるというと安全保障の危機対応と同じように、まだ目の前に危機がないのにここまでお金をかけるのかという議論になりますから、まず適応策ということをとりあえずは手がけてみようと。こういうことで現在始まったところであります」
反町キャスター
「適応策をどう見ていますか?」
五箇氏
「今回、出てきているような適応策は、本当に近視眼的な、もう本当にギリギリで現在やれることをとりあえずやろうというような、究極的な対策になっていないということですよね。たとえば、堤防設置というのは生態系という観点からすれば、根本的には何の解決にもならないし、たとえば、3.11のあとでも防潮堤をつくるということで、次の津波に備えようというんですけれども、人間のつくるものは100年もたないわけですよね。結局、コンクリートなんてものは。結局、100年に1度の津波という話だったら、何の意味もなさないわけで、本当の適応策というのは先読みをして、そういったリスクから回避をするという、順応的に自然の流れというものに対して自分達の身の起きどころを、自然の変化を読みとりながら、それに応じて身の置きどころを考えて変えていくというのが本来の適応策になるんですね。これらの現在出てきた適応策というのはどちらかと言うと現在の生活水準をどう維持していくかということを前提にしているということが言ってみれば人間という生活スタイルに防波堤をつくって何とか温暖化という災禍から逃れようとしている。従来型の人間の文明社会の発展の仕方と何も変わっていない。要は、生き物というのは環境の変化に対して進化していくと。つまり、自分自身の遺伝子組成というものを変えて、環境に適応できるようにまったく姿形から変えていくのですが、人間という生き物はそうでなく、自分達が心地いい環境を自ら創りだし、それに対する外界のプレッシャーを排除する、わかりやすく言えば、感染症でも、本質的には感染症の役割というのは生態系の中では増え過ぎた生き物を減らすための天敵としての役割があります。ウイルスも増え過ぎた生き物を病気で減らすと同時に、病気に強い系統を進化させるという役割もある。そういった中で本来、この地球上でもこういったウイルスが蔓延している背景には、たとえば、人間という70億人にも増えたこの種族をいかにコントロールするかという生態系のメカニズムとして実は働いているところもあって、ただ人間も当然生きる権利というものを自らそれぞれ持っているわけですから、薬という形で現在対抗していると。ウイルスを排除することによって自らを変えない方向で、我々は現在この生活を維持している。それと適応策は同じ視点でつくられているわけですね」
反町キャスター
「環境対策について財源は?」
鴨下議員
「環境税という形で、たとえば、CO2がほとんどです、温暖化の原因の大きなことですから、CO2を出すのは何があるかというと、まず電気を起こすための化石燃料、石炭石油を燃やすこと。それから、もう1つは自動車に乗ってガソリンを消費すること。こういうようなことでCO2がたくさん出るわけですよね。だから、それに対して課税して、課税した分の一部を地球温暖化によって起こるであろう様々な問題にお金を使いましょうというのが環境税のあり方ですけれど。だけど、あまりそれを過重に負荷すると、経済にマイナス面で影響を及ぼすと。そうすると、今度は国民の皆さんの様々な生活そのものに影響する。だから、足下のそういう生活に影響を及ぼさない程度に、薄く広くとりあえずいただきましょうというのが現在の段階ですよね」

温室効果ガス削減策 途上国支援どうする?
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温室効果ガス削減目標の実行に必要な投資額(IEA試算) 13兆5000億ドル(約1660兆円)
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秋元キャスター
「資金援助のあり方などについてどう考えていけばいいのか?」
鴨下議員
「これは必ずしも確定した数字ではないですけれども、大量な財源を要するということは間違いない。それを途上国に自分で賄えというのはとても無理な話です。実際には産業革命以来、先進国は無制限に化石燃料を使って豊かになってきたわけですから。それと同じことを現在、まだ電気も十分でないようなところに、あなた達、現在のままで我慢しなさい、とは我々は言えないわけですよね。だから、皆が協力しあうという意味においては、豊かな国から資金もある程度使い、それから、日本は世界有数の省エネ技術を持っている国ですから、そういう技術を使って、これまでに日本が戦後ずっとやってきたプロセスをいきなり1番省エネのところから途上国にスタートして貰うような、こういう技術移転。たとえば、インドだとかは、石油、石炭に頼らずに、いきなり太陽光だとかで発電したいとか。こういうようなことにどこまで我々が協力できるのか。それは結果的に、地球全体の温暖化をある程度押さえることにつながりますから」

鴨下一郎 元環境大臣の提言『行動変容』
鴨下議員
「国も経済を担っている企業も、あるいは国民1人1人も環境、あるいは地球温暖化ということを意識して、少し環境を意識しながら行動を変えていく。こういうようなことがスタートでないと全て始まらない。これまでのように、産業革命以来の規格大量生産型のこういうようなことが全ての正義と思っているうちは解決につながっていかないと思いますので、地球環境を意識してちょっとでも自分はこういうふうに行動を変えようと。こういうようなことがそれぞれのレベルで起こってくるというのが必要だと思います」

五箇公一 国立環境研究所主席研究員の提言:『地産地消』
五箇氏
「現実に我々1人1ができることは何かを考えた時に、これが1番、具体的な行動になるかと思ったんです。結局、現在地球温暖化にしろ、生物多様性の減少にしろ、根本原因は経済優先の大量資源消費、それをもたらしているのはグローバリゼーション、経済の国際化で、それによる国際競争の激化、各国がしのぎを削って経済を発展させなければならないというベクトルに皆が一斉に向かっていること。そういったものがそのまま温暖化上昇や生物多様性の減少にリンクしている。そういう流れを1番変えるのが、まず地産地消という形で、遠くのものを無駄に使うのではなくて、自分達の足下で自分達の必要なものをつくり、消費していくという、かつてあったローカリゼーションです。そういった社会というものをつくっていくことが1番身近でやれることなのではないかということで、この言葉を選んでいます」

肱岡靖明 国立環境研究所環境都市システム研究室室長の提言:『緩和と適応の両輪 不確実な将来への備え』
肱岡氏
「適応という言葉が出てきましたので、緩和と適応を一緒にがんばっていきたいと思っています。さらに、将来どうなっていくのかというのはなかなかわからないので、その一歩をなかなか踏み出せないと。しかし、我々にできることはいっぱいありますので、その準備をしておく。もしかしたら2℃で収まるかもしれませんし、4℃まで上がるのかもしれないと。しかし、その時に我々どういうことをいつすればいいのか考えることは現在でもできるので、そういう準備をセットしておいて、将来世代が安心して過ごせたらと思っています」