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2015年11月16日(月)
パリ同時多発テロ事件 終わりなき戦いの行方

ゲスト

小池百合子
自由民主党衆議院議員 元防衛大臣
宮家邦彦
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
保坂修司
日本エネルギー経済研究所中東研究センター副センター長

検証!パリ同時多発テロ 国際社会・日本の対応は…
秋元キャスター
「今回パリで起こった同時多発テロ事件ですが、内容をあらためて確認していきたいと思います。パリの検察当局の会見で、7人のテロリストは、3つのグループに分かれ、競技場、レストラン、劇場、それぞれを襲撃したことが明らかになっています。最初のテロですけれども、13日の夜、9時20分頃です。フランスとドイツのサッカー親善試合が行われ、オランド大統領とドイツの外相が観戦していたパリ郊外の競技場のゲート付近で起こった自爆テロです。その後、2人が付近で自爆死しています。9時25分頃です。もう1つのグループの2人がパリ市内の繁華街のレストラン2か所を銃撃し、15人が死亡。その後次々にレストランを襲撃し、およそ40人がテロの犠牲になっています。9時40分頃には、さらに、別のグループの3人が、アメリカのロックバンドがライブを行っていた劇場に到着し、コンサートに熱狂する若者らに銃を乱射して、およそ90人を殺害後、籠城します。翌未明、治安部隊が突入、制圧しています。テロはおよそ30分以内に行われて、周到に準備された犯行だったことがうかがえるわけですけれども、小池さん、今回のこの事件、一報を聞かれた時の感想は?」
小池議員
「これほど多くの犠牲者が出たということに驚くとともに、お見舞いを申し上げたいと思います。それから、今回のテロは、いろんな意味で、ISが、私は、ISとしか言いませんけれど、『イスラム国』ではなくて。ISは新たな段階に入ったことを強く感じました。つまり、ISの戦闘員達が欧州などからずっとトルコを経由してシリアなどに入っていって、それがISの構成員になっていたわけです。彼らは今度、逆流していると。これはある意味で、有志連合などによる空爆が効いてきているという、1つの証左ではないかとも思いますし、また、彼らが既に現場での訓練を終えて、それが、また、ヨーロッパなど、もともと彼らの住んでいたところに戻っていくなどということになるとこれはとても厄介だと。だから、流れがまた元に戻って、それが欧州などの各国で起こっているということではないかなと思います」

『イスラム国』の狙いは?
秋元キャスター
「保坂さん、過激派組織『イスラム国』の狙い、目的、何だと見ていますか?」
保坂氏
「基本的には自分達の勢力を誇示するというのが、この種の組織の大規模なテロの場合には1番一般的な考え方だと思います」
反町キャスター
「形としては当初の目的は達していると思ってよろしいのですか?」
保坂氏
「そうですね。これだけ多くのメディアの注目を集めたという意味で言えば、IS側から見れば大成功ということになると思います」
反町キャスター
「3つのパターンがありました。オランドさんもいたサッカースタジアム。レストラン4軒を連続で流していった。もう1つは劇場ですね。アメリカのロックバンドがコンサートをやっていたと。この3つのアレンジというか、オーダー。これをどういうふうに見ていますか?」
保坂氏
「1つはソフトターゲットという可能性があるんだと思いますが、ただ、同時に…」
反町キャスター
「ソフトターゲットとは何ですか?」
保坂氏
「狙いやすい場所です。警備が脆弱なターゲット。ただ、この場合は、実は中東においてもかつてレストランであるとか、劇場というのは頻繁に攻撃対象になっていたわけです。たとえば、劇場は、今回コンサートがありましたけど、ISのようなジハーディストと言われる人達は、基本的に楽器を使った音楽というものに対して非常に強いアレルギーがあって、あれは許されないと。イスラムでは許されないと考えているわけです」
宮家氏
「歌舞音曲がダメです。シンボリズムだから」
保坂氏
「シンボリズムのそうですけれども、音楽に夢中になって、アラー、神のことを忘れてしまうというのは許されないと」
反町キャスター
「イスラムの世界においては、楽器の演奏というのはないのですか?」
保坂氏
「あります、もちろん。ただ、それはあくまで、ごくごく一部の人達だけの意見ですね。ジハーディストと言われる人達のバックボーンになっているサダフィ主義という人達がいるんですけれども、その人達が非常に強く主張をしている。ただし、たとえば、ISにしても自ら音楽のメディアをちゃんと持っていまして、ただ、音楽は、アラビア語ではナシードと言うんですけれども、全部アカペラです。楽器を使って音楽を奏でることは許されないと考えているわけです。だから、その意味で、劇場、音楽をやるコンサート会場は、これまでも、たとえば、エジプトや何かでもしばしば襲われていました。それから、レストランに関しましても、これはお酒を供する場所ということがあって、比較的襲われやすい。これまでも、たとえば、そういうことで、レストランが何回か襲われています。また、今回、彼らの声明の中に、パリのことを売春とわいせつの都というような表現の仕方があったんですけれども、それは、まさに、レストランでお金を出して、音曲にうつつを抜かすというフランス文化、あるいは西側の文化そのものに対する否定という意味はあったのかもしれないです。サッカーも、実は同じように…」
反町キャスター
「サッカーは中東でも盛んではないですか?」
保坂氏
「非常に盛んですけれども、一部の法学者達の中には、ああいう熱狂的になって、神のことを忘れてしまうことはけしからんと考える人達は多いです」
宮家氏
「テロリストの目的というのは、まずジハードを戦っているんです。保坂さんの言う通り、まさに、デモンストレーションしたいわけです。その時に何をやるか。ジハーディスト、そんなに彼らは強くないです。弱い人達が最大の恐怖と、最大の衝撃を、敵、ないしは相手に対して与えないといけないわけ。その時に、1つは最も脆弱な部分で、最も人が集まって、最も皆が関心を持っているところ。だから、たとえば、サッカー場の場合にはおそらく大統領が来ていたというのが大きなシンボルがあるわけです。あとは、おそらくイスラムの移民のコミュニティがある、もしくは多くが住んでいるであろう繁華街の一部のところで、そこでできるだけ多くの人をできるだけ短期間で犠牲にするようなことができる場所を狙っていたと。逆に言えば、そうであればどこでも良かったんだと思うんですよ。それで、もちろん、音楽も、歌舞音曲もそうだし、サッカーは知りませんでしたけれども。しかし、そのようなものに対しては、彼らなりの説明はつくでしょうけれども、おそらくフランス社会、もしくは国際社会に対してインパクトを与えるという点であれば、必ずしも説明がつかなくても、とにかく被害が大きければいいのだと。もう1つは、フランスの特殊な政教分離と、世俗主義的なイスラムに対する、宗教に対するアプローチです。フランス革命、自由、平等、博愛、美しい。もともとはカトリックの、その宗教主義に対する反発でしょう。だけども、それがイスラムに対しては逆効果ですね。つまり、あなた方、自由です。フランスにおいでなさいと。フランス語喋りなさいと。フランス文化を受け入れなさい。その代わり、うちは宗教については政教分離です。ですから、多元主義はいいのだけれども、宗教についてはそういうシンボルのものを出してもらっては困るんですと。ですから、スカーフなんて被っちゃダメよと。そういうことをされたら、我々も基本的な考え方で世俗主義、それとぶつかりますよ。だから、そこは、やめて頂戴というわけです。ところが、それをやれば、カトリックはどうだったかは知らないけれど、ムスリムにとっては、それは神との契約で出来上がっていることの、相当重要な部分をフランス人になることによって、フランスで生きていくために妥協をしなければいけない。もしくはその部分が、ある意味で阻害されると。これはおそらくムスリムにとって、気持ちの良いものではないと思う。一部の人がそれを反感として受け止めて、反感を持つことは、当然、あり得ると思っているんです」

なぜフランスが狙われた?
反町キャスター
「保坂さん、宮家さんからご指摘のあった、フランスそのものが抱えている社会的な構成、ポリシー。これがかえって逆に『イスラム国』側というのか、ムスリムの反感を買っていたのではないかという指摘だったと思うんですけれども、その点についてはいかがですか?」
保坂氏
「これは、実は二面性がありまして、1990年代にフランスでテロが横行した時期がありました。その時も非常に酷かったんですけれども」
反町キャスター
「それはイスラムテロですか?」
保坂氏
「そうです。それはアルジェリアの影響だったんですけれども、その時に、イギリスは、フランスのやり方は間違っていると。我々のように、多元的な宗教の信仰の自由を…」
反町キャスター
「フランスも多元主義と言っていますよ」
保坂氏
「たとえば、フランスの場合は、実は全然ダメというわけではなくて、公共の場ではダメです。公立の学校であるとか…」
反町キャスター
「プライベートにいろんな神を敬うのは自由だと」
保坂氏
「問題ないです。ただ、公共の場、たとえば、公共の学校の中で、ベールしたりとか、あるいはユダヤ教であれば、キッパという帽子を被ったりとか。あるいはキリスト教であれば、これみよがしに出して来るのは許されないわけです。ところが、イギリスの場合には、それは何でもOKですよと。だから、国内の融和がはかられて、イギリスではイスラムのテロは起こりませんよと。こういうふうにずっと長い間、言っていたんです。ところが、2000年代になって、イギリスでもテロが起きました。では、どちらがいいのかとなると、これは非常に難しい」
宮家氏
「どちらもダメでしょうね」
反町キャスター
「と言うことは、つまり、多元主義とか、政教分離という基本的な社会的な構図によるものかどうかというのが1つと、やりやすいところで仕かけるという話もあるのか。どう見ていますか?」
保坂氏
「これは非常に難しいんだと思います。イギリスとフランスの共通点で言えば、多くのイスラム教徒が不満を持っているということですね」
反町キャスター
「それぞれに?」
保坂氏
「ええ。その不満を解消しない限りは結局、こういうテロがあった時に、隠れ蓑になるとか、あるいは称賛を出してくる、そういう形で、テロリストにとって動きやすい状況になってしまいますから、1番いい方法というのはイスラム教徒達、あるいはその少数派の人達が不満もなく、きちんと暮らせるような体制をつくると」
宮家氏
「要するに、差別があって、就職も不利だし、実際、失業率も高い。イスラムの名前を言うだけでも電話を切られてしまうとか。そういう世界ですから、そういう人達は本当に平等に雇用の機会なり、就職の機会を与えてもらえていないんだ。だから、非常に、彼らのコミュニティの中では失業率も高いし、当然、犯罪率も高くなっていくわけです。その悪循環というものを、イギリスの場合も、フランスの場合も、実はその本当の部分は解決できていないですね。だから、どちらをやっても、私に言わせれば同じ。この問題をちゃんと本当の意味で平等に扱う気がないのかどうかわからないけれども、結果として、それができない限りは、あの溝を埋めることはなかなか難しいと思います」
反町キャスター
「宗教的なマイノリティに対する寛容さみたいなものが社会にないと、ずっと起き続けるという意味ですか?」
宮家氏
「そうですね。ヨーロッパの方が、アメリカに比べますと、アメリカでも差別がないわけではないんだけれども、まだまだ私に言わせると、たとえば、平等性という点ではヨーロッパにはいろいろと問題があると思います」

『有志連合』は空爆強化?
反町キャスター
「宮家さん、ISを武力によって、何らかの形の武力によって追い詰めていくことが物事の解決になるのですか?」
宮家氏
「少なくとも軍事的に、もしくは物理的にはなるでしょう。ただ、それによって次の憎悪が…。次の反撃がくることは間違いない」
反町キャスター
「そうすると、新たなISをつくっていることにはなりませんか?」
宮家氏
「そうかもしれません。少なくとも現在あるものを止めたいのであれば、それはシリア、ないしイラクに対して、まともな政府をつくり、正規軍をしっかりと立て直したうえで正当政府に地域の全ての治安を、責任を持って担わさなければいけない。そうしないと。国がないですから。現在、事実上」
反町キャスター
「シリアには、ですね」
宮家氏
「イラクだって半分ないようなものですよ。そうであれば、そこに聖域ができてしまうわけですから。その聖域がある限りにおいては、いかなることをやっても、それは終わらない。本当に終わらせたい、もしくは少なくとも短期的でもいいから、ある程度の解決を見たいというのであれば、地上軍を出さなければダメです」
反町キャスター
「結果的に、それが新たなISをつくることにならないですか?」
宮家氏
「なるでしょう。モグラ叩きになるでしょう。何年でも何十年でもなるでしょう。そうでしょうね。冷たいけれど。だって、まだ残念ながら、現在のような状況で混乱が続けば、私に言わせると、イラクもシリアも、まだ過渡期の段階だと思っていて、私自身はオスマン朝がぶっ壊れているプロセスがまだ続いていると思っていますから。これがまだ完全に壊れ切っていないです。ですから、これから、完全に壊れ切って、新しい力がその空白を埋めていくプロセスが始まらないことには完全な意味での問題の解決にはならないと思う」
反町キャスター
「極めて強い宗教性と中央集権的な部分、権力構造というと、まさに、ISというのはもしかしたらそれを統合して何か広い範囲を統治しようとしている。そういうのとは違うのですか?」
宮家氏
「そうでしょう。だけど、ISのような人達が国民の大多数ではないです。むしろ、ほんの僅かな人達なので、普通の人達は適当に、ある程度、自由な、あんなに厳しい生活をしたくないわけですよ。ですから、世俗的なものもある程度、認めてほしい。歌舞音曲も認めてほしい。そうなれば、それを代表する政府が、ああいう偏った人達の意見というのは拒否をして法律に従って封じ込めると。それは残念ながら、サダム・フセインだってやったことで、ナセルだってやったこと。現在のサウジアラビア、エジプトだってやっていることです。それをやらないと、おそらく国というものが成り立たなくなってしまう。残念ながら、それが中東の現実だと思えば、それはどちらをとるかということです。それは民主主義ではないかもしれない。自由もないかもしれないけれど、独裁制の下で平和を求めるのか。安定を求めるのか。それとも、本当に自由にやらせてテロリストがはびこるような聖域を認めてしまうのか。どちらがいいですかという究極の質問になるわけです」
反町キャスター
「それは二択になっちゃうのですか?」
宮家氏
「いや、二択になっちゃうかどうか、三択、四択にしたいところですけれども、私は三十何年やってきて、どうも二択に最後はなっているような気がするんです。だって、エジプトがそうでしょう。エジプトが、アラブの春なんて…。僕に言わせれば、春はもともとないんだけれども、百歩譲って春が来たとしても、結局、何だかんだ言いながら、1950年代のナセル時代の軍事政権に戻ったではないですか。それを見ていると、どうも三択、四択というところはなくて、どうも大混乱か、独裁かと。その2つしかないのか、あなた達はと言いたくなっちゃうわけ。私が間違っていたら、間違っていた方がいいのですが、どうも三択にいかないです。ちょっと冷た過ぎるかもしれないけれども」

中東情勢の行方
反町キャスター
「希望も、身も蓋もない話に聞こえちゃうんですけれども」
小池議員
「私は、アラブの春が起こって、結局、エジプトがムスリム同胞団系の大統領になり、それがまた反対にあるナセル大統領を最も尊敬するというムルシー大統領になり、ある意味、振りだしに戻った。リビアについては、これはカダフィという、まさに、独裁者が息子に譲るという話で、ムバラク大統領もそうですけれど、ムバラク大統領は、自分の息子に権力を譲ろうとし、それから、カダフィも自分の息子達に権力を譲ろうとした。イラクのサダム・フセインも息子達に譲ろうとし、それから、バシャル・アサド氏はお父さんのアサド大統領から、ロンドンで目医者さんしていたのを急に呼び戻されて後継者になれということで、全部皆、後継者の選択からぐちゃぐちゃになっているんですね。後継者は、アラビア語でハリファと言いまして、カリフですよね、これが。だから、ISの1番寄って立つところは、自分達が正当なカリフだと言っているわけでしょう。ずっとアラブの春以降の問題というのは、後継が落ち着かない中で、これまでやったことのない、本当の選挙をやってみたりはするんだけれども、なかなか落ち着かない。ただ、アルジェリアは、いろんな、たとえば、1年間に1万人だ、2万人だと殺されるような内戦をやってきて、ようやく現在、強い大統領がいると言われればそうだけれど、病気でしたかしら。だけど、ようやくイスラム政党、FISというのを排除した、いろんなことを経てきて、ベストだとは言いませんけれども、ある種、戦い疲れをして、選挙などを繰り返しつつ、現在の体制をつくってきて、ベストだとは言いません。だけど、長い間、自国で戦いあい、戦い疲れてと、同時に、だんだんそれが雨降って地かたまるではないですが、だから、アラブの春の時は、アルジェリアは問題にならなかった。チュニジアもベンアリというのは自分の息子をたいそう可愛がって、大浪費をしたというのは、国民は皆知っています。あのへんは、あの時はかなり情報統制もします、こういった国々は。ところが、情報統制ができないのは、皆お喋りなのね、噂話とか、ジョークで紛らわせて、それがSNSという武器も持ってしまったわけです。それがいっぺんに、バーッと広がって、皆、嫌だという、とにかく変えたいという。それが、私はアラブの春だったと思うんですね。巡り巡って、全部カリフですよ、これは。後継者選びというのが、これがうまくいっていない」

『欧州難民問題』への影響
秋元キャスター
「今回のテロが難民流入の問題にどのような影響をもたらせているのでしょうか?」
宮家氏
「ヨーロッパというのは冷戦が始まって、米ソの間に弱い立場に置かれて皆バラバラだから、そうではなくて、一体になってEU(欧州連合)をつくり、NATO(北大西洋条約機構)をつくって、何とかがんばっていこうというところですよね。自由、民主主義、こういった理念をある意味で実現できたわけですよ。それは、もしかしたら、中東地域等の犠牲によってなのかも知れない。大航海時代以来、ずっとヨーロッパが中東を席巻して、植民地化して、その後、独立はしたけれども、そのツケはどこかでまわってくるわけですよね。いい例が難民ですよ。ヨーロッパの人口が減りました、そうしたら、移民を受け入れました。それでコミュニティができました。そうしたら、皆ヨーロッパに行きたいなと。そうすると、シリアがめちゃくちゃになれば、同時に、労働力不足から起きちゃった移民の問題がある意味で、バックファイアしている。全体を見ていると欧州と中東の長い過去数百年に渡る綱引きの一側面として、現在またヨーロッパのいいところがだんだん薄れてきて、中東の逆襲が始まっているような感じ。ツケをヨーロッパが払わなければいけない時代にきちゃっているような気がするんです」
反町キャスター
「未確認ですが、自爆したテロリストの1人がシリア国籍のパスポートを持っていた。どういう経路で入国したのかというのをトレースしていくと、シリアからギリシャを経由して、ギリシャに1回入ってしまったら、そこから先はEUの中でも域内の通行の自由があるので、シリアパスポートでギリシャに入国したら、そこから先はパリまで非常にスムースな動きがとれる。こういう状況的な証拠を見た時に、たとえば、現在のEUのシリア難民に対する姿勢とか、そういったものに対する影響が出てくると思うんですが」
宮家氏
「出てくるでしょうね。そもそも現在の状況というのは、冷戦が終わって、各国のある意味で、不健全な民族主義があるわけですよ。ハンガリーもそうだし、フランスも、ドイツも皆持っているわけですよ。スコットランドだって独立すると言っているわけですからね。そういうような醜い各国のナショナリズムというのが出てくると最初は排外主義なわけですよ。こういうものはやめようと。自分達は、クオーターは嫌だと。受け入れる数はゼロだと。こういうふうなことを言い出したら結局、EUの団結というか、統一というか、もしくは夢というものがだんだん内部から壊れていくと。それをおそらくがんばって維持しようとしているドイツは力がありますから、それはやらなければいけないんですけれども、果たしてフランスがこういう状況になって、ましてコミュニティがどんどん壊れていって、イスラムに対する反感が強まって、ヨーロッパ全体がもし排外主義的な醜い民族主義的な状況になるとまた戻っちゃうから、それをヨーロッパがどのような形で再建していくのかは非常に大事な問題だと思います」
小池議員
「オランド大統領は現在、支持率が13%くらいです。非常に厳しい中で、この事件が起こって、(移民を)より多く受け入れますというのは政治的にはかなり厳しいと思うんですね。それから、ドイツでありますけれども、メルケル首相は自らが東ドイツ出身ということもあり、非常に明確に受け入れをリードしましたよね。ところが、それぞれの地方選挙などもこれからありますから、そうなると、民意がいろいろと出てくると、受け入れしますというのはなかなか出にくいのではないかと思うんです。難民で出ている方達は本当に息を潜めて、そこで生きてきて、もうこれ以上というので、ゴムボートで渡ってくるわけでしょう。フランスのパリの状況に毎日接している人達ですよ。そういう中では本当に行き場がないということで決死の覚悟でやってきている。それがまた行き場がないということで、これは本当にこのまま終点というのはなかなか見いだせない。とりあえずトルコというのは1つ、受け入れに、地理的にも近いですし、逆にエルドアン大統領からすれば、私がちゃんと受け入れますよぐらいのことを、この間選挙も勝ったばっかりですし、受け入れのスポットとすれば、トルコは考えられるかなと思います」

米・露とシリア内戦
秋元キャスター
「アメリカのオバマ大統領とロシアのプーチン大統領が15日、G20首脳会合の際に会談しまして、シリアのアサド政権と反体制派の停戦協議入りで合意しました」
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シリアをめぐる多国間外相級会合のポイント
・アサド政権と反体制派が参加する停戦協議を年内に始める必要性で合意
・暫定政権を半年以内に発足させることへの支持を再確認
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宮家氏
「ISに対する空爆と言っても、やっているんだけれども、あまり本格的にやっていないようです。どちらかと言うと反体制派に対する空爆の方の回数が圧倒的に多いと。もちろん、『イスラム国』、ISの中にはチェチェン人もいますから、ロシアとしてはやっつけたいのだけれども、要するに、空爆を真面目にやっていないとしたら、アメリカとロシアの利害関係というのはほとんど共通点がない。敢えて言えば、ISはけしからんと。何とかしなければいかんよねというところでは共通だけれども、あとは同床異夢ですよね。本当にアメリカとロシアが真剣にこの問題を解決しようとし、じっくりと事務的な議論をしたうえで積み上げてきたのだったら、絶対にちゃんと会議場でやりますよ。だけど、それができないということは、おそらくプーチンさんはアメリカを困らそうと思ってやっているわけですから、半分は。ですから、オバマさんがちょっと話をしたいとやったのであれば、結局プーチンさんにやられている。アメリカ、がんばれと私は言いたい。私に言わせれば、要求するのはいいけれども、だったらもっと行動を起こせよと」

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の提言:『国家の再建』
宮家氏
「どんな人がやるにせよ、シリアとイラクが壊れちゃっているわけですからね。そこに政治がある限り、『イスラム国』であろうが、ISであろうが、アルカイダであろうが、皆その人達は必ず出てきます。逆に言うと、この再建がうまくいけば、しっかりした中央政府ができて、治安が維持される。これが基本中の基本で、これをやらない解決策というのは全て短期的なものでしかないと思います」

保坂修司 日本エネルギー経済研究所中東研究センター副センター長の提言:『リハビリ』
保坂氏
「事件そのものにフランス人の若者達が関わっていたとするならば、その過激化した若者達をどのようにして洗脳を解いて、脱過激化させて、社会に復帰させていくか。これによって、おそらくかなりの部分の過激な若者達が実社会で普通に生活できるようになっていくのではないかと。そこにはある程度、日本も貢献できる部分があるのかなと思っています」
反町キャスター
「文化政策、雇用とか、経済的な、実利と宗教的な部分、両方でいく?」
保坂氏
「基本的にはそうです。たとえば、イスラムの法学者がイスラムの正しい教義をきちんと教える。それと同時に、彼らの悩みをちゃんと聞いて、たとえば、心理学者とか、そういう人達が関わって、さらには職業訓練をして社会に復帰させていく。そういう作業が現在問われてきているのかなと。実際、東南アジアでは、軍事作戦も重要ですけれども、こういったソフトアプローチが注目を集めてきているという状況だと思います」

小池百合子 自由民主党衆議院議員の提言:『新たなテロリストを作らない(教育)』
小池議員
「新たなテロリストをつくらない。そのためには教育ということになるのではないかなと思います。フランスの人類学者のエマニエル・トッドと言う人が、教育すれば余計にテロリストにいく可能性もあるとか、人口問題についても触れていますけれども、しかしながら、たとえば、私は現在、難民の子供達とか、それから、難民の方々は仕事もないし、それから、特に子供達が教育を受けられるような状況になっていないです。ですから、私は、日本はあれもこれもやるのではなくて、そういう子供達への教育というのを一点突破主義ではないですけれど、それをやることが教育100年の計ですけれども、現在の難民の子供達が教育を受けられないままISのような組織からお声がかかれば行っちゃうよというようなことになれば、いつまで経ってもエンドレスですよね。ですから、日本のメッセージとして、中東の国々も含め、難民対策として、日本は特に初等教育ということに徹するというのも1つかもしれません」