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2015年11月5日(木)
『歴史と外交』の本質 元朝日新聞主筆の直言

ゲスト

岡本行夫
外交評論家
若宮啓文
元朝日新聞主筆 日本国際交流センターシニア・フェロー

岡本行夫×若宮元朝日新聞主筆 検証・日中韓首脳会談
秋元キャスター
「今回、およそ3年半ぶりに行われた日中韓首脳会談ですけれど、発表された共同宣言の要旨ですが、歴史を直視、未来へ前進との精神の下で、3か国が関連する諸課題に適切に対処をする。日中韓サミットの定期的な開催を再確認。さらには、日中韓FTA(自由貿易協定)の交渉を加速。北朝鮮の核兵器開発に反対し、早期の6か国協議を実現、ということなどが盛り込まれたんですけれども、まず岡本さん、今回の日中韓首脳会談を率直にどう評価されますか?」
岡本氏
「5年間、これまで5回やってきたんですよね。それで、3年半ブランクがあって、今回、第6回目ということで、元の場所へ移ったということ、進んだということですね。だけれど、最後に日中韓の首脳会談が行われた2012年から見ますと、随分その背景にある構造様式というのは変わったなという感じがします。要するに、中国に習近平さんというかなり強権的な主導者が現れ、韓国も朴槿恵大統領という相当に日韓関係については硬直的な大統領がきて、しかも、中国と韓国のナショナリズムがその背後で燃えたぎっているわけですね。その間に日本の経済的な地位というのは相対的に後退しちゃっている。もはや日本は世界ナンバー2のGDP(国内総生産)を持たなくなってきているという中で、元通りの形での日中韓の首脳会談というのは。そこは再開されたことは良いことだけれど、さあ、これからどうなのだろうと。これまでほどの、これでまた明るいことが起こるのかという期待感はあまり持てないでいるんですけれども」
若宮氏
「今度の意義は、3年半ぶりにやったこと、それ自体と、よく言われるんだけれど、一応、とにかく定期的に来年からも続けようというところを合意したわけですよね。その合意の裏にはこの3年半のうちに現在おっしゃったような大きな流れはあったんだけれど、3年半の中に何が阻害要因になっていたかということ。何でできなかったのかということを考えると、従軍慰安婦は背景にはあるけれども、直接ではないですよ。まず、李明博さんが竹島へ行き、これは3年前の夏ですね。それから、尖閣の国有化を巡る、国有化の判断の是非は別としても、少なくとも中国から見ると非常に刺激的に映って、それが大暴動になったわけでしょう。それで日中関係が悪くなった。さらに、日本に安倍政権という1番右の政権ができ、村山談話を見直したいとか、それはこの間の談話で1つの決着になったかもしれないけれども、少なくとも靖国神社の参拝をやったわけですよ。だから、それや、これや、がヒートしているうちはとても開けるような環境になかったということだと思うんですよ。と言うことは、逆に言うと、これから続けましょうねという時の含意として、暗黙の、そういうことは慎みましょうと。少なくとも朴槿恵さんは竹島へは行く気はない。それから、尖閣でもこれ以上、極端な刺激とか、あるいは暴動はやらないということ。それから、安倍さんは靖国参拝を、退任前にはやるかもしれないですけれど、少なくともこの会談をやろうと言う時にやれないでしょう。そういう含意が書いていないけれども、裏にあるということですよ。それが大事だと思う」

日韓のトゲ『慰安婦問題』
秋元キャスター
「今回の日中韓首脳会談の共同宣言には、中国と韓国が求めた、歴史を直視するというキーワードが盛り込まれましたけれども、日韓関係のトゲとなっている、いわゆる従軍慰安婦問題について、安倍総理は日韓2か国の首脳会談のあと、このように発言をしています。日韓国交正常化50周年であることを念頭に、できるだけ早期の妥結を目指して交渉を加速させていくことで一致したと。この慰安婦問題がトゲとなって、日韓首脳会談すら行われない状態が長く続いて来ましたけれども、岡本さん、今回の会談で、この問題解決に向かって前進したと見ていいのでしょうか?」
岡本氏
「前進したと思いますよ。これは日本がゼロ回答のままいくということではないですよね。お互いにこれからやっていくということですからね。ただ、韓国が、要するに、譲るところというか、前に出てくるところというか、そこまでしか行けないですね。日本側がいくら言ったって、向こうは結局、最後は市民団体が納得しないからと言って隠れてしまいますから。金大中大統領の時に、1998年でしたか、彼が来た時に日本の国会で歴史的な演説をやって、日韓は歴史問題に終止符を打とうと言ってくれたと思ったんですね。あれで私は感動して演説を聞いていたんですけれども、いつの間にか引っくり返されているわけでしょう。俗にゴールポストをずらすという表現がありますけれども、これまでだって日韓で当局者達は随分、ゴールに近いところまで来ているんですけれども、しかし、それをまた引っくり返されて、ゴールポストがずれていっている」
若宮氏
「金大中さんと小渕さんの共同宣言というのは、私も非常に国会演説も感動したし、あれで本当に良い時代になったなと思いましたよ。それがどうしてこうなったのかというのはもちろん、向こう側にも原因はあるのだけれど、向こうから見ると、どうして共同宣言のあとに小泉さんが靖国参拝を始めたのかとか、あるいは村山談話が宣言に盛り込まれているのに、その談話を塗り替えたいと言うのか。だから、向こうからすれば、ある人は言うんだけれども、ゴールポストを動かすと言うけれど、日本はセンターラインを動かしているのではないかと言うんですよ。うまいことを言うと思ったんですけれども、そういう部分もあるんですよ。1990年代の謝罪の歴史を見ると、あれだけ謝罪をしたのに、あなた方は何だというのと同時に、向こうからするとあの謝罪は全然生きてないではないかという。だから、お互いに、その悪循環の中で、慰安婦問題というのはその中で非常に象徴的に盛り上がっちゃったんだと思うんですよ。今度の会談はある意味、良かったなと思うのは、1つは、国交正常化50周年であることを念頭に、という文言。これは、朴槿恵さんが今年中にけりを着けましょうと、強く言ったわけです。それは期限を切るのは無理だよと、安倍さんがんばったでしょう。だけれど、しかし、50年を念頭にと言うのだから、そういうことは理解をしたうえでやりましょうということですよ。それから、その前段に大事な文言があって、将来の世代の障害にならないようにしましょうという、これは両方の意味があると思うんですよ。それは、1つは、安倍さんもいろいろ理屈を言いたいことはあるけれども、だからと言って、将来世代まで、これを引きずっていくのは良くないから、ある程度、決断する用意があるということを安倍さんも匂わし、だけれど、朴槿恵さん、あなた、ここで日韓が合意したことがまた、それこそゴールポストが動くということなら、私だって決断できませんよと。そういうことを言ったんだと思うんです。そういうところである程度、気持ちが通じたのではないのかと。だから、会談の雰囲気が比較的良くて、官房副長官の萩生田さんは1番、向こうから見ればとんでもない人だと思われている右の人が同席をしていたのでしょう。それが、胸襟を開いて話し合えば、通じ合うところがあるというコメントをしているではないですか。これは非常に可能性を見た。じゃあ、挺隊協がOKするかという問題はありますよ。だけど、朴槿恵さんが問われているのは、まさに、それでゴールポストを動かさないためにはこの政権で合意をしたことが次の政権まで生きていかなければいけないわけでしょう。そのためには挺隊協が渋々でも、これを飲んだという形でないと将来、また再燃する可能性があるわけですよ。だから、そこまで含めてやってくださいよということを安倍さんが言ったんだと思いますよ。それは正しいと思うんです、そうだとすれば」
反町キャスター
「岡本さん、日本はこれまでの慰安婦協議でセンターラインを動かしてきたのですか?僕は現在の若宮さんの話を聞いて、えーっと思う部分もあったんですけど、日本はセンターラインを動かしてきましたか?」
若宮氏
「だって、靖国では、紙には書いていないけれども、中曽根さん以来、総理大臣、外務大臣、官房長官は行かない、というのが不文律になってきたわけでしょう。それを動かしたということですよ。1つ言えば。そういうこと」
岡本氏
「ただ、靖国というのは、韓国がそんなに問題にしましたかね。あれは日中間の問題であったわけですね。慰安婦は日韓間の問題。それが現在は中国と韓国は共同戦線をとりましょうということで、中国も慰安婦問題でいきり立って、韓国も靖国でいきり立ち。ですから、靖国参拝がセンターラインを動かしたという捉え方はあまり納得できないけども」
若宮氏
「靖国参拝だけとは言っていないけれども。教科書(問題)にしても、日本には日本の言い分があるかもしれないけれど、近隣(諸国)条項を止めようとか。近隣(諸国)条項というのは歴史教科書問題の時につくったものでしょう」
反町キャスター
「配慮をしようとね」
若宮氏
「それが自民党の選挙公約で、あれを見直そうとか、出てきているではないですか。そういう、だから、1990年代までのいろんな約束事を少なくとも見直そうという動きが最近少なくともあったということですよ。そういうことを言っているんですよ」
秋元キャスター
「日韓関係改善のトゲとなっている慰安婦問題について首脳会談のあと、日本側からこういった発言が出ています。政府関係者によりますと、慰安婦問題は、日韓基本条約で解決済みとし、補償という解決済みの問題と、人道的見地に立ったこれからのフォローのあり方についてすみ分けをしていると。また、今週の月曜日のプライムニュースで、安倍総理は、互いの国民が完全に納得できるということは非常に難しいが、交渉を続けていく中から一致点を見出すことができる、と発言をしています。岡本さん、この日本側は人道的見地に立った対応を検討するとしていますけれども、どういうことが考えられるのでしょうか?」
岡本氏
「新しいことは、日本は条約できちんとあそこまで書かれているんですからね。それから、議事録とか、何とか、いろいろあります。動ける余地というのは少ないですよ。だから、人道的な見地ということで、この間やったのはアジア女性基金ですね。ですから、あれをもう1度、ああいうオペレーションをやるということかなと思いますね」
反町キャスター
「同じことでも良い?」
岡本氏
「同じことでも良いと思いますね。だって、我々はお金がないわけですからね。政府のお金をもっと入れてですよ。だから、国家賠償ということにはならない範囲でね。ただ、それにしても、朴槿恵大統領がこれで終わりにしましょうと言ってくれるかどうかですね」
反町キャスター
「若宮さん、人道的な見地に立ったフォローのあり方。どんなのがあると考えますか?」
若宮氏
「それは、だから、アジア女性基金がそれだったわけですよね」
反町キャスター
「でも、あれは足りないと、挺隊協のいろんな妨害もあってダメだったですよね?」
若宮氏
「足りないというか、なくなっているから。ただ、人道的という言葉を挺隊協がすごく嫌ったわけですよ」
反町キャスター
「国家としての賠償、謝罪じゃないとダメだと?」
若宮氏
「うん。だけど、そこは文言の世界だから、人道的だと言われるのが嫌だというなら、何か考えればいいんだけれども。いずれにしても、女性基金をもう1度と言っても時間はかかるし、民間だって、もうね。そうではなく、国家賠償ではないけれども、国家の予算で出しますと、これまで出してきたアジア女性基金並みの。実はアジア女性基金で出しているのは1人頭200万だけれども、その上に300万、政府が上積みしているんですよ。医療補助みたいな形で。だから、現実には相当、税金でやっているわけね。だから、そこは安倍さんも、おそらくこれは毎年、そういう予算を積み立てたんですよ。そういうものを使えば、かなりのことができるはずなので。ただ、それで向こうが納得して良いよと言ってくれないと。最近はさすがに世論の中も少し変化があるんですね。だから、本当に棒を飲んだようなことでなくてもそれなりの解決があればいいのではないかという人達も出てきているし、マスコミ論調も多少、変わってきているから、安倍さんが1番、この問題で強固な立場をとってきた人だけに、向こうからすればあの安倍さんがそれでもここまで折れてきたかと思わせて、それで、朴槿恵さんが向こうもこれだけ折れたのだから、こちらもこのへんでいろんなことを考えて、満足ではないかもしれないけれども、これはちゃんとしましょうよというような。そこに持ち込めるかどうかの勝負ではないでしょうかね」
反町キャスター
「それは金額ではなくて、表現ですか?」
若宮氏
「金額はアジア女性基金並みでいいかと。全然向こうは金ではないと言っているわけだから。それで総理大臣の手紙というものがありますよね。そういうものをもう少しオープンに出す、あるいは慰安婦のおばあちゃん達に、直接、総理というわけにはいかないかもしれないけど、それは大使でも、あるいは日本の誰かが特使で行って、直接、その慰労をしながら渡すとか。そういうことで、何か知恵を出すのがいいのではないかなと」
反町キャスター
「そういうこと、ヒューマンタッチなもので済むかどうか。たとえば、挺隊協というのは、いわゆる生活の基盤になっている人達がいるのではないかという指摘がありますね。挺隊協活動によって生活の糧を得ているような人達にとっては何が大きいかと言えば、反対すること、運動の継続が最大の目的と化していると。ここの指摘。僕は根拠がないので、そういう話があるので聞いているだけですけれども、どうですか?実感、そういうのがあるのですか?」
若宮氏
「いやいや、それはちょっと言い過ぎだと思いますよ。生活の糧と言うよりも、それが生きがいになっているとか、という人はいるかもしれない」
反町キャスター
「挺隊協が生きがい。反日活動が心の支えの方ですね?」
若宮氏
「そうですね。つまり、解決されちゃったら、中途半端な解決をされたら困るという人はいると思いますよ。だけど、では、それが全てかというと、必ずしも、そうではないと思いますよ。おばあさん自身がそうでない人が、かなりいると思いますよ。現に、これまでだって50人、60人の人が受け取っているわけだからね。だから、これから余命、そんなにないわけでしょう。その時に恨みを抱えて亡くなっていくのか。それとも何らかの恨みを解いて亡くなっていくのかというのは、そのおばあさん自身の生き様、最後の。そこでまったく納得のできてないもので、納得させようというのは無理かもしれないけど、そこそこいろんな状況をつくって、そこに大統領も関与をすべき。おばあさん達を大統領が慰労すると。だから、首脳同士の心の通い合いというのがすごく大事だと思うんですよ。だから、首脳会談をやれと。朴槿恵さんにも最初から解決できるならやるというのでは話にならないから。とにかく会って、少し心を溶かすような話し合いをすればいいのではないかと思ってきたんだけれども、今回はどこまでの話だったのか見ていないからわからないけれど、少しそういう感じがするので」
反町キャスター
「ゴールポストの固定化というのは、どうすればできると考えますか?もうこれでおしまい、打ち止めという意味。どうすればできますか?」
若宮氏
「挺隊協の、少なくとも体制」
反町キャスター
「そこに手をつけないといけないですね」
若宮氏
「そこに手をつけなかったら、だって、いくらこれでいいでしょと言ったって、受け取らなかったら終わりでしょう」
秋元キャスター
「それをやる力が朴大統領にはあると見ていますか?」
若宮氏
「あるかどうかはやってみなければね。お父さんは軍事力でやったかもしれないけれども、お母さんは国民の母と言われて、非常にそういう国民の心を捉えた人なんですよ。だから、朴槿恵さんは現在、軍事力の時代ではないのだから。言葉の力。それから、女性だからこの問題にきついという部分があるわけでしょう。だけれども、逆に言えば、女性として、母性を発揮してね。母性というのも変だけれども、おばあさん達を慰撫するようなことをしながら、僕はやってほしいという期待ですよ」
岡本氏
「元慰安婦の人達、ご本人というのは、若宮さんが言われた通りですよ。その人達が、私はこの問題でもう日本を許しましたと言ってくれるかどうか。いや、この問題は終わりにしましょうと言ってくれるのかどうかが決定的に大事ですね。あの方達がいなくなってしまったあと、それは遺族とか、子供達がいくらやってみても、それはインパクトがないですね。だから、そういう意味では、これはいつまでも長く延ばしてやっていく話ではない。できるだけ早くわ、あの人達がご存命中に解決すべきことだと思いますよ」

『南京事件』世界遺産登録の波紋
反町キャスター
「ユネスコの世界遺産登録ですが、国際機関を利用して、南京事件に関してはどれくらいの規模、死者が出たことなんかについても大きく見解が分かれる中で、見解がわかれる事柄を国際機関の決定プロセスを利用して既成事実化していくような手法にも見えるのですが」
岡本氏
「中国がやったことは品がないですね。ユネスコの記憶遺産というのはこれまで300以上あって、私も一応ざっと興味を持って見ましたけれども、そこに戦争犯罪に関する登録なんてないですよ。だいたい宗教文書とか、考古学的な歴史文書とか、そういう本来のユネスコとして記憶すべき遺産がずっとある中で、もちろん、ナチスの犯罪についての登録もない、そこへ南京事件は非常に唐突な感じですね。しかも、そこへ中国側の言い分だけが登録されている。日本が怒るのも当たり前だと思うんです。それでユネスコは大変おかしなことをやったと思いますよ。日本が抗議をするのは当然だと思いますね。ただ、この根っこは、そう言えば、ユネスコにこういう制度があるから南京事件も一丁言ったれ、というような話ではなかったと思うんです。中国はもう少し非常にシステマティックというのか、体系だった戦略的な彼らの運動方針のもとにやっていることです。現在だって中国の大使がアフリカに行って、南京事件のむごたらしい写真をアフリカの人達に見せているわけですね。アフリカの人というのは日本と中国が戦争をしたことすら知りません。その人達にまったく新しく80年前近く前の事件を見せ、日本はこういう国だぞと、気をつけた方がいいよとやっているわけでしょう。何のためにやっているかというとそうやって日本の非人道的な面をことさらに強調して日本を孤立させて、自分達はそれを非難する側に身をおいて、自分達は民主的な近代的価値を信奉する国だと印象づけようとしている。こういうことです。そうでなければ、アフリカでわざわざ日本の悪口を言って歩く理由なんてありませんからね。ですから、ユネスコの話も中国の世界的なキャンペーンの一環なので。根っこから変えさせないといけませんね。彼らがこの問題はこれ以上問題にしないと、いつなってくれるかわかりませんよ。でも、そちらの方向へ持っていくという大きな流れの中でなければ、1つ1つ日本が抗議するのは当然としても、対応していても埒が明きませんね」
反町キャスター
「中国の世界規模の情報戦というのをやめさせる方法というのは、出たところを1つ1つ叩いていく以外に、根っこを押さえる方法はないではないですか?」
岡本氏
「国際世論が中国から離れればいいですね。現に私がアメリカをずっとまわって、日本の立場を説明してまわっていますと、アメリカのマスコミは、我々は日本の方が好きだと、日本は穏やかだし、言っていることのバランスもとれている。そこへ行くと中国はあまりにも高飛車で高圧的だし、韓国はあまりにも感情的、情緒的だ。我々は彼らの言動というのに動かされるよりは、日本に寄り添いたいと。ただ、それを日本が挑発的な行動をとる、言辞を弄するから、我々としては向こう側につかざるを得ないという話をしますよ。アメリカのメディアというのはご承知の通りユダヤ系の人達が多いですから。ユダヤ系の人達は先見的にホロコースト、つまり、ナチスのユダヤ人虐殺の問題が頭にありますから、皆DNAの中にありますから、こういう戦争犯罪については先見的に無条件に被害者の方に身を置くわけです。ですから、慰安婦問題であれば韓国の方が正しい、南京問題であれば、中国の言っていることが全て正しいという方向に流れてしまうので、そこへ南京問題について日本がどれだけ抗弁できるかわかりませんけれども、現在の日本の平和的な生き方を見てくれと。80年前のことで、いつまで国家間がこれほど悪い関係にあるのかということを、だから、アメリカのメディアもあまり煽らないでくれと、そういうラインの日本からの逆PRですよね。そういうことでアメリカは中国が何を言ってもまたかと思っていけば、中国の現在のキャンペーンも空振りに終わっていくのではないかと思いますね」
若宮氏
「世界遺産そのものに原爆ドームが入っているわけですよ、戦争の。それは別に日本はアメリカへの恨みとしてやったものではなくて、人類の究極の危機の将来を伝えるという意味で、悲劇の象徴として世界遺産に登録したわけですよ。あの時だってアメリカは反対したんです。だけど、登録になったでしょう。中国からすると、日本はそれに象徴されるように戦争の結果の被害の面ばっかり強調して、加害のことを忘れ、自分達が被害者面しているのではないかというように見るわけですよ。それは違うよ、広島はそういうことではないと。別にそれで日本人は酷い目に遭いましたということを訴えているのではなくて、人類への教訓として訴えているんだと言いますけれど、だけど、それはどうしてそうなったのかと言えば、日本が散々なことをした結果、正しい報いだとは思いませんよ。だけど、もっとはやく戦争をやめていれば良かったのだし、あんなことにはなっていないし、その前に散々やってきたことは事実としてあるわけですよね。だから、そういう大量虐殺的なものであれば、南京が1番、大虐殺あったではないかと。そのことについて日本も常識的な人は、30万人はちょっといき過ぎだろうけれど、どんなに少なくとも数万単位であっただろうと。学者によっては20万人ぐらい裸で認めているわけです。だけど、どうもその日本から聞こえる声は、あれは全部でっち上げだというような声が結構伝わるわけですよ」

日本が描くべき『外交観』
秋元キャスター
「日本にとって対アジアと、対アメリカ、そのバランスはどうあるべきなのか?」
岡本氏
「航行の自由をはじめとして、日本が、現在の中国に危惧感を持っている国々と仲良くし、支援をするということは、これはアメリカとしても非常に歓迎するところですから、つまり、日米関係の強化と、アジア諸国との関係の強化というのは、現在の段階では並立するもの、両立するものだと思います。たとえば、現在マラバール演習というのをやっているんです。これ何かと言うと、アメリカ海軍とインド海軍がインド洋で共同演習をやっているんですね。そこへ日本も入っているんですね。それで、私2週間前にインドにいたんですけれど、どこへ言ってもマラバール演習に日本が入ってきたことを大変感謝すると言うんです。日本のアジア外交というのも単にASEAN(東南アジア諸国連合)諸国と仲良くするというだけではなくて、それは大事なことですけれど、いろいろと重層的な取り組みが必要で、これは何も一から十までアメリカと歩調を合わせてやる必要はないのですが、結果的に現在の中国の膨張政策のもとでは、日本とアメリカというのは補完的な政策をアジアでとっていることになると思いますよ」
反町キャスター
「菅官房長官が『南シナ海における自衛隊の活動は今後十分に検討していくべき課題だ。現在、米海軍が行っている
「航行の自由作戦」
に自衛隊が参加する予定はない』と発言しています」
岡本氏
「その通りではないですか。今後十分に検討する課題だと。中国に対する牽制にもなりますし、でも、現実に南シナ海で何ができるか。これは非常に少ないし、やるべきでないかもしれませんね。日本の護衛艦は海賊対策で航行していますし、アメリカの艦船と併走する、そのくらいのことはやってほしいと思います」
若宮氏
「本当に南シナ海でパトロールをやるようになれば、中国はアメリカには簡単に手出しはできないけれども、日本にはどういうちょっかいを出すかはわからないですよ。だから、危険だと思いますね」

外交評論家 岡本行夫氏の提言:『国際世論を味方につけよ!』
岡本氏
「日本は中国と話し合わなければいけない、韓国と話し合わなければいけない、その通りですけれども、埒が明かない部分も随分あるんですね。要は、国際世論が中国、韓国につくか、日本につくか、これによって単に日本が国際社会から認知を受けるということだけではなくて、中国、韓国の姿勢にも柔軟化が見られるわけです。ですから、日本は中国、韓国の正面からだけではなくて、世界の世論に、と言っても結局、主戦場はアメリカ、ヨーロッパになりますけれども、そこで日本の立場をキチッと、彼らがわかる回路で説明していくべきだと思います」

若宮啓文 元朝日新聞主筆の提言:『それでも三兄弟』
若宮氏
「敢えて日中韓はいろいろあってもやっぱり三兄弟ではないかと。これは歴史的に見ても、だって西洋の影響がくる前まではこの世界というのは家庭の中の兄弟みたいな関係だったわけですよ。それは、教える、教えられることもあれば、いがみ合って、殴り合うこともある。兄弟喧嘩だって激しくするわけですよ。場合によっては骨肉の争いにもなる。だけど、民族的にも文化的にも1番近い国でしょう。漢字文化圏だし、宗教だって近い。幸いなことにイスラムと違うのは宗教上の争いがないわけですよ。そういうことをもう少し自覚して、日中韓サミットの必然性というのは近さにあるわけだから、いろんなことはあってもその原点を忘れないで、うまくやると。悪いことは兄弟でたしなめると。そういう関係であるということを根っこに据えないといけないと思います」