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2015年11月3日(火)
『慰安婦』交渉加速へ 日韓関係改善なるか

ゲスト

武見敬三
自由民主党参議院議員
金慶珠
東海大学教養学部国際学科准教授
三浦瑠麗
東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員

3年半ぶり首脳会談 日韓は歩み寄ったのか?
秋元キャスター
「昨日行われました日韓首脳会談で、いわゆる従軍慰安婦問題について、できるだけ早期の決着を目指し、交渉を加速せることで一致しました。安倍総理は、首脳会談のあとのインタビューでこのように話しています。『率直な意見交換ができたと思う。慰安婦問題については未来志向の協力関係を構築していくうえにおいて、将来世代に障害を残すことがあってはならないと考えている。国交正常化50年の年であることを念頭に、できるだけ早期に妥結を目指して、交渉を加速させていくことで一致をした』ということですけれども、一方、朴大統領は、会談前に行われた日本メディアの取材に対して、いわゆる従軍慰安婦問題について、今年中にこの問題が解決することを、心から望むと応えていたんですけれども、まずは武見さん、今回のこの日韓の首脳会談実現に向けては、日韓どちらが歩み寄ったと思われますか?」
武見議員
「これは、私は、その大きな環境要因として、世界的な経済の景気後退の流れ。特に中国経済の構造的な退潮。同時に安倍外交の主体的な体制の確立、安保法制ができて、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の形が整って、ある意味で確立をしてきたと。それによる最初のまさに日中韓の3者の首脳会談であり、日韓会談であり、日中会談であったという、私は見方をしていまして、昨日のプライムニュースに、安倍さんが出られた時の語り口だとか、表情を見ても、私はとっても自信を持っておられるととても感じました。従って、一言、一言、ご自身のおっしゃる言葉に、ちゃんと自分自身が信頼をして、納得をして、喋っておられるところがありましたから、安倍さんは相当、構造的な形を整えて、こうした首脳会談に臨み、率直な意見が交換できて、おそらく朴槿恵大統領との間にも、ある程度は個人的な信頼関係をつくることができたという、感触が得られたのではないでしょうか。そのうえで、これからの従軍慰安婦の問題についての議論が進められる。ただ、過去に9回実務者会議をやって、徹底的に細かい詳細な打ち合わせをやりながら、結局は合意に達することはできなかったわけですから、この先はもう政治決断で、どういう形になるかという段階に入るので、それができれば、あとは早いでしょうね」
反町キャスター
「その政治決断というのは、つまり、政治的に日韓の請求権協定、諸々の手続きで政治的に決着をしているというところから、何らかの形で踏み出す、日本側も踏み出さざるを得ない?」
武見議員
「これは日本側が踏み出すのと、韓国側が歩み寄るのとおそらく両方なければいけないことで、その感触をおそらくはある程度は掴めたのではないか。そうでなければ、ここまで交渉を加速化して、早期に妥結を目指すというところまでは本来おっしゃらないはずだと私は思います」
秋元キャスター
「金さん、従軍慰安婦問題の早期妥結で一致したということについて、どう見ていますか?」
金准教授
「最小限の進展はあるだろうという予想はあったのですが、いざ、安倍総理の発言をお聞きすると、積極的に評価できる進展ではないかという感じはしました。慰安婦問題、実は局長級クラスの会合もそうですが、水面下で様々な動きがあって過去、朴槿恵大統領が9分目まできているという発言もありましたけれども、水面下で、いったい何がどういう方向で話しあわれているのかということに、総理自らの声で語ったということは大きいと思います。今回、本来ならば韓国の一部報道では早期妥結に向けた具体案が協議され、合意されるはずだったんだけれども、そこまではいかなかったと。当初30分の予定だった少数会議が実は1時間に延びたということは安倍総理も自ら行って確認したかったというところはあるんでしょう、相手の本気度を。これは朴槿恵さんも同じだと思います。ですから、そういう意味では、それなりの感触を得た会合であり、そのあとの安倍首相の一連の発言ではないかと思います」
秋元キャスター
「三浦さん、今回の首脳会談をどのように見ていましたか?」
三浦氏
「これは、会ったことだけで成果だと私は捉えています。つまり、会えなかった日韓関係というものが異常なのであって、首脳が会えないと実務レベルの協議というのも、何かその合意できないことができた時に止まっちゃうんですよね。だから、韓国は、経済は別だとか、慰安婦、歴史問題は脇に置いて、こちらは対立するけれども、経済は協力を進めるというツートラック戦略を言っていたけれども、ツートラックが機能しないほど、慰安婦、歴史問題が別のトラックを邪魔していたという状況なわけです。だから、会っただけでも非常な成果だと私は思います。と言ったうえで、慰安婦問題について、先ほど伺っていたお二方の意見よりは、私は悲観的ですね」
反町キャスター
「韓国側は年内妥結に向かって努力をしますと。日本側は期限を切っていないけれども、全力で取り組みますと。そのへんのところの落としどころ?」
三浦氏
「穿った見方をすれば、これは同床異夢という状況を人為的につくり出し、韓国はこういうふうに考えている。日本はこういうふうに考えている。だから、合意できないものはいつ解決するかという時間的な問題だから、それはちょっと誤解があったようだね。だけど、選挙までは韓国が雪崩込めるし、他方、経済分野で協力を進めて、軍事でも相当の成果を出して、これで責任ある政党ですよということができる。他方、日本は別に解決する、日本側から見れば、法的な問題は、つまり、日韓基本条約1965年時点の解決を日本はしているという立場なので、その後どういう支援をするかということに関してはお詫びの手紙とかも含めて、既に模索されたアジア女性基金というものがある。そこに立ち戻るのであれば、日本はいつでも歓迎なわけですね。だから、年内にというのは日本に対するプレッシャーというよりも、どちらかと言うと韓国に対するプレッシャーですよ。だけど、日本がそれにあまり思ったほど応じてくれなかったねという、何らかの絵図というものを、朴大統領は国内向けに言えると。そういうことだろうと思いますね」

安倍首相の発言
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安倍首相の発言
お互いの国民が完全に納得できるということは非常に難しいわけだが、その中で、交渉を続けていく中から、一致点を見出すことができると。この交渉をしっかりと進めて行こうということで、加速させていこうということで一致をした。
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秋元キャスター
「この発言は、日本のメディア以外に韓国聯合ニュースも、韓国の外交関係者も注目している発言として取り上げているんですけれども、武見さん、安倍総理のこの発言をどう見ていますか?」
武見議員
「安倍総理としても現在の時点で発言できるギリギリのラインをおっしゃっていたわけです。だけど、そこには極めて積極的に何とか解決しようという姿勢をお示しになった。ただ、実際の中身についての具体的な協議は休会の実務者協議の間で、もう既にデッドロックにあって、問題点も全て確認をされていると。従って、この先の政治決着をする場合の基本はどこにあるのかという時に、安倍総理ご自身が日韓の基本条約や請求権協定に関わる取り決めというものを通じて、既に完全に全ての課題については解決されているという立場を踏まえながらも、どこまで韓国側との間に調整ができるのか。その時の基準の大きな新しい柱は、おそらくは将来の世代に、こうした歴史課題を残さない。その担保がどこまできちんと確保できるかというところにかかってくるのではないかなと思います。難しいのは政権が変わるごとに韓国というのは原則も全部変えちゃって、たとえば、金大中さんが日本を訪問された時にも、実際にここで歴史問題には決着をつけましょうというので、国会で素晴らしい演説を金大中大統領がされました。私はそれを聞いていて、良かったと心の底から思ったもの。でも、そのあとまたこれでしょう。だから、政権が変わる度にこう蒸し返されるという状況というのも、どういう形でそういうことがないようにできるかということは、韓国側からちょっと知恵を出していただきたいと思いますね」
金准教授
「韓国は、政権が変わる度に、過去の歴史に対して何か過去の政権と違う話をしている。いわゆるゴールポストを動かしているという議論が常にありますが、たとえば、この慰安婦問題だけを見てみますと、1993年、お互いの政府間で一定の合意があったと。それ以降、韓国政府は一切、この問題に対して、日本政府に何かを要求したりしたことはありません」
反町キャスター
「要求はしないけれど、考えなさい、考えろと言っているではないですか。解決策を考えるのはお宅らだと言っているでしょう」
金准教授
「違います。韓国の国内で、それこそ挺隊協をはじめ、いろんな市民団体などの声があったのは事実ですけれども、その度には韓国政府はある程度、それを抑えながら、日本との関係を優先してきたんですね。ところが、そうなると、市民団体の人がいわゆる憲法裁判所に政府を訴えると。そこで実際、2011年に韓国の憲法裁判所がこういう課題があるにもかかわらず日韓基本条約の第3条に基づいて外交的に努力を傾けないのは、これは不作為の違法であると、違憲であるという判断をくだした。となると、韓国も民主国家ですから、そういった憲法裁判所の判断に韓国政府としても動かざるを得ないわけです。そこで李明博さんと野田さんの時の話し合いが初めて、ほぼ20年ぶりに政府間でも持ち出されたというのが実態です」
反町キャスター
「それは国内問題ではないのですか?韓国政府が韓国国民との間で処理する問題で…」
金准教授
「だから、それは韓国の事情でしょうと言ってしまえば、その通りですけれど、韓国の事情はそういうことで、何も国内の政権が変わる度に、日本に云々ではなく、韓国としても法に則って、政府として対応はきちんとしてきたと」
三浦氏
「おそらく政府の間の問題と民衆レベルの問題と分けなければいけないですね。と言うのは、日韓共に民主国家です。金さんがおっしゃったように本当に民主国家だから、裁判所が何かの判決を出したら従わなければいけないというのもそうだし、選挙の民意というのがあるわけですね。さらに韓国の場合は、オーストラリアだとか、アメリカだとかに移民している人達の意見というのもあって、これは民族のルーツとして、韓国、朝鮮籍の人の、これまで被害に遭った人の像を建てたいということで運動は続けていらっしゃると。そういうことで言いますと、そういうのを規制するのは無理です。同時に日本の中でも慰安婦問題についてまったく存在をしていなかったとか、全くのデタラメだという勢力が普通に一般人のレベルだけではなくて、政治家のレベルで出てくることを規制することはできないですね、思想の自由があるので。そのことを考えると根本的な問題というのは、慰安婦だったおばあちゃま達に関しては、47人ですね、この47人の方の幸せとか、償いというものがあるのだろう。これを別個に置いて考えると民衆レベルの敵対心をなくさないと、この問題が常に出てくるということは、本当に予見可能ですよ。これは政権の責任というのではなく、民衆レベルで敵意があるんです。それを政権は甘く見てしまうと、たとえば、自分達ができると思った合意が人々のレベルで受け入れられなかったりする。その時のダメージというのは、妥結しないよりも大きなダメージになります」
金准教授
「三浦さん、おっしゃるように、将来的にその危険性が繰り返されることを、我々は事前に予防できるとか、政治権力が抑えることができるとは考えられないでしょうが、だからこそ政治的努力を傾けるのは非常に重要であって、昨日の安倍さんの発言にもあったように、政府同士が合意をしたからと言って、両国の国民が全て納得するわけではないだろうと。しかしながら、そういった中で、政治的な合意の姿勢を示すのが大事だとおっしゃったのは、私は本当にその通りだと思いますね」

日韓関係の現状と今後
秋元キャスター
「現在の日韓関係をどのように見ていくべきか。三浦さん、日韓関係をどのように見るべきか、見方、視点、どのように見ていますか?」
三浦氏
「日韓関係を日韓関係で見ないということです、私が言いたいのは。と言うのは、日韓関係は歴史的にあまりに深くて、元宗主国だったし、そのあとの経済的な結びつきもあって。日本がちょっと兄貴だという時期があったわけです。ただ、現在の韓国は日本を向いていません。韓国は中国とアメリカを見ています。日本は韓国を向いているかというと実は見ていないですね。安倍政権が暫く韓国に対して、あまり歩み寄りをしなかったのは、これは中国の変数だとして見ているんです。中国と近づいてもうまくやったりすれば、韓国はついてくるだろうと。ある程度その通りになったわけですね。だけれども、韓国が今回、日本に会ったのはなぜかと言うと、日本に魅力を感じたからという部分がないわけではないけれども、主な理由はアメリカです。アメリカの変数として日本を見ているから。アメリカとの関係もあって、ちょっと日韓仲良くやってくれよという圧力がずっとあったわけですね。それで国内的に理解を得られそうだったので、歩み寄ったというところです。つまり、2国間がお互いを見ていないのに、2国間関係でやろうとすると、そこには敵意だとか、産業の競争関係ということばかりが表に立ってしまって、反感しか育たないんです。でも、何で韓国がそんなに日本から離れてしまったのだろうということを考えてみると、それは中国の台頭があって、中国が魅力的になったという部分が1つあります。もう1つは、韓国経済が強くなって、競争的な分野というのは日本と全部被っちゃっているんです。これはすごく日韓関係で言うと不健全な状況にあって、お互いに近づくインセンティブを政治が持っていないです。だから、常にタカをくくってしまって、経済が何とか、貿易が何とかなっているから、自分達は近づかないでいいやということになっちゃう。放置してしまえば、韓国がいくら日本が気に入らなくても、中国についていっていいのだろうか。そうすると、かつての日本の悪夢が蘇ってくるんですね。つまり、対馬海峡にカーテンが下ろされることになる。日本がずっと苦しんできた地政学的な問題に立ち返ってしまうわけですね。そんなの時代遅れだという人がいるかもしれないんですけれども、時代遅れだと我々が思う理由はアメリカがいたからですね。アメリカがいたから、その問題から自由でいられたのが、アメリカが引いていったらどうするのか。半島が統一されて、アメリカがそこから、基地から出ていったらどうするのか。そうすると、実はかつての状況とあまり変わらない状況になってしまう。だから、我々は日韓関係として腹を立てたり、喜んだり、怒ったりするのではなく、東アジアの国際政治の中で、韓国を引きつけておくメリットについて考えておかなければいけないですね」

アメリカとの関係は?
武見議員
「アメリカが引くということを前提にして戦略を組み立てるのではないですよ。いかにしてアメリカのアジア太平洋におけるプレゼンスを高め、経済的コミットメントの枠の中で、安全保障上のコミットメントを確保して、この拡大する中国の影響力にきちんと対峙した形で、アメリカを上手に同盟国として活用して、アジア太平洋における勢力の均衡をはかるという大きな戦略がまずなければならない。その中で、実際に韓国の場合を考えた時に大事なのは、引き続き、北朝鮮の体制ですよ。この極めて未熟な指導者の下で、不安定な北朝鮮がいつ、いかなる形で暴発するかわからない。今年の8月にも地雷で、板門店のすぐ横で実際に爆発が起きて、極めて深刻な事態に一時、陥りかけた。こういう事態があった時に朴槿恵大統領は毅然と対応をしたことを通じて、むしろ世論の支持率は上がりました。それを踏まえて、あらためて考えた時に、韓国の防衛というのは在日米軍の活動なくしてあり得ないんですね。従って、いかにその在韓米軍と在日米軍というのが、韓国の防衛にとっても極めて重要な存在であるのかということを間違いなく再確認されたことは疑いのないところだろうと思います。そういう中で、日本との関係も放置しておくわけにもいかないという発想も、そういうコンテキストからも、私は出てきたのではないかなという気がします」
金准教授
「武見先生がおっしゃったように朝鮮戦争以来、日本における米軍基地というのは、韓国にとって後方基地の役割を実質的に果たしてきました。ただ、それ以降、本当に朝鮮半島有事の際に、具体的に日本は何をするのか。アメリカではなくて、日本は何をするのかというところは若干曖昧だったわけですね。それを安保法制などを通じて具体化している。これが現在の動きです。日本の安保法制、韓国にとってどう評価されるべきかというと、実は2つの視点がありまして、1つは、プラスの視点です。いざ、本当に有事の際には当然、日本の海軍。この力を借りて、朝鮮半島の事態に対応しなければいけない。これは現実的なものですから。駐韓米軍と在日米軍が共同作戦をすると。積極的に、日韓もそこでは情報を共有しながら協力しあうという、こういう見方です。だから、これは必ずしも悪い話ではない。しかしながら、同時に、日本で安保法制が、急激に進められているのは、いわゆる歴史修正主義という批判のある安倍政権で出てきている。この状況に、いずれにせよ朝鮮半島に対する軍事介入の可能性が増えてきているのも事実である。そこを抑制できると」
反町キャスター
「そういう人達もいるということですよね。それを事実とされてしまうと、この番組は成り立たなくなっちゃうので」
金准教授
「そういう懸念の声が、2つあると申し上げたように。そういう視点もあって、いずれにせよ、日米同盟という明確な、いわゆる瓶の蓋。それから、もう1つ、朝鮮半島に対して何らかの作戦なり、展開がある時は韓国との協議、それから、要請、同意。こういったものを現在求めるという、この姿勢から、協議がちょうど始まっているわけです。現在、首脳会談が開かれたのは、ちょうど、つい2日前ですけれども、実は今年に入って国防大臣の会談というのも実務者レベルを含めて、何度かやっていますから、今後は最大の日韓関係の懸案、現在、全ての問題が日韓関係というと従軍慰安婦問題に吸い込まれるような構図になっていますけれども、いざ、大事なのは、安全保障上の新しい枠組みを、日本とは違う韓国だけれども、依然として米韓同盟によって安全保障を保っている韓国という国と日本はどのような協力をできるのか。その意味では、日本も東アジアにおいて新しい何らかのリーダーシップを発揮していくとなった時に、最良で最大の協力パートナーはオーストラリアとか、インドとかがありますけれども、それこそ地政学的な隣国である韓国であるということは十分、認識すべきだと思います」
反町キャスター
「日米の軍事同盟はあって、米韓の軍事同盟はあっても、最後まで日韓は、たとえば、この間、中谷さんが韓国に行ったって、ジーソミア、軍事情報の共有協定すらまだできない。この状況というのはしょうがないと思って、言葉が悪いですけれども、アテにできないという前提で、地域の安全保障を考えていかなければいけないのですか?」
武見議員
「これは誠にもって難しいのは実務者レベルでの、防衛大臣同士の会合というのはかなりきちんとした合意が形成されるはずです。ただ、それは韓国側の、おそらくは要請もあって表に出していないんだろうと思います。しかし、それを今回の首脳会談を通じて表に出せる雰囲気が確実に出てきたということが、あるのではないかと思う。だから、これから、実際に、そういう安全保障を巡って、米国が期待するような日韓間の安全保障上の協力関係についての、実務者同士の合意というのが、私はこれから着実に進んでいくであろうと。それは、いわゆる従軍慰安婦の問題というのとは切り離した形で、これから、徐々に改善をしていく形になるだろうと、私は楽観的に見ているんですね」

韓国のTPP参加は?
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朴槿恵大統領(昨日、会談での発言、韓国聯合ニュース)
韓国がTPP参加を決めれば、韓中日自由貿易協定(FTA)と東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉での協力関係をTPPにもつなげていくことを期待する。
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秋元キャスター
「これまでTPPに難色を示してきた韓国が前向きに検討する背景は」
武見議員
「19か国で合意ができるかなと遠くから眺めていたらできちゃったと。このTPPというのがですよ、極めて世界のGDP(国内総生産)の過半を示す、そういう地域として巨大な自由貿易圏として出現することが見えてきた。これで中国とだけひっついていたのでは、経済的には自国の将来というのについて不安が出てきた。従って、あらためてこのTPPにも参加をして、韓国経済の将来の基盤というのを再度、再構築していく必要があるという認識を持つに至ったということが明白ですよね。ですから、それの結果としてこういう発言が出てくるようになったというわけで、私は大歓迎ですね。従って、このうえで見ていくべきことは、いかにTPPという経済連携の新たな仕組みが日本の外交にとって新しい外交基盤になったかということですよ。私も麻生副総理と実はワシントンDCで、CSISという戦略研究所などでいろいろなレベルの人達と対話を重ねてきて、10月にいろいろ意見交換をした時に、アメリカがアジア、太洋州に引き続き、コミットメントしていく最大の根拠というのは経済的プレゼンスであると。この経済的プレゼンスがなくなってしまえば、実は安全保障上のコミットメントもなくなる。そういう意味では、あらゆる意味での外交安全保障の1つの基本にTPPがなってきているということが私は非常によくわかりやすく会話の中から確認できましたね。これは皆さん方が思っている以上に外交的な効果があると私は見ています」
金准教授
「韓国がTPPに入らなかった理由はFTA重視をしていたことと、TPPがこれほど早期にこういう形で妥結されるとは予想していなかったというのがまず1つあります。ところが、いざ蓋を開けてみれば、強力な経済的秩序がここでつくられてしまったということであれば当然、韓国もそれに入るわけですが、日本も相当細かい厳しい交渉過程がありましたけれども、韓国としてこの前も明確に申し上げたように、まだ具体的な中身や今後の推移、検討をしなければいけない部分があるにもかかわらず、すぐに私達も入りますということにはならない。これはもう当然の話で、実質的にTPPに入るうえで、韓国にとっての経済的な変化とすれば、日本とFTAを実質的に結ぶことになるということですよね。TPPの参加国の中では、メキシコと日本とだけまだ韓国はFTAを結んでいなくて、メキシコとFTA協議を始めていますから、日本と本当にFTAのような、TPPの枠の中で自由貿易体制になった時に、韓国にとって有利な部分もあれば、不利な部分もあるので、その点、十分慎重に見極めたいと。ただ、方向性としてはTPPに入るという、この方向性は、私は変わることはないだろうと思います」
三浦氏
「TPPに入るべきだと思います、韓国は先進国ですから。中国と違って、TPPが要求するいろんな基準に対して合わせられる環境にあります。日中韓は無理です。これはずっとやっていますけれども、絶対無理です」
反町キャスター
「非常に低い開放度で握り合うというのはできないのですか?」
三浦氏
「日中韓でやると、1番の問題は中国が守れません。韓国は日本との部品の貿易でも関税をかけていますから、かなりの打撃を受けます。日本は日本で農産品が入ってきてしまう。こうした時に何でやればいいのかと。日中韓のFTAをやる何かのインセンティブはあるのかというと、それは得する人もいますよ、ただ、すごく損する人がいる時にそれをまとめるのは政治的意思ですから、政治的基盤がない中で、日中韓FTAは絶対無理だと思っています。だから、TPPに参加するというのは、日韓関係上もダイレクトにやるよりかは韓国にとってダメージが少ないだろうと私は思うし、それはいいことだと思いますよ」

将来は理解しあえるのか?
秋元キャスター
「日本と韓国、いつかお互いに理解しあえる日はくるのでしょうか?」
金准教授
「理解しあえる時もくるでしょうし、またいがみあう時もくるでしょう。私はまだまだ記憶に新しいんですけれども、2003年以降、2010年ぐらいまでは日韓関係は非常に良好だった。文化的、社会的交流も進み、政治的、経済的な関係も密接になっていった。それがちょっとしたきっかけでこういう葛藤が大きく育って、政治はどちらかと言えば、それに迎合するような国内政治のあり方というのは、私は双方に認められたと思うんですね。そういった構図というのは、今後も隣国同士ですから、隣でなければ歴史認識も何も領土問題も抱え込む理由もないわけで、そういった葛藤も抱えながら、新しいステージを目指して、昔のようになあなあで何か長老同士が会えば丸く収まった時代ではなく、それぞれに慎重に戦略を立てながら、隣国関係、あるいは北東アジア関係を考えるべきだと思いますね」
三浦氏
「かつての自民党の重鎮と向こうの親日派が会って、話が進むという時代はそろそろ終わりを告げたんですね。そういうことを考えると日韓に、現在の政治にはですよ、まったく関係を改善する短期的なインセンティブはないです。中間材の貿易は政治が加熱しようが、外交が盛り上がろうが普通にこれまで通り続いていくわけですよ。韓国で親日だという人は10回以上日本に来ているとか、もともと文化に惹かれてきた人が多かった。もしくはすごく少数ですけれども、日本との貿易に利益がある人。相互利益のうえに相互理解がある。順番を間違えてはいけなくて、最初に理解を深めようとしても、相互利益がなかったら理解は深まらないと。そのぐらいの突き放した見方をしたうえで、敢えて日本に長期的なインセンティブとして、韓国との関係を良くしていくものがあるとすれば、中国の方に韓国が行ってしまうのを取り戻すというのか、引き寄せるということですね。ただ、これはがんばるべきだと私は思います。だけど、がんばっても韓国は中国側に行ってしまうと思うんですね。それは地政学的な状況として、そうだと。だけれど、がんばり続けるぐらいの気合が必要で、日本外交は先ほどから安倍外交に関しての評価というのが皆さん、私も含めて評価していますけれども、もうちょっと本気を出してもいいのではないかというぐらいに思っているんです。そうしないと、手遅れになってしまうし、2国間関係だけ見ていると、韓国というのは嫌だなと思う機会が多い国になっちゃうんですよね」
武見議員
「21世紀に入って日韓関係がすごく良くなって、ワールドカップのサッカーの共催とか、それから、韓流ドラマというのが日本でも広く受け入れられましたね。だけど、その大きな流れをつくったのは金大中さんの日本訪問、ここでの政府間の信頼関係が確立できたこと。これらがそうした民間の中での交流を広げていったと。それまでは、韓国の中で日本のドラマとか、見られなかったですよね、政府が禁止しちゃって。だけど、そういうような制約がなくなってくると自然とこういう文化のレベルでの交流が広がって、お互いの理解が広がる基盤というのができてくるわけですね。ただ、日韓関係が難しいのは歴史の問題もあって、複雑な感情のヒダがあって、特に韓国の皆さん方の中にそういう歴史のヒダというものが、例え、世代が変わったとしても残っている。こうしたことに対して、我々もある程度きちんと配慮することは必要になってくるだろうし、大人の立場を日本はとるということで、私はこれからも努力するべきではないかと思います。ただし、その中でこれまでと同じようにただひたすらいわゆる保守派の政治家同士のなあなあ的な調整で終わらせてしまうのではなく、きちんと原理原則を明確にしながら、お互いの協調関係をつくりあげていく政治的リーダーシップというのが、現在ほど求められている時はないと。それを今回の日中韓の首脳会談、バイの日韓関係の中でその扉がちょっとだけ開いたと。従って、これは非常に貴重な機会であって、これを両国の指導者が着実に両国民を良い方向に導いていくためのドアとして、最大の努力を払っていただきたいと思うし、私どもだって与党の中で、そうした試練を徹底的にすべきだろうと思います。いくら保守派のなあなあは悪いと言っても、この2つの国の間で本当に政権の中枢とも連携のとれる政治的なグループ同士の間の信頼関係をつくって、パイプを広げていくと努力はいかなる2国間関係でも必要です。従って、昔のパターンはなくなったけれど、新しいパターンでのお互い信頼できる関係というものをつくっていく努力を日韓があらゆる場面でつくるべきだと思います」

武見敬三 自由民主党参議院議員の提言:『後代に歴史課題残さず』
武見議員
「これは従軍慰安婦等の問題、徴用工の問題、さらに言えば、靖国の問題も出てくるでしょう。しかし、こういう問題についてできる限りお互いの理解をきちんと確認できるようなそういう努力を継続してやるべきだと思います。これがとにかく現在の安倍外交の中の1つの基本になるでしょう。安倍外交は現在TPP、安保法制含め、非常に有利な体制で実は形が整いました。従って、より柔軟に対応できる素地が国内政治的にも国際環境の中にもありますから。そういう中で柔軟な対応を取ることが求められてきて、特に重要なのは将来の世代に課題を残さずということだと思います」

金慶珠 東海大学教養学部国際学科准教授の提言:『友朋』
金准教授
「朋有り遠方より来る、また楽しからずや、という孔子の言葉ですけれども、この場合の朋は単なる友達ではなくて、志、思想を共にする朋のことですね。そういった集団で大きな志を実行することができるんだと。日本と韓国は、基本的にそれぞれの想いはあれ、この地域に関する考え方、地域の安定と平和に関する考え方というのは志を共にしている数少ない朋の1人であると思いますので、そういった本来の姿を1日もはやく、現在はちょっとねじれて、ある意味、正常ではない状況であると私は思いますので、そこを是非、朴槿恵大統領、安倍総理に建て直していただきたいとお願いしたいですね」

三浦瑠麗 東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員の提言:『韓国を中国へ押しやらない』
三浦氏
「中国の方向に押しやるようなことを現在、日本はしているんだということですね。つまり、韓国の自由だと言ってしまえば、それまでですけれど、日本と韓国が対等だとか、平等のはずで、だから、大人の対応をしてくれとか言うのではなく、こちらが戦略的に考えれば、この1点しかないですよ。その1点に基づいて、日本は大人な外交をしていくべきだと思います」