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2015年11月2日(月)
安倍首相が緊急生出演 日中韓首脳会談の内幕

ゲスト

安倍晋三
内閣総理大臣 自由民主党総裁 衆議院議員(前半)
古森義久
産経新聞ワシントン駐在客員特派員 麗澤大学特別教授(後半)
朱建栄
東洋学園大学教授(後半)
木村幹
神戸大学大学院国際協力研究科教授(後半)

安倍首相に聞く! 3年半ぶりの日韓首脳会談
秋元キャスター
「日中韓、日中、日韓、一連の会談を終えられ、現在どのような気持ちですか?」
安倍内閣総理大臣
「大変良かったなと思っています。3年半ぶりに開かれた日韓中の首脳会談でした。まず3人が前提条件をつけずに顔を合わせて、地域の問題について、率直に意見を交換する。これも我々、地域、あるいはそれぞれの国に責任を持っているリーダーとしての責任でもあり、そういう責任を我々も果たすことができたと思っています」
秋元キャスター
「日韓首脳会談について安倍総理大臣に話を聞いていきたいと思います。まずは会談のポイントですけれども、まず北朝鮮の非核化に向けた行動を引き出すため、日米韓3か国での協力を緊密化することを確認。それから、経済や安全保障分野での対話継続の必要性で合意。いわゆる従軍慰安婦問題に関しては、朴大統領が日韓関係改善の最も大きな障害物と指摘をしながら、韓国国民が受け入れ、納得できるように早期に解決しなければならないと述べ、安倍総理大臣は、未来志向で、将来に障害を残してはいけないと、局長級会議を通じ、できるだけ早期の妥結をはかると述べました。それぞれの課題について、まずこの会談の雰囲気について、率直に意見交換が行われたと感じていますか?」
安倍内閣総理大臣
「今回、会談全体としては、1時間45分に渡って会談を行いました。そのうち、1時間は非常に少人数の会談を行い、そこで率直な意見交換を行おうということで、まず率直な意見交換を行ううえにおいては、中身の細部に至っては、これは外には出さないということにしようと。これは誰でも、人との関係においてそうだと思いますけども。よくここだけの話だけどと、こう言える関係を築いていく必要があるんだと思います。まさに、そこで私自身の基本的な考え、あるいは日本国民の皆さんの雰囲気等も含めて、率直に主張すべき点は主張し、伝えていく。当然、それは韓国側もそうなのだろうと思います。そういう意味においては大変、率直な意見交換ができたと」

“従軍慰安婦”問題
反町キャスター
「朴大統領は従軍慰安婦の問題が日韓関係改善の最も大きな障害だったと発言されています。その点について、そもそもその大前提において、日韓は意識を共有しているのですか?」
安倍内閣総理大臣
「首脳会談において、日韓関係の発展に影響を与えているという認識のもとに、未来志向の関係を構築していくために、将来の世代に、障害にならないようにしていくことが重要であるという認識で一致をしたわけであります。そこで局長級の協議を行っているわけですけれども、できるだけはやく、合意できるように、加速させようということについて一致をしたということです」
秋元キャスター
「朴大統領はどんな印象を持ちましたか?」
安倍内閣総理大臣
「日中韓の首脳会談を開くにあたって、温かいおもてなしをしようという気持ちは伝わってきました。夜の晩餐会においてもそうですし、様々な場面で心遣いを感じることができました。大変にこやかで、最後に首脳会談を終え、青瓦台を出て行く時に、これからどうされるんですかと。せっかくですから、外に焼肉を食べに行きますということを申し上げたら、あっ、そうですかと。外に、いわば普通のお店に食べに行くということで、ちょっと驚いておられましたね」
反町キャスター
「そうですか。大統領は比較的、行動の自由がないような感じなのですか?」
安倍内閣総理大臣
「どうですかね」
反町キャスター
「私はこの店がいいとか、紹介とかは?」
安倍内閣総理大臣
「焼肉がお好きなんですね、と言われましたけどね」
反町キャスター
「朴大統領は、年内にどこかでという話をされたりしているようですが、この結論、妥結は年内にとか、期限を切っているわけではないということでしょうか?」
安倍内閣総理大臣
「できるだけはやい時期にということ、交渉を加速させていくということにおいては、これは合意をしているわけであります。ですから、おそらく申し上げている通りになります」

日中韓首脳会談の成果
秋元キャスター
「今日の日韓首脳会談に先がけて、昨日の午後行われました日中韓首脳会談ですけれども、出席をしたのは安倍総理大臣、朴大統領、中国は李克強首相でした。日中韓首脳会談で話しあわれたのが、日中韓の3か国協力は、3年半ぶりに開催された今回のサミットで完全に回復したとし、歴史を直視し、未来に向かうとの精神のもと関連する諸課題に適切に対処することで一致。日中韓サミットの3か国における定期的な開催を再確認。次回、来年の開催国は日本。それと、日中韓自由貿易協定、FTAの交渉を加速すること。それから、北朝鮮の核兵器問題で、緊張を引き起こす、いかなる行動にも反対するということを確認したということですけれども、この歴史問題については、様々な問題がありますけれども、適切に対処というのは具体的にどういうことを指すのでしょうか?」
安倍内閣総理大臣
「これについては、歴史については、私は70年談話について、お話をいたしました。そこで我々は何を反省し、何を教訓とし、今後、その教訓のうえに、どう行動をとっていくのかと。それは世界の平和と安定のために、行動をしていくんですよ、というお話をさせていただいたわけでありますが、同時に未来志向の関係を構築していくうえにおいて、特定の過去に焦点を当てていくことはまったく生産的でないということも申し上げたわけです。そこで、まさに、我々は適切に対処をするということについては、基本的にはしっかりと教訓として汲み取り、正しく、行動をしていくということだろうと思います」
反町キャスター
「生産的ではないという言葉ですけれども、日中韓首脳会談での発言として、こういうものを我々、用意をしました。李克強首相の方が日中韓首脳会談において、敏感な歴史の問題をうまく処理したうえで、東アジアを理解に向かわせる必要があります。不幸なことにこんなに近い国が一部の国の間で、より深い理解を得るには至っていません。このような主旨の発言を、何度かされたという前提を僕らは聞いています。それに対して、現在、総理が言われたように、特定の過去ばかりに焦点を当てる姿勢は生産的ではない。日中韓3か国の協力の前向きな歴史を紡いでいきたいというふうに話をされたと。まず、このやりとりは、総理がこういう話をされたというのはまずよろしいのですか?」
安倍内閣総理大臣
「そうですね。ただ、この言葉を、李克強首相が言って、すぐ私が、これを言うというのは、そういう会合の仕組みではなくて、10分から20分近く発言をするんですね。それについて、それぞれの首脳がまた発言をするという、テーマについてです。それぞれのテーマについて発言をするというわけですから、その中の一部でそういう発言をされて、私は締めくくりの発言で、こういう発言をしたということであります」
反町キャスター
「一部報道では、李克強首相の発言のあと、韓国の朴大統領も、李克強首相の発言に同調する主旨の発言をされて、それに対して、総理がこういう形で、その話は生産的でないだろうと、僕はその記事を見た時に、えらい緊張した瞬間が日中韓の時にあったのだろうかと思ったんですけれども、そういう事実関係ではないのですか?」
安倍内閣総理大臣
「日中韓の首脳会談は、1つ1つ、何かを言って、首脳がそれに対して反応して、また、別の首脳も反応するということではなくて、テーマについて、ズラーッと話をして、また、他の首脳が話をしてということであります。ただ、歴史認識について、こういう発言があったのは事実でありますし、朴槿恵大統領も歴史について触れた箇所がありました。それはそれぞれ最初から発言をするという予定だったんだろうと思います。そういう発言がございましたから、私は最終的に、締めくくりの発言で、こういう発言をしたと」
反町キャスター
「総理のこの話は、締めくくりですね。最後のところで?」
安倍内閣総理大臣
「私は、最後のところでお話をしました」
反町キャスター
「いわばその2国から、何回か散発的に、そういう話が出た時も、最後に、こういう形で話を受けたというか、締めたというか、そういう形のやりとりであったという理解でよろしいですか?」
安倍内閣総理大臣
「そういう形ですね。まさに日中、日韓、日中韓の歴史の中においてはお互いに協力し、発展してきたという歴史がありますね。70年談話で申し上げたのですが、日本はこれまで反省とお詫びの気持ちを表明し、その中において、だからこそアジアの発展のために努力をしてきました。これは相当の努力をしてきたと言ってもいいと思いますね。その中でお互いに発展をしてきた。そういう歴史にも、しっかりと焦点を当てていくべきだろうし、そういう認識もお互いに持ち合いながら、プラスの面にもしっかりと目を向けながら、未来に向かって新たな歴史を紡いでいくべきであろうという主旨の発言をしたわけであります」

日中首脳会談の成果
秋元キャスター
「昨日の午後に行われました日中首脳会談ですけれども、話し合われた具体的内容というのが日中の戦略的互恵関係に基づく、さらなる関係改善の方向性として、東シナ海資源開発問題に関して、協議再開を目指す。防衛当局間の海空連絡メカニズムの早期運用開始に向け互いに積極的に努力をすること。それから、日中ハイレベル経済対話の来年早期の開催をすることということですけれども、歴史問題については具体的な案件に関する発表はありませんでしたけれども、中国外務省の発表によりますと、李克強首相は歴史問題について、13億人の中国人民の感情にかかわると強調したということですが、総理はこれにどのように応じられたのですか?」
安倍内閣総理大臣
「それに対しましては、我々は70年談話で申し上げている通りでありますし、まさに日中韓3か国の首脳会談でも申し上げていることでありますけれど、日本はまさに過去を教訓として、自由で民主的な、法の支配を尊び、人権を守る国として平和国家としての歩みを進めてきたという話をさせていただいたわけでありますが、同時に、そうした歴史的な問題だけではなくて、東シナ海の資源開発問題については、これは2008年の合意があるのですが、その後、協議ができなかったんですね、2008年から。それが7年ぶりに協議を再開しようということ、まさに協議再開を目指すということになったということは大きな意義があったと思いますし、また、海空連絡メカニズムということは、これは、非常に偶発的な対立を避けるためには大切ですね。それについて、早期運用について積極的に努力をするということが決まった。外相レベルでのハイレベルの経済対話プラス外相の相互訪問についても合意ができたと。これも相当大きな進歩ではないのかなと思います」
反町キャスター
「総理の視点として、スケジュール感としていつ頃までに、何か結論を出したいとか、いつ頃までに何か表に出せるようになるだろうと。そういうスケジュール感は何かありますか?」
安倍内閣総理大臣
「それぞれそう簡単な課題ではありませんし、様々な懸案というのは、相手の事情もあります。ですから、現在行程表のようなものがあって、ここでこう言えば、ここに結果が出てくるというようなことではなく、結果が出てくるのであれば、最初から、ここで結果を出そうということが、これは成立すれば別ですけれども、そうではなくて、国益と国益があたる場合もありますし、国際社会の考え方とそれぞれの国の考え方が違うということもありますね。しかし、まずそれについては、こういう懸念があるんだ、我々が懸念を持っている、あるいは国際社会はこう考えているということについては、お互いに、まずそういう認識を持ちあうと。それに対する考え方は違うかもしれませんけれども、そういうところからスタートする必要があるなと。そういう意味において、今回、李克強首相を含めて、首脳会談を行ったわけでありますから、お互いに、率直に忌憚のない意見交換ができたことは良かったと思いますし、第一歩だろうと思いますね」

今後の外交姿勢
反町キャスター
「来年は伊勢志摩サミットもあります。日本がホストということでもしかしたら3か国首脳会談、日中韓。また、やるとしたら秋ですよね?」
安倍内閣総理大臣
「うん」
反町キャスター
「それはもうちょっとあとになると思うんですけれども、伊勢志摩サミットも視野に入れた来年というか、第3次安倍政権、安倍改造内閣の外交を、少し長期のスパンで聞きたいのですが、来年の伊勢志摩サミットまでを1つの節目として考えた場合、何を1つの旗印として、今後の安倍外交を進めていかれるつもりですか?」
安倍内閣総理大臣
「伊勢志摩サミットは先進7か国の首脳が集まって、膝を突き合わせながら、丁々発止のやり取りをしていきます。これは自由な議論をお互いに応酬できる場と言っても唯一の場に近いと思いますね。同時に、このサミットは、自由や民主主義や法の支配や人権、こうした普遍的価値を共有する国々のリーダーが集まるサミットでもあります。そのサミットにしかできない、まさに議論をしていきたいと思っています。様々な課題に取り組んでいかないといけないと思います。外交の基本的な考え方としては、私はいつも申し上げているように、対話のドアは常にオープンにしていると同時に、地球儀を俯瞰する外交を展開していくべきと。特定の国との関係を改善していくうえにおいても、その2国間だけに焦点を合わせるのではなくて、地域や世界全体を見渡しながら、外交を展開していく中において、2国間の問題も前に進めていくことも可能です。ですから、地球儀を俯瞰する外交という意味においてはこうしたマルチの外交というのはとても大切なのだろうなと思います。同時に、積極的平和主義。日本はこれまで以上に国際社会の平和と安定に貢献していくという、この姿勢はしっかりと貫いていきたいし、その発信もしていきたいと思います。同時に大切なのは、シャングリラ会合において、三原則について申し上げたのですけれども、それは何か主張する時には、法に則って主張をすべきであると。武力や力による現状変更は許しませんよと。同時に、何か問題があったら、平和的に解決をしていきましょうという三原則ですね。これを多くの国々と共有し、そういう世界や地域をつくっていくために連携していきたいと思います。また、来年のサミットは7年に1度、アジアで開かれるサミットでありますから、アジアらしい話題、アジアにおける様々な話題や課題があります。そういうことについても議論をしたいし、また、その場においても日本は地域や世界を、どういう地域にしていこうかということも主張していきたいと申し上げていきたいと思っています」
反町キャスター
「シャングリラにおける3原則。法の支配とか、ちゃんとした話し合いをもって解決するということから言うと、現在、来日が期待されている元首で、ロシアのプーチン大統領、中国の習近平主席、この2人の名前がパッと思い浮かぶのですけれども、2国ともと申し上げていいかもしれません。ロシアは、ウクライナの問題があり、中国は、南シナ海の問題があります。法の支配による解決。どうもそれぞれ皆さんが力による現状変更をされているようにも見えるのですが、この2人の来日に向けて来年、どういう姿勢で臨まれるのですか?」
安倍内閣総理大臣
「プーチン大統領の訪日については、適切な時期の訪日を目指したいということは申し上げていますし、これはG7の国々においても、日本とロシアは70年経っても平和条約が締結をされていないという異常な状況だと。これは、日本のリーダーとして解決しなければいけないと。私達の世代でこれを解決しなければいけない重要な問題と思っていると。一方、もちろん、ウクライナにおけるクリミアの併合と、力による現状変更は認められませんと。ですから、G7における制裁は日本もしっかりと行っていますよと。でも、同時に、隣国であり大国であるロシアと平和条約を結ぶことについては、そのための努力をしていくということについては、多くの国々の理解は得ていると思っています。また、習近平主席との関係において言えば、こうしたマルチの会合が予定をされていますから、そうした機会にまずはバイの会談を行えればいいと思っていますし、そのことについては李克強首相にもお伝えをしたところであります」

安倍晋三 内閣総理大臣の提言:『原則を貫く』
安倍晋三内閣総理大臣
「先ほど、4原則について申し上げました。こうした原則をもって、外交を展開していくことが大切であろうと思います。外交を進めていくうえにおいて原則を貫いていきたいと考えています」

日中韓首脳会談 その評価は
秋元キャスター
「日中韓首脳会談についてどのように評価されますか?」
朱教授
「この3年間、日中韓の首脳会談がなかなか行われなかったと。言ってみれば、日中韓関係はマイナスのところにずっといたんですけれど、今回ようやくプラスマイナスゼロのところまで戻したと。それで歴史などの問題について、これ以上また逆戻りするなというところの念を押しつつ前向きにこういうことをやろうと3者の首脳会談、FTAなどをやろうという意味では、前向きな夢を出した。しかし、これからやっていくのは、まだ時間がかかる。いずれにしてもマイナスからプラスに転換する1つの重要な会談だったと思います。正直言って、この3年間、あまりにもマイナスの時期が続いたので、国民感情のこと、政府間同士でも疑心暗鬼だった。それで中国の台頭で、それに対して中国自身も大国らしく行動するか、周りの国の疑心暗鬼も含め、その解消は簡単ではないと思います」
木村教授
「1つだけ注目すべきは、敢えて歴史というのが入ったということですね。この件については日中韓の直前に行われた中韓の首脳会談を受けた形になったわけですけれど、それに対して日本側も拒否しなかったと。そういう意味で、日中韓首脳会談、この3か国の首脳会談でこれまで歴史認識問題が正面からトップに出たことは実はないですね。そういう意味では、日本側が中韓の姿勢を受け入れたというのは大きな変化だと思っています」
古森氏
「日本の意思は直接、間接伝わったと思いますね。私は、共同声明よりも何よりも、この首脳会談が、一連の首脳会談が開かれたということ自体、中国と韓国にとって、大きな日本に対する外交戦略の破綻というか、挫折だったと思うんです。これは大前提をつけて、これとこれをしなければ首脳会談に応じませんと言っていたわけではないですか、中国も韓国もね。その前提条件は消えたではないですか。それは中国も韓国も一歩も二歩も下がったわけ。だから、これまで中国も韓国も、主に中国だけど、日本に対しては首脳会談をハイジャックする、人質にとって、それを開かせるためにはこれをしなさいということを言ってきたと。それで日本がそれに応じない場合には首脳会談は開かれないと。開かれないと全部の関係が悪くなっていくと思って、それが日本側の責任になって、中国との場合には、必ず中国は日本の中の、中国の言うことは聞きなさい、中国に反対することはやめなさいという勢力にアピールをして、二階俊博さん、敢えて申し上げればそういう人、代表でね。そういうところと結んで時の政権を切り崩して、それで中国に対して譲歩をさせて、それで首脳会談に応じた。このパターンが切れたわけですよ。これは安倍外交の成果だと思う。ですから、そこからまず読まないと、あなた方の言っている前提条件はどこに行ったのと、私は問いたいですね」

各国の思惑は
反町キャスター
「韓国側はこれまでも、日韓首脳会談に向けていろいろなハードルを、はっきり言えば、慰安婦問題をちゃんと協議しようとか、靖国のことも入れていました。それを、今回の首脳会談に向けたはっきりとしたハードル、条件を落として、首脳会談を受け入れたということなのか?」
木村教授
「中国はある段階でやめましたけれども、中国と韓国は首脳会談ストライキをやってきたわけですよ。労働組合のストライキと一緒で、条件が通ればいいんですけれど、結局通らなかった。特に韓国の場合、慰安婦問題1本だったわけです。そうすると、慰安婦問題ストライキを3年やったんだけれども、結局、成果が出ないと。そうすると、労働組合のストライキと同じで組合員から反発が出る。たとえば、国民ですね。国民の方から、朴槿恵さん自身、お前は格好をつけているだけなのではないかと、結局、あなたのやっているパフォーマンスでは慰安婦問題の解決にもならない、いったん会って話をしろという形になっていく。もう1つは、アメリカで、非常に重要な韓国に対してのファクターで、アメリカから韓国は2つ宿題をもらっているわけです。1つは、日韓を何とかしろと、首脳会談に応じないのはおかしいと。もう1つは、もっと大きな中国の問題ですね。中国に関してはっきりとした旗色とまでは言わないまでも、アメリカの側についてメッセージを出せということを言われている。後者の中国に関する問題は韓国にとって非常に深刻な問題で、そう簡単には応じられないですね。アメリカからの圧力と、国内の圧力とで結果的に首脳会談をやらざるを得なかった」
古森氏
「会談が開かれたこと自体を歓迎していますよね。あまり飛び跳ねて喜んでいるというような表現は出てこないけれども、それは韓国の面子もあるし、中国の面子もあるし、これまで会談しませんよと言っているのが急にすると言ったら、どうしたの?という。朴槿恵さんが一連の首脳会談をやるという方針を明らかにしたのはワシントンに行った時に、初めて言ったわけですよ。オバマさんとの1対1の会談の前日の戦略国際問題研究所というところでのセミナーのスピーチで、やりますと言ったと。これはワシントンで何かが起きたというようなことになって、だから、会談が開かれたこと自体は開かれないよりいいと。ただ、まだまだ1つのドアがちょっと開いただけで、その中に入っていってどうこうというところまでは、たとえば、南シナ海の問題というのは、現在アメリカが中国に関して1番気にしているけれども、これは何も触れていないではないですか。これからの問題は山積して残っているけれど、1つの角を曲がって、何か明るい光が差してきたという感じで、その光の内容まではまだわらないという、そんなアメリカの反応なのではないでしょうか」

今後の日中関係 どう連携すべき?
秋元キャスター
「今後、日中韓はどう連携していくべきだと思いますか?」
朱教授
「歴史問題がいろいろと報道されたんですけれども、それについて中国首脳が触れたのは、言ってみれば、1つは国内向けに、これから日中の接近に対して当然懐疑、あるいは反対論者もいますので、それに対する答え。先ほど、安倍総理も最後に原則を貫くということを書かれたわけです。それも恐らく日本国内向けの説明でしょう。しかし、基本的にこれから、今回の李克強首相の発言などを見れば、日中が、日中韓が、せっかくここまで戻したので、これからいろいろやりたいと。特にここ数年間、東シナ海の共同開発というところでいろいろと交渉を再開するというようなところで、はっきり言って、かなり前進という意味で、安倍総理もたぶん評価したうえで、その後の発言でこのような雰囲気を壊したくないというような考えもあるかと思います。中国も対日、日中韓、特にFTAの推進というのは、中国はかなりTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)のことも意識して、そのようなことをもっとやりたいというところにこれから積極的に動き出すのではないかと思います」

古森義久 産経新聞ワシントン駐在客員特派員の提言:『まず現在を直視せよ』
古森氏
「これを3国に対して憚りながらお伝えしたい。日韓の首脳会談で、慰安婦問題が現在1番大事な問題だと韓国側が言ったと。そのあとに北朝鮮の核兵器の開発だとか、中国の南シナ海での活動だとか、あるいは一連の貿易問題だとか、1番目を除いて、2、3、4、目の前の非常に重要な問題ですよ。それを差し置いて70年前の慰安婦問題。当事者にはお気の毒だし、ありとあらゆると措置を尽くすべきだという考え方もわかるけれども、既に終わっていることの解釈とか、処理が1番大きな壁になっているという状況。もっとかわいそうな人はいっぱいいるわけだから、拉致問題の被害者だってかわいそうだし、北朝鮮の女性が中国へ行って強制送還されることもかわいそうだし、いっぱいかわいそうな例はあるのだから、現実を見ましょうということですね」

朱建栄 東洋学園大学教授の提言:『再びマイナスに行くな』
朱教授
「日中韓というのはようやくこの3年のブランクを克服、乗り越えたので、再び元に戻るなと、前に進もうと。その中で、日中韓ともイデオロギー的な思考、それから、冷戦思考というのは捨てるべきだと思うんですね。中国はもちろん、現在政治的にも社会的にもいっぱいいろんな問題が存在する。しかし、考えてみてください。30年前の中国は世界の最貧国の1つで、当時の中国人は海外に出れば亡命するというようなことで密入国が心配されていた。現在は、日本に400万人、500万人が来て、買い物をするんですけど、買ってから帰るんです。そういう意味で、経済の発展の次に、中国自身も政治の民主化を含めて、その方向に行くが、そういうところは得意な国ではない。一緒に経済の面、政治、社会の面で互いに相互理解、それぞれの世論が、日本の中で結局、中国の発展を客観的に評価し、中国も日本の良さを理解して、互いに尊敬をしあうような関係にこれから向かうべきだと思います」

木村幹 神戸大学大学院国際協力研究科教授の提言:『世論への対処』
木村教授
「慰安婦問題なり、歴史認識問題の日韓間の歴史というのは政府間でいろいろ妥協をしたけれども、結局、両国の世論に不満が残って、結果としてそれが繰り返し蒸し返されてしまうということだったわけです。特に、今回の首脳会談で慰安婦問題に関して早期決着、韓国的には今年中と言っていますよね。もちろん、はやく解決することは重要なのかもしれませんけれども、それによって世論を無視して突っ走ってしまうと、かつて河野談話や村山談話があったように、内容は良かったのかも知れないが、結局、誰も納得しなかったということになってしまう。ここからが、だから、日韓両国、さらに中国に関しても同じだと思います。李克強首相が13億人の国民の意見があるとおっしゃられたが、果たして、案をつくってもどうやって国民を説得できるのだろうか。慰安婦問題に関しても終止符を打つためにも、それが非常に重要になってくると思います」