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2015年10月26日(月)
マンション傾斜の実態 改ざんを生む土壌とは

ゲスト

鈴木馨祐
前国土交通大臣政務官 自由民主党衆議院議員
河合敏男
弁護士
谷和夫
東京海洋大学教授

検証 マンション傾斜問題 くい打ち工事の実態
秋元キャスター
「マンションが傾いた原因を見ていきたいと思うんですけれども、平面図と断面図です。傾いている西棟ですけれども、杭は52本あるんですけれども、そのうちの南側を調査したところの支持層ですけれども、支持層と言われる堅い地盤に達していない状態のものが6本。また、右から2本目ですが、支持層に達してはいるんですけれども、差し込みが不十分なものというのが2本あるということがわかっているのですが」
反町キャスター
「谷さん、マンション現場周辺の古い航空写真ですが、1961年から1964年当時の航空写真というものがあるのですけれども、問題のマンションがあったところはどう見ても水田の地域、水田の並んでいるところ、しかも、ここに川が流れていて、周りの山との間に挟まれた低い水田地域、現在そこが造成され、マンションが建っているという印象なのですが、ここの地盤はどういう地盤だと想定されますか?」
谷教授
「特徴は川です。鶴見川と言いますけれども、これは昔、多摩川と一緒にくっついていたんです。それで多摩川の方が、土砂の流出量が多いので、出口を塞がれてしまったために、鶴見川というのはかなり湿地帯が川の周辺に分布をしていました。非常に軟弱地盤が分布しています。ここで言うと、現在、おっしゃっていただいた水田になっている部分ですか。この部分までは軟弱地盤が堆積をしているということになります。それでこの外側の部分まで、ここが丘陵地になりますが、この丘の部分から川に向って、支持層がどんどん深くなっていきますけれど、一定の深さにあるわけではないので、場所によって深さは変わると。こういった地形になります」
反町キャスター
「そうすると、現在の2つ目の話。支持層が山から川に向かって、どんどん厚みを増す、支持層が深くなっていくという前提に立った場合に、こういう工事で、支持層に向かってパイルを打ち込む、杭を打ち込んでいく時に長さは全部一致するわけがないですよね?」
谷教授
「ええ、だから、四隅とか、建物の重要な重心の部分とかで、ボーリングの調査をして、その場所、その場所の深さは把握しておくということになります」
反町キャスター
「それによって、事前の支持層の地面における傾き具合をちゃんと見たうえで、それに合わせた長さの杭を打っていくのが基本形であると。こういうことになるわけですね?」
谷教授
「おっしゃる通りですね」
反町キャスター
「今回、そういう意味で言うと、届いていなかったということはもしかしたら、支持層の傾きの読み違いがあったかもしれない。そういう意味になりますか?」
谷教授
「どの程度の地盤調査をしていたのかがちょっとわからない。ですから、データを見て、その時に支持層の深さをどういうふうに予測をしていたか。それを付きあわせて見ないとわかりませんね」
反町キャスター
「支持層に達したかどうか。現場ではどうやって確かめるのですか?」
谷教授
「杭を打っている時ですか?」
反町キャスター
「打っている時」
谷教授
「ここの場合、非常に軟弱な地盤の下に上総層と言って、かなり固い地盤がありますので、杭の、この掘削をしている時に明らかにわかります」
反町キャスター
「急に固くなる?」
谷教授
「はい」
反町キャスター
「その最初にやったドリルを通していく時の話ですね?」
谷教授
「はい」
反町キャスター
「それであると急にやわらかいところをビューッとやると、急に抵抗が強くなって、そこで支持層に届いたと明らかにわかるはずですよね?」
谷教授
「はい。この場合、すごくわかりやすいと思います」
反町キャスター
「実際に掘っていく時の手応えで、支持層かどうかというのは、はっきりわかる土地ですよね?」
谷教授
「そうですね。各杭の場所ごとにわかりますね」
反町キャスター
「そこで普通、予定されていた杭を、たぶん17mなら17m、15mなら15mの杭を用意してやっていった時に、長さが足りない場合が出てくると思うんですけれども、長さが足りなかった時は、建築の技術として何か方法はあるのですか?」
谷教授
「継ぎ足しが可能な杭の場合には継ぎ足すことになります。このタイプですと、継ぎ足すことが難しい杭のタイプらしいので、この場合はその近くで打ち直しということになります」
反町キャスター
「ここのマンションに使っていたものは、継ぎ足せないものなのですか?」
河合氏
「継ぎ足せないものです。ここの杭打ち工事の問題点は、ここで使われていた杭がPC杭という杭です。PC杭というのはプレストレスコンクリートと言いまして、工場でつくるんです。工場で鉄筋をグーッと引っ張った状態でストレスを与えて、コンクリートでつくるんです。ですから、工場でしかつくれないですね。あらかじめ設計に基づいて、たとえば、14mであれば14mで発注があって、現場に運びこまれているわけです。そこで実際に掘削してみたら、2m足りませんでした。そこで14mの杭をどうしようと。ここで継ぎ足せるかと言ったら、現場では継ぎ足せないです、この杭は。工場でしかつくれない杭ですから。そうすると、このPC杭というのは受注生産ですから、そこから、また発注をかけるわけです。発注をかけると数週間かかります。当時、マンションブームだと言われていましたので、工場が忙しかった状態だとすると最長で2か月ぐらいは待たされる可能性があるんです。そうすると、杭が打てなければ次の工事に行けませんから、現場はストップしてしまうわけです。2か月間工事がストップするというのは、マンション建築の現場では普通、許されません」
反町キャスター
「そうすると、その層に短くて、届いていないけれども、いいやという判断が、そこに生じた可能性があるという意味で言っていますか?」
河合氏
「はい。そういう判断がその現場の人達の間で働いたと。では、隠蔽してやってしまえと。そういうことが起きたのではないかと私は推測をしています」
秋元キャスター
「そもそもどうして調節できないものを選んだのでしょう?」
河合氏
「十分な地盤調査をしたうえで設計がきちんとそれに対応してつくられていれば、PC杭でもいいと思うんです。でも、ここ横浜という地方は、かなり地盤の起伏が激しいところだと聞いています。それは専門家であれば、周知の事実だったらしいです。そういう現場ではPC杭ではなくて、現場で調節が利く、融通が利く杭を選択すべきだったのではないかと。たとえば、鋼管杭であれば、現場溶接をしてもっと深く押し込むことができます」
反町キャスター
「最初に言われた、今回の工事で使われたPC杭が1番安いですね?」
河合氏
「安いです。1番安いです」
反町キャスター
「コストの問題に関わってくる?」
河合氏
「そうですね」

くい打ちの施工不良
反町キャスター
「杭打ち工事の問題点というのは単なる、その現場の担当者の問題なのか。それとも全体のもっと構造的な問題なのか。これはどう感じていますか?」
河合氏
「現場の施工者は、設計図がまずできてくるわけですね、設計図通りに杭が発注されてきているわけですから、その通りに施工しようとするんです。だから、元を正せば、その設計図がおかしかったから、こういうことになるわけです。設計者は何をやっていたのか。それから、現場の工事監理者というのは、現場ではいろいろなトラブルが起きますから、そうしたら報告を聞いて、それで適切な対応をしていかなければいけない。私は、この現場で杭が足りませんでしたというのが現場の職人だけの問題で片づけられたというのはちょっと信じられないです。当然そういうことがあれば、一級建築士の工事監理者に報告されて、対応が協議されるはずだと思うんですね。では、いったいそこでその監理者は何をやっていたのか。そこがまだこの事件では不明です。そこを明らかにしないとこの事件の真相はわからないです」
反町キャスター
「そうすると、発注の流れがあるではないですか、元請、事業主の三井不動産レジデンシャルから掘削担当の会社まで、この構造の中で、責任問題という議論をするのは、僕は非常に難しいと聞いていて思ったんですけれども、そこはどういうふうに今後、解明されていくという話になるのですか?」
河合氏
「誰がどこまで知っていたのかという問題。まずそれを明らかにすべきですね。それでこの設計者、おそらく三井住友建設の設計、施工と言いまして、施工だけではなく、設計も請け負っていると思うんです。設計は三井住友建設。それに基づいて工事が進んでいって、間違った設計で現場が進んでしまったというわけですから、まず三井住友建設の設計段階でのミスはなかったのか。しっかりとした地盤調査を行ったのかどうか。私は、データ不足の中で、見込みで設計した可能性がかなり高いと思っています」

なぜデータ改ざんは起こった?
反町キャスター
「何メートル下までいけば、ここには支持層があるというのは、毎回、毎回、杭を打ち込む、全部の場所でボーリングをするわけにとてもいかないではないですか?何か所かボーリングをして、ここで10m、ここで18mだから、こんな尺だろうと想像するような形でたぶん長さを決めていくだろうなと。谷さん、そういうことですよね?」
谷教授
「そうですね」
反町キャスター
「それで結果的に短かった、未達のものがいっぱい出てきたということをどういうふうに我々は受け止めたらいいのですか?」
河合氏
「杭工事というのは見えない地盤の中の工事ですから極めて不確実性の高い工事です。だから、ある程度、それは設計でいくらきちんとデータを見て、つくったとしても、それは外れることもあります。その時は現場で掘れば必ずわかりますから現場対応が必要になってくるわけです。現場で見て、それがしっかりと届いていないなら、届いていないんだと正直に報告をして、監理者もいるわけですから。そこでどういう対応をするかというのが、当事者間で真面目な方向で議論がされれば、問題ないです。そこに先ほど言った、工期の問題だとか、いろんな問題がかかってくるから、そういう真摯な協議が行われない」
反町キャスター
「そうすると、その話を前提にすると、たとえば、旭化成は会見でこう言っているわけですよ。現場代理人、これはたぶん杭の打ち込みを実際にやった責任者のことだと思うんですけれど、現場代理人は支持層に届いていないという認識で行った行為は1本もないと。全て届いていると思っている。不具合を隠すためのデータ転用は行っていないと言い続けていると。こういう発言が出ているではないですか。そうすると、たとえば、ここで皆さんがおっしゃるような、最初のドリルで掘っていた段階で、回転数なり、その力の変化によって必ず届いているかどうかというのはわかるはずだという前提にも関わらず、旭化成の会見というのは、届いていないという認識で他のところは1本もないと言っている。この発言自体の信憑性が疑われるような材料しか、この場では出てこないのですが、どう感じますか?この旭化成の発言は」
河合氏
「この発言は、私は信用できないと思います。私もいろんな専門家に聞きましたけれども、固い地盤に達すれば、そこで抵抗が大きくなりますので、必ずわかると。100%わかると。皆、私が聞いた範囲では言っています。だけど、では、どうしてこういう全然違うことを言うのか。私は、その人の個人の責任に皆で押しつけると言っては悪いですが、それで終わらせようとしている意図があって、その人にそういう圧力がかかってこういう発言を生みだしているのではないかという気がしてなりません」
反町キャスター
「そうすると、ここで言っている現場代理人、つまり、杭打ちの現場にいる責任者はデータの改ざんを強いられたという形。迫られた。そう見ていますか?」
河合氏
「その可能性は高いと思います」
反町キャスター
「谷さん、いかがですか。どう感じますか?」
谷教授
「そういった発言がまったくあり得ないのかというと、実は場所によってはあり得ると思います。地盤にはいろいろなタイプがありまして、ここの場合は固い層の上に軟らかい層が1個乗っかっていると。この場合は、1回、ピュッと当たれば、これは支持層だということになりますけれども、この軟弱な地層の間に少し薄い堅い層が入っているとか、それから、少し塊が大きい石がありますと、そこでちょっと抵抗が大きくなるということはあり得るんです。そうすると、これがもう届いたんだねと感じちゃっているのかもしれないということはあります。しかしながら、最初にご説明したように、鶴見川の場合には、そういった層が間に入るというような地質ではありませんので、河合先生がおっしゃったようにまず問題なく、きちんとした支持層が把握できるということだと思います。2点目は、専門用語で技術者倫理という言葉がありますけれども、技術者は技術に真摯に正しく判断をする。こういうことが非常に求められる時代になっています。もちろん、お金の問題、時間の問題というプレッシャーはあるのかもしれませんが、そこで十分な支持力を持った基礎をきちんとつくるんだ、こういう使命感に燃えてやるということが大事なので、この技術者倫理ということに問題があったのではないかと私は思います」
反町キャスター
「河合さん、建築業界の現場において、今、言われた技術者倫理と、先ほど言われた、たとえば、工期の問題、予算の問題。どういう状況だと感じていますか?」
河合氏
「技術者倫理。確かに大事ですけれども、しかし、現場の職人とか、下請け、孫請けの立場の人達というのは非常に弱い立場で仕事をしているんです。倫理は重要だれど、倫理だけを要求しても、なかなかそこで歯止めがかかるという問題ではないです」
鈴木議員
「おそらくこの言葉自体は嘘だろう、これは皆さんおっしゃる通りなのだろうと思うんです。それで誰かに言わされているかどうかという話で考えれば、今回の旭化成の会見は、今回の件が露見したあとですよね。あとですから、当然それぞれの企業が自らの信用リスクに関わっていますから、そこでさらに隠蔽させるようなことを言わせるかというと、その可能性はないのだろうと思うんですね。ですから、そこは実際に誰がどこで気がついて、実際、これは個人の問題だったのか、あるいは本当に業界の慣行があったのか。そのことはしっかり我々は冷静に現実を見て、調査結果を見て、判断していかないといけないと思います」

住民への補償のあり方
反町キャスター
「今回の全体でいうと473本だったか、杭が打ってあると思うのですが、安全率という考え方からすると何本ぐらいという相場感はあるのですか?このうち、何本ぐらい届いていなくても建物は傾かないという、ないしは東日本大震災並みの揺れがきてもズレたりしないと。そういう相場感があったからこそ、たとえば、今回これまでわかっているだけでも、6本か、7本、そのくらいのものが未達の部分がある、届いていないというものが。そういうものを考えた時に相場感というのがあるのですか?」
谷教授
「ありません。理由はこういった基礎があった時に、1割ダメな杭があった時に、その1割が上手にバラけていたら、傾かないです。同じように下がってしまいますから。よろしくない杭が1か所に固まっていると、そこの支持力がないので、傾くということがあって気がつくわけですね。ですので、そうそう簡単にはわからないです。地盤は難しいですね」
鈴木議員
「法的な建てつけとしてはおそらく本数とか、そういったものを規定しているというよりは危険性がない建物というものをしっかりと提供してくださいというのが目的になっています。それはおそらく大丈夫なものもあり得るということで、建築基準法の中でも実際、支持層に到達しなければいけないという規定がある一方、安全性が担保されるのであれば、計算上しっかりとこれは安全なのであれば、そこは必ずしもそれに限らないという規定も同時にあるんです。そこは結果として安全なものであるかどうかというのが、1番大事なことですから。そこを軸に今後の検討を進めていかないといけないと思います」
反町キャスター
「そうすると、支持層に届いていないから問題、これは大変なことだということには法的にはそういう建てつけにはなっていないのですか?届いていなくても、安定をしていればいいんだよと。こういうことになるわけですか?」
鈴木議員
「おそらく問題は2つ、今回はあると思っていまして、1つは、まず偽装をしていたということ。これはもう明らかな問題ですよね。もう1つは、支持層に到達しているべきものがしていなかったということ。その結果として、いろいろと建設会社の方は安全だということを言っていますけれども、しっかりと第三者の方でも確認をしなければいけないと思いますし。実際今回の場合、傾き始めているというか、傾いている案件ですから。それはちょっと次元の違う話だと思いますし、今回の物件についてはきちんと補償をしていかなければいけない。さらには非常に手厚い形で今回いろいろ、住民の方としては不満なところもあるかもしれませんけど、出している中で、それはしっかり検討が進められているということになったのだと思います」
反町キャスター
「河合さん、現在の話を聞いていると、別に届いていないからと言って、建築法違反というふうにすぐになるわけでもない。そういうことですね?」
河合氏
「いいえ、違います。安全基準は安全基準で、建築基準法で最低限守らなくてはいけない基準というのが決まっていますから、安全というのはギリギリの安全ではなくて、それはある程度の余裕をみて安全基準を決めているわけで、それを守ることが安全です。実際に建物が傾くか傾かないかというのは、これは誰にもわかりません。大きな地震を加えてみて、実験しない限りはわからないです。だから、安全というのは実際に傾くかどうかの問題ではなくて、安全基準を守るかどうかなんです。それを下まわっていたら、それは危険だということになるんです。それが法律の約束事です」
反町キャスター
「そうすると、ちょっと別の話になってしまうかもしれないのだけれど、そこまで安全が大切だと基準法やら何やらで決まっているのであれば、その通りに建物ができているかどうかの検査体制というのが当然必要になってくると思うんですよ。そこは現在どうなっているのですか?」
河合氏
「行政とか、指定確認検査機関の検査は最初の段階で確認検査。それと、真ん中で中間検査、最後に完了検査とだいたい3回あります。ほとんどが書類審査がメインです。中間検査は現場を見ますけれども、書類審査がメインで、現場を見ても杭のオペレーターが見られるような詳しい知識がある人はいないから。見たってわからないし、基本的には、ちゃんとできていますという報告を見れば、それを信用するしかないです、現在の検査体制では。つまり、現場検査については、行政の検査というのは私から見れば、形だけのものしかないと、私はそこを充実させるべきだと思っています」
反町キャスター
「行政にも、たとえば、自治体にも、建築の専門の方とか、技官の方とかはいないのですか?そういう人達が、1つの現場にそれぞれ張りついて検査をするような体制はマンパワー的にも、組織的にもなっていない?」
河合氏
「マンパワー的になっていないですね」
反町キャスター
「谷さん、いかがですか。現在の話。要するに、ペーパーワークで安全基準が担保されていると、あるいは、それでOKだとハンコを押してもらうという話だと思うんですけれども、そこについてはどう感じますか?」
谷教授
「3つポイントがあると思います。技術的に、支持力を確認しようと思えば、できます。載荷試験を全数やるのは大変ですけれど、いくつか、たとえば、100本のうち3本はやりましょうと。実際に載荷して見てですけどね」
反町キャスター
「サンプリング検査みたいな?」
谷教授
「そうです」
反町キャスター
「それは建物ができる前ではなくて杭を打った段階での検査ですよね?」
谷教授
「そうです。杭を打設した直後にやることが必要だと思っています。それから、もう1つは、杭を打つ人の他にもう1人、横で、第三者機関で地場の専門家が存在すると。確認をするというようなポイントも必要だと思います。それから、3つ目は、問題はその人の技術力で、地盤は非常に専門的分析が難しいものですので、私としては、これは是非、国交省の方にこういう仕組みをつくっていただくのを提案したいんですけれども、技術師の基礎、土質及び基礎という資格を持っている人、あるいは最近できた地盤品質判定士、地盤を見る専門家の資格ができましたので、専門性を持った、能力のある人がチェックをすると。この3点が重要だと思います」

全国3040件の物件は
秋元キャスター
「今回の国交省の対応をどう見ていますか?」
鈴木議員
「1番大事なことは、非常に不安が広がっていますね、その不安を一刻もはやくしっかりと解消することだと思います。当然これは今回の問題がどこにあったかは先ほどの話で、個人なのか、あるいは会社なのか、業者なのかという話にもかかわりますけれど、少なくとも今回、旭化成建材という会社の中で行ったものについては一刻もはやくその実態を把握させることが最低限のスタートラインですから、これは迅速性、あるいは正確性というものは国としてきちんと関与していかなければいけないことだと思います」
反町キャスター
「3040件に関して全部を連絡することを国土交通省が指示していますよね。指示をすることについては、そこはどう受け止めたらいいのですか?」
鈴木議員
「正直、今回実態がわからないですね。わからないということであれば、その可能性はなるべく大きくとらなければいけないわけですね。最初しっかりと最大限の可能性でもって検査をしてもらって、その結果、ここは大丈夫でしたよねという形をつくっていかなければ、不安というものは解消されない。これはいつかどこかの段階で、私としては国交省なり、日本国政府として、この部分以外は安全ですという安全宣言というものはしっかりちゃんとした調査のうえで出すことは必要だろうと思います」
河合氏
「不安解消ということでは評価すべきことだと思います。ただ、私は1つ疑問があるのは、どうやって調査をするのかということがはっきりと見えてこないですね。検査方法に客観性があって信頼できるかどうか、その方法をまず提示してもらわないと、ただやりました、結果OKでしたという報告だけを聞いて、本当ですか、という疑問は拭い切れないので、そこの部分をもう少ししっかりと説明していただきたいと思っています」
反町キャスター
「実際にできてしまったものの検査は大変な手間とコストがかかると。具体的に検査の方法まで国交省が指示すべきものなのかどうか、どう感じますか?」
谷教授
「おっしゃったように何を検査するのかと。そういう紙切れのうえだけの何かに不都合があるかどうかを見つける。これは当然やってもらってもいいのですが、もう1つ、技術的な点で必要な検査というのは建っている構造物の基礎自体を調べるのはお金と時間がかかりますので、予兆というか、前兆現象、不都合が、何らかの影響を現在建っているものに及ぼしている、たとえば、ひび割れとか、床の傾きとか、段差の部分が少しずつ変わってくるとか、そういったところを専門家が見るぐらいの調査は指示を出してもいいのではないかと思っています」
反町キャスター
「そこまで踏み込むのは国交省としては難しいのでしょうか?」
鈴木議員
「誰が気づいてどこで話が止まったのかというのは確かにありますよね。今回、現場の管理者の方だけの問題だったと仮にすれば、その方が関わった問題を、全て調査をしっかりする。そこから先の広がりというのは現在の段階ではまだ調査中であればわかりません。わからないところでどこまでするべきなのか。逆に言うと旭化成建材の関わった物件だけなのか、あるいはそれ以外もそうなのか、そこの広がりというものはまだ今回の実態を見てみないとわからないと思うんです。当面、今回の事件の根幹であった現場管理者の人のデータに端を発した1つの切り口として検査の指示ということと承知しています」
反町キャスター
「現場責任者の個人の問題に帰結させるのか、個社の責任に帰結させるのか、業界全体の問題にまで広げて考えているのか、国交省は腹を決めているのですか?」
鈴木議員
「1番大事なことは、多くの方が不安を感じている。これはこれから買われる方は当然そうだし、現在持っていらっしゃる方はもっと不安を感じている。ですから、そういった方に、これは安全なんだ、大丈夫なんだとしっかりと伝えられるような根拠が必要だと思います。その根拠というのは何なのかというのはおそらくいろいろ今回の話の中でありましたように、当然書面だけで十分ではないところもあるんだと思います。ですから、ここは今回、誰がどこで隠蔽というか、隠したかというところをまず正確に把握したうえでやらなければいけない。同時にマンパワーも当然限られていますから、優先順位ということもあります。現在の段階の優先順位では旭化成建材が、1番優先順位がおそらく高いと思います。それに異論はないところだと思います。これで終えてしまってはいけないので、そこはしっかりとしたコミュニケーションというか、リスク管理、しっかりとした説明を政府はやっていかなくてはいけないと思いますし、その腹は当然固まっていると思いますので、そこはしっかりと皆さんからも言っていただくことが大事だと思います」

再発防止策のあり方
秋元キャスター
「マンション着工のピークは2006年度の24万1826戸ですが、今回、問題になっている、傾いているマンション(の着工時期)と重なるのですが」
河合氏
「だいたいそういう忙しい時期は、職人を手配するのに大変苦労します。資材も高騰しますし。そうすると、有能な職人がなかなかいなくなる。忙しくなると建築会社は断るのが仕事みたいなことにもなるんです。ちょうど平成の初めの頃のバブルの頃もそういう状態で、実はあの頃、たくさんの欠陥建築が生まれたんです。それも景気と言いますか、構造的な要因で、なかなかそれを改善することが難しいですね」
反町キャスター
「現在の日本がどうなっているかというと、復興に関しての需要が東北地方であって、2020年のオリンピックに向けて建設ブームが都心では起きるだろうと皆、思っていて、建築業界における人手不足、資材不足と言われています。背景としては今回の事件と似ているように見えますが」
鈴木議員
「職人の数が限られている中でそこは獲りあいになります。その中で妙な圧力がかからないようにこれまでも法的に様々な対応はしてきています。ただ、十分ではないのは事実であって。そこをしっかりもう1度現場に則した形で精査をしていくことが大事だと思います。もう1つ、これからいろいろ復旧復興の東北のいろんな事業もありますし、あるいはオリンピック、パラリンピックに向けてということで、マンションも2000年代の前半ほどではないですけれども、相当盛り返してきているという中で、確かにそうした人の獲りあい、現在も資材の高騰、人件費の高騰があります。実際にありますけれども、1つ、そういったおかしなことが起こらないようにする制度づくりは大事です。大事ですけれど、最後は、これは現場の個人個人、あたられる方のモラルに頼る部分は絶対に残りますね。全部規制でやれというのは現実的でないと思うんです。ですから、そこはもちろん、規制もしっかりする、チェックもする。ただ、同時に現場で実際ほとんどの職人、業者の方はしっかりやっているわけですよね。そこはきちんとそういう真面目にやっている方がその分だけ報われて、そうではない方は損をする環境というのはしっかりと厳罰化も含めて、環境づくりは同時にやっていかなければいけないことだと思います。その2つが相まってはじめてきちんとした状況は出てくると思いますし、それでもおそらくいろんな不具合が出てくると思います。いろんな不祥事も出てくると思います。その度ごとに原因をきちんと究明して、対処を1回1回していくというのが、これからの政治であり、政府の1番の目指す方向だろうと思いますよね」

弁護士 河合敏男氏の提言:『安全確保の第三者検査』
河合氏
「マンションの購入者がマンションを見て、安全かどうかを判断するのは不可能です。この人を保護するのは第三者機関をおいてないと。自浄作用は重要だけれど、それがいつ実現されるのかはわからない。そういう中で最も現実的に早急に安全を確保できるのはこの方法であろうと」

谷和夫 東京海洋大学教授の提言:『地盤工学』
谷教授
「私の専門分野とするところですが、2つの意味があります。1つは、地盤や基礎は難しいので地盤工学の専門家を活用していくべきだと。2つ目は、マンションだけでなく、戸建住宅も含めて、基礎が壊れたり、地震や雨によって地盤が滑ったり、壁が壊れたりと問題が多いわけです。安全はタダではないので、社会全体として基礎の問題とか、地盤の問題についてきちんとお金を払って、いいものを残していくのが重要だと思います」

鈴木馨祐 前国土交通大臣政務官の提言:『徹底的究明と抑止メカニズム』
鈴木議員
「今回の問題は3つに分けて考えないといけないと思います。1つは今回、何の瑕疵もなく購入した方に一刻もはやく補償をすることに尽きると思います。もう1つは、現在ある全ての物件について、不安をどのようにして解消して真実をはっきりさせるのか。そのためには徹底的な究明しかありません。これから先ということについては当然、第三者による様々な検査の強化をしていかなくてはならない。川下で現場が多い状況ですから、自浄作用というのか、抑止のメカニズムというものが働く状況を業界につくらせなければならない。そのための制度設計を罰則も含めてやっていかなくてはいけないと思います」