プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2015年10月23日(金)
『噴火列島』ニッポン 予知は可能か不可能か

ゲスト

古屋圭司
元防災担当大臣 自由民主党火山噴火予知対策推進議員連盟会長 衆議院議員
藤井敏嗣
火山噴火予知連絡会会長 東京大学名誉教授
和田久
神奈川県安全防災局長

噴火列島日本 口永良部島の現状
松村キャスター
「現在、日本にある火山なのですが、日本では50の火山が常時、監視、観測体制が必要な火山として定められています。気象庁では火山活動の状況に応じ、警戒が必要な範囲や、周辺住民、登山者らが取るべき行動について、警戒レベル5から1の5段階で区別しています。50の火山のうち、警戒レベルが運用されているのは32となります。この地図で見ますと、赤く囲われたのが火山です。一昨日、藤井さんが会長を務める火山噴火予知連絡会が全国の火山活動の最新評価をしました。その中で注目されたのは今年5月、爆発的な噴火が発生した鹿児島県の口永良部島の火山活動についてです。今年5月と同じ規模の噴火の可能性は低くなったが、引き続き警戒が必要としたうえで、避難範囲を火口からおよそ2kmから2.5kmの範囲に縮小しました。一方、箱根山の大涌谷については、噴気活動は低下傾向、引き続き小規模な噴火に警戒が必要としています。まず藤井さん、全島避難が続いている口永良部島の現状についてどうなっているのでしょうか?」
藤井氏
「今年5月に起こったような規模の噴火が起こる可能性は低くなっていると評価をしています。ただ、あるデータは、地殻変動のデータですけれども、ずっと山が膨らむような傾向が噴火前にあったのですが、それは止まっているんですけれども、それが縮小する、小さくなるという傾向はまだ見られないので今後、まだ警戒が必要だろうと考えています」
反町キャスター
「縮小していないということは未だに、山の下に、俗に言われるマグマが溜まっているという、こういう理解でよろしいのですか?」
藤井氏
「そうです。マグマが浅いところまで来て、その状態がまだ保たれているので、再び噴火をする可能性はあると思っていますが、それがいつのことになるかはよくわかりません。口永良部で噴火が起こると、数年から数十年に渡って断続的に起こることがあります。それがこれまで何回も繰り返されているので、いったん静かになってもまた起こるということは十分考えられるんですね」

箱根山・大涌谷の現状
松村キャスター
「一方、レベル2の箱根山大涌谷の現状はどうなっているのでしょうか?」
藤井氏
「最初に地震活動が活発化して、深いところでの地震も、それから、浅いところで少し大きめの地震が起こるということになって、レベルをいったん引き上げて、それで噴出物が少し、6月の29日、30日ですね。あの頃に、新たに穴が開いて、そこから土砂を吹き上げたわけです。それが噴火をした。火山学的に噴火をしたという意味ですから、その噴火が起こったものですからレベル3にいったん引き上げたわけです。その後、噴火は起こってはいません。地震活動は随分下がったんです。それで現在気象庁の方でレベルを下げて、レベル2まで下げていますけれど、蒸気の活動というのはまだ収まっていない、非常に強い状態にありますから、その意味では、まだこの間、6月の末に起こったのと同じような小規模の噴火は可能性としてはあると思っています」
反町キャスター
「和田さん、防災計画、この場合で言うと避難計画になるのですかね。県のものというのは既に過去にできていたものなのですか?箱根山というか、大涌谷噴火の際の避難マニュアルみたいなものというのはあるのですか?」
和田氏
「厳密に言いますと、災害対策基本法に基づく地域防災計画というのがあります。この中に風水害計画という章があるんです、地震とは別に。その風水害計画の中で、船舶事故だとか、火山というのが項目であるんです。箱根につきましては、神奈川県で唯一の火山なので、風水害計画の中でレベル3までは避難区域は決めてあったんです、法定計画の中で。ところが、実際の避難計画というものが昨年までできていなかったと。そういう状態です」
反町キャスター
「と言うことは、たとえば、今回はここのレベルで、まだ止まっているんですけれども、さらに進んで避難してくださいみたいな話になった時には、その計画というのは、県にはこれまでなかったということになるのですか?」
和田氏
「はい。避難計画は今度の改正された火山法が施行されればそうなのですけれど、防災協議会でつくるというような形で」
反町キャスター
「防災協議会というのはどことどこの協議会なのですか?」
和田氏
「通常、地元の県と市町村、気象庁ですとか、国交省ですとか、関係セクションが一緒になって協議会をつくっていますけれども、そういったところでつくることが通常かと思いますが、今回一連の活動がある中で、レベル4、5まで含めて、箱根の避難計画をつくりましたので、もしレベルが上がっても下がっても対処できるようにはしてあります」

戦後最悪の被害 御嶽山 予知はできなかった?
松村キャスター
「58人が死亡し、5人が行方不明となっている、戦後最悪の火山災害、御嶽山の噴火に至る状況とその後の経緯をまとめました。御嶽山に噴火警戒レベルが導入されたのは2008年3月でした。当時の警戒レベルは5段階で、最も低い1ということです。ところが、昨年の9月9日から火山性地震が頻発して、翌10日には52回、11日は85回と以降、噴火前日までに307回観測しています。しかし、噴火警戒レベルは1のまま引き上げられることなく、噴火してしまいます。ですが、当日この噴火警戒レベルを1から3の入山規制に、噴火してすぐ同じ日に引き上げました。今年6月に噴火警戒レベルを3から2に、火口周辺規制に引き下げたという、こういう経緯があります。視聴者から『火山噴火の予知は大変難しいとは思いますが、想定外だったとならないように、空振りでもいいから早目に予知情報を出してもらいたいものです』とのことですが、藤井さん、いろいろとサインはあったと思うのですが、予知は難しかったのでしょうか?このケースは」
藤井氏
「噴火を予知するという点では非常に難しかったです。地震が増えただけで噴火をするとは限らないです。特に御嶽山の場合は、今回の1つ前の噴火は2007年に、非常に小さな噴火があったんですけれども、その時は地震がワーッとくる時に山が膨らむという地殻変動が何か月も前から観測されていた。それだけのことが起こったにもかかわらず、非常に小さな噴火で終わっているんです。ですから、この地震が起こった時に、気象庁も、まだ地震だけしか起こっていないので、地殻変動が起こっていないから噴火をするとしてもまだ先なのだろうとたぶん考えたのではないかと思います」

警戒レベルの課題
反町キャスター
「先ほどのメールにあるように、空振りでもいいから早目に予知情報を出してもらいたい。ここはどうですか?政治として、どこに重きを」
古屋議員
「防災担当大臣だった時、空振りを恐れず避難勧告指示を出していただきたいと。空振りに終わったら幸いだったと住民に思っていただきたい、こう何度も申し上げたんです。実はアメリカはそうです。5日前からそういう情報を出すんです、台風とか。そうすると、皆さん、ああ良かった、ラッキーだったと思うんです。だけど、日本はどうしてもオオカミ少年だとか、こう言われて、首長さんは4年に1度選挙がありますから、そういうネガティブなことを言われたくないので、どうしても首長さんもそういう発信をすることをやや躊躇するんです。でも、これは日本人の意識改革が必要だと思います、住民の皆さんの。常にそういう警戒を出して、実際、空振りに終われば幸いだった、こう思っていただくことが、結果として行政側もそういう通達を出しやすい環境をつくり上げていくということになると思います」
反町キャスター
「この話はお金が絡みますよね。空振りでもいいからということで警戒情報を出した時に当然、出すだけで止まらなくて、基礎自治体、地方自治体はそれなりのローテーションを組んで不寝番を立てたり、警戒情報を流したり、そこにお金がかかってくる。そういう部分も含めると、自治体の方も、そんな簡単に出してもらっても困るという、そういう話はなかったですか?」
古屋議員
「これはちょっと地震ではないですけれども、水害とか、非常に苦労をした市町村が水害サミットというのをやっているんです。そこで本を出しているんです。そこに10か条というのがありまして、まず判断の遅れが致命傷になる。お金はあとで何とかなるから、まず対策を…」
反町キャスター
「ごめんなさい。お金があとから何とかなると誰が言っているのですか?自治体が?国がそう言っているのではなくて?」
古屋議員
「そうではなくて、何とかなるから。ただ、実際、交付税で措置をするとか、特別交付税を前倒しするとか、いろんな対応をしているんです。だけれども、どうしても市町村の現場の担当者はルールに、ピシッと厳密にやりますから、そうすると、そういう警戒情報や避難情報を出すというのに、やや慎重になるところがあります。でも、現実は実際そうやって出してすごく費用がかかったら、それは和田局長にも聞いていただきたいのですが、ピシッと交付税で、特別交付税を含めて、それは前倒しでやりますということも対応しています。雪がドサッと降っても、雪かきの費用がなくなったと言ったら、それは前倒しでドサッと出していますから、そういう対応は弾力的にやっているんですよ」
反町キャスター
「和田さん、いかがですか?簡単に警戒情報とかが出ると負担が、費用がかかって大変だなというところがあるのですか?」
和田氏
「どこを重視するかということだと思うんです」
反町キャスター
「風評被害も含めてですか?」
和田氏
「防災のセクションにいるから言えることなのかもしれませんけど、防災行政の本質というのは1人でも多くの命を救うことです。その際に手間がかかる、お金がかかる、あるいはいろんな困ったことが起きるというのは申し訳ないのですが、二の次ということになりますので」
反町キャスター
「神奈川県が裕福な自治体かどうか僕は知りません。お金のある自治体、余力のある自治体はそういうことが言えるという話ですか?」
和田氏
「違うと思います。その時にお金の勘定をし、予算があるから、ここまで助けるのをやめようという人はいないと思います」
反町キャスター
「発生したらそうです。発生する前の段階です」
和田氏
「それも同じだと思うんですけど、防災というのは無限にコストをかけられないですから。また、ここまでやれば、もう絶対に完璧というのも実はないです。自ずとある程度のバランスというものが要請されますけれども、命を救うために、必要最小限、かつ適切な範囲というのは多少無理しても講じていくべきだろうと思っていますし、ボーダーラインというのは、特に東日本大震災以降、今日は火山の話ですけれども、防災に対するニーズ、あるいは感覚というのはもう少しレベルが上がってきているのかなと個人的には思っています」
反町キャスター
「寛容性という言葉が適切かどうかはわかりませんけれど、構えをとること、事前に予防的な対応をとること。そこに人や予算をかけることに対して、以前は厳しいものがあったんだけれども、3.11以降は変わってきたと。こういう理解でいいのですか?」
和田氏
「そういうふうにも言いきれないですけれど、少なくとも私は東日本大震災以降、ずっと防災をやってきて、あの混乱の中で、東日本の被災者の救援をしましたけれども、今回箱根の火山の対応があって、事業者の方をはじめ、随分ご迷惑をかけ、県民の方にもご心配をかけたのですが、そういう様々な対応なり、対策をしているということについての苦情はなかったです。道路を通してほしいとか、何とかしてほしいという、もっと相当に苦情があるものかと想像していましたけれども、先ほど出た話ですけれど、御嶽山の印象、そういうものが皆さんの脳裏にあったのかわかりませんけれども、期待の方を感じました」
反町キャスター
「御嶽山の話、藤井さん、先ほどの話の続きですが、先ほど、言われた地震の回数です。2007年1月17日に164回。ピーク時に1回。1日80回までしかふっていないので、この倍までいっているんですけれども、3月下旬に噴火しました。今年の例で言うのだったら、見てもわかるように9月11日85回。これも80回の上の目盛を振り切るところまでいって、27日に噴火ということになっているんですけれども、この日別の地震の回数というものがそのまま警戒情報にはダイレクトにつながらなかったですよね?今回は」
藤井氏
「警戒情報には、地震が増えたという解説情報は出しています」
反町キャスター
「解説情報としては入るけれども、レベルを上げるところまでいかなかったというのは、先ほど、データとも睨みあわせた時にまだいかないだろうと?」
藤井氏
「噴火にはならないだろうと思ったのでしょう。それは担当の者がそう思ったのだと思います」
反町キャスター
「そうか!藤井さんの個人的な見解を聞くのはこの場はあまり適切ではないのですか?」
藤井氏
「どういう意味ですか?」
反町キャスター
「これで警戒情報を、警戒レベルを上げなかったということについて、どう考えますかということです」
藤井氏
「警戒レベルを予知してあげるということであれば、この段階でわからないから。上げられないです」
反町キャスター
「やはり、上げられなかったですか?」
藤井氏
「これで予知、噴火するというふうにはとても確信は持てないと思います。他の火山でも地震がワーッと増えて、噴火に至らない例というのはたくさんありますからね。地震が増えて、地殻変動まで起こるという2つが揃えば、これは噴火に至るかもしれないとたぶん気象庁職員も考えるでしょうけれど、地震だけだとなかなか判定が難しいと思います」
反町キャスター
「噴火まで2週間あるわけではないですか。その間に何かできたことというのはどういうことがあるのですか?やればという意味ですけれども」
藤井氏
「これまでなかったところから蒸気が出ているとか、あるいは蒸気の高さが以前に比べて非常に高くなっているとか、あるいは温度が上がっている、そういう他の情報があれば、彼らも上げたかもしれないと思いますけれども、その調査のために行っていないので、現実にどういう変化があったのか、なかったのかということを現在となっては何ともわからないです」
反町キャスター
「打つ手はあったかもしれないけれど、打っていなかったというところを言ってもいいのですか?」
藤井氏
「調査に行った方が良かったと思いますが、行っていなかったですね」
反町キャスター
「僕ら素人目からすると警戒レベルを上げる、あとで意思決定プロセスは聞きますけれども、上げる、上げないというところについては実質、火山噴火予知連絡会というのは、直接は関与しないのですか?」
藤井氏
「関与しません。これは気象業務法で決まっていることです。気象庁がやることです」
反町キャスター
「気象庁がやることですか?」
藤井氏
「そうです」
反町キャスター
「気象庁が警戒レベルを上げるか、上げないかということに関しては、その参考意見を予知連絡会の方に求めたりはしないのですか?」
藤井氏
「たとえば、その山の近くに大学の観測所があるような場合、そこにうちの委員がいますから、その予知連委員とデータの付きあわせも含めて相談をすることはあります。ですが、御嶽山の場合には観測所がありませんので、特にそこに詳しい研究者というのはいないわけですね。ですから、それは気象庁が判断をした。名古屋大学が比較的近いので、一応相談はしているんですけれども、たとえば、警戒レベルを上げるかどうかという判断はあくまでも気象庁がやることです」
反町キャスター
「これだけ噴火の頻度が上がった。でも、他のデータがなかったというのか、調べていないということかもしれないし、データが、異変が察知できない、どちらかというと現在の話だと、異変がデータ的に出ていなかったというよりもデータそのものがなかった?」
藤井氏
「いや、地殻変動データはもちろん、あるわけです」
反町キャスター
「それは異変が生じていなかった?」
藤井氏
「それは、2007年の時に出たようなことはその時には起こっていない」
反町キャスター
「この状況下において警戒レベルを上げる、上げないのプロセスをどう感じますか?」
古屋議員
「これはまず根本的なことをピシッと認識する必要があるんです。地震の予知はお金も相当かけていますし、人間もいますし、データもたくさんとっています。だから、携帯電話で、緊急地震速報で30秒ぐらい、実際ちょっと揺れますよね。では、火山があるかといったら、ないですよ。と言うことは、火山の対策というものは本当に遅れているというのが、残念ながら、世界的な現実です。それは火山でこの数百年間、都市部近郊で爆発して多くの命が失われたかというと、ないです。地震はありますね。10万人単位で亡くなったとか、あるんだけれども。だから、そこが、今度は日本で初めて戦後最悪の60人近い方が犠牲になられたということで、徹底的に見直していこうということで、現在、そういったレベルのあり方、情報入手のあり方。こういう取り組みを始めた。それから、人材をしっかりと確保していかなければいけない。こういうようなことを、私が現在、会長を務めています火山噴火予知議員連盟で精力的に議論をして、項目をまとめて、総理にも進言をして、その対策がスタートをされたというところです」
反町キャスター
「火山が手薄。予算的にも、マンパワー的にも手薄というのは、先ほど言われたみたいに、大きな被害を目の当たりにしないからというのは…」
古屋議員
「それは世界的な傾向ですよ」
反町キャスター
「それは世界的な傾向…。でも、それは火山に対する、防災対策というのが僕はあるのかは知りませんよ。それが整っているからとか、そういうことではなく…」
古屋議員
「違いますね。もちろん、地方公共団体ではそういう避難の計画、そういうのは皆、ちゃんとハザードマップをつくってやったりしていただいていますけれども、現実に国を挙げて、その予知の確度を上げていく。それから、人をしっかりと確保していく。計画的な配置をしていく。それから、データベースが多ければ多いほど、確度は上がるわけですから。データベースは、たとえば、センサーをたくさんつけるとか、そういったものは正直言って遅れていると。だから、現在いよいよ本格的にスタートしているということです」

噴火予知の現状と課題
松村キャスター
「具体的にどのような観測が行われているのでしょうか?」
藤井氏
「基本は地震の観測で、地震が起こらないところで起こり始めるとか。もう1つは地殻変動というのがあります。マグマが浅いところに動いてくると、山が膨らむという現象が起こります。そういうものが起こるかどうかということを見ているのに、たとえば、GNSS(GPS観測装置)という人工衛星を使って、距離をはかることで、地殻変動を見る。あるいは山が膨らむということは傾斜計で山が盛り上がっているかどうかを観測する」
反町
「数センチぐらい広がっていくことがあるのですか?」
藤井氏
「たとえば、20kmぐらい計っていて3cmとか、4cmとか、それぐらいまで距離が伸びることがあります」
反町キャスター
「それは、どのくらいまでマグマが上がってきているとか、計算できるものなのですか?」
藤井氏
「もちろん、計算できますよ。どの深さにあるということを、いろいろなデータをあわせて決めてやると、どのぐらいの量が上がってきているかを予測はできます。有力な手法です。ですから、常に山が膨らむかどうかをいろんな火山で見ているわけですね。御岳の場合も計っていたけれども、それは横が動かなかった。地震は増えたけれど、距離は伸びなかった。それでまだ噴火は遠いと気象庁は判定をして、その段階では警戒レベルを上げることはなかった」
松村キャスター
「富士山は、観測施設は多いのですか?」
藤井氏
「そんなことはないですね。むしろ少ない」
反町キャスター
「どのくらいの精度で何が予知できると?」
藤井氏
「たとえば、マグマが上がってきたような場合は、それを捉えることができるのですけれども、富士山の場合は噴火をする場所があらかじめ決まっていないです。富士山の山頂にきれいな火口がありますけれども、あの火口は最近2200年間、使ったことはないです。2200年前に噴火をした時に使ったのがあそこで、それ以降に何十回と噴火しているのですが、それは毎回違う場所で転々と動いていっているんです。裾野の方から噴火したこともありますし、山頂に比較的近い、5合目と6合目の間くらいですが、そういうところから噴火した例もあるし、常に違う場所からきているので、次にどこから噴火するかはなかなかわかりませんから、できればいろんな場所に(観測装置を)置いておきたい。最近はもう少しいい方法があるんですけれど、合成開口レーダーという人工衛星から見るとか、技術としては航空機に搭載するという手法もあるのですが、富士山の場合、困るのは冬場になると雪に覆われて使えない、レーダーですから。夏場はいいですけれど、それが難しいのと、人工衛星だけだと1回まわって次にくるのに時間がかかるので、常に見ているわけにはいかない。いくつか制約がある」
反町キャスター
「費用はかかりますよね?」
藤井氏
「これは随分費用はかかりますよ。メンテナンスも大変です。特に夏場になると、富士山に限らず、どの火山も高い山に多いですから、雷で壊れてしまうということがあります」
反町キャスター
「どういう警戒態勢に?予算措置も含めて」
古屋議員
「合成開口レーダーはかなり効果があるんですよ。現在どういう状況になっているかというと、それぞれが合成開口レーダーを持っているのですが、いざ、チェックをしたいという時に民間の飛行機会社に頼む。そうすると、噴火している時とか、危険な時には飛ばないですよ。それから、我々の議員連盟で提案した中に、全国に自衛隊の基地がありますよね。自衛隊の飛行機に恒にそれを配備しておいていただくと。そうすることで、スクランブルをかける時は2分で飛んでいきますから。だから、民間の飛行機を借りるんだったら、レーダーを飛行機に乗せて、明日とか、明後日しか飛べないというようなことがあるわけです。それでは1番いいタイミングの計測をみすみす逃してしまうことになるので、これは関係省庁で実態をチェックして、自衛隊にそういう協力をしていただくことを働きかけています。それによって、タイムリーに合成開口レーダーで見ることができるようになると。こういうような対策は1つ1つやっている」
反町キャスター
「火山の噴火の予知に取り組んでいる人はどのくらいいるものなのですか?」
古屋議員
「火山対策で言うと、そんなにいないと思いますよ。数十人…」
藤井氏
「数十人と言われたのは、大学で火山観測研究に携わっている人間が数十人です。もちろん、気象庁の中には火山課なり、火山監視情報センターというのがあって、火山の職員はいます。しかし、研究者として観測する人は40人を切ったかもしれませんが、大学生ではなくて、ポストを持っている者は40人ぐらいです。その数がどんどん減っているんですよ。大学が法人化して以降は、ポストが、教員の数が減っていますから、当然火山の分も減っていく。定年になると補充ができないということで数が減っているんです」
古屋議員
「本当に深刻な話です。結構ご年配の方が多いですね。5年、10年すると退官していくんですよ。そうすると専門家がいなくなってしまうんですよ。文部科学省も80人の体制ですね。これを倍増させると、5年間で。160人に。気象庁も別途来年度の予算の中に火山だけの専門家ではないけれども、火山関連で80人、人をしっかり雇っていくという取り組みを始めました。人を育成するのには、たとえば、工学系とか、社会科学系とか、こういった人達もしっかり確保していく。もちろん、リスクコミュニケーションの専門家も要りますし、そうやって確実な人材を育成確保していく。このためにも予算は必要ですので、しっかり来年度予算の中にも反映させるように鋭意取り組むようにしているようにしていると」
反町キャスター
「プロフェッショナルの方々がこういう形でいろいろな火山を観測している中で、プロフェッショナルではない方が警戒レベルを上げ下げすることをどう感じていますか?」
藤井氏
「そのためのマニュアルを彼らは一生懸命につくっているわけですね。内部基準というものをつくるわけです。その基準を超えそうな時に、たとえば、相談をするとか、やるわけですね。それで何とか切り抜けてきたのですが、いつまでもこれが続くものではないですよね。ですから、気象庁も御嶽山のあとで専門家をとにかく採るということを、その手法をいくつか考えているし、予算も必要です。ただ、気象庁の本庁で専門家を採るというポストはありませんので、そういうやり方はできませんし、気象研究所がありますから、そういうところに専門家を雇ってもらうことをやれば、気象庁の力量を上げていくことも可能ですし、大学の方も人が減っていますから、そこから気象庁に出かけて行って、指導することはとてもできる状況ではないですから。もう1つのやり方は大学の観測所でこれまで何十年も観測にあたってきて、現在は定年になっている方を場合によっては参与という形で気象庁の中に迎え入れることができればもっと気象庁の力量が上がるでしょう。大学の中で専門家を増やすにはすごく時間がかかりますよ」
古屋議員
「これまでそういうことをやろうという仕掛けがなかったんですよ。だから、今度は気象庁も平成28年度の予算ではそういう関係の人を増やそうということで、新たな予算を確保してやっていくという取り組みが始まった」

国がやるべき火山対策
古屋議員
「ドローンに高性能な映像機器を載せるということが可能になりました。たとえば、警察庁が防災カメラを非常に高度化しています。2020年の東京オリンピックに向け、テロ対策で4K、8Kを使う。ハイブリッドキャストという一部をパッと拾いあげて、そこのところだけ抜いて分析する。それが4Kや8Kになると、拾いあげた映像のきめが細かいから、できるんですね。そういう技術を駆使することによって、かなり確度の高い情報を入手することができる」

藤井敏嗣 火山噴火予知連絡会会長の提言:『火山を知る』
藤井氏
「これは個人のレベルでも、あるいは国のレベルでもそうですが、火山について正しい知識を持っていることが重要だと思います。御嶽山が火山あることを知らなかった方がたくさんいらっしゃったわけですね。火山というものがどういうものなのかをきちんと知っていれば、それなりに身を守ることにも通じます。日本の場合には、地学の教育というのはほとんど中学1年生で止まってしまうんですよ。高校生の中で地学をとるのは20%にも満たない。そうすると、日本の社会人の大部分は中学1年生のレベルで社会人になるんですね、火山と地震の知識は。火山大国で火山を知らないということは致命的なことだと思いますので、火山に対する正しい知識を持つ。これは行政もそうですけれども、ぜひ火山についての正しい知識を持って、防災のためにそれを活かしてほしいと思います」

和田久 神奈川県安全防災局長の提言:『共生』
和田氏
「富士山も箱根も火山ですけれど、美しい景観、豊かな温泉ということで、火山というものは多くの恵みを与えてくれるものですが、一方で、火山である以上、万が一の場合の噴火だとか、被害も否定できない。私どもはそういう火山の特性とかを十分に理解したうえで、十分な対策をしたうえで、共に火山と生きていく、生活していくことが大事かなと考えています」

古屋圭司 自由民主党火山噴火予知対策推進議員連盟会長の提言:『冷静に正しく恐れる』
古屋議員
「これはお二方の概念とも共通するものがありますけれど、日本は確かに火山大国ですけれども、それによっていろんな恵みを享受しているのも事実ですね。だけれど、怖さもある。だから、その怖さを正しく理解して、冷静に対応していく必要があると思います。だから、煽るのも良くないし、無知も最悪だし、その意味で冷静に正しく(恐れる)と」