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2015年10月21日(水)
『連合』新会長に問う 変わる?民意と働き方

ゲスト

神津里季生
日本労働組合総連合会会長
山口二郎
法政大学法学部教授

『連合』新会長に問う 組織率、認知度の低下
秋元キャスター
「連合の現状について聞いていきたいと思います。厚生労働省の調べによりますと、労働組合の組織率、1949年には55.8%の組織率だったんですけれども、右肩下がりがすっと続いていまして、昨年には17.5%と過去最低を記録し、組織率の低下に歯止めがかからない状況です。さらに連合が実施した世論調査によりますと、連合に対する認知度に関して、連合について、知らないと答えたのが、20代女性で61%。20代男性では48%。全体では連合について知らないと答えた人が46%という結果になりました。神津さん、この世論調査の結果はちょっとショックですか?」
神津氏
「いや、これは、そういう意味でいうと、こう言ってはなんですけれども、こういうことではないかなと思いながら、私どもとして、これはつい最近、調査したものですよ。私は2年前に、連合本部に事務局長で、専従で来まして、政策の立案ですとか、あるいは電話の労働相談ですとか、いろいろな切り口で、いいことをやっているのに、だけど、本当に知ってもらえているのだろうかということですね。私は事務局員に対しても何度か、皆いいことをやっているのに、だけど、これは自己満足に終わってはダメだぜと。知ってもらえないと本当に意味をなさないのだということを言っていまして、そういう意味でも、自分達の運動の足元をもう1回ちゃんとしっかりと見極めて、どういう進み方をしていくのか。それを考えようではないかということで、方針提起する際に敢えてこういう調査をやったんです」
反町キャスター
「この番組、6年、7年になるんですけれども、前会長の古賀さんを最初にお迎えした時にも、あの表を使った記憶があるんですよ。その時には、古賀さんを最初にお迎えした時には、まだ17.5%とかではなくて、18%とか、そのぐらいだったかもしれないですけれども、いずれにしても長期低落傾向が続いていますねと。これは、つまり、同じ状況からずっと連合は脱却できずにいるのかどうか。そこはどうなのですか?」
神津氏
「そういう意味で言いますと、連合としての組織人員は、2007年が1番谷でして、665万人ですよ。そこから、いろんなことをやってきて、特にこの2年は、1000万連合を、2020年に目指そうということもやってきて、反転させて682万人ということです。2020年、1000万人というのは相当高いハードルを自らに課しているんですけれども、切り口もいろんなことを考えて、社会に開かれた存在として、ということと合わせ技で組織人員の拡大をはかっていかないといけないと。こういう状況ですね」

連合の存在意義
反町キャスター
「大きな方針として、かつてのような状況とは変わってきて、終身雇用とか、年功序列がなくなって、正規も、非正規も、その他、いろいろな人達の包摂をする組織を目指していると思うんですけれども、そうした中での連合の存在意義みたいなものというのは変わってきていると感じていますか?それとも変わるべきだと感じていますか?」
神津氏
「変わるべきだと思います。ですから、多様な人達を包含しなければいけない。全ての働く者を連合の仲間の輪にと。こういう言い方をしているんですけれど、具体的に、たとえば、非正規で働く方々、そういう意味で言うと、もともと連合の中には少なかったんですけれども、現在だいたい90万人強の組織人員としても、682万人のうちの93万人ですかね。という状況には、積み重ねの中でなっているということですね。ただ、比率としては相対的に低いです。だから、もっともっとそこは本当に多様な方々を迎えなければいけないと。こういうことだと思います」
反町キャスター
「山口さん、現在の話は」
山口教授
「そもそも連合というのは、いろいろな産別組織が集まってつくった全国組織なので、個別の業界ではなくて、働く者全体の利益を代表するという使命があるわけです」
反町キャスター
「全体?」
山口教授
「うん。現在、本当に働く場の荒廃、劣化というのはすごく進んでいて、サービス残業とか、ブラック企業とか、いろんな問題があるので、そこは働く者の代表として告発するとか、いろんな制度、政策というのは昔からやってはきたけれども、働く人間の権利を守るという原点でがんばる時ですよね。それは本当に社会的な現在、重要な使命だし、若い人でもアルバイトとか、いろいろな非正規労働をやって、権利を侵されているという被害者が潜在的にはすごくたくさんいるわけですね。そこをどう掘り起こすかという、これは連合の最大の課題だと思いますね」

ストップ・ザ・格差社会
秋元キャスター
「さて、今月、神津さんが新会長となられた連合ですが、2016年から2017年度の運動方針として『ストップ・ザ・格差社会!全ての働く者を連合の働く輪へ
「安心社会を切り拓こう!」
』というスローガンを掲げています。ちなみに前回のスローガンが、『ストップ・ザ・格差社会!…』と。同じような気もするんですけれども」
反町キャスター
「何か新しいものをつくろうと思わなかったのですか?会長も替わったのに、同じものじゃね、と。僕らが言いたいのはそういうレベルの話ですよ」
神津氏
「考えておきます。ただ、格差が縮まらないと、このスローガンは下ろせないんですね」

正規・非正規の雇用格差
秋元キャスター
「安倍総理は、アベノミクスによって賃金が上昇したと主張していますけれども、一方で、正規、非正規の雇用格差というのが広がり続けているんです。こちらの左側のグラフでは非正規雇用というのは年々増え続けていて、2014年には、およそ1962万人に達しまして、雇用者数に占める非正規の割合が37.4%と過去最高を記録しています。また、賃金の方を見てみますと、2014年ですけれども、最も差が大きい50代前半、正規の月収がおよそ40万円なのに対して、非正規はおよそ20万円と2倍の差がついているんですね。神津さん、この現状をどう見ていますか?」
神津氏
「これは本当に由々しき問題だと思っています。結局、これだけ人口減少社会で、超少子高齢化ですよね。これを本当に反転させていこうと思ったら、この問題にメスを入れなかったら、いろんなことをいくらやったって無理ですよ。自分の将来設計、生活設計。一生懸命に仕事をして、自分の力も高まって、給料も増えて、そのことと連動して、給料が増えることによって、家庭を持って、子供をつくってというので、そういう発想に立つことができない人達が増えてしまっていると。根本的な問題を何とかしなければいけないと。これを象徴的に表しているグラフだと思っています」
反町キャスター
「それは、つまり、連合が目指すべき方針としては、非正規を減らすのですか。それとも非正規の待遇改善。何を今後の運動の基本的な方針として」
神津氏
「両方あると思います。非正規の待遇改善というのも1つあると思います。本来、有期雇用ですとか、あるいは派遣の働き方。これはそういう意味で言うと、安定的な雇用ではないわけですよ。ですから、使う方の側からすれば、経営者、使用者はむしろ頭を下げて、条件を高くするから働いてよというのが、私は本来の姿だと思うんです。ところが、実態としては使い勝手のいい雇用になってしまっているということなので、これは制度の問題も含めて、メスを入れていかないとなかなか追いつかないし、それと労使関係です。文句を言う相手、あるいは文句だけではないですよ、自分は会社のためにがんばろうと思っているのでこうした方がいいのではないかと、そういう双方向のコミュニケーションというものがないと、なかなか…。そういう意味で、win-winの関係になっていく、処遇も上がっていく、会社は発展をしていくということにならないです。そういうことにならない結果がこういうグラフに表われてくるということではないかと思っています」
反町キャスター
「先ほど、682万人中の非正規が93万人という数字をいただいたうえで、敢えて聞きます。要するに、だいたい600万人の正社員と90万人の非正規の皆さんという、そういうバランスで現在、連合は成り立っているという前提に立った場合に、連合全体の意思決定というのは、正規社員の人達の利害の代表者たる部分というのは当然、声としては大きくなると思うんですけれども、そうした時に、こういう問題に取り組むという時に、よく言われる、では、正規社員の給与を減らして非正規は上げるのかとか、正規社員の枠を増やすことによって、正規社員のこれまでの持っていた、いわゆる既得権益です。待遇の問題とか、そういった問題が、要するに、薄まって悪くなる部分というのもある。非正規の皆さんを加えることによっては、正規の人達にも納得してもらえるような方向を連合としては打ち出すのかどうか。そこはどうですか?」
神津氏
「連合として全体に打ち出すということはないです。ただ、個々の組合において、そういうことをやった例もないことはないです。それは1つの選択肢だと思います。ただ、連合からすると低い方に引っ張られる。世の中全体が雇用の質も含め、ぶつ切りの雇用でとりあえず間にあわせという、そういう使われ方が増えていくということに引きずられるというのは雇用社会の劣化ですし、生みだす付加価値もそれで減っていくわけですから。それは経済の好循環だ、何だという、はるかに手前の問題で、これはデフレ脱却なんて夢のまた夢ということだと思うんですよ。ですから、お互いに切磋琢磨をする労使関係で、緊張感を持って自分達はがんばるのだから、その代わり会社も儲けるように経営をやれよという、そういう労使関係をどれだけ広げられるかということだと私は思っています」

男女の格差と女性支援
秋元キャスター
「正規、非正規の問題もありますけれども、男女の賃金格差というものも大きく開いているんですね。同じ正社員でも50代の正社員の男性に対して、女性の賃金というのが3分の2ですけれども、この男女の格差についてどう見ていますか?」
神津氏
「このグラフですけど、賃金センサスという統計からとってきているわけですね。ですから、1人の人の軌跡を追ったということとはまたちょっと違うわけですよね。平均でプロットするとこうなる。これだけ格差があるというのはいろんな要因がありますけれど、1つは、非正規で働く比率が高いということですね。全体で現在、4割近くになっていますよね。女性で見ると6割ぐらいですよ。ですから、そのことが1つの要素としてあると。それと、結婚する、それから、出産をする。本当は勤めたいと。社員籍をそのまま持っていたいけれども、何か辞めざるを得ないみたいな日本の古い風土ですね。これをだいぶ変えようとして、変わってきている部分もありますけど、まだまだ、いわゆるM字カーブと言われているような、そんな問題もあって、そうすると、もう1回一からやり直しみたいなことになると、どうしてもこういうことになるんです。だから、それを変えていかないとダメですよ」
反町キャスター
「山口さん、正規、非正規とか、男女とか、地域格差なんかも含めて、日本は格差という問題がいっぱい出てきて、確かに連合のスローガンも格差だけれども、こういう問題がずっと出てくる中で、ナショナルセンター連合の果たすべき役割というのは、これまでにも増して大きいと思うんですけれども、その期待に、応えきれているのかどうか。そこをどう感じていますか?」
山口教授
「それぞれ歴代の会長さんは、ご自身の出身組織の利害を離れて、大所高所の議論をしてきたと私は思うのですが、社会的に認知をされていないというのかな。政治的なパワーにもなっていないというか。そこらへんを乗り越えていくというのは、本当に難しいなと。私も答えがわからなくて、悩んでいるんですけれども」
神津氏
「そういう意味で言うと、そこのところは私どもとしては、まさに山口先生が言われたようなことを、意識の真ん中においてやっていかなければいけないですね。それで、いみじくもおっしゃられたんですけれども、私も単組、産(業)別、そういったところを経験してきていて、自分のいるところを何とかしないといかんということに、どうしてもなるんですね。この間、厳しい状況も乗り越えていますから、余計そこに集中、特化してきているんです。だけど、現在、そういう意味で言うと、踊り場と言いますか、日本全体を含めて、こういう問題にもっと力を込めていかないと、日本の社会は続かないよということだと思うんです。ですから、それは単組でがんばっている組合の役員の方々も、あるいは産(業)別の方々も、このことにもっと目を向けようよということは、かなり私どもなりに浸透をはかってきているつもりですけれども。もっともっと強化をしていかないといけないです」

規制改革と多様な働き方
秋元キャスター
「安倍政権は、アベノミクス第2ステージとして、1億総活躍社会という目標を掲げました。1億総活躍社会を実現するために、新たに三本の矢を放つとしています。第一の矢が2020年頃までにGDP600兆円に。第二の矢が2020年代半ばまでに希望出生率1.8の実現。第三の矢が2020年代初頭までに介護による離職をゼロにするということですが、第一の矢のGDP600兆円を達成するため、安倍総理はこのような政策を進めるとしています。雇用をさらに増やす、給料をさらに上げる。それから、消費を拡大して、生産性革命を大胆に進めていくと。誰にでも活躍のチャンスがある経済をつくるために、多様な働き方改革を進めると述べているんですけれども、神津さん、特に生産性革命。それから、多様な働き方改革になると、働き方に直結する政策になると思うんですけれども、連合としてはいかがですか?」
神津氏
「まず生産性ということで申し上げますと、生産性革命というのの、革命というのは何を言わんとされるのかというのが私自身はまだよくわかりません。生産性の向上というのは、一昨年の最初の政労使会議の中でも、1項目が賃上げでしたけれども、最後にまとめた文書の中で、4項目目が生産性の向上ですよ。地方の中小企業を含めて、その配分を高めていこうと思ったら、生産性が上がらないと画に描いた餅になるんです。私ども労働組合員も昭和30年頃から、いわゆる生産性運動。これは労働組合としても前向きにと言いますか、自分達も主体になろうという受け止めをしてやってきているんですね。そこで言っている生産性の三原則というのが、雇用の維持拡大、それから、労使協議をしっかりやりましょう。それと、成果の公正配分。この3つですよ。だから、この3つが原点であって、これをとにかくしっかりやっていきましょうということに生産性の問題というのは、私は尽きると思っています。生産性という言葉。これは往々にして同床異夢なるところがありまして、何かコストを下げて収益を増やせば、これは生産性向上という勘違いが、この世の中に結構あるんですよね。まったくそういうことはないですよ。これは労使がwin-winの関係でいくということが、まさに、生産性の向上であり、生産性の…考え方ですよねということが1つですね。それから、もう1つ、多様な働き方ですけれども、私どもも多様な働き方というのはニーズにあった形であって然るべきだと、こういうことだと思っています。それで、もう1つあるのが、労働時間の問題ですよね。これが決定的に日本の社会に重くのしかかっていて、私ども連合もこれは労働時間の短縮だということも含めて、一生懸命に旗は振っているんですけれども、なかなか社会全体の意識を変えるというところまでつながっていないなということが1つと、あとは法律の問題ですね。これは、いわゆる36協定です。日本の労働時間法制というのは36協定があることによって、結果的にはいくらでも働けますということになってしまっているので、日本人の労働観とここがくっついてしまって、過労死が認定ベースだけでも、年間100件を超えると。こういう実態ですね。だから、これは上限規制であるとか、労働時間の総量規制であるとか、インターバル規制とか、そういったことを本当にビルトインしていかないと、実際には本当の意味でいい働き方と多様な働き方になっていかないと思います」
反町キャスター
「生産性革命と多様な働き方の話をすると、成長か、分配かという議論になっているように聞こえるんですけれども、たぶん政府が言わんとしているところは、成長をしましょう、パイを大きくしましょうという話が主に聞こえてくる気が僕はします。ただ、神津さんの話を聞いていると、パイを大きくすることよりも、分配のやり方、配分を変えませんかという話に聞こえる。それは違いますか?」
神津氏
「私は成長も然るべくと。成長をしながらだと思いますよ」
反町キャスター
「成長のための痛みということについては、連合は容認するのですか?何もしなくてこれまでと同じ働き方をして成長をする、生産性が上がるとは思えないですよ。たとえば、労働の流動性であるとか、リストラも含めて、産業構造の変革、いわゆる構造改革と呼ばれるものとか、そういうものをやらなくてはいけない。痛みがある程度は必要だということを、政府は国民に問いかけている部分が僕はあるのではないかと思っているんですけれど、大きな構造改革、ないしは産業、業界の再編とか、そういうものに対して連合はそういうところに対してコミットするのか、ないしはそこに変化が表われると当然、転職とか、失業とかというリスクが出てくるわけではないですか。そういうことを踏まえての生産性の向上ということに対しては、連合はどういうスタンスですか?」
神津氏
「その観点で言えば、構造改革というのは然るべき構造改革は、なされるべきだと思っています。要するに、生産性の低いところが、何らかの理由で温存をされるということになると結局ツケが回ってくるのはそこで働いている人達ですね。給料は上がらない、あるいは何かがあったら破綻をするということですよね。そうではなくて、それは再編も含めて、生産性というものが上がっていって…。ただ、雇用の補償と言いますか、これはなければいけない。路頭に迷う人達が出るということは、これは避けなければいけない。だから、然るべく労働移動があって、その新しい職場で希望を持って働けるという、そういう形というのは、それは考えないといけないことだと思います」
反町キャスター
「それは、十分な失業保険、転職、職能訓練みたいなセーフティネットが整ったうえでの構造改革なら善しと?」
神津氏
「おっしゃる通りですね」
反町キャスター
「その環境が現在、日本に整っているかどうかというと?」
神津氏
「整っていないですよ。高度成長期は良かったね、でとどまっちゃっているわけですよ。あの頃はほとんど完全雇用を実現したわけですよ。だけど、それが破綻をして、特にリーマンショックで派遣村がありました。実際、ああいうことが起きて、日本のそういう法律の世界はセーフティネットが脆弱であるということが明るみに出たわけです」
山口教授
「反町さん、現在の問題は、ヨーロッパの労働組合は既に取り組んでいるわけですよね。首を切られても仕方がないけれども、失業給付をちゃんと2年出すとか。その間の職業訓練、ちゃんと公費で面倒を見るとか、そういう意味での大胆なイニシアティブというのは、労働界からもこれからは出していく必要があると私は思います」
反町キャスター
「それは、政治の側からやりづらいものなのですか?」
山口教授
「政治のイニシアティブ。最後は法律の問題、予算の問題だからね」
反町キャスター
「たとえば、民主党政権の時には進んだのか?」
山口教授
「進んでいない。考えた人はいたんだけれども」
神津氏
「進み始めたんですよ」
反町キャスター
「その時に政権が終わっちゃった?」
神津氏
「そうです」
反町キャスター
「3年3か月もあったんですよ」
神津氏
「そうかもしれませんけれども…」
山口教授
「いや、3年3か月というのは…」
反町キャスター
「少なかった?」
山口教授
「そう。実際に予算を変えようと思ったら2年目、3年目という話になるわけで」
反町キャスター
「そういうものですか?」
神津氏
「セーフティネットについては、そこは新しい仕組みを1つつくりました。職業訓練をしながらというね」

官民対話と連合 甘利明 経済再生担当大臣 自由民主党衆議院議員(VTR)
甘利経済再生担当相
「政労使(会議)というのは本来、日本経済の閉塞状況を打破するために、自分達がやれることをやろうよ、と言って集まった3者なんです。経営側は応えてくれました。政府もがんばって、いろんな規制緩和や減税策などやりました。労働側って何をやったんだろう、『働き方改革反対です』と。もうちょっと前向きに言ってもらわないといけないんじゃないのということです。だから、暫く政労使(会議)の方は、ちょっと置いておこうよと。官民対話の中で、やれることをやればいいじゃないかということなんですよね」
反町キャスター
「逆に言うと、労働組合がいると話が進まない部分もあったということですか?」
甘利経済再生担当相
「経営者と政府側で話しあいをして障害物を外していくという方がスピード感がありますよね。その中で賃上げもサイクルを回していく大事な要素だということであれば、官民対話の中でスピード感を持って スピード感が大事ですから。いち早く新しいインフラに対応できる経済をつくるという競争になりますから。そういうスピード感を持ってやっていきたいと思います」
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秋元キャスター
「甘利さんは、労働界は何をやっていたんだ。政労使(会議)は置いておいて、官民対話でスピード感をもってやっていくとのことですが、この発言をどう受け止めますか?」
神津氏
「そういう意味で言いますと、働き方改革に連合が反対しているという、それは、どの部分を指して言っているのかということで、働き方改革自体は、私達は非常に大事なことだと思っているんですよ。特に労働時間の問題など含めて。ただ、この間、私どもが対応してきたことというのはまさに派遣法の改悪の反対ですよ。派遣法のあの内容というのは、私はあれが働き方改革かなと思いますけれど。だから、ちょっと、この間そういう雰囲気はこれまでにも伝わってきているんですけれど、賃上げということでこれだけ政府が声を上げているのに派遣法をあれだけ反対して何だと。何かそういうふうに聞こえるんですよ。でも、それはおかしな話だなと思って。テーマ設定が全然違います。ですから、政労使会議ということで言いますと、一昨年やりました、昨年やりました。一昨年やった時の課題というのがまだ積み残しがあるんです。中小企業の底上げと、非正規で働く方への配分、それから、生産性の向上。私はこの部分をもっと深堀りしてやるべきだと。しかも、この時期だけやるということではなくて、本来、政労使の3者構成というのは、まさにILO(国際労働機関)の原則で国際標準なわけですからね。特に働くことがテーマに関わるということであれば、これは3者構成で、通年的に大所高所の議論から含めてやるべきではないですかというのが、私どもの基本的な考え方です。少しボタンを掛け違えてしまって…。そういう意味では残念です」
反町キャスター
「政労使(会議)をやらなくなることは、連合にしてもデメリットが大きいということです。(企業の)300兆円の内部留保をどうやって賃上げにつなげていくか。政労使だったら、労働側からも企業に対して言えることもあったと思うんですよ」
神津氏
「何をテーマにしていくかだと思います。中小企業の底上げだとか、あるいは非正規の方々にどうやって配分を高めていくのか、生産性の向上をどうやっていくのですかという、そのへんのテーマに突っ込んでやるということであれば、それは私どもも政労使の会議で議論させていただくということは意味のあることだと思いますが、これから官民対話という形のようですが、官民の民が経営者の方々ばかりなので、それが本当に民間という言葉でくくって言えるのかどうかも含めて、それは何をやっていくか、何を議論していくかではないですか」

民主党との連携・支援強化
秋元キャスター
「連合の2016-2017年度運動方針ですが、政策実現に向けた政治活動の強化で、多くの政策を共有する民主党との連携ならびに支援を強化し、政策実現を目指すと。具体的にはどういう形での連携になるのでしょうか?」
神津氏
「政策として1番共有しているのは民主党との関係ですよね。ですから、これはこれまでもそういう関係にありますし、それをさらに、こういう政治情勢の中ですから、一強多弱というのは良くないと思っていますので。政権交代があって、緊張感がある政治というものが、合意形成をはかっていこうということにつながっていくと思いますので、私どもとしてはそういう関係は引き続き持っていきたいなと思います。もちろん、自分達の政策を、政府に説明する、あるいはいろんな政党に説明する、それも一方でやりながらですけれども、民主党との関係というのは申し上げたようなことが基本だと思っています」
反町キャスター
「一強多弱がダメだと言うことになると、現在、共産党が言っている、国民連合政権ですか。安保法制廃止を前提にそれだけを旗印に皆さんで選挙協力をして、その後の連立政権を目指しましょうと、これはどうなのですか?」
神津氏
「選挙協力ということで、政党間がいろんな戦略を持つのは普通にあることなので、それはそういう世界の話だなと思います。ただ、共産党と私どもというのは歴史的な経過があって、イデオロギーに強く影響を受けた労働運動からどうやって脱却をするかという歴史がありますから。これは私どもとしては直接どうこうということはあり得ないということは言わざるを得ない」
反町キャスター
「選挙協力はアリなのですか?」
神津氏
「選挙協力というのは、候補者調整ということになると、政党間でどういうことを本当に現実の問題としてできるのかどうかということですからね。そこは一定の限度があるのではないですか」

参院選に向けた戦略
山口教授
「私も、参議院選挙から次の政権交代まで1つのパッケージで進めるのは無理だと思います。基本的な政策のすり合わせはそんなに簡単にはできない部分も大きいですね。ただ、他方で来年の参院選はとても大事ですよ。民主党が地方区でひと桁とか、比例も6つ7つとかになったら、2大政党は振り出しに戻っちゃう。そういう意味では、本当に2大政党そのものの正念場なので、これは1人区である程度とらないといけないし、比例でもとらなければいけない。比例が連合参加の産別の椅子取り合戦になってしまったら目もあてられない。だから、民主党が現在の安倍政治を転換する主体なのだというある程度の国民的期待感を喚起して、一千数百万票の票を集めないことには連合傘下の産別にとっても勝利はないですよ。そういう意味では、野党結集を進め、次の参院選で安倍政権にお灸をみたいな国民的運動を盛り上げていくことは連合にとっても必要ですよね。もう1つ、具体的な1人区の選挙区調整、候補者調整、これは地方連合が担わざるを得ないですよ、具体的に。そこで地方の連合が実働部隊として、共産党その他の野党勢力と話をつけて、無所属の統一候補を立てるというイニシアティブをとらないと、いくら中央で党首クラスがやろうと言っても、具体的に候補者立てて、選挙体制を組んで、票をとりにいくという戦いの体制をつくるのは、善くも悪しくも地方連合ですね」
反町キャスター
「地方連合は候補者を絞り込んで調整するだけの腕力があるのですか?」
山口教授
「あるところがまだ残っています、結構」
反町キャスター
「たとえば、次の選挙、連合は12人を立てる構えですよね?」
山口教授
「産別の本当に何か競争みたいになっていると。それは各産別で自分のところの代表を出して戦っていくので、それは別にいいですけど、ただ、6つしかない椅子を12人で争うみたいな悲惨な戦いになったら、民主党自身も明日がないというか、民主党は結局、連合の政治的代表だみたいに思われてしまったら、2大政党ではなくなるんですよね」
反町キャスター
「いかがですか?この指摘は」
神津氏
「まったくその通りだと思います。現実の状況で直近の700万票だと12人なんてとても無理です。それぞれの産別の考え方があって、集積として12人です。自分達の仲間であり、普通のサラリーマン、サラリーウーマンの人達がもっと国会に出るということは非常に大事なことだと思っていますから、それはやっていくしかないと思います。基盤のところを浮揚していかないと、現実には厳しいですよ」

山口二郎 法政大学法学部教授の提言:『社会的正義感』
山口教授
「要するに、先ほどの格差、あるいは働く人の権利を守る、そういう正義感という原点に戻って、しっかり戦う、あるいは主張する運動をしていただきたいと思います」

神津里季生 日本労働組合総連合会会長の提言:『自分たちのもの』
神津氏
「先ほど、労使関係は非常に大事なものだと、こういうことを言いました。連合の中でしっかりとした労使関係を築いてきているところ、これはこれで大事ですけれども、その傍らに落とし穴があることも考えないといけない。成熟した労使関係、成熟というのは一見、良く聞こえますけれど、形骸化していないか。要するに、1人1人の組合員、あるいは役員、幹部に任せていたらいいということになったらダメだよと、自分達のものだという意識をもう1回呼び起こさないといけない。世の中、普通の国民市民が現在、立ち上がろうとしているんです。連合組合員も普通の国民市民です。そういう意味で、民主主義は自分達のものだという意識をさらに高めていこうと、こういう意味であります」