プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2015年10月13日(火)
甘利大臣TPP今後 ▽ 中国『日本人スパイ』

ゲスト

甘利明
経済再生担当大臣 自由民主党衆議院議員(前半)
菅原淳一
みずほ総合研究所政策調査部上席主任研究員(前半)
凌星光
日中科学技術文化センター理事長(後半)
美根慶樹
平和外交研究所代表(後半)


前編

甘利経済再生担当相に問う TPP交渉の舞台裏と今後
秋元キャスター
「今回、大筋合意に至ったTPP(環太平洋経済連携協定)の主な項目を見ていきたいと思うのですが、まずコメについてはアメリカ、オーストラリアから新たにコメ輸入枠を設ける。乳製品については、ニュージーランドなどからの輸入を拡大すると。自動車については、日本とアメリカ間の自動車部品の関税について8割以上を即時撤廃。日本からアメリカに輸出する完成車の関税については、25年目で撤廃。医薬品の分野では、バイオ医薬品の開発データ保護期間を実質8年とする。著作権については保護期間を現行の50年から、少なくとも70年に延長と。こういった内容になったわけですけれど、甘利さん、今回の交渉で1番苦労された部分というのはどこですか?」
甘利経済再生担当相
「日本に関して言えば、自動車の原産地規則でした。収まったのは、合意の前日の午前4時です。1番苦労しました」
反町キャスター
「原産地規則というのは、たとえば、輸入、パーツを輸入する場合の、どこの国の製品なのか。ないしは完成品の8割方できたものを、どこかにいって最終的に組み上げた時、そこが生産国?そういう分類ですか?」
甘利経済再生担当相
「12か国の枠内で調達をしたものが何パーセントになっているかと。自動車の製品として、このうちの何パーセント以上、域内調達だったら、これは安い関税の適応を受けますよとかね。それを超えてしまったら、これは有利な適応を受けないで、よそから来ているのと一緒にしますよという話ですね。部品も、部品を構成するものが、この部品ができるまでに、この域内でどこどこまで調達をしていれば、これは関税の適用除外とか、安い関税を適応するという、そういう調達ルールですね」
反町キャスター
「全体の交渉を通して途中、甘利さんが何度かムチを入れるような場面があったと思うんですけれど、ゲームをやめようとか、非常に交渉自体の、その言葉だけが伝わってくると、僕らはよっぽど厳しい状況にあるんだなと、言葉だけでは判断せざるを得ない部分があったんですけれども、その節々で、たとえば、ゲームをやめて、誠実に交渉をしてほしい。これはどういう状況で、誰に対して、何を訴えていたのですか?」
甘利経済再生担当相
「まず日本が入る前というのは、アメリカがいて、あとは経済的にはうんと小さい国ですね。だから、よく揶揄されたのは、象とアリ集団と揶揄されたわけですよ。それぐらい力の差があったわけです。そうすると、経済小国は束になってもなかなか敵わないわけです。そこに日本が入っていったわけです、第3の経済大国が。そこで、経済小国に対してもちゃんと困っていることを聞いて、経済大国のアメリカにモノを言うという、その仲介役みたいな存在ができたわけです。これがTPPをwin-winの関係にしていった1番の要素だと思うんです。それから、終盤になってくると最後にカードを切るんですね」
反町キャスター
「ニュージーランドのことですか?」
甘利経済再生担当相
「どこの国もやっているのですが、と言うのは、間際で時間がないというと、うちはこれしかできないよというと、まあ、しょうがない、時間がないからと、皆でやると全員がそれをやるとまとまらないわけですよ。特に議長国のアメリカがそれをやっちゃまずいですよ」
反町キャスター
「それを親が始めたのですか?」
甘利経済再生担当相
「アメリカという国は、交渉については、かなり厳しい国ですから、そういうことをなかなか交渉してくれないというような愚痴が入るわけですよ。しかも、今日ダメだったら、もう1日。次も1日。いつまでかかるかわからない。だから、私が、フロマン代表と交渉官の責任者に集まってくれと。ちょっと話があるからということで、私も首席と次席を連れていって、私はいついつの飛行機で帰りますからと。これ以上絶対に延ばせませんと。ここでできなかったら、必ず漂流しますよと言ったんですよ。だから、私が帰る時までに決めてくれと。他の国の人が帰ったら大丈夫だろうと無視するかもしれない、アメリカはですね。日本が帰ってしまったら、これは交渉はまとまりませんから。では、甘利大臣、何時に帰るんだと、何時何分で1便たりとも延ばしませんからと。腹をくくってやってくれと。それから、ゲームはやめた方がいいと。駆け引きしている時間はないと。誠実に、本当に本音で交渉をしてくれと。事務折衝が進んでいないようだけれど、直ちに始めてもらいたいと申し入れしたんです。そうしたら、動き出しました、交渉が。なかなか応じてくれないという国からも、ようやく交渉が始まりましたから、というお礼がきましたけれどもね」
秋元キャスター
「菅原さん、今回の交渉をどのように見ていますか?」
菅原氏
「本当に、率直にお詫び申し上げなければならないのは、私自身が見通しを見誤っていたんです、まさかまとまるとは。五分五分よりも低いのではないかと見ていましたので。ただ、それは言い訳になるんですけれど、先ほど、大臣がおっしゃっていたように、閣僚会合前には自動車の原産地規則に問題。それから、ニュージーランドの乳製品の問題。さらに1番もめるだろうと言われていたバイオ医薬品のデータ保護の問題などがあって、まったく歩み寄りがみられないという状況の中で、たった2日間の閣僚会合でまとまるという方が無理なのではないかという見方。私以外の方もしていたと思うんですけれども、そんな中で延長に次ぐ延長でしたけれども、何とかまとまったというのは現在、甘利大臣に裏話もお聞きできましたけれども、日本の存在というのが非常に大きかったのではないかなと思います」

どうする?TPP国内対策
反町キャスター
「コメ、麦、もちろん、牛肉、豚肉、乳製品、砂糖です。いわゆる聖域5項目と呼ばれるもの。これについては交渉に当たったお立場からすると、今回はその日本の農業関係者の不安にはきちんと応えたという気持ちはありますか?」
甘利経済再生担当相
「まず衆参農政委員会の決議がありまして、農産品の重要5項目、これのコアの部分では制度は守ったし、関税もゼロにしていかないということで、それは守り切ったと思います。もちろん、ステージングで関税がゼロにはもちろん、なりませんけれども、下がっていくものもあります。ですから、不安があると思うんです。ですから、その国民の不安の払拭もありますけれども、それは農家の人の不安に応えるということと、それ以外に社会保障制度に影響があるのではないかとか、あるいは食の安全に影響があるのではないかとか、そういうことはまったくないです。国民皆保険制度をどうこうするという要求はまったくありません。あるいは食の安全を新たにルーズにしていいなんていうことはありません。まったくWTO(世界貿易機関)ルールの通りですから。そういう心配はありませんという説明をしっかりするのと。それから、再生産していく農産品についてどういう不安があるのか。これから攻めていくためにどういう政策が必要かということを一生懸命に考えていかないといけないですけれども、外からの輸入が増えて国内生産が厳しくなるのではないかというような不安にはしっかり応えていきますから。とにかくここは対策本部を中心に、あるいは農産品に関連した検討をする場がありますから。しっかり精査をしていただいて、どういう政策が必要かというのを洗い出してもらうという作業がこれから始まると思います」

TPPと農業対策
反町キャスター
「菅原さん、いわゆる聖域5項目と言われるような、いわゆる農業を守れるか、守れないかということについての結果をどう見ているかということと、そのうえでの農業対策。政府が今後、取り組んでいかなくてはいけない。どういう農業対策に取り組んでいかなければならないか。その2点はいかがですか?」
菅原氏
「日本の農業を守っていくというメッセージが大臣や総理から発せられたというのはいいと思うんですね。ただ、守っていくにしても、守り方を絶対に変えなければならないということで、これまでのように関税とかの形で、価格を上げることによって、消費者が負担をする形で農業を保護していくと。この形はやめなければならない。そういった観点から言うと、特に農業改革を推進したい方々からすると今回の合意というのはあまりにも自由化水準が低すぎて改革の起爆剤にならないのではないかという、そういった逆の批判も出ているという状況ですので、そうした批判を跳ね返すべく、いろいろ予算も組まれるとおっしゃっていましたけど、大臣はよくおわかりだと思いますが、ウルグアイラウンドの時の轍は踏まない。もう絶対、ばら撒きにはならないと。現在、安倍政権が進めている改革の方向性をより加速するような形で、お金も使っていくし、様々な改革も進めていくと。そういうことが重要だということですね」
反町キャスター
「菅原さんの指摘はいかがですか?」
甘利経済再生担当相
「ばら撒きには絶対にしませんと。要するに、損失補填的な発想で予算を組んだら、日本の農業は全然強くならないです。若い世代の方とか、後継者の世代の人はTPPを契機に打って出る、気持ちを切り替えたいという強い要望があるんですね。ですから、攻めていくのにこういう政策を組んでくれとか、こういう支援があると攻めていきやすいとか、そういう従来よりも、もっと攻め型予算というのですか、前向きな予算を組んでいくべきだと思います」
反町キャスター
「農業を守るのか。現在農業に従事している人達を守るのか。ちょっと意味が違うと思うんですよ。甘利さん、どういう立場で、今後農業をどう見ていかれるのですか?」
甘利経済再生担当相
「農業は産業にするんです。農業に産業のノウハウをどんどん農業者に取り込んでいくと。だから、ブランディングとか、マーケティングとか、業として、商売として、勝者が攻めていくとしたら、どういうような手法をとるのかということを、農業者が習得をして、産業としての農業。そういう感覚で打って出ていくということだと思うんです。前にお話したでしょうか。九州経済連合会の会長が私に会いたいと。何しに来られるのかと思ったら、九州経済連合会では、九州の農協の連合会とタイアップして、確か香港だったと思うんですね、毎年、九州の農産品を売り込みに行っていますと。前回は売れ残りましたが、今回は完売ですと。年契約もとれましたと。売りに行った人も、持って行った品物も同じです、なぜだと思いますかと。前回は売り手100人。バイヤー2人。今回は根まわしをして、バイヤーを同じ数にしました。100対100にしましたと、前回は買い手市場、今回は売り手市場で取りあいになりました。そこを変えただけです。つまり、これは商売の感覚を入れていくわけです。どうしたら取りあいにさせるのかということをちょっと工夫しただけです。それで取りあいになるくらいですから、日本の食の安全とか、品質の高さ、味覚の素晴らしさ、見栄えのすごさというのは知れ渡っているわけですよ。あとは売り込み型商売というのがあるんです。そういう感覚を、農業をどうやって産業化していくかという感覚が必要だと思います」

どうなる?官民対話
秋元キャスター
「今朝、官邸で日本経済再生本部の会合が開かれて、安倍総理や閣僚、企業経営者が集まる未来投資に向けた官民対話の枠組みを創設しました。甘利さん、この官民対話でどういう話ができればいいと思われますか?」
甘利経済再生担当相
「官民対話は経団連とか、日商とか、経済同友会、経済団体の責任者の方と、あと政府側は、総理はもちろんですけれども、財務大臣、官房長官、私ですね。経産大臣あたりで月1回ぐらいテーマを決めて話しあって、問題提起があり、解決できるものはその場で解決するという意気込みでやるんですね。これは人材への投資、研究開発への投資、それから、生産性向上への投資。投資を拡大すると。日本が1番、進みそうで進んでいない。計画はあるけれども、後ろ倒しになってしまっているというのは投資です。これを強く要請をしていきます。そうすると、投資する側、経営側からは、そのためにはこういう規制があるとか、あるいは手続き上、こういう問題があるとか、こういう提案を、もっとワンストップでやってもらいたいとか、あるいはこういうインセンティブはないかとか、要求があると思うんですね。それを話しあって、投資が進むための環境整備をしていくと。特に第4次産業革命と言われているのが、IoT(Internet of Things)、要するに、モノが全て情報端末になると。そこから集まってくるビッグデータを解析して、ソリューションをつくり上げる人工知能、これが第4次産業革命。要するに、第4次産業革命に対する準備をどこの国が、どこの経済界がいちはやくやるかと、競争ですよ。これまで蒸気機関があり、電気があり、コンピューター、インターネットがあり、これが産業革命、1次、2次、3次。その新たなインフラに対してどこが、どこの産業界がいちはやく対応するかという競争でしたね。第4次産業革命にどこが1番はやく適応するかと大競争です。それに問題意識を持って働きかけるんです。そうすると、経営者と政府側で話しあいをして障害物を外していくという方がスピード感がありますね。ですから、その中で賃上げも、そのサイクルをまわしていく要素だということであれば、官民対話の中でスピード感を持って。これはスピード感が大事ですから。新しいインフラに対応できる経済をつくるという競争になりますから。そういうスピード感を持ってやっていきたいと思います」

日本経済…今後の展望
反町キャスター
「一方、今朝の会見で甘利大臣が企業の原資が拡大しているのに、投資が拡大していないのは不思議な現象だと話しています。これは今言われた設備投資、人材投資、それがなぜ広がっていないのですか?」
甘利経済再生担当相
「企業の収益というのは、前にも申し上げましたけれど、史上最高値をどんどん更新しているんですよ。これまでにないくらい、内部留保も溜まっているんですね。大変な金額です。投資はというと多少伸びていますけれども、内部留保がすごい勢いで増えている割に投資は進んでいないです。問題は、この20年間、よく失われた20年と言われますけれども、20年間の日本の設備の古さ。ビンテージを比較すると20年間で5年から6年古くなっているんですね。つまり、20年前は現在よりも5年、6年新しい、最新の設備で生産活動が、サービス活動が行われていたんです。ところが、現在は20年前よりも5年も6年も古い設備でやっているんです。中古の機械で、現在、最新設備の外国と戦っているんです。と言うことは、設備投資が全然できていないわけです。現在は第4次産業革命と言われていて、どれだけはやく新しい環境に対する装備をするかという競争ですよ。本当だったら企業は借金してでもやるべきですよ、現在。差がつく時なのだから。マラソンで言えば、水を飲む中継点があって、自分の水を探している、もたもたしている間に、さっと加速すれば、差をつけられる大事な時ですから。だから、本来なら、借金をしても設備投資をするでしょうと。ところが、あり余る金があるのにどうしてしないのというところですよ。だから、背中を押して現在やらないでいつやるのですかというところですね。現在やれば、差をつけられますよと」
反町キャスター
「一応、官房長官は2017年4月の引き上げにあわせ、その時に軽減税率も同時に導入するという話をされています。一方で、本当の消費税による低所得者対策という、経済政策的、合理性的な、堅苦しい言い方をすると、軽減税率ではなく、給付付き税額控除の方がきちんと所得を捕捉し、足らない人のところにピンポイントで、少し厚みがあるのができるのではないかと、こういう議論もあるんですけれども、甘利さん、この軽減税率についてはどう考えていますか?」
甘利経済再生担当相
「公党間の約束で、公約に掲げている問題ですから、ないがしろにはなかなかできないと思います。それをやっていく際に、マイナンバーカードを使ってという案がありましたけれども、国民にどうですかと問うと、反対が圧倒的です。圧倒的に多いですね。だとしたら、負担がそれぞれ当事者間の負担が1番少なくて、簡易にできる別の方法は何かないのかということで、現在与党でいろいろ議論をしてもらっていると。それに政府がいろいろ噛んでいくということになろうかと思います」


後編

中国で日本人拘束 スパイ取り締まり強化の背景
秋元キャスター
「今回、中国で拘束された4人ですが、どういう人達だと分析されますか?」
美根氏
「中国政府がはっきりと公表しています2人については比較的どういう人なのかわかっていたわけですけれども、しかし、あとの2人は実際にどういう背景で、どういう目的で行かれたのか、どういう状況で拘束されたのか、もちろん、最初の、中国側の発表のある2人についてもわからないですけど、ですから、4人についてはわかりにくいところがいっぱいありまして、基本的にはどういう理由でなぜ拘束されたのかと。どういう背景かと言えば、最初のご質問ですが、どういう人かというのはわからない部分がかなり多いです」
反町キャスター
「浙江省で逮捕された50歳の男性はどういう方だというふうな情報が入っていますか?」
美根氏
「これは最初の浙江省で逮捕された人と、それから、北朝鮮との国境付近、遼寧省で拘束された人の区別がちょっと難しいんですけれども、両方ともある程度、公安調査庁との関係があったという、そういう背景はかなりはっきりしていると思うんですね」
反町キャスター
「元職員という話もありますよね?それはどう聞いていますか?」
美根氏
「それはそういうふうに聞いています」
反町キャスター
「行った目的は何かと」
美根氏
「これはかなり推測に頼らざるを得ない部分があるんですけれども、結局、政府との関係があったのかどうかという、まさにそこに焦点が当たってくと思うんですけれど、そこにいかないとなかなかはっきりした話ができないですけれど、一般論としては北朝鮮との国境であれ、浙江省であれ、それぞれ個人の訪問の目的があって、その時に日本政府の方で公式にこういうことしてほしいと言うことはあり得ないと。しかし、個人ベースで、あるいは友人とか、知り合いとか、いろいろあり得ますので、そういう関係で今度帰って来たら話を聞かせてくださいということはあり得ると思うんですね。ですから、そういうのが1つ。そういう状況にあるということはあります。それから、その方達がなぜ行ったのかというところは、それとも関係するんですけれど、少なくとも政府の方からこういうところに行ってほしいとか、こういうところを見てほしいということはなかったと思っています」
反町キャスター
「浙江省の軍事施設というのは中国海軍の巨大な基地がある港ですよね。そこに元公安調査庁の人が行ったにせよ、旅行で行く場所ではないです、たぶん。そういうところに行く、ないしは行って戻ってきたあとに、OBが現職、現役の人達とお会いになって情報交換する、提供するという、官房長官は政府としてスパイ行為はしていないし、民間人に頼むこともないと強く否定はされるんですけれども、OBが行って見聞きした情報を現役にもし渡すという状況があれば、それは事実上、民間人に頼んでいることと同じだと思うんですけれど、どうですか?」
美根氏
「そこはかなりはっきりした境界線があると思うんですね。要するに、政府が何らかの形で頼んだか、この人達が旅行先で見聞きしたことを、帰って来てから話をするということは、2つはっきり分けて考える必要があると。境界線ははっきりしていると思うんですよね。後者の方、すなわち個人ベースで帰って来たら話を聞かせてほしいということから実際帰って来たあとで話が出てくる、その場合には、これはスパイというようなことではない。個人ベースの話だと思いますね」
秋元キャスター
「今年になってから4人も拘束されています。中国は取り締まりを強化しているのでしょうか?」
凌氏
「このへん、私はよくわかりませんけれども、しかし、今回の問題を少し大げさに報道し過ぎているのではないかと思うんですよね。と言うのは、これは逮捕されたというけれども、法律的な逮捕ではないと思います。中国の順序としてはまず偵察する。その次には拘留する。拘留の場合は15日間の行政拘留というのがありまして、もし問題なければ、15日以内に釈放、自由にすることになっているんですね。現在の段階はたぶん予備審査の段階だと思うんですよね。予備審査を経て、確かに証拠を得て、そうしたら、逮捕執行ということになるんですよね。5月と言いますから、現在だいたい3か月、その延長でまた3か月の、半年ということですから、半年になる前に可能性が3つありまして、1つは問題がないという可能性もあるんですよね。もう1つは、違法行為があったと、それは自分で認めて反省していると言いますから、そうすると、違法行為があったと認めたことで、犯罪にまではいかないと、犯罪になったら逮捕です。3つの可能性がある。今度は裁判にかけて、処罰を受ける。現在はたぶん予備審査の段階。こういうことについて専門ではありませんし、これまでの私の経験なり、聞いた話で判断すると現在はまだ予備審査の段階で、こういうふうにあまり騒ぐというのは、現在は4人だと言うけれども、まだ他にあるかどうかわからないですよね。ですから、現在特に強化しているかどうかは、私も良くわからないんですけれども、全体的に騒ぎ過ぎたと思いますね」

反スパイ法とは
秋元キャスター
「反スパイ法というのはどういう法律なのでしょうか?」
美根氏
「これは、元は1993年に国家安全法というのがあったんです。昨年までそれ1本だった。昨年秋に反スパイ法ができまして、それから、今年の7月に新しい国家安全法というのができたんですね。ですから、前の国家安全法が2つに分かれたと。1つが反スパイ法、もう1つが新しい国家安全法。何が違うかというと、反スパイ法というのは基本的には個人的な個別の行動について取り締まりを強化する法律ですね。国家安全法は国家とか、体制とか、領土とか、非常に大きなものに対する脅威を与えるものに対する取り締まり、あるいはコントロールするというところに主眼がありまして、現在2本立てになっている」
反町キャスター
「今回の拘束されている2人はどちら?」
美根氏
「反スパイ法ですね」
反町キャスター
「スパイ法の最高刑は何ですか?」
美根氏
「反スパイ法は、刑罰は書いていないです。刑罰そのものは一般の中国の刑法によるとなっているんです。死刑まである。よくあるのは国外退去です」
反町キャスター
「習近平さんは腐敗撲滅を掲げ、国内の統治を強化してきた経緯があると思いますが、スパイ法の強化は、それにリンクしていると思いますか?」
凌氏
「関係あると思います」
美根氏
「これは習近平政権の特色です。力で制度をきつくしてコントロールする。これが現在の中国に必要だというのが習近平主席の考えです。だから、習近平主席は毛沢東に近い存在になっていると、そういうふうにも言われているんです。全ての権力を一身に集めて、その一環としてスパイに対する問題、あるいは国家安全に対する問題に対する強い取り締まりが行われているということです」

中国の日本人拘束について 言いたい事、聞きたい事
秋元キャスター
「視聴者からの質問です。『中国の反スパイ法では、共産党や政府、政策を批判しただけで犯罪とみなした逮捕投獄が可能ですね。従って、日本としては非現実的ですが、中国から全ての日本人、日本企業を撤退させる以外、日本人がスパイとして逮捕投獄されることを防ぐ方法はありませんよね』と。いかがですか?」
凌氏
「これはですね。まるで中国が政府の批判をするとすぐ反スパイ法にかかるというのは、中国は建設的な批判は歓迎していますよ。現在の質問は、中国の実情にはあわないということですね。それから、現在中国において、こういうことが起こるということは、これは他の国、アメリカもしょっちゅう中国にやられていますから。ですから、反スパイ法というのはだいたい他の国もある。日本は別としてだいたいあるわけで、それに準じたいろんなアレでして、あまり中国を悪に持っていく、そういったことは日中関係にとって大変マイナスだと思いますね」
反町キャスター
「日本でこれぐらい騒ぎになるということは当然、北京もわかっていると思うんですけれども」
凌氏
「必ずしもそんなことはないです。だって、当局は、彼らは自分の職務を執行しているだけですね。ですから、華僑でもそういうことがあったこともありますよね。結局、そういう人達、日本の事情もわからない人達が自分の職務を遂行したので、それは我々も尊重してあげなければならない。反スパイ法に携わっている、安全関係の人間が、日本の反応とか、そういうのを皆わきまえているとは限らないですよ」
美根氏
「反スパイ法の行き過ぎというのはあるかもしれないし、それは気をつけなくてはいけない。しかし、他方で、中国から離れないと問題は解決しないとか、そういう極端から極端に走る、あるいは流れるのはよくないと思うんです。安全の部分もたくさんあるのも間違いないと思いますね」