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2015年10月12日(月)
菅官房長官が緊急出演 ▽ 新幹線が中国に連敗

ゲスト

菅義偉
内閣官房長官 自由民主党衆議院議員(前半)
山際大志郎
前経済産業副大臣 自由民主党衆議院議員(後半)
秋月將太郎
野村総合研究所上級コンサルタント(後半)


前編

菅官房長官に問う 内閣改造の狙い
秋元キャスター
「先週行われた内閣改造について聞いていきたいと思いますが、その顔ぶれですけれど、閣僚19人のうち9人が留任。初入閣したのも9人。再入閣が1人ということになっていますけれど、今回の内閣改造、安倍総理の狙いはどういったところにあるのでしょうか?」
菅内閣官房長官
「この顔ぶれを見ても非常に実務的で、仕事師内閣ということで、仕事のできる方が全体として選ばれたと。こう思っています」
反町キャスター
「石破さんが前回の改造の時に、地方創生ということで、この内閣は、地方創生だとドーンと打ち出して、石破さんが幹事長から移られ、僕らもオーッと思って、今回、1億総活躍担当大臣という、また、1つ目玉としてつくられて、そこに官房副長官を務められた加藤さんが入ったと。加藤さんのやられる1億総活躍と、石破さんのやる地方創生。どうも役割的に被る部分というのが非常に多いような印象があるんですけれども、その予算とか、政策、ないしは人材も含めて、その仕分けとか、区分け。どうなるのですか?」
菅内閣官房長官
「まず総理の新三本の矢というのは、強い経済、子育て支援、社会保障という国民の皆さんにとって直面する、また、我が国にとって極めて重要な問題ですよね。そういう中で、経済、経済、経済。総理はいろんなところで申し上げています。地方創生というのは、まさにこの日本の経済というものを強くする中で、これは極めて重要なものですよね。地方の活力が日本の元気につながるという。これは第1次政権からのそういう想いでやってきていますので、地方創生というのは極めて重要な問題と。今回の新三本の矢というものも現在、申し上げましたけれども、総理は1億総活躍の実現という中で、新たな目標で子育てが重要だと。社会保障も極めて大事だと言いながら、そういう中で政府全体としてのものがなかったものですから、そうしたものを実現しようと。ですから、横串がいろいろと入っている。そういう理解をしてもらえればわかりやすいかなと思います」
反町キャスター
「そうすると、石破さんのやっている地方創生というのは地方をいかに元気づけるのかというのが基本であって、経済政策や地方活性化政策に軸を置いたものであるけれども」
菅内閣官房長官
「そうです」
反町キャスター
「今度、加藤さんがやる部分というのは、子育てとか、社会保障とか、比較的、それぞれの家庭に、生活者に直接、気配りが滲み渡るような、そういう政策が軸なのですか?」
菅内閣官房長官
「そういうことです」
反町キャスター
「懇談会みたいなものをつくって、加藤さん、いろいろな有識者らを集めて、政策を打ち出していくという話をされていますけれど、打ち出すと言っても、たとえば、役所を持っていないわけではないですか。そうすると、何とか省の大臣とか、たとえば、何とか省のキャリアの人達が、ガーッと入ってやる。今回の加藤さんというと、内閣府で、そういうポジションをつくるというと、独自の政策を打ち出すというよりも、省庁から人を集めて、そこで何かまとまったものを上げていくのが仕事なのか。ないしはそこが独自の予算とマンパワーを持って、人も金も、がしっと加藤さんのところにつけて、そこから新たな政策、つまり、他の役所から、いわば多少削って、予算全体に限りがありますから、削って持ってきてそれでやっていくのか。どういう位置づけになるのですか?」
菅内閣官房長官
「いわゆる加藤大臣の下に各省庁から人間を当然、集めます。国としての方向性をそこで出していくと。そういった形で、実際はそれぞれの省庁が実施段階では行っていくと。そういうことになると」
反町キャスター
「そうすると、予算が加藤さんのもとにごちゃっとくるというイメージではなくて、アイデアを出して、方向性を決めていくのだと」
菅内閣官房長官
「これは内閣としての方向性になるんですね。総理直轄ですから。省庁を横断的なものについて、省庁というのは、自分の大臣のことはよく聞きますけれども、全体のことはどうしてもなかなかまとまらないと。そういうものを、方向性というものを、きちんとそこでまとめて、下に落としていく。横串をつくるという形の中で、現在は、極めてここが大事になってきているということですね」
反町キャスター
「司令塔みたいなイメージの方が強いという理解でよろしいですか?」
菅内閣官房長官
「そうです」

臨時国会召集は?
反町キャスター
「一方、国会の雰囲気ですけれども、TPP大筋合意がまとまりました。この大筋合意を受けて、野党は国会を開くべきだと。閣僚も変わったではないかと。TPPの報告も受けたいし、新しい閣僚の、その施政方針も受けたいと。それぞれの委員会で。臨時国会を是非やってくれという話が野党からあがっているんですけれども、閉会中審査、農水とか、予算とか、閉会中審査を受けるような雰囲気は国対関係では出ているのですが、臨時国会はなかなかイエスと出てこない。ここはどう見たらいいですか?」
菅内閣官房長官
「ここは、11月の中旬から、総理の外交日程が立て続けなんですよね。G20、あとはASEAN(東南アジア諸国連合)とか。そういう中で時間、さらに予算編成が控えていますね、12月の中旬以降は。それと今回の臨時国会、戦後最長95日間やりました。そういう諸々のことを考える中で、現在、政府と与党の中で、話をしながら、最終的には決めていきたいと思います」
反町キャスター
「現状あまり開く必要性はないような話に聞こえました。方向性としてはそういう方向性でよろしいのですか?」
菅内閣官房長官
「まだ決めていません、正直なところ。そういう意味では、与党と話をしながら、そこは最終的に決めたいと思います」

新三本の矢
秋元キャスター
「ここから安倍総理が新たな掲げたアベノミクスの新三本の矢について、聞いていきます。新三本の矢を見ていきたいと思うのですが、1つ目が強い経済。名目GDP600兆円を目指す。2つ目が子育て支援。希望出生率1.8の実現。三本目が社会保障で、介護離職ゼロを目指すということですけれども、菅さん、この時期に新三本の矢を掲げた狙いはどこにあるのでしょうか?」
菅内閣官房長官
「総理は自民党総裁選挙で再選をされました。また、昨年の衆議院選挙で、与党で3分の2を超える支持をいただきました。結果的に、向こう3年間、総理大臣として仕事をさせていただくという、そういう1つの権利というんですか、そうしたものができたうえでありますので、これから3年間、何をやるのかという、そういう意味で、この新しい三本の矢というのを国民の皆さんの前に再々選の記者会見で打ち出したということです」

名目GDP600兆円
反町キャスター
「600兆円という数字も前提になっている数字というのが、内閣府の試算でも出ているように、実質2%で、名目が3%という、現在の日本の経済成長速度をはるかにとは言いませんが、かなり上まわる。その精度でやっていかなくては600兆円にはならないという試算になっているんですけれども、ハードルとしてちょっと高くないですか?」
菅内閣官房長官
「ただ、これまではデフレでしたよね。デフレですから、名目でも高くない、正直な話。しかし、現在ようやくデフレ脱却の機運が出てきましたから。まさに、このデフレ脱却最優先。日本経済再生最優先という中の、総理の想いの中では物価の安定を目標2%を実現すると。そうしてデフレ脱却をすれば、そこはそんな難しい数字ではないと思いますよ。経済を成長させると」
反町キャスター
「2020年までの5年間の間にいろんなことが起きるのかもしれないと、オリンピックもありますね。オリンピックというのはこの順調にいくものをさらに押し上げるような効果があると見ていますか?」
菅内閣官房長官
「それはすごく大きなものがあります。過去にオリンピックを行った、ロンドンとか、4か国ですが、そういう事例を調べてみました。GDPが12%、13%増えていますよね」
反町キャスター
「何年間でですか?」
菅内閣官房長官
「決定をしてから、次までの間」
反町キャスター
「ちょうど現在の日本と同じではないですか?」
菅内閣官房長官
「ええ、ただ、日本は現在、まだデフレですから。そこを脱却すれば、そんな不可能な数字ではないと思います」
反町キャスター
「12%、13%。500兆円で12%、13%と言ったら、それだけで560兆円にいってしまうんですけれど、もともとの、そうすると日本が、たとえば、年率1%か1.5%ぐらいの、いわゆる地味目な成長をしたとしても、それプラス、オリンピック効果があると600兆円に届く?」
菅内閣官房長官
「それと、たとえば、規制緩和。TPP(環太平洋経済連携協定)が基本的に合意できましたよね。1つの例として、規制緩和によって、たとえば、旅行客。830万人だったではないですか。私達は3年間で、今年はたぶん1900万人を超える勢いですよ。消費も1兆2000億円ぐらいだったのですが、今年はたぶん3兆2000億円、3兆3000億円の可能性があるんです。上期で1兆6000億円にいっています。こうしたことをしっかりとやっていって、できるだけ経済を、まさに雇用が増えています。あるいは賃金も増えています。こうしたもので消費を増やしていくという成長戦略をしっかりとやり遂げていく。そういう意味の、1つの目安として、ここは達したいと思います」
秋元キャスター
「もし目標を実現できなかった場合というのは、たとえば、安倍総理が責任をとるような事態になるとか、もし達成できなかった場合にはどうなるのですか?」
菅内閣官房長官
「達成というよりも、ここを目指してやるということですよね。可能性があるということです。たとえば、現在、申し上げたけれど、旅行でこんなに伸びるとか、誰も思っていなかったではないですか。現実にこうなっているわけですね。規制を緩和しただけで。さらに、TPPを大筋合意できました。これによって日本の成長戦略にとっては強い追い風になりますよね。私はかつてこの番組でも申し上げたと思いますけれども、アベノミクスの三本の矢で、一本目と二本目はうまくいっているけれども、三本目の矢が見えないということを言われました。その時に私は三本目の矢というのは、1番はTPPだと。高くて、遠くて、滞空時間の長いのがTPPだと申し上げました。ようやく大筋合意もできました。こうしたことを踏まえて、まさに、私達内閣全力で、その数字を実現できるように取り組んでいきたいと思います」

消費税再増税&軽減税率
反町キャスター
「成長戦略というか、600兆円を目指すという話を聞いてきたんですけど、一方で、マイナスになりそうな話。消費税の増税というのが、2017年の4月に予定されています。政府の説明としては、リーマンショック級のものがない限りはやるという話ですけれども、この間の3ポイント引き上げを見ても、プラスにはなりませんよね、どう考えても。この2ポイントを上げるということに関してはいかがですか。どちらを優先するのかという話だと思うんですけれども。成長を優先するか、ないしは財政均衡を優先するのか的な。二択というもの変ですけれども、そこをもう少し考える余地というのは、別に考えてほしいという意味ではなくて、考える可能性がありますか?」
菅内閣官房長官
「私は、安倍政権というのは経済再生と財政再建。二兎を追って二兎を得る政権。こうずっと総理も主張しています。私達もその目標に向かって、しっかりと進めていきたいと思います。現在、国、地方で1000兆円を超える借金もありますから、そうしたものも含めて、現在、反町さんが言われましたように、リーマンショックのような不測の事態が起こらない限りは、そこは考えていくべきだと思っています」
反町キャスター
「その消費税の引き上げと連動しているのが、軽減税率の導入の話で、公明党さんがずっと前回の総選挙から、もっとその前からもずっと言ってきたのですが、自民党の党税調と公明党の党税調でずっとその議論が行われている中で、先般フジテレビのニュースでも流しましたけれど、党税調の会長が野田さんから宮澤さんに代わるという話がありました。これはどう見たらよろしいのですか?」
菅内閣官房長官
「ここはまだ決まっていませんから、私の立場で発言するのは控えたいと思います。ただ、軽減税率は、私ども自民党も選挙で約束をしています。また、公明党との間で連立合意の中も、ここがしっかりと謳われています。ですから、ここについては、中小の事業の皆さんに十分配慮する必要があると思います。そこをしっかり配慮をさせていただいて、2017年ですかね、4月1日に現在の予定では(消費税を)引き上げることになっていますので、それと一緒に軽減税率というものは導入するべきだと思っています」
反町キャスター
「それは与党間、公党間の約束。これは信義上、しっかり守らなくてはいけない?」
菅内閣官房長官
「そこは、当然のことだと思いますし、連立与党としての約束になっています」
反町キャスター
「現在2017年の4月1日からと言うと、10ポイントに上げると同時に、軽減税率を導入?」
菅内閣官房長官
「私は同時にすべきだと思います」

南京事件 世界記憶遺産登録
秋元キャスター
「ここからは日本と中国にまつわる様々な問題について聞いていきたいと思います。まずは9日にユネスコが、中国が申請をしていた南京事件を世界記憶遺産に登録することを決めたことについてですけれども、日本政府としては抗議をしているんですけれども、菅さん、日本政府として何を問題視しているのでしょうか?」
菅内閣官房長官
「この南京事件ですけれど、その事実を巡っていろんな意見が分かれているんですよね。そうしたことを一方的に中国側の意向に基づいてユネスコがそれを決定することはおかしいということですよね」
反町キャスター
「そうすると、あのタイミングで南京において、日本軍が何らかの暴力行為を働いたかどうかということではなくて、対象になるのは数字?30万人とか、そこがポイントになっていくという理解でよろしいですか?」
菅内閣官房長官
「確かに、南京で非戦闘員の殺害ですとか、あるいは略奪行為があったと。こういうことについては否定できないと思っています。しかし、その人数ですよね。いろんな、これは議論があるんですよね。そういう中でお互いに考え方が違う。そうしたものをユネスコが一方的に中国の言い分を受けて指定することは、それはおかしいということを、私どもは、これは中国にも言いました。また、ユネスコにも外交ルートを通じて、そこは抗議をしてきたものが今回こういうような形で支持されたことは極めて残念。抗議をしていると。そういうことです」
反町キャスター
「昨日、二階総務会長が『ユネスコは、日本が悪いというのであれば、日本として、資金はもう協力しないというくらいのことが言えなければどうしようもない。協力の見直しは当然考えるべきだ』と発言しました。ユネスコは国連の一部の機関ですが、それに対する日本の拠出金、世界第2位と聞いているんですけれども、世界第2位の日本が、拠出金の減額を検討するというのは、これは大ニュースだと思うですけれど、それは官房長官として、どう考えますか?」
菅内閣官房長官
「私は、検討はすべきだと思います」

中国で日本人逮捕・拘束
秋元キャスター
「日本人が中国でスパイ容疑で拘束される事件も相次いでいます。中国政府が9月30日にスパイ容疑で逮捕したと発表したのは2人です。浙江省の軍事施設付近で5月中旬に拘束された、愛知県の51歳の男性。遼寧省の中朝国境付近で5月中旬に拘束された神奈川県の54歳の男性。この他に日本政府関係者によりますと、北京で6月下旬に北海道の60代の男性が、上海では6月頃に50代の女性も拘束されていることが明らかになっているんですけれども、菅さん、この日本人の相次ぐ逮捕、拘束。日本政府としてはどう対応されるのでしょうか?」
菅内閣官房長官
「私は、中国側で発表された2人のことは承知していますけれど、あとの2人については、承知はしていません。日本政府としては、民間人の方にスパイ行為をお願いしている事実はないということです」
反町キャスター
「11月の上旬ですか、日中韓の首脳会談が開かれ、そこで日中首脳会談もおそらくあると僕らは見ているんですけれども、日中首脳会談。こういうギスギスした環境の中でどういう話しあいが持たれると見ていますか?」
菅内閣官房長官
「日中、日韓もそうですけれども、隣国であるが故に、いろんな問題があるのは事実です。しかし、対話のドアは常にオープンだというのが総理の姿勢でした。そういう中で中国とは2回の会談を行いまして、戦略的互恵関係に基づいてお互いがこの地域に対して平和と安定のために責任を持っていこうということが合意されていますから、それに基づいての様々な問題についての話しあいになるだろうと思います」

インドネシア高速鉄道
反町キャスター
「一方、中国でいうともう1つありまして、インドネシアの新幹線の問題がありました。最近ですけれど、入札というか、最終的にインドネシア政府の判断として中国の新幹線をインドネシア政府はとると決めたんですけれども、これはいったい何が起きたのですか?有利に日本が話を進めていると思ったんですけれども、何が起きたのですか?」
菅内閣官房長官
「有利にというか、インドネシアで高速鉄道を建設する、140kmです。これについて日本も最善の提案をしました。中国も提案をしました。しかし、結果として高速鉄道はつくらなくて、中高速だというのを1回、インドネシアは発表をしましたよね。そういう発表をして、各国、日本だけではなくて、世界にチャンスを平等に与えるという中で、中国が新しい申請をしたと。それを歓迎して中国に高速鉄道を決めたということが今回のあれですよね。それで、今回は世界から見てもまったく理解をされないというか、そういうルールで決めてしまったと思います」
反町キャスター
「それはインドネシアが?」
菅内閣官房長官
「インドネシアが。インドネシア側からは大統領特使で来ました。私もお会いしました。私はこんなむちゃくちゃなルール、まったく透明性も公平性もない中で決めることについて、インドネシア全体としてもこれは不信感を覚えると」
反町キャスター
「日本がインドネシアに対して?」
菅内閣官房長官
「はい。そこは厳しく指摘をしました。と言うのは、今度の契約をしたことは、インドネシア政府が財政負担も、債務保証も何にもしないんですよ。中国がお金を出すんですよ。中国、丸抱えでやりますよね。ですから、これは採算性というのは無理ですよね。それと、140kmキロを3年間で完成するということ」
反町キャスター
「2018年まで」
菅内閣官房長官
「ええ。3年間。これは用地交渉もありますし、トンネルもありますから、それは採算性を考えても、実現性を考えても、これは無理ですよね」
反町キャスター
「できないと見ていますか?」
菅内閣官房長官
「もちろん」
反町キャスター
「そうすると、これは別に日本の、アベノミクスの1つの柱であるプラント輸出、インフラ輸出が、要するに、これで新幹線をどこで出しても中国に、アメリカでも戦っていますし、やられている部分もありますし、日本の新幹線というのは、中国と価格競争力の点で大きく劣っているので、アベノミクスの柱である、インフラ輸出の1つの柱としてちょっと成り立ち得ないのではないかと、ここはどうですか?」
菅内閣官房長官
「そこは世界の国々の中で実現するのかどうかとか。それは当然、見るでしょう。どう考えても、用地交渉だとか、トンネルとか工事があって、3年以内に完成というのは、日本はできないですよね。ただ、日本の良さは価格ではなくて、メンテナンスも含めて、中長期に見れば、日本は安定して、最終的に安全で、それは相対的に安くなるというのが、日本のウリですよね。ですから、そういう中で、日本としても条件はできる限りのことは、これは提示をしながら、インフラ輸出、ここはしっかりとやっていきたいと思いますけれども、今回はこの条件だったら、日本は提出できなかったと思いますね。この条件で指名されたら。そう思います」


後編

インドネシア高速鉄道 中国受注の背景
秋元キャスター
「安倍総理がトップセールスまで行ったにもかかわらず、中国に敗れるということになりましたけれども、この件をどのように見ていますか?」
山際議員
「一言で言えば、ちゃぶ台返しというやつで、ですから、その土俵そのものが変えられてしまったという認識でいいのではないかと思うんです」
反町キャスター
「日本と中国の総工費の違いをどのように見ていますか?」
秋月氏
「その総工費ですけれども、最初中国は60億ドルと伝えられていたので、むしろその時点では日本の方が安い結果になっているんです。ここは競争という意味ではかなりきちんと競争されていた。日本もがんばったということだと思うんです。完成日については、若干ちょっと2018年というのは私から見てもあと3年というのは厳しいのではないかと思いますけれど、そういう形で少し疑問が残ります。それから、融資の条件については、これは私も今回中国に驚いたというよりはインドネシアがこの案を採用したということに驚いている。実際は結局こういう公共事業は海外に対して提供することになりますけれど、日本のスタンスあるいは日本以外のヨーロッパもそうだと思いますけれども、基本的には現地国を助けるというか、支援するということを前提に行われるべきもので、基本的には実際にその政府保障が発動されるかどうかということが直接的な問題ではなくて、相手国政府も、きちんとこの計画に関与して、お互いにある程度、緊張関係を持ちながら、事業を成功させていくという、そういう考え方のもとで円借款が成り立っていますので、それを単純にタダで全部いいよと。それはいいことですね、という形でこれは決着したというのは、こちらも疑問が残るところだと。インドネシアに対する疑問の方が大きいですね。基幹的な公共事業の全てを他国に任せてしまうというところに少し違和感もある」
山際議員
「2013年の6月にインフラ輸出に関しても、成長戦略の中にキチッとKPIと言われる目標を掲げまして、2010年に1年間で10兆円の受注額を、2020年には30兆円にすると、こういう野心的な目標を掲げてこれまで走ってきたんです。当然、インフラ輸出というものの中には今回の新幹線以外にも、たとえば、エネルギーの分野のインフラ輸出もあれば、情報通信の分野もあります。医療の分野もあると。交通の分野でも道路、橋というものもあると。非常にたくさんの分野がある中で、その中の一部として新幹線があるわけです。全体で30兆円を、2020年には受注を目指そうということで走ってきたのですが、一方で、これはトップセールスという名前で総理に必死になって動いていただいた。あるいは閣僚に必死になって動いてもらったという経緯がある。私も先日まで経済産業副大臣でだいぶ動きました。しかし、それだけでいいのだろうかと。オールジャパンでやるというのはそれ以外のプレイヤーも含めてオールジャパンではないといけないのだと思うんです。そこの部分でしっかりと協力体制を敷いてもらえるように環境整備をしてきたのかなと。たとえば、今回の件で言うなら、インドネシアと親しい、政府に入っていない議員も山ほどいるわけですね。そういう人達がどれだけ動いたのか、あるいは普段からお付きあいのある企業がどれだけこの件に関してオールジャパンとして動いていたか。そういうところは反省をしっかりして、検証したうえでもう1回組み直すべきなのではないかなと思います」

米国の高速鉄道 中国参入の背景
秋元キャスター
「アメリカの高速鉄道を巡る中国の動きをどう受け止めますか?」
山際議員
「事実関係といたしまして、日本が参加したいという意欲を示しているのは、サンフランシスコとロサンゼルスを結ぶ840kmの区間の上ものですよね。車両を含めた上ものの部分に関して興味を示しているということで、そこの部分に関しては、勝負はまだついていないのですが、それにしてもしっかりやらないとまずいよねという危機感は当然、持ちます」
反町キャスター
「中国側の参入に向けた意欲をどう見ていますか?」
山際議員
「一言で言えば、日本が持っている技術というものが、本当に技術という面のみならず、世界の他の国に対して圧倒的な優位性を持っているのかと、このことは、私は過信してはいけないのだと思うんです。持っている部分もありますし、キャッチアップをされている部分もあると思います。どの程度のものをニーズとして必要とされているのかは冷徹にリサーチしたうえで、その話に競争で入っていくかというのを、これから戦略性を持ってやらないと新幹線のレベルのものを必要としているところはかなり限られていると思いますし、しかも、新幹線のレベルのものをつくるのはお金もかかりますから、採算を取るためにはかなりそのあとお客さんが乗ってくれないと採算があわないわけですね。そういうことも含めますと、非常にハードルの高いインフラ整備だと認識すべきだと思いますね」
秋月氏
「どうしても日本の新幹線の輸出は、非常に象徴的なものなので、わかりやすいですし、支持されやすいですけれども、実際には高速鉄道はだいたい(時速)200km以上を出すのを高速鉄道と言っていまして、過去はどちらかというと日本はヨーロッパと競合しているという認識だったんですね。むしろ競合は中国ではなく、ドイツとか、フランスとか、ヨーロッパではないかという議論をしていたと思うのですが、ですから、そういう意味では、最近中国が1年、2年で急に頭角を現してきたというのは事実で、これは現在の新幹線、高速鉄道計画だけではなくて、中国の車両メーカーで『北車』と『南車』という会社があったのですが、これがこの間、合併して規模の面で非常に躍り出てきたと。現在ヨーロッパで言われているところのビッグスリーと呼ばれているところに対抗するというか、むしろそれを超えてしまう事業規模にまでなっているんですね。この1年で急に中国が国際的なマーケットにいろんな形で進出をしだしたと」
秋元キャスター
「日本ほどの高品質、高レベルなものは世界で求められていないということはありますか?」
秋月氏
「新幹線か、在来線、都市鉄道と二元論的になっていますが、世界で比較的主流を占めているのは(時速)200kmぐらい、そのへんもラインナップに入れていかないと、なかなか各国の事情にあわせられないというのはあると思いますが、そのへんは日立製作所がイギリスでつくっている車両は(時速)200kmから300kmの間ぐらいの、いわゆる高速鉄道。できないわけではないです。ですから、少し発想を幅広く持つというか、その中でどれを選んでもらうのかという形にしていかないと、そこにこだわり過ぎている面はあると思います」

日本の新幹線輸出 受注獲得に必要なこと
秋元キャスター
「今後、世界で受注を勝ち取っていくために日本としてはどういうことが必要だと思いますか?」
秋月氏
「技術の面、運行のノウハウとか、そういったところについてはまったく遜色のない、むしろ優れているものがたくさんありますので、売り方というのか、プロジェクトの組成の仕方をどうしていくのか。それから、新幹線にあまり固執せずに、高速鉄道と言われている領域も考慮に入れることが1つあると思いますね。ビジネスモデルを変えるというとちょっとわかりにくいかもしれないのですが、単純に受注競争みたいな形で、入札みたいな形でいくと、どうしてもコストの面とか、債務保証で難しいところが出てくるんですけれども、たとえば、日立製作所がイギリスでやっているようなモデルは、イギリスの市場自体がかなり細分化されて、各国が参入しやすい状況になっているという好条件もあるんですけれども、日立は車両を売っているわけではなくて、現地のオペレーターに対して必要な車両を必要なタイミングで供給をするというサービスの事業。単純に言うと、リースの事業なのですけれど、サービスを売っているわけで、車両の売り先は日立が出資しているリース会社です。そこでは入札も発生しませんし、あまりたくさんの車両を納入しなくても技術的なメンテナンスが優れていれば、少ない車両できちんとサービスが提供できますから、トータルのコストも安くつくし、利益率も高くなるというメリットがあるんですね」
反町キャスター
「売るよりもリースの利幅が大きいのですか?」
秋月氏
「現在のようなやり方でやれば、日本のような素晴らしい技術力があれば、利幅が大きい可能性はあります」

山際大志郎 前経済産業副大臣の提言:『全体で攻める』
山際議員
「鉄道は鉄道だけではなく、他の分野も含めてということもありますし、また、政府だけではなくて企業も、あるいはその他の党も含めて全体で攻めるべきですし、分野も横断して、街づくりをこういうマスタープランでやりましょうというような大きな視点からの攻めもありますし、何にせよ一部分だけで攻めていたのでは日本の良さが出ませんので、全体のパッケージで、皆で攻めていくと。このことが本当に重要だと思います」

秋月將太郎 野村総合研究所上級コンサルタントの提言:『敵の敵は味方』
秋月氏
「敵の敵は味方。今回、日本の輸出ということにテーマがなっていますけれども、今回の事態、中国がこれだけ進出してきたことに対しては、これまで日本が敵としてきたヨーロッパも非常に脅威を感じているわけです。たとえば、中国に対してプロジェクトで対抗していくということがあれば、たとえば、ヨーロッパを味方につけていく。資金の面でも、ノウハウの面でも、という発想も大事だと思いますし、逆に中国を必ずしも敵視をするということだけでなく、必要に応じて今度はヨーロッパが強いところに中国と組んでいくということもある程度視野に入れていくという、案件ごとに考えていくということが新しい発想としては重要なのではないかなと考えています」